第6回次世代移動体通信用弾性波デバイスに関する 国際

Annual Report No.30 2016
第6回次世代移動体通信用弾性波デバイスに関する
国際シンポジウム
Sixth International Symposium on Acoustic Wave Devices for Future Mobile Communications
H27会自22
開催日
平成27年11月24日~平成27年11月25日(2日間)
開催地
千葉大学 けやき会館
申請者
千葉大学 大学院 教授 橋 本 研 也
Weigel氏(Erlangen大)により、バルク波共振
会議の概要と成果
子における非線形応答の検討結果が報告され
平成27年11月24日~25日の2日間にわたり、
た。午後前半では、横山氏(太陽誘電)
、柳谷
千葉大学けやき会館において、千葉大学主催
氏(早稲田大)並びに筆者により、Mg-HfやScが
で標記国際会議が開催された。この国際会議
ドープされた高圧電性AlN薄膜の堆積並びにデ
は、弾性波デバイス関連技術に携わる世界中
バイス応用について報告された。午後後半では、
の研究者・技術者が一堂に会し、次世代移動
萩氏(大阪大)によりピコ秒レーザ励起超音波
体通信システムへの適用に向けて、様々な観
による薄膜の弾性定数と温度特性評価につい
点から忌憚無く討論を行うことを目的とし、3
て紹介され、続いて和佐氏(横浜市大)並びに
年おきに同一会場で開催されている。
田中氏(東北大)により高T c 高圧電性薄膜の堆
今回は2012年に続いて6度目の開催となる。
積とそのMEMS応用について紹介があった。
この国際会議は主催者側が依頼した招待講演
二日目は、Wagner氏(TDK)により弾性表面
のみによって構成され、最新の内容ばかりでな
波(SAW)デバイス用パッケージ技術が紹介さ
く、これまでの経緯や背景等も系統的に紹介
れ、次に中村氏(PSFJ)並びにAbbott氏(Qorvo)
され、極めて教育的である。2001年に初回を開
によりSiO 2 薄膜を利用した温度補償SAWデバ
催したが、多くの参加者から本国際会議の有
イス開発の現状が紹介された。午前後半では、
効性が賞賛され、定期的に開催する様に要請
堤氏(太陽誘電)からアンテナ共用器の新設計
を受けた。この様な国際会議は工学系ではあ
法が、垣尾氏(山梨大)から高速SAW開発の現
まり例が無く、開催の意義は極めて大きいと
状が説明され、続いて中川氏(村田製作所)か
自負している。
らSAWデバイスにおける非線形性の解析と抑
一日目は筆者のOpening Addressに引き続き、
圧について報告があった。午後には、門田氏
Lam氏(Skyworks)により携帯電話におけるフィ
(東北大)より超広帯域共振子について、唐氏
ルタ並びに周波数制御素子の技術動向が紹介
(千葉大)より薄膜構造におけるSAWの圧電性
され、Aigner氏(Qorvo)並びにRuby氏(Avago)
について解説され、続いて韓氏(上海交通大)
により、バルク波共振子を利用したフィルタ・
により無線SAWセンサの現状について紹介さ
アンテナ共用器の現状が紹介された。また、
れた。午後後半では、近藤氏(静岡大)
、谷津
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The Murata Science Foundation
田氏(日本無線)
、Binder氏(CTR)より、それ
同士が親密になり、休憩時間にも活発に討議
ぞれ液相用、生体用、極限環境用SAWセンサ
が行われていた。
開発の現状が紹介された。そして、最後に筆
以上の様に、本国際会議を通じて、弾性波
者によりClosing Remarksが行われ、成功裏に
デバイスにおける研究・開発の現状並びに将来
終了した。
に向けての動向が整理でき、しかも今後とも基
参加者総数は 1 4 2 名を数え、外国の研究
幹技術であるために達成すべき技術的課題が
機関・企業からの参加者は 5 4 名に上る。こ
明らかとなり、会議の立案段階で予想していた
の海外からの参加者数並びに全体に占める
もの以上の成果を挙げることができた。
割合(38%)はこのシンポジウム史上最大であ
最後に、今回のシンポジウムをご支援頂いた
る。なお、一日目の講演終了後にはWelcome
村田学術振興財団に深謝致します。
Receptionを開催した。日を重ねる毎に参加者
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