今年5月、マスカットの加害害虫としてネギアザミウマが国内で初めて確認されました。この ことは、今まで予測が困難だった害虫対策の前進になると思われます。 そこで今回は、ネギアザミウマの話題とともに、岡山県と愛媛県の8月に向けての病害虫予 報を特集しようと思います。 ◎ネギアザミウマによる マスカットへの加害状況について ネギアザミウマの成虫→ 2年前の7月、岡山県南地域のハウスマスカット農家の方より、「ブドウの粒の頭頂部にかすり状 の白い斑点をともなう褐色のキズがついている」との情報が寄せられ、調査の結果、アザミウマが原 因と思われました。どのアザミウマ化を特定していたところ、岡山県農林水産総合センター農業研究 所の調査により、「ネギアザミウマ」と確認されました。 ネギアザミウマによるブドウへの加害を確認したのは、国内において初めてのことでした。 ○ネギアザミウマの生態と加害状況 ネギアザミウマは、その名の通りネギやタマネギに被害を及ぼしますが、それ以外にもアブラナ科、 イネ科、キク科、ナス科、バラ科、ミカン科など、いろいろな植物をエサにしています。 ハウスブドウの園内では5月下旬から増え始め、6月中旬がピークになり、7月以降は減少していき ます。 ブドウの被害状況は、果頂部に針を刺して吸汁し、針の痕は色が抜けて、かすり状の白い斑点にな ります。このことが、褐色病の被害を大きくしているようです。 ネギアザミウマによる被害は、チャノキイロアザミウマと違って果実の斑点や、軸の変色は起こさな いようです。 ○防除対策 ・雑草がアザミウマの住みかになっているため、機械や薬剤による雑草除去が大切です ・ハウスの入り口や換気口に、ネットや寒冷紗でガードをしてアザミウマの侵入を防ぎましょう ・5月下旬から6月下旬にかけて、登録農薬の散布を丁寧におこないましょう ☆7月岡山県病害虫予報 水稲・・・ 県中部で葉いもちの発生確率が平年よりも10%程度高くなっています。穂いもちの伝染源 になるので、早期発見に努めてください。 コラトップ粒剤による予防、ブラシン剤による治療を心がけましょう。 紋枯病、ヒメトビウンカ、ツマグロヨコバイ、ウンカの発生は、平年並み、もしくは発生ゼロに なっています。 ※カメムシ・・・県北での発生量は平年並みになっています。イネ科植物の穂はカメムシのエサや産卵 場所になるので、水田周辺のイネ科植物を取り除きましょう。 ただし、穂がついたイネ科植物を、イネの出穂2週間前から出穂後3週間の間に取り除く と、カメムシを水田に追いやることがあるので注意しましょう。 モモ・・・モモハグリガ、ナシヒメシンクイ、ハダニなどは平年並み、もしくは発生ゼロとなっています。 ブドウ・・・主要害虫の発生は、平年並み、もしくは発生ゼロとなっています。 果樹全般・・・チャバネアオカメムシの発生がやや多くなっています。 ☆7月愛媛県病害虫予報 水稲・・・ 葉いもちの発生量が平年並み~やや多めになっています。チッソ肥料の多用は避けましょう。 置き苗は早めに処分しましょう。 発病を確認した場合は、早めに治療効果のある薬剤を散布しましょう。 カメムシは発生量がやや多くなっていますので、除草を徹底してください。 かんきつ類・・・ かいよう病の発生量がやや多くなっています。発病部を早く除去して菌をなくすことが大 切です。また、風によるキズで病気が進行するので、防風対策をしっかり行ってください。 ミカンハモグリガが感染源となるので防除が大切です。 カキ・・・ 炭そ病の発生がやや多くなっています。菌を早く除去するとともに、予防薬剤の散布を徹底し てください。 平成26年8月・第197号(毎月発行)
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