CAM-CNC統合による革新的な工作機械の知能化と 機械加工技術の高度化

神戸大学工学フォーラム2016
神戸大学工学フォーラム
神戸大学工学フォ
ラム2016
ラム2016
神戸商工会議所会館
2016
2016年
年11
11月
月28
28日
日
SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/革新的設計生産技術
CAM-CNC統合による革新的な工作機械の知能化と
機械加工技術の高度化
研究開発責任者
神戸大学大学院工学研究科 教授 白 瀬 敬 一
実施体制
神戸大学,ソフトキューブ(株),キタムラ機械(株)
神戸大学,ソフトキューブ(株),キタムラ機械(株
)
発表者
白 瀬 敬 一,尾 西 雅 弘,片 田 優 介
工作機械とは
機械をつくる機械
「マザーマシン
マザ マシン」
マザーマシン」
マシン」
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
Department of Mechanical Engineering, Graduate School of Engineering, Kobe University
2
工作機械の知能化とは
工作機械は加工用プログラムの指令どおりに機械加工を行う
機械加工を指令するために加工用プログラムを作成する
① 加工用プログラムの作成に多大な労力と時間を要する
部品の種類が増える,部品の形状が複雑になる,
工作機械が高機能になる etc.
② 加工プロセスが制御できない
工作機械を制御することが前提
工作機械に機械加工を任せたい,加工プロセスを制御したい
工作機械の知能化
械
工作機械が自ら意思決定を行いながら機械加工を行う
加工プロセスの制御, 加工精度の補正, 異常時の対処
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
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3
長い
少品種
単純
人的資源の不足
人的資源
不足
製品寿命
製品種類
部品形状 加工工程
部品形状,加工工程
段取り
りをする人
人的資源
源
自動化
化のための
の段取り
り
自動化システムから自律化システムへ
短い
多品種
複雑
現状の自動化システムは人的資源を必要とする
ドイツ Industrie 4.0
自律化システムで人的資源の不足を補う
自律生産システムの実現
システムに指示を与えるのではなく
システムに任せる
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4
プロジェクトテーマの目的
機械加工技術の高度化を目的に,機械加工を事前に作成した加工
機械加工技術の高度化を目的に
機械加工を事前に作成した加工
用プログラム(NCプログラム)で指令する方式から,加工中に工具位置
や工具姿勢を計算して逐次指令する方式に転換して,革新的な工作
機械の知能化技術を開発する。
これにより,NC
NCプログラムの作成を不要にして
プログラムの作成を不要にして,
,製造リードタイムを
短縮し,
短縮し
,加工プロセスの制御を実現する。
加工プロセスの制御を実現する
プ
。
新技術のインパクト
対象製品
カップ
ソケット
骨頭
ステム
一品加工の金型
テイラーメイド人工骨
① 機械加工を3Dプリンタ感覚で実現
② 機械加
機械加工を工作機械に任せても
を 作機械 任
も
安心・安全
新技術により期待される効果
① 製造リードタイムの短縮
② 加工コストの低減
③ 国際競争力の向上
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5
CAM--CNC
CAM
CNC統合による工作機械の知能化・自律化
統合による工作機械の知能化・自律化
形状情報
形状情報,
加工情報の喪失
CAD
CAM
製品の
CAD モデル
NC
プログラム
CNC
工作機械
形状情報
加工情報
元の曲線
運転指令
フィードバック不可
 NCプログラムが必要
 加工プロセスの制御は不可
近似した微小線分
( ) 現行のNC工作機械
(a)
逐次処理
次
 3次元CADモデル
(形状情報が豊富)
 加工プロセス制御
(制御対象が加工プロセス)
工作機械に加工を一任

形状情報,加工情報の活用
CAM & CNC
製品の
CAD モデル CAD
素材の
CADモデル
形状情報
バッチ処理
 近似した微小線分
(形状情報が不十分)
 プラント制御
(制御対象が工作機械)
工作機械に加工を指示

CAPP
DCM
サーボ
アンプ
工作機械
加工情報
フィードバック可
CAPP:Computer-aided process Planning [計算機援用工程設計]
DCM:Digital copy milling [仮想倣い加工]
(b) 自律型・知能型のNC工作機械
 NCプログラムが不要
⇒ 製造リードタイムの短縮
 加工プロセスの制御
 加工トラブルの回避
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自動工程設計
加工除去領域
加 除去領域
の算出
被削材形状
製品形状
加工除去領域
加工除去領域
の分割
分割した加工除去
領域の順序算出
分割した加工除去領域
の工具経路の生成
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機械
機械学習
学習
による
知能化
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倣い加工の原理をデジタル化: 仮想倣い加工(
仮想倣い加工(DCM
DCM))
倣い加工
プロ ブ
プローブ
同期運転
工具
工作物
製品模型
(a) 走査線加工
仮想倣い加工
工具
仮想プローブ
データ通信
CADモデル
工作物
(b) 等高線加工
工具経路生成の例
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8
工具の位置による工具送り速度制御
送り速度
Fast
Slow
加工時間
Short
Long
加工品位
Bad
Good
加工品位は高いままで
加工時間を短くしたい
Feed
d Speed mm//min
低品位で可の領域
加工時間は短いが
低品位の加工
高品位を要する領域
加工時間は長いが
高品位の加工
500
400
300
200
100
0
0
10
20
30
40
50
60
Tool position mm
DCMにおける実時間工具経路生成
DCMにおける実時間工具経路生成
“Finish Surface” からの距離に応じた
工具送り速度の加減速
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素材の硬度あるいは材質に応じた工具送り速度制御
加工形状
状
(Surface 情報)
加工面
切削送り速度
•
•
アクリル : 200 mm/min
ケミカルウッド : 1000 mm/min
Feed sp
peed
Chemical
wood
Acrylic
High speed
Low speed
Tool position
被削材 応じた 具送り速度 制御
被削材に応じた工具送り速度の制御
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エンドミル
ンドミル
切削力 N
加工形状と切削力の同時シミュレーション
工具1回転
Fx
Fy
Fz
切削力 N
工具10回転
工作物
作物
加工形状シミュレータと切削力シミュレータ
加工形状シミュレ
タと切削力シミュレ タ
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11
切削力シミュレータによる適応制御と切削異常検出



切削力シミュレータとNC
切削力シミュレ タとNC
切削力シミュレータと
タとNC工作機械への同期指令
工作機械への同期指令
切削力(切削トルク)の推定値に応じて切削条件を修正
切削力(切削トルク)の推定値と実測値を比較して切削異常検出
切削力
(実測値)
逐次指令
工作機械
切削力シミュレータ
仮想倣い加工システム
切削力
(推定値)

切削力センサの設置は
現実的ではない

センサレスでは切削力の
正確な検出が難しい
※切削力の実測値と推
定値を比較することで
定値を比較することで,
切削異常を検出する。
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CAM--CNC
CAM
CNC統合による知能化
統合による知能化NC
NC工作機械
工作機械
Only 4 Steps!
製品 ワ
ワーク
ク
モデル モデル
選択
選択
工程
設計
実行
加工
開始
歯科補綴物のテイラーメイド加工
NCプログラム不要の試作機
金型をイメージした多面体
機械加工を33Dプリンタ感覚で実現!
機械加工を
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プロジェクトの情報発信

新聞報道


2015年 9月10日 日本物流新聞
2015年11月28日
年 月
日本経済新聞
本経済新聞
日本経済新聞 2015年11月28日
日本物流新聞 2015年 9月10日
14
ユーザインターフェイス

画面デザインの留意点



タッチパネルによる操作を考慮
初心者でも取扱い容易な簡潔
初心者でも取扱い容易な
初
者
扱 容易 簡潔
簡潔、
、直
直感的な操作コンセプト
直感的
な操作コンセプト
操作
→ シンプル
シンプルイズベスト
イズベスト
従来機の画面とは一線を画するインパクト
従来機の画面とは一線を画する
インパクトのある画面
のある画面
回転
拡大・縮小
移動
Keiichi SHIRASE
SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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ユーザインターフェイス

簡単操作


煩わしい設定はすべて自動
少
少ないステップですぐにNC加工を開始
す
を開始
製品
モデル
選択
ワーク
モデル
選択
⼯程
設計
実⾏
加⼯
開始
4Steps
4
p
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SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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仮想倣い加工(DCM
仮想倣い加工(
DCM)による工具経路生成
)による工具経路生成

逐次指令する工具経路計算


倣い加工の原理をモデル化
計算した工具経路をリアルタイムに工作機械へ指令
算
具経路をリ
作機械 指令
修正前
修正後
パス計算の
問題を修正
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工具モーション制御

加工領域をボクセル化し工具送り速度を制御するデータを保持
加工領域をボクセル化し工具送り速度を制御するデ タを保持



ボクセル毎に製品のモデル表面からの距離を保持
距離
距離データはX/Y/Z各軸方向それぞれに保持
/ / 各軸方 そ ぞ
保持
工具進行方向に対して工具と製品のモデル表面との距離を検出し、工具経路に
依らない工具送り速度制御を実現
縦軸に対しての距離
横軸に対しての距離
※説明用にボクセルを2Dで表現しています
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SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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工具モーション制御の事例
低速
高速
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SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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切削力シミュレーション


ボクセルモデルを用いた切削力のリアルタイムシミュレーション
ボクセルモデルを用いた切削力のリアルタイムシミュレ
ション
並列処理とメモリ節約の工夫
ボクセルのオクトツリー表現
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SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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適応制御

予測した切削力(切削トルク)に応じて工具送り速度を調整



切削力が小さくなれば工具送り速度を増速
切削力が大きくなれば工具送り速度を減速
切削力が過大になれば加工を中断 ⇒ トラブル回避
増速
工具
具
減速
工具
具
ワーク
工具
具
ワーク
切削力小
ワーク
切削力適正
切削トルクの限界値
危険
時間
ワーク
切削力大
切削力適正
切削力が過大になると・・・
切削力が過大になると
・・・
送り速度を
下方修正
適切な
切削トルクの範囲
切削トルク
工具
具
送り速度を
上方修正
破損
工具
ワーク
Keiichi SHIRASE
SHIRASE,, Computer Integrate Manufacturing Systems Lab.
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試作機の制御装置

1次試作
インテリジェント機能を装備した独自NC装置「Arumatik-Mi」へ
DCM機能を組込み

2次試作
工具モーション制御のために高性能CPU GPGPUを搭載
工具モーション制御のために高性能CPU、GPGPUを搭載





マルチコア、マルチスレッドCPUの採用
高性能GPGPU
加工パス処理能力 1.6 倍
サーボ間通信速度
サ
ボ間通信速度 3 倍
IoT: 機械の見える化に MTConnect を採用
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試作機 超高速の
超高速のX
X軸走査線加工
毎分70,000 回転
HSK-E25
HSK
E25
X軸送り速度 120 m/min
主軸ヘッドとテーブルの同期対向制御
主軸
ッドとテ ブルの同期対向制御
60 m/min
主軸ヘッド
ワークテーブル
60 m/min
/
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EMO 2015
イタリアのミラノで 2015
2015年
年10
10月
月5日~
日~10
10月
月10
10日に開催された
日に開催された
EMO MILLANO 2015(欧州工作機械見本市)に試作機を出展
2015(欧州工作機械見本市)に試作機を出展
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
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IMTS 2016
アメリカのシカゴで 2016
2016年
年9月12
12日~
日~9
9月15
15日に開催された
日に開催された
IMTS 2016(国際工作機械見本市)に試作機を出展
2016(国際工作機械見本市)に試作機を出展
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
Department of Mechanical Engineering, Graduate School of Engineering, Kobe University
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JIMTOF 2016
東京のビックサイトで 2016
2016年
年11
11月
月17
17日~
日~11
11月
月22
22日に開催された
日に開催された
JIMTOF 2016
2016(日本国際工作機械見本市)に試作機を出展
(日本国際工作機械見本市)に試作機を出展
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試作加工サンプル
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研究開発の達成目標 【平成
平成30
30年度
年度 最終目標
最終目標】】

製品と素材の3次元CADモデルから機械部品が加工できるNC工作機
械の特徴を活かして、切削力の適応制御、機上計測による修正加工
を可能とする革新的で知能的なNC工作機械を試作して製品化する。
切削力の適応制御で加工トラブルの発生を低減し、
切削力の適応制御で加工トラブルの発生を低減し
、修正加工で加工
精度を改善することを目標とする。
精度を改善することを目標とする
。


切削力一定の適応制御により、切削力の急変に起因する加工トラ
ブルを回避する。
修正加工により、加工プロセスに起因する加工誤差を低減する。
http://www.subaru.jp/eyesight/digest/
機械加
機械加工を任せて安心・安全に!
任
安心 安全 !
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開発計画

NCプログラムを作成することなく、素材と製品の3次元CADモデルから
NCプログラムを作成することなく
素材と製品の3次元CADモデルから
機械加工が可能な、世界に例のない革新的知能化NC工作機械を試作
する。(第1次試作)

切削力の適応制御を実現して、加工効率の向上と加工トラブルの回避
を実現する。(第2次試作)

機上計測と修正加工を実現して、加工精度を改善する。(第3次試作)
H26年度
H26年度
H27年度
H27年度
H28年度
H28年度
H29年度
H29年度
H30年度
H30年度
要素技術のアルゴリズム
考案・検証(神戸大学)
送り速度制御
切削力
シミュレーション
適応制御
機上計測
修正加工
実証用ソフトウェアの開発
(ソフトキューブ)
ブ
工程設計
GUI
切削力
シミュレーション
適応制御
機上計測
試作機開発
(キタムラ機械)
第1次試作
NCプログラムレス加工
第2次試作
切削力適応制御
修正加工
第3次試作
機上計測と修正加工
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
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29
連絡先
ご清聴ありがとうございました。
神戸大学大学院工学研究科機械工学専攻
白 瀬 敬 一
〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
TEL 078-803-6139, FAX 078-803-6155
E-mail [email protected]
Keiichi SHIRASE, Computer Integrated Manufacturing Systems Lab.
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