講座番号【A011501】・【A011502】・【R1001】 期 日 平成19年7月24日(火)・7月25日(水)・8月24日(金) 学級づくり(小学校編)-学級づくりの実践- 講師:三重県教育委員会事務局 <この講座の目標> 1 みなさんの意識が変わる 2 みなさんの教室が変わる 3 子どもたちが喜ぶ 主幹兼研修主事 辻 喜嗣 3つの意識を持って、自分の教室とオーバーラップさ せるなど、常に自分を意識しながらご参加ください。 あなたのクラスは ●レクチャー 王国?共和国? 「学級王国」ではなく「学級共和国」を目指して 辞書によると 「王国」・・・王を元首とする国 「共和国」 ・・国の主権が国民にあり、国民が選んだ大統領・議会などの組織によって行 われる民主的政治を行う国 ある意味において「学級王国」は必要なことである。つまり、 「こんな学級にしたい」、 「私にしかできない学級」などの気持ちは、担任として常に持っていないとダメである。 ただし、子どもたちの声を聞き、その願いと教師の願いが一致した取り組みが大切なの である。 ① 一言で「学級づくり」というけれど・・・ ・仲間づくり 人間一人では生きていけない。人と人とのつながりが大切です。 ・教室づくり いごこちのよい空間づくり、教室に入ったときにホッとする。 ・組織づくり 班づくり、係りをどうやってつくるのか。 ・行事づくり 学級独自の行事、他のクラスも巻き込んで、それぞれの学級行事づくり。 ② 目標を持ちましょう ・教室の前にはってある目標 (1)誰のための目標 子どもたちの目標であり、教師自身の思いでもある。 (2)あなたは、常に意識をしてますか 子どもたちがこうなって欲しい、そのために私(教師)はこういうふうにやるんだ。 (3)達成するためにどんな取り組みをしていますか 4月当初にたてた目標、何も取り組みをせずそのままということはないですか? (4)子どもたちは意識してますか 毎日、見てはいるのだけど、意識させてますか? あるクラスでの事例 <黒板の上には「剣岳の写真」が貼ってあるだけ・・・> 担任は、事あるごとに剣岳での自分の体験を子どもたちに語った。ある時には、子どもたちを励 ますために何度も何度も自分の辛かった体験を語った。いつしか、子どもたちは、 「その山の写真」 を見る度に担任からのメッセージを受け取るのである。 せっかくクラス目標がはってあるのに、毎日意識を持たなければ意味がない。 だから、私(担任)は背中で意識する。思いついたこと、勉強したことは何でもやって みていますが・・・同じことをしていても、意識が変われば何かが変わるのです。 ぜひ実行してみよう!(その1) ・子どもの椅子に座ってみよう。 子どもたちが帰った教室で、子どもたちの椅子に座って教室を見渡してみよう。今 まで見えなかったものが見えてきます。例えば、掲示物の似顔絵が、はがれかかって いませんか?子どもは、毎日、はがれている自分の掲示物を眺めて座っているのです。 あなたなら耐えられますか?そんな、子どもたちの視線から教室を見てみましょう。 ③ 特技はギター! 今の私にしかできない学級づくり 趣味は絵画! (1)特技をいかす (2)趣味をいかす できることでやってみる。ピアノが苦手ならギターを使った音楽でもいいじゃない か。自分の特技・趣味の中に子どもたちのために、いかせるものはないだろうか。 「学級づくり」は子どもたちのためなのだけど、自分が楽しめないと続かないのです。 (3)人間関係をいかす 決して一人で何もかもやろうと思わないこと。今まで、自分が作ってきた人間関係 をいかすのです。自分一人でなく仲間の助けを借りるのです。一人ではできないこと も仲間が集まれば・・・学級づくりのアイデアもまずは、仲間から頂くのです。 (4)経験をいかす 学校での経験は浅いけど・・・生まれ育った○年間!人生の経験を「学級づくり」 にいかすのです。「今の私にしかできない学級づくり」これが、キーワード! ④ 先輩から学ぶ (1)あなたは、誰からどんなことを学んでいますか? ・気のいい同僚 教えられたことを100%しなくてもよい。 ・おせっかいな同僚 100人いれば100通りの学級経営 ・近づきがたい同僚 (2)先生を見ずに子どもをみる。 そのクラスの子どもを見ると、その担任が普段何を言っているのかが見える。 (3)放課後の徘徊 誰もいない教室をのぞいてみよう。 ぜひ実行してみよう!(その2) ・忍者のように放課後の教室を徘徊。 「なるほど!今の時期ならこんな掲示物か」、 「ふむふむ、このクラスの目標は・・・」 「よーし、これイタダキや!」放課後、誰もいなくなった教室を1つ1つ見てまわろ う。他のクラスから自分のクラスのための情報収集をしましょう。 (4)しかってくれる同僚はいますか? しかられることは大切なこと。しかってくれる先生は大切な先生です。 ⑤ 私は誰に育てられたのか (1)毎日出席をとる意味は・・・ 毎日の呼名は、教師と子どものキャッチボール。子どもたちは「私はいるよ!」、 「今 日も頑張るよ!」と返事をしたいのです。また、クラスに不登校の子どもがいる場合 も、その子が居ないことが前提で一日が始まってはだめなのである。毎日、子ども達 の名前を呼んでやることで、所属感が養われるのです。欠席が続いている子が登校し てきた時に、自分の下駄箱に、くもの巣なんかが張っていたら・・・悲しいですね。 (2)方法をきっちり教えること ほうきの使い方を説明していないのに、はき方が悪いとしかってませんか?雑巾の 絞り方を例にとっても、家庭では科学雑巾が使用されることが増え、正しい絞り方を 知らない子どもが増えています。 「ほうきの使い方」、 「雑巾の絞り方」など最初の一歩 は教えておかなくてはならないのである。私は、子どもたちに「歩き方」を教えた。 遠足のときに列が長くなってしまい、一度に信号を渡れずに困ったという経験はない だろうか。体育の時間に2列→4列→8列という集団訓練のとき、この信号での場面 を想定して、2列で歩いていた子どもたちに信号で止まった時は、8列になって信号 を一斉に渡るように仕込んでおくのである。写真撮影のときの集合隊形などもゲーム 感覚で楽しみながら教えておくと、いざという場面で役にたつのである。 (3)板書のしかたは 板書のときの字を上手くしたい。私は、若いときに職員室の週黒板記入の大役を仰 せつかい。苦労しながら書いていた経験があります。そんな時、同僚が周りに集まっ てきて、いろいろアドバイスをいただきました。 (4)交通安全係 新任のとき、私の校務分掌は「交通安全係」でした。なんか地味やな・・・と思っ てましたが、一緒に組んだ先輩が「○○町内の○○交差点の信号は○分○秒で変わる。 子どもたちが安全にわたるためにはどうすれば・・・」聞けば、その先輩は交通事故 の経験を持ち、こと交通安全には一生懸命だとか・・・勉強になりました。 (5)スポーツ少年団はやっといた方がいいぞ 私はこの「スポーツ少年団」の活動を通して「ストレッチ」や「救急法」を会得し ました。体育の授業のときに役立った準備運動もこの少年団の活動のおかげです。 (6)おまえ何をしとったんや 最後に・・・私は、3年生の担任のあと6年生の担任を受け持ちました。そのため、 私が1年間みた、3年竹組の子どもたちを先輩の先生が受け持つことになりました。 その先輩が一言「おまえ1年間何をしとったんや!」 ・・・そうです。子ども達と1年 間楽しく過ごした結果、その学年に応じた生活習慣や学力を付けてやることを疎かに していたのです。この一言があり、いまの私があるのです。④の(4)でも言いまし たが、しかってくれる先生は大切な先生です。今後、私は「しかれる先生」になりた いです。 ⑥ 海外の学校に学ぶ 別世界で学ぶことがないと思うなかれ イギリス、デンマークの学校紹介 ・中庭はあるが、校庭がない。校門を過ぎるとすぐに入り口(玄関)があります。 ・どの学校にも職員室がなく、ミーティングルームがあります。 職員室に教師個人の机がないのです。授業が終われば、自宅に帰り授業の準備をする 先生もいます。 ・掲示物など非常に凝っていて、学ぶ点は沢山あります。 ・イギリスの学校は、壁一面にカラフルな掲示物が貼られていて、そのほとんどが、ア シスタントティチャ-によって作られたものであり、担任は掲示物作成には携わらな いとのことでした。また、デンマークの教室は、イギリスに比べ壁がシンプルな印象 があります。その分、天井からのモビールが目につきました。 ・教室には、黒板がありません。黒板のかわりにパソコンとプロジェクター、そして、 ホワイトボードがあります。コンピュータが普及している日本では、なぜ利用しない のか聞かれました。 ・教室には、子どもたちが、何か調べたいときに利用できるパソコンも設置されていま す。 ・音楽や体育の授業にもパソコンを利用しています。 ⑦ いろいろな人に助けてもらおう。 -学校外の人とのおつきあいも大切に- (1)保護者や地域の人たちは深く学校、学級、先生を知っている。 他の学校のことは知らないが、自分の子どもが通っている学校のことは詳しい。 昔から、その地域に居る人は、学校の様子を一番知っている。 (2)名刺を作っていますか。 ぜひ実行してみよう!(その3) ・名刺は情報の窓である。 学校名と学校の電話番号が記載されている名刺をつくってみよう。名刺を渡せば相手 から名刺がいただける。何かあったとき、困ったときこの名刺交換で得た情報が役に 立つのです。 (3)「ホウ・レン・ソウ」を大切に ホウ(報告) レン(連絡) 情報共有が何より大切です。 ソウ(相談) ⑧ まとめ ―こんな学級だったらいいのに― (1)「できる」「できない」ではなく、理想を語ろう。 (2)できることからやってみる。 (3)居心地の良さは、私も子どもも同じ。 (4)方法を見失ったら目標にもどる。 (5)心も体も子どもにかえろう 子どもにとっても 教員にとっても 居心地のよい 空間をつくりましょう。 演習 ●ポスタワーセッション 「学級づくり~私の取り組み~」 参加者の英知を結集し学級づくりの素材をたくさん持ち帰りましょう。 演習「アセスメントシート(カテゴリー3)」 (1)個人演習 「青」こんなクラスにしたい 「黄」克服するための取り組み 「赤」学級づくりをするときに気をつけたいこと、注意をした方がいいこと。 (2)グループ演習 ※役割分担 ・リーダー ・書記 ・発表者 ・タイムキーパー ※グループ討議の注意点 ・対話は相手の事を聞く事が大切です。 ・思い切ったまとめが大切です。 (3)発表(1チーム 5分以内) 「実際にやりたい取り組みと気付いたこと」 まとめ 「今日の振り返り」 ● とにかく、やってみようという気持ちが生まれましたか ● 教室を変えるアイディアはうかびましたか ● 子どもの喜ぶ姿が目に浮かびましたか 目的は達成できましたか。 安心できる学級。 明日またきたい学級。 そんな学級づくりをめざして・・・
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