農薬顔負け! 土着天敵+天敵温存植物の力

農文協編集局
N E W S 7
農薬顔負け!
土着天敵+天敵温存
植物の力
『天敵活用大事典』より
農文協の編集局から、
『現代農業』
以外の担当編集者が、とっておき
のニュースを紹介するコーナー。
今回は、読者のみなさんの期待も
高い天敵の話。
『天敵活用大事典』の編集もいよいよ大詰め。最後の点検作業に突入した。第一線の研究者
約 120 名が天敵 280 種の生態と使い方、現地事例まで惜しみなく徹底解説した 800 ペー
ジ近い大著には、
「天敵活用で防除費も防除回数も半減」のノウハウが詰まっている。
今月と来月の 2 回に分けて、その魅力の一端をお届けしたい。まずは豊富に収録される
写真群から、農薬顔負けのパワーを発揮する一見お茶目な土着天敵たちと、彼らに滋養強壮
効果バツグンのエサ(花粉や花蜜など)を提供する「天敵温存植物」の世界を。
西日本最強の新星
タバコカスミカメ
タ
タバココナジラミにストロ
ー状の口(口吻)を突き刺
ー
し、体
し
液を吸う成 虫。体
長約
長 4㎜で背中の斑紋が特
徴的。アザミウマもよく食
徴
べる天敵界のプリンスだ
べ
(中石一英撮影、以下
(中
N)
天敵温存ハウスに植えられたゴマ。タバコカスミ
カメはこの汁が大好物で、西日本では植えておく
だけで 7月以降たくさん寄ってきてくれる(N)
開花中のクレオメ。
ゴマと同様、タバコカスミカメが
汁を吸って増える。ゴマと違って
低温に強いので、厳寒期でも栽培
できるのが魅力(下元満喜撮影)
日本中にいる万能選手
ヒメハナカメムシ類
自分より二回りも大きなアブラムシの
お尻に口吻を突き刺す幼虫(コヒメハ
ナカメムシ)
。攻撃的だ(T)
ハダニに口吻を刺し込み、体液を吸う雌成虫(コヒメ
ハナカメムシ)
。体長 2㎜前後。アザミウマやアブラム
シも好んで食べる( 田聡撮影、以下 T)
露地ナス圃場の一角にオクラを
植えると、ヒメハナカメムシ類
がやってくる。オクラは草丈が
大きいので、露地栽培向きの温
存植物(安部順一朗撮影、
以下 A)
オクラの真珠体を食べる幼虫。オクラの場合、花粉や花蜜ではなく、葉や芽で毎朝
分泌される真珠体が天敵たちのエサになる(大野和朗撮影、以下 O)
小さな大食漢
ヒメカメノコテントウ
幼虫も大食いだ。アブラムシ以外に、コ
ナジラミ、アザミウマ、カイガラムシな
どのやっかいな害虫も食べてくれる(ST)
アブラムシに襲いかかる成虫。体長約 4㎜と、テン
トウムシとしては小型だが、1日 50 匹、生涯 4000
匹も食べる(住化テクノサービス㈱提供、以下 ST)
スイートアリッサムの花を訪れた成虫。花蜜も好ん
で食べる。いくつか紋型があり、左が亀甲紋型、右
がセスジ型。
「カメノコS」の名で販売もされている
(ST)
ハウス周囲のソバ。播種時期をずらせば開花期
間を長くできる。花蜜を目当てにヒメカメノコ
テントウや多様な天敵が寄ってくる(A)
ソラマメヒゲナガアブラム
シをモリモリ食べる幼虫。
ほとんどの種類のアブラム
シを食し、そのさまは「暴
食
食」と称されるほど(O)
を暴食
ブラムシ
幼虫がア
ブ類
ヒラタア
ハゼリソウにも豊富な
花粉目当てにヒラタア
ブ類が集まる。秋にタ
ネを播いておくと翌年
の初夏に花が咲く(O)
成虫が食べるのは花粉と花蜜。これ
は畦畔のハルジオンの花に飛来した
ホソヒメヒラタアブ。体長 5 ∼ 6㎜
(江村薫撮影)
ホーリーバジルの花粉を食べる成虫。バ
ジル類は開花期間が 4 ∼ 5 カ月と長く、
ヒメハナカメムシ類の働きも高める(O)
天敵活用大事典 農文協編
B5判 776ページ(うちカラー口絵144ページ)
予価23000円+税 8月発売
◆ 280 種超の有用な天敵を網羅。1000 点以上の貴重な口絵写真
で同定もバッチリ。
◆第一線の天敵研究者、約 120 名が天敵各種の生態と活用法を徹
底解説。
◆天敵温存植物、天敵温存ハウス、バンカー法など天敵の保護・
強化法が丸わかり。
◆野菜・果樹 11 品目 20 地域の天敵活用事例、農薬影響表など各
種データも充実。
※お申し込みは巻末のハガキか FAX 注文書で