技術 ニュース - 山形県工業技術センター

やまがた
技術
ニュース
2005. 1
No.35
山形県工業技術センター
近赤外光 を 利 用 し た 木 材 防 腐 剤 判 別 装 置 の 開 発
建 築 解 体 現 場 か ら 発 生 す る 廃 木 材 に は 有 害 な 木 材 防 腐 剤 (C C A : 酸 化 銅 、 六 価 ク ロ ム 、 ヒ 素 酸
化 物 が 主 成 分 )処 理 さ れ た も の が 混 入 し て い ま す 。 こ れ ま で C C A 処 理 木 材 の 判 別 は 、 高 度 な 機 器
分析や薬液による方法しかなく、現場で実用できる装置はありませんでした。このため建築廃材は
膨大な資源であるにもかかわらず、ほとんど有効利用されずに埋め立てや焼却により処分されてい
ます。
本製品は、可視光と中赤外光の中間の近赤外光を木材に照射し、反射光を分光分析することでC
C A 処 理 の 有 無 を 現 場 で 簡 単 に 判 別 で き る よ う に 、 平 成 11 年 度 か ら 中 小 企 業 技 術 開 発 産 学 官 連 携
促進事業で研究開発を進め、その後技術移転により製品化された装置です。今後の廃木材有効活用
へ の 取 り 組 み に 活 躍 が 期 待 さ れ て い ま す 。( 共 同 特 許 出 願 中 )
( 商 品 名 :「 ウ ッ ド ス キ ャ ン 」、 ハ イ ウ ッ ド ( 株 ) 製 )
ご存じですか?
WEEE/RoHS指 令 と 電 気 、 電 子 部 品 の 鉛 フ リ ー は ん だ 化
当センターは企業の鉛フリーはんだ化を強力にサポートします。
→詳しくは7ページをご覧ください。
-1-
研究レポート
木材の改質処理技術の開発
木材は、比重が小さくかつ加工しやすい材料で
25
欠点である。木質材料に寸法安定性能を付与する
20
ASE(%)
あるが、水分変化による寸法変動が大きいことが
ため、これまで数多くの木材化学加工の研究がな
されてきている。セルロースを疎水化するアセチ
15
10
ル化、セルロース同士を架橋するホルマール化な
5
どが代表的である。しかし、アセチル化は副生す
0
0
る酢酸の除去工程が必要であり 、ホルマール化は 、
5
10
15
20
25
処理溶液濃度(%)
シックハウス症候群の原因物質とされるホルムア
ルデヒドが放散するなど問題も多い。
図1
ASEの処理溶液濃度依存性
このような現状をふまえ、本研究では、重合開
始剤およびリン酸塩を含むアクリル酸水溶液を木
間処理を追加したもののASEの結果を示す。
材に含浸、熱処理することにより寸法安定性を付
105 ℃処理に比べ 150 ℃処理の方が、ASEが向
与する改質処理技術について検討を行った。この
上した。さらに、 150 ℃処理の場合、重量増加率
処理は、溶媒に水を用いるため、有機溶媒を使用
が 1.06 %と、ほぼ 0 に近い値であるにもかかわ
する方法に比べコストが低いということ、また、
らず、 26.9 %ものASEを付与できているところに
アセチル化等とは異なり、副生する物質が理論上
特徴がある。アセチル化などの既存の処理では、
水のみであること、ホルムアルデヒドの放散の心
同水準のASEを得ようとすると、重量も 10 %程
配もないことなどが特徴である。
度は増加してしまう。軽量性という木材の長所を
試 験 片 に は 気 乾 状 態 で 30mm( 接 線 方 向 ) ×
失うことなく寸法安定性を付与できるアクリル酸
30mm ( 半径方向)× 5mm( 繊維方向)に切削
処理は、既知の改質処理法よりもこの点において
加工したスギ辺材を用いた。試験片に処理溶液を
有利である。
減圧含浸した後、送風乾燥機中で 105 ℃、 72 時
間の加熱処理を施した。さらに半数の試験片には
150 ℃、 24 時間の加熱処理を追加した。改質処
ASE(%)
理後、処理材および比較用の無処理材に蒸留水を
減圧注入、吸水前後の木口面積を測定し、得られ
た膨潤率の値からASE(抗膨潤能)を求めた。ASE
の値が大きいほど、処理によって木材に付与され
た寸法安定性が高いことを示す。
図1 は、処理溶液を含浸し、 105 ℃、 72 時間
40
35
30
25
20
15
10
5
0
105℃処理
処理をした試験片における、ASEと濃度の関係を
図2
150℃処理
ASEの処理温度依存性
示したものである。処理溶液濃度の増加とともに
ASEも増加し、処理溶液濃度 20 %で約 20 %のAS
今後は 、アクリル酸処理材の吸放湿特性 、強度 、
Eを木材に付与できることがわかった。
耐腐朽性についても試験を実施し、性能を正確に
次に熱処理温度と寸法安定性の関係について検
把握するとともに、住宅関連材料への応用展開を
討した 。図2 に 、20 %濃度処理溶液を含浸し 、105
図っていきたい。
℃、 72 時間処理したもの、さらに 150 ℃で 24 時
(素材技術部
-2-
江部憲一)
研究レポート
動バランス精度を保証した長尺ねじれ回転刃の開発
国内のゴルフ場用大型
であった。刃長が 26 インチのものでアンバラン
芝刈り機械(図1)は海
ス量が最も大きかった。刃長が長いほど全重量が
外品が多く、そのねじれ
大きくなり、フランジが増えて溶接箇所が多くな
回転刃も輸入品の専用刃
るため、アンバランス量が大きくなったと考えら
である。しかし、メンテ
れる。 JISB0905 回転機械 剛性ロータの釣合い良
ナンス及びコストの面か
さにより、釣合い良さ等級は G40(自動車用車輪
ら、替え刃の国内調達が
相当 )であった。
望まれている。
ねじれ回転刃のアンバランスの修正はコスト削
回転刃の開発では、回
減を考慮し、ボルト・ナットをおもりとして付加
転刃単体での厳しい精度
して行った。おもりを付加する修正面として、ね
保 証 が 求 め ら れ る た め 、 図1
回転中(約 1,000rpm)の
大型芝刈り
じれ回転刃のフランジ面を選択した。修正が容易
機械用回転刃
となるように左端と右端フランジ面を優先し、修
動バランス精度を保証して安定した切れ味性能を
正位置が重なる場合には、その内側のフランジ面
確保することを目指した。芝刈り機向け固定刃の
とすることにした。また、修正半径はねじれ刃加
製造技術を基に、複数種類のゴルフ場芝刈り機向
工用のピッチ円半径とした。これによりおもり用
け長尺ねじれ回転刃の設計・製作と工作機械主軸
ボルト・ナット( M5 及び M6)の取り付け穴を
相当 (G2.5)までの動バランス精度の向上技術の検
加工することが不要となり、修正時間を短縮する
討を行った。
ことができた。
長尺ねじれ回転刃は刃長 20 〜 30 インチ、刃
以上の設定で、動バランス試験機が表示するア
数 7 〜 9 枚の 5 種類を設計・製作した。回転刃
ンバランス量はボルト・ナットによるおもり(約
の製作では刃材をフォーミング後、熱処理した。
3 〜 10g)を左右のフランジ面に付加する 2 面釣
その刃材をシャフトとフランジの溶接後に組付溶
合わせにより修正した。これを最大 3 回繰り返
接し、寸法決めを行った。塗装の後に刃付け研削
した結果 、 アンバランス量が約 2g 以下となり 、 3
及び二番逃げ研削により仕上げた。
種類のねじれ回転刃とも目標とする釣合い良さ等
動バランス試験機の構成を 図2 に示す 。刃長 20
級 G2.5 を得ることができ、動バランス精度を向
〜 30 インチのねじれ回転刃を測定するため、回
上することができた。刃長 26 インチのねじれ回
転刃を支持する軸受け間隔を 800mm とする長尺
転刃の動バランス精度測定及び修正結果を 図3 に
用測定架台を製作した。また、動バランス測定で
示す。
の回転中は、ねじれ回転刃が軸方向に推力を発生
して、ずれ落ちて飛び出す危険があるため、流れ
止め装置や防護カバーを設置した。
図2
動バランス試験機の構成
刃長と刃数が各々 (21,8)、 (22,7)、 (26,9)の 3 種
図3
類のねじれ回転刃の動バランス精度を測定した。
長尺ねじれ回転刃の動バランス精度測定
および修正結果
これらは既に静バランスを取ったものである。
2 面修正面におけるアンバランス量は 8g 〜 35g
(置賜試験場
-3-
二宮啓次)
事 業 報 告
酵母が生産する芳香呈味成分の利用技術と製品開発
現在の清酒製造業は大きく 2 極分化しており、
そこで、チロソールを多量に生産させる酵母の
ほとんどが中小零細企業である本県は、基本的に
育種に取り組んだ。酵母に変異をかけ、チロシン
高付加価値型製品の生産・販売を行わなければ、
アナログである 2‑フルオロ‑L(‑)‑チロシン、3‑フ
業界での生き残りは困難である。これまで主に香
ルオロ‑L(‑)‑チロシンの耐性株の分離を試みた。3‑
りを中心とした製品開発が行われたが、食生活の
フルオロ‑L(‑)‑チロシンではいずれの濃度でも生育
洋風化が進み、食中酒が持つべき味わいの研究が
阻害が確認できなかったが、 2‑フルオロ‑ L(‑)‑チ
重要となってきている。そこで我々は醸造酒本来
ロシンでは 0.5mM 濃度付近で生育阻害が確認でき
の味わいに注目し、県内酒造業が生き残れる高付
た。ここで取得した 2‑フルオロ‑L(‑)‑チロシン耐
加価値生産型のなかで、新しい味わいについて研
性株 24 株のチロソール生産量を総米 100g の小仕
究したので報告する。
込試験を行って測定したところ、親株の約3倍量の
我々が目的とする苦味を示す成分の一つである
チロソールを生産しながらもβ -フェネチルアルコ
チロソールは、微生物によって生産量を調整でき
ール量は親株と同等である 3 株(TY5、TY19、TY24
る数少ない物質である。苦味関連物質の中におい
株)を分離した(図1) 。次に総米 1 ㎏で小仕込試
て、チロソールは微生物等の改良で生産可能な最
験を行いチロソール、β -フェネチルアルコール生
も有効な成分である。認知閾値以上の濃度が有れ
産能と発酵力の確認を行った結果、TY24 株が選抜
ば苦味を呈するものの、僅かであれば一種の隠し
された。実用性の最終試験として総米 100 ㎏の仕
味のような効果があり、清酒中に存在すると味の
込試験を通常の三段仕込みで行った。従来の普通
巾を表現することも可能となる。
酒を意識した発酵温度を設定し温度管理を行っ
市販の吟醸酒と普通酒を用い、チロソールを段
た。もろみ期間は 24 日間で、日本酒度 +3、酸度
階的に添加して官能試験(従来の吐き捨てる利き
2.6ml、アミノ酸度 1.6ml、アルコール濃度 17.7
酒方法)を行った。その結果、普通酒は 100ppm
%の生成酒を得た。また、チロソール濃度は
の添加量で直接的な評点は多少落ちるものの、従
162ppm であり、きき酒評価でも充分な苦味を呈
来の清酒よりも「しまっている」または「バラン
していた。もろみ期間中のチロソールの生成はア
スが良い」という評価が得られた。( 100ppm 以
ルコールの生成とほぼ同様の経過をたどり、発酵
上添加は全て苦い)また、吟醸酒は普通酒と比較
後期に多く生産されていた。またβ -フェネチル
してアミノ酸度や酸度が低いキレイな酒質である
アルコールの生成量は 150ppm で、 1 ㎏の発酵試
ことから、 100ppm の添加量でもすでに苦みが強
験と同レベルで親株と同等の値を示した。製品化
く感じられた。これらのことから、吟醸酒には
を行う際に必要と思われる、貯蔵やろ過によるチ
100ppm 以下の添加濃度の範囲に評価の良い部分
ロソール量の変化では、冷蔵庫で 10 ヶ月間貯蔵
があるものと考えられる。
後のチロソール含有量は、貯蔵開始時とほぼ同等
4
であった。また、活性炭を高チロソール含有清酒
3.5
1kl あたり 70g の濃度で投入して 60 分後に濾過
3
比率
2.5
した清酒のチロソール量は、ろ過前の約 65 %ま
2
で減少し、官能的にも苦味が減少した。これら一
1.5
連の高チロソール生産酵母 TY24 株の開発と、こ
1
の酵母を利用した清酒の開発等について特許を出
0.5
0
KA
TY1
TY5
TY10
TY15
TY18
TY19
TY22
願した。
TY24
(生活技術部
菌株
図1チロソール量の比較
(親株(KA)= 1 とした時の各株の比率)
-4-
小関敏彦)
事 業 報 告
天然繊維と生分解性繊維による新素材糸及びニット技術の開発(RSP事業)
1
はじめに
3
編地の試作とウェール曲り防止対策
生分解性繊維は一般衣料に本格的に利用されて
得られた糸は左撚の単糸であるため右トルクが
きているが、吸湿性が劣るため天然繊維との複
発生し、編成・リラックス後にウェール編目が左
合化が中心となっている。しかし、消費者は天
下に斜行する。その防止対策として単糸 2 本を
然繊維 100 %の風合と 、 形態安定性 、 吸放湿性 、
合糸し(双糸 )、単糸撚の逆撚(右撚)をかけト
ストレッチ性などの機能性を求めているので、
ルクの解消を行った。以後単糸撚を下撚、双糸撚
その素材開発が急務となっている。
を上撚とする。下撚に対する上撚の比率とウェー
そこで、形態安定性とストレッチ性を発現可能
ル曲りの関係を 図2 に示す。比率の増加と共にウ
な生分解性繊維を芯糸とし、吸放湿性に富む天然
ェール曲り(左)は減少し、零点を境に逆方向の
繊維で完全に覆う素材(芯鞘構造糸)を H 社と
ウェール曲り(右)が発現する。これは上撚を掛
共同で試作した。さらに天然繊維 100 %の触感
けることにより、下撚の右トルクが減少すると共
を持ちながら、形態安定性、吸放湿性、ストレッ
に上撚の左トルクが発現し、相殺された値でウェ
チ性に富んだニット製品を開発した。
ール曲りが零となる(最適点 )。しかし、さらに
2
上撚を掛けることにより左トルクが増加し、逆の
芯鞘構造糸の試作
素材にはレーヨンをベースとし、春、秋・冬用
ウェール曲り( 右 )が発現することになる 。また 、
としてウールを、夏用として麻(ラミー)を使用
夏用として麻を使用した素材の最適点が右にずれ
した。紡績は梳毛紡績となるため、レーヨンの繊
込んだのは、麻は他素材より硬直で下撚のトルク
維長はメリノウールの繊維長( 70mm 〜 80mm)
が強くそれを相殺するための上撚も多く必要とし
に合わせた。また、レーヨン及びウールは、ウォ
たものと考えられる。
ッシャブル性を高めるため防縮繊維を用いた。
精紡方法は、芯糸をフロントローラから供給する
コアスパン製造方法と 2 本の粗糸から精紡する
サイロスパン製造方法を併用し、さらにテンショ
ン装置を付加した。また、芯糸が 2 本の粗糸の
中央に常時供給されることを目的に、粗糸同士の
間隔を一定に保つトランペットとその動作に同期
する芯糸用ガイドを合体した「芯鞘構造安定化装
図2
置 」( 図1 )を H 社と共同で試作し、フロントボ
4
トムローラに設置した。
上撚の比率とウェール曲り防止対策
まとめ
(1)コアスパン製造方法とサイロスパン製造方法
を併用し、さらに芯鞘構造を安定化するため
の装置を開発することにより、均一な芯鞘構
造糸を試作することができた。
(2)試作糸による編地のウェール曲り防止対策と
して、双糸への加工とその撚数を確定するこ
とにより、編目安定編地を編成することがで
きた。
(3)試作糸編地は、形態安定性及びストレッチ性
図1
においてレギュラー糸よりも優れていた。
芯鞘構造安定化装置
(置賜試験場
-5-
向俊弘)
事 業 報 告
地域農水産資源活用機能性食品研究開発事業
【概要】
⑤有望原料の食品素材化技術開発
近年、食品業界では消費者ニーズの多様化や高
原料毎に最適なポリフェノール抽出条件と粉末
齢化社会の進展、市場環境の変化などにより、競
化方法を確立したほか、山ぶどう搾汁残渣からの
争力の強い機能性食品の開発が重要な課題となっ
赤色色素液の製造技術を開発した。これらについ
ている。そこで、庄内地域の農水産資源に含まれ
て食品素材としての性能試験(熱安定性, pH 安
ているポリフェノールの機能性を解明し、機能性
定性,耐光性など)を行ったほか、各粉末の急性
食品素材として活用するための研究開発を産学官
毒性試験を実施し安全性を確認した。
が連携して行った。
⑥抽出液,粉末の応用製品試作
さらに、微生物検査をはじめとする品質管理技
地元企業の協力を得て、有望原料の粉末や抽出
術の研修会や食品加工技術の指導、最新技術のセ
液を使用した麺、漬物、ケーキ、ムース、フルー
ミナー開催など、研究開発から指導、普及まで総
ツソース 、塩辛 、豆腐などの試作を行った( 図 )。
合的に取り組んだ。
2.機能性食品普及の支援
(事業年度:平成 13 年度から平成 15 年度)
①基盤技術強化の支援
【実施内容と成果】
微生物検査研修会( 5 回 )、食品の品質管理研
1.機能性食品開発の支援
修会( 1 回)を開催したほか、粉末化やレトルト
①ポリフェノール利用に関するアンケート調査
殺菌などの食品加工技術の指導を行った。
地元企業において、ポリフェノールは健康機能
②情報提供・成果普及
を有する成分として幅広く認知されており、適当
機能性食品の動向に関するセミナーを開催( 2
な機能性を有していれば製品に使用する意向があ
回)して情報提供を行うとともに、研究成果発表
ることが確認できた。
会を開催し 、成果の発表と試作品の展示を行った 。
②有望なポリフェノール食品素材原料の調査
【今後の展開】
庄内地域の農水産資源30種類以上についてポリ
本事業の成果を製品に活用しているケースもあ
フェノール含有量、抗酸化性を調査し、未利用資
り、製品への応用や問い合わせについては企業個
源である和梨未熟果、山ぶどう搾汁残渣、ツルア
々に対応している。現在、成果を幅広く展開する
ラメの 3 つが、ポリフェノール食品素材の原料と
ため、地元で粉末や抽出液を供給可能な企業等に
して非常に有望であることがわかった。
ついて調査中である。
③有望原料の機能性解明
有望原料について、機能性研究( DPPH ラジカ
ル消去活性, SOD 様 活性,油脂酸化防止性,抗
菌性など )、ポリフェノール個別成分分析などを
実施し、これらは強い抗酸化活性を有すること、
ツルアラメ抽出液が抗菌性を有すること、和梨未
熟果ポリフェノールがクロロゲン酸であることな
どを解明した。
④地域農水産資源ポリフェノールの生理機能解明
和梨未熟果、大根葉、だだちゃ豆葉、山ぶどう
搾汁残渣、温海カブ葉に含まれるポリフェノール
の肝障害防御効果を動物実験により解明した。
図
有望原料の粉末・抽出液を使用した試作品
(庄内試験場
(山形大学農学部への委託研究)
-6-
石塚健)
ト ピ ッ ク ス
WEEE 、 RoHS 指 令 と 鉛 フ リ ー は ん だ 化
昨今、環境に対する意識が世界的に高まってお
時代を牽引する産業に携わっている製造企業が数
り、有害な化学物質の使用や、安易な排出を規制
多くあります。これらの産業の殆どが鉛フリーは
する動きが強くなっています。中でも EU 連合に
んだ化の対応を迫られることになります。
おける電子製品全般の廃棄・リサイクル義務化
そこで、当センターでは県内企業の鉛フリーは
(WEEE 指令)と、電子製品への有害物質の使用規
んだ化に関し次のような支援を計画しています。
制( RoHS 指令)は代表的な環境規制の一例です。
1.接合技術研究会の発足(平成 17 年度)
RoHS 指令は、 EU では 2006 年 7 月 1 日以降
2.技術相談・指導
に上市する電子製品への、鉛をはじめとする有害
3.企業への出前講習会の実施
物質 6 種の使用を禁止する指令で、電子機器をは
どうぞお気軽にご相談ください。
じめ電子装置が組込まれた多くの機械類に広く適
さらに 3 月に、鉛フリーはんだ化に関する技
用されるものです。従来、電子製品に使われてき
術講習会(無料)を開催します。
た 鉛 は ん だ (鉛 − す ず 系 )は 使 用 で き な く な る た
日時: 3 月 10 日(木)
め、鉛フリーはんだ(鉛を含まないはんだ)への移
会場:工業技術センター
行が急務となっています。鉛フリーはんだは、す
内容:接合材料について…千住金属工業(株)
ず−銀−銅で構成されたものが主流となりつつあ
13: 00 〜
講堂
信頼性試験の手法…エスペック(株)
り ま す 。 しかし、製造工程内では、まだまだ克服 し
問い合わせ先:工業技術センター
なければならない課題が数多く残されています。
素材技術部
TEL:023(644)3222
※詳細が決まり次第ホームページでご案内します。
本県にはエレクトロニクスや自動車関連など、
新 設 備 紹 介
熱膨張計
株式会社島津製作所 TMA‑60/60H
(工業技術センター)
【主な用途・仕様】
熱膨張計は、材料を加熱または冷却したときの寸法変化を測定する装置です。測定対象は、金属・
セラミック・プラスチックなどです。寸法変化を測定することにより、材料の結晶構造が変化する相
変態温度(変態点)などを知ることができます。
〈測定温度範囲〉
室温〜 1500 ℃(高温用) , − 140 〜 600 ℃(低温用)
〈試料寸法〉
直径 5 × 20mm 以下
〈測定雰囲気〉
減圧、不活性ガス
〈昇温速度〉
± 0.1 〜± 99.9 ℃ /min
-7-
新設備紹介
開閉型ロールジョークラッシャー
分光測色計
株式会社吉田製作所 1032‑B
コニカミノルタセンシング株式会社
CM‑2500d
(工業技術センター)
(庄内試験場)
【主な用途・仕様】
【主な用途・仕様】
岩石等の硬いものを粉砕する装置。
JIS,ISO,DIN,CIE,ASTM に 準拠した方式を採用し
ア ル カ リ 骨 材 反 応 試 験 で の 粉 石 等 の 粗 粉 砕 に 用 たハンディ型分光測色計で、色を数値化することに
い、当該試験では、砕石等がセメントと反応して、 より製品の色管理を容易とします 。分光方式のため 、
コンクリートにひび割れを生じさせることがないか 各種照明光源に対応でき、条件等色などの高度な色
を使用前に確認することができます。
の解析ができます。
( 装置故障により当該試験を中止しておりましたが 、
平成 16 年 12 月 1 日より再開いたしました。ぜひご 〈照明受光方式〉
利用ください 。)
d/8(拡散照明 8 °方向受光 )、 SCI,SCE 同時測定
〈測定波長〉
〈投入試料の最大寸法〉
360nm 〜 740nm
70mm
10nm 間隔
〈粉砕粒度〉
〈測定径〉
5mm 以下
8mm
〈器差〉
Δ E*ab 0.2 以内
お 知 ら せ
平成 17 年度技術者研修について
平成 17 年度の技術者研修では、より生産現場で役立つものとして、実習を中心にした下記の 11 課程を
予定していますので、関係各分野の方々のご参加をおすすめします。
※研修内容、時間、定員につきましては、変更される場合がありますのでご了承ください。
課程名
概
要
主な対象分野
品質管理
具体的な事例をとおした品質管理の考え方と実践、品質管理体 製造業全般
制の構築手法の習得
切削・NC 加工技術
切削加工とNC加工に関して実習と講義による基礎的かつ実践 機械加工分野
的な技術力の習得
研削加工技術
研削加工の実例と技術動向の講義、研削加工の実習による基礎 機械加工分野
技術の習得
精密測定技術
若手技術者を対象にした、マイクロメータや表面粗さ測定実習 機械加工分野
による基礎技術の習得
超精密加工技術
超精密加工と非球面加工の基礎から最新動向に関する講義と実 機械加工分野
習による先端技術の習得
製 品 設 計 ・製 造 に 役 立 鉄系・非鉄系金属の材料試験や組織検査の実習による基礎的な 金属材料分野
つ金属材料学
金属材料の試験方法の習得
不良原因調査のための 製造工程での不良原因究明のための、表面分析機器活用による 製造業全般
分析技術
基礎的な分析技術の習得
清酒製造技術
各地区の有力杜氏や技術者からの技術解説、今後の市場動向や 酒造業全般
酒質の変遷についての学習
ネットワーク構築技術 コンピュータネットワーク技術の基礎に関する標準規格の講義 情報通信分野
や最新ネットワーク機器による基礎技術の習得
有機物の分析技術
主に繊維や電気電子業界を対象に、 FT-IR 等の分析機器を活用 製造業全般
(置賜試験場)
した有機物の分析技術の習得
食品の品質管理
異物検査や最新の品質評価技術など、直ちに活用できる食品の 食品製造分野
(庄内試験場)
品質管理技術の習得
技術ニュース
編集・発行
No.35(2005.1) 平成17年1月31日発行
山形県工業技術センター 企画調整室
〒990‑2473 山形市松栄2‑2‑1
TEL:023(644)3222 FAX:023(644)3228
http://www.yamagata‑rit.go.jp/
-8-
置賜試験場
庄内試験場
時間 定員
36 時間 20 人
21 時 間 12 人
12 時間 12 人
12 時間 12 人
15 時間 12 人
12 時間 12 人
12 時間 12 人
36 時間 30 人
12 時間 10 人
12 時間 12 人
12 時間 12 人
TEL:0238(37)2424
FAX:0238(37)2426
TEL:0235(66)4227
FAX:0235(66)4430