「代表的日本人」 内村鑑三著 第 1 章 西郷隆盛――新日本の創設者

「代表的日本人」 内村鑑三著
第 1 章 西郷隆盛――新日本の創設者
1. 1868 年の日本の維新
p13.「長くつづいた日本の鎖国を非難することは、まことに浅薄な考えであります。日本に鎖国を命じ
たのは最高の智者であり、日本は、さいわいにも、その命にしたがいました。それは、世界にとっても
良いことでした。…」
p.14「1868 年の日本の維新革命は、二つの明らかに異なる文明を代表する二つの民族が、たがいに
立派な交際に入る、世界史上の一大転機を意味するものであります。「進歩的な西洋」は無秩序な進
歩を抑制され、「保守的な東洋」はは安逸な眠りから覚まされたときであったと思います。…」
p.15「私は、アメリカ合衆国のマシュー・カルブレイス・ペリー提督こそ、世界の生んだ偉大な人類の友
であると考えます。ペリーの日記を読むと、彼が日本の沿岸を攻撃するのに、実弾にかえて賛美歌の
頌栄をもってしたことがわかります。」
p.16「キリスト教徒の提督が外から戸を叩いたのに応じて、内からは「敬天愛人」を奉じる勇敢で正直
な将軍が答えました。」
p.16「…、1868 年の日本の維新革命は、永遠に価値ある革命すべてと同じように、正義と神の必然の
はからいに出発しています。貪欲に対しては、かたむなに門を閉ざしていた国が、正義と構成に対し
ては、自由にみずからを開いたのであります。」
2. 誕生、教育、啓示
3. 維新革命における役割
p.23「ある意味で、1868 年の日本の維新革命は、西郷の革命であったと称してよいと思われます。」
p.24「必要だったのは、すべてを始動させる原動力であり、運動を作り出し、「天」の全能の法にもとづ
き運動の方向を定める精神でありました。」
4. 朝鮮問題
5. 謀反人としての西郷
6. 生活と人生観
犬の趣味
p.40 「『天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならな
い。』西郷のこの言葉は『律法』と預言者の思想の集約であります。」
p.42「西郷は言います。『正道を歩み、正義のためなら国家と共に倒れる精神がなければ、外国と満
足できる交際は期待できない。その強大を恐れ、和平を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただ
ちに外国の侮蔑を招く。その結果、友好的な関係は終わりを告げ、最後には外国につかえることにな
る』
同じく述べます。『とにかく国家の名誉が損なわれるならば、たとえ国家の存在が危うくなろうとも、政
府は正義と大義の道にしたがうのが明らかな本務である。……戦争という言葉におびえ、安易な平和
を買うことのみに汲々するのは、商法支配所と呼ばれるべきであり、もはや政府と呼ぶべきでない」
このような言葉を語った人を、当時、首府に駐在していた外国使節はそろって尊敬しました。」
p.46 「次の山で詠んだ小篇は、西郷そのものです。
地は高く、山は深く
夜は静かに
人声は聞こえず
ただ空をみつめるのみ」
p.47 「徳に励むものには、財は求めなくても生じる。したがって、世の人が損と呼ぶものは損ではなく、
得とよぶものは得ではない。…」
p.48 『ほどこし散らして、かえりて増す者あり、与うべきものを惜しみて、かえりて貧しきにいたる者あり』
『まず神の国と神の儀とを求めよ。さらばすべての物は、汝らに加えらるべし』
西郷の文章は、この神の言葉に適した注解ではありませんか。
聖書箇所(新改訳):
旧約聖書箴言 11 章 24 節「ばらまいても、なお富む人があり、正当な支払いを惜しんでも、か
えって乏しくなる者がある。
新約聖書マタイの福音書 6 章 33 節「だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そう
すれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。」
p.49「西郷は、自国を健全な道徳的基盤のうえに築こうとし、その試みは一部成功をみたのでありま
す。」