草津市監査委員告示第4号 地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第1項の規定に基づき、平成25 年10月31日付けで提出された住民監査請求について監査を実施したので、その結果 を同条第4項の規定により、次のとおり公表する。 平成25年12月27日 草津市監査委員 平 井 文 雄 同 西 田 剛 草 監 発 第 4 1 7 号 平成25年12月27日 請求人 (氏名 略) 草津市監査委員 平井 文雄 同 西田 剛 委託業務における余剰金の返還に関する住民監査請求の結果について(通知) 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。) 第242条第1項の規定に 基づき、平成25年10月31日付けで提出された住民監査請求について、同条第4項の 規定により、監査した結果を下記のとおり通知します。 記 第1 監査の請求 1 請求の受理 本件請求は、平成25年10月31日に提出され同日受付け、同年11月11日に 法第242条に定める要件を具備しているものと認め、これを受理した。 2 請求人 住所 草津市 氏名 (略) 3 請求の内容 (誤字等一部修正を加えた部分もあるが、その他は住民監査請求書の原文のまま掲載 している。) 事実証明書第1号証(以下、第1号証)によると、平成24年度草津市同和事業促 進協議会〔以下、市同促〕決算報告書にて、各地区同促会費として265400円の 収入があり、前年度からの繰越金が959028円あることが報告されている。 事実証明書第2号証(以下、第2号証)によると、平成24年5月31日に910 円の出金がなされたあとの差引残高が958118円であることからも、 〔95811 8円+910円=959028円〕平成23年度からの繰越金が959028円であ ることが確認できる。 事実証明書第3号証(以下、第3号証)と第1、2号証によると、平成24年度に 草津市から平成24年6月20日に草津市住民交流啓発事業委託料620万円が市同 促に振り込まれていることが確認できる。 第3号証の委託契約によると、第9条「実績報告および精算 精算の結果、余剰金 が生じたときは、委託者に返納するものとする」と規定があり、平成24年度は79 9189円の返納がされたことが、第1号証の記載と第2号証の平成25年5月27 日の支払い記録から確認できる。 事実証明書第4号証(以下、第4号証)と第2号証によると、平成24年度の委 託費620万円からA地区同促への再委託費は86万円であり、平成24年7月1 7日に同86万円が出金されている。第4号証によると、A地区では合計2365 60円の余剰金があり、第2号証に平成25年5月15日付で同236560円が 市同促口座に入金記録があることから、返金が行われたことは事実であると請求人 は考える。 しかしながら、第4号証6ページの収支決算書をよく見ると、住民交流文化スポ ーツ事業の収入が委託金163000円なのに対し、支出項目で負担金81400 円が市同促負担金として記載されている。 この81400円は、A地区同促が市同促に会費として納付すべきもので、他の 3地区では各対象世帯から200円(草津市人権政策課職員談話より)を徴収して 市同促に納付を行っている。 81400円÷200円=407世帯の計算になるが、この世帯数の積算根拠は 定かではないが、改めて第1号証を見るとき、A地区をふくむすべての地区の会費 は一銭の利用もなく、すべて市同促の収入として計上され全額が次年度へ繰越され ており、前述の平成23年度からの繰越金959028円とあわせ、 〔959028 円+265400円=1224428円〕平成25年度へ繰越されている事実が第 1号証から確認できる。 第3号証では、余剰金が生じた場合は草津市に返納する契約を結びながら、委託 金を会費に転籍させ、結果、市同促の団体収入に転用させる行為は、委託契約第9 条違反であり、違法行為であると請求人は考える。 事実証明書第5号証(以下、第5号証)と第1号証では、こうした委託金で会費 を支払う転用行為(結果、市同促の収入として繰越金になり、年々市同促の資金が 増えている事実)が確認できる。(平成20年度456451円→平成24年度12 24428円) 請求者は、A地区の会費として市同促に納入された81400円は、本来、余剰 金であり繰越金として市同促の収入になることは違法であると考えるところから、 同81400円を市同促から草津市に返還させる措置を講じるよう勧告することを 求める。また、 (A地区同促がすでに地域から会費を徴収することが困難であるなら) 市同促にA地区の状況を鑑みた施策を講じるよう促し、 (市同促が使用目的のないま ま会費の徴収を行っているのであるなら)会費そのものの徴収について、そして増 加する繰越金のあり方について今一度の検討を担当各課に促し、当事業が市民の理 解と地域の特性を考慮しつつ人権のまち「草津」にふさわしい事業になるよう尽力 することを、あわせて草津市長に強く求めるものである。 事実を証する書面 第1号証:市政情報公開決定通知書〔草人第597号〕に基づき入手した書類一式 第2号証:市政情報公開決定通知書〔草人第428号〕に基づき入手した書類一式 第3号証:市政情報公開決定通知書〔草人第417号〕に基づき入手した書類一式 第4号証:市政情報公開決定通知書〔草人第389号〕に基づき入手した書類一式 第5号証:市政情報公開決定通知書〔草人第389号〕に基づき入手した書類一式 事実を証する書面については、請求人から提出されているが、本件監査結果では添 付を省略する。 第2 監査の実施 1 監査の方法 監査は、次のとおり実施した。 ⑴ 請求人の陳述 請求人に対して、法第242条第6項の規定により、平成25年11月19日に陳 述の聴取を行った。 なお、新証拠として市政情報公開決定通知書(草まち第2094号)に基づき入手 された書類一式ならびに平成24年度B町内会定例総会の資料が提出された。また、 補足資料として平成23年度に開催された草津市隣保館等運営審議会の第2回なら びに第5回の概要録が提出され、草津市同和事業促進協議会(以下「市同促」とい う。 )会費の積算根拠であるとするA地区の世帯数やB町同促の会費はB町会計から 支出されている事実が判明したことなどを陳述された。 ⑵ 関係職員の事情聴取 関係する書類を調査するとともに、平成25年11月29日に人権政策部の職員 から事情聴取を行った。 2 監査の対象 草津市と市同促との間で、平成24年6月13日に締結された「草津市住民交流 啓発事業委託契約書」(以下「委託契約書」という。)に基づく委託料6,200, 000円から、A地区同促に再委託された860,000円の内、市同促に会費と して納入された81,400円は、違法な支出であったかについてを監査の対象と した。 第3 監査の結果 1 事実確認 ⑴ 市同促は昭和45年4月1日に設置され、会則によると市同促の目的は、草津市 が実施する同和対策事業を積極的に促進するため、市とたえず密接な連絡調整を行 い、その事業効果を高めて同和問題の早期完全解決に寄与するとなっている。 ⑵ 平成24年度の委託契約書第4条の規定に基づき、前払い金として平成24年6 月20日に6,200,000円が草津市より市同促に支払われている。 ⑶ 委託契約書第2条で委託業務の内容が定められており、同第9条では実績報告お よび精算について規定され、 「前払いを受けた委託料について、精算の結果、余剰金 が生じたときは、委託者に返納するものとする。 」となっている。 ⑷ 市同促は、委託契約書に基づいて各種事業を実施しているが、一部の事業を各地 区同促に再委託している。 ⑸ 再委託先であるA地区同促においては、住民交流文化・スポーツ事業の実績報告 書における収支決算書で、81,400円が市同促負担金として支出されている。 ⑹ 市同促の平成24年度決算報告書では、各地区同促会費として265,400円 の収入があり、A地区同促から81,400円が会費として収入処理されている。 また、市同促の会費の積算根拠は、世帯数に200円を乗じた額に均等割りとして 定額の6,000円を加えた額となっている。 ⑺ 市同促は実績報告書における収支決算書で、前払いを受けた委託料について精算 の結果余剰金が生じたとして799,189円を、平成25年5月27日に草津市 に返納している。ただし、A地区同促が、住民交流文化・スポーツ事業の実績報告 書における収支決算書で、市同促負担金として支出した81,400円は市同促へ の会費であり、これは市同促が余剰金として草津市に返納された799,189円 には含まれていない。 ⑻ 上記については、関係書類、関係職員の事情聴取からも明らかである。 2 結果 ⑴ 草津市は草津市住民交流啓発事業を実施するにあたり、市同促と委託契約を締結 しており、その際、委託契約書第4条では前払い金を、第9条では精算による余剰 金の返納について規定している。 ⑵ 平成24年度の委託契約書第4条の規定に基づき、平成24年6月20日に前払 い金として6,200,000円が草津市より市同促に支払われ、事業実績報告に 伴う精算により余剰金が生じたとして、平成25年5月27日に799,189円 が市同促から草津市に返納されているが、返納された799,189円の中には、 A地区同促が市同促からの委託事業として実施した住民交流文化・スポーツ事業に おいて、市同促負担金として支出した81,400円は含まれていない。 ⑶ この81,400円は、A地区同促が市同促へ納入すべき会費であり、A地区同 促が市同促から委託を受けた住民交流文化・スポーツ事業の経費から支出したこと は、契約目的に反し著しく妥当性を欠くもので、不当な支出であると認めざるを得 ない。 3 判断 市同促は、平成24年6月13日に締結された委託契約書に基づき実施した事業 の精算手続きにおいて、799,189円の余剰金が生じたとして、平成25年5 月27日に草津市へ返納している。しかしながら、A地区同促が市同促から委託を 受けて実施した事業において、住民交流文化・スポーツ事業の経費から市同促負担 金として支出した81,400円は、市同促への会費であったことが判明した。こ のため、81,400円は委託契約書に基づく業務の執行経費としては認められず、 余剰金として処理すべきであり、不当な支出であると認定した。 以上のことから、請求人の主張について理由があると認められるため、法第24 2条第4項の規定に基づき、市長に対し次のとおり必要な措置を講じるよう勧告す る。 市同促は、草津市との間で平成24年6月13日に締結された委託契約書に基づ き実施した事業の精算における余剰金は799,189円であるとして、平成25 年5月27日に草津市へ返納されているが、これとは別に余剰金が81,400円 生じており、平成26年2月28日までに返還するよう求めること。 (意見) 本委託事業は、草津市と市同促との間で契約を締結し実施された事業で、市同促 は一部の事業を各地区同促に再委託している。 市職員は、市同促に委託した事業の目的が達成されるよう、業務内容の執行につ いて指導や助言を与える立場にあることからも、本委託事業の経費執行における適 正な処理について指導が十分でなかったことは遺憾であり、適切な指導や助言に努 められたい。
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