2005年3月3日 太陽誘電:低Rdcと大電流を両立した巻線チップインダクタを商品化 従来品の3225サイズとランドコンパチ、 ランド設計を変更せずに置換可能 新商品と従来品の比較。下の商品が新商品「LB3218」 太陽誘電(代表取締役社長:小林 富次) は、ICへの電源供給ライン (電源回路) において使用 される巻線チップインダクタの新商品「LB3218(サイズ:3.2 1.8 1.8mm)」 を市場に投入しま す。 この新商品は 「LB/LBCシリーズ(注1)」 の品揃え強化の一環として、 お客様の使い勝手の向 上を重視して開発しました。今まで製品の使い分けが必要であった低Rdc(注2)と大電流という 特性をひとつの商品で両立させた商品です。 また、 同等特性の3225サイズの巻線インダクタ (サ イズ:3.2 2.5 2.2mm) と比較して体積で約4割、素子面積で約3割、高さで約2割の小型・低 背化を実現 (当社従来品比) 。 さらに、 3225サイズの製品とランドコンパチ(注3)で商品設計を行 ったことにより、 新たなランド設計の変更なしに置換することができます。 巻線インダクタは通常、商品設計する場合、低Rdcと大電流の両方の特性を満足させることが非 常に困難です(注4)。 そのため従来は、 低Rdcタイプと大電流タイプの巻線インダクタを使い分け て使用していました (3225サイズ巻線インダクタの当社従来品の仕様は下表参照) 。 そこで太陽誘電では、 お客様の使い勝手の向上を重視し、 両方の特性を満足させた巻線インダク タの開発に着手しました。 具体的には、 「LB/LBCシリーズ」 に使用しているフェライトと樹脂の複 合材料の設計を新たに実施。 また、軸心であるフェライトコアの形状と巻線材の太さと巻数を、 3218形状で最大限に得られる定格電流値と最低限に実現できるRdc値に合わせて最適化した 商品設計を行いました。 その結果、3225サイズの大電流と低Rdcタイプ両方の特性を満足させ た商品開発に成功しました。 この 「LB3218」 は、 3225サイズと比較して体積で約4割、 素子面積で約3割の小型化、 高さで 約2割の低背化を実現。 デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの小型薄型化を目指し ている機器の設計に対して貢献することができます。 また、 据置型ビデオデッキに代表される低価格化が進んだ成熟機器において、 新たな回路設計 を行いにくい場合でも、 既存の3225サイズとランドコンパチであることから、 新たな設計費用や手 間が不必要です。 さらに、低Rdcと大電流タイプそれぞれを設計時に使い分ける必要がない点で も使い勝手が向上します。 しかも、 電極の形状による方向性があった従来品と異なり、 電極はこれまでの 「LB/LBCシリー ズ」 と同様に方向性がないため、 容易に実装できるという特長も持ちます。 新商品「LB3218」 はすでにサンプル出荷を開始しており、2005年3月から量産スタートしま す。 サンプル価格は20円です。 新商品の巻線チップインダクタ 「LB3218」 の仕様は以下の通りです。 (下表の特性はインダクタンス10μH(注5)の場合の特性を示しています) 品名 LB3218 定格電流MAX (mA) 300 Rdc (Ω) 0.25 サイズ(mm) LXWXH 3.2 1.8 1.8 (ご参考:従来品に当たる当社製品の仕様は以下の通りです) 165 3.2 2.5 2.2 0.22 LEMF3225 300 3.2 2.5 2.2 0.41 LEMC3225 用途 : デジタルスチルカメラ、DVDレコーダ、据置型ビデオデッキ、 ブラウン管テレビ など新旧すべての電子機器におけるICへの電源供給ライン 量産 : 群馬県吾妻郡の中之条工場を中心に3月から量産スタート 価格 : サンプル価格20円 <用語解説> 注1:LB/LBCシリーズ 太陽誘電が2003年3月に商品化を発表。特性に関与しない無駄なスペースを徹底的に排除した 独自の製品構造を採用し、同等特性で世界最小サイズを実現した巻線チップインダクタシリーズ。 低RdcのLBシリーズと定格電流が高いLBCシリーズを品揃え。市場が急激に拡大したデジタルス チルカメラなど携帯型デジタル機器を中心に採用が進展している。 注2:Rdc 直流電気抵抗値。Rdcが高くなると、発熱による消費電力のロスが発生する。低消費電力を重視す る携帯機器を中心に電力量を無駄にしないため、電源回路に使用される巻線インダクタでは低Rdc が強く求められている。 注3:ランドコンパチ ランドとは、部品の電極を回路基板にハンダを使って電気的・機械的に接合するために基板上に設 けられた金属部分のこと。部品寸法と電極寸法に合わせて設計される。 このランド設計を変更せず にそのまま部品の置換が可能なように部品の電極が形成されていることをランドコンパチとよぶ。 注4:電源回路に使用される巻線インダクタにおける大電流と低Rdcの関係 低いRdc値を求めるためには、少ない巻線数(短い線長) で所定のインダクタンスを得ることができ る閉磁路構造(巻線をフェライトなどで覆い、外部に磁界が漏れないようにした構造) が望ましい。 しかし、大電流を流すとインダクタンス値が低下する (磁気飽和という)欠点がある。 一方、大電流値を流してもインダクタンス値が低下しないようにする (大電流対応可能) には、開磁 路構造(磁界が閉じ込められない状態) にすることが望ましい。 しかし、所定の必要なインダクタンス 値を得るためには、巻線材を細くして巻線数を増やす (長い線長にする) などの必要があり、Rdc値 は高くなってしまうとの欠点を有する。 そのことから、両者は両立していなかった。太陽誘電では、 フ ェライトと樹脂の複合材料の設計を新たに行い、巻線材やフェライトコアの形状を最適化して設計 することにより、低Rdcでありながら、大電流対応である巻線インダクタを実現した。 注5:μH (マイクロヘンリー) H (ヘンリー) はインダクタの誘導性能の単位。 マイクロヘンリーは百万分の一ヘンリー。
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