“添え物”野菜の不況ダメージ

【今後
��の
�対応�】
���
サラダ菜はあくまでも添え物であり、
食 味 の 良 し 悪 し は 問 題 に さ れ な い。 し
か し、 サ ラ ダ や サ ン ド イ ッ チ な ど で そ
の付け合わせスタイルが定番化してい
る と い う こ と は、 そ れ を 家 庭 で 再 現 さ
年と
必 要 不 可 欠 な 存 在 で は な く、 容 易 に 切
き 抜 い た と は い え な い。 添 え 物 と し て
パセリは不況という大きな試練を生
【今後
��の
�対応�】
���
大幅減の異常高騰で輸入品も参入、復活のカギはハーブとしての利用
【概況】
東京市場のパセリを
%も
の大幅減となったことで単価は
ら れ て し ま っ た。 代 替 す べ き 一 般 需 要
年で対比すると、入荷量で
%も高くなった。主産地は変わ
~ 1月 期 に
に特化しており、入荷減は高騰につな
た長野は 2割程度を堅持。ほぼ業務用
シェアは 5割程度に、夏場を中心にし
らず周年型の千葉だが、 6割を超えた
に 使 わ れ る。 日 本 で も、 こ う し た 本 来
主に刻んで焼き物料理などの香り付け
リはもともと欧米ではハーブ類であり、
し て も、 捲 土 重 来 は あ り 得 な い。 パ セ
も 育 て て い な い。 だ か ら、 景 気 が 回 復
の使い方を知る層が増えているという。
がりやすいが、現在では
2倍 に も な る 高 騰 は ち ょ っ と 異 常 事 態
安いときに買って冷凍保存して使うな
どの、
〝賢い利用法〟の普及を。
か。輸 入品さ え入荷 する。少 な くなり
すぎたのだ。
文化としてどれだけ定着していたか否かになる。 年
の勝負どころであり、残るものと消えるものの差は、
精神面でのゆとりを失わせる。そんなときこそ食文化
貧すれば貪するといわれるように、経済的な苦しさは
とは十分にありうることだ。
景気が回復すれば、本来の食材のリバイバルというこ
他の食材に代替されたケースも多い。とすると、また
入荷は減ったものの、需要がなくなったのではなく、
60
農業経営者 2014 年 10 月号
入荷減・単価安も意外に堅い支持、家庭でのメニュー再現に可能性が
東京市場でのサラダ菜の入荷
【概況】
%の 減
を 1 9 9 3年 対 2 0 1 3年 で 見
る と、 入 荷 量 全 体 で は
せ る こ と も 容 易 だ。 か つ て よ り 2割 以
で、単価も %安くなった。春か
ら 初 夏 に か け て や や 多 い が、 周 年 に わ
上 も 安 く な っ た サ ラ ダ 菜 を、 品 ぞ ろ え
安 く な っ た 際、 ち ょ っ と 買 っ て み て 料
たってコンスタントに入荷する業務用対
理に彩りを添えてみようかという主婦
の一環として置き続ける小売店も多い。
いるが、続く福岡、静岡のシェアが上下
だ っ て 増 え て い る は ず だ。 景 気 回 復 に
は不動で常に5割前後のシェアを持って
している。この3県が周年供給型促成栽
応型の特徴は変わらない。主産地の千葉
培 の 産 地 と し て 全 体 の 9割 以 上 を 占 め
50
【背景�】
���
同じ 飾り野 菜でも、 ほ とんど 食 べず
に残 り、捨て られる のがパセ リだ。そ
の た め、 不 況 の あ お り を ま と も に 食
らった感がある。付け合わせをやめた
り、違 法行為な がら〝 使 い回し〟 され
た り で、 業 務 納 入 需 要 は ガ タ 減 り し
た。し かし、市 場で安値 にな って も品
ぞろえを強化しようという小売店も少
ない。そ こで、産 地は 一 気に生産 をや
めたり、出荷を 大幅に 減らした。 相 場
150
よって生まれたゆとりが狙い目かも。
13
余裕は失われぎみだったのだが、添え物的な野菜類の
200
る。
800
93
にわたる不況下にあって、たしかに日本人の精神的な
300
【�
背景�】
��
主 に 洋 食 系 の 添 え 物 野 菜 に 特 化 し、
400
50
ツマ物的野菜は、料理に彩りを添えるものだけに、
600
経済面や精神面での余裕がその食文化を育てる。
半面、
100
65
に乱高下があるのは小売用では問題だ
2013年単価
長 く そ の 地 位 を 保 っ て き た サ ラ ダ 菜 も、
1,000
150
パセリ
が、業務用ならそれほど影響はない。
1,000
100
不況下では容易に用途の広いレタスな
ど に 代 わ っ て し ま う。 2 割 以 上 も 減 っ
て 単 価 も 下 が っ た の は、 高 か っ た ら 無
理して仕入れないという需要構造の変
化 が も た ら し た。 そ れ に し て も 、 こ の
年の推移で半減してしまうことさえ
あ る 中 小 野 菜 類 に あ っ て、 2 割 程 度 の
減 少 で 収 ま っ た と い う こ と は、 定 番 メ
ニューのスタイルを変えなかった外食
1,200
200
23
22
店が意外に多かっ た と い う こ と か 。
2013年単価
価格
(円/㎏)
2013年数量
1993年単価
24
“添え物”野菜の
不況ダメージ
1,500
250
500
10 11 12(月)
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
2,000
350
200
10 11 12(月)
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
2013年数量
1993年単価
価格
(円/㎏)
1993年数量
量
(t)
1993年数量
量
(t)
サラダ菜
20
12
20
野菜生産者のための相場研究
回
218
第
日本型の利用法では復活は難しい、本場食材としての道で生き残りを
小ラッキョウという位置づけでは最
【今後
��の
�対応�】
���
近、 沖 縄 料 理 の 普 及 と と も に 流 通 も 拡
【概況】
年 で 対 比 し て み る と、
東京市場のエシャレットの入
荷をこの
っ て 茨 城 が 6割 を 超 え る 主 産 地 に な っ
あ っ た 静 岡 は 2 割 程 度 に 減 ら し、 代 わ
ー ン で あ り、 か つ て 6 割 近 い シ ェ ア が
初夏にかけて増えるラッキョウのパタ
%ほど安くなった。入荷は春から
産 品 は、 新 潟 の 地 野 菜 で あ る 丸 い 鱗 形
る。 本 場 の エ シ ャ レ ッ ト に 一 番 近 い 国
からの輸入品の入荷増がそれを裏付け
需 要 が 強 く な っ て い る が、 こ れ は 本 場
な料理素材としてのエシャレットには
ョ ウ 」 の ほ う に 軍 配 が 上 が る。 本 格 的
大 し つ つ あ る 沖 縄 の 地 野 菜「 島 ラ ッ キ
て い る。 全 体 量 が 半 減 し た た め 、 入 荷
を し た「 ア サ ツ キ 」
。いまは不況からの
数量は半分以下となり、単価も
量がほとんど変わらなかった茨城の相
青果物など農産物流通専門のジャ ーナリスト。㈱農経企画情報センター
代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情
報紙『新感性』、月刊『農林リサーチ』を発行。著書に『日本を襲う外国
青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』
などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
【今後
��の
�対応�】
���
購買力減退で出荷調整して相場維持へ、根強い地場の支持が回復のヒントか
【概況】
す る こ と で 相 場 が 軟 調 に な れ ば、 中 央
不況の影響で全体的に購買力が低下
で対比すると、平均単価はやや安
への出荷を減らしつつ地場に回して相
年
め な が ら ほ ぼ 変 わ ら な い も の の、
場を維持するといった推移がそのまま
東京市場の食用菊を過去
%も減っている。入
地 の 山 形 は 不 動 で、 続 く 秋 田 と 合 わ せ
な 入 荷 が あ る。 6割 前 後 を 占 め る 主 産
ス だ が、 他 の シ ー ズ ン も コ ン ス タ ン ト
に、 初 秋 か ら 増 え て 年 内 は 同 様 の ペ ー
荷は菊のシーズンに合わせるかのよう
さ れ て い る の だ。 不 況 か ら の 回 復 期 に
「もってのほか」といった品種名で愛好
い。いまでも当該地域では
「かきのした」
大幅減が品目としての衰退を意味しな
い る。 こ と 食 用 菊 に 関 し て は、 入 荷 の
東京市場の入荷減という現象になって
入荷数量は
ると8割以上。それほど多くはないが、
当 た る い ま、 折 し も 地 方 食 文 化 が 消 費
者から大きな関心を集めつつある。
タイからの輸入品が周年にわたって入
荷している。
0
脱 出 期。 エ シ ャ レ ッ ト と し て の 進 退 が
10
問われている。
【背景�】
���
40
対 シ ェ ア が 上 が っ た の だ。 そ の 一 方 で
%を占めている。
70
輸入品が
食 用 菊 は、 も と も と 北 陸 か ら 東 北 に
地 元 で は、 シ ー ズ ン に な る と 一 般 家 庭
1,000
20
か け て の〝 地 野 菜 〟 で あ る。 い ま で も
用 に 大 量 に 出 回 っ て い る。 東 京 市 場 へ
の 入 荷 品 は、 6割 程 度 は 業 務 用 で 使 わ
れ、 そ れ 以 外 は 小 売 店 で の 秋 の 品 ぞ ろ
え 商 品 と い う 位 置 づ け に あ る。 業 務 用
でも見た目を重視するだけの添え物で
2,000
30
【背景�】
���
20
20
は な く、 少 量 な が ら も 酢 の 物 な ど と し
2013年単価
エ シ ャ レ ッ ト は、 本 来 は フ レ ン チ や
800
40
小林 彰一
て 料 理 の 一 品 に 添 え ら れ る。 一 般 家 庭
2013年数量
1993年単価
イタリアンなどで調理の下味作りに欠
60
流通
ジャーナリスト
向 け で 売 ら れ る 分 に し て も、 や は り 東
3,000
50
か せ な い 小 タ マ ネ ギ の よ う な も の だ。
し か し、 日 本 で は 焼 き 魚 に 添 え た り 、
1,000
80
食用菊
北などの出身者が購入する割合が高い。
4,000
60
10 11 12(月)
9
8
7
みそなどを付けて肴にしたりする小ラ
ッ キ ョ ウ で あ る。 こ う い う 中 途 半 端 な
存 在 は、 不 況 で 購 買 力 が 落 ち た ら 真 っ
先 に 排 除 さ れ て し ま う。 日 本 型 エ シ ャ
レットを育ててきた静岡が生産を減ら
し、 減 っ た た め に 相 場 が 強 含 み な の を
100
64
15
20
見 て 生 産 を 続 け て い る 茨 城 ……。 非 常
1,200
120
14
に興味深い対照 で あ る 。
農業経営者 2014 年 10 月号
61
5,000
80
600
10 11 12(月)
9
8
7
6
5
4
6
5
4
3
2
1
0
2013年単価
価格
(円/㎏)
1993年数量
量(t)
2013年数量
1993年単価
価格
(円/㎏)
1993年数量
量
(t)
3
2
0
1
エシャレット