~歌詞対訳~ 2. 「良き友との気晴らし」 [ヘンリーⅧ] “Pastime with good company”( HenryⅧ) 古楽器と歌で綴るイギリス・ルネサンス・バロック時代の音楽 ❦良き友との気晴らし“Pastime with good company”❦ 2014.3.16.(日) ルナ天文台☆演奏:グループ『葦』 1. 「涙のパヴァーヌによる変奏曲」 [ヨハン・ショップ "Lacrimae Pavaen"(Johann Schop) 1590~1667 独] リコーダー、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 アーチリュート、 ヴァージナル 2. 「良き友との気晴らし」 [ヘンリーⅧ 1491~1547 英] “Pastime with good company”( HenryⅧ) 歌、 コルネット、 リコーダー、 リュート、 タンバリン 私の気晴らしといえば 狩 歌 そして踊り。 私がよりどころにしたこれらは みんな立派な娯楽だ 私がしたいことを 誰が妨げられるだろう 誠実な仲間は、 悪習が消え失せるほどの価値がある 仲間には善い面も悪い面もある が、みんなそれぞれに率直な気持ちをぶつけてくれる 善きことなら採り入れ、悪しきことなら避け、 と私の考えは決まってる。 価値あるものなら用い、 欠陥あるものならはねつける、 というふうに私は自分を働かせるつもりだ 3. 「心の慰め」 [作者不詳 英] "The heart’s-ease "(Anon. ヴィオラ・ダ・ガンバ、 リュート 4. 「溢れよわが涙」 [ジョン・ダウランド] " Flow my tears "(John Dowland) 歌、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 リュート 5. 「ダフネ~笛の楽園より」 [ヤコブ・ファン・エイク 1590~1657 和] "Daphne” (Der Fluyten Lust-hof) (Jacob Van Eyck) リコーダー ソロ 6. 「ウィロビー卿のご帰還」 [ウィリアム・バード 1542~1623 英] "My Lord Willoughby’s welcome home"( William Byrd) リュート、 ヴァ-ジナル 7. 「ケンプのジグ」 「グリーンスリーヴス」 " Kemp’s Jig” " Greensleeves"(Anon.) [作者不詳 英] リュ―ト ソロ 8. 「晴れても曇っても」 [ジョン・ダウランド] " Clear or cloudy” (John Dowlamd ) 歌、コルネット、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 リュート 9. 「イタリアングラウンドによる変奏 良き仲間との気晴らし それを私は死ぬまで楽しもう 陰口を好む者もいるだろうが、 誰も間違ってると断じることはできない だから 神は私がこのように生きることをお喜びになろう (1686 版「楽しい手引書」より)」 [ロバート・カー 17 C 英] " Division upon an Italian Ground (1686"The Delightful Companion )"(Robert Carr) リコーダー、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 アーチリュート、 ヴァ-ジナル 10. 「シャンソネッタ・テデスカ」 [作者不詳 14c 独] “Chanconette Tedesche –Estampie”(Anon.) リコーダー、クルムホルン、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 リュート 8. 「晴れても曇っても」 [ジョン・ダウランド] “Clear or cloudy sweet as April show'ring, 晴れても 曇っても 四月のにわか雨の降る頃は 気分が和らぐ。 それと同じように 私にとってあのひとの表情は穏やかであっても 眉をしかめていても快い 花は咲き 空は澄み青く 野原は緑 まるで五月のように 微笑むあのひと その言葉はナイチンゲールのさえずりのようだ やわらかい音色なのに 耳ざわりな音を越えて響いているようだ やさしい春と夏。 すべての草や花に命を吹き込んで成長させ、 まかれた様々な種を育てる。 幾つかは本物で、 幾つかは見せかけだけの愛。 だからあのひとに恵みをもたらす 薬草や花には雨を降らせ、 見せかけだけの雑草は 枯れさせれば良いのだ。 4. 「溢れよわが涙」 [ジョン・ダウランド] Flow my tears fall from your springs, ✾本日の使用楽器の紹介 溢れよ わが涙 泉より滝となって! 追放されて永遠に嘆き悲しむわが心 夜 クロウタ鳥が淋しく暗く鳴く場所で 私を生き続けさせてくれ グループ『葦』が演奏に使用している楽器はどれも 15~18 世 消えよ 無益の光よ もはや輝くな これほど暗い夜は他にあるまい 絶望に、失われた幸福を嘆くものにとって 光が照らし出すのは恥ずかしい思いのみ 哀れみが去った今 我が嘆きは癒されることはない 涙に、溜息に、苦しみの声に 疲れ果てた日々に 喜びはすべて奪われた 幸福の絶頂から わが運命は投げ落とされた 恐れと 悲しみと 苦痛とが 希望を失った今 望みうる報酬なのだ 聞け 暗闇に宿る陰よ 光を拒む事に慣れるが良い 幸運なのは地獄へ落ちたもの この世の苦痛を感じることもない 紀にかけて広くヨーロッパで愛好された楽器を現代の内外の製 作家たちが残された資料や楽器に基づき再現したものです。 リコーダー recorder [英] Blockflote [独] flute a bec [仏] flauto dolce[伊] 縦吹きフルートの代表的な楽器 鳥のくちばしに似た吹き口に小さな 木片「フィプル fipple」が埋め込まれ狭い通路を通った空気が歌口 (管壁上部の切り込み)のエッジに当たって音を出す仕組みで、8 つの 指孔を持ちます。 1500 年頃に現在の型でソプラノ・アルト・テノール・バス管など様々 な音域のものが作られ 17 世紀半ばには全体を3つの部分に分解で きるバロック式リコーダーが出現します。18 世紀半ばまではフルートと 言えば縦吹きフルートを表し、横吹きのものはフラウト・トラヴェルソと呼 ばれ区別されていました。 英語のリコーダー(recoeder)は「鳥の鳴き真似」を意味する古語に 曲家・演奏家によって近代・現代の作品にも輝きを放っています。 由来し、イタリア語のフラウトドルチェ(flauto dolce)は「甘い音の笛」、 鍵盤と平行に手前に低音、奥に高音と張られています。 楽器のタイプとしては、主にイタリアン、フレミッシュの各様式があり外 フランス語のフリュートアベック(flute a bec)は「くちばしつきの笛」、ドイツ ヴィオラ・ダ・ガンバ 見や音色に特色があります。 イタリアンヴァージナルは本体から突き出 語のブロックフレーテ(blockflote)は「栓の笛」の意味です。 viol [英] Gambe [独] viole [仏] viola da gamba [伊] た形の鍵盤が特徴で多角形のケースを持ち、しばしばアウターケースに 織田信長や豊臣秀吉も耳にしたこの楽器の日本初演は、1561 収められています。フレミッシュヴァージナルは、鍵盤が本体の左側に位 リュート 年~62 年にポルトガル宣教師A.サンチェスが、大分県でミサの補助 置するスピネット型と、右側に位置するミュゼラー型の二つのタイプがあ lute[英] Laute[独] luth[仏] liuto[伊] のためオルガンの代わりに複数のヴィオラ・ダ・ガンバを用いた時でした。 り、どちらも一般に長方形で鍵盤が窪 14~18 世紀にヨーロッパで広く用いられ ヴィオラ・ダ・ガンバは、16~18 世紀半ば頃まで広く用いられた弓で んだ場所に位置し本体から突き出てい 愛された撥弦楽器(弦をはじいて音をだす楽 弦をこすって音を出す擦弦楽器で、ガンバ gamba (イタリア語)は脚 ません。ヴァージナルは全域で弦の中央 器)です。リュートの祖先はアラビアのウードで 中世にヨーロッパへ伝わ の意から膝のあたりに挟んで弾く弦楽器という意味の名前です。トレブ に近い所を弾いて鳴らせます。このこと り 1500 年頃基本的な形は完成されました。平らな響板と湾曲させ ル・テノール・バス大小様々な種類があり により、基音が強く倍音の弱い、独特 た幅の狭い木片(リブ)を並べて繋いだ深い梨形の胴体で、後方に折 16 世紀初頭現在の形になりました。また の太くて暖かい音質になっています。 れ曲がった糸蔵を持つフレット付きの棹に復弦(同じ音を出す弦が2 低音のヴィオローネ (violone)は現在のコ 本1組になっている)が張られています。 ントラバスの祖先の一つです。フレットはネッ ルネサンス期のリュートの弦は複弦6コースが基本です。リュートは クにガット(腸線)を結んで調律に合わせら その繊細な薄い構造や弦の多さから調律が難しく「リュート奏者は人 れる可動式で、初期にはギターのように斜 生の大半の時間を調弦に費やす」と言われました。 めにかまえて演奏されました。 コルネット アーチリュート archlute[英] erzlaute [独] archiluth [仏] arciliuto [伊] バロック時代に現れた通常 14 のコースを有するリュート属の撥弦楽 器です。胴体は後ろ側が洋梨を半分に割ったような丸い形状で, ネッ ク(棹)は指板が取り付けられる部分に更に拡張ネックを取り付けてい ます。指板上に配列されている高音 6 つのコースはルネサンスリュート と同じ下から GCFADG に調弦され、下方の拡張ネックの低い音7つ のコースは音階的に下がる調弦をする開放弦 を持っています。この楽器はバロック時代の低 音を重視する通奏低音の考え方から生まれま した。豊かな響きが愛されバロック時代を通じ cornetto[伊] zink[独] cornet à bouquin[仏] cornett [英] 金管楽器の一種。古代の角笛に起源を持ちルネッサンス~バロッ ク期に愛用されました。発音機構上はリップリード(マウスピース)を用い 古井 由紀子 (リコーダー、コルネット) 中川 洋子 (歌、ヴァ-ジナル) 中野 博司 (リュート) 船方 公子 (ヴィオラ・ダ・ガンバ) 1977 年熊本で結成された古楽器アンサンブル。現在は各種のリコーダー、コルネ る金管楽器ですが、標準的なものはリコーダーの様に音孔が有るのが ット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、ヴァ‐ジナルなどに歌を加えてヨーロッ 特徴です。左手 4 孔・右手 3 孔を持つ木製革巻きの 8 角錐をゆる の自主的な演奏会や古楽器に適した響きの良い音響の会場での音楽会(教会や美術 やかにカーブさせた形状です。 古楽音楽祭等)に出演し好評を得た。また長崎県長崎市や大村市、西海市、大分県大 パ中世,ルネッサンス,初期バロック期の作品を九州各地で演奏。これまでに多く 館や歴史的建造物)や九州各地で開催の音楽祭(湯布院音楽祭、小国古楽音楽祭、福岡 分市や熊本県天草市などで九州縁の天正遣欧少年使節に関する数々のイヴェントや ミュート・コルネット、コルネッティーノ、リザルドン 演奏会に関わりその活躍ぶりがテレビ・ラジオ・新聞・音楽雑誌等で報道された。 などの亜種も使用されました。ヴェネツィアではトロ 2011 年 10 月には熊本、長崎で 17 世紀イタリアの声楽曲・器楽曲、2012 年 7 月には ンボーンの祖型であるサクバットとのアンサンブルが ートをオランダ・アムステルダム在住でヨーロッパをはじめ世界各地で活躍してい 独自の発展を遂げ、17 世紀までヴァイオリンに並 ぶソロ楽器として賛美されました。 チェンバロとともに通奏低音に独奏にと重用さ れました。またバロック期のみならず優れた作 演奏:グループ『葦』(あし) 熊本で 18 世紀ドイツ・イタリア・フランスの器楽曲を取り上げたジョイントコンサ るリュート奏者野入 志津子氏をお迎えして開催し好評を得た。また 2013 年 11 月 30 日には熊本県天草市の天草コレジヨ館で天草市主催のコレジヨ館リニューアル記 念コンサート「天正遣欧少年使節の足跡を辿るルネッサンスヨーロッパお国巡り」 を天草の古楽アンサンブルであるコレジヨの仲間と共に出演し、野入 志津子氏を 音楽監督及び独奏者としてお迎えして多くのお客様から好評を得た。現在のメンバ ヴァージナル virginal [英・仏・独] 小型の撥弦鍵盤楽器です。一列のみの弦が、楽器の長辺および ーは熊本や福岡在住。2012 年 8 月結成 35 周年を迎えた。
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