アナログ・ディジタルフィルタ

信号処理論
アナログフィルタ
と
ディジタルフィルタ
アナログフィルタ
フィルタとは
必要なものだけをろ過して取り出すもの

大きさを基準にしたもの

形態を基準にしたもの

形状を基準にしたもの

波長を基準にしたもの

周波数を基準にしたもの
アナログフィルタ
周波数成分に着目した周波数選択フィルタ

抵抗 ( R )

コイル ( L )

コンデンサ ( C )

オペアンプ
などで構成されることが多い
入力
出力
線形回路
R
v1 (t )
線形回路(RC回路)
の例
C
v2 (t )
v1 (t ) = sin (ωt ) のとき,定常応答は
v2 (t ) = A(ω )sin (ωt − θ )
ここで
1
A(ω ) =
2 2 2
1+ ω C R
θ = tan (ωCR )
−1
微分方程式を用いた導出法
R
R を流れる電流を i とすると
v1 (t )
v1 = Ri + v2
dv2
i=C
となるので,微分方程式
dt
dv2
RC
+ v2 = v1 が得られる
dt
上式を解くことで,任意の入力 v1 (t ) と
初期状態 v2 (0 ) に対する出力応答 v2 (t )
が得られる
C
v2 (t )
v1 (t ) = sin (ωt )
とすると
 ωCR
 − at
v2 (t ) = 
+ v2 (0 )e
2 2 2
1 + ω C R

1
+
1+ ω C R
2
となり,ここで
1
a=
CR
定常応答は
v2 (t ) =
2
2
sin (ωt − θ )
−1
(ωCR ) であり
θ
=
tan
,
1
1+ ω C R
2
2
2
sin (ωt − θ )
ラプラス変換を用いた導出法
回路の初期状態が0の場合,
R
v1 (t )
コンデンサ C のインピーダンスは
1
ラプラス変換により
である
Cs
この回路の伝達関数を
H (s ) とすれば,
ラプラス変換の結果より
1
Cs
1
H (s ) =
=
1 1 + RCs
R+
Cs
ラプラス変換
R
1
Cs
V1 (S )
V1 (s )
v2 (t )
C
H (s )
V2 (S )
V2 (s )
x(t )
X (s )
u (t )
1
s
1
s2
1
s+a
t
e − at
te
1
(s + a )2
− at
X (s )
x(t )
t
n!
s n +1
n
x' (t )
sX (s ) − x(0)
x' ' (t )
s 2 X (s ) − sx (0 ) − x' (0)
x' ' ' (t )
s 3 X (s ) − s 2 x(0)
− sx ' (0) − x' ' (0)
x(t )
X (s )
 x(τ )dτ
1 0
1
(
)
x
t
dt
+
X (s )

a
s
s
t
a
cos(ωt )
s
s2 + ω 2
sin (ωt )
ω
s2 + ω 2
V2 (s ) = V1 (s ) ⋅ H (s ) であり,
ω
v1 (t ) = sin (ωt ) では V1 (s ) = 2
であるため
s +ω2
1
ω
V 2(s ) =
⋅ 2
1 + RCs s + ω 2
となるので,これを逆変換すると
1
ωCR
− at
v2 =
e +
sin (ωt − θ )
2 2 2
2 2 2
1+ ω C R
1+ ω C R
よって定常応答は
v2 =
1
1 + ω 2C 2 R 2
sin (ωt − θ )
周波数領域に着目した導出法
R
C のインピーダンスの
周波数特性は
1
j ωC
1
Cs
V1 (S )
周波数領域
R
1
j ωC
であるから,
V1 ( jω )
周波数領域で考えると
1
H ( jω ) =
1 + jωCR
V2 (S )
V1 ( jω )
H ( jω )
V2 ( jω )
V2 ( jω )
伝達関数が H ( jω ) で与えられる線形回路では
入力が正弦波であると定常応答も同じ周波数の
正弦波となる
このとき
出力の振幅は H ( jω ) 倍され
位相は ∠H ( jω ) 進む
伝達関数が
1
H ( jω ) =
1 + jωCR
である場合
H ( jω ) =
1
1+ ω C R
∠H ( jω ) = − tan
2
−1
2
2
= A(ω )
(ωCR ) = −θ
線形回路の特性解析

回路の初期状態が0でない場合
微分方程式をたて,それを解くことで
過渡応答と定常応答が求められる

回路の初期状態が0の場合
伝達関数を用い,ラプラス変換から
過渡応答と定常応答が求められる

入力が正弦波で,定常応答を求めたい場合
周波数伝達関数の絶対値と角度から
出力正弦波の振幅と位相がすぐに得られる
RC回路の特性
1
0
|H(jω)|
∠H(jω) [rad]
CR = 1
0.8
の場合
0.6
0.4
-0.5
-1
0.2
0
0
20
40
ω
60
80
100
振幅特性 H ( jω )
-1.5
0
20
40
ω
60
80
位相特性 ∠H ( jω )
入力の周波数が高いほど出力の振幅が小さい
⇒ 複数の周波数が混ざっている場合には
低い周波数ほど良く通す
⇒ 低域通過フィルタ
100
LPFの処理の流れ
10
1
フーリエ
変 換
5
0.8
0.6
0
0.4
-5
0.2
-10
0
10
20
30
40
50
時間 (t)
カットオフ
周 波 数
以下だけ
通過する
1
これをフーリエ
逆変換すると
フィルタリング
後の信号が
得 ら れ る
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
0
0
50
H ( jω )
100
周波数 (Hz)
150
200
150
200
フィルタ
をかける
1
0
50
100
周波数 (Hz)
100
低域通過フィルタ
LPF (lowpass filter)
ω
アナログフィルタの振幅特性
1
H ( jω )
0
1
H ( jω )
ωl
低域通過フィルタ
LPF (lowpass filter)
ω
1
高域通過フィルタ
HPF (highpass filter)
ω
1
H ( jω )
H ( jω )
0
ωh
0
ω1
ω2
ω
帯域通過フィルタ
BPF (bandpass filter)
0
ω1
ω2
帯域阻止フィルタ
BEF (band elimination filter)
ω
アナログフィルタの周波数変換
低域通過フィルタの特性を,周波数変換を用いて
他のフィルタ特性へ変換することが可能
変換公式
LPFで遮断周波数
を変換
HPFへの変換
s→
s→
s
ωl
ωh
s
備考
, ωl ]
通過域 [0 ωl : LPFの遮断周波数
通過域 [ωh , ∞]
ωh : HPFの遮断周波数
BPFへの変換
s 2 + ω1ω2
s→
ωc s
, ω2 ]
通過域 [ω1 ω2 − ω1 = ωc
BEFへの変換
ωc s
s→ 2
s + ω1ω2
通過域 [0 , ω1 ] [ω2 , ∞]
ω2 − ω1 = ωc
アナログフィルタの実際
通過域
過渡域 遮断域
3 dB
利
得
0
ωc
周波数
ωc : 遮断(カットオフ)周波数
利得とは
出力電圧
[dB] ≡ 20 log10
電圧利得 入力電圧
出力電力
[dB] ≡ 1 0 log10
電力利得 入力電力
3 [dB] の減衰 :
1
2
)
電圧利得
1
2
)
電力利得
理想的なフィルタとは

通過域で利得が一定

過渡域での傾きが急峻

遮断域の利得が0

直線位相
通過域
過渡域 遮断域
3 dB
利
得
0
通過域での位相特性が周波数に
比例して直線的に変化
ωc
周波数
ディジタル画像の周波数特性
原画像
LPF適用後
ディジタルフィルタ
ディジタルフィルタとは
離散時間システムの所望の信号のみを
通過(阻止)させる働きをするもの
一般に,
 周波数特性を利用する
 アナログフィルタに比べて高精度演算が可能
 伝達関数の変更が容易
 音声などのアナログ信号に対しては
アナログ ⇒ ディジタルへの変換(A-D変換)
の後に用いられる
ディジタルフィルタの振幅特性
1
H ( jω )
0
1
H ( jω )
ωl
低域通過フィルタ
LPF (lowpass filter)
ω
1
高域通過フィルタ
HPF (highpass filter)
ω
1
H ( jω )
H ( jω )
0
ωh
0
ω1
ω2
ω
帯域通過フィルタ
BPF (bandpass filter)
0
ω1
ω2
帯域阻止フィルタ
BEF (band elimination filter)
ω
ディジタルフィルタの分類
インパルス応答※の性質によって分類

FIR( finite impulse response )フィルタ
インパルス応答が有限の時間長

IIR( infinite impulse response )フィルタ
インパルス応答が無限に続く
⇒ 入力信号が0になっても,有限時間内に
出力が0になることはない
※インパルス応答:
デルタ関数を入力した際の出力特性
インパルス応答
FIRフィルタ
IIRフィルタ
有限の継続時間
無限に継続する
M
M
差分方程式
y (n ) =  hm x(n − m )
m=0
y (n ) =  am y (n − m )
m =1
K
+  bk x(n − k )
k =0
K
M
伝達関数
H ( z ) =  hm z
m =0
−m
H (z ) =
−k
b
z
k
k =0
M
1 −  am z − m
m =1
構成方法
非再帰的
再帰的
FIRフィルタ
IIRフィルタ
安定性
常に安定
伝達関数の極がz平面の
単位円内に存在するとき
のみ安定
直線位相特性
完全に正確なものが
実現可能
不可能
(近似は可能)
演算誤差の影響
あまり大きく現れない
大きく現れる場合あり
高次のフィルタが必要
低次のフィルタで実現可
能
急峻な遮断特性
FIRフィルタの構成
[ 直接型(direct form)FIRフィルタ ]
x(n − 1)
入力
z −1
x(n)
z −1
h0
z −1
h1
+
hm : フィルタ係数
M : フィルタの次数
x(n − M )
x(n − 2)
h2
+
z −1



hM −1
+
+
hM
出力
y (n)
 構成が単純
 演算誤差・係数の影響が大
[ 縦続型(cascade form)FIRフィルタ ]
入力
x(n)
z −1
h01
h11
z −1
+
z −1
+
h21
N = M /2
: 偶数次
N = (M + 1) / 2
: 奇数次
z −1
h02
h12
+

z −1
+

z −1
h22
h0 N
h1N
+
出力
+
h2 N
 最も良く使われる
 演算誤差・係数の影響が軽減
 直接型の伝達関数を因数分解
して得られる
[ 格子型(lattice form)FIRフィルタ ]
入力
x(n)
+
+
k1
k m : フィルタ係数
k2
+
z −1
+

k2
k1
z −1
出力
kM

kM
+  z −1
+
 音声分析などに使われる
 演算誤差・係数の影響が軽減
 演算量が他の構成より多い
 安定性の判別が困難
IIRフィルタの構成
[ 直接型(direct form)IIRフィルタ ]
M
M
 b x(n − m)
 a y(n − m)
m
k =0
入力
x(n)
z −1
z −1

M
b
m
m =0
z
−m
m
b0
b1
b2
+
m =1
出力
y (n)
+
z −1
+
+

+
+
a1
a2

z −1
z −1

z −1
bM
aM
1
M
1 −  am z − m
m =1
[ 直接型(direct form)IIRフィルタ (標準型)]
u (n)
x入
(n力
)
+
u (n − 1)
+
z −1
a1
z
+
a2

−1

b0
b1
b2
+
+
直接方IIRフィルタで
共通する遅延素子を
共有化した形式
M

z −1
aM
+
出力
y (n)
u (n) =  amu (n − m ) + x(n )
m =1
M
bM
y (n) =  bmu (n − m )
m =0
[ 縦続型(cascade form)IIRフィルタ ]
y (1) (n)
(1)
u ( n)
入力
+
x(n)
z −1
+
(1)
a11
u (n − 1)
a21
z −1
u (1) (n − 2)
(1)
u (1) (n ) = a11u
b01
b11
b21
u ( n)
+ +
z −1
+ +
a11
a21
y ( N −1) (n)
y ( 2 ) ( n)
(2 )
z −1
u (2 ) (n − 2)
b01
b11
+

u ( N ) (n)
出力
+
z −1
++
b21
(n − 1) + a21u (1) (n − 2) + x(n )
y (1) (n ) = b01u (1) (n ) + b11u (1) (n − 1) + b21u (1) (n − 2 )
u (2 ) (n ) = a12u (2 ) (n − 1) + a22u (2 ) (n − 2) + y (1) (n )
y (2 ) (n ) = b02u (2 ) (n ) + b12u (2 ) (n − 1) + b22u (2 ) (n − 2 )

u ( N ) (n ) = a1N u ( N ) ( N − 1) + a2 N u ( N ) (n − 2 ) + y ( N −1) (n )
y (n ) = b0 N u ( N ) (n ) + b1N u ( N ) (n − 1) + b2 N u ( N ) (n − 2 )
a11
a21
z −1
b0 N
b1N
b2 N
u ( N ) (n − 2)
+
+
y (n)
[ 格子型(lattice form)IIRフィルタ ]
x(n)
+
+
+

+
kM
k M −1
k1
− kM
− k M −1
− k1
+
z −1
tM
t M −1
+
z −1

+
+ 
z −1
t0
t1
tM −2
+
入力
+
出力
y (n)
UMI Member 2014
Kai
(B4)
Kazuki
(M1)
Masaaki
(B4)
Kazuyo
(M1)
Takahiro
Mikito
Ryota Kenoh Kenta
(M2) Kenji (M2) Satoki
(B4)
(B4)
(M2)
(Fellow)
(AP)
So
(M1)
Tadashi
(P)
Kosuke
(M2)
Ryunosuke
(M2)
Takuma
(M2)