実験室における排水管の発生騒音・遮音性能に関する測定方法の検討

40120
日本建築学会大会学術講演梗概集
(中国) 2008年 9 月
実験室における排水管の発生騒音・遮音性能に関する測定方法の検討
−その3:測定結果(2)−
遮音性能
耐火二層管
104.8
4.8
8.5
3
硬質塩化ビニル管
VP
113.7
100.5
6.6
3.3
4
耐火二層管
TP
127.3
100.5
13.4※
6.0
平均音圧レベルである
40
8000
114.4
10000
DVLP
6300
塩ビライニング鋼管
管外皮近傍(4 点)の
45
5000
2
音箱)の音圧レベルは、
50
4000
鋳鉄管
管内鋼球打撃式(吸音・遮
55
3150
1
60
2500
試験体名
65
2000
№
70
1600
実測値
単位長質量
記号 外径(㎜) 内径(㎜) 厚さ(㎜)
(kg/m)
CIP
114.4
105.4
4.5
11.1
同 安岡 博人*2
同 安岡 正人*3
同 寺垣 拓志*1
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
75
1250
表-1 排水管試験体
肇*1
央*2
昭雄*4
○品川
高橋
岩瀬
80
800
1.はじめに
本報では、その1で検討方法の概要を説明した 5 つの
実験室における測定方法のうち、④管内鋼球打撃式(吸
音・遮音箱)、⑤排水タワー式の測定結果および測定方法
の比較・検討について報告する。
2.排水管試験体及び試験方法
2.1 試験体2
試験体一覧を表-1 に示す。試験体長さは 2,100 ㎜とした。
以下、図中の試験体名は表中の記号を用いることとする。
1000
固体音
排水管
音圧レベル(dB)
発生騒音
測定方法
正会員
同
同
1/3oct.中心周波数(Hz)
※耐火二層管の厚さは、被覆管、硬質塩化ビニル管、空気層の合計厚さ
図-2 管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)音圧レベル測定結果
2.2 測定方法
本報で実施・検討した測定方法及び評価項目を表-2 に
示す。
表-2 測定方法及び評価項目
№
2
3
測定方法名
管内鋼球打撃式
(吸音・遮音箱)
音源
鋼球
(φ10㎜)
流水
(400㍑/min)
排水タワー式
測定項目
評価項目
管外音圧レベル
音圧レベル
振動加速度レベル 振動加速度レベル
3.測定結果
3.1 管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)
試験概要図を図-1 に示す。測定結果を図-2∼-3 に示す。
図-2 より、鋳鉄管、塩ビライニング鋼管 は 4000Hz 以
上の高い周波数帯域で管外皮近傍(10 ㎜)音圧レベルが
耐火二層管よりも高い結果となった。管種による遮音性
能の差が見られ、固体音及び空気音に対する遮音性能の
評価が可能な測定方法であることを確認した。
今回、測定時に併せて収録した鋳鉄管、硬質塩化ビニ
ル管および耐火二層管の管内鋼球打撃時の時間波形を図-3
に示す。管種による波形の違いも確認できた。
吸音材
1, 50 0
30 0
300
30 0
30 0
30 0
VP
φ 10㎜ 鋼 球
TP
× : 管 外 近 傍 測 定 位 置 (管 か ら 10㎜ )
吸 音 ・遮 音 箱
CIP
吸 音 ・遮 音 箱
図-3 CIP,VP,TP の鋼球打撃時の時間波形
図-1 管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)測定概要図
Method for laboratory measurement of sound insulation of drainage pipe
- Part3 : Results of measurement (2) -
SHINAGAWA Hajime, YASUOKA Hirohito, YASUOKA Masahito,
IWASE Teruo, TAKAHASHI Hisashi, TERAGAKI Takuji
―255―
3.2 排水タワー式
試験概要図を図-4 に、測定結果を図-5 に示す。
90
図-5 より、管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)と同様に耐火
二層管は、4000Hz 以上の高い周波数帯域で振動加速度レ
ベルが鋳鉄管と塩ビライニング鋼管よりも低い結果となった。
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
振動加速度レベル(dB)
85
200
4F
詳細
80
75
70
排水タワー式の振動加
65
速度レベルは、管外の
60
振動加速度レベルであ
2,700
る
55
測定位置
8000
10000
6300
5000
4000
3150
2500
2000
1600
1250
800
1,200
1000
50
1/3oct.中心周波数(Hz)
図-5 排水タワー式振動加速度レベル測定結果
200
3F
図-7 より、管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)音圧レベル
と排水タワー式振動加速度レベルは、高い相関を示した。
4.まとめ
今回検討した実験室における排水管の発生騒音・遮音性
能測定方法は、それぞれが空気音及び固体音に対し、性
能を評価できる測定方法であることを確認した。
今後は、排水タワー式における排水管の音圧レベル等
との相関を検討し、流水を使わない試験法の設定を進め
る予定である。
モルタ ル埋 戻 し
図-4 排水タワー式測定概要図
3.3 排水タワー式結果との比較・検討
4 種の排水管の測定結果があるスピーカ管内放射-近傍
音圧式(吸音・遮音箱)音圧レベル差及び管内鋼球打撃式
(吸音・遮音箱)音圧レベルと排水タワー式振動加速度レ
ベルを比較した相関図を図-6、-7 に示す。
図-6 に示す、スピーカ管内放射-近傍音圧式(吸音・遮音
箱)音圧レベル差と排水タワー式振動加速度レベルの相
関は低い結果であった
2000Hz
8000Hz
4000Hz
90
85
85
85
85
80
75
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
80
75
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
75
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
50
55
60
65
70
75
80
85
75
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
40
40
90
45
吸音箱-スピーカ式音圧レベル差(dB)
吸音箱-スピーカ式音圧レベル差(dB)
80
45
40
40
90
80
45
40
40
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
90
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
90
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
1000Hz
90
50
55
60
65
70
75
80
85
40
90
45
吸音箱-スピーカ式音圧レベル差(dB)
50
55
60
65
70
75
80
85
90
吸音箱-スピーカ式音圧レベル差(dB)
図-6 スピーカ管内放射-近傍音圧式(吸音・遮音箱)結果(音圧レベル差)と排水タワー式結果(振動加速度レベル)の相関図
4000Hz
2000Hz
8000Hz
90
85
85
85
85
80
75
y = 0.89 x + 24.78
R2 = 0.61
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
80
75
70
y = 0.56 x + 44.80
R2 = 0.17
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
75
y = 1.02 x + 10.51
R2 = 0.53
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
40
吸音箱-鋼球加振式音圧レベル(dB)
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
y = 1.54 x - 16.36
R2 = 0.81
80
75
70
65
60
■ CIP
◆ DVLP
▲ VP
● TP
55
50
45
40
40
40
80
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
90
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
90
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
排水タワー式振動加速度レベル(dB)
1000Hz
90
40
40
吸音箱-鋼球加振式音圧レベル(dB)
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
40
吸音箱-鋼球加振式音圧レベル(dB)
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
吸音箱-鋼球加振式音圧レベル(dB)
図-7 管内鋼球打撃式(吸音・遮音箱)結果(音圧レベル)と排水タワー式結果(振動加速度レベル)の相関図
*1
(株)エーアンドエーマテリアル
*1 A&A Material. Co.,Ltd
*2
(財)ベターリビング つくば建築試験研究センター
*2 Center for Better Living, Tsukuba Building Research and Testing Laboratory
*3
東京理科大学 工学部 建築学科 教授[工博]
*3 Prof., Dept. of Architecture Faculty of Eng., Tokyo University of Science, Dr. Eng.
*4
新潟大学 工学部 建設学科 教授[工博]
*4 Prof., Faculty of Eng., Niigata University, Dr. Eng.
―256―