第 27回 施設園芸で有名なウェストラン た。 「パート賃金が高いわけではな そんななかで Arnold さ ん は 20 0 8年から正式に有機栽培に転向し いが、皆ブドウ栽培にかかわれるこ 歳と高齢なので今後について対策 を考えないと」と話す。 営、圃場内マーケット開催(ブース 同農場はオランダの有機栽培認証 も含め地域の農場へ案内するグルー 自身で加工。さらに農場カフェの経 と demeter を取得しているた SKAL めに化学農薬は使わず、アザミウマ、 プツアーやブドウケーキ作りワーク 割は顧客直売や圃場に 現に筆者が訪問したオープンデー ショップなども行なっている。 を提供して賃料を得る) 、近隣農家 ハダニ対策として biopol 社のミヤコ カブリダニを使用している。堆肥は 商品の に も た く さ ん の 人 が 訪 れ、 有 料 の らもらったりしている。 剪定した葉や植物堆肥を近隣農家か スペースを地元の小売店、環境保護団 体や食材宅配サービスに貸し出してい る ストランやカフェに卸している。生 コーヒーやブドウケーキを楽しんで しているのが見受けられた。 彼らの思いは、天候や労働賃金の 面で有利ではないオランダで、数少 ないブドウ生産を守り、次世代につ なげていくことだ。 40 農業経営者 2015 年 10 月号 ドにある家族経営の有機ブドウ生産 者、 Druiven kwekerij 社を訪問し た。1885年から130年続く歴 とを喜んでいるよ。でも年齢が 〜 史ある生産者で、現在農場を仕切っ ている 夫 妻 は4 代 目 だ。 夫 Jansen の Arnold さんが生産現場を中心に、 妻の Hilde さんは販売、マーケティ ングを中心に役割分担をしながら支 え合っている。 3500 ㎡のグラスハウス内で 7品種を栽培し、年間1000t を 58 割はレ Jansen夫妻と6代目予定の御令孫 いたり、個人や会社がブースを設置 隣 接 す る 店 舗 で の 販 売、 8 収穫。 Black Alicante というスペイ 85 食以外にもジャムやジュースなどを 2 ンの古代種や Leopold というベル ギ ー の 珍 し い 品 種 を 栽 培 し て お り、 には原産地名称保 Westland grape 護( PGI ) が 付 与 さ れ て い る。 い ず れもべと病耐性が低くて栽培が難し い。それが付加価値になって高値で 販売している。 3 月 に は 週7 日 植 栽 な ど の 作 業、 人の作業員が収 年 代 以 降、 いブドウがオランダに流入してマー ケットを独占し、廃業に追い込まれ た ブ ド ウ 生 産 者 が 数 多 く い た の だ。 作業効率、スペース、日射を考慮して斜め に伸ばした温室内のブドウ棚 その後4〜6月に芽かきや剪定。基 月には 経験と技術が必要なため、主に元ブ 99 ドウ生産者をパート雇用している。 と い う の も、 0 エジプト産やスペイン産の価格の安 1 1985 年、愛知県名古屋市生まれ。南山大学外国語学部スペイ ンラテンアメリカ学科卒業後、コンタクトレンズメーカーで国 内・海外業務に携わる。夫の駐在帯同で 2011 年 12 月からオ ランダのアムステルダム市に在住。父の家庭菜園を見て農業に 興味を持っていたこともあり、すべてにおいて実利的で交渉上 オランダのブドウ 生産を守る有機農家 Ⅲ 本的には家族4人のローテーション だ。8〜 15 穫を行なっている。これらの作業は 11 プロフィール 手なオランダ人によるオランダ式農業に魅了されたという。
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