第151号(1) 小樽市教育研究所報 目 次 児童生徒の活動:北手宮小の「雪まつり」・・・・・P1 授業力向上研修講座から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P2 「見通す・振り返る」学習活動・・・・・・・・・・・・・・・・P3 研究員の検証授業からⅠ ・・・・・・・・・・・・・・・・・P4 研究校・研究団体の取組から・・・・・・・・・・・・・・・・・P6 教育研究所だより ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P8 第151号 平成26年12月24日 「雪まつりの一コマ」 北手宮小学校 「雪まつり」 雪像の前で,お父さん,お母さんも一緒 にフォークダンスを踊って,寒さを吹き 飛ばします!! 北手っ子の精神を広めるために・・・ 小樽市立北手宮小学校長 柴田 眞公子 本校は,今年で開校84年を迎えましたが,平成28年度に子ども達は,手宮中央小学校へ通学す ることになります。本校は,市内の学校の中でも珍しい変遷を辿ってきた経緯があります。 昭和5年,北手宮尋常小学校として開校し,昭和16年には,北手宮国民学校と改称されました。 新学制が発足した昭和22年に,北手宮小学校を一度廃校しています。校舎は,北山中学校として 転用されました。その後,昭和34年に北山中学校より校舎を引き継ぎ,児童数843名を有する北手宮小学校として,再 び開校して現在に至っています。 そんな中で,脈々と受け継がれてきた伝統が, 「雪像づくりと雪まつり」です。昭和10年,2代目校長の高山 喜一郎 先生が,厳しい冬の自然を北国の恵みとして受け入れ,児童の心身を強健かつ人間性豊かに培いたいと願い,雪像づくりを 取り入れた「雪まつり」の基礎を築きました。本校の「雪まつり資料館」には,その当時からの雪像や卒業生,北国の生活 用品等が,多数展示されています。卒業生の他にも,道外から資料館を見学しにいらっしゃる方もおります。 北手っ子は雪が降ると, 「今年は,どんな雪像をつくろうか。 」と胸を躍らせ,想像を膨らませます。3学期が始まると, 子ども達は, 「雪像づくり」に取りかかります。本校の雪像づくりは,当時からの手法を受け継ぎ,雪踏みから始め,大型 のノコギリで雪のブロックを切り出して,積み上げていきます。仕上げは,シャーベット状にした雪を雪像の隙間に埋め込 み,成形して完成させます。大きな雪像を作っていた時代は,体から湯気が上がるほど,夢中でブロックを運んでいました。 来年度は,最後の一年となりますが,本校の子ども達が,新しい学校の友達に, 『雪像づくりを通して培っていく心身の 強健さと,マイナスをプラスに転化して,どんな状況でも楽しむ事のできる豊かな人間性』を広めてくれると信じています。 第151号(2) 授業力向上研修講座から 第5回 中学校:数学科 日 時:9 月16 日(火) 場 所:小樽市立長橋中学校 3 年 4 組 授業者:上杉和典教諭 ◆「2 次方程式」の文章題のまとめの学習が公開されました。 「基本」と「発 展」の各コースに分かれて,各自が問題プリントを自力で解決していく授業 でした。教師は主に「基本コース」で個別指導に当たり, 「発展コース」で は,自力ないし生徒同士の学び合いが活発に行われました。 ◇ ワークショップを取り入れた研究協議では,プリント 1 枚にゴールが見 え,生徒の意欲や集中力が持続した要因であるとの声もありました。 生徒が生き生きと学習している様子が印象的でした。 「わからない」と言いながら時間が過ぎても 取り組み,プリントを持ち帰る生徒の姿がとても素晴らしいものでした。 市内でも,古典的な「教える→学ぶ」という授業から,学び合う授業が多くなり新しい風を感じます。とても 大切なことだと思います。 ◇講師の先生から,柔道の授業の基本として次 の3点を教わりました。①「礼に始まり礼に 第6 回 中学校体育:柔道 終わる」をもとに,礼儀とマナーの大切さを 日 時:10月21日(火) 教えること,②「ふざけは怪我のもと」を徹 場 所:小樽市立末広中学校 底することが安全につながること,③身の安 講 師:鷲見秀継氏(札幌山の手高等学校教諭) 全を守る技術を身に付けさせるには「受身」 をしっかり指導すること。 ◆実技指導では,全員が「受身」の方法や 柔道が苦手な生徒や女子に対しての指導の仕方がとても参考になりました。柔道 「立ち技」 「投げ技」 「押さえ込み」など を通じて礼儀やマナーの大切さを伝えることが大事だと改めて確認できました。 の実技指導とそのポイントを教えてい ただきました。また,男性教師が女 子を指導する場合の配慮点も,実技を通 授業で教える技について,生徒の実態に応じて編成することの大切さを改めて認 識できました。次年度の教育課程編成に生かしていきたいと思います。 して学ぶことができました。 中学校:国語 第 7 回 日 時:11月28日(金) 場 所:小樽市立桜町中学校 授業者:小林正枝教諭 □桜町中学校 2 年 3 組で「平家 物語 扇の的」から,一人の人物を選び,その人物を論 じる文章を書く学習でした。難易度の高い内容でした が,生徒はワークシートのメモをもとに,200~300 字程 度にまとめる課題に向かって黙々と取り組んだ 1 時間で した。 ■研究協議では,授業者からワークシートの記入の観点を 絞るべきだったとの反省が出されました。参加者から は,同じ人物を選んだ生徒同士で交流させると,解決の 見通しをもつことができるのではないか,古典の学習で は音読の活動も大切であることなどが話されました。 助言者から,本時のような活動は大変難しいが,年間 を通して指導を積み重ねることで「書く力」は確実に培 われるので,粘り強く継続して取り組むことが必要です との指導がありました。 ※同じ教材でも様々な切り口があることを学ぶことがで きました。また,先生の生徒への言葉がけも適切で,やる 気がわく感じがしました。 ※普段観ることのできない中学校国語の授業を観ること ができてとても新鮮でした。発問や指導方法など大変参 考になりました。 第 8 回 小学校:外国語活動 日 時:11月12日(水) 場 所:小樽市立手宮小学校 授業者:渡邉亮介教諭 山﨑史朗教諭 (末広中学校) □手宮小学校の 6 年生が,単元名「Let’s go to Italy」 で「Where do you want to go?」 「I want to go to ( )」 の構文練習の 1 時間目が公開されました。 □児童は外部講師の山﨑教諭の流暢なスピーチに引き込ま れながら,楽しんで学習する様子が見られました。 ■研究協議はワークショップ型研修を取り入れ,活発に意 見が交わされました。 ・よい発音に慣れ親しむことができ,小中連携のよさを 感じる授業であった。 ・リズムに乗せて構文練習することは大切。 ・評価は,日常からワークシート等を活用するなど評価 資料を蓄積しておく必要がある。 ※T1 と T2 の連携がしっかりなされ,子どもが意欲的に取り 組んでいました。 研究協議も小グループでたくさん意見が 出され有意義でした。 ※担任の先生が明るく楽しい感じでした。山﨑先生の英語 が素晴らしかったです。恥ずかしがる児童もいましたが, ゲームを通して積極的にコミュニケーション活動に参加 していました。 第151号(3) 第10次研究の推進(2か年計画の初年度) 「見通す・振り返る」学習活動について 算数・数学科における「見通す,振り返る」学習活動 Mini Q&A 0.75+0.9 の計算が昨年度の全国学力・学習状況調査で出されましたが,0.84 と答えた児童が 14.5%いました。たし算です から,少なくても 0.9 より答えは大きくなるとの見通しが持てていたら,間違わずに済んだ問題のひとつです。9.3×0.8=74.4 という間違いも,9.3 に 1 より小さい数をかける 第 4 学年~図を用いて話し合うことで分数の意味を理解する事例 のだから積は 9.3 より小さくなるという見通しを 1 単元名 「分数」 もって解決することが大切なのです。これはたし 2 本時の目標 算やかけ算の答えという解決の結果を見通す例で 同分母の真分数どうしの加法で,答えが1より大きくなる計算の仕方 す。もうひとつ,解決のための方法を見通す場合 を考えることができる。 3 本時の評価規準【数学的な考え方】 があります。左図は,その一例です。 図や式を用いて,同分母の分数の加法の計算の仕方を考えている。 4 本時の主な学習活動(単元の指導計画―6/10 時間) 学習活動 留意点 ○問題場面について話し合う。 ・課題意識を高め,解決の見通 「3/5L のコーヒーと 4/5L の牛乳 しを持たせるために,実際に を合わせてコーヒー牛乳を作り 3/5L の液体と 4/5L の液体を ます。コーヒー牛乳は何 L になり 1L の容器に入れてみる。 ますか。」 ・式は 3/5+4/5 ○学習のねらいについて話し合う 「3/5+4/5 の計算の仕方を考え よう」 ・2通りの答えを出すことによ ◆答えの大きさについて見通しを り,自分の答えを説明したく 持つ なるようにする。 ・7/5 ・7/10 ○一人一人が,自分の方法で答えを ・液量図やテープ図をノートに 求める。 かいて,自分の考えた答えに なる理由をノートに書かせ る。 ◆計算の仕方を発表したり,自分が ・図のかき方を確認したり,1 考えていなかった計算の仕方を L を表す図を用いて 1/5L の 理解したりする。 いくつ分かを図にかき加え させたりする。 ・答えが 7/5 になる理由と,答えが ・液量図やテープ図を用いて 7/10 にならない理由を隣の児童 1/5 の7 つ分になることを説 と説明し合う。 明させる。 ○考え方の共通点やよさについて 話し合い,本時の学習のまとめを する ・1/5 をもとに考えるとよい ・3+4という整数のたし算になっ た ○まとめと振り返り 「分母はそのままで,分子だけた し算をするとよい。」 ・隣同士で組になり,面積図や ○類題,図を基に説明をかく 数直線などそれぞれのやり 「6/7L と 3/7L を合わせたら何 ℓ 方で答えを求めた方法を発 になりますか。」 表し合い,相互評価させる。 「言語活動の充実に関する指導事例集(小学校版)文部科学省」から 「見通す」場面 本時は 3/5L と 4/5L を合わせる場面です。 児童 からは,7/10L か 7/5L かで議論が起こってきま す。数や式で考える児童もいますが,これまで の分数の学習で用いた「液量図」 「テープ図」に 表して考えようとする児童もいます。こうした 「図に表してみよう」というのが解決方法の見 通しです。 結果の見通しだけではなく,こうした方法の 見通しを持たせて取り組むことにより,新しい 場面に出合っても解決できそうだということ を感じることができます。その積み重ねによっ て,見通したことのよさを実感できるようにさ せたいものです。 図の表現を的確かつ明確にすることで,答え の正しさを説明する A児の「3/5L と 4/5L を合わせると 7/10L にな る。 」という主張に対して,B児は「7/10L なら1 L を 10 等分した 7 つ分なのに,2L を 10 等分し ているから違うと いう主張が生まれ る。C児が右図の ような数字を書き 入れ, 「1/5L が 7 つあるので 7/5L です。 」という考えにA児も納得した。 「振り返る」場面 「全体を 10 等分したので 7/10L」がなぜ間違い なのか,C児の考えを具体的に説明させたり話し合 わせて,明確にすることが大切です。特に,図を基 に説明をすることは有効であり,1に当たる大きさ をそろえることや,1L を基にした単位分数のいく つ分という考えが大切であることを授業のまとめと したいものです。 解法を振り返り,何が大切なのか,今後はどうい うように計算するとよいのかをまとめることが,算 数授業における振り返りと言えます。 第151号(4) 研究員の検証授業Ⅰ 小樽市立銭函小学校教諭・西山誠一研究員 思考力・判断力・表現力等をはぐくむ学習指導の研究 ~授業における「見通す・振り返る」学習活動の実践を通して~ 小樽市教育研究所の第 10 次研究は,授業過程における「見通す・振り返る」学 習活動を重視する指導の在り方の追究です。 ■研究仮説 学習過程に「見通しを立てたり,振り返ったりする学習活動」を計画的に取り入れる ことによって,基礎的・基本的な知識・技能を身に付け,主体的に学ぶ力をはぐくむ ことができるであろう。 □本実践では,この仮説を踏まえ,見通しや振り返りについて,どのような内容 で,どの場面で位置付けるとよいのかという観点から授業づくりを行いました。 本時の指導案(5/9 時間) ○児童の活動 □教師のかかわり ▲C評価児童への手立て △B評価児童への手立て 支援・評価 学 習 活 動 つ ○前時までの学習を想起する。 ・三角定規の角の大きさを確認する。 60 ° □T1~全体指導 90゜ 45 30° 90゜ 1 組の三角定規を組み合わせて,いろいろな角度 をつくろう。 ○見通しをもつ。 考 え る ・ 深 め いろいろな角をつ くれそうだな ○自力解決する。 ・三角定規を組み合わせて,いろいろな角をつくる。 ・できた角はノートに書いておく。 ○ペア交流を行う。 ・ノートを見せたり,三角定規を使ったりしながら考え たことを伝え合う。 ○全体交流を行う。 できる角は 15°30° ・実物投影機を使って説明する。 45 ° 60 ° 75 ° 105 ° ・気付いたことを発表する。 120°135°~ る いろいろな角度ができるんだね 角もたし算やひき算が使えるね 15°ずつ増えているよ。 90°165°もできるのかな? ま と め る 三角定規を組み合わせて,いろいろな 大きさの角のつくり方を考えることがで きる。 (数学的な考え方) 2 評価規準 十分満足で きる状況 概ね満足で きる状況 概ね満足で きる状況に 至らない児 童への手立 て 三角定規を組み合わせていろいろ な角をつくり,ノートに書くとと もにその規則性に気付いている。 三角定規を組み合わせていろいろ な角をつくり,ノートに書いてい る。 三角定規の角を実際に組み合わ せ,たし算で角を求めることがで きるようヒントを与える。 研究の視点 ○見通しを立てたり,振り返ったりする 学習活動を重視した授業過程を工夫す る ○課題をとらえる。 75°はあ の角とえ の角を組み合わせると できるね。 □検証授業単元「角」 □本時の授業について(5/9 時間) 1 本時の目標 □T2~個別指導 か む 第 4 学年算数科「角」の実践から ○友だちの考えをノートに書く。(ノート整理) ・自力解決で途中だったものがある時は続きを書く。 ・板書をもとに友だちの考えを書く。 ○学習の振り返りを行う。 ・板書をもとにして,自分の言葉でわかったことを書く ・隣同士で書いたことを伝え合う。 ○次時の学習を知る。 □T1:子どもからの声を もとに例を 1 つ挙げ, 実際に全員で三角定規 を操作して作業の仕方 を確認する。 考 三角定規の角を組 み合わせていろいろな 角をつくることを考え ている。 【ノート,行動観察】 ▲T2:三角定規の角を実 際に組み合わせ,たし 算で角を求めることが できるようにヒントを 出す。 △T1:できた角度の規則 性を考えさせる。 □T1:発表支援をする。 □T2:板書をする。 ▲T1,T2:学習したこと を教師と確認しながら まとめを書くようにす る。 1「既習を生かした見通し」の設定 新しい課題に対して,既習の事項を活 用して解決の見通しをもたせていく。そ のために,分度器の使い方や三角定規の 角の大きさ,直角・2直角・3直角・4 直角など,学習したことを見やすく教室 掲示をしていく。分度器を用いて角度を 図る場面では,角度の量感をもたせるこ とが重要であり,およそ何度くらいか答 えの見通しをもたせる工夫も行ってい く。 本時では 三角定規を組み 合わせて角をつく るためには,その 手順を共通のもの にすることで自力 解決への見通しを もたせたいと考え た。1つの例題をもとに, 「組み合わせる」 とはどういうことか,実際に三角定規を操 作しながら確認していった。また同時に, ノートへの記録の取り方も指導すること によって,子どもたちの探求意欲を喚起さ せていた。 第151号(5) ○見通しをもたせる段階 児童の一人が「135°ができそう。 」と発言したが,その 発言をもとに,実物投影機によって「どのように考えて 135°って思ったのか」を当該児童に操作させた。 ※見通しをもたせるためにそろえた指導事項 ・1 組とは,2 つの三角定規を使ってできる角のこと。 ・組み合わせるとは,三角定規の頂点と辺をくっつけ ること。 ・作った角はノートに残すこと。 このことによって,児童は解決方法の見通しを概ね持 つことができたと思われる。 ○自力解決の段階 児童一人一人の三角 定規には,角の記号を 示す同一のシールが貼 られていた。 見通しをもつことで, 定規を合わせてたし算 で求める方法は,ほとんどの児童が 抵抗感なく導き出していた。 また,自力解決中に「ひき算でも できそう」という児童のつぶやきを 教師がとらえて,全体に投げかける ことでその方法も全体のものとなっ ていった。 ○ペア交流の段階 お互いの考えを,記録したノートを もとに交流していた。自分で気付かな かった角の組み合わせや,特にひき算 を用いた解決方法について,どこがそ の角度になるのかを互いに聞き合う 姿がみられた。 ○全体交流の段階 児童が求めた角度は,実物投影機上で操作を通して確認 し合った結果,10以上の組み合わせによる角度が示され た。これらの板書から気付くことを問うと,児童は ・15 度刻みに増えている ・最後は 180°で終わり? ・角度の1の位はどれも0か 5 になっている ・下に並んだ角度は,たし算で求められるよ ・上はひき算だ など,気付いた点を活発に発表していた。なかには,ス タートは 0°から始まるんじゃないかな?という声も。 さすがに 0°を 予想した児童はい なかったが,一石 を投じた発言であ った。 全体交流で,ひ き算で求めること に抵抗感のある児 童に対して,どう したら(どのよう に三角定規を操作したら)ひき算になるの?という疑問に, ひき算を用いた児童は, 「2 枚の三角定規の合わせた辺を,パ タンと折り返すとひき算になるよ」などと,具体的に説明す るなど,相手に分かるように説明していた。 2「まとめを共有する振り返り」の設定 学習の最後に「自分の言葉でまとめを書く」活動を行う。 「本時の学習で分かったこと」を基本として,友だちの考 えのよさにも触れながらまとめを書くよう指導する。書い た自分なりのまとめは,ペアで交流させる。 本時では 1 時間のまとめを自分の言葉で 書かせ,板書をもとに各自が振り 返りを行った。最後に,教師の「 165°はできる?」の問いに,児童 は, 「3 枚の定規ならできるよ」 , 「 あ と○ う と○ え でできる」な 例えば,○ どと,本時の学習の定着を確認し授業を終えた。 3 成果と課題 ◇ 見通しをもたせる工夫として,例えば 1 つの方法を取り 上げて方法を示したり,操作を見せることで自力解決へ の具体的な見通しをもたせることができる。 あ などの記号を付けることで,伝え合う ◇ 三角定規の角に○ 活動がスムーズに行われる。 ◇ 自分の言葉でまとめさせるためには,全てを児童に丸投 げするのではなく,キーワードを使ってまとめるよう指 導することで「自分なりのまとめ」ができる。 ◆ 板書をもとにまとめた「自分なりのまとめ」は,全体で の交流によって更に深めることができる。 1 時間の授業で はそこまでを目指すようにしたい。 第151号(6) 研究校・研究団体の取組から (2)板書の構成 小樽市立花園小学校(研究交流校) 自ら意欲的に学び、 互いのよさを認め合う子どもの育成 1.研究主題 自ら意欲的に学び, 互いのよさを認め合う子どもの育成 ~算数のよさ 自分のよさ 友だちのよさを感じる学習~ ①日付,No.を書く。 ②課題とまとめを色チョークで囲む。 ③子どもの「つぶやき」や「考え」を板書する。 ④学習の流れがわかる板書になるように! (3)ノート指導とノートコンテストの実施 2.研究仮説 仮説1 仮説2 子どもが自ら意欲的に学び、主体的に取 教師の適切なかかわりと評価によって、 り組む学習活動が行われることによって、 学びの質が高まり、生き生きと学習に取り 算数のよさ、子どものよさが発揮される。 組み続ける子が育つ。 3.研究の視点(研究内容) 視点1:子どもが自ら意欲的に学び,関心や意欲をも って取り組む学習 ◆子どもが主体的に取り組む授業づくり <導入場面の工夫 板書とノート指導> ◆互いのよさを発揮する交流場面 <小集団による交流・全体交流のあり方を考える> 視点2:子どもの意欲を引き出し,学びを深める教師 のかかわり ◆子どもの変容を見とる評価活動 <レディネステストの活用・授業場面における評価活動> ◆子どものよさを引き出す教師のかかわり <TT・習熟度を生かした教師のかかわり> 4.実践事例 今年度は,1時間の中で獲得すべき学習内容をおさえ た上で, 「導入場面をどのように作っていくか」 , 「板書の 構成とノートづくりはどうあるべきか」 , 「レディネステ ストの活用の仕方」に焦点をあてて,授業実践を行った。 (1)導入場面の工夫(具体例) ①日付,No.を必ず書く。(全員でふり返るときに便利) ②課題:学年を追うごとに,丁寧にすばやくわかりやすく書ける ようにする。自分の問いや課題が見つかれば,それも書く。 ③自分の考え:図や絵で表してイメージを作るなどして,解決の 見通しを書く。矢印や吹き出しなどを使ってわかりやすく書 く。 ④みんなの考え:交流してわかった考えや,発表された友達の考 えを書く。 ⑤まとめ:わかったこと,気がついたことは自分の言葉で書く。 ※ノートコンテストを行い,ノートづくりに対する意欲を喚起し た。 (4)レディネステストの活用 新しい単元に入る前にレディネステストを行い,児 童の実態に合わせた指導をするとともに,習熟度別少 人数指導におけるコース分けの際の資料とした。 導入場面でブラックボック スを使い,問題をイメージ 化しやすくし,子どもたち の興味関心を喚起する。 提示する絵をフラッシュ的 に見せることによって,演 算に必要な数に注目させ, 知りたいと思う気持ちを高 める。 折り紙が□まいありま す。1人に□まいずつ配 ると,何人に分けられる でしょうか。 箱の中に数の書いたカード を複数枚入れておき,子ど もがひいて,□の中の数を 決めていく。 5.今後に向けて(公開研究会で指摘された内容~抜粋) ・1時間の授業で,子どもにどんな力をつけさせてあげ たいのかを,まず具体的に定めること。 ・評価基準についても,子どもの具体的な姿で表してお くこと。 ・発問等,教師側の言語環境を整備し充実させること。 ・導入は,興味関心を高めることにとどまるのではなく, 問題意識につながるようなものになること。 ・日常の授業をレベルアップするためにも研究授業に取 り組んでいくこと。 (執筆者 教頭・銭 谷 美 毅) 第151号(7) 小樽市道徳教育研究会「みちの会」 (研究交流団体) 『子どもの心に響く道徳教育の充実』をめざして ~魅力ある授業づくりと資料開発を通して~ はじめに 小樽市道徳教育研究会『みちの会』は,道徳の授業の実 践化,資料の開発や提供,道徳教育に関する情報の発信な ど,小樽市における道徳教育の充実に寄与することを目的 に平成19年8月31日に設立され,本年で8年目を迎え る。今年度も19名の会員が所属し,日々の授業改善や資 料開発はもとより,公開授業研究会や研修会を通して研究 を推進している。 『私たちの道徳』の導入や特別の教科「道徳」の実施へ 向けた準備など,大きな転換期を迎えている道徳教育につ いて,共に学び,高め合う研究を目指して活動している。 具体的な活動について 1 道徳教育研修会 11月25日,道徳教育に関わる国・道の情勢や今後の 動向について研修を深めることを目的に,道徳教育研修会 を開催した。 ・講演1「道徳教育の現状と課題 ~特別の教科『道徳』の 導入に向けて~」 講師:北海道道徳教育研究会事務局次長 荒島 晋氏 ・講演2「全国小学校道徳教育研究大会岐阜大会報告」 講師:小樽市立稲穂小学校 齋藤 直哉 教諭 かなめ 要 となる道徳の時間を5時間設定して取り組んでいる。 研究協議では,いきいきと学ぶ子どもたちの姿から,す べての基盤となる学級経営について,1時間の流れが見え る板書,子どもの思考を引き出す発問の工夫などについて 話し合われた。 積極的に自分の考えを発表する子どもたち (2) 忍路中学校1年 授業者:小原 明彦 教諭(T1) 清野 知嘉子 教諭 (T1), 松川 宗平 教諭 (T2) ・主 題 「集団生活の向上,役割と責任」 ・内容項目 4-(4)社会的役割と責任 忍路中学校では,多様な考えを引き出したり,多角的な 生徒理解に努めたりできるように担任を T1,副担任を T2 とする TT 体制(チーム・ティーチング)で道徳の時間を進 めている。本時は, 「長縄跳び」 (学研)という資料をもと に,所属する集団の向上のために,進んで自己の役割を果 たすとともに,協力し合い,寄与しようとする心を養うこ とをねらいとした授業だった。 10月に行われた学校祭での体験を導入で扱い,展開で は資料を通して道徳的価値を自覚させ,終末で「私たちの 道徳」を使って道徳的実践力を育む授業展開であった。 授業後,後志教育局義務教育指導班指導主事の指導のも とワークショップ型の研究協議を行って研究を深めた。 道徳教育の最新情報について講演する荒島氏 2 授業研究 小学校・中学校各一本の授業を公開し研究を深めた。 (1) 稲穂小学校5年2組 授業者:齋藤 直哉 教諭 ・主 題 「自分を高めていくために」 ・内容項目 1-(2)努力・希望 「大きなガッツポーズ」 (小五教育技術より)という資料 をもとに,夢や目標に向かって努力することの大切さに気 づき,強い意志を持ってくじけずに生きようとする心情を 育むことをねらいとした授業だった。 目指す子どもの姿として「自分のよさを発揮し,高めよ うとする子ども」を設定し,他の教科・領域や日常生活と の関連を主題構成図に表し,12月から1月までの期間に 活発に話し合うワークショップ型研究協議 おわりに 今年度は,小樽市教育研究会道徳部会や北海道道徳教育 研究会と連携し研究を進めることができた。これからも小 樽市における道徳教育の現状と教科化などの今後の動向を 踏まえ,各校における道徳教育の充実に寄与できるように 研究を推進していきたい。 (執筆者:事務局長・大坂 充) 第151号(8) 教育研究所だより 第2回研究図書貸出フェア開催 期間:平成 26 年 12 月 15 日(月)~ 平成 27 年 1 月 16 日(金) 開所時間: 午前 9 時~午後 5 時 場所:小樽市教育研究所(市教委庁舎2階) 新刊図書を紹介します 研究所所蔵の研究図書及び研究紀要等の資料を貸出いたします。 第1回の夏季開催時と同様,教育研究所に来所していただき,自由にご 覧ください。希望図書や資料がありましたら,貸出カードに記載して終了 です。冬季休業中も多忙とは思いますが,休業中の研修や研究の一助とし てご活用いただければ幸いです。 ※ここに紹介するのは,ほんの一例です。 「冬の研究図書貸出フェア」のリーフレット(チラシ)の裏面もご覧ください。 ①比べる②当てる③作る④数える⑤仲間を 見つける⑥表す――6つの視点を使えば、子 どもが「伝えたくなる」 「考えたくなる」 授業が実現! 学年も単元もバリエーション 豊かな 60 実践が収録されています。研究授業 のみならず日常の教材研究にも役立つ一冊で す。 (東洋館出版社) 初任1年目での「先生、勉強やめよー。面白 くなーい。 」との子どもの言葉。 “もっと授業が うまくなりたい” “子ども達に待ち遠しいと言 われる授業がしたい” 。今や“授業のプロ”と 言われる著者が、そこから這い上がっていく様 子をまとめた、初任1年目からの格闘記です。 (明治図書) 読む、話す・聞く、書くことの学習指導に位置付け られた〈書く〉ことを「言語活動構造図」に明示し、 〈書く〉ことが学びのツールとして機能する授業が示 されています。 実践事例が小・中学校の教材から厳選しており,そ の実践を裏付ける理論編も充実しています。お勧めの 一冊です。 (東洋館出版社) どうすれば、教室にうまく『学び合い』を取り入れ ることができるのか。日常的に『学び合い』を展開し ていくことの考え方やコツ、具体例を示し、授業やク ラスづくりで成功する『学び合い』のポイントをまと めた一冊です。授業づくりは学級づくりでもありま す。是非,学級経営の観点から授業を見つめ直してみ ませんか。 (学事出版) 日常の生徒指導や保護者との関係等で,次のようなことはありませんか。 スクールソーシャルワーカー(SSW) 活用してください! ◆児童生徒が不登校等で学校が保護者と十分連携が図れず対応に苦慮している。 ◆問題を抱えている児童生徒に対して,学校だけでは対応が困難である。 教育研究所には,スクールソーシャルワーカー(SSW)が,週3日(原則月・水・金)常駐しています。上記のような 場合,SSWが中核となって児童生徒が置かれている様々な環境や問題に働きかけ,学校の枠を超えて保護者や関係機関等 と連携・調整し,学校とともに児童生徒の問題行動の解決に当たります。 派遣を要請する場合,指導室にご連絡ください。素早く対応いたします。 研究・研修図書の貸出 【電話 32-4111 内線 222】 【E-mail [email protected]】 1貸出の手続き 。 ◇教育研究所に来所して借りる場合 ・借りる図書を所員に伝え,貸出簿に必要事項を記入 する。 ・返却期日までに持参,又はメール便等で教育研究所 へ返却する。 ◇教育研究所のホームページから検索して借りる場合 ・希望の図書を検索し,教育研究所に電話もしくはメ 教 育 相 談 メールで①~③の内容を連絡する。 ①氏名と学校名 ②図書名と整理番号 ③貸出期間 ・図書はメール便でお送りします。 ・返却は上記同様です。 2貸出期間 ・原則,2 週間とします。 (延長する場合は連絡をしてく ださい)ただし,新刊書は期日厳守でお願いします。 ◆小・中学生の子どもや保護者のための面接相談・電話相談・メール相談を実施しています。いじめや学校 生活全般にかかわる心配ごとなど,遠慮なくご相談ください。 ○ 対象:小中学生及び保護者 ○ 来所相談・電話相談:22-4812 (月曜日~金曜日:午前 9 時から午後 5 時) ○ 夜間留守番電話:22-4812 (午後 5 時から翌朝 9 時,土・日曜日,祝日は終日) ○ 教育相談メール:kyoiku-sodan@city.otaru.lg.jp (終日)
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