3 教員による授業の自己点検・自己評価

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教員による授業の自己点検・自己評価(教員のコメント)
本年度も、アンケート結果を担当教員にフィードバックし、それに基づいて自らの教育
理念と照合し、評価を行ってもらい、報告書を作成してもらうことにした。アンケートと
いうものは、得てしてやったことだけで満足してしまうこと、あるいはアンケートの集計
結 果 を 統 計 的 処 理 だ け で 終 わ り に し て し ま い や す い 。そ こ で 、ア ン ケ ー ト 結 果 に 基 づ い て 、
教員個々の主体的判断に基づいて現状分析をすることを課すことにした。単なるアンケー
ト結果の羅列に終始せず、むしろアンケート結果を受けて個々の教員がどのようなことを
そこから読み取るかを重視し、また、アンケートに協力してくれた学生諸君への応答
response の 意 味 を も 込 め た も の で あ る 。
次のページから、提出された報告書およびアンケートの集計結果をそのまま一切手を加
えないで掲載する。
掲載順は
専任教員
一般教育
看護学科
歯科衛生学科
社会福祉学科
非常勤講師
で、それぞれの中は五十音順とした。
<注>
① 教 員 は ア ン ケ ー ト を 実 施 し た 科 目 ご と に 自 己 点 検・自 己 評 価 し 、 以 下の 項 目 に し た が っ
て 原 稿( 1 ペ ー ジ )を 作 成 し た 。た だ し 、教 員 の 判 断 に よ り 、複 数 科 目 の 自 己 点 検・自
己評価を一括して記述して良いこととし、その場合は2ページ以内とした。
Ⅰ 授業のねらい
Ⅱ 授業の自己点検・自己評価
Ⅲ 授業改善の展望
② 報 告 書 の 対 象 科 目 の 欄 に は 、ア ン ケ ー ト を 実 施 し た 科 目 名 を 記 入 す る 。さ ら に 、科 目 名
の後の括弧内に、授業形態(講義、演習、実習)を明記することとした。
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学科:一般教育等
職名:助教授
氏名:金子智子
対 象 科 目 : 生 物 学 ( 講 義 )( 第 一 看 護 学 科 、 歯 科 衛 生 学 科 )
Ⅰ
授業のねらい
一般教育では知識の習得は勿論、人間として、社会人として物事を主体的に考え実践す
る 能 力 を 養 う こ と が 重 要 で あ る と 考 え て い る 。そ こ で 、基 本 的 か つ 重 要 と 思 わ れ る 知 識( 真
理)を提供すると同時に、これらの真理が地道な沢山の研究の積み重ねの中から論理的に
導 か れ た も の で あ る こ と を 示 す こ と に よ っ て 、自 然 科 学 的 な 物 の 考 え 方 を 伝 え た い と 思 う 。
また、この授業が“生命”さらに“ヒトという生物”について改めてじっくり考えるよい
機会になることを願っている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
高校で生物学を履修した学生とそうでない学生とのギャップに配慮して、授業内容は高
校生物1Bを少し上回る程度のものとし、個々の知識を有機的に繋げることに努めて何と
か短大生にふさわしい内容にしたいと考えて授業を進めた。昨年と同様に、学生が何に関
心を持っているのかを知り、理解度を計る目的で、授業の最後に質問や意見を記すことを
課し、質問には必ず答え、学生の興味の傾向に配慮した授業を展開することに努めた。ま
た、今年度は授業の目的や目標を示す内容のプリントを配布した。これらの試みの結果、
第一看護学科の学生は授業内容、教え方に満足していることが伺えた。例年、評価の低い
総合評価が高くなり、大変分かり易く理解できたとの声が多く寄せられて手応えを感ずる
反応であった。しかし、歯科衛生学科の学生は、具体的な記述はないものの不満を感じて
いるようで、相変わらず評価が低かった。他学科と歯科衛生学科とのこのような評価の違
いが何に起因しているのかについては、具体的な声がない中で、今のところはっきりした
答えを出せないままである。今後、さらに分析して、何らかの対策を講じなければならな
い問題と認識している。
Ⅲ
授業改善の展望
授業の最後に質問や意見を聞く試みが一定の成果を上げたと思われるので今後もこの方
式を継続する考えである。また、授業の目的や目標を示すプリントの配布も好評なので今
後も続けていきたいと思う。暗記するだけでなく物事をきちんと理解することこそ重要と
の考えから、例年、試験には論述問題を採用しているが、文章で表すことの苦手な学生の
多 さ に 愕 然 と し 、知 識 を 羅 列 的 に 丸 暗 記 す る こ と で 満 足 す る 傾 向 を 痛 感 し て い る 。そ こ で 、
物事を理解できた時の楽しさを沢山味わって欲しいという願いから、学生に不評なことを
承知の上であえて論述課題を与えることを今後も続けていきたいと思う。さらに、来年度
は試験の時だけではなく日常の授業時間にも課題を与えて、自ら考えることを課したいと
計画中である。そのことで生物学に対する興味や関心が高まることを期待したいと思う。
また、実験は例年大変好評なのでさらに充実させるべく工夫したいと思う。より具体的な
ものを求める傾向があるのでビデオなどうまく取り入れることを検討しなければならない
と考えている。
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学科:一般教育等
職名:助教授
氏名:館山光一
対 象 科 目:情 報 処 理 演 習( 演 習 )
( 歯 科 衛 生 学 科 、社 会 福 祉 学 科 社 会 福 祉 専 攻 、看 護 学 科 1
年)
Ⅰ
授業のねらい
高 校 で「 情 報 」が 必 修 に な っ た こ と に よ り 、本 学 で の 情 報 処 理 教 育 も 修 正 が 必 要 と な り 、
現在はこの「情報処理演習」が高校で学んだにもかかわらず(?)習得できていない者た
ちのための”導入教育”的な役割を果たしつつあるように思われる。この授業は、本学で
いつ実現するかわからない、”導入教育”を目指したものである。したがって、授業の目
的は、メール、ワープロ、表計算等の使えない学生を限りなくゼロにすることである。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
昨年度と比べると、授業が理解できないという苦情はだいぶへってきたようである。し
かし逆に、授業がやさしすぎるという文句が出始めた。徐々にではあるが、目標としてい
るレベルに近づいているように思われる。ただ、プリントが欲しいという要望は相変わら
ず 多 く 、 や は り web コ ン テ ン ツ を 充 実 さ せ る こ と は 必 須 の よ う で 、 on line text の 整 備 は
避けてとおれないようである。
Ⅲ
授業改善の展望
徐々にではあるが、パソコンの使えない学生のための授業になりつつある。しかし、や
さしい授業になるために、”単位稼ぎ”のための学生目立つようになり、この集団をどう
処理するかは大きな問題である。個人的には制度的な解決が望ましいと思うのだが、制度
の改革には皆さん不熱心なのであまり期待できないだろう。多少面白そうな内容を含める
しか手はなさそうである。
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学科:一般教育等
職名:助教授
氏名:館山光一
対 象 科 目 : 統 計 学 入 門 ( 講 義 )( 看 護 学 科 1 年 )
Ⅰ
授業のねらい
統計学を理解していない”統計使い”が増えている昨今、きちんと教えたいと思いなが
ら、その基礎知識(特に数学)の貧弱さに苦しんでいるのが現実です。それでも、相変わ
らずきちんとした統計学を教えることが、唯一の、そして最大のねらいです。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生にとっては苦行の時間となっているようです。もうこれ以上はない、というほどレ
ベルは落としているのですが、それでも耐えがたい難しさのようです。やさしいことだけ
教えるという方法もあるのですが、それでは統計学を教えるということにはなりません。
われながらそれなりによくやっているとは思いますが、学生の評価は最低に近いと思われ
ます。
Ⅲ
授業改善の展望
数学の準備(導入教育)なしにこの授業は成立しません。
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学科:一般教育等
職名:助教授
氏名:鶴橋俊宏
対象科目:言語と表現(講義)
Ⅰ
授業のねらい
言 語 は 、人 間 の 精 神 的・社 会 的 活 動 の 根 源 で あ る 。そ の 言 語 の さ ま ざ ま な 側 面 に つ い て 、
主に母語たる日本語を対象として、言語学の方法を用いてアプローチをすることで、言語
を い か に 見 る か の 基 礎 を 学 ぶ こ と を 目 的 に す る 。具 体 的 に は「 言 語 の 実 体 は 何 か 」
「ことば
の 意 味 と は 何 か 」「 こ と ば の 論 理 性 と は ど ん な も の か 」「 正 し い こ と ば と は 何 か 」 の 四 つ の
柱を立て、言語の本質と普遍性とを実際の言語活動に即して説明する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
アンケート結果を見ると看護学科と歯科衛生学科の自由記述が全く同じであった。作業
過程のエラーであろう。また、その他は受講者数が少なかったので委員会の指示に従いア
ンケートを実施しなかった。したがって、現段階では非常に少ない回答から判断せざるを
得ない。
受講学生とコミュニケーションをとりながら進度を調整しつつ講義を行ったのは評価が
高かった。ただ、これは受講者の姿勢、クラスの雰囲気に左右されるので、教員の実力以
上 に 学 生 の 資 質 に よ る と こ ろ が 多 い 。必 ず し も 私 の 授 業 運 営 が 良 か っ た と も 言 い 切 れ な い 。
昨年度指摘のあった「話し方」について、文末の明瞭さを心がけてきた。その成果かど
うかは分からないが本年は問題を指摘する声が見られなかった。
ここ数年、自ら編んだテキストを用いているが、学生の評価は区々である。これは、記述
の仕方、内容の多寡に対するものであろう。
Ⅲ
授業改善の展望
言語の研究を専門とする学生を対象としていないが、大学の授業科目としての水準は保
たなくてはならない。一方で、社会におけることばや論理を軽視する風潮が、国語力の不
足として顕在化しているようなので、この点にも配慮しなくてはならないと感じている。
また、高度消費社会の波の中で過去の言語文化に関して、非常に関心の高い少数と、ほと
んど顧みなくなっている大多数との間に言語運用能力の基底の部分に差が生じていると思
う。具体的には古典的教養の差である。これは本講義の隣接分野なので、なんらかの形で
講義に盛り込みたいと考えている。
これらは、半期の講義の中で扱うにはあまりにも問題が大きい。これまで、授業の目的
に 沿 い つ つ 、こ れ ら の 諸 問 題 に つ い て 、受 講 者 の 自 覚 を 促 し 道 筋 を 示 す 努 力 は し て き た が 、
さらにここを厚くしていく必要があると思う。
テキストに対する不満の一つは、もう少し詳しく学びたいという欲求であろうと思われ
る。そのような受講者のために参考文献の紹介を増やしていこうと思う。また、記述や説
明については、講義中にその缺を補っていきたいと思う。
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学科:一般教育等
職名:講師
氏名:内藤初枝
対象科目:食生活と環境(講義)
Ⅰ
授業のねらい
私たちの食生活の実態、そこには過食を主因とするメタボリックシンドロームの増加や
ダイエットによる人為的なやせ、家族が食卓を囲まない、不二家の事件が象徴する食品倫
理問題、季節感のないマーケットの野菜陳列台など「食」に纏わる様々な現象が見られま
す。
「 食 生 活 と 環 境 」で は こ れ ら に 関 す る 現 象 を 学 生 の 食 生 活 の 目 線 か ら 具 体 的 に 紹 介 し「 食
べること」の真の意味を問うとともに科学的思考を通して “食生活に関する目を肥やす”
ことを目標に授業を実施しています。生物としてヒトが食事を摂ることの意義を理解した
上で、教養人として食を通した「中庸」の大切さを自覚できるよう授業を組み立てます。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
今 年 度 の 受 講 生 は 148 名 、 担 当 教 員 2 名 で 実 施 し た 授 業 は 、 実 際 の 食 生 活 と 関 わ り の 深
いテーマを選定しているため例年通り学生の授業への姿勢は熱心でした。学生の評価結果
は 昨 年 よ り 向 上 し Ⅰ ∼ Ⅲ ま で い ず れ も 4.3±0.8 と 高 い 結 果 と な り ま し た 。今 後 改 善 す べ き
点としては、毎回実施するレポートの記述をもとに学生の理解度の把握を重視します。講
義テーマについては時々刻々と替わる現代の食に関する話題性を重視し、学生の興味・関
心を喚起させるとともに食に関して主体的な行動ができるよう学生に意識改革の必要性を
語っていこうと思います。レポート課題は学生に若干負担があるようですが、その日のテ
ーマを自分なりに整理する上で大変有効に活用されていました。この授業から教養人とし
て食を通した「中庸」の大切さを理解してもらえるよう取り組んでいきます。
Ⅲ
授業改善の展望
毎年学生の評価は全項目とも高く、教員の熱い想いは通じているようです。しかし例年
と同様多人数で講堂という二つの要因により、無駄話をする者が他の熱心な学生の学習意
欲を妨げる場面が今年も見受けられました。その都度注意を促すのが手っ取り早い対処法
ではありますが、授業の流れが寸断されるため教員にとっても熱心に聴講している学生に
とっても大変苦痛なことで対応に苦慮しています。現状に対し決定的な解決方法はありま
せんので次年度もこまめに注意を促すなどの方法で対処していきます。なおホワイトボー
ドの見辛い字に関しては、今年は専らプリントで対応したのでとくにクレームは生じませ
んでした。なお今年はマイクの調子が不安定で突然金属音が鳴り響き大変不愉快な思いを
しました。事前の点検では問題が無くてもビデオを作動すると連鎖反応で共鳴していたよ
うです。施設管理については教員の関われないこともあるため、こちらも丁寧に申し入れ
対処していきます。このほか視聴覚資料については、従来同様「食」に関するリアルタイ
ムの問題提起ができるようあちこちにアンテナをはり、俊敏な対応が出来るよう日々心が
けていきます。
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学科:一般教育等
職名:講師
氏名:内藤初枝
対 象 科 目 : 家 政 学 概 論 Ⅱ ( 講 義 )、 家 政 学 実 習 Ⅱ ( 調 理 実 習 )
Ⅰ
授業のねらい
介護対象者にとって高い質の食事提供は大変重要です。そのためには対象者の生理面・
心理面さらには生活面など様々な要素についての知識・技術を修得する必要があります。
両科目では日々欠くことのできない「食事」をいかにして充実したものにするかという観
点に立ち、食品や栄養素の機能・食品衛生学的知識・対象者の生理と病態の知識さらには
生活文化などについて学び、これらを有機的に関連づけ、食生活に対する実践的能力を培
っていきます。これらの応用編として「調理実習」が設定されていますが、ここでは対象
者 の 「 口 か ら 食 べ る 楽 し み 」 を 尊 重 す る と と も に 、 居 宅 生 活 対 象 者 へ の QOL 向 上 の 一 助 と
なるような科学的根拠に裏付けられた内容で対象者に合った食事作りの基礎力を培います。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
家政学概論および実習は両科目併せて表裏一体化しているので、前期から実習の意義に
ついて少しずつ刷り込みをしています。今年も家政学実習Ⅱの学生評価を中心に報告しま
す。専門職として将来食事に関わる様々な機会が生ずる可能性の高い学生の調理に関する
基 礎 力 を レ ベ ル ア ッ プ さ せ る た め 、家 政 学 概 論 Ⅱ で「 居 宅・グ ル ー プ ホ ー ム に お け る 簡 単 ・
お い し い 介 護 食 − 基 礎 知 識 と レ シ ピ 200: 自 著 」 を 配 布 し 、科 学 的 根 拠 に 裏 付 け ら れ た 介
護 食 を 理 解 さ せ 、 さ ら に 基 礎 技 術 の 修 得 の た め に 今 年 度 も 時 間 外 “ 15 minutes Lesson” を
毎週昼休みに実施してから実習に入ります。毎回の授業も“利用者宅での食事作り”をイ
メージさせ、介護対象者にとって食事が楽しみという気持ちになるような食事の提供を心
が け る こ と を 常 に 唱 え て 実 習 に 望 み ま し た 。 そ の 結 果 学 生 の 評 価 は 質 問 項 目 Ⅰ ( 平 均 4.8
±0.5)、 Ⅱ ( 平 均 4.8±0.4)、 Ⅲ ( 平 均 4±0.2) と 大 変 高 い 結 果 と な り ま し た 。 特 に 「 教
員 の 熱 意 」や「 新 た に 考 え た り 、学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 」
「 満 足 度 」な ど が 5.0 を 示
したことから、昨年以上に教員の努力が結実した結果であったものと受け止めています。
Ⅲ
授業改善の展望
高齢化社会の中、介護ニーズ特に「食事作り」に関しては多様化とともに高い質が求め
られています。一方学生の当初の実態はといえば調理経験が乏しく、調理全般への関心も
低い状態です。このような現状を踏まえ「食」に対する学生の意識を高めるため先述の試
み の 他 、 喫 食 時 に は 調 理 台 に ラ ン チ ョ ン マ ッ ト を 敷 き 、 BGM を 流 し 、 調 理 作 業 時 と 喫 食 時
の場面切り替えの重要性を全実習期間一貫して体験させました。またグループホームやユ
ニット形式の施設などで頻繁に行われている「行事食」への取り組みにおいては、調理の
際事前に関連グッズを飾り雰囲気を盛り上げ、調理へ望む意欲を喚起するための工夫など
も行いました。いずれの試みに関しても根底に流れる基本的教育理念は、対象者の方の立
場に立った「口から食べる楽しみ」を尊重することであり、同時に健康維持、症状の軽減
に食を通して貢献することであると考えています。そして食事作りの基礎的“目”を培う
ことを今後も心がけていきます。
なお次年度は「利用者とのコミュニケーションを重視した食事作り」を考えることが出
来るような実習展開を試みます。
21
学科:一般教育等
職名:講師
氏名:内藤初枝
対象科目:臨床栄養学(講義)
Ⅰ
授業のねらい
慢 性 疾 患 特 に 生 活 習 慣 病 と 称 さ れ る 疾 患 の 多 く は 、種 々 の 栄 養 素 の 過 多 が 影 響 し て お り 、
日々の食事の良否が結果的に人体に歪みをもたらします。本科目では各栄養素の生理機能
を基本として栄養素の過小が人体にどのような症状として出現し、また治療に際してどの
ような栄養素管理が必要であるかを、科学的因果関係から理解してもらいます。また治療
の指針となる栄養アセスメント特に患者の食欲に関することや食事摂取状況の的確な把握
などは、日々患者に接している看護士必須の仕事であることを様々な症例を介して学生に
諭します。
“ 食 は 命 な り 薬 な り“ を 学 生 自 ら の 食 生 活 を 通 し て 考 え ら れ る ”目“ を 培 う こ と
を目指します。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
今回の評価は昨年と比較して若干低くなりました。この理由の一つとしては教員が2名
で授業を実施していることが上げられます。
「 食 生 活 と 環 境 」の よ う に テ ー マ が 毎 週 変 わ り
教員も前後の流れを気にしないで実施できる科目と異なり、本科目は看護の応用栄養学的
意 味 合 い を 持 ち 、15 回 の 授 業 に 統 一 性 が 求 め ら れ ま す 。学 生 の 声 か ら も そ の 点 が 指 摘 さ れ
ており、今後検討と調整が必要であると認識しました。なお昨年より高い評価を示した項
目はⅠの平均が
4.1± 0.8 、 Ⅱ − ( 7 ) :「 学 生 の 理 解 度 に 沿 っ た 授 業 内 容 」 が 4. 1 な
どがあり授業全体としては概ね納得のいく評価となりました。2教員システムは今年始ま
ったばかりです。試行錯誤をしつつこの条件が学生の不利益にならないよう十分な配慮と
事前の打ち合わせ等を重要課題として受け止め検討していきます。
Ⅲ
授業改善の展望
私は例年通り看護士国家試験の問題集から「臨床栄養学の部分」を学生に配布し、これ
を指針に授業を進めていますが、この方法は学生の科目に対するモチベーションが曖昧な
時 期 に は 大 変 効 果 的 な 方 法 の 一 つ と な っ て い ま す 。 ま た 近 年 NST 導 入 に よ り 栄 養 関 連 の 知
識は不可欠ですし、慢性疾患ではベッドサイドで栄養学の応用である食事指導までもが看
護士に求められます。患者さんの摂食状況をより正確に把握し治療に繋げていかなければ
なりません。このような流れの中で担当2教員が内容を分割して教育することはかなり困
難な作業といえます。先に記したように栄養学の基礎と応用を短時間で、しかも2教員シ
ステムで実施するためには、重複しないようにしかも欠けることないように十分な連携の
充実が大変重要であることを確認しました。この他学生が今までに学んできた看護基礎科
目との間でスムーズに関連付けできるよう授業内容を組み立てたり、患者の立場に立った
看護を学ぶ機会として「食事シート」を活用した食事調査を実施したり、さらに「冷めた
おかゆ」の試食体験をするなど、机上だけの授業に留まらず学生に様々な臨床面の体験の
場を提供したことは、学生にとって現場看護士を理解する一助になったようです。特に学
生からは、
「 お か ゆ の 試 食 体 験 」が 大 変 好 評 で あ り 患 者 の 立 場 に 立 っ た 看 護 を 学 ぶ よ い 機 会
となりました。
“治療食は薬ではない!“”食べる楽しみは生きる楽しみに通ずる“看護師としてこの
気持ちを患者さんに対し配慮できる”目“を培っていける授業を構築していきます。
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学科:一般教育等
職名:講師
氏名:中山徹
対象科目:英語(講義)
Ⅰ
授業のねらい
( 1 )児 童 、障 害 者 、高 齢 者 、女 性 、人 種 、ボ ラ ン テ ィ ア 、人 権 を テ ー マ に し た 英 文( た
とえば、そうしたテーマにそった物語・小説・詩や、人権に関する憲章・法律・国際条約
条文など)を読むことを通じて、社会福祉に関連する英語の語彙力をつけるとともに、英
語の読解力を向上させる。
( 2 )英 語 文 化 圏 に ひ ろ く 深 く 浸 透 し て い る ミ ュ ー ジ カ ル 映 画 や
シェイクスピア劇を通じて、英語による詩的・文学的表現や作品の文化的・社会的背景に
ついての理解を深める。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
社会福祉専攻:期末試験の結果および授業アンケートの数値データから判断して、ねら
い ( 1 ) は お お む ね 達 成 で き た と 判 断 す る 。 11 個 の 自 由 記 述 ( 配 布 枚 数 は 28) の う ち 8
個で、映画を使った授業にたいする肯定的意見が書かれていた。映画を教材にした聴解練
習やテキスト分析は、学生の英語に対する関心や学習意欲を高めることに一定の効果があ
ると判断する。
介護福祉専攻:期末試験の結果および授業アンケートの数値データから判断して、ねら
い( 1 )が 達 成 で き て い る と は い え な い 。Q 12∼ 14 の 数 値 が 、社 会 福 祉 専 攻 と く ら べ て 低
い こ と は 注 目 に 値 す る( 両 専 攻 と も 授 業 内 容 は 同 じ で あ る )。こ れ は 、本 年 度 の よ う に 難 し
いテキストを使う場合には、専攻ごとに授業進度を変える必要があることを示している。
それができない場合には、テキストを平易なものに変えねばならないだろう。映画を使っ
た 授 業 も 、必 ず し も 成 功 し て い る と は い え な い 。そ れ は 、Q 14 の 数 値 や 、自 由 記 述 に 社 会
福祉専攻ほどの反響がみられないことから判断できる。
Ⅲ
授業改善の展望
来 年 度 の 授 業 で は 、授 業 の ね ら い を 次 の よ う に 改 め る 。
( 1 )平 易 な 英 語 で 書 か れ た 福 祉
と 介 護 に か ん す る テ キ ス ト を 使 っ て 、英 語 の 基 本 的 な 理 解 力 と 運 用 力 を 養 成 す る 。
( 2 )英
語圏の言語、文化、歴史、社会について知るうえで重要な文章を読むことを通じて、英語
の読解力を向上させる。
( 3 )古 典 的 ミ ュ ー ジ カ ル 映 画 を 教 材 に し て 聴 解 練 習 や 、歌 詞・台
詞 の 文 学 的 、 文 化 論 的 分 析 を お こ な う 。 授 業 は 、( 1 ) に 主 眼 を 置 い た 授 業 と ( 2 )( 3 )
に主眼を置いた授業を交互に行う。これにより授業の方向性を、難解な原典に挑戦するこ
とから、より平易な英語を確実に理解することへと変え、Ⅱで指摘した問題に対処する。
ねらい(2)にそくした教材としては、アメリカ合衆国の大学の教養教育で使われている
文学の教科書や、古今の名言と言語学者によるその解説などを使う予定である。こうした
教材を選ぶ理由は、第一に、そこに、映画教材と同様の、英語に対する関心を喚起する効
果を期待するからであり、第二に、それが読解力の向上のみならず、本学の重視する教養
教育にも資すると考えるからである。
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学科:一般教育等
職名:講師
氏名:中山徹
対象科目:応用英語(講義)
Ⅰ
授業のねらい
( 1 )看 護・医 療 の 場 で 用 い ら れ る 基 礎 的 な 英 語 を 身 に つ け る 。
( 2 )英 英 辞 典 の 使 い 方
を 覚 え な が ら 、英 語 の 表 現 力 と 運 用 力 を 高 め る た め の 基 本 的 な 学 習 方 法 を 身 に つ け る 。
(3)
英語文化圏にひろく深く浸透しているミュージカル映画やシェイクスピア劇を題材にして、
英語による詩的・文学的表現や作品の文化的・社会的背景について考察する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
質 問 項 目 Ⅰ 、Ⅱ 、Ⅲ の 数 値 デ ー タ と 自 由 記 述 か ら 判 断 し て 、
「 授 業 の あ り 方 」と「 教 え 方 」
に 関 し て 問 題 は な い と 考 え る 。 ク ラ ス A ( 配 布 枚 数 32) の 自 由 記 述 17 個 は 、 す べ て 肯 定
的 意 見 で あ り 、ク ラ ス B( 配 布 枚 数 27)で は 、自 由 記 述 12 個 中 11 個 が 肯 定 的 意 見 で あ っ
た ( 残 る 1 個 も 受 講 者 本 人 に 関 す る も の で 授 業 に 対 す る 否 定 的 意 見 で は な い )。 記 述 の な
かで多数を占めるのは、ねらい(3)に関するものであり、そこからは、映画を教材にし
た聴解練習やテキスト分析によって学生の英語に対する関心や学習意欲が効果的に高めら
れていることが確認できる。
Ⅲ
授業改善の展望
ねらい(1)と(3)に主眼を置いた授業は来年度も継続して行うが、ねらい(2)は
来年度の授業では設定しない。その理由は、ねらい(2)にそった授業に否定的な評価が
下されたからではない。英語圏の言語、文化、歴史、社会を知るうえで重要な文章を読む
ことを通じて英語の読解力を向上させる、という新たなねらいを設定したいからである。
教材としては、アメリカ合衆国の大学の教養教育で使われている文学の教科書や、古今の
名言と言語学者によるその解説などを使う予定である。こうした教材を選ぶ理由は、それ
が読解力の向上のみならず、本学の重視する教養教育にも資すると考えるからである。
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学科:一般教育等
職名:講師
氏名:那須恵子
対 象 科 目 : 「食 生 活 と 環 境 」( 講 義 )( 全 学 科 ), 「臨 床 栄 養 学 」( 講 義 )( 第 一 看 護 学 科 )
Ⅰ
授業のねらい
「食 生 活 と 環 境 」: 現 代 の 生 活 環 境 と 関 連 す る 食 生 活 上 の 課 題 を 取 り あ げ 、 公 衆 栄 養 学 的
視点も入れながら、社会全体の問題へ関心を持ってもらうことを目的としている。自分の
身 近 な こ と に し か 興 味 を 示 さ な い 学 生 が 増 加 す る 傾 向 に あ る が 、よ り 視 野 を 広 く し て 、様 々
な課題を理解し、自分の問題として思考していくように期待している。
「臨 床 栄 養 学 」: 看 護 の 臨 床 で 向 き 合 う こ と が 多 い 、 患 者 の 食 事 摂 取 上 の 問 題 点 を 理 解 す
ることができるように、食事を構成する栄養の基礎知識の修得及び栄養と疾患との関連に
ついて理解させることを目的として、講義を実施している。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「食 生 活 と 環 境 」: 授 業 開 始 時 は 内 容 が 少 し 難 し い よ う に 感 じ る 学 生 さ ん も い る よ う で あ
るが、回を重ねるにつれ、授業態度ができてくるようであり、興味をもって授業へ臨み、
小課題へ真剣にとり組む姿がみられる。講義内容から、あらためて自分や周囲の人々の健
康問題に気がついてくる様子が自由記述にもみられる。授業のねらいのほぼ半分は達成で
き て い る と 考 え て い る が 、真 剣 に 授 業 へ 取 り 組 む 学 生 と そ う で な い 学 生 の 差 が 出 る こ と は 、
これからさらに改善していく必要がある。
「臨 床 栄 養 学 」: 評 価 集 計 結 果 か ら 授 業 の あ り 方 に つ い て は 、 概 ね 理 解 さ れ た よ う で あ る
が、教え方についてはまだ工夫する必要がある。わかりやすいという評価と難しくてわか
りにくいという評価の両者があり、どのレベルに合わせるかがこれからの課題といえる。
また、コメントにもあったが、治療食をビデオや説明だけで理解させるのは実感がわかな
いのかもしれない。
Ⅲ
授業改善の展望
「食 生 活 と 環 境 」: 授 業 内 容 に つ い て は 概 ね 理 解 さ れ て い る よ う で あ り 、 学 生 の 興 味 も 高
いようである。しかし、大講堂で、多数の授業のため、学生の話し声が他の学生の迷惑に
なる時もある。初回の講義時に聞く態度ができない者は退室するように注意しているが、
回が進むと、慣れるためか、あるいは、初めから出席だけのつもりか、特に後方の座席の
学生の受講態度はあまり良いとはいえないようである。さらに注意を促したい。視聴覚教
材を取り入れわかりやすい授業を心がけているが、機器類の調節にはいつも苦労している
( 事 前 に 確 認 操 作 を 行 っ て い て も 、開 始 後 の ト ラ ブ ル が よ く あ る )。使 い や す い 視 聴 覚 機 器
に更新していただきたい。
「臨 床 栄 養 学 」: 栄 養 学 の 基 礎 を よ り し っ か り 学 ば せ 、 で き れ ば 実 習 等 も 取 り 入 れ 、 患 者
の食事の理解を深めていきたいと考えている。
25
学科:一般教育等
職名:講師
氏名:那須恵子
対 象 科 目 : 「栄 養 学 ・ 歯 科 栄 養 学 」( 講 義 )( 歯 科 衛 生 学 科 1 年 ), 「小 児 栄 養 」( 講 義 )( 社
会福祉専攻 2 年)
Ⅰ
授業のねらい
「栄 養 学 ・ 歯 科 栄 養 学 」: 本 年 度 か ら 従 来 の 「栄 養 学 」が 少 し 範 囲 を 広 げ て 、 歯 科 栄 養 学 も
含めた内容になっているが、基本は栄養学であることから、栄養の体内での役割について
各栄養素の種類と機能に中心をおいて、さらには食物と栄養素との関係について理解させ
ることを目的とした。すでに前期の他の授業で学んでいることを前提に、復習もしながら
授業を進め、より理解を深めたつもりである。
「小 児 栄 養 」: 保 育 士 の 必 須 科 目 で あ り 、 小 児 期 の 食 生 活 の 大 切 さ を 講 義 と 実 習 か ら 理 解
させることを目的に授業を組んでいる。食育が重視されている現在では、小児期から良い
生活習慣を身につけさせる保育士の役割は大きく、学生自身がその責任の重さに気づいて
くれることを願っている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「栄 養 学 ・ 歯 科 栄 養 学 」: 本 年 度 は 授 業 の あ り 方 、 教 え 方 、 総 合 評 価 、 あ な た の 取 り 組 み
の全てにおいて、昨年よりも平均点の低下がみられた。授業のあり方について概ねよい評
価 は 約 30% で あ り 、あ ま り 良 く な い 評 価 も 同 程 度 と 二 分 し て い た 。教 え 方 に つ い て は 半 分
ほ ど が 良 く な い と 評 価 し て お り 、良 い 評 価 は 25% 程 度 で あ っ た 。教 科 書 を 2 冊 使 い( 1 冊
は 既 に 学 ん で い る も の )、そ れ ぞ れ の 必 要 な と こ ろ を 示 し な が ら 講 義 し た が 、説 明 が 十 分 理
解されなかったようである。3 時限目の講義では学生の目を覚まさせることにも注意を払
わないといけないため、大変ではある。コメントの中に高校の内容と同じと受け取った意
見があった。授業開始時に学生の知識を把握するつもりで質問したことをそのようにとら
えたようであるが、その後の授業展開が頭に残らなかったようであり、さらに工夫する必
要がある。
「小 児 栄 養 」:授 業 の あ り 方 は 概 ね 理 解 さ れ た よ う で あ る 。教 え 方 も 約 60% は 良 い と 評 価
し て い た 。ま た 、総 合 評 価 も ほ ぼ 良 い 評 価 を 受 け た が 、あ な た の 取 り 組 み 方 の 中 で 、予 習 ・
復習をしている者がやや低かった。この授業の実習では必ず事前にプリント(1 週間前に
調理法等の必要事項を配布)に目を通すように説明してあったが、実践している者が半分
程 で あ っ た 。実 習 時 の 説 明 を 少 な く し( 学 生 か ら 説 明 時 間 の 短 縮 希 望 が 出 る た め )、効 率 よ
く実習を行うためにこの方法をとっているが、学生自身の取り組みもさらに促していきた
い。今年度は実習試験日が成績締め切りの日と重なってしまい、学生も大変な思いをした
ようであり、今後は試験日の設定に注意したい。
Ⅲ
授業改善の展望
「栄 養 学 ・ 歯 科 栄 養 学 」: 栄 養 の 現 代 の 問 題 点 も 含 め な が ら 基 礎 的 把 握 を さ ら に 進 め 、 単
元ごとに小課題を科して、修得させることを考えている。
「小 児 栄 養 」: 保 育 士 の 食 育 へ の 取 り 組 み 方 の 理 解 を 深 め さ せ る と と も に 、 学 生 自 身 の 予 習
をさらに促していきたい。
26
学科:一般教育等
職名:講師
氏名:野嶋秀子
対象科目:生活の化学(講義)
授業のねらい
Ⅰ
「生活の化学」を講義することの大きなねらいは履修要項にも示したように,長い人生
の時間を生き抜いていくときに直面する様々な困難に対して自分で解決方法にアプローチ
出来るような「科学的なものの見方を身につけること」にある.ものの見方を身につける
にはあまりに時間が不足した状態であるので,その初歩の訓練を他の科目と協同して行う
こ と に あ る と 考 え る の が 現 実 的 で あ る .こ の 初 歩 の 訓 練 を 実 践 し て い く た め に ,
「自分の目
で見,耳で聴き,自分で考え,考えたことを他社に伝えるために工夫して表現すること」
に力点をおいた授業を展開しようと努めている.
特に
対象事象を見極めること,判断を下すことおよび言語で表現することについて
学生とともに行い,その熟練度が高まるように働き掛けることを心がけている.
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「 生 活 の 化 学 」( 選 択 者 数 : 26 名 ) 評 価 点 集 計 結 果 の 概 要 は 以 下 の と お り で あ っ た . 授
業のあり方
平 均 3 .7( SD1 .1 ),教 え 方 同 3 .7( 同 1 .0 ),総 合 評 価 同 3 .8( 同
1 . 0 ), あ な た の 取 り 組 み 方 同 3 . 7 ( 同 1 . 2 ). 以 上 の 結 果 よ り
目について
アンケートの各項
2/3以上の学生が3以上の評価を下したこととなる.
5 の 評 価 が 最 多 で あ っ た 項 目 は (16)(15 人 )で あ り ,次 は (2)( 11 人 )で あ っ た .ま た 1 の 評
価 が 最 多 で あ っ た 項 目 は (19)(4 人 )で あ り , 次 は (18)(3 人 )で あ っ た .
自由記述欄では
レポートと宿題に関するものが最多であった.また,授業のレベルに関
して相反する記述が見られた.片や「高校までの内容」であり,片や「高校では習わない
大学レベルのこと」であった.
Ⅲ
a
授業改善の展望
授 業 レ ベ ル に 関 す る 相 反 す る 記 述 と 項 目 (2)の 評 価 5 が 11 人 (42.3%)で あ っ た こ と に つ
いて
毎年授業当初に高校化学の履修状況について簡単な調査を行っている.これによると未
履 修 者 が 6 人 ±1 人 程 度( 約 1 / 4 に 相 当 ),化 学 Ⅰ の 途 中 ま で 履 修 者 が 約 半 数 ,そ の 他 が
化学Ⅰ履修者および化学Ⅱ履修者である.未履修者がいる以上,彼らへの配慮は当然必要
であろうと考える.よって次の問題点は化学Ⅱ履修者をどうするかである.さらに時間を
掛けて解決策を見いだしたい.
b
実験について
昨年までの学生は実験に対して理論は理解できなくても積極的であった.今年度になっ
て初めて「実験はいいけどレポートが難しいから困る,嫌だ」という学生が現れた.実験
について再考する時期が来たのかもしれないと考える.実験をすることで化学に興味が持
てるあるいは湧くということであれば実験を取り入れていこうと思う.
c
課題(レポートおよび宿題)について
課題の質と量の問題が取り上げられるが,この問題については教員として短期大学と言
えども大学であると考えれば,あまり多くを学生側に譲ることは出来ないと考える.
27
学科:一般教育等
職名:教授
氏名:原田茂治
対 象 科 目 : 生 活 の 化 学( 講 義 )( 第 一 看 護 学 科 A、歯 科 衛 生 学 科 、社 会 福 祉 学 科 社 会 福 祉 専
攻 )、情 報 処 理 演 習( 演 習 )
( 第 一 看 護 学 科 、社 会 福 祉 学 科 介 護 福 祉 専 攻 )、情 報 の 活 用( 演
習 )( 全 学 科 )
Ⅰ
授業のねらい
「生活の化学」
(前期)高校化学を履修しなかった者や化学Ⅱまでを履修した者が混
在するクラスなので、実験を行いながら、化学の基礎から始めて化学平衡と有機化学を講
じ 、日 常 的 に 接 す る 物 質 や 現 象 を 基 本 的 に 理 解 さ せ る よ う に 努 め た 。
( 後 期 )ほ と ん ど 化 学
的素養のない学生に、化学的なものの見方を身につけて貰いたい、自分で考えるようにな
って貰いたいとの思いから、
「 人 と 自 然 を 原 子 の 目 で 見 る 」と い う 極 め て や さ し い 内 容 の 本
を輪読(輪講)することにした。そしてテキストに出てくる実験もなるべくやってみるこ
とにした。
「情報処理演習」
基礎的な情報リテラシー(ワープロ・表計算・プリゼンテーショ
ン ・ e-mail) を 身 に つ け る こ と を 目 指 し た 。
「 情 報 の 活 用 ( 原 田 担 当 分 )」
成書・雑誌や論文を探すスキルを身につけて貰うために、
OPAC、 WebCat、 JDreamⅡ 、 Medline な ど の 検 索 を 実 習 し た 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「 生 活 の 化 学 」 ( 前 期 )高 校 新 課 程 を 経 た 学 生 の 基 礎 学 力 の ば ら つ き が 大 き い た め に 、
大学教養程度の化学を講じることが困難になってきたが、やさしくわかりやすく話す努力
をしたつもりである。その結果、Ⅰ看ではともに楽しく学ぶことができたと思うが、評価
は A, B 両 ク ラ ス の 集 計 に な っ て い た の で 、自 分 の 評 価 は わ か ら な い 。歯 科 で は 評 価 が 低 か
った。調査によると、高校文科系コース出身者には自然科学的素養がほとんどないので、
講義内容が全く理解できないのかも知れない。高校初年級レベルの講義をすれば評価は上
が る で あ ろ う 。が 、そ れ で 良 い の か 大 い に 疑 問 を 感 じ る と こ ろ で あ る 。
(後期)
授業評価
の平均点からも自由記述からも、授業(特に実験)が好評であり、目的を達成する方向に
進めたものと確信している。
「 情 報 処 理 演 習 」・「 情 報 の 活 用 」
演習内容がよく学生に伝わっていたと感じた。授業
評価(とくに自由記述)も好ましいと思う。
Ⅲ
授業改善の展望
「生活の化学」
(前期)Ⅰ看は学ぶ意欲のある少人数クラスであった。そのようなク
ラスならば、今後も今年の講義内容で頑張れると思う。歯科では自然科学を学ぶための導
入教育が必要であろう。
( 後 期 )大 学 の 文 科 系 の 一 般 教 育「 化 学 」と し て 、ま ず ま ず 工 夫 さ
れた講義であったと思う。実験内容をさらに洗練すると良かろうと思う。
「情報処理演習」
「情報の活用」
情 報 リ テ ラ シ ー 教 育 を 30 時 間 で 行 う こ と で 手 一 杯 の 状 態 で あ る 。
毎回、情報を新しくして演習問題を作っている。ほぼ完成された授業
であると思われる。
28
学科:看護学科
職名:講師
氏名:稲勝理恵
対 象 科 目 : 症 状 別 看 護 ( 講 義 ・ 演 習 )、 成 人 総 合 看 護 ( 講 義 )
授業のねらい
Ⅰ
多くの場合、患者は何らかの症状を抱えている。臨床の場で、看護師は、これらの症状
に 対 応 し 、患 者 の 療 養 生 活 を 快 適 に し よ う と 努 め て い る 。そ こ で 、
「 症 状 別 看 護 」で は 、①
患者の症状に応じた看護を実践するために、必要な知識を会得すること、②症状を抱える
患者の経験への理解を深めること、を目的とした。
「成人総合看護」の位置づけは、それまでに学んできた成人看護学をふまえ、学生の考
えを発展させていくところにある。そこで、今年度の授業では食事療法に注目し、その体
験やグループワークをとおして、患う者の経験と彼らへの看護についての考えを深めるこ
とをねらいとした。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「 症 状 別 看 護 」 の 評 価 結 果 は 、 「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」 4.4±0.7( 平 均 ±SD、 以 下 同 様 ) 、
「 Ⅱ 教 え 方 」4.4±0.7、「 Ⅲ 総 合 評 価 」 4.4±0.7、「 Ⅳ あ な た の 取 り 組 み 方 」 4.1±1.0
で あ っ た 。「 成 人 総 合 看 護 」の 評 価 結 果 は 、「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」4.6±0.6、「 Ⅱ 教 え 方 」
4.6±0.6、 「 Ⅲ 総 合 評 価 」 4.5±0.6、 「 Ⅳ あ な た の 取 り 組 み 方 」 4.0±1.1 で あ っ た 。 両
授 業 と も 、「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」、「 Ⅱ 教 え 方 」、「 Ⅲ 総 合 評 価 」の 平 均 点 は 4.5 前 後 を
保っているのに比し、
「 Ⅳ あ な た の 取 り 組 み 方 」の 平 均 点 は 4.1 ま た は 4.0 と 低 め で あ る 。
そ こ で 、「 Ⅳ あ な た の 取 り 組 み 方 」の 項 目 を み て み る と 、「( 18)自 分 は 、疑 問 点 を 、必
要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 。」、「( 19)自 分 は 、こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、復 習 を し た 。」
の 2 項目についての点数が低く、ばらつきも大きいことが分かる。これらは、授業を踏ま
えたうえでの学生自身の自己研鑽に関する項目である。ばらつきがあることから全学生が
対象ではないものの、授業後も学ぶ姿勢が保てるように、介入していく必要性が示唆され
た。
次に、自由記述をみてみたい。「良いと思ったこと、感心したこと」では、「説明が分
かりやすくて理解しやすかった」、「資料の内容も分かりやすく丁寧だった」、「要点が
おさえられていてよかった」、「理解度にそった講義を行なってくれた」というような記
載が、両授業とも多く、学生の理解を手助けする説明、資料であったと振り返っている。
また、患者の経験への理解や考えを深められることを目的とした演習に対して、「勉強に
なりました」や「面白い内容だった」などの意見がみられた。これらの意見から、両授業
のねらいとして掲げている内容へ、一歩近づけることが出来たと認識している。「改善し
て欲しいこと、付け加えて欲しいこと」として、「症状別看護」で、「説明する時、重要
だったら板書してほしい」という意見があった。これについては、聞き取ったことを資料
に記入する際、追いつかないときがあるということだったので、後期の「成人総合看護」
では、出来るだけ板書を心がけた。その結果、「成人総合看護」では、そういった意見は
みられなかった。今後も、適宜、黒板を活用していくようにしたい。
Ⅲ
授業改善の展望
・ 学生の理解を手助けできるような資料や説明の継続、黒板の活用、さらに、次年度は、
29
ビデオなどの視聴覚教材も取り入れていきたい。
・ 患 者 の 経 験 へ の 理 解 や 考 え を 深 め ら れ る よ う な 演 習 の 継 続 、さ ら な る 内 容 の 検 討 も 行 な
っていきたい。
・ 授 業 後 も 学 ぶ 姿 勢 が 保 て る よ う な 介 入 を 検 討 し 、実 施 で き る よ う に 、努 力 を 重 ね て い き
たい。
30
学科:第一看護学科
職名:講師
氏名:金城やす子
対象科目:小児期の健康障害と看護
Ⅰ
授業のねらい
『小児期の健康障害と看護』では、小児期に発症する特徴的な疾患について、病態の理
解と小児の特性を考慮した看護について学び、具体的な看護場面をとおして看護を考える
ことにある。また、小児看護に必要な看護技術を学び、臨地実習での看護の実践に結びつ
けていく。
小児看護では子どもの日常生活の支援と家族、特に母親を中心とした育児支援、相談活
動が要求されることから、その必要性や家族支援・家族看護の視点を深める。
特に、本講義においては、看護の根拠を明確にする、アセスメント能力を向上させるた
めの知識・技術を身につけることを目的とした。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
小児という特殊性を理解するために一方的な講義ではなく、資料や事例を用いてわかり
やすい授業を工夫し、理解を促した。毎回の講義で、疑問点や不十分な内容を評価しても
らい、次回の講義に補足説明をした。その結果、学生の授業評価では「授業のあり方」が
平 均 4.4、「 教 え 方 」 4.4、「 総 合 評 価 」 4.5 と 比 較 的 高 い 評 価 で あ っ た 。 ま た 、 学 生 自 身 の
取 り 組 み は 平 均 4.0 と 、 昨 年 に 比 べ て 高 い 評 価 で あ っ た が 、 授 業 の 予 習 ・ 復 習 に つ い て 評
点 2、 1 の も の が 22%で あ っ た 。 学 生 が 主 体 的 に 学 ぶ た め に は 、 今 後 の 指 導 の あ り 方 に つ
いて工夫することが必要であると認識した。
授業のあり方として「課題・レポートは質・量ともに適切であった」の項目に評点 2 が
3 名いたこと、自由記述において「課題学習としてのグループワークが個人の負担になっ
てしまう」という回答がみられたことは、課題の提示の仕方、課題の量・質に関する工夫
が必要であると感じた。
臨地実習にでる直前の講義であり、臨床について学生により理解を促すために事例や臨
床 経 験 を 多 く 取 り 入 れ た 。 学 生 か ら は 「 興 味 が 持 て た 」「 臨 床 で の 話 が わ か り や す か っ た 」
「小児病棟への興味や関心がわいた」などの評価がみられた。さらに、講義について「子
ど も の 気 持 ち に よ り そ え る よ う な 講 義 で あ っ た 」「 子 ど も へ の 愛 情 の あ ふ れ る 授 業 で あ っ
た」など、子どもとの関わりに関する評価があり、子どもの理解にもつながったのではな
いかと感じている。
Ⅲ
授業改善の展望
小児に興味をもち、より主体的に学べるような講義、演習の組み立てと学生指導を検討
したい。
31
学科:第一看護学科
職名:講師
氏名:金城やす子
対象科目:小児保健(小児保健実習を含む)
Ⅰ
(社会福祉学科社会福祉専攻)
授業のねらい
保育士として子どもの健康についての考え方、保育者としての健康観、さらに健康とい
う概念について考えることができる。
保育園において必要な知識・技術として、病気の知識、事故防止、感染予防、緊急時の
対応、環境の整備、健康観察などについて講義、演習をとおして理解する。
さらに保育実践に必要な看護技術の修得を目標とした。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
講義はできるだけ保育士という立場、保育士として業務を行っていく上で必要な知識・
技 術 が 提 供 で き る よ う に 配 慮 し た 。具 体 的 に は 演 習 を 取 り 入 れ た り 、ビ デ オ 、OHP の 使 用
によりわかりやすい講義を工夫した。演習では、基本的な日常生活動作を中心に実施し、
保育園における病気の予防、事故の予防なども取り入れた。
毎 回 の 講 義 時 に 疑 問 点 、質 問 事 項 、感 想 な ど 、自 由 に 記 述 で き る よ う な 出 席 表 を 活 用 し 、
次回の講義時にフィードバックした。
講 義 に 関 す る 評 価 は 、「 授 業 の あ り 方 」 4.6、「 教 え 方 」 4.4、「 総 合 評 価 」 4.4 と 高 い 評 価
であった。しかし、1名であるが「看護の点からの話で、保育の点が少なかった」との記
述があり、できるだけ保育の視点を心がけたが学生からの指摘があったことから、反省点
として今後に生かしていきたい。
学 生 の 講 義 に 対 す る 取 り 組 み と し て 、「 疑 問 点 を 質 問 す る 」「 予 習 ・ 復 習 を し た 」 の 評 点
が 3.1、2.7 と 低 く 、今 後 の 検 討 課 題 で あ る 。他 の 科 目 に お い て も 学 生 が 主 体 的 に 学 ぶ と い
う姿勢が少ないように感じることから、学生だけの問題ではなく、大学における教育につ
いて教師の姿勢も検討しなくてはいけないと感じた。
Ⅲ
授業改善の展望
保育士は乳幼児の健康を支援する立場として、保育士自身の健康が求められる。そのた
め、健康に関する考え方については学生個々が十分に理解できるような講義、ディスカッ
ションなどを検討したい。
また、学生は乳幼児期の子どもとの接触経験、育児の関わりが少ないことから、演習を
活用した日常生活動作の援助方法について修得できるようにしたい。
保育士の業務として、病気の予防、事故の予防、病気や事故の対応なども重要な項目に
なってくる。そのため、看護的な視点での講義や演習も積極的に取り入れることが必要で
あると考える。
32
学科:看護学科
職名:教授
氏名:古賀
震
対 象 科 目 : 看 護 学 科 : 解 剖 生 理 学 Ⅰ ( 講 義 )、 病 態 学 総 論 Ⅰ ( 講 義 )、
病 態 と 治 療 Ⅰ 内 科 ・ 老 化 ( 講 義 )、 フ ィ ジ カ ル ア セ ス メ ン ト ( 演 習 )
社会福祉学科社会福祉専攻:医学一般(講義)
社 会 福 祉 学 科 介 護 福 祉 専 攻 : 医 学 一 般 I( 講 義 )
I. 授 業 の ね ら い
1) 解 剖 生 理 学 Ⅰ
解剖生理学Ⅰでは人体の根本的構造とその生理機能を体系的に理解することが眼目。
解剖生理学は医学・医療・看護のベースであり、人の生命現象・健康・病気を学ぶのに
最も基本的かつ重要な科目。楽しく考えながら理解し頭の中に残るような授業をする。
2) 病 態 学 総 論 Ⅰ 、 3) 病 態 と 治 療 Ⅰ 内 科 ・ 老 化
我 々 の 体 は 絶 え ず 内 外 の 環 境 の 変 化 (ス ト レ ス )に さ ら さ れ な が ら も 体 内 の 環 境 を
一 定 に 保 つ よ う な 仕 組 み (ホ メ オ ス タ ー シ ス : 体 内 恒 常 性 )が あ る 。 こ の ホ メ オ ス タ
ーシスの破綻が病気であり、その病気が発症するメカニズムやそれに伴う重要な症
状を十 分に理 解す るこ とが眼 目。臨床で よく 遭遇す る疾患 を中心に看護で重要な 疾
患・病態を理解させて、記憶に残るようなインパクトのある授業を行う。
4) フ ィ ジ カ ル ア セ ス メ ン ト
ク ラ イ ア ン ト の 全 身 状 態 を 把 握 す る た め に 、健 康 歴 、病 歴 の 聴 取 (問 診 )、視 診 、触 診 、
打 診 、聴 診 な ど の あ ら ゆ る 技 術 を 用 い て 看 護 者 が 行 う 身 体 査 定 で あ り 、こ の コ ツ (テ ク ニ ッ
ク )を 習 得 す る こ と が 目 的 で あ る 。
5)医 学 一 般 I
、 6)医 学 一 般 (基 礎 )
私の担当は人体の解剖・生理学および病態学と病気の予防等が主であり、それらの分野を
中心に医学一般を幅広く理解することを目的としている。また常に楽しく、わかりやすい
授業を行うように心がけている。
II. 授 業 の 自 己 点 検 ・ 自 己 評 価
1)「 授 業 の あ り 方 に つ い て 」
解剖生理学Ⅰ、病態学総論Ⅰ、病態と治療Ⅰ内科・老化、フィジカルアセスメン
ト 4 科 目 の 評 価 は 各 々 4.0、4.2、4.2、4.3 あ っ た 。解 剖 生 理 学 は 正 常 の 人 体 構 造 と
機能を理解す るこ とを 目的と してい る。この 基本の理解な くて 病態 や治療 を学ぶ こ
とは難しい。病態学総論 I や病態と治療・老化では解剖生理学の知識を十分に活用
して、主に内科系の疾患、病因、病態、臨床症状と検査方法、その病気の診断、治
療およ び予後まで 学び 理解す ること を目 的と する。正常人 から 疾患 を持っ た人ま で
幅 広 く 理 解 し て 臨 床 で 役 立 つ よ う な 授 業 を 行 っ て い る 。 4 科 目 す べ て 4.0 以 上 は 予
想以上であり、この評価に甘んじることなくさらに一層精進しなければいけない。
医 学 一 般 I、 医 学 一 般 (基 礎 )は 各 々 4.1、 3.2 と 平 均 以 上 で あ っ た が 両 者 に 0.9 も
開 き が あ っ た こ と に 驚 い た が 、こ の ギ ャ ッ プ を 埋 め る た め の 工 夫 と 努 力 が 必 要 で あ
ると強く感じた。
2)「 授 業 の 教 え 方 に つ い て 」
解 剖 生 理 学 Ⅰ 4.0、病 態 学 総 論 Ⅰ 内 科 4.2、病 態 と 治 療 Ⅰ 内 科・ 老 化 4.2、フ ィ
ジ カ ル ア セ ス メ ン ト 4.3 で あ っ た 。解 剖 生 理 学 で は 理 解 し て 暗 記 す べ き こ と が 非
33
常 に 膨 大 で あ り 、 毎 回 の テ キ ス ト の 進 む べ き 量 は 少 な く と も 15 ペ ー ジ 以 上 と な
る た め に 、重 要 事 項 に つ い て は 板 書 、プ リ ン ト 、パ ワ ー ポ イ ン ,人 体 解 剖 模 型 等
を 用 い て 授 業 の 内 容 の 理 解 に 努 め た 。さ ら に 自 ら の 臨 床 経 験 や 事 例 、ト ピ ッ ク ス
を 数 多 く 紹 介 し て 、そ の 分 野 の 重 要 性 を 強 調 し て 興 味 を 持 っ て 学 習 で き る よ う に
毎 回 努 力 し た 。特 に 解 剖 生 理 学 、病 態 学 関 連 の 写 真 、図 や 表 な ど は 多 く パ ワ ー ポ
イ ン ト を 使 用 し た 。こ の 方 法 に 対 し て 学 生 の 反 応 は 非 常 に 好 評 で あ っ た 。た だ し 、
病 態 学 総 論 I、 病 態 学 と 治 療 ・ 老 化 で は 講 義 内 容 が 非 常 に 莫 大 で か つ 範 囲 も 広 い
た め に 講 義 時 間 が 不 足 し て い る と い う 意 見 が 多 く 認 め ら れ た 。毎 回 予 習 、復 習 を
最 低 1 時 間 ず つ 実 行 す る よ う に 学 生 に 促 し て い る が 、そ の 実 践 は 難 し い よ う で あ
る 。今 後 、量 や 内 容 や 重 要 度 の 見 直 し な ど の 点 で 改 善 が 必 要 か も し れ な い 。医 学
一 般 I、医 学 一 般 (基 礎 )は 各 々 4.2、3.2 と 平 均 以 上 で は あ っ た が 共 に 4.0 以 上 に
なるように授業の工夫、技と一層の努力が必要と思われる。
3)「 総 合 評 価 に つ い て 」
解 剖 生 理 学 Ⅰ 4.2、 病 態 学 総 論 Ⅰ 4.2、 病 態 と 治 療 Ⅰ 内 科 ・ 老 化 4.2、 フ ィ ジ カ
ル ア セ ス メ ン ト 4.3 と す べ て 予 想 以 上 の 高 得 点 だ っ た で あ っ た 。こ の 4 教 科 は す
べ て 医 療 、医 学 、看 護 学 の 基 本 と な る 最 重 要 科 目 と 考 え ら れ る 。範 囲 や 量 が 膨 大
かつ内容や用語も非常に難解であるにもかかわらず、この分野に対する「興味、
関 心 」が 深 ま っ た か 又 、基 礎 医 学 の 重 要 性 が 理 解 で き た か に 対 す る 評 価 が 4.5∼
4.3 と 非 常 に 高 得 点 で あ っ た 事 に 驚 い た 。ま た 同 時 に 学 生 の 学 問 に 対 す る 意 識 の
高 さ に 、 今 後 の 学 生 の 勉 学 の 向 上 を 期 待 出 来 る と 感 じ 取 っ た 。 医 学 一 般 I、 医 学
一 般 (基 礎 )は 各 々 3.8、 3.1 と 共 に 看 護 学 科 学 生 よ り か な り 低 か っ た 点 は 今 後 ど
うやってレベルアップを図るべきかなども含めて非常に大きい課題である。
4)「 学 生 の 取 り 組 み 方 に つ い て 」
解 剖 学 Ⅰ 3.6、 病 態 学 総 論 Ⅰ 3.9、 病 態 と 治 療 Ⅰ 内 科 ・ 老 化 3.9、 フ ィ ジ カ ル ア
セ ス メ ン ト 4.0 で あ っ た 。こ の 項 目 の 学 生 の 自 己 評 価 は 予 想 以 上 に 高 か っ た 。但
し 、 授 業 に 対 す る 予 習 、 復 習 に つ い て は 3.0∼ 3.5 と 他 と 比 較 し て か な り 低 か っ
た 。講 義 の 際 に 学 生 に 何 度 か 聞 い て み た が 、実 際 に 予 習 ,復 習 を 実 践 し て い た 学
生 は ほ ん の 数 名 で あ っ た 事 は 残 念 で あ っ た 。で き れ ば こ の 点 は 学 生 の 今 後 さ ら な
る一層の自己努力に期待したい。
医 学 一 般 I、医 学 一 般 (基 礎 )は 各 々 3.6、3.3 と 平 均 以 上 で は あ っ た が 今 後 さ ら
に一層向上させる必要がある。
III. 授 業 改 善 の 展 望
限 ら れ た 時 間 内 に い か に 莫 大 な 知 識 を 学 生 に わ か り や す く 、楽 し く 、理 解 か つ
記 憶 さ せ る 方 法 を 模 索 し つ つ の 授 業 を 行 っ た 。そ の た め に 板 書 、プ リ ン ト 、パ ワ
ー ポ イ ン ト 、ビ デ オ 等 を フ ル に 活 用 し 、同 時 に 学 生 に 直 接 質 問 し て 考 え さ せ る 授
業 も 積 極 的 に 行 っ た 。ま た 学 生 に は 日 常 生 活 の 中 で 医 学・医 療 に 興 味 を 持 て よ う
に 、毎 日 、新 聞 や テ レ ビ 、ラ ジ オ 、イ ン タ ー ネ ッ ト 、図 書 館 等 を 積 極 的 に 活 用 す
る よ う 力 説 し て い る 。実 際 に は 難 し い よ う で あ る が 、今 後 さ ら に 学 生 の 努 力 に 期
待 し て い る 。我 々 は 学 生 が 自 ら 興 味 を 持 っ て 行 動 、学 習 で き る よ う に 可 能 な 限 り
インパクトのある、わかりやすい授業を行うように全力を尽くしたい。
34
学科:看護学科
職名:講師
氏名:坂本知子
対 象 科 目 : 成 人 看 護 概 論 ( 講 義 )、 慢 性 期 成 人 看 護 ( 講 義 )、 成 人 総 合 看 護 ( 講 義 )
Ⅰ
授業のねらい
1.慢性期成人看護(2 年)
慢性的健康問題を持つ成人を対象として、各健康問題を理解し看護の必要性と方法を
知 る こ と を 目 的 と し 、①長 期 間 の コ ン ト ロ ー ル の 必 要 性 と 維 持 ・管 理 方 法 、② 自 己 管 理 行 動
に対する健康教育と学習、③健康問題や生活行動障害に対する、生活の再構築やヘルスケ
アシステムの活用、④病期や病状による療養スタイルの変化と手続き、に焦点をあてた。
2.成人総合看護
(2 年)
(成 人 各 期 の 担 当 者 に よ る オ ム ニ バ ス 方 式 の 授 業 )
慢性的健康問題を持つ対象への継続アプローチの必要性と方法の習得を目的とし、対
象 と す る 健 康 障 害 が 、長 期 間 の 慢 性 的 経 過 を た ど る こ と か ら 、① 二 次 的 障 害 の 進 行 と 対 応 、
②継続管理の方法、に焦点をあてた。
3.成人看護概論
(1 年)
成人看護学の対象(①役割期待を担い、発達課題を達成し、外的環境に適応している
成 人 、 ② 身 体 的 ・心 理 的 変 化 を 調 整 し て い る 成 人 )、 自 己 管 理 行 動 な ど の 成 人 保 健 、 お よ び
病気を持って生きる成人の各健康レベルの看護を捉える、ことを目的とした。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
【アンケート評点】
授 業 形 態 は 、演 習 時 間 以 外 で は 、AB ク ラ ス 合 同 授 業 で 実 施 し た が 、ア ン ケ ー ト に よ る 評
点には違いが見られた。これは、学習の準備・要求水準・批判的思考などが関連している
ことも考えられる。
(慢性期成人看護:演習 3 回,成人総合看護:演習 1 回,看護概論:演習0回)
授業のあり方
教え方
総合評価
1 慢 性 期 成 人 看 護( 2 年 )
3.4
3.2
3.1
2 成 人 総 合 看 護 (2 年 )A
2.9
2.6
2.6
成 人 総 合 看 護 (2 年 )B
3.3
3.1
3.1
3 成 人 看 護 概 論 (1 年 )A
4.0
3.6
3.4
成 人 看 護 概 論 (1 年 )B
3.2
2.9
2.5
【アンケート記述】
1 . 慢 性 期 成 人 看 護 ( 2 年 ):「 授 業 に お く れ る 」、「 説 明 が わ か り に く い 」、
2.成人総合看護
( 2 年 ):「 演 習 に 遅 れ る 」、「 演 習 の 時 間 配 分 が 無 理 」
3.成人看護概論
( 1 年 ):「 何 が 重 要 か わ か ら な い 」、「 説 明 が わ か ら な い 」
Ⅲ
授業改善の展望
1 .午 前 ・午 後 に 講 義 ・実 習 を 組 み 合 わ せ た り 、委 員 会 役 割 を 同 時 進 行 し 迷 惑 を か け た の で 、
講義主体で時間を組む。
2.健康障害と看護の関連では、看護展開を重視し、組み立てと内容を精選する。
35
学科:看護学科
職名:教授
氏名:佐橋徹
対 象 科 目:病 態 学 総 論 Ⅱ( 講 義 )、病 態 と 治 療 Ⅱ( 講 義 )、フ ィ ジ カ ル ア セ ス メ ン ト( 講 義 ・
演習)
< 病 態 学 総 論 Ⅱ ( 講 義 )、 病 態 と 治 療 Ⅱ ( 講 義 ) >
Ⅰ
授業のねらい
前期に終了した解剖生理学を基礎として、臨床的に重要な疾患のうちで、特に外科的対
応を要する疾患の生理学的な病態の理解とその疾患の検査法、治療法、看護の方法等につ
いて講義した。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
講義の内容、方法等に対する学生評価はすべて平均以上であったが、授業の方法に工夫
を加えれば、さらに学生の理解度は高まったであろう。
Ⅲ
授業改善の展望
設 問 IV あ な た の 取 り 組 み 方 (18),(19) は そ れ ぞ れ 2.9 と 3.0 と 低 値 で あ っ た の で 、
授 業 時 間 内 に 質 問 の 時 間 を 組 み 込 ん だ り 、小 テ ス ト を 単 元 ご と に 行 う こ と も 始 め て み た い 。
<フィジカルアセスメント(講義・演習)>
Ⅰ
授業のねらい
講義とビデオテープでフィジカルアセスメントの概要を把握したのち、学生同志がペア
を組んで、アセスメントを行って、生理的な臨床検査を経験することにより、人体の機能
を 理 解 す る 。ま た ク ラ イ ア ン ト と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 訓 練 を 受 け る こ と を 目 的 と す る 。
Ⅱ
授業の次自己点検・自己評価
全般的に、授業評価点は高値であった。演習が多くあったために、学生が深い興味を持
っ た よ う だ 。 学 生 が 約 80 名 の た め に 2 つ の グ ル ー プ に 分 け て 、 演 習 の グ ル ー プ と ビ デ オ
による学習のグループにわけた。どちらを先に行う方が授業の効果が高まるかは判断がで
き な い 。 現 在 の 教 師 の 人 数 で は 、 80 名 の 学 生 を 同 時 に 教 育 す る こ と は で き な い 。
Ⅲ
授業改善の展望
教師の増員が、最善の解決策であることは明らかであるが、学生が積極的に質問をする
ように工夫をしてみたい。
36
学科:歯科衛生学科
職名:教授
氏名:佐橋徹
対 象 科 目 : 生 理 学 ( 講 義 )、 救 急 処 置 看 護 法
<生理学(講義)>
Ⅰ
授業のねらい
歯科衛生士に必要な人体の生理学的機能を講義により教授する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
前期のみ7回の講義であったが、教科書の内容をもらさず教授しようとしたために、早
いスピードで、かつ膨大な量を講義することになった。そのために過大な負担をかけてし
まった。教科書の内容は、高校生物とさほど違いはないと思われるが、理解度に応じた速
さと量を今一度検討する必要があるようだ。
Ⅲ
授業改善の展望
学生に歯科領域を越えて生理学的、解剖学的理解が必要であることを認識するように指
導しなければならない。
<救急処置看護法>
Ⅰ
授業のねらい
歯科衛生士は、緊急処置が必要な場面に遭遇することがあり得るために、医療職として
必要な技術と、知識を獲得することを目的とした。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
救急処置において基礎となる解剖・生理学や疾患の理解が十分ではないため、技術は体
験できても、体系的な理解は困難であろう。一般人が行うべき技術を確実に身に付けるこ
とを第一の目標として、実技の訓練時間を増すことも考えてみたい。
37
学科:社会福祉学科社会福祉専攻
職名:教授
氏名:佐橋徹
対象科目:医学一般(保健指導)(講義)
Ⅰ
授業のねらい
医学一般という授業ではあるが、内容は、わが国の公衆衛生学的、衛生学的な見地から
見 た 日 本 の 現 状 の 把 握 を 目 的 と し て い る 。人 口 動 態 、人 口 静 態 、国 民 の 健 康 に 対 す る 施 策 、
医事に関する法制などについて講義した。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
設 問 III 教 え 方
(7) と (10) に 対 す る 評 価 は 3.2 と 3.1 と 低 か っ た 。 自 由 記 述 に は
「スピードが速すぎる」「板書を丁寧に書いてほしい」などがあった。私自身が深く研究
し て い な い 分 野 も あ っ た た め に 、教 科 書 の 内 容 を 吟 味 せ ず に そ の ま ま 講 義 し て い た よ う で 、
学生により分かりやすく講義をするという努力を続けなければならない。
学科:社会福祉学科介護専攻
職名:教授
氏名:佐橋徹
対象科目:医学一般Ⅱ(講義)
Ⅰ
授業のねらい
介護職になることを目標にしている学生に対し、介護の現場で必要とされる基礎的な医
学知識や介護を必要とすることが多い疾患を理解することを目的として、講義を主として
行った、通年の授業である。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
二 名 の 教 官 で 分 担 し た 講 義 で あ っ た が 、カ リ キ ュ ラ ム の 日 程 上 、人 体 の 解 剖 学 、生 理 学 、
薬理学などの基礎的科目が終了する以前から疾患の講義が始まるために、基礎的な内容も
同時に講義をせざるを得ない。そのために講義の内容が増大して、従ってスピードも増し
て し ま う 。 設 問 II 教 え 方 (6),(7),(8) に は
Ⅲ
その影響があったかも知れない。
授業改善の展望
講義の内容を再点検して、整理をしてみたい。また、学生に予習を行ってから講義に望
むように、今一度予習の必要性を強調してみたい。
38
学科:看護学科
職名:講師
氏名:永野ひろ子
対 象 科 目 : 基 本 技 術 ( 講 義 ・ 演 習 )、 日 常 生 活 援 助 技 術 ( 講 義 ・ 演 習 )
Ⅰ
授業のねらい
看護は,直接的にも間接的にも常に人々との関係を保ちながら行われるものである。そ
れゆえ,看護技術は人間理解に根ざしたものであることが必須であると考える。また,看
護は,さまざまな健康レベルや発達段階にある人々の健康,および健康状態の改善を図る
ことを目的とした実践活動である。そして,人々の健康上の問題に対して道具としての技
術を目的意識的に適用し,その実践活動を通して表現されるものである。それゆえに,看
護技術としての道具の使い方,科学的思考による熟練した技と創造性を発するものでなけ
ればならないと考える。また,将来,看護の現場(社会)でより良く生き抜くことのでき
る自主性と,
[ 生 き る ]こ と の 意 味 づ け を 考 え る こ と が で き る 人 間 形 成 ,そ し て 適 切 な 判 断
力に基づいた看護実践ができることを本講のねらいとしている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
平 成 18 年 度
自己評価について多くの学生の反応は、教授方法を理論的な内容からよ
り具体的性を求めるものであった。このことについて、特に難易度の高い心理学的内容が
包含されるコミュニケーション技術を、そして、当該領域は担当者が認定カウンセラーの
資格を所持している点を鑑みて以下の点について検討した。
( 1 ) 時 間 数を こ れ ま で の 倍 に
し た こ と 、( 2 ) ガ イ ダ ン ス に 次 い で 入 学 時 点 の 早 期 に 開 始 し た こ と 、( 3 ) カ ウ ン セ リ ン
グ 技 法 か ら ア サ ー テ イブ ネ ス ス キ ル と 傾 聴 ス キ ル( バ ー バ ル お よ び ノ ン バ ー バ ル コ ミ ュ ニ ケ
ー シ ョ ン )を 基 軸 に し た 、実 践 的 ト レ ー ニ ン グ 法( 永 野 ひ ろ 子 、聴 き 手( 看 護 師 )の 態 度 ・
行 動 が 話 し 手( ク ラ イ エ ン ト )の 情 動 反 応 に 及 ぼ す 影 響 と 発 話 促 進 効 果 に つ い て -共 感 的 理
解 「 受 容 的 態 度 の 技 術 」 の 視 点 か ら 、 看 護 教 育 、 医 学 書 院 、 2006) を 導 入 し た 。 グ ル ー プ
学習制をとり入れ講義をできるだけ少なくして、指導役の教員が各グループを指導した。
テキストは、永野ひろ子監訳、保健医療職のための伝える技術
伝わる技術、医学書院、
2005 を 使 用 し た 。結 果 、学 生 の 反 応 と し て 、実 践 的 で か つ 、創 意 工 夫 が な さ れ て 非 常 に わ
か り や す い も の で あ っ た と 評 し て い る 。 評 価 の 平 均 ス コ ア は 4.0 で あ っ た 。 こ れ は 学 生 の
理 解 能 力 に 対 し て 、心 理 学 的 領 域 等 難 易 度 の 高 い 内 容 が 関 連 し て い た こ と 等 が 考 え ら れ る 。
学生の自己評価によると、実践的な学習の展開では興味・関心が高く、大変おもしろいと
評している。しかし、看護の教育では臨床の多くの場で未知の課題に遭遇するときに必要
な、自ら解決していくことのできる能力(創造力、判断力、問題解決力)が求められる。
そのためには、難易度の高い領域においても、また興味・関心を高めるような取り組みが
必要と思われる。
Ⅲ
授業改善の展望
最新の米国医学・医療の現状から、日野原重明氏(聖路加国際病院理事長)によると、
問題解決技法によるグループ学習制は医学教育においても、評価が非常に高いことが報告
されている。そこで、できる限り講義は少なくし、学生にはあらかじめシラバスを中心に
学習し、授業は指導者についてのグループ学習方式をとる。そして、指導教官や模擬患者
を使ってのワークショップから学ぶことを今後の課題としたい。
39
学科:看護学科
職名:教授
氏名:深江久代
対 象 科 目 : 看 護 学 科 : 老 年 看 護 概 論 ( 講 義 )、 老 年 期 の 健 康 障 害 と 看 護 ( 講 義 ・ 演 習 )、
老年期の保健・医療・福祉(講義・演習)
学科共通科目:医療福祉システム論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
医療福祉システム論:社会の高齢化が進展する中で、地域における保健・医療・福祉の現
状の問題点とその解決方法や実践の場での連携の方法を学ぶ。
老年看護概論:高齢者をとりまく社会情勢や生活環境、加齢に伴う身体的・心理的・社会
的特徴を理解する。
老年期の健康障害と看護:老年期に発症しやすい健康障害の特徴と健康問題について理解
し、その看護について学ぶ。
老年期の保健・医療・福祉:老年期の保健・医療・福祉活動の概要を知るとともに、高齢
患者特有の看護問題として、寝たきり、認知症などの看護を理解する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価(学生からの授業に対するアンケート結果を踏まえて)
①
授業のあり方
担 当 し た 科 目 の 学 生 に よ る 授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 点 は 、医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 :( 第 一
看 護 学 科 、 歯 科 衛 生 学 科 、 社 会 福 祉 専 攻 ) 4.0、 (介 護 福 祉 専 攻 )4.5、 老 年 看 護 概 論 4.5、
老 年 期 の 健 康 障 害 と 看 護 4.2、 老 年 期 の 保 健 ・ 医 療 ・ 福 祉 4.2 で あ っ た 。
各科目について、学科平均と比較すると学科平均よりほぼ同様か上であった。しかし、
老 年 期 の 保 健 ・ 医 療 ・ 福 祉 の A ク ラ ス に つ い て は 、 3.9 で 特 に 低 く 、 中 で も 「 (5)教 員 か ら
与 え ら れ た 課 題 (宿 題 、 レ ポ ー ト )は 、 質 ・ 量 と も に 適 切 で あ っ た 」 が 「 あ ま り そ う 思 わ な
い 」 と 答 え た 学 生 が 38 人 中 5 人 (13.2%)い た 。 特 に 一 昨 年 よ り 多 く し た わ け で は な い が 、
学生によっては負担に感じた者がいたと考える。しかし、3 年生の各論実習を迎えるにあ
たり、ある程度の自己学習を継続していってほしいと希望する。
②
教え方
担 当 し た 科 目 の 学 生 に よ る 授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 点 は 、医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 :( 第 一
看 護 学 科 、 歯 科 衛 生 学 科 、 社 会 福 祉 専 攻 ) 3.9、 (介 護 福 祉 専 攻 )4.3、 老 年 看 護 概 論 4.5、
老 年 期 の 健 康 障 害 と 看 護 4.2、 老 年 期 の 保 健 ・ 医 療 ・ 福 祉 4.1 で あ っ た 。
講 義 に つ い て 、医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 と 老 年 期 の 保 健・医 療・福 祉 の A ク ラ ス の 点 が 低 か
っ た 。 医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 で は 、 介 護 福 祉 専 攻 は 4.3 で あ っ た の に 対 し 、 第 一 看 護 学 科 、
歯 科 衛 生 学 科 、社 会 福 祉 専 攻 合 同 の 講 義 が 低 か っ た 。特 に「 学 生 の 理 解 度 に 配 慮 し て 授 業
を 進 め て い た 。」「 学 生 に 対 し て 誠 実 に 対 応 し て い た 。」 が 3.7 と 低 か っ た 。 こ の 講 義 は 3
学科共通で講堂で行っている。そのため、学生がどの程度わかっているのかが把握がしに
くい。できれば教室で行いたいが、多人数が入る教室がないため、工夫しにくい。講義に
つ い て の 自 由 記 載 に 、「 ス ク リ ー ン に 出 る 内 容 の プ リ ン ト が な く 、 書 き 取 る 時 間 が な い 。」
「学生の方を向かずにいいのか?」などがあったため、次年度は資料や話し方を工夫して
いきたい。
老 年 期 の 保 健 ・医 療 ・福 祉 の A ク ラ ス は 、学 科 平 均 と 比 較 す る と 全 体 的 に 、学 科 平 均 よ
40
り 低 か っ た 。講 義 に つ い て の 自 由 記 載 で は「 グ ル ー プ ワ ー ク が 多 す ぎ る 。」と 書 か れ て い た
も の が 多 か っ た 。他 の 講 義 で は「 グ ル ー プ ワ ー ク で の 自 己 学 習 に よ っ て 興 味 を 持 て た 。」
「グ
ル ー プ ワ ー ク を 通 じ て 自 ら 学 ぶ 姿 勢 を 持 た せ て く れ た 。」な ど の 記 述 が 目 立 っ た が 、老 年 期
の 保 健・医 療・福 祉 の グ ル ー プ ワ ー ク の 取 り 入 れ 方 を 考 え 直 す 必 要 が あ る と 考 え る 。ま た 、
発表後のまとめもわかりやすく丁寧に行っていくように改善したい。
昨 年 は 「 教 科 書 が 十 分 に 使 わ れ て い な い 。」 と い う 4 人 の 記 載 が あ っ た こ と か ら 、 今 年
は教科書の活用方法を加えて説明していったため、教科書についての自由記載はなかっ
た。
③
総合評価
担 当 し た 科 目 の 学 生 に よ る 授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 点 は 、医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 :( 第 一
看 護 学 科 、 歯 科 衛 生 学 科 、 社 会 福 祉 専 攻 ) 3.8、 (介 護 福 祉 専 攻 )4.4、 老 年 看 護 概 論 4.4、
老 年 期 の 健 康 障 害 と 看 護 4.1、 老 年 期 の 保 健 ・ 医 療 ・ 福 祉 4.1 で あ っ た 。
自 由 記 載 で は 「 良 い と 思 っ た こ と 、 感 心 し た こ と 」 の 記 載 が 多 く 「 わ か り や す い 。」「 事
例 や 体 験 で の 話 し が 入 り 、 イ メ ー ジ が わ く 講 義 」「 質 問 に つ い て 丁 寧 に 対 応 し て く れ た 。」
「 高 齢 者 の 疑 似 体 験 に よ り お 年 寄 り の 大 変 さ が 実 感 で き た 。」 な ど が 多 か っ た 。
④
あなたの取り組み方
担 当 し た 科 目 の 学 生 に よ る 授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 点 は 、医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 :( 第 一
看 護 学 科 、 歯 科 衛 生 学 科 、 社 会 福 祉 専 攻 ) 3.3、 (介 護 福 祉 専 攻 )3.7、 老 年 看 護 概 論 3.7、
老 年 期 の 健 康 障 害 と 看 護 3.7、 老 年 期 の 保 健 ・ 医 療 ・ 福 祉 3.6 で あ っ た 。
講義について各科目のこの項目を見ていくと、どの科目も「自分は疑問点を必要に応じ
て教員に質問した」と「自分は、この授業に関する予習、復習をした」が低かった。特に
1 年生後期科目である老年看護概論と医療福祉システム論は低かった。授業ごとに質問を
考える時間をしっかり保証することが求められていると考える。
Ⅲ
授業改善の展望
事前に授業計画をしっかり立て、さらに計画的に展開できるよう努める。特に老年期
の保健・医療・福祉については、全体的な方法を見直す。グループワークは、一方的な講
義だけでは学べない他者から学ぶ体験、自分の意見をまとめて発表する体験として意味が
あることから、今後も取り入れていきたいが、グループワークの取り入れ方や、内容によ
って取り入れる意味を考え直す。グループワークを行う場合は、なぜその方法を取り入れ
るのかの意味を伝える。
ま た 、「 学 生 の 取 り 組 み 方 」 の 評 価 点 が 上 が る よ う に 、 こ ち ら か ら 学 生 に 質 問 を 投 げ か
け た り 、学 生 が 質 問 し や す い 雰 囲 気 に 留 意 し 、質 問 の 時 間 を し っ か り 保 証 し て い く 。マ ン
ネ リ 化 し な い よ う に 心 が け 、予 習 ・ 復 習 の ポ イ ン ト を 話 す な ど を し て 、学 生 各 自 が 関 心 を
持って学習し、授業で確かめられるような講義を心がける。
41
学科:看護学科
職名:講師
氏名:前野真由美
対 象 科 目 : 症 状 別 看 護 ( 講 義 )、 終 末 期 成 人 看 護 ( 講 義 ・ 演 習 )、 看 護 研 究 ( 講 義 ・ 演 習 )
Ⅰ
授業のねらい
1
症状別看護
症状は主観的である。症状は患者の最も大きな苦痛となることが多い。患者、家族は、
症状を緩和しようと努める。しかし、自分たちでは手に負えなくなった時、医療者に援助
を 求 め る 。 患 者 、 家 族 の QOL を 改 善 ・ 維 持 す る た め 、 看 護 師 は 、 症 状 を 適 切 に マ ネ ジ メ ン
トする役割を担う。看護師が行う症状マネジメントについて学ぶ。
2
終末期成人看護
人がその人らしく最期のときまで生き、逝く、その家族が家族らしく生きるにある看護
とは何かを考え続ける力が身につく。
3
看護研究
看護研究における研究の意義を理解する。さまざまな研究方法と研究プロセスを学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
1
症状別看護
他教員と検討を重ね、授業を計画した。看護師は、多くの要因からなる患者の症状を理
解 し 、効 果 的 に 対 処 し て い く 。理 論・モ デ ル に UCSF の 症 状 マ ネ ジ メ ン ト を 用 い た 。こ の 理
論・モ デ ル は 、改 定 さ れ 、最 新 版 は 英 文 か ら 翻 訳 さ れ て い な か っ た 。教 員 が 翻 訳 し た 理 論 ・
モデルを用いた。そして、この理論・モデルを用いて、①症状の定義②症状の機序③患者
へ の 援 助 を 理 解 す る こ と を 目 標 に 講 義 を 行 っ た 。 学 生 の 評 価 は 平 均 2.7 で あ っ た 。 「 わ か
りにくい。」「資料が多すぎる。」の意見が多かった。学生は、疾患からくる症状は、既
に学んでいるため、症状の要因を探るのではなく、疾患からの症状をみて、看護を学ぶが
わかりやすいと考える。前任者にならい、学生が症状の機序をまとめ、発表するのもよい
と考える。
2
終末期成人看護
一回目の授業後、学生から授業で話した事例の扱いが不当である、相変わらず授業がわ
かりづらいと申し出があった。学生数名と教員数名と話し合った。結果、効果的な学びを
考え、一部、講義から学生のグループワークへと変更した。また、講義の一つを当学部の
教員に参観してもらう公開講義とした。公開講義後、多くの教員と話し合いを重ね、授業
の 改 善 に 努 め た 。 学 生 の 評 価 は 平 均 3.9 で あ っ た 。 「 改 善 が み ら れ た 。 」 「 わ か り や す く
なった。」の意見が多かった。しかし、「終末期の看護がわかりづらい。」という意見も
あった。教科書を用いて終末期にある患者とのコミュニケーションを伝えた。しかし、こ
れは「伝えたつもり」であり改善の必要がある。学生は、身近なこと、事例、教員の体験
談から学ぶ。多くの具体例を提示し、学生が自ら理論を引き出す、教科書とクリティカル
に対話することができるに努めたい。グループ発表では、講義では教員が知り得なかった
学生の学ぶ力をみた。しかし、グループワークへの学生の評価はよくない。グループワー
クを取り入れたいが、時間の確保、学生個人の負担などの問題が残る。
3
看護研究
学 生 の 評 価 は 、 平 均 3.2 で あ っ た 。 「 具 体 例 が あ り 、 わ か り や す か っ た 。 」 の 記 述 か ら
42
「資料がありすぎてわからない。」まであった。看護研究は、全講義を 2 分し、前半を前
野、後半を塚本先生が担当した。前半は、講義のみとなった。学生の意見に「ゼミらしく
行いたい。」があった。塚本先生の担当講義は、クリティカル・リーディングであった。
そこで議論はできている。
Ⅲ
授業改善の展望
症 状 別 看 護 、 看 護 研 究 は 、 平 成 18 年 度 で 終 了 で あ る 。
終末期成人看護では、次の 4 つに重点を置き、授業を行いたい。
1.学生がノートを取れる授業とする。提示資料を多くしない。
2.身近なこと、事例、体験談など、具体的なものを多く話す。
3.ビデオ、新聞などの情報メディアを活用する。
4.演習を多く取り入れる。症状緩和のケア、コミュニケーションなど。
43
学科:看護学科
職名:講師
氏名:増田明美
対 象 科 目 : セ ク シ ュ ア リ テ ィ ( 講 義 )、 母 性 の 健 康 と 看 護 ( 講 義 ・ 演 習 )、
母性の健康障害と看護(講義)
Ⅰ
授業のねらい
1.セクシュアリティ
1)人がその人らしく生きるために、ライフサイクル各期の性や生殖に関する発達や
課題を理解し、セクシュアリティの看護の重要性を学ぶことができる。
2 )リ プ ロ ダ ク テ ィ ブ・ヘ ル ス /ラ イ ツ の 視 点 か ら 男 女 が 共 生 で き る 社 会 に つ い て 考 え
る。
3)セクシュアリティを正しく理解し、自己の性について考える。
2.母性の健康と看護
1)産褥期の正常経過を理解し、産褥経過にあわせた看護を理解する。
2)新生児の特徴を理解し、子宮外生活に適応するための看護を理解する。
3)母性看護の基本的看護技術を学ぶ。
3.母性の健康障害と看護
1 )褥 婦 お よ び 新 生 児 に 対 し て 、異 常 の 予 防 や 異 常 の 早 期 発 見 の 重 要 性 が 理 解 で き る 。
2)健康を逸脱した褥婦および新生児に対する看護を学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授業に対するアンケート結果では、授業のあり方・教え方・総合評価の平均は前期(母
性 の 健 康 と 看 護 )4.2( 5 点 満 点 )と 低 い 結 果 で あ っ た 。後 期 で は 前 期 で の 講 義 方 法 な ど 自
己 点 検 ・ 評 価 し 授 業 に 望 ん だ 結 果 、 セ ク シ ュ ア リ テ ィ 4.7、 母 性 の 健 康 障 害 と 看 護 4.5 と
上昇、学生の自由記述も肯定的な内容となった。学生の取り組みに関しては、全科目を平
均 す る と 3.9 と 低 い 結 果 で あ っ た 。
セクシュアリティについては、「自分の生き方や性について考えられるよい授業であっ
た」「授業が受け身ばかりではなく参加できたという充実感があった」などの自由記述欄
から、学生自身が性をどう捉えているのか考える機会となり、授業のねらいを概ね達成で
きたと自己評価する。
前期授業の母性の健康と看護に関しては、学生に不評であったのが、看護過程の事例検
討であった。不評の主な原因は、学生の学習準備状況を把握していなかったことにある。
そこで、後期の授業(母性の健康障害と看護)では講義内容に応じた事例を用い前期の補
足を行った。また、模型、ビデオなどを使用し、イメージ化できるように努めた。最終講
義では、母性看護学を通し自己の看護観を含んだ総まとめの授業になるよう努めた。講義
終了後の記述内容から学生個々の看護に対する姿勢や考えを知ることができ、手応えのあ
る授業ができたと思う。母性基礎看護技術の習得のための学内実習では、学生の記述内容
より、理解しやすく効果的であったと評価する。今後は、個々に応じた指導を目指す教育
方法を検討していきたい。
学生の学習の取り組みに関しては、学生の反応に応じた授業や質問への対応が不十分で
あり、予習、復習などに好ましい影響を与えることができなかったと反省する。今後は学
生への動機付けや学習意欲に繋がる創意工夫と学習効果があがる教育方法の検討を進めて
44
いきたい。その他として、声の大きさは毎回指摘されるので意識はしているが、今後も、
なお一層の努力を心がけたい。
Ⅲ
授業改善の展望
上記の結果を受け4つの授業改善を述べる。
1.具体的授業展開の工夫
•母 性 の 健 康 と 看 護 で は 基 礎 看 護 学 の 講 義 進 行 状 況 に 合 わ せ 事 例 検 討 を 計 画 す る 。
例)前期では情報のアセスメントを強化する事例を用いる。
•母 性 の 事 例 を 使 っ た 看 護 過 程 の 展 開 に つ い て は 、個 人 学 習 と し 、
「母性の健康と看護」
「母性の健康障害と看護」の内容を学習後に事例検討を行う。
•母 性 基 礎 看 護 技 術 習 得 に 関 し て は 、 授 業 の 進 行 状 況 に 合 わ せ 教 示 す る 。
以下2∼3の項目は昨年と同様の改善策を引き続き実行する。
2.質問しやすい授業方法の工夫
•学 生 の 理 解 度 を 確 認 し な が ら 進 め る 。
•学 生 の 反 応 を 見 な が ら 、 わ か り や す い 表 現 で 繰 り 返 す 。
•写 真 や 映 像 を 用 い て そ の 場 で イ メ ー ジ し や す い よ う 講 義 す る 。
•講 義 の 中 で 質 問 し や す い 雰 囲 気 を つ く る た め 、 自 分 の 話 術 を 磨 く 訓 練 を す る 。
質問の答え方によっては、学生の興味や意欲を高める効果があると考えるので、誠実
に対応していきたい。
3.予習、復習に関して
•予 習 、 復 習 す る ポ イ ン ト を 講 義 終 了 後 に 提 示 し 、 自 己 学 習 を 意 識 付 け て い く 。
4.その他
•マ イ ク の 使 い 方 や 声 が 小 さ い と い う 指 摘 が あ り 、 滑 舌 に は 充 分 配 慮 し た い 。
45
学科:看護学科
職名:講師
氏名:渡邊輝美
対象科目:地域看護概論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
地域看護のめざすところは、地域で生活している人々の健康を予防することにある。これは
公的私的における保健・医療・福祉・教育機関等それぞれに属する看護職が各々の役割を通し
て協働して展開する活動である。本授業においては、地域看護の理念を的確にし、目的、対象、
方法を理解し、地域看護の機能と役割を学習する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
地域看護概論は、地域に住む乳児から高齢者に至るまで幅広い年齢層を対象にし、保健
師の活動に焦点をあて、予防からリハビリテーションまであらゆる健康段階の人たちへの
看護を学ぶ科目である。教員は現代の社会情勢や社会制度あるいは看護の動向も示しなが
ら、授業を進めていった。しかも地域看護の学びを医療機関や施設での看護にも役立てら
れるように、予防の重要性や継続看護の必要性についても話をした。保健師の活動は、生
活に密着している活動であるため、なるべく、学生の成長過程や生活に触れながら、保健
師の活動について講義を深めていった。医療制度についても理解する必要があるので、国
民健康保険の分野に携わっている保健師から「診療報酬から見る看護の視点」と題して診
療報酬の見方や疾病の予防や重症化の防止について話をしていただいた。これらのことか
ら 、授 業 の 量 や 進 度 、学 生 の 理 解 度 に 応 じ た 授 業 の す す め 方 、 授業 の 工 夫 、学 生 の 理 解 度 、
学生の意欲の向上、学生の満足度、教員の熱意などの評価はよかった。
授業のねらいなどについて、授業の初日に説明したので、前向きな姿勢で授業に望んだ
学生も多かった。授業の度に、学生に質問や感想を書いてもらい、次回にその質問や感想
に応えるようにした。このことは、教員が学生に対して誠実に対応していることへの評価
につながっていると考えられる。授業の度に出席をとったことが、遅刻や欠席をしない意
識啓発につながったと考えられる。
Ⅲ
授業改善の展望
今年度の方法を継続する。具体的には、地域に住む市民とし、学生が自分自身の生活を
振り返られる内容も取り入れる。本やビデオなどの教材を活用する。保健活動を行ってい
る保健師を招き、保健師の活動の実際を講義していただく。これらのことを学生の状況を
見ながら実施していく。
46
学科:看護学科
職名:講師
氏名:渡邊輝美
対象科目:地域看護各論(講義・演習)
Ⅰ
授業のねらい
在宅看護に必要な基本的知識と方法・技術を理解し、演習等を通して在宅看護に必要な
援助方法について学習する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
在宅看護は、本人だけでなく家族を一つの単位として捉え、療養者が快適にかつ安全に
生活できるよう援助することが目的である。そのため、学生には、本人・家族・生活の様
子、家族の介護状況を知り、それに基づいた看護が理解できるように授業を構成した。例
えば、多くの事例を用いて学生の理解を促す、あるいは学生自身や学生の家族のことを振
り 返 え る こ と が で き よ う に 促 す な ど で あ る 。具 体 的 な 方 法 と し て 、ALS の 療 養 者 を 講 義 に
お招きし、病気のことや日常生活について話をしていただいた。そして、他種職との連携
を学ぶために、本学の歯科衛生学科の教員に看護職との連携について、講義を依頼した。
在宅における看護技術を講義する際は、グループワークの手法を用いた。看護過程の場合
は、学生が司会と書記の役割を担い、学生間で意見を出し合い、学習を深めていった。教
科書を活用し、教科書の内容について、学生が理解しにくい表現、用語、概念は、具体的
にわかりやすく説明し、ビデオなどの視聴覚教材も用いた。以上のことから、学生から授
業の量や進度、学生の理解度に応じた授業のすすめ方、学生の理解度、授業の工夫、学生
の意欲の向上、教員の熱意、学生の満足度などの評価はよかった。
授業のねらいや課題については、授業の初日に説明したので、計画をたてて授業に望ん
だ学生も多かった。授業の度に学生に質問や感想を書いてもらい、次回にその質問や感想
に応えるようにした。このことは、教員が学生に対して誠実に対応していることへの評価
につながっていると考えられる。学生からも、学生の質問に答えることは、授業の時間を
多く割くことになるが、継続して実施して欲しいという意見が多かったので、今後も行っ
ていく。授業の度に出席をとったことが、遅刻や欠席をしない意識啓発につながったと考
えられる。
Ⅲ
授業改善の展望
今年度の方法を継続する。具体的には、講義開始時に、授業のねらい、日程、方法、課
題などを説明する。出席を毎回とる。在宅療養者や他種職の教員に講義を依頼する。学生
が主体的に考えられるように、グループワークや意見交換を行う。学生の理解を促すため
に、事例を豊富に用いて授業を展開する。これらのことを学生の状況を見ながら実施して
いく。
47
学科:歯科衛生学科
職名:講師
氏名:渡邊輝美、杉山真澄
対象科目:地域看護・保健論(講義・演習)
授業のねらい
Ⅰ
保健・医療・福祉の実際について理解し、他職種と連携をはかりながら地域保健サービ
スを展開する必要性について学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
現代の社会情勢や社会制度あるいは看護の動向も示しながら、授業を進めていった。し
かも地域では、歯科衛生士と看護者との連携が必要不可欠なため、両者の具体的な連携事
例について話した。また、予防の重要性をより深く理解してもらえるように、学生に対し
て、簡易的な体力テストを行い、転倒予防の話や体操をした。学生が主体的に授業に参加
できるように、ディベートを実施した。これらのことから、授業の量や進度、学生の理解
度に応じた授業のすすめ方、授業の工夫、学生の理解度、教員の熱意などの評価はよかっ
た。
授業のねらいなどについて、授業の初日に説明したので、前向きな姿勢で授業に望んだ
学生も多かった。授業の度に、学生に質問や感想を書いてもらい、次回にその質問や感想
に応えるようにした。このことは、教員が学生に対して誠実に対応していることへの評価
につながっていると考えられる。授業の度に出席をとったことが、遅刻や欠席をしない意
識啓発につながったと考えられる。
Ⅲ
授業改善の展望
平 成 18 年 度 で 終 了 。
48
学科:歯科衛生
職名:教授
氏名:有泉祐吾
対 象 科 目 : 病 理 学 (講 義 科 目 )、 歯 科 材 料 学 ( 講 義 科 目 )、 口 腔 病 理 学 ( 講 義 課 目 )、 歯 科 材
料 学 実 習 ( 実 習 科 目 )、 診 療 補 助 実 習 (実 習 科 目 )
Ⅰ
授業のねらい
今年度は 2 年制の最終年度であり、3 年制の初年度であった。そして 2 年制の科目は診
療 補 助 実 習 の み で あ っ た た め 、今 年 度 は 3 年 制 の 3 科 目 の 講 義 科 目 と 1 科 目 の 実 習 科 目 に
つ い て 記 載 す る 。こ れ ら 4 科 目 は と も に 専 門 科 目 で あ り 、病 理 学 と 歯 科 材 料 学 は 1 年 前 期 、
口 腔 病 理 学 な ら び に 歯 科 材 料 学 実 習 は 1 年 後 期 の 科 目 で あ る 。す べ て の 講 義 科 目 に お い て 、
まず歯科関係の医療従事者としての歯科衛生士として、最低限の知識を修得させることを
目標としている。そして、実習科目においては、知識の裏付けを基にさらに理解度を深め
させることを、また一部の実習では基礎的な技術の一端を理解させることを目標としてい
る。
今年度より 3 年制となったが特に変わることなく、すべての科目が基礎科目ではあるが、
常にその延長線上には、臨床があることを意識できうるような授業を目指している。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
限 ら れ た 時 間 内 で 効 率 よ く 講 義 が 進 行 で き 、 ま た 講 義 と 学 生 自 身 の ま と め (復 習 )と が 、
スムーズに連携するよう講義の要点をプリントとし、それに穴埋め形式で記載していく方
式を、今年度も採用した。ただし、今年度の病理学のみは、講義時間の関係から穴埋めの
無いプリントとした。この方法は、プリントに自分自身で学習したことを追加することに
よって、各個人のまとめとしても使用できるように配慮したものでもある。また、絶対的
な時間 数は 3 年制 とな っても いまだ少な いた め、板書 を極力 少な くし、スラ イド等 を用 い
た講義としている。
一方、大多数の学生が、まったく新たな知識として受講するわけであるから、当初は専
門用語をなるべく平易な言葉で解説し、理解が容易になるよう配慮している。
さらに、今年度も講義においても可能な限り実物の提示を図り、スライド等では判断が
難しい器具等の実際を体験させることを出来うる限り行った。
また、実習にあたっては、なるべく講義と実習が連動するようカリキュラムを編成し、
可能な限り大多数の教員で担当し、目の行き届いた実習を心掛けている。
今年度の評価結果を見ると、前期と後期科目とで評価にかなりの差異が見られた。後期
に お い て は 、平 均 評 価 が い ず れ も 4 以 上 で あ る も の が 、前 期 に お い て は 3 点 台 が 見 ら れ た 。
病 理 学 (前 期 )と 口 腔 病 理 学 (後 期 )な ら び に 歯 科 材 料 学 (前 期 )を 比 較 し た 場 合 、す べ て の 項 目
で、口腔病理学が上回っていた。病理学は総論というか全身を対象であり、口腔病理学は
各 論 (口 腔 対 象 )と い う 違 い が 、 将 来 的 な 意 味 あ い で 学 生 の 意 識 に 表 れ た も の か 、 単 に 興 味
が あ ま り 浮 か ば な か っ た も の な の か 、講 義 に 慣 れ た こ と か ら な の か 、他 に 原 因 が あ る の か 、
同じく前期開講の歯科材料学においても同様な結果であったことは、判断に苦慮する。
また今回の学生評価での記載では無かったが、学生との会話では、特に講義科目に関し
て教授量が多いという感想がもたらされた。臨床は日々変化し進化している。それに対応
するためには、新たなる知識が必要となる。そのため、毎年少しずつ改定を行っているの
だが、普遍的な項目に加えることとなるので、必然的に絶対量は増加してくる。しかしな
49
が ら 、現 状 に そ ぐ わ な い 事 項 は 除 去 す る よ う に し て い る の で 、著 し い 増 加 で は な い の だ が 、
初めて接するとかなりの量と思えるのではないかと考える。やはり、理論的裏付けがあっ
て初めて臨床の場に立てると考える。したがって今後も、必要と思われる事項は、なるべ
く 教 授 し て い き た い と 思 っ て い る 。こ の 量 の 必 然 性 は 、ま だ ま だ 周 知 徹 底 も 不 十 分 で あ り 、
改善し、ぜひ理解していってもらわなくてはならないと考える。
一方、実習科目においては昨年度と同様、概ね現状においては、ほぼ満足のいく結果で
はないかと思われた。
Ⅲ
授業改善の展望
常 日 頃 か ら そ の 講 義 に 興 味 を 抱 き 、 自 ら 学 習 (研 究 )し て い く 意 欲 を 惹 起 せ し め る よ う な
授業へと進めていきたいと考えているが、昨年度の評価ではこの項目が特に目に付いて低
かった。今年度においては、この項目は全体的な評価の低かった前期科目においても一応
の学生評価を得ていたと思っている。しかしながら、まだ改善の余地はあり、教授された
こ と を 基 に 、 自 分 自 身 で 考 え 、 そ れ を 発 展 さ せ て い く (実 習 で あ る な ら ば 、 工 夫 し て い く )
ことが重要ということを、今まで以上に理解していってもらいたいと考える。一方、それ
ぞれの学生の修得状況は、各個人によって異なっており、教授の方法の項目で理解度に対
する配慮に関する項目がやはり前期科目において低かったことは、今後の課題である。疑
問点等は、授業時間外でもいつでも受け付けると公言しているし、前回の講義の理解度を
計るため、授業前に小テストを行っており、自由記述で評価も得ていたが、今までよりさ
らに、個々人に沿った目の行き届いたものとしなければならないかとも考えている。この
ために時間的な余裕を作り、何章かまとめて中間のテストを行い、その結果にコメントを
記載して返却する、というようなことも考えている。
また、自由記述において、前期科目の試験時日を現状の 9 月ではなく、夏休み前に行っ
てほし いとの 記述が、多数目 に付い た。授業 を行う側とし ても 、夏 休みを 挟ん で 9 月 に最
多でも 2 回程 の講 義を 行い 、試験 とい う現状 の形式 よりも 、講義を すべて 終了さ せ、試験
後に夏休みのほうが学習効果は上がるのではないかと考える。したがって、学校全体での
対応は時間がかかるであろうことが考えられるので、何らかの方策を講じて前期の試験を
夏休み前に行えないかと考えている。
50
学科:
歯科衛生学科
対象科目:
Ⅰ
職名:
講師
氏名:
海老名和子
予防的歯石除去実習(実習)
授業のねらい
歯科衛生士の業務のうちの一つである予防処置の中の歯周疾患予防に関する処置につい
ての知識と技術を修得するための授業である。まずは歯周疾患の知識を踏まえて歯周疾患
予防処置の理論と技術を修得する。具体的には、口腔診査法、各スケーラーによる歯石除
去、ルートプレーニング、歯面研磨等の技術を修得する。また実習を通して患者の立場を
理解し、患者に十分配慮することの大切さも併せて学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
1
授業のあり方について
一 昨 年 、昨 年 、今 年 度 と 平 均 が 、4.6、4.3、 4.4 と 推 移 し て お り 、大 き な 問 題 は な い と
考えている。今年度は、相互実習で毎回記述させる自己評価のレポートの様式を変えたこ
と に よ り 、学 生 の 記 述 の 負 担 が 少 な く な っ た た め に「 課 題 は 、質・量 と も に 適 切 で あ っ た 。」
の 項 目 が 。 0.3 ポ イ ン ト 上 昇 し た の で は な い か と 考 え る 。
2
教え方について
昨 年 4.0 が 、4.2 と 少 し 上 昇 し た 。こ れ は「 教 員 の 授 業 に 対 す る 熱 意 が 感 じ ら れ た 」が 、
0.4 ポ イ ン ト 、同 様 に「 教 員 は 、学 生 に 対 し て 誠 実 に 対 応 し て い た 」が 、0.4 ポ イ ン ト 上 昇
したためである。昨年に比べ相互実習では、多くの人の口腔内に接する機会をもてるよう
に学生のローテーション等を配慮したことがよかったのではないかと考える。
3
総合評価について
総 合 評 価 は 、 昨 年 平 均 が 4.4 だ っ た が 今 年 度 4.3 で あ っ た 。 こ の 科 目 は 歯 科 衛 生 士 の 専
門性の高い技術の修得を目指す実習科目であり、トレーニングを積み重ねていく要素が大
きいものである。早い段階で理解出来なかったり、操作技術が修得できない学生を見いだ
し指導していくことが必要であると思われる。
4
あなたの取り組み方について
気 に な る の は 学 生 が 「 こ の 授 業 の 予 習 、 復 習 を し た か 」 の 項 目 が 、 昨 年 と 同 様 の 3.2 で
ある。相互実習に入る前の復習はやっておかないと実習がスムーズに行えず効率の悪い実
習になってしまう。学生に繰り返し伝えていくことが大切である。
Ⅲ
授業改善の展望
常に相互実習では緊張感を持たせたいと思っているが、自分がそれを特に実感した時に
学生に対して厳しくなったりしてしまいそれがムラに感じた学生がいたのかと反省してい
る。相互実習で学生にどう緊張感を持たせるかが今後の課題である。また今年度は、2年
制カリキュラムでの最後となった。今後も授業科目名は変わるが同様の科目を担当するの
で、今年度の自己評価は生かし、学生にわかりやすい授業を展開していきたい。
51
学科:歯科衛生学科
職名:講師
対象科目:障害者(児)介助補助実習
Ⅰ
氏名:海老名和子
(実習)
授業のねらい
障害者が快適な生活を過ごすことができるように、歯科保健の立場から口腔管理を行う
こ と が 求 め ら れ て い る 。本 授 業 を 学 ぶ こ と で 、障 害 に つ い て の 知 識 を 学 び 、体 験 学 習 な ど
を 通 し て 障 害 を 持 っ て い る こ と の 困 難 さ を 理 解 す る 。そ し て そ の 上 で 歯 科 的 支 援 と し て の
障害者への口腔ケアの理論と技術を修得することである。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
1
授業のあり方について
昨 年 度 平 均 3.9 で あ っ た が 、 今 年 度 も 3.9 と 同 様 で あ っ た 。 課 題 の 量 と 質 に つ い て の 項
目が低めであった。これは後半で行った実習のレポートが、他の授業レポートや小学校実
習の準備等と時期が重なってしまい、学生の負担が大きかったのかと考える。また実習を
今年度は昨年より少し増やしたが、もっと実習が多い方がよいという意見があった。しか
し障害者についての基礎知識を学習してからでないと実習が効果的でなくなってしまう。
2年制課程でのこの授業では、これ以上は実習を増やすことは厳しい状況であった。
2
教え方について
昨 年 度 4.0 か ら 今 年 度 3.8 と や や 低 く な っ た 。
「 教 員 の 説 明 、指 導 は 適 切 で あ っ た か 」の
項 目 は 、 3.5 と 低 く な っ て し ま っ た 。 実 習 項 目 を 増 や す た め に 講 義 時 間 が や や 短 く な り 、
配布プリントの余白については、一部説明せず残りは各自調べるようにしていたが、全て
説明しないことを不満に思っていた学生がいたことを知った。また障害者を理解してもら
うために、その日の講義と関連のあるビデオをみてもらうように努めたことは、わかりや
すかったという意見が多くあり、効果的であったことがわかった。
3
総合評価について
昨 年 度 3.8 か ら 今 年 度 3.7 と 少 し 低 く な っ た 。 特 に 「 こ の 授 業 の 内 容 は よ く 理 解 で き
た 」が 3.6「「 自 分 は こ の 授 業 に 満 足 し て い る 」が 3.6 と 低 く な っ て し ま っ た 。よ く 理 解 で
きなければ授業の満足に結びつかず、この二項目は連動している。教え方等もう少し工夫
が必要であったのかと反省している。
4
あなたの取り組み方について
1時限目の授業のため実習科目であったにもかかわらず遅刻者が多かった。
「 遅 刻・欠 席
をしないように努めた」の項目でそう思わない学生が3名いたことには残念に思う。しか
し魅力的な授業でなかった自分の力不足も実感している。
Ⅲ
授業改善の展望
障害者(児)介助補助実習は3年制では、講義と実習が区別され総合的には時間数も増
える形になるので学生にとっては好ましいことだと思う。私は障害者関連の授業の主担当
ではなくなるが、実習等では学生にわかりやすい指導を心がけたいと考える。
52
学科:歯科衛生学科
職名:講師
対象科目:歯周疾患予防処置論
Ⅰ
氏名:海老名和子
(講義)
授業のねらい
歯周疾患予防処置の意義と歯科衛生士の役割について理解し、対象となる歯周組織につ
いて、病因と病体、歯周病の発症と進行などの歯周病予防の基礎と予防手段等について学
ぶ。また歯周疾患予防処置の使用器材の種類と使用目的、使用方法等についての知識を修
得し、患者さんへの配慮や偶発事故の防止についても理解する。さらに歯周診査の必要性
や使用器具について、プロービング等の診査方法等についての知識を修得する。また歯面
研磨については、歯面研磨の目的、使用する器材とその使用方法について学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
1
授業のあり方について
今までの2年制での「予防的歯石除去実習」が3科目に分かれ、講義の部分がこの授業
で あ る 。 こ の 項 目 の 平 均 は 、 4.1 で 悪 い ポ イ ン ト で は な い 。 内 容 、 時 間 数 等 の 違 い は あ る
が 、今 年 度 の「 予 防 的 歯 石 除 去 実 習 」の 自 己 評 価 は 、4.3 と な っ て い る 。今 ま で の 科 目 は 、
講義に続き実習という形式になっていたが、今年度から総合的に講義を行い、その後に実
習科目となった。そのためこの授業では、多くの項目を盛り込んだ授業内容となり、スピ
ードが速いと学生に言われたこともあり、反省している。
2
教え方について
平 均 が 、4.1 で 今 年 度 の「 予 防 的 歯 石 除 去 実 習 」で は 、4.0 と な っ て い る 。こ の 授 業 は 講
義科目であり、使用する器材を示したり工夫したつもりであるが、細かな手技までは理解
できなかったと思われる。パワーポイントやOHCを使用してみたが、事前の準備不足で
うまく使用できなかったことがあったので、今後は気をつけたい。教え方について厳しい
学生のコメントもあったが、真摯に受け止めていきたい。
3
総合評価について
「 予 防 的 歯 石 除 去 実 習 」 の 4.3 に 比 べ る と 総 合 評 価 4.1 は 、 や や 低 い が そ れ ほ ど 悪 い ポ
イ ン ト で は な い と 考 え る 。 授 業 内 容 は よ く 理 解 で き た が 3.8 で あ り 、 教 え 方 の と こ ろ で 触
れたとおり今後は、授業を工夫していくことが必要だと考えている。
4
あなたの取り組み方について
平 均 が 3.6 で あ り 。 予 防 的 歯 石 除 去 実 習 の 4.0 に 比 べ る と か な り 低 い 。 講 義 科 目 の た め
か「教員に質問する、予習・復習をした」の項目が、特にポイントが低くかった。
Ⅲ
授業改善の展望
この科目が終了してから実習に入ることから、実際の手技等については、より具体的に
学生にわかりやすい授業を展開できるようにしなくてはいけない。そのために今後は更に
工夫していくつもりである。また視聴覚器材については、操作にとまどうことがないよう
毎回事前確認をしておくことが大切である。
53
学科: 歯科衛生学科
職名: 助教授
氏名: 鈴木
温子
対 象 科 目 : 高 齢 者 介 助 補 助 実 習 (講 義 お よ び 実 習 )
Ⅰ
授業のねらい
チーム医療に歯科衛生士が機能していくためには、歯科医師その他関係専門職と適切に
連携しながら業務を遂行することのできる能力や、温かな人間性が備わった人材を育成し
なくてはならない。そのために必要な教育的配慮として、学生自らが問題を提起し、ゆと
りある時間の中でじっくり解決できるような授業展開をしていくことが必要だろうと考え
ている。また授業のコンセプトとして、人は口腔だけでなく、食事や言語など日常生活動
作を見て初めてその人となりを認識できることから、“生涯にわたり歯と口腔機能の健康
を守る”ことを包括目標としている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
1)学生による授業評価および学生の自己評価
「 授 業 の あ り 方 」 の 平 均 値 は 4 . 0 、「 教 え 方 」 の 平 均 値 は 4 . 0 、「 総 合 評 価 」 の 平 均
値 は 3 . 8 、「 学 生 の 自 己 評 価 」 は 3 . 3 で あ っ た 。
2)学生による授業評価と自己評価との関連
昨年度は、個々の学生評価票に基づき自己評価の高い学生が自己評価の低い学生に比べ
て授業を高く評価していることなどが推測できたが、今年度に関しては個々の評価票がな
いため昨年同様の比較はできなかった。しかしながら、今年度の学生は昨年同様授業に対
す る 自 己 評 価 が 3 . 3 (昨 年 3 . 7 )と あ ま り 良 い 結 果 で は な か っ た 。
3)授業の内容分析
調査用紙の最後に設けた「感想・意見」の内容分析を行った。自由記述で強制力がない
ためあまり多くの意見を期待できない評価項目だと考えていたが、幸いにも比較的多くの
学 生 か ら 回 答 を 得 る こ と が で き た 。高 評 価 者 に は 次 の よ う な 理 由 が 挙 げ ら れ て い た 。
「実習
で は 細 か い と こ ろ ま で 指 導 が 行 き 届 き と て も 参 考 に な っ た 」、「 実 際 の 介 護 で 必 要 な こ と な
ど 具 体 的 な 話 が あ っ て よ か っ た 」、「 体 験 談 な ど が 聞 け て よ か っ た 」、「 配 付 資 料 に ポ イ ン ト
が よ く ま と め ら れ て い て わ か り や す い 」、「 画 像 に よ る 説 明 は よ く 理 解 で き た 」、「 レ ポ ー ト
が多くて大変だったが理解が深まった」などがその主なものである。高評価についてはほ
ぼ昨年と変わらなかった。
低評価者には次のような理由が挙げられていた。
「学生にも予定があるので授業を時間通
り に 終 わ っ て 欲 し い 」、「 時 間 配 分 に 気 を 配 っ て 欲 し い 」、「 学 生 へ の 指 示 が 曖 昧 な と き が あ
る と 思 う 」、「 レ ポ ー ト が 多 く て 大 変 だ っ た 」、「 先 生 の 考 え に 偏 り す ぎ て い る と き が あ る 」
などであった。
授業評価を平均値にしてしまうと大ざっぱな外形しか見えてこないが、むしろ学生が自
由に記述した感想をじっくり読み込み分析することで、学生が実は私に何を言わんとして
いるのかが伝わってくるようにも感ずる。学生が授業内容を重要視していること、わかり
やすい授業を期待していること、また、教員の思い込みや学生への一方通行の授業に不満
を感じ、双方向的な授業を望んでいることがよくわかった。
残念ながら毎年学生から指摘されるのは「レポートの多さ」と「時間延長」のことであ
る。レポートについてはその多さに嘆く学生もあれば、逆にレポートを書くことでより理
54
解が深まったと感謝する学生も多くいて、その捉え方の差異につくづく考えさせられる。
授業に前向きな学生達のためにもますますやる気を起こさせるためにレポートを作成させ、
大変だと嘆く学生達には後押しするためにレポートを引き続き作成させるべきかとも考え
たが、やはりここは自分のやり方をもう一度振り返ってみて、レポートを書くことの意味
や必要性について原点に立ち戻って説明をする必要があるのではないかと感じた。他教科
から同時期に出題されるレポート量とその進行状況を勘案し、あまり過重負担とならぬよ
う 配 慮 し た つ も り で は い た が 、今 後 は さ ら に 注 意 し て 授 業 を 進 め て 行 き た い と 考 え て い る 。
また、時間延長については今年度は細心の注意をしたつもりであったが、ほんの少しの
延長も学生達にとっては「ルール違反」と感ずるようでなかなか手厳しいものを感じた。
講義と違って実習は時間配分に大変苦慮するところである。
Ⅲ
授業改善の展望
当該授業に対する授業評価は昨年に比べるとやや厳しい結果であった。点数的にはあま
り昨年と変化はなかったが、中にはかなり厳しい意見もあり考えさせられてしまった。
いつもながら授業がすべて終了してからのほんの10分程度の授業評価であるが、欲を
言えばもう少し時間を取ってじっくり授業を振り返って評価してもらいたいというのが本
音でもある。5段階評価についてはあまり時間をかけずに瞬時に選択することに意味があ
るのだろうが、自由記述については学生が唯一言いたいことを言える場所でもあるため、
時間的な配慮をしてあげてもよいのではないかとも思う。あくまで授業改善のための評価
で あ る た め 、で き れ ば 中 途 半 端 な お 膳 立 て で は な く 、
「 教 員 を 評 価 す る 」こ と に 真 面 目 に 向
かい合って行える時間と場の設定を望みたい。学生が真面目に評価してくれたことに感謝
するとともに、1つひとつの意見に真摯に対処していきたいと考えている。
55
学科:歯科衛生学科
職名:准教授
氏名:田島
睦子
対象科目:歯科保健指導法Ⅱ(実習)
Ⅰ.授業のねらい
歯科保健指導法Ⅰを踏まえ、学童を対象とした集団の学校歯科保健指導法を学び、学童
の健康状態を理解し、学童が自ら積極的に健康の保持・増進が出来るように支援する技術
身につけることを目指している。実際に小学校を訪問し、自分達で作成した指導案に基づ
き指導を実施する。
Ⅱ.授業の自己点検・自己評価
限られた時間の中で、小学校での見学実習後、指導対象を理解し、歯科保健指導計画案
の作成、シナリオ・媒体の作成をする。そして、学生には初めての学外臨地実習として 7
月 1 週の歯科保健指導の実施をする。4 月から 3 ヶ月で仕上げる時間的に、大変にハード
な授業である。協力していただく小学校は、本校開校以来の臨地実習先であるので、私ど
もの授業計画を理解いただいての臨地実習ではあるが、小学校での積み重ねや、ご希望な
ども考慮しての実習であるため(例えば、歯垢の染め出しをしない等)歯科保健指導案作
りには 変化が 求め られ る。また 、小 学校の特 徴で 1 クラスだけ 指導 内容を 違えた り 、実施
できないことがあることは認められない。そのため、学年ごとに同じシナリオ、媒体で実
施することになるため、学生の個人的なアイデアが発揮できないこともある。
歯科保健指導法Ⅰの授業から、発表の機会を多く作り、人前で話す練習をして、予演会
では、声の出ない学生や棒読みの学生も当日は大変身をして実施できている。また、この
実習は 5 人から 8 人の協働作業で実施するので、グループワークや演習の授業を多くし、
助け合いの精神を出すようにした。これは、私語が多くなる傾向が見られ、注意事項など
の徹底が不十分になるなどの欠点はあるが、今後も、連絡網の徹底などで解決していきた
い。
Ⅲ.授業改善の展望
昨年の「授業改善の展望」に書いたように、歯科保健指導の基本は、個別指導ではある
が、小学校や、幼稚園での歯科保健活動、また地域歯科保健活動や産業歯科活動など集団
を対象とした歯科保健指導を実施する機会はある。3 年制のカリキュラムに、幼稚園での
臨 地 実 習 を 計 画 す る こ と が 出 来 19 年 度 よ り 実 施 す る こ と に な っ た 。 幼 稚 園 は 、 ク ラ ス 分
けが明確でなく、全員一緒に遊んでいることや、幼稚園からは、園児と一緒に遊んでもら
うお姉さんを 希望されている 等、スムーズな実施は難しいかもしれないが、まず 1 歩踏み
出していろんな対象への指導を経験できるようにしたいと思う。また、学生の成績評価方
法 と し て 、当 日 の 実 施 し た こ と の 評 価 は 、8 割 は 先 方 に 評 価 し て も ら っ た が 、15 回 の 授 業
時の学校としての評価の割合を 5 割くらいに多くしたいと思う。そのため、何らかの方法
で毎回の授業の評価を実施したいと思う。それが、人前で話すのが苦手な学生や、子供の
苦手な学生等への考慮ができたると思う。
56
学科:歯科衛生学科
職名:教授
氏名:田中丸治宣
対 象 科 目 : 口 腔 生 理 学 ( 講 義 )、 臨 床 歯 科 医 学 序 論 ( 講 義 )、 口 腔 発 達 学 ( 講 義 )、
口 腔 衛 生 学 ( 講 義 )、 小 児 歯 科 学 ( 講 義 )、 口 腔 衛 生 学 Ⅱ ( 講 義 )
Ⅰ
授業のねらい
歯科衛生学科の専門科目においては、従来から歯科衛生士に必要な基礎的知識及び技術
を習得させることはもちろん重要であるが、それに加えて臨床の場において種々の対象者
に対応する専門職としての責務を自覚することの大切さを学生に伝えていきたいと考えて
いる。また、個々の学生が学習の成果が実感でき、さらに自主的に学習の展開に臨むこと
ができる基盤を築いてあげたいと考えている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
私 の 授 業 に 対 す る 学 生 の 授 業 ア ン ケ ー ト の 結 果 に つ い て 、 昨 年 度 ( 平 成 17年 度 ) と 今 年
度( 平 成 18年 度 )の 平 均 値 を 比 較 す る と( 図 参 照 )、授 業 の あ り 方 及 び 教 え 方 の 各 項 目 で は 、
昨 年 度 は 平 均 値 が ど れ も 4.0以 上 で あ っ た が 、 今 年 度 は 平 均 値 が 4.0未 満 の 項 目 も あ り 、 特
に 、「 授 業 の 難 易 度 」( 平 均 値 : 3.6∼ 4.2)、「 課 題 の 質 ・ 量 ( 平 均 値 :3.7∼ 4.4)」、「 授 業 の
量 や 進 度( 平 均 値 3.7∼ 4.4)」及 び「 説 明 の 分 か り や す さ( 平 均 値 :3.6∼ 4.3)」に 関 わ る 項
目 で 多 か っ た 。 ま た 、 総 合 評 価 で は 昨 年 度 か ら 平 均 値 が 4.0以 下 の 項 目 も あ っ た が 、「 こ の
授 業 は よ く 理 解 で き た 。」に つ い て の 平 均 値 は 3.3∼ 4.2( 昨 年 度:3.6∼ 3.9)、
「 自 分 は 、こ
の 授 業 を 受 け て 、 こ の 分 野 に 関 す る 興 味 、 関 心 が 増 し た 。」 に つ い て の 平 均 値 は 3.9∼ 4.2
( 昨 年 度 : 3.8∼ 4.1)、 ま た 「 自 分 は こ の 授 業 に 満 足 し て い る 。」 に つ い て の 平 均 値 は 3.6
∼ 4.2( 昨 年 度 : 3.9∼ 4.2) で あ っ た 。
これまで私は、学生に授業へ参加している認識を持たせることも意図して板書しながら
(19)予習、復習
(1)授業目的明示
5
(2)授業内容水準
(18)疑問点を教員に質問
4
(3)計画的展開
3
(17)意欲を持って受講
(4)授業難易度
2
(16)遅刻や欠席
(5)課題の質・量
1
0
(15)授業の満足
(6)授業の量や進度
(7)理解度への配慮
(14)興味、関心が増した
(13)新たに考えたりする内容
(8)説明のわかりやすさ
(12)内容の理解
(11)誠実な対応
平成17年度
(9)教員の熱意
(10)授業の工夫
平成18年度
授業内容を説明することを講義の基本的な形態とし、また授業の内容により板書よりもプ
リントの方が説明しやすい場合には、プリントを作成、配布してきたが、これまでの学生
57
ア ン ケ ー ト で“ 作 成 し た プ リ ン ト は 良 い 。”と の 学 生 か ら の コ メ ン ト が 多 か っ た こ と を 考 慮
し、今年度は板書を減らしてプリントを使用しての講義を多くしてみた。しかし、今年度
の学生からの評価が下がった要因として、プリントの内容が多くなり、学生がノートをと
ることが少ないために、授業に参加しているとの意識を低下させ、理解しているとの実感
が 低 下 し て し ま っ た こ と が 考 え ら れ る 。 ま た 、 3年 制 の カ リ キ ュ ラ ム と な り 、 科 目 の 新 設 、
統合による変更や科目の開講時期が変更となったことから、他科目での学習進行との関連
についての私の把握が充分でない部分があり、学生が授業内容を理解しにくい状況となっ
て し ま っ た こ と が 考 え ら れ る 。今 後 は 、こ れ ら の 事 項 に よ り 配 慮 し て 、学 生 が 受 け や す く 、
理解しやすい講義を構築していくことに留意するとともに、板書とプリントの使い分けを
さらに考慮していく必要があると考える。
また、学生の取り組み方では、昨年とほぼ同様に「自分は、この授業を遅刻や欠席しな
い よ う に 努 め た 。」 に つ い て は 4.2∼ 4.6 の 平 均 値 で あ っ た が 、 そ れ 以 外 の 項 目 で は 2.3∼
3.9 の 平 均 値 で あ っ た 。 こ れ ら の 項 目 に つ い て は 、 私 の 担 当 科 目 の み な ら ず 、 歯 科 衛 生 学
科の専門科目全般について、学生アンケートの平均は低く、歯科衛生学科全体として学生
の授業に対する意欲を高める工夫が必要であると考える。
Ⅲ
授業改善の展望
今 回 の 自 由 記 述 で も 、「 配 布 プ リ ン ト は 良 か っ た 」 と の 記 述 が 多 か っ た こ と を 踏 ま え て 、
今後も配布プリントを継続して使用していくが、一部を記入式にするなどの工夫をし、学
生が授業に主体的に関わっているとの感覚を持てるようにしていきたい。また、毎回のテ
ーマをより明確にして、講義(資料、プリント)の内容が多くなりすぎないよう改善して
いきたいと考えている。
58
学科:歯科衛生学科
職名:教授
氏名:田中丸治宣
対象科目:医療福祉システム論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
こ の 科 目 は 、 3名 の 教 員 ( 私 以 外 に 看 護 学 科 、 社 会 福 祉 学 科 各 1名 の 教 員 ) に よ り 分 担 授
業を行う学科共通科目である。私の担当部分では、歯科衛生学科以外の学生には歯科・口
腔の機能や疾病について関心を高めてもらい、各自が学んでいる領域と歯科・口腔の関連
について考える機会となることを期待している。また、歯科衛生学科の学生には、他職種
との連携について考える機会となることを期待している。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
私 の 授 業 に 対 す る 学 生 の 授 業 ア ン ケ ー ト の 結 果 に つ い て 、3学 科( 看 護 学 科 、歯 科 衛 生 学
科 、 社 会 福 祉 学 科 社 会 福 祉 専 攻 ) 合 同 授 業 ( 87名 に よ る 評 価 ) 及 び 社 会 福 祉 学 科 介 護 福 祉
専 攻 単 独 授 業 ( 11名 に よ る 評 価 ) の 授 業 評 価 を み る と 、 授 業 の あ り 方 及 び 教 え 方 の 各 項 目
で は 、 3学 科 合 同 、 介 護 福 祉 専 攻 単 独 と も 、 平 均 値 は ど れ も 4.0以 上 ( 4.1∼ 5.0) で あ り 、
総 合 評 価 で も 平 均 値 は ど れ も 4.0以 上( 4.0∼ 5.0)で あ っ た 。特 に 、介 護 福 祉 専 攻 単 独 授 業
で は 、 上 記 3項 目 の す べ て に お い て 4.8以 上 の 平 均 点 で あ っ た 。 こ の 科 目 に つ い て は 、 授 業
のあり方、教え方が学生に良好に受け入れられたと考える。
授 業 は 、各 3回 実 施 し た が 、毎 回 パ ソ コ ン の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ソ フ ト で 作 成 し た も の を
プ ロ ジ ェ ク タ ー で 見 せ 、さ ら に 口 腔 模 型 や 歯 ブ ラ シ な ど を 適 宜 供 覧 し な が ら 講 義 を 行 っ た 。
また、最初の授業の際にプレゼンテーションの内容に沿った資料を配布した。この方法及
び 内 容 が 学 生 に 受 け 入 れ ら れ た も の と 考 え る 。さ ら に 、私 の 担 当 は 3回 で あ り 、テ ー マ を 絞
った集中的な講義で、学生の集中力も持続したものと思われる。
Ⅲ
授業改善の展望
この科目については、介護福祉専攻単独授業では 3 学科合同授業に比べ学生による評価
は高かった。介護福祉専攻の場合には合同授業ができないため少人数の授業であり、個々
の学生の反応を感じ取ることができたことが、その要因と考えられる。3 学科合同授業で
も、より詳細に個々の学生の反応をくみ取る努力をし、授業に反映させることでさらに、
学生に受け入れられる授業にしていきたい。
59
学科:歯科衛生学科
職名:講師
対象科目:
(
Ⅰ
歯科保健教育法
講義
氏名:
千綿
かおる
)
授業のねらい
1) 歯 科 衛 生 士 の 基 本 的 保 健 教 育 の 理 念 、 理 論 、 方 法 に つ い て 理 解 す る 。
2) 対 象 者 に 対 応 し た 歯 科 保 健 教 育 を 学 ぶ 。
3) 対 象 者 自 身 が 実 行 で き る 歯 科 保 健 教 育 に つ い て 認 識 す る 。
歯科衛生士がどのような専門職であるか、どのような仕事を行っているのかをまだ具体
的に知らない時期に、歯科衛生士の専門性を理解することは難しいが、歯科衛生士の目指
す専門的歯科保健教育法を学び、今後の目標をもって欲しい。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
今年度に開講した新設の授業であった。授業計画、配布資料、授業パワーポイント等
を 新 し く 作 成 し て 授 業 を 行 っ た 。1 年 生 入 学 早 々 の 講 義 は 、90 分 間 の 座 学 と し て 出 席 し
て 、歯 科 専 門 用 語 一 つ 一 つ か ら 理 解 す る こ と は 慣 れ て い な い 学 生 に は 長 く 感 じ た よ う だ 。
授業評価では、パワーポイントを使用して行う授業に関しては、賛否両論があった。視
覚的に理解しやすいとする学生に対して、自分で記述する機会が少なくなったとする学
生もみられた。本来、講義内容の補足として資料の説明をより理解しやすくするために
パワーポイントを使用して授業を行っていたが、積極的授業態度に欠ける部分がみられ
た。今後はさらに工夫をしたいと考えている。
テストを夏休み前に実施して欲しいとの要望に対しては、大学の予定であるため変更
することはできないが、夏休みを授業の復習期間や充実したレポート課題作成のために
使って欲しいと思っている。
Ⅲ
授業改善の展望
来年度は、授業内容のより充実と、学生が積極性に学べる授業にしたいと考えている。
詳細な資料やパワーポイントよりも、学生自ら学ぶ機会をより多く持てるように、予習や
レポート課題を出して、授業からだけではなく学生自身の学びの機会を多く設定したいと
考えている。さらに他科目との関連性についても理解できるようにしたい。歯科保健教育
法は、今までの歯科保健指導とは異なり、歯科保健教育とはどのような理念で行うものか
を学び、他科目に繋げていく科目であることを知ってもらう機会にしたいと考えている。
授業の工夫に関しては、新入生にも理解できる用語を使用して専門用語の説明を行い、分
かりやすくゆっくり講義するようにしたいと考えている。
60
学科:歯科衛生学科
職名:講師
氏名:中野
恵美子
対象科目:歯科診療補助論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
歯科衛生士が行う診療補助について、
「 歯 科 診 療 の 補 助 」と「 歯 科 診 療 補 助 」の 異 な り を
はじめ、その意義と法的責任を理解する。歯科医療環境の保全に努め、安全で効率的な歯
科診療を患者が受療し、歯科医療チームが提供するための診療補助を行うことができるよ
う、歯科におけるチーム医療のメンバーとしての意識形成を図る。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 は 、学 科 平 均 と ほ ぼ 一 致 し て い た が 、
「 Ⅳ (17):意 欲 を 持 っ て 受
講 し た 」「 Ⅳ (18): 疑 問 点 を 、 必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 」「 Ⅳ (19): こ の 授 業 に 関 す る
予 習 、復 習 を し た 」は 評 価 が 低 か っ た 。自 由 記 述 欄 で は 、
「 と て も よ く 理 解 で き た 。専 門 的
な 知 識 を 学 ぶ と 同 時 に 、 一 人の 医 療 従 事 者 と し て 何 が 大 切 か と い う こ と を 学 べ た 」
「グルー
プ ワ ー ク な ど 、良 か っ た と 思 う 」
「 伝 言 シ ー ト で 配 慮 が 感 じ ら れ た 」と い う 意 見 が あ っ た 一
方 、「 単 調 す ぎ て つ ま ら な い 。 あ ま り 興 味 が も て な い 」「 教 科 書 を 授 業 中 に 何 回 も 読 む の は
もったいないと思う」という批判もあった。
な お 、 5 点 を つ け た 学 生 が 50% 以 上 だ っ た 項 目 は 、「 Ⅰ (1): 授 業 の 目 的 、 目 標 の 明 示 」
「 Ⅰ (2):計 画 的 な 授 業 展 開 」
「 Ⅱ (11):誠 実 な 対 応 」
「 Ⅳ (16):遅 刻 や 欠 席 し な い よ う に 努
め た 」の み で あ り 、そ の 他 の 項 目 に 関 し て は 少 な か ら ず 改 善 す べ き 問 題 点 が あ る と 考 え る 。
Ⅲ
授業改善の展望
「 歯 科 診 療 補 助 論 」に お い て は 、
「 歯 科 診 療 の 補 助 」の 法 的 位 置 づ け を 明 ら か に す る 目 的
で歯科衛生士法や保健師助産師看護師法その他の条文を参照する機会も多いが、単調にな
らないよう、学生に一緒に考えさせる授業を計画したい。1 年後期は臨床に直結する科目
は 未 履 修 で あ る が 、視 聴 覚 教 材 等 を 取 り 入 れ た り 、具 体 的 な 例 を 示 し た り す る こ と に よ り 、
学生が授業内容に興味を持てるように授業を改善していきたい。
ま た 、毎 回「 伝 言 シ ー ト 」を 使 用 し た に も か か わ ら ず 、
「 質 問 し た 」と 思 っ た 学 生 が 少 数
だったことから、授業時間内でもっと学生が発言できる機会をつくりたいと考える。
61
学科:歯科衛生学科
職名:講師
氏名:中野
恵美子
対象科目:歯科受療支援論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
歯科診療補助は、本来クライアントを支援するための行動である。この科目では、クラ
イアントが自ら選んだ歯科医療を安心して最善のものとして受け取るための支援としての
歯科診療補助について、臨床場面の中から例題を挙げて述べる。また、クライアントが受
療行動に至るまでの過程において支援すべき事柄について考え、必要な支援を行うことが
できるようにする。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授 業 評 価 集 計 結 果 の 平 均 は 、学 科 平 均 を や や 上 回 っ て い た が 、
「 Ⅳ (16):遅 刻 や 欠 席 し な
い よ う に 努 め た 」は や や 下 回 っ て い た 。自 由 記 述 欄 で は 、
「 分 か り や す か っ た 」と い う 感 想
があったが、
「 黒 板 に 字 を 書 く と き の 音 を 何 と か し て 欲 し い 」と い う 苦 情 も あ り 、板 書 の 基
本を確認する必要性を感じた。
な お 、 5 点 を つ け た 学 生 が 50% 以 上 だ っ た 項 目 は 、「 Ⅰ (1): 授 業 の 目 的 、 目 標 の 明 示 」
「 Ⅰ (2):計 画 的 な 授 業 展 開 」
「 Ⅰ (4):授 業 の 難 易 度 は 適 切 」
「 Ⅱ (6):授 業 の 量 や 進 度 は 適
切 」「 Ⅱ (9): 教 員 の 授 業 に 対 す る 熱 意 」「 Ⅱ (11): 誠 実 な 対 応 」「 Ⅲ (13): 新 た に 考 え た り
学んだりすることの多い内容」のみであり、その他の項目に関しては少なからず改善すべ
き問題点があると考える。
ま た 、「 Ⅳ (18): 疑 問 点 を 、 必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 」「 Ⅳ (19): こ の 授 業 に 関 す る
予習、復習をした」は評価が低く、学生が自発的に学習するための動機づけが不足してい
たと考える。
Ⅲ
授業改善の展望
「クライアント支援のための歯科診療補助」という意識が学生に根付いたかどうかは今
回評価していないが、グループワーク等により、学生が「クライアントの歯科受療支援」
について考える機会になったと考える。その反面、臨床経験のない学生にとって、一様で
はないクライアントに対する支援を画一的に受け止めてしまう危険性もあるため、一見類
似している条件のクライアントでも、そのニーズは多様化していることも理解させる必要
がある。今回の授業計画では多様性の部分を十分に伝えることができなかったと感じてお
り、今後の計画に取り入れていきたい。
なお、クライアントのグループワークを 2 週続けて行った際、2 回目の討議を活発に行
うために各自で関連項目を調べる宿題を出したことがあった。指示の方法に問題があった
ためか、残念ながら全員が宿題をしてきたわけではなかったが、漠然と予習・復習の必要
性を述べるだけではなく、調べてきたことが授業に生きたという実感を持たせることも重
要であると考える。今後は、レポート提出以外に、次の授業に生かせる課題を適宜与える
ことも計画していきたい。
62
学科:
歯科衛生学科
対象科目:
Ⅰ
歯科衛生学総論
職名:
教授
氏名:藤原愛子
(講義)
授業のねらい
・歯科衛生学の専門領域を知って、人々の健康を考える。
・クライアントの自律について学び、専門家の役割を考える。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
『歯科衛生学総論』は3年制教育カリキュラムで新たに開講された科目であり、科目
を位置づけることが1つの課題であった。
目 を 引 い た の は「 自 分 は こ の 授 業 を 遅 刻 や 欠 席 し な い よ う に 努 め た 」の 平 均 評 価 が 4.7
と 、学 生 側 の 授 業 参 加 へ の 努 力 度 が 高 か っ た こ と で あ る 。授 業 へ の 参 加 意 欲 お よ び 興 味・
関 心 度 の 高 ま り な ど は 4.0 と 平 均 的 で あ っ た が 、 前 身 科 目 よ り も 幾 分 か 高 い 評 価 で あ っ
た。科目を位置づける事については、これまでの担当した複数の科目とほぼ同程度の講
義への参加意欲がある科目として構成できたと考える。しかし、自発的な学習意欲の促
し が 不 十 分 な 構 成 で あ っ た と 考 え ら れ る 点 に つ い て 、検 討 課 題 が あ る 。ま た 、
『歯科衛生
士 と し て の 可 能 性 あ る い は 選 択 肢 が 提 示 さ れ て い た 』と い う 自 由 記 述 な ど 、
「専門家とし
ての歯科衛生士について考える」という授業の目的は、ある程度達成できていた。しか
し、
「 人 々 」あ る い は「 健 康 」と い う 言 葉 を 用 い た 自 由 記 述 は 認 め ら れ ず 、専 門 家 歯 科 衛
生士として自らについて考えるきっかけにはなっていても、人々と協働する立場からの
歯 科 衛 生 士 を 考 え る 契 機 と し て は 、十 分 に 機 能 し て い な か っ た 。
「人々と協働する歯科衛
生士」を強く意図した単元構成が必要と考える。
どこが重要かわからないという記述をした学生が2名有り、試験対策的な授業構成を
望む者もいるのではないかと感じた。
『 歯 科 衛 生 学 総 論 』と い う 科 目 特 性 に つ い て 、適 切
な理解を得るための工夫が必要と考える。
Ⅲ
授業改善の展望
当該科目は「学生自身が歯科衛生士の役割を考え、歯科衛生学科で学ぶ目的を持つこ
とに直接的に関わる、導入過程の科目」であることを踏まえて講義を行ったが、評価の
結果を総合するとある程度その役割を果たしたのではないかと考える。次年度以降も学
生 が「 歯 科 衛 生 士 」を 考 え る 基 準 を 示 す こ と を 大 き な 目 的 に 講 義 を 組 み 立 て 、か つ「 人 々
と協働する歯科衛生士」を強く意図した単元を設けて、ディスカッションを行うなど考
えを深める機会を提供し、クライアント(人々)中心の保健医療を実現する歯科衛生士
としての意識形成に関わりたい。
63
学科:歯科衛生学科
職名:
対象科目:地域歯科保健指導実習
(演習)
Ⅰ
教授
氏名:
藤原愛子
授業のねらい
・地域保健活動の意義を理解し、ライフステージを捉えて支援行動する事の意義を認
識する。
・他職種と連携して仕事ができる能力を養う。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授 業 の 目 的 の 明 確 さ 、 授 業 の 計 画 性 お よ び 授 業 の 量 ・ 進 度 は 4.4 程 度 に 評 価 さ れ て い
て 、 概 ね 適 切 で あ っ た こ と が わ か っ た 。 難 易 度 、 理 解 な ど で は 3.9 程 度 と 、 や や 低 い 評
価となっていた。グループワーク中心の演習であったが、他者の意見が聞けたこと、授
業参加への満足感が得られたことなどの自由記述があった。また、課題設定のレベルが
高かったという記述とともに、グループで取り組むことで演習の目的を理解することが
できたこと、考える力がついたなどの記述もあり、グループワークに適した演習課題で
あったと理解できる。しかし、取り組み当初の困難感を持たせており、設定する到達レ
ベ ル 並 び に 課 題 目 的 の 説 明 の あ り か た に つ い て 、さ ら に 検 討 し な け れ ば な ら な い 。ま た 、
参考資料などをさらに具体的にして示す必要があると考える。
Ⅲ
授業改善の展望
今 年 度 は 演 習 科 目 と し て 、 1 日 「 45 分 授 業 」 お よ び 「 135 分 授 業 」 を 変 則 的 に 組 み 合
わ せ た 、合 計 15 回 分 の 開 講 で あ っ た 。こ の 開 講 方 法 は 時 間 割 構 成 上 次 善 の 策 と し て 取 り
入れられたものである。
「 45 分 授 業 」と「 135 分 授 業 」の そ れ ぞ れ の 出 現 は 不 規 則 で あ っ
た た め 、「 45 分 授 業 」 を 考 え る 時 間 あ る い は 文 献 検 索 な ど の 事 前 学 習 に 生 か す こ と が で
きた単元があった一方で、単元理解あるいは学習準備性に上手く生かせない単元もあっ
た。
本科目は2年制カリキュラムにおける科目であり、本年度で閉講することになる。3
年 制 カ リ キ ュ ラ ム で は 、演 習 科 目 に 加 え て『 地 域 歯 科 保 健 論 』の 講 義 科 目 も 開 講 に な る 。
講義科目を活かした演習になるように、地域保健を考える枠組みづくりを意図した講義
としたい。その上で、演習科目のGIOおよびSBOsについて本評価を踏まえて検討
し、取り組み当初の困難感を軽減したい。
64
学科:歯科衛生学科
職名:講師
氏名:山本
智美
対 象 科 目 : 感 染 予 防 法 (演 習 )
Ⅰ
授業のねらい
歯科医療現場では、患者の血液や血液を含んだ唾液に触れることが多く、歯科医療従事
者 の 感 染 の リ ス ク は 高 い 。ま た 、新 興 お よ び 再 興 感 染 症 の 出 現 な ど に よ り 、社 会 的 に も 人 々
の感染予防対策への関心も高まっている。このような状況下において、授業では、歯科医
療現場においてなぜ感染予防対策が必要か、基本となる考え方や、感染予防の意義、原則
を理解し、歯科衛生士として現場で適切な感染予防対策を実施できる能力を養うことをね
らいとする。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授業の進め方としては、テキストのほかに文献、新聞、雑誌等から、できるだけ新しい
情報を資料として提供した。また毎回レジュメを作成し、より具体的でわかりやすい授業
を展開するよう努めた。そして、学内における滅菌・消毒のシステムの見学、体験、ビデ
オによる滅菌・消毒・洗浄の実際の視聴、手洗い実習など、視覚や体験による演習を行っ
た。演習の際には考察レポートを、また授業全体を通じ、単に知識の習得にとどまること
な く 、患 者 の 立 場 か ら 、歯 科 医 療 従 事 者 の 立 場 か ら 、感 染 予 防 に つ い て 考 え る 課 題 (レ ポ ー
ト )を 与 え た 。
結 果 、 学 生 か ら の 授 業 評 価 (平 均 )は 、「 授 業 の あ り 方 」、「 教 え 方 」、「 総 合 評 価 」 と も に
4.2 以 上 で あ っ た 。 し か し 、「 授 業 の あ り 方 」 の 「 課 題 (宿 題 、 レ ポ ー ト )の 適 切 さ 」 に つ い
ては、4 以下で他の項目よりかなり評価が低かった。レポートでは、文献や資料を調べ、
自分なりに考察しまとめることで、学生が理解を深めることにつながることを期待した。
また、教員も学生の考えを知ることができ、相互に役立つものと思われた。しかし、レポ
ートの量の適切さ、提示時期への不満等についてのコメントが数名みられた。学生にとっ
て、レポートは負担感が大きく配慮が不足していたようであった。しかし、演習で体験し
たことにより感じたこと、講義を受けて考えたことなど、試験だけでは図ることのできな
い学生の考えを少しでも把握し、それらを授業に反映させるためにも、今後もレポートは
必要不可欠であると感じているが、負担感が大きくならないよう配慮していきたい。
Ⅲ
授業の展望
1 年次は基礎的な学習が中心であるため、歯科医療現場について、具体的なイメージを
描くことが難しいことも考えられる。今後は演習を多く取り入れ、体験により理解を深め
ていくよう努めていきたい。また、感染予防の基本である手洗いについては、その重要性
についての理解を深めるために、演習方法の工夫に努めていきたい。
一方、単に知識、手技の習得だけでなく、なぜ歯科医療現場に感染予防が必要か、歯科
医療従事者の立場から患者の立場から考えることは、この科目の根底にあるものである。
今後は、学生同士の意見交換をおこなうなど、学生自ら考える活発な授業となるよう努め
ていきたい。
65
学科:歯科衛生学科
職名:講師
氏名:山本
智美
対 象 科 目 : 歯 科 予 防 処 置 論 (講 義 )
Ⅰ
授業のねらい
口 腔 の 健 康 は 、 人 々 の QOL(生 活 の 質 )に 関 与 し て お り 、 歯 科 疾 患 の 予 防 、 口 腔 衛 生 の 向
上を図ることは、歯科衛生士の社会的義務である。歯科衛生士として生涯を通じた継続的
な口腔保健管理を実施していくために、基本となるう蝕や歯周疾患などの予防の考え方や
予防方法について、基礎的な知識を習得することをねらいとする。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授業の進め方としては、毎回レジュメを作成し、その単元に応じた情報を文献等からピ
ッ ク ア ッ プ し 資 料 と し て 提 示 し 、で き る だ け 具 体 的 で わ か り や す い 授 業 を 心 が け た 。ま た 、
講 義 科 目 で あ っ た が 、予 防 に お い て 重 要 な 役 割 を 果 た す プ ラ ー ク コ ン ト ロ ー ル に つ い て は 、
体験させる必要性があったため演習をおこなった。演習では、自分の口腔内を染色液で染
め 、 プ ラ ー ク コ ン ト ロ ー ル レ コ ー ド (PCR)を と り 、 ど う し た ら プ ラ ー ク を 落 と す こ と が で
きるか各自考え、よく観察した後ブラッシングをおこなった。さらに、補助清掃用具の使
用方法については、顎模型や自分の口腔内で体験してもらった。これは手技の熟達を目指
すものではなく、道具の種類や使い方を知るという、基本的な点を理解させることに重点
をおいた。また、ライフステージ別の口腔保健管理については、乳幼児期から老年期まで
生涯を通じて、歯科、口腔に関する疾患についての予防の必要性を考え方の基本として、
資料に基づき講義をおこなった。
学生の授業評価としては、
「 授 業 の あ り 方 」、
「 教 え 方 」、
「 総 合 評 価 」は 、す べ て 4.4 以 上
であった。学生の授業への取り組みとしては、遅刻、欠席は比較的少なく、意欲をもって
受講した者が多かったと思われる。自由記述欄の記載は少なかったが、分かりやすい授業
であった、と評価した学生が数名いた。全体的に学生の授業に対する意欲が高く、そのた
め比較的スムーズに理解が促されたのではないかと思われる。演習を一部取り入れたが、
う蝕や歯周疾患などの予防についての考え方の講義が主体であるため、学生が今後対象者
へのアプローチを具体的にどのように実践していったらよいか、その手がかりとなる考え
方をよりわかりやすく、また学生の授業に対する意欲をさらに伸ばせるよう、工夫してい
くことが今後の課題である。
Ⅲ
授業の展望
歯科界においては、今後ますます歯科衛生士に対する予防の知識、予防処置の技術向上
へのニーズは高まり、また社会的にも人々のう蝕や歯周病の予防への関心が高まるものと
思 わ れ る 。基 本 的 な 予 防 の 知 識 は も と よ り 、現 場 の 歯 科 衛 生 士 の 取 り 組 み を 紹 介 す る な ど 、
実 践 に 結 び つ く 情 報 を 学 生 に 提 供 し て い き た い 。ま た 、将 来 歯 科 衛 生 士 を 目 指 す 者 と し て 、
自 分 の 口 腔 内 に 関 心 を も つ こ と は も ち ろ ん 、 さ ら に 人 々 の QOL の 向 上 に 寄 与 で き る 、 対
象者の立場に立った予防の重要性について考えさせる授業を展開していきたい。
66
学科:歯科衛生学科
職名:助教授
氏名:吉田直樹
対 象 科 目:生 化 学( 講 義 ),口 腔 生 理 学( 講 義 ),口 腔 衛 生 学( 講 義 ),歯 周 療 法 学( 講 義 ),
微 生 物 学 ( 講 義 ), 口 腔 衛 生 学 Ⅱ ( 講 義 )
Ⅰ
授業のねらい
私の担当科目、全てにおいて、目標は2つある。
1 つ目は、学生が、大学(短期大学)において学問をしているということを自覚できる
ような講義を行うことである。学生は、本学を卒業すると「短期大学士」の称号を得られ
る 。 こ れ は 、「 科 学 的 な 思 考 力 を 有 し て い る こ と 。 知 識 人 で あ る こ と 。」 を 満 た し て い な け
ればならないと考えられる。
学生が、在学中に、学問をしたという実感が卒業後も永く残るような、重みがあり、か
つ 系 統 立 っ た 講 義 を し た い と 考 え て い る 。 学 生 が 、「 自 分 は 在 学 中 に 、・ ・ ・ 学 を 学 ん だ 」
と、胸を張って言えるような講義を行わねばならないと考えている。
2つ目は、歯科衛生学科を卒業することによって、学生は歯科衛生士国家試験の受験資
格が得られるということに関連している。つまり、将来、歯科衛生士として活躍するため
の基礎を身に付けることである。これは、更に細分化される。
1.歯科衛生士国家試験に合格するための力を付けること。
2.資格取得後、実際に歯科衛生士として働き始める際に、即戦力として活躍できる力
を付けること。
3.仕事を続ける中で、自分が興味のある分野、あるいは、自分が期待される分野にお
いて、学び続けることができるための基本を身に付けること。
である。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生による授業評価アンケートの結果は、全ての科目において、同様の傾向を示した。
学生の評価した点数に関して、問題は無いと考えているが、全ての学生が、満足している
訳ではない。その原因を分析し、改善に繋げなければならないと考える。
以下に、アンケートにおけるいくつかの設問を抜粋して点検・評価を行う。
(設問)授業の内容は良く理解できた。
に関して。
私が担当している科目には、基礎医学的な科目および臨床医学的な科目がある。講義に
おいては、学生が、高校までの学習において全く聞いた事の無いような専門用語が、数多
く見られることが、特徴といえる。授業を理解させるには、そうした専門用語の意味する
概念を、できるだけ平易な言葉を用いて、理解させることが、重要であろう。
(設問)自分は、この授業を受けて、この分野に対する興味、関心が増した。
に関して。
これを満たすことが、重要であると考えられる。しかも、授業後に興味、関心が増すよ
うに導くというよりも、講義の第1講、第2講といった早い時期の講義の内容を、学生が
興味が増すような内容にする必要があると考えられた。
(設問)自分は、疑問点を、必要に応じて教員に質問した。
に関して。
67
これは、学生自身の積極性にも関わることと解釈できる。一方、質問しやすい雰囲気、環
境を提供することが教員に求められるのであろう。
次に、自由記述に関して、点検・評価する。
90分の講義時間に関して、私の講義の中では、学生の集中力を考慮して、前半と後半
に分けて、間に一息つけるようにしている。それに関しては好評である。学生は曜日によ
っては、1日中、朝から夕方まで、講義が連続している場合がある。集中力を持続するた
めには、この方式は、望ましいと思われる。
試 験 を 、夏 休 み 前 に 行 っ て 欲 し い と い う こ と が 、何 人 か の 学 生 が 記 述 し て い た 。他 学 で 、
試験がおわってから夏休みに入るところがあるということで、そちらのスケジュールの方
が、望ましいと学生が考えたと思われる。このことは、私個人で解決することは難しい。
しかし、要望があることは考慮しなければならないと思っている。
Ⅲ
授業改善の展望
授業の内容を良く理解させる。
専門用語に関しては、解りやすい言葉に直して、充分理解させることが重要である。こ
れには、多くの時間を費やすことになるが、行わねばならない事であると認識している。
基本的な事項を理解しないままであると、それ以降の関連の事項の説明は、無駄になっ
てしまう恐れがある。ひとつのステップを確実に踏まえて、次のステップに進むという、
地道な進行が結果的には、学生の充分な理解につながると考えられる。
しかし、理解力には、学生における個人差があるので、どのレベルに合わせるかという
ことを慎重に考慮する必要があるだろう。
授業を受けて、当該分野に対する興味、関心が増すようにする。
臨床医学系の講義に比べて、基礎医学系の講義においては、内容が、将来の歯科衛生士
業務に直結していないと思われる部分がある。しかし、基礎医学系の内容を理解すること
が、医療の質の向上には不可欠であり、今後益々増加してくることが予想される、チーム
医療における他職種との連携を行っていくためには、重要である。
講義の早期において、充分な「動機付け」と行うことが必要である。つまり、知識を伝
える以前に、なぜ当該科目を学ぶ必要があるかということを理解させ、講義に対する興味
を起こさせるということが重要である。
疑問点を、必要に応じて教員に質問できる体制作り。
消極的な学生でも、質問できるように、授業において、質問事項を記入する用紙を配布
する等の措置が必要かもしれない。しかし、あまりに配慮しすぎると、消極的である学生
が、積極的になる機会を奪ってしまう恐れもあるだろう。検討の余地がある。
授業のねらいで述べた、
「 学 問 を し た と い う 実 感 が 、卒 業 後 も 永 く 残 る よ う な 講 義 」を 行
うということは、昨年も同様に「ねらい」として挙げたものである。
昨年の自己点検・自己評価の中で、講義の中で、教科書に載っている事実を伝えるのみ
ならず、その事実が発見された経緯、発見した人やエピソード等の背景を、盛り込むこと
が必要であると述べた。
本年度は、それを考慮して、盛り込む機会を増やした。教科書は載っていない興味ある
ことを聞きたいと、学生は望んでいる。
さらに、厚みのある講義を構築していきたいと考えている。
68
学科:
社会福祉
職名:
教授
氏名:
漁田俊子
●対象科目:
発 達 心 理 学 ( 講 義 : 社 会 福 祉 学 科 社 会 福 祉 専 攻 1 年 前 期 , 回 答 者 数 50 名 )
●対象科目:
発達心理
Ⅰ
( 講 義 : 第 一 看 護 学 科 1 年 後 期 , 回 答 者 数 78 名 )
授業のねらい(両科目共通)
・発達概念についての理解.
・乳幼児期から老年期に至るまでの発達の理解.
・乳幼児と関わる上で必要となる発達(臨界期,認知,思考,社会性,など)の理解.
・心理学の方法論の理解.
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」の 5 項 目 ,
「 Ⅱ 教 え 方 」の 7 項 目 ,「 Ⅲ 総 合 評 価 」の 4 項 目 ,の 平 均
は そ れ ぞ れ , 発 達 心 理 学 ( 社 会 福 祉 学 科 ) は 4.6, 4.8, 4.7, 発 達 心 理 ( 第 一 看 護 学
科 ) は 4.5, 4.6, 4.4 で あ っ た .「 Ⅲ 総 合 評 価 」 項 目 内 の 「( 16) 満 足 度 」 の 項 目 は 社
会 福 祉 学 科 4.8, 第 一 看 護 学 科 4.5 で あ っ た . ま た , 後 期 か ら 資 料 に 加 え ら れ た 学 科
平 均 と の 比 較 グ ラ フ を 見 る と ,第 一 看 護 学 科「 発 達 心 理 」の Ⅰ Ⅱ Ⅲ の 全 15 項 目 は 全 て
の項目について平均値を上回っていた.
・社会福祉学科は1年前期,第一看護学科は1年後期の授業であるので,心理学の理論
をわかりやすく例を挙げて説明した.結果的に,社会福祉学科「発達心理学」と第一
看 護 学 科「 発 達 心 理 」に お け る 自 由 既 述 欄( 計 63 件 )は ,下 記 1 件 を 除 き ,概 ね「 わ
かりやすく,楽しい」という内容が記載されていた.その 1 件は,第一看護学科から
「教科書が古い」ことに対する疑義である.
・以上の結果から,授業の方法や内容については,両科目とも特に改善を要する事柄は
ないように思われる.
・「 Ⅳ 学 生 自 身 の 取 り 組 み 」 に つ い て は , 予 習 す る こ と を 私 自 身 が 要 求 し て い な い た め ,
「( 20)予 習 復 習 を し た 」項 目 の 平 均 が ,社 会 福 祉 学 科 2.3,第 一 看 護 学 科 2.4 で あ り ,
予習復習があまりなされていないことがわかる.
Ⅲ
授業改善の展望
・アンケート結果からは,授業内容と方法について改善する内容は特に見あたらない.
・ 教 科 書 に つ い て は , H19 年 度 よ り 「 発 達 心 理 学 」 と 「 発 達 心 理 」 で 異 な る 教 科 書 を 使
い分けており,それぞれの目的(主として保育士と看護師の養成)と内容に応じて授
業で使いやすい内容の教科書を選定しているつもりである.
69
学科:
社会福祉
●対象科目:
職名:
人間関係と援助技術
教授
氏名:
漁田俊子
(講義:第一看護学科1年後期,歯科衛生学科
1 年 後 期 , 社 会 福 祉 学 科 社 会 福 祉 専 攻 2 年 後 期 , 回 答 者 数 125 名 )
●対象科目:
人間関係と援助技術
(講義:社会福祉学科社会福祉専攻1年後期,回答
者 数 26 名 )
Ⅰ
授業のねらい(両科目共通)
・社会的な援助と人の心の関係についての理解.
・援助の実践場面での人の心理についての理解.
・心理学の方法論の理解.
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」の 5 項 目 ,
「 Ⅱ 教 え 方 」の 7 項 目 ,
「 Ⅲ 総 合 評 価 」の 4 項 目 ,の 平 均
は そ れ ぞ れ , 看 護 ・ 歯 科 ・ 社 会 福 祉 は 4.5, 4.4, 4.4, 介 護 福 祉 は 4.5, 4.6, 4.7 で
あった.
「 Ⅲ 総 合 評 価 」項 目 内 の「( 16)満 足 度 」の 項 目 は 看 護・歯 科・社 会 福 祉 4.4,
介 護 福 祉 4.7 で あ っ た .
・看護・歯科・社会福祉については,講堂での一般教養的な学科共通科目であるので,
社会心理学の理論をわかりやすく例を挙げて説明した.結果的に,自由既述欄はほと
ん ど が「 わ か り や す く ,楽 し い 」と い う 内 容 が 記 載 さ れ て い た .た だ し ,
「講堂のホワ
イトボードの字が見にくい」
( 3 件 )と「 社 会 的 な 視 点 を 追 加 し て 欲 し い 」
( 1 件 )が 改
善点として挙げられていた.一方,介護福祉専攻は「わかりやすく,楽しい」という
記述が全てで,改善を要求する意見はなかった.
・以上の結果から,両科目とも,授業の方法や内容について,特に改善を要する事柄は
ないように思われる.
・「 Ⅳ 学 生 自 身 の 取 り 組 み 」 に つ い て は , 予 習 す る こ と を 私 自 身 が 要 求 し て い な い た め ,
「( 20) 予 習 復 習 を し た 」 項 目 の 平 均 が , 看 護 ・ 歯 科 ・ 社 会 福 祉 は 2.7, 介 護 福 祉 2.0
であり,予習復習があまりなされていないことがわかる.
Ⅲ
授業改善の展望
・ 講 堂 で の 3 学 科 一 斉 授 業 で は , 常 に 120 名 以 上 が 受 講 し て お り , 板 書 す る と 見 え に く
い可能性がある.講堂の前方座席 3 列がほとんどあいているにもかかわらず,学生は
後ろの座席に坐ることが多い.毎年「後ろの席は見えにくいので,前の座席に坐るよ
うに」と繰り返しアナウンスをしているがあまり効果がない.対応策としては,今後
ホワイトボード使用を最小限にとどめて,パワーポイントを使用するかパワーポイン
トのハードコピーを配付するなど,前の座席に座らせることを諦めて,遠くても見や
すい形態に変える方がよいのか,迷うところである.
・ 1 件 改 善 希 望 の あ っ た「 社 会 的 な 視 点 の 付 加 」は ,可 能 な 範 囲 で 行 っ て い る が ,講 義
全体のテーマに加えるのは非常に難しい.恐らく心理学の範囲を超えると思われる.
70
学科:
社会福祉
職名:
教授
氏名:
漁田俊子
●対象科目:
社会福祉演習
●対象科目:
総合演習・卒業研究(演習:社会福祉学科2年通年,回答者数 8 名)
Ⅰ
( 演 習 : 社 会 福 祉 学 科 1 後 期 ∼ 2 年 前 期 , 回 答 者 数 14 名 )
授業のねらい
<社会福祉演習>
・方法論を学ぶ.
・図書館の利用方法を学ぶ.
・自分の研究テーマを見つける.
・レビューの方法を学ぶ.
・まとめ方を学ぶ
・発表の方法を学ぶ.
<総合演習・卒業研究>
・方法論を学ぶ.
・自分の研究テーマを見つける.
・レビューの方法を学ぶ.
・論文・レポートの書き方を学ぶ
・発表の方法を学ぶ.
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」の 5 項 目 ,
「 Ⅱ 教 え 方 」の 7 項 目 ,
「 Ⅲ 総 合 評 価 」の 4 項 目 ,の 平 均
は そ れ ぞ れ , 社 会 福 祉 演 習 は 4.7, 4.9, 4.9, 総 合 演 習 ・ 卒 業 研 究 は 4.8, 4.9, 4.9
で あ っ た .「 Ⅲ 総 合 評 価 」 項 目 内 の 「( 16) 満 足 度 」 は 社 会 福 祉 演 習 5.0, 総 合 演 習 ・
卒 業 研 究 4.9 で あ っ た .
・自由既述欄では,社会福祉演習は「自分たちで色々調べるのは大変だけれど面白かっ
た 」「 皆 の 発 表 を 聞 く こ と で 勉 強 に な っ た 」, 総 合 演 習 ・ 卒 業 研 究 は 「 1 人 1 人 に 合 わ
せ て 進 め て く れ た 」「 毎 回 ア ド バ イ ス を く れ た 」「 自 分 の ペ ー ス で ゆ っ く り 学 ん で い く
ことができた」のような内容の記述が多かった.
・「 Ⅳ 学 生 自 身 の 取 り 組 み 」に つ い て は ,両 科 目 と も 演 習 科 目 で あ っ た た め ,平 均 が ,社
会 福 祉 演 習 は 4.2, 総 合 演 習 ・ 卒 業 研 究 4.3 で あ り , 他 の 私 の 担 当 す る 講 義 科 目 に 比
べると良くなされていたことが分かる.
Ⅲ
授業改善の展望
・両科目とも,満足度が極めて高く,特に改善を要する事柄は見あたらない.
71
学科:
社会福祉
職名:
教授
氏名:
漁田俊子
●対象科目:
老人の心理
( 講 義 : 社 会 福 祉 学 科 介 護 福 祉 専 攻 1 後 期 , 回 答 者 数 43 名 )
●対象科目:
乳幼児・児童の心理(講義:社会福祉学科社会福祉専攻2年前期,回答者
数 37 名 )
Ⅰ
授業のねらい
<老人の心理>
・発達概念についての理解.
・心理学の方法論の理解.
・老年期の発達的特徴の理解.
・高齢者と関わる上で必要となる発達(認知,注意,思考,社会性など)の理解.
<乳幼児・児童の心理>
・乳幼児・児童と関わる上で必要となる発達(情緒,言語,記憶など)の理解.
・行動療法を含む心理療法の理解と実践例への発展.
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」の 5 項 目 ,
「 Ⅱ 教 え 方 」の 7 項 目 ,「 Ⅲ 総 合 評 価 」の 4 項 目 ,の 平 均
は そ れ ぞ れ , 老 人 の 心 理 は 4.7, 4.8, 4.8, 乳 幼 児 ・ 児 童 の 心 理 は 4.7, 4.8, 4.7 で
あった.
「 Ⅲ 総 合 評 価 」項 目 内 の「( 16)満 足 度 」の 項 目 は ,老 人 の 心 理 4.8,乳 幼 児 ・
児 童 の 心 理 4.9 で あ っ た . ま た , 後 期 か ら 資 料 に 加 え ら れ た 学 科 平 均 と の 比 較 グ ラ フ
を見ると,老人心理は,ⅠⅡⅢ全ての項目について平均値を大幅に上回っていた.
・両方の科目とも,自由既述欄のほとんどが「わかりやすく,楽しい」という内容が記
載 さ れ て お り ,授 業 の ね ら い を よ く 把 握 し ,楽 し く 受 講 で き た こ と が 分 か る .乳 幼 児 ・
児 童 の 心 理 の 自 由 記 述 で ,1 件「 レ ポ ー ト の 課 題 が 少 し 難 し い 」と い う 意 見 が あ っ た .
Ⅲ
授業改善の展望
・両方の科目とも,特に改善を要する事柄は見あたらない.
・
「 レ ポ ー ト の 課 題 が 少 し 難 し い 」と い う 意 見 に つ い て は 1 件 だ け で あ り ,今 後 も う 少 し
様子を見たい.
72
学科:社会福祉学科
職名:教授
氏名:石野育子
対象科目:形態別介護技術Ⅰ(演習・介護福祉専攻1年前期)
授業のねらい
Ⅰ
この科目は、高齢者介護をテーマとしている。入学時は「介護」=「老人の世話」とい
ったイメージを持っている者が多いので、介護福祉専攻を選択した学生のニーズにマッチ
した授業内容といえる。この科目では、老化の仕組みや介護予防的なかかわりについて科
学的な根拠を学習することを通して、偏見や誤解に気づくことと、高齢者介護の考え方を
修得することを目指している。特に認知症者の介護に力を入れている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
昨 年 に 比 べ て す べ て の 項 目 の 得 点 が 高 く な っ た 。自 由 記 述 26 人 /40 人 が 分 か り や す か っ
た、認知症のことがわかってよかって、おもしろかった、考え方が変わったと肯定的に述
べ て い る 。 授 業 中 に 見 せ る VTR と 毎 回 学 生 が 記 入 し た 意 見 書 に 対 す る コ メ ン ト の 評 判 が い
い。しかし教員への質問、予習・復習は低い。
Ⅲ
授業改善の展望
資料づくりを工夫して単元ごとの冊子になるようにしたことはよかったので、今年も継
続する。適度な課題を出して主体的な学びになるように工夫したい。
対象科目:介護福祉論Ⅱ(講義・介護福祉専攻 1 年後期)
Ⅰ
授業のねらい
介護実習第 1 段階終了直後から始まる科目である。現場を少し体験したので現場の問題
に関するディスカッションを取り入れ、概論であっても抽象的にならないように、実習体
験とつなげ学生が問題意識を持てるように努めた。感染予防、介護過程、介護の専門性、
連携、医療との関係、終末期の介護、身体拘束をテーマに上げ、介護現場で起きやすい問
題に対して、改善策を考えられることを目指した。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
昨 年 に 比 べ て す べ て の 項 目 の 得 点 が 高 く な っ た 。自 由 記 述 に は 17 人 /40 人 が 記 述 し 、プ
リ ン ト・VTR・体 験 談 に つ い て 肯 定 的 な 感 想 だ っ た 。改 善 の 要 望 と し て は 、プ リ ン ト の 文 字
を大きくして欲しいというのが 1 人あった。
Ⅲ
授業改善の展望
レクリエーション活動援助法の後の 4 時間目の授業のため、学生が疲れて寝てしまうこ
とがある。覚醒していられる授業運営を工夫したい。学生から指摘されたプリントの文字
サイズを大きくしたい。
対象科目:形態別介護技術Ⅳ(演習・介護福祉専攻 2 年前期)
Ⅰ
授業のねらい
この科目では、心臓機能障害、呼吸機能障害、腎機能障害、膀胱・直腸障害等の内部障
害者の介護を取り上げた。医学的知識を活用して介護を考える科目であるが、医学系の時
間 が 少 な い (150 時 間 )こ と や 、 高 校 時 代 に 理 科 系 の 科 目 を 取 ら な か っ た 学 生 が 多 い こ と が
重なって、学生にとって理解が難しい科目と思われる。それを補うために授業の前般では
解 剖 ・ 生 理 ・ 医 学 の 復 習 を 行 い 、 VTR 視 聴 や 実 物 (ペ ー ス メ ー カ ー 、 パ ウ チ )に 触 れ る 機 会
73
を設け理解を助ける努力をした。この科目のねらいは、健康で文化的で自立した生活を支
援するためには、健康に関する知識を持って障害を抱えた人の生活を理解し、医療との連
携を進めていく事についてより具体的な理解に達することである。
授業の自己点検・自己評価
Ⅱ
昨 年 に 比 べ て 、予 習・ 復 習 以 外 は 、す べ て の 項 目 で 得 点 が 高 ま っ た 。自 由 記 述 に は 13 人
/44 人 が 記 述 し 、大 切 な 授 業 だ っ た が 難 し か っ た 、VTR を 見 て わ か っ た 、資 料 が 見 や す い 等
12 人 が 肯 定 的 意 見 で 、 2 人 が 早 口 、 プ リ ン ト が ゴ チ ャ ゴ チ ャ し て い る と い う 改 善 要 請 が あ
った。試験で十二指腸や膵臓・肝臓・肛門の位置が正しく認識されていない学生がいたこ
と と 、80%が 導 入 教 育 の 必 要 を 自 覚 し て い た こ と な ど か ら 、導 入 教 育 の 意 味 で 解 剖 生 理 や 病
態学等を補強していたにもかかわらず十分でなかったことが示唆された。健康な学生に短
時間で疾病や介護を理解させることの困難さと、介護に医学は関係ないと思う誤った理解
を修正できなかったことが原因と思われる。しかし昨年よりも授業評価が改善しているの
は、資料を読みやすくして単元ごとの冊子に改良したことや国家試験や卒業時共通試験の
問題集を作成し一緒に回答したことなどから、教師の熱意を受け止めてくれて科目の重要
性に気づいた学生が増えたものと思われる。
Ⅲ
授業改善の展望
医学系の知識を持つことは、利用者の安全確保のために重要であるにもかかわらず、学
生にはその実感が得られにくく学生にとっては遠い内容になっている。導入教育の必要性
を 80%が 解 答 し て い た こ と か ら 、 カ リ キ ュ ラ ム を 改 定 し て 時 間 数 を 増 や す よ う な 根 本 的 な
改善が必要である。
対象科目:介護技術Ⅱ(演習・介護福祉専攻2年通年)
Ⅰ
授業のねらい
介護実習の前後に開講し、実習中の介護過程を振り返り修正できるようにケースカンフ
ァレンス演習を企画した。介護過程は問題解決法であり介護における活用と同時に、学生
自身において問題解決的な思考が身につくことを目指した。ケースカンファレンスを行う
ことによって、建設的な話し合いができる能力の育成を目指した。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
他の科目が昨年よりも改善しているにもかかわらず、この科目は評価点が部分的に低下
していた。前期の形態別介護技術Ⅳ(内部障害者の介護)の授業で身体的アセスメントの
重要性を認識したと多くの学生が述べたにもかかわらず、介護過程では脳梗塞、糖尿病、
高血圧、呼吸不全、変形性膝関節症といったポピラーな疾患があっても、無関心な学生が
目立ちアセスメント能力が高まらなかったことを思い知らされた。授業評価では新たに考
え た り 学 ん だ り す る こ と が 多 い 内 容 だ っ た( 4.4)、興 味 関 心 が 増 し た( 4.0)と 答 え て い る
が 、予 習 ・ 復 習 を し た 者 は( 2.8)低 迷 で 受 け 身 な 姿 勢 が 目 立 っ た 。自 由 記 述 は 6 人 /48 人
で 専 門 性 を 感 じ た 、 先 生 が 熱 心 ( 4.8)、 実 践 的 な 内 容 と い う 肯 定 的 な 意 見 に 対 し 、 言 葉 が
強 い と い う 改 善 要 請 が 1 人 あ っ た 。 欠 席 者 が 少 な か っ た ( 4.6) こ と は よ か っ た 。
Ⅲ
授業改善の展望
小規模事業所に就職していく学生が多いので、卒業後に十分な指導を受けられない可能
性がある。利用者の安全確保に通じる身体面のアセスメント能力を高めることは急務だと
考える。
74
学科:社会福祉学科
職名:講師
対象科目:社会福祉援助技術
Ⅰ
氏名:今井朋実
(講義)
授業のねらい
この授業のねらいは、介護福祉実践にとって必要な社会福祉援助技術(ソーシャルワー
ク)の方法及び内容について習得することである。介護福祉専攻の学生にとって、介護福
祉実践を社会福祉実践の一領域であると理解することは容易なことではない。介護と社会
福祉を別々の専門と捉え、理解する傾向がある。これは、学生にとっての援助の対象が高
齢者と障害者(児)に限定されること、また卒後直後はケアワーカーとして従事し、介護
に専念することが福祉現場のニーズとしてあることが、社会福祉実践を包括的に理解する
より目先のものを理解することに繋がっていることが理由として挙げられる。そこでこの
授業では、社会福祉実践を包括的に理解することを目標に、介護福祉とソーシャルワーク
の関係、社会福祉のそれぞれの専門職の専門性についての整理、また介護福祉士と他の専
門職との連携やチームワークについて考えることを行った。また卒後、相談援助職やケア
マ ネ ジ ャ ー に な る こ と も 視 野 に 入 れ て 、そ れ ら に つ い て も 理 解 を 深 め る こ と も 目 的 と し た 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
介護福祉専攻の学生に如何にソーシャルワークを教えるか、理解させるか、4年の試行
錯誤の結果数値的に全体的に上がったことは、その分野に興味があるという学生の特色を
表しているとも言えるので、喜ばしいことである。個別に数値を見ていくと、授業への理
解や、新たに学んだり考えたりすることの多い内容であった、自分はこの授業を受けて、
この分野に対する興味、関心が増した、自分はこの授業を遅刻や欠席しないように努めた
と答えている学生が多くを占めることから、学生の気持ちを尊重し、より学生に関心や理
解が深まる授業運営を目指して行きたいと思う。
Ⅲ
授業改善の展望
この授業評価から授業改善の展望を見出すとすれば、まず自由記載にある、目的が不明
という点が挙げられる。学生の2名が、目的が不明であると自由記載に挙げている。Ⅰ授
業のあり方
(1)授業の目的、目標が明示されていたか、の項目において総数39名の
うち2名が2そう思わない、を選択しているので、2名の学生は、目的、目標を理解して
いなかったことが推測される。今後は、授業の目的、目標について全ての学生により分か
り易い説明をする必要がある。自由記載には、レジュメを作ってくれてよかった、プリン
トをつくってくれてよかった、とする意見があったので、これを今後も継続していく。ま
た、グループワークがよかったとする意見もあったので、これも参考にし、講義科目であ
る当科目においても引き続きグループワークを取り入れていこうと思う。
さらに、授業評価の数値から授業改善の展望を見出すとすれば、Ⅱ教え方(8)教員の
説 明 は 分 か り や す か っ た が 、 3.9 で あ り 、 ま た 2 6 名 が
う、を選択しているものの、13名が以下
3
5
そう思う、4
ややそう思
どちらともいえない、を選択しているこ
とから、より分かりやすく説明する工夫が必要であると思う。この工夫については、より
明確な説明や学生への指示、より分かりやすいレジュメの作成、より分かりやすい説明方
法への改善、及び工夫が挙げられる。
75
学科:社会福祉学科
対象科目:医療福祉論
Ⅰ
職名:講師
氏名:今井朋実
(講義)
授業のねらい
この授業のねらいは、現代社会における医療福祉の医療の理念と意義、医療福祉制度の
仕組みと動向や、医療福祉の専門性について、介護福祉との関連性を理解することと合わ
せて習得することである。現行の制度では、介護保険制度下での活躍の場が多いことを特
徴とする介護福祉士であるので、学生にとって医療福祉制度が分かりにくい現状がある。
介護実習を行った際、福祉サービス利用者がどのような医療福祉制度を受けているのか分
からず利用者のアセスメントに臨み、結果経済的側面に関するアセスメントを出来ないで
終わるケースが多い。拠ってこの授業では、第3段階実習の機会を利用して福祉サービス
利用者の実際の医療福祉制度を理解すること、また医療現場に見学に行くことで、医療福
祉制度の実際を理解することを行った。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
過去の授業評価と比較すると数値的には下がった。まずアンケートを配布したのが、最
も比重のかかる課題の発表日としたので、影響があるかと思われる。多くの課題を出した
ことが、卒業共通試験との兼ね合いで学生の中で消化し切れない様子が見られ、選択科目
であるにも関わらず課題が重荷になっている様子が伺われた。実際、教員から与えられた
課題(宿題、レポート)は質、量ともに適切であった、という質問に対して、6名の学生
がどちらといえないと回答しているので、学生の状況や適性に応じて、課題を考慮する必
要があることを痛感した。2年の後期には社会福祉演習(ゼミ)が終了しているので、ゼ
ミ形式で授業を行うことを教員側は特徴としているが、学生のニーズとのすり合わせも必
要であると思った。
Ⅲ
授業改善の展望
この授業評価から授業改善の展望を見出すとすれば、この授業を、意欲を持って受講し
た、自分は疑問点を、必要に応じて教員に質問した、という質問に対して
1
わからな
いと答えた学生が1名いた。このことから1名の学生が当授業に対して、興味や関心を全
く持てず、またなんと答えてよいものかさえ分からない、ということが推測される。拠っ
て今後の授業改善としては、学生が質問のできる良好な環境をより意識して整えること、
また自分が期待した内容が授業で学んでいないと思っている場合、その気持ちを拾ってい
く努力をしていくことが挙げられる。自由記載では、病院など見学に行くことができて良
かったとする意見や、最後の発表は話しやすい雰囲気でよかったとする意見があったので
これらに付いては考慮し、また外部施設への見学は継続していこうと思う。
76
学科:社会福祉学科
対象科目:保育原理
職名:
講師
氏名:今泉
利
( 講 義 )、 保 育 内 容 ・ 総 論 ( 演 習 )、 保 育 内 容 ・ 健 康 ( 演 習 )
保育内容・人間関係(演習)
Ⅰ
授業のねらい
・ 保育の本質についての理解
・ 乳幼児の発達についての理解
・ 保育の計画についての理解
・ 保育制度と施設運営についての理解
・ 保育研究についての理解
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学 生 の 授 業 ア ン ケ ー ト 結 果 を み る と 、「 Ⅰ 、 授 業 の あ り 方 」 の 5 項 目 、「 Ⅱ 、 教 え 方 」 の
6 項 目 、「 Ⅲ 、 総 合 評 価 」 の 4 項 目 の 平 均 は 、 そ れ ぞ れ 3 . 7 、 3 . 7 、 3 . 6 で あ っ た 。
「 Ⅲ 、総 合 評 価 」項 目 内 の「( 1 2 )こ の 授 業 の 内 容 は 良 く 理 解 で き た 」は 3 .4 、
「( 1 3 )
こ の 授 業 は 、 新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 で あ っ た 」 は 3 . 7 ,「( 1 4 )
自 分 は 、 こ の 授 業 を 受 け て 、 こ の 分 野 に 対 す る 興 味 、 関 心 が 増 し た 」 は 3 . 6 ,「( 1 5 )
自分は、この授業に満足している」は3.6という結果であった。それぞれの項目につい
てみると平均値をやや上回っていた。
保育原理は、1年前期・後期の通年科目であり、その内容は難解な文章も多くあるなど
決してすんなり理解されたとはいえない。さらに、保育原理の理論を理解しやすいように
保育実践例をあげて説明する部分が足りなかった。この授業では、学生に授業へ参加して
いる意識を持たせることを考え板書しながら授業内容を説明することを講義の形態として
いる。また、授業の内容によりプリント資料を配布して、学生の意欲を高めるように工夫
している。
以上の結果から、授業の方法、内容についてみると学生の理解が深まるように授業をさ
らに工夫していく必要があると痛感した。
「 Ⅳ 、あ な た の( 学 生 )取 り 組 み 方 」の 平 均 は 2 .9 と 低 か っ た 。そ の 中 で「( 1 7 )意
欲 を 持 っ て 受 講 し た 」が 3 .6 で あ っ た が「 Ⅱ 、教 え 方 」の 影 響 が 表 れ た も の と い え よ う 。
いかに教員の授業に対する熱意が重要な要素かを再認識した。
Ⅲ
授業改善の展望
今回のアンケート結果から改善すべき内容としては、授業に対し学生の理解が深まるよ
うに配布資料や視聴覚教材などを厳選していきたい。また、さらに多くの保育現場の事例
を取り上げながら学生の理解度に配慮して授業を進める。
アンケートの自由記述で「毎週、意識してみた動植物を書くので周りを見回すことが多
く な り 、 た く さ ん の 発 見 が で き て よ か っ た 」、「 以 前 よ り も 動 植 物 や 季 節 の 変 化 な ど を 意 識
するようになりました。保育者にとって保育者自身の人間性や感性はとても大切だと学び
ました」などの記述が多かったことを踏まえて、今後とも学生の感性がより豊かに育むよ
うにレポート課題を継続していきたいと考えている。
77
学科:社会福祉学科
職名:准教授
氏名:江原勝幸
対象科目:社会福祉原論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
・社 会 福 祉 の 原 理 、対 象 、歴 史 、援 助 技 術 、専 門 職 制 度 、行 政 ・民 間 組 織 、制 度 な ど 社
会福祉の基礎構造を支える理論(原論)を学ぶ
・自分自身の生活と現代の社会問題の関係を見直し、自分の言葉で「社会福祉とは何
か」を説明できるようにする
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学 生 自 身 の 取 り 組 み ( 設 問 16∼ 19) 以 外 、 全 て の 項 目 で 学 科 の 平 均 を 若 干 上 回 っ た が 、
全 体 的 に 平 成 17 年 度 授 業 評 価 と ほ ぼ 同 様 の 結 果 で あ っ た 。自 由 記 述 欄 に お い て も 授 業 の 進
行上用意してあったビデオを見ることができなかったことについての不満の声は若干みら
れるものの、全体としてゲストスピーカーやレジュメ・資料等により多面的に学ぶことが
で き て よ か っ た と い う 意 見 が 大 半 を 占 め て い る 。自 由 項 目( V)の 設 問 で も 高 く 評 価 さ れ た 。
( I)授 業 の 計 画 的 展 開( 3)及 び 課 題 の 適 切 さ( 5)が 平 均 4.4 と 若 干 低 い が 、目 的 明 示( 1)、
内 容 水 準 ( 2)、 難 易 度 ( 4) に つ い て は 平 均 4.5 以 上 で あ っ た 。 SD は 昨 年 度 よ り 少 し 広 が
り が 見 ら れ る 。昨 年 度 は 自 由 記 述 に お い て 、
「課題で皆から集めた資料などを見ることがで
き た ら よ か っ た 」 な ど 複 数 あ り 、 課 題 の 活 用 方 法 に 改 善 の 余 地 を 残 し た が ( 冬 休 み 課 題 )、
今年度は夏休み課題として実施し、この点においての不満は出ていない。
( II) 昨 年 同 様 、 教 員 の 熱 意 ( 9) は 高 い 評 価 を 得 た が ( 平 均 4.8)、 そ の 他 の 項 目 は 平 均
4.5 及 び 4.6 と 必 ず し も 評 価 は 高 く な い 。 自 由 記 述 に 「 内 容 も 幅 広 く 、 先 生 の 伝 え た こ と
も多くどうしても詰め込みになってしまったことは仕方がないと思いました」という意見
があるように一定の理解を示す学生はいたが、1 年生に対する進度や理解度に合わせた進
め方に課題を残していると思われる。授業内容をイメージ化により広げ、色々な角度から
内容理解をして欲しいため、ビデオ・新聞記事を多用することにより時間的に余裕がなく
なることが最も大きな要因となっているはずである。
( III)内 容 理 解 が 教 員 側 評 価 で 最 も 低 い( 平 均 4.2)の も 昨 年 度 と 同 様 で あ っ た 。こ の 科
目の特性である内容の幅広さや「深さ」が関与していると思われるが、教え方や授業のあ
り方との関連性がはっきりしない。
( 13)が 高 い 評 価 を 得 た こ と は 授 業 の ね ら い が う ま く 学
生に伝わったことを表しているといえよう。学生の興味関心を高めることもひとつのテー
マ と し て い る 中 で の 平 均 4.6 は よ い 評 価 と は い え ず 、 満 足 度 も 平 均 4.5 と 0.1 ポ イ ン ト 昨
年より下がっている。
( IV) 学 生 の 取 り 組 み に 関 し て は 教 員 側 が 期 待 す る も の と 学 生 の 実 態 と の ギ ャ ッ プ が 現 れ
て い る 。意 欲 面 は 平 均 4.3 と 比 較 的 高 い が 、質 問 や 予 習・復 習 は 非 常 に 低 い 結 果 で あ っ た 。
どう刺激すればここが高まるのか試行錯誤であり、結果は出せなかった。
Ⅲ
授業改善の展望
この結果だけで判断できないが、昨年度とほぼ同様の結果から学生側の目に映る授業像
がある程度理解できる。数値を高めることが目的化してしまわないように努め、新年度は
特に学生のフィードバックにより進度・理解度を踏まえた授業展開を改善していきたい。
78
学科:社会福祉学科
職名:准教授
氏名:江原勝幸
対象科目:地域福祉論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
・福祉専門職に求められる知識としての地域福祉の概要を理解する
・自分の生活と地域福祉の関係を見直し、自分の身の回りの事例から「地域福祉とは
何か」を自分の言葉で説明できるようにする
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
2 年 次 後 期 開 講 の 選 択 授 業 で あ り 、今 年 度 は 社 会 福 祉 専 攻 が 16 名 、介 護 福 祉 専 攻 が 6 名
受講した。あえて授業内容や課題など専攻ごとの差は設けずに実施している。昨年度も同
様な傾向であり、介護福祉専攻の対象数が少ないこともあり、両専攻で評価結果は大きく
異なっている。学生自身の取組を除き、社会福祉専攻では課題の質・量の適切さが唯一学
科平均を下回るだけであったが、介護福祉専攻では全ての設問で学科平均を下回った。こ
の点に対する評価は難しいが、感覚的に介護福祉専攻の学生との関係づくりの問題が大き
いように思われる。少人数であり、それまで一度も直接接したことのない学生に対しての
アプローチ方法の課題が明らかになった。
( I) 授 業 の 目 的 ・ 目 標 明 示 の ポ イ ン ト が 介 護 で 低 い ( 平 均 3.7)。 課 題 の 質 ・ 量 の 適 切 さ
は両専攻で低く、そのねらいや目的が学生に理解されていないことが示されたが、昨年度
は 社 福 で 平 均 4.7 と 高 く 、 同 様 の 課 題 設 定 で も 年 度 で 評 価 が 分 か れ て い る 。 学 生 ・ 大 学 と
地域社会との関わりから地域福祉を捉えていくアプローチが求められ、そこを創造的に考
え て い く 力 を つ け さ せ た い と 思 っ て い る だ け に 、設 問( 5)の 評 価 を 考 え な け れ ば な ら な い 。
( II) 昨 年 度 と 異 な り 、 教 え 方 に 関 し て 1 年 次 に 通 年 必 修 で 「 社 会 福 祉 原 論 」 を 受 講 し た
社会福祉専攻の学生とまったく初めて接する介護福祉専攻の学生とで有意な差が見られた。
教え方のスタイルはある程度固まってしまっているが、少数の介護学生に対する説明や理
解度の配慮など改善点があることを示している。
( III)介 護 福 祉 で は 授 業 理 解 が 低 く( 3.5)、新 た な 学 び( 4.0)、興 味 関 心( 4.2)、満 足 度
も 低 い ( 4.0)。 社 会 福 祉 の 満 足 は 平 均 4.6 で あ り 、 昨 年 度 よ り 0,2p ア ッ プ し た 。
( IV) 2 年 後 期 の 選 択 科 目 と い う こ と も あ り 、 遅 刻 ・ 欠 席 及 び 意 欲 的 な 受 講 が 介 護 で は 特
に 低 い 。質 問 や 予 習・復 習 に 関 す る 自 己 評 価 は 一 般 的 に 低 い が 、介 護 の 平 均 1.8( 設 問 18)
及 び 1.7( 設 問 19) は 極 端 に 低 い 。 社 会 福 祉 も 評 価 は 低 い が 、 学 科 平 均 と ほ ぼ 同 様 で あ る
ことを考えると、介護福祉専攻の当該科目設定に構造的な問題があるように思われる。介
護 職 に も 地 域 福 祉 の 視 点 は 不 可 欠 で あ る が 、2 年 後 期 の 選 択( 主 に 編 入 希 望 者 が 履 修 す る )
でよいのかどうかについて議論する必要性を感じる。
( V) 配 布 資 料 及 び ビ デ オ に 関 し て は 両 専 攻 と も 高 い 評 価 を 得 た 。
Ⅲ
授業改善の展望
介護福祉専攻の低評価をどう改善するかが大きな課題として残った。特に評価の低かっ
た ( 1)( 5)( 6)( 7)( 8)( 9)( 12) を 中 心 に 改 善 し て い か な け れ ば な ら な い が 、 ま ず は 授
業当初からの関係作りに着目したい。しかし、学生に媚びることなく、質の高く自ら積極
的に学ぶことを重視した授業展開を継続的に進めるつもりである。
79
学科:社会福祉学科
職名:准教授
氏名:江原勝幸
対象科目:社会福祉論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
・社会福祉の意義、理念、歴史、法体系、制度など社会福祉の基本を理解し、看護師国
家試験に求められる社会福祉に関する知識を習得する
・自分の生活と社会福祉の関係を見直し、自分の言葉で「社会福祉とは何か」を説明で
きるようにするとともに保健福祉の専門的視点から社会福祉を理解する
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
歯 科 衛 生 学 科 3 年 制 移 行 に 伴 い 、第 一 看 護 学 科 2 年 次 後 期 開 講 科 目( 必 修 )。全 体 評 価 と
して、若干ではあるが学科平均より上回った結果であった。この科目の点検・評価に直接
関係しないが、自由記述に「この授業ではないのですが、自由欄にコメントをしても何一
つ反映されない」
「 こ こ に 書 い た こ と が な か な か 反 映 さ れ な い の で 、書 く こ と 自 体 が 無 駄 だ
と思います」という指摘があり、アンケート実施意義・方法を再考すべきではないか。
( I) 平 均 4.3 は 昨 年 度 と 同 一 ポ イ ン ト を 示 し た 。 計 画 的 な 展 開 や 課 題 に つ い て SD で 少 し
広がっているが、他項目との有意差はみられない。今年度は授業曜日変更に伴い、保育所
実習と 1 日重なったため、保育所における看護ニーズについてのレポートを課した。さら
に、例年通り冬休みは新聞記事を活用した課題を課した。これらの課題に対して前もって
ア ナ ウ ン ス で き ず 、 直 前 の 指 示 と な っ た た め ( 5) は 平 均 4.2( 3 評 価 が 17.6%、 2 評 価 が
1.5% ) と い う 結 果 に な っ た も の と 思 わ れ る 。
( II) 平 均 4.4 は 昨 年 度 と 同 一 ポ イ ン ト 。 自 由 記 述 に も あ る が 、( 9) 教 員 の 熱 意 は 比 較 的
高 い( 平 均 4.6)。そ れ と 比 べ る と そ の 他 項 目 は 全 て 平 均 4.5 を 下 回 り 、改 善 の 余 地 を 残 す 。
自由記述で数多くの意見が寄せられたビデオや配布資料のよい評価が、
( 10)の 結 果( 平 均
4.4) に は 必 ず し も 繋 が っ て い な い 。 自 由 項 目 V の 設 問 で も ビ デ オ は 平 均 4.6 で あ っ た が 、
配 布 資 料 は 平 均 4.4 で あ っ た 。 ビ デ オ は た だ 流 す だ け で な く 、 学 習 を 深 め る た め の 効 果 を
期待しての活用ではあるが、どこまで学生がその目的等を理解した上での評価なのかはア
ンケート結果からは見えてこない。
( III)平 均 4.3 は 昨 年 度 と 同 一 ポ イ ン ト 。看 護 学 生 向 け に か な り 噛 み 砕 い た 授 業 を し て い
る つ も り で は あ る が 、( 12) 内 容 理 解 は 平 均 4.2 と 低 い 。( 15) 満 足 度 の 結 果 よ り も ( 13)
( 14) の 結 果 の 方 が 授 業 の ね ら い と し て は 関 心 が あ る が 、 特 に 評 価 が 高 い わ け で は な か っ
たのは課題として残る。
( IV)教 員 へ の 質 問( 18)や 予 習・復 習( 19)が 学 科 平 均 を 下 回 っ て い る 。遅 刻・欠 席( 16)
が 平 均 で 4.6 と 評 価 が 比 較 的 高 い が ( 同 一 教 員 他 科 目 : 社 会 福 祉 原 論 4.3、 地 域 福 祉 論 社
福 4.0、 地 域 福 祉 論 介 護 3.7)、 出 席 状 況 か ら は 疑 問 の 残 る 評 価 と な っ て い る 。
Ⅲ
授業改善の展望
各設問で若干評価は異なるが、昨年度と授業のあり方、教え方、総合評価ともまったく
同じ評価であり、授業内容・方法がある程度標準化し、ある程度のレベルで学生に伝わっ
ているものと思われる。さらに授業を改善するために、看護学習とリンクする話題提供な
ど を 工 夫 し 、そ こ か ら 福 祉・生 活 問 題 に 繋 げ・広 げ て い く 方 法 を よ り 具 体 的 に 実 施 し た い 。
80
学科:社会福祉
職名:助教授
氏名:
奥田 都子
対象科目:家族援助論(社会福祉専攻2年)保育士資格取得必修科目
Ⅰ
授業のねらい
①家族をとりまく社会環境と家族関係についての知識・理解を深め、子育て支援の必要性
を理解すること、②家族のニーズに応じた多様な支援の提供に向けて、子どもと家族の福
祉をはかるための種々の援助活動や関係機関との連携について理解を深めることをねらい
としている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生がこの科目に求めるのは、困難に直面した家族に対する具体的な援助技法や、虐待
やDVへの対応など、現場ですぐに役立つ知識や技術の習得である。しかし厚労省が示す
本 科 目 の 授 業 内 容 で は「 家 族 の 子 育 て の 困 難 を い ち 早 く 見 抜 き 他 職 種 に つ な げ る こ と 」
「よ
り専門的な援助の知識をもつ他の専門職との連携ができること」が目標にされているにす
ぎず、
「 具 体 的 な 援 助 方 法 の 教 授 」は 含 ま れ な い 。こ の よ う な 学 生 の ニ ー ズ と 、保 育 士 資 格
取 得 要 件 と し て の 授 業 内 容 と の ギ ャ ッ プ に 常 に ジ レ ン マ を 感 じ 、昨 年 度 ま で の 授 業 評 価 は 、
教える側の迷いを反映して、他の担当科目よりも明らかに低い水準にとどまっていた。
18 年 度 は 、学 生 の ニ ー ズ を で き る だ け 優 先 す る こ と に 取 組 み 、他 教 科 と の 重 複 部 分 を 整
理して「教授しなければならない内容」を圧縮するとともに、保育現場での事例に則した
ロールプレイを多く取り入れることにより、具体的な援助技術のトレーニングと学生参加
型 の 授 業 運 営 を 試 み た 。こ の 結 果 、
「 ロ ー ル プ レ イ を す る こ と に よ り 、頭 で 理 解 す る だ け で
な く 実 際 の 体 験 を 通 し て 理 解 で き た 。」「 ロ ー ル プ レ イ を み て 対 応 の た い へ ん さ を 知 っ た 。」
「 具 体 的 な 事 例 に よ る 説 明 が わ か り や す か っ た 。」( 自 由 記 述 回 答 よ り ) な ど 、 学 生 の 授 業
理解が深まったことがうかがわれ、授業のありかた、教え方、総合評価のいずれにおいて
も 、評 価 の 平 均 が 0.3∼ 0.4 ポ イ ン ト 上 昇 し た 。と く に 、質 問 項 目( 8)
「教員の説明はわか
り や す か っ た 」お よ び( 15)
「 自 分 は こ の 授 業 に 満 足 し て い る 」に つ い て は 評 価 平 均 が 0.6
∼ 0.7 ポ イ ン ト 上 昇 す る 結 果 を 得 た こ と は 大 き な 喜 び で あ り 、 よ う や く 他 教 科 に お け る 評
価 と 同 レ ベ ル の 水 準 に 達 し 、こ れ ま で の 試 行 錯 誤 が 実 を 結 ん だ と い う 手 応 え を 感 じ て い る 。
また、担当者の専門性でカバーできない領域については、積極的に家族援助の第一線で
活動している専門職をゲストに迎え入れるよう取りはからっているが、今年度は、発想を
逆転し、支援を求める家族の側に目を向け、家族の立場から発言するゲストスピーカーを
招聘することを試みた。この結果、これまで専門職のゲストの招聘の際に得られた好評価
と同程度の良好な反応があり、自由記述でも学生の関心が高かった。このことから、今後
もできるだけ幅広く、学生の興味関心を喚起するようなゲストスピーカーを招聘する必要
を感じている。
Ⅲ
授業改善の展望
資格取得のための科目であるという縛りはあるにせよ、学生がどのような知識や技術を
求めているのかに耳を傾け、できる限り要望に応える形で授業を展開していきたいと考え
ている。今年度採用したロールプレイを多用した学生参加型授業の工夫については、その
効 果 を 実 感 す る こ と が で き た の で 、今 後 も 継 続 す る と と も に 、
「 わ か り や す い 授 業 」に 向 け
て、視聴覚資料などの効果的な活用をはかり、ゲストスピーカーの選択にも学生の意見を
取り入れ、学ぶ意欲を喚起するための工夫を重ねたい。
81
学科:社会福祉
対象科目:
Ⅰ
職名:助教授
氏名:
奥田 都子
家族福祉論(介護福祉専攻2年)選択科目
授業のねらい
こ の 授 業 で は 、① 家 族 の 構 造 や 機 能・家 族 関 係 に つ い て の 基 本 的 理 解 を は か る と と も に 、
②現代家族をとりまく社会環境と家族の相互関係についての学習を通して家族の福祉ニー
ズを理解し、③家族のニーズに応じた多様な支援の現状を家族の視点から理解するととも
に、支援する側の視点から、種々の援助活動や関係機関との連携について理解を深めるこ
とをねらいとしている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授 業 の あ り 方 、 教 え 方 、 総 合 評 価 と も 、 昨 年 よ り も 評 価 が 高 ま り 、 平 均 4.0 を 超 え た 。
しかしながら、今年度行った授業改善は授業内容の一部変更にとどまり、教え方について
の基本的変更はなかったにもかかわらず、
「 教 え 方 」へ の 評 価 も 一 様 に 高 ま っ て い る こ と か
ら、
「 お 客 が 替 わ れ ば 評 価 も 変 わ る 」に す ぎ な い よ う に 思 わ れ る た め 、油 断 な く 自 己 点 検 を
重ねる必要を感じている。
昨年度の反省をふまえて行った授業内容の変更点としては、①受講生の評価が賛否両論
に割れた「家族支援のシナリオ作成」と「ロールプレイ」を削減し、その内容を必修の別
科目の中に移動したこと、②これまで授業内容から落ちていた「発達障害を含む障害児と
その家族の支援」についての内容を新たに取り入れたことの2点である。①の結果として
は、限られた時間内でシナリオを作成する負担感がなくなり、ロールプレイへの抵抗感を
抱く機会もなかったことから、学生のストレス減少につながったと推察され、評価点の上
昇は、マイナス評価につながる要素が一つ減ったことによる効果であると考えられる。
また、②については直接言及のある自由記述回答が得られず、その結果を判断する材料
に 乏 し い が 、質 問 (5)の「 教 員 か ら 与 え ら れ た 課 題 は 、質・量 と も に 適 切 で あ っ た 」に お け
る評価が飛び抜けて低いことから想像するに、②の内容に関して大きな課題を2回与えた
ことに関連するように思われる。介護福祉士養成課程のカリキュラムには子どものことを
学ぶ機会が少ないため、あえて障害児の家族への支援についてとりあげたが、なじみのな
いテーマであったためにレポート作成に苦労があったのかもしれない。来年度は、学生の
興味関心の範囲をふまえつつ、興味関心を広げることにつながるようなテーマ設定を心が
ける必要を感じている。
Ⅲ
授業改善の展望
こ の 授 業 は 、時 間 割 上 必 修 科 目 に 挟 ま れ た 位 置 に あ り 、興 味 関 心 は さ ほ ど な い 場 合 で も 、
穴埋めに選択する受講生が少なくない。それだけに、関心の低い学生の心を捉える授業を
できるかどうか、担当教員の力量が試されているといえる。最近の傾向として、課題など
の負担の多い授業を嫌い、その時間だけで完結するような授業運営を望む風潮もあるが、
本来、講義の履修単位は、学生の予習、復習時間も含めて、授業時間以外の学習があるこ
とを前提に設定されている以上、学生に迎合するような授業運営に逃げてはならないと考
える。とくに、必修科目ではなく、学生が自由な意思で選択できる科目である以上、教員
としての誠意は、課題を軽くすることではなく、なぜその課題に取り組むのか、その必要
性 と 意 義 を 、学 生 が 心 か ら 納 得 で き る よ う に 心 を 尽 く す こ と で あ る と 思 う 。そ の た め に も 、
学生の興味関心に目を向けて、彼らの内発的な問題意識から課題に取り組めるように、学
生との対話をこれまで以上に重視していくつもりである。
82
学科:社会福祉
対象科目:
Ⅰ
職名:助教授
氏名:
奥田 都子
家政学概論Ⅰ(介護福祉専攻1年)必修科目
授業のねらい
この授業では、生活の基盤となる家庭と家族の人間関係を中心に、①生活を経営・管理
するための基本的な知識と方法を理解させること、②生活環境の中の問題を認識し、改善
の方向・手だてを、個人・家族・社会のレベルで考えさせること、③問題改善に向けての
行動計画を作成させることをねらいとする。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
介 護 福 祉 専 攻 の 開 講 科 目 の 中 で 学 生 の 関 心 が 集 中 す る の は 、介 護 を は じ め と す る「 技 術 」
系の科目であり、授業で得た知識や技術を実習で用いることを期待する姿に、学ぶ意欲の
大きさを感じる。これに対して、社会科学系科目の学びは、実習ですぐに役立つような知
識は少なく、生活上の問題やその解決に向けての課題を考えたり、問題状況の改善に向け
て ど の よ う な 社 会 資 源 が 活 用 で き る の か を 検 討 す る プ ロ セ ス が 長 く 、正 解 も 一 つ で は な い 。
正解の設定された受験勉強型の学習を重ねてきた学生にとっては、問題解決や課題の達成
に向けたシミュレーションをくり返しながら学びを深めていく授業は、
「 こ の 知 識・技 術 を
習得した」
「 で き な か っ た こ と が で き る よ う に な っ た 」と い う 実 感 や 達 成 感 に つ な が り に く
いのではないかと思われる。このような点で限界はあると思うが、学生にとって少しでも
有用性を感じられるように、授業の中では福祉サービス利用者の生活場面を設定して、生
活支援に必要な知識を学ぶことができるような展開を心がけている。
前年度からグループディスカッションの時間を設け、学生が意見を交わしながら多様な
価値観、思考様式があることを肌で感じてもらい、自分ならどうするのかを考えさせる機
会 を 提 供 し 、好 結 果 を 得 た 。そ こ で 18 年 度 も 同 様 に こ の 方 法 を 採 用 し 、さ ら に 時 間 を 増 や
し た 結 果 、 評 価 平 均 ( 質 問 21) で は 4.7、 自 由 記 述 回 答 で は 27 件 中 の 12 件 に お い て 、 グ
ループディスカッション、グループワークについての肯定評価が述べられ、否定評価は皆
無であった。具体的には「ディスカッションを行ったことで他人の意見や考えが色々分か
っ た の で た め に な っ た 。」
「人の意見を聞いて自分の考え方も広がった」
「授業内ディスカッ
シ ョ ン は 必 要 だ と 思 う 。そ れ に 対 す る 先 生 の ま と め 方 で さ ら に 理 解 が 深 ま っ た 。」な ど の ほ
か、
「 グ ル ー プ ワ ー ク を 取 り 入 れ る 授 業 形 式 は わ か り や す か っ た 。」な ど の 回 答 が 得 ら れ た 。
教 え 方 の 評 価 平 均 に お い て も 昨 年 度 の 4.1 か ら 4.4 に 上 昇 し て い る こ と か ら 、 グ ル ー プ ・
ディスカッションという方法が学生に好意的に受け入れられ、授業に対する学生の意欲を
引きだし、理解を深めることに貢献したものと判断している。授業のあり方、総合評価に
お い て も 、昨 年 度 の 評 価 平 均 を 0.3∼ 0.4 ポ イ ン ト 上 ま わ る 結 果 と な っ て お り 、全 般 的 に 今
年度の評価が上昇しているのは、クラス規模の縮小や、学生との相性という要素もあろう
が、教え方の改善による波及効果もあるように感じている。
Ⅲ
授業改善の展望
グループワークやディスカッションなど学生参加型の授業形式は、舵取りの難しさもあ
るが、学生の学ぶ意欲を喚起し、授業への関心を高めることには大きな効果があったと感
じている。今後はさらに、学生に理解しやすい事例を用いて、効果的なディスカッション
のまとめやプレゼンテーションの方法にも工夫を盛り込みながら、引き続き、参加型授業
方式を用いていきたい。
83
学科:社会福祉
対象科目:
Ⅰ
職名:助教授
氏名:
奥田 都子
家政学実習Ⅰ(介護福祉専攻1年)必修科目
授業のねらい
実習を通して、家政学概論Ⅰで学習した生活の経営および運営に必要となる様々な知識
や技術の運用について習得するとともに、高齢者や障害者が、質の高い家庭生活や地域生
活を営むことを支援する実践的能力を養うことをねらいとする。また、調査したことをま
とめ、クラスで報告することを通してプレゼンテーションの力をつける。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
18 年 度 の 授 業 は 、17 年 度 の 評 価 で 目 立 っ た「 課 題 が 多 い 」「 シ ナ リ オ や 発 表 資 料 を 作 る
時間が少ない」などの声をふまえて授業内容を見直し、2回のロールプレイを1回に減ら
し、5つの柱で展開してきた内容を絞り、以下の3つの内容を柱に再構成を行った。
①生活経済の知識を用いた援助(ロールプレイを通して)
②地域環境のバリア調査および高齢者・障害者の暮らしやすい生活環境提案
③高齢者へのインタビュー調査とライフヒストリー作成に向けての事前準備調査
この結果、授業スケジュールにゆとりが生まれ、授業のあり方、教え方、総合評価のいず
れ に お い て も 、 評 価 平 均 が 0.4∼ 0.5 ポ イ ン ト 上 昇 し 、 授 業 へ の 満 足 感 ( 質 問 15) は 3.7
か ら 4.4 へ と 上 昇 し た 。 自 由 記 述 で は 「 先 生 か ら ひ た す ら 講 義 を 受 け る だ け で な く 、 み ん
なで調査する授業が良かった」
「 自 分 た ち で 実 際 に 考 え て 、た だ 座 っ て い る だ け で な く 行 動
し て い ろ い ろ 作 成 し た の で 学 び や す か っ た 」「( 地 域 環 境 の バ リ ア ) 調 査 で は 、 実 際 に 体 験
しなければならなくて大変だったけど、その方がよくわかって楽しかった」など、授業の
中で考えることや行動することを楽しんでいる声が多く、課題や作業量に対しても「グル
ープワークや調査などが多く大変だったがとても勉強になった」など肯定的な評価を下し
ており、大変ではあっても、負担感より達成感が上まわっている様子がうかがわれた。ま
た、学生の取組みについては、一般にほとんどの教科において、自発的な質問や予習復習
が少ない傾向にあり、この授業も例外ではなかったが、今回の評価においては、昨年より
0.8∼ 0.9 ポ イ ン ト 上 昇 し 、学 科 平 均 を 上 ま わ る 結 果 を 得 た こ と に た い へ ん 驚 い た 。な ぜ こ
のような結果を得たのかを探索すると、その背景にはクラスの人数が例年より2割少なか
ったこと、授業スケジュールの過密さが解消されたことなどが考えられ、これらによって
学生との距離が縮小し、課題への取組にともなう疑問点を質問するゆとりが生じたのでは
ないかと想像される。
また、知識を実践に応用するトレーニングとして導入したロールプレイについては、回
数 を 減 ら し た に も か か わ ら ず 、 評 価 が む し ろ 上 が っ て い る ( 4.0→ 4.6)。 こ の こ と か ら も 、
学生の消化能力以上に課題を与えても効果は上がらないことが示唆され、学生のペースを
尊重しながら授業運営をしていくことの重要性に改めて気づかされた。
Ⅲ
授業改善の展望
以上から、今年度の評価は想像以上に良い結果であったといえるが、グループワークや
ロールプレイ、調査活動などは、グループメンバーの人間関係によって、その活動や成果
に大きな影響が生じることもあり、今年度はたまたまグループの関係が良好であったこと
が好結果につながったとも考えられる。今後は個々の学生の力量と、グループとしての力
量にも配慮しながら、メンバーが協力してグループワークを進めることができるように、
授業運営の工夫を重ねたい。
84
学科:社会福祉
対象科目:
Ⅰ
職名:助教授
氏名:
奥田 都子
居宅生活援助(介護福祉専攻2年)選択科目
授業のねらい
①居宅やグループホーム、ユニットなどの、暮らしの場面での質の高い援助(介護サー
ビス)の提供を目標に、衣食住生活や季節行事の運営等の支援において、健康で文化的な
「楽しみのある暮らし」を実現するための知識・技術の習得をねらいとしている。
②縦割り形式の科目の中に分散している居宅生活援助に必要な知識や技術を、有機的に
結び付けて援助を組み立てる能力をはぐくむことをねらいとし、介護・福祉・家政系の教
員の協働運営により、居宅生活援助の実践に向けての橋渡しの役割を担う。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
開 講 初 年 度 に あ た る 17 年 度 は 、複 数 領 域 に わ た る 教 員 の 協 働 運 営 と い う 類 例 の な い 授 業
をどう展開させていくかを試行錯誤の中で運営した。このため学生にとっては先の見えに
くい、段取りの悪い授業だったこと、5人の教員の意気込みが先行してレベルの高い課題
を頻回に課し、学生に大きな負担感を与えたことが反省点であった。
そ こ で 18 年 度 は 、 17 年 度 の 反 省 を 踏 ま え 、 授 業 計 画 を 明 示 し 、 学 生 の 主 体 的 な 取 り 組
みを尊重するとともに授業内容を大幅に絞り込んだ。その一方、新たな取り組みとして、
オ ー プ ン ・キ ャ ン パ ス で の 学 科 紹 介 を 加 え 、学 生 の 主 体 性 を 発 揮 す る 場 を 設 け て プ レ ゼ ン テ
ーションの力を磨くことや、卒業発表会では、学内教職員を対象とした昨年度の方式から
進化し、地域の高齢者福祉施設の協力を得て、高齢者デイサービスセンターにおいてレク
リエーションを提供する取り組みを行った。この取組では、施設訪問を重ねて利用者との
コミュニケーションとアセスメントを進め、学生が主体となって音楽を中心とする卒業発
表 会 の 企 画 ・立 案 ・実 施 を 成 し 遂 げ 、 利 用 者 と の 和 や か な 交 流 を 成 功 さ せ た 。
これらの授業実践において学生の取組はきわめて良好であり、教員の目からは高く評価
で き る 成 果 を あ げ た が 、学 生 側 の 授 業 評 価 で は 、
「みんなで計画して行っていくことが楽し
かった」
「 利 用 者 さ ん と( 卒 業 発 表 会 へ の 取 組 を 通 し て )楽 し め た こ と が 嬉 し か っ た 」な ど
の 肯 定 評 価 の 一 方 で 、「 短 時 間 で 色 々 な こ と を さ せ よ う と し す ぎ る 」「 期 待 を 持 ち す ぎ る 」
「準備時間が足りない」など、授業への負担感を示唆する訴えが寄せられた。この負担感
の背景には、この科目が演習科目であるために単位数が講義の半分しかなく、授業時間外
の活動も多いことから、
「 割 に あ わ な い 」と の 思 い が あ る こ と 、学 生 と の 会 話 の 中 で も「 単
位が倍なら喜んで履修すると思う」との声があったことからも、今後のカリキュラム見直
しの中での検討課題である。全般に低めの評価であることは残念だが、昨年度の評価平均
に 比 べ て 、0∼ 0.9 ポ イ ン ト 上 昇 し て お り 、特 に 学 生 自 身 の 取 組 と し て の 予 習 ・ 復 習( 質 問
20) に つ い て は 、 学 科 平 均 を 上 ま わ る 結 果 と な っ た こ と か ら 、 い ま だ 改 善 の 余 地 は 大 き い
ものの、授業見直しの成果はあったと確信している。
Ⅲ
授業改善の展望
学生の負担感を改善するための方策としては、履修人数の少なさが学生1人当たりの負
担を増している側面を考慮し、授業運営上の適性人数を確保すべく、学生への働きかけを
行っていくとともに、引き続き授業内容の精選・絞り込みを行う。ただし、学生に全く負
荷のない授業運営が、授業のねらいである学生の実践力養成につながるとは考えにくいた
め、負担感は生じても達成感が勝ることをめざし、学生が自発的に取組を希望する内容を
課題に組み込んでいくこととしたい。
85
学科:社会福祉学科
職名:准教授
氏名:川島貴美江
対 象 科 目 : 社 会 福 祉 援 助 技 術 論 Ⅰ ( 講 義 )、 社 会 福 祉 援 助 技 術 論 Ⅳ ( 講 義 )、 社 会 福 祉 援 助
技術演習、保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、社会福祉演習、総合演習・卒業研究
Ⅰ
授業のねらい
社会福祉援助技術とは、老いや病、障害などによって生ずるさまざまな生活課題を抱え
ている利用者を、利用者理解を踏まえて援助していく方法である。今日、福祉の実践活動
においては、社会福祉援助技術と併せて、ケアマネジメントやス−パ−ビジョン、チ−ム
ワ−クなど従来から社会福祉援助技術論の「関連する援助技術論」と位置づけられている
関連援助技術への理解も不可欠となっている。講義は、保育士、社会福祉士に必要な社会
福祉援助技術の概要と歴史、技術の方法および内容、援助技術の根幹をなす権利擁護、自
立支援、利用者本位などの倫理と価値など社会福祉諸サ−ビスを利用者と結びつけていく
過程で不可欠な社会福祉援助技術を体系的に学ぶ。社会福祉援助技術論は、そのⅠから、
そのⅡ、そのⅢ、そのⅣと各2単位、合計8単位が2年間にわたり複数の教員によって展
開される。社会福祉士の受験のための必修科目である。そのうちの社会福祉援助技術論Ⅰ
(講義)は、今後展開される援助技術論の総論部分である。有形無形の福祉サ−ビスを提
供する中で、専門職が自由に用いる援助技術とそれらを支える普遍的な価値、科学的な展
開過程、援助を可能ならしめる技術などを学ぶ。理論を学ぶ間に、保育実習3回、社会福
祉援助技術現場実習2回が入り、実習は学生にとって援助技術論を臨床的に学ぶ機会であ
る。2年生の後期展開される社会福祉援助技術論Ⅳ(講義)は、2年間学んだ援助技術を
実際に利用者援助を可能にしていくためにどのように活用するのか、また、関連援助技術
も視野にいれて実践的に学ぶことをねらいとする。
社会福祉援助技術演習は、個別指導やグル−プワ−クなどの演習形態により、以上の理
論を保育実習、社会福祉援助技術現場実習と関連させながら学生個々人が主体的、実践的
に学ぶ機会とする。
保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(事前講義・事後指導、実習)は、複数の教員が担当している。そ
れぞれの専門性をいかして事前・事後指導にあたる。保育実習Ⅰは一年次に保育所実習と
施 設 実 習 を 行 う 。2 年 次 に 行 わ れ る 保 育 実 習 Ⅱ( 保 育 所 )、保 育 実 習 Ⅲ( 施 設 )は 、保 育 実
習Ⅰを踏まえてどちらか一方を学生が選択することになっている。
2
授業の自己点検・自己評価
社会福祉援助技術論は2年間にわたり展開されている。社会福祉援助技術演習は2年次
通年授業が展開される。1年次における社会福祉援助技術論Ⅰでは、ソ−シヤルワ−ク、
ケアマネジメント、エンパワ−メント、インテ−ク、アセスメントなど聞き慣れないこと
ばが出てくる。あるいは、自立支援、自己決定の概念など文字言語では言い尽くせない社
会福祉実践に不可欠なまさに多様なさまざまな価値、倫理というものを他の関連する講義
が進んでいく中で何度も触れるよう心掛けている。1年次において、援助技術論の概要を
つかみその後の学習へとつなげるよう配慮している。2年次における演習は、援助技術論
や実習と関連づけ理論を検証する機会を提供した。ロ−ルプレイ、事例発表、ディスカッ
ション、ビデオ視聴、新聞記事などを教材として、社会福祉援助技術の実際を学ぶ機会を
86
提供した。この過程で学生自身が「気ずく」こと、援助の手法には、極めて様々な「通り
道」があること、援助技術は、利用者の問題をどこで捉えるかによって、その用い方が違
うことなどを学ことを大切にした。さらに、演習における援助の道具としてのさまざまな
技法のトレ−ニングについて、体験的、実践的に学ぶよう工夫した。
学 生 か ら は 「 分 か り や す さ 」「 教 員 の 熱 意 」「 講 義 の 工 夫 」 な ど に お け る 評 価 が 高 い 。 自
由 記 述 に お け る「 現 場 で ど う い か し て い く の か 意 識 す る 」
「利用者と信頼関係をつくること
の 難 し さ 」「 実 践 へ の 不 安 」、 一 方 で は 「 実 践 へ の 期 待 」 や 「 専 門 職 へ の 自 覚 」 な ど 揺 れ 動
いた気持ちがうかがえる。
社会福祉援助技術演習は、社会福祉士という国家資格を取得して、福祉の専門職として
将来、援助を必要としている人と向き合うための自己覚知の時間をもつ機会である。日々
刻々と新しく変わる福祉の現場で、複雑多様なニ−ズをもつ利用者に役立つ援助を提供す
る た め に も 自 覚 的 に 学 機 会 が 必 要 で あ る 。「 楽 し い な が ら も 緊 張 感 、 臨 場 感 を 味 わ う 学 び 」
( 自 由 記 述 )は 学 生 と 教 員 、学 生 同 士 が 作 り 上 げ る グ ル − プ ワ − ク の 醍 醐 味 を 表 し て い る 。
と思う。
3
授業改善の展望
援 助 技 術 論 、演 習 と も お お む ね 評 価 を 得 て い る 。今 日 の 社 会 福 祉 の 実 践 の 場 に お い て は 、
複雑困難な事例が山積している。適切なサ−ビス提供のためには、非常に多種な専門職と
の連携が欠かせない。短大での援助技術論の学びは、待った無しの厳しい実践に学生が向
き合わざるを得ないとき、理論と実際は別という錯覚を持つことなく基本にかえり、試行
錯誤する中で創造的に、大胆に援助技術を駆使し、チ−ワ−クを生かして自らが機能でき
るよう願う。そのためには、提供する教材の工夫、事例の提供、現場の情報提供が必要で
ある。援助技術論や演習が将来具体的な何かに結実するはずであることへの確信を教員が
示しながら、学生が主体的に学ぶよう動機づけていきたい。理論や演習は援助の仕方を身
につけるのではなく、
「 自 分 だ っ た ら ど の よ う に 取 り 組 む の か 」を 常 に 念 頭 に お い て 、事 例
に向き合う機会を提供していく。
87
学科:社会福祉
職名:教授
氏名:川村邦彦
対象科目:形態別介護技術Ⅲ(演習)
Ⅰ
授業のねらい
一口に肢体不自由(運動機能障害)と言っても障害種別は多様であり、また同じ障害種
別でもその程度は千差万別である。こうした多種多様な肢体不自由の基本的な医学的知識
と、介護法を学ぶことがこの科目の目的だが、授業担当者としてのねらいは、半期30時
間を前提に、例えば街中で脳性マヒ等の典型的な肢体不自由者を見かけた際、外見上その
障害種別を識別できるようになってもらいたいと考えている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生の授業アンケートを見ると、
「 授 業 の 在 り 方 」で は 平 均 値 で ど れ も 4、0 以 上 な の で 、
この項目では学生から容認されていると受け止めていいのかもしれない。ただ「教員から
与えられた課題は質・量とも適切であったか」の評価は比較的低い。思い当たるのは今年
度はじめて実施した単元終了時の小テストである。学期末の評価とは無関係とした上で実
施したが、それでも学生は「テスト」と聞けば準備するようで、それが負担だったのか、
2 の 評 価 を 2 人 が 付 け て い る 。そ の 一 方 、自 由 記 述 に は「 小 テ ス ト の お か げ で 復 習 で き た 」
等 の 表 現 が あ り 、小 テ ス ト に 否 定 的 な 記 述 は な い 。テ ス ト の 実 施 と 負 担 の 関 連 を 考 え る と 、
テストの質・量を充実させれば学生の評価が下がることになるが、単元毎に最低限必要な
知識に絞ったテストを今後も継続したい。
「 教 え 方 」の 項 目 で は 、
「 学 生 の 理 解 が 深 ま る よ う に 授 業 を 工 夫 し て い た 」に つ い て 、特
に学生からの注文やクレームは付けられてないが、担当者としては以前から障害当事者に
授業参加していただくことを考えているが、未だ実現していないのでこれを次年度の課題
と し た い 。ま た「 あ な た の 取 り 組 み 方 」の 項 目 の 、
「疑問点を必要に応じて教員に質問した」
は 2、9( 昨 年 度 は 2、4) と 低 い が 、 こ れ は 授 業 を 行 っ て い て 実 感 で き る 数 値 で あ る 。 授 業
終了直前「質問・疑問をどうぞ」と必ず投げかけるが、解らないことだらけなのに、ほと
んど出ない。この点は以前から気になっていた項目である。この科目の内容について学生
が本気で知りたいと思っていないことの現れなのだろうか。その前提には、教員が学生を
そのような気持ちにさせる授業を行っていないということがあるのだろう。必修科目であ
ることを考えれば、この項目と次の「授業に関する予習、復習をした」の数値を上昇させ
ることが大きな課題と捉えている。
Ⅲ
授業改善の展望
これまで行ってきた授業の基本スタイルは変えない。小テストも継続する。障害当事者
の授業参加が今年度の課題であり、それによって授業に臨場感が期待したい。それによっ
て前記した学生の「本気度」の開発に結びつけたい。
88
学科:社会福祉
職名:教授
氏名:川村邦彦
対象科目:介護福祉論Ⅰ(講義)
Ⅰ
授業のねらい
この科目は事実上の「介護概論」であり、介護の歴史や制度・政策、利用者と介護者の
関係性、介護者倫理等を広く学ぶが、それを通して介護される側の気持ちを理解できる介
護福祉士の育成をねらいとする。老いること、障害を持ちながら生きること、一身の始末
を他者に委ねて生きざるを得ない介護利用者の複雑な内面に思いを馳せることができる、
このような資質を備えた介護者を育てるための授業と心得ている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
上記の「ねらい」が果たして獲得できているか、その判断は難しい。集計結果を表面的
に見れば、授業の在り方、教え方、総合評価の各項目は4点台をキープしていて、まずま
ずの評価だが、前記した「ねらい」の実現に関しては不明である。担当教員に介護現場の
実 践 体 験 が あ る の で 、「 ね ら い 」 を 意 図 し た 事 例 を 数 多 く 語 る こ と を 心 掛 け て い る の み で 、
今のところそれ以上の工夫ができないでいる。次年度の課題としたい。
教え方の項目の「授業は計画的に展開されていた」と「教員から与えられた課題は質・
量 と も に 適 切 で あ っ た 」に 、
「 そ う は 思 わ な い 」を 意 味 す る「 1 」を 記 し た 学 生 が 各 1 名 ず
ついた。前者は主観的判断要素が高く、教員の思いはどうあれ、1人の学生がそう受け取
っていた、と教員は受け止めなければならない。しかし、後者については、学生に課した
のは毎回、次回授業範囲分の教科書の通読と、そこに出てくる用語の事前調べである。そ
れでも「そうは思わない」というのであれば言葉はないが、だからと言ってこの課題提出
を止めるつもりはない。授業を教員がコントロールし、その内容を学生が共有するには、
この課題提出は最低限の要求と考えている。これに関連する、あなたの取り組み方の「こ
の 授 業 に 関 す る 予 習 、 復 習 を し た 」 の 項 目 は 2、6 で あ り 、 こ れ は 大 半 の 学 生 が 事 前 学 習 を
行っていないことを表している。この改善策は下記に記す。
私の滑舌の特徴を記す記述が数多くある。自分では気付かないが、ゆっくりした喋りと
学 生 は 記 す 。「 だ か ら 解 り や す い 」 と 肯 定 的 に 受 け 止 め ら れ る 一 方 、「 子 守 歌 に な っ て し ま
う」という記述もある。自分でも、話にメリハリがなく一本調子になっていることを時々
感 じ る 。90 分 間 、聞 く 側 に す れ ば 、講 義 内 容 は も と よ り 、声 の 質 、高 低 、テ ン ポ は 重 要 な
問 題 で あ る 。「 子 守 歌 」 と 揶 揄 さ れ な い 滑 舌 技 術 を 身 に 付 け な け れ ば な ら な い 。
Ⅲ
授業改善の展望
次年度は、介護福祉関連の時事的問題を授業の中に多く取り入れ、学生の関心を呼び起
こす。それによって予習、復習項目の数値を上昇させたい。また「メリハリ」では、試み
として、随所に介護現場の事例や体験談を語ってみたい。
89
学科:社会福祉学科
職名:教授
氏名:川村邦彦
対象科目:形態別介護技術Ⅴ(演習)
Ⅰ
授業のねらい
この科目は知的障害者と精神障害者、この2つの単元の医学的理解とその介護法を習得
することが目的だが、授業のねらいははっきりしている。それは知的・精神障害者に多く
の人が忌避あるいは恐れの感情を示すが、学生も例外ではないとの前提で、ねらいはそれ
を取り除くことにある。介護福祉士の職業対象に、この二つの障害種別が含まれることを
考慮すれば、この「ねらい」の実現は必須である。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
対象学生は介護福祉専攻2年生である。ほとんどの学生が知的障害、精神障害者との関
わりを持った経験がない。そのためビデオを活用している。それぞれの障害像や統合失調
症等の症状理解は、教員がいくら言葉を尽くしても説明しきれず、学生には理解できない
部分が残るが、その点映像による教育法はとても効果があると感じている。ただ、教育用
に市販されているビデオは、前記の「ねらい」を考慮すると的を射たものがなく、そのた
め数年前から同じものを繰り返し用いている。幸い対象学生が替わるので、自由記述を読
むと今のところ効果は薄れていないと考えている。
授業は1時限目にある。当初、遅刻者はほとんどないが、回追うごとに遅刻が増える。
それでいながら「自分は、この授業を遅刻や欠席しないように努めた」の学生による自己
評 価 は 4、2 と 高 い 。 こ れ は 教 員 の 実 感 と は か な り 異 な る 。「 努 め た 」 が 、 し か し 結 果 は 必
ずしも伴わなくてもよい、という受け取り方をしているのだろうか。
「教員は学生に対して誠実に対応していた」と「授業の内容が良く理解できた」の項目
が 両 者 と も 3、9 と 他 の 項 目 に 較 べ て 低 い 。 前 者 に 関 し て は 心 当 た り が な く 、 従 っ て 点 検 ・
評価のしようがない。後者に関しては、メリハリを付けずに多くを語りすぎている気がし
ている。実はこれが担当教員の今いちばんの悩みであり反省点。他の科目でもコメントし
たが、どうも話が一本調子になってしまう。その結果、はじめは意欲的な視線を教員に送
っていた学生の目が、次第にトロンとして眠気を帯びてくる、それを何とかしなければと
思い、よけいしゃべりに集中する。その結果、典型的な負のスパイラルである。授業スキ
ルの問題として改善しなければならない。
Ⅲ
授業改善の展望
授業の「ねらい」は妥当と考えているので、まず今日の授業で学ぶ範囲は「ここまで」
と到達点をクリアにして学生に提示しよう。これは自分だけの努力。次に、こうした授業
スキルの悩みを同僚教員に語り相談し改善策を教えてもらう。これには同僚との協調が必
要。この種の協調を来年度は積極的に行い弱点を克服したい。
90
学科:社会福祉
職名:教授
氏名:川村邦彦
対象科目:介護福祉論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
ねらいは三つあると考えている。一つは、社会福祉士受験科目であることから、受験準
備の端緒となる授業内容であること。少ない授業回数であり、この回数だけではとても受
験の備えとしては不十分。今後の自己学習の手掛かりになる授業。二つ目は、対象学生が
6月に障害者施設等で実習を行うため、介護、介護技術、障害種別、各福祉施設、福祉機
器 等 の 項 目 に つ い て 、実 習 前 に 一 定 の 理 解 を 図 っ て お く こ と 。実 習 に 行 く 以 上 、
「知らない」
では済まされず、自分で出来なくともせめて「知っている」レベルで実習に臨ませたい。
三つ目は、言うまでもなく介護福祉概論としての理解をはかることである。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「 授 業 の 在 り 方 」、「 教 え 方 」、「 総 合 評 価 」 の 各 項 目 は い ず れ も 4 点 台 で あ っ た 。 担 当 教
員として自分の授業の在り方を自己評価すれば、もっと学生は厳しく授業評価すべきでは
な い か と 思 う の が 正 直 な と こ ろ 。具 体 的 項 目 と し て は 、
「 授 業 は 計 画 的 に 展 開 し て い た 」が
4、3 点 だ が 、 振 り 返 っ て み る と 『 履 修 要 項 』 に 示 し た 計 画 通 り で は 決 し て な か っ た 。 そ れ
でも学生からクレームが付くこともなかったことが、むしろ残念である。
「あなたの取り組み方」の「疑問点の質問」及び「予習、復習」は他の科目同様2点台
である。授業の終了時に必ず質問の有無を尋ねるが、ほとんど質問が出ることはない。そ
れでいて、授業終了後教員が帰り支度をしていると、傍に来て質問する学生がときどきい
る。これはどうしたことか。思うに、学生にとっては手を挙げて質問するというのはとて
も勇気のいることなのかもしれない。勇気と言うより、クラスにはムラ社会のような同質
性を保とうとする力学が働いているのではないか、だから質問するとその同質性からはず
れてしまう恐れが学生にはあるのかもしれない。もし、それが当たっているなら、その同
質性を保とうとする力学を取り除かなければ質問は出てこない。それは教員の問題か、学
生の問題か。いずれにしろ、活発な質問が出る授業でありたい。
「 予 習 、復 習 」の 学 生 の 自 己 評 価 は 2、4 で あ っ た 。こ の 授 業 は 社 福 専 攻 学 生 が 対 象 だ が 、
内容への関心は介護福祉専攻学生に較べて明らかに薄い。それは授業を担当していると学
生の反応の違いとして解る。おそらく歯科衛生の学生を対象にすれば、さらに関心が薄く
なるのだろう。これは科目の性質上仕方ないと捉えている。だから多くの予習、復習は期
待していないが、せめて次回に学習する教科書の範囲は読んでくるよう求めているが、そ
れが実際には実行されていない数値である。
Ⅲ
授業改善の展望
質問が多く出る授業、最低限の予習を行ってくる授業の工夫をする。
91
学科:社会福祉
職名:教授
氏名:川村邦彦・石野育子・奥田都子他
対象科目:実習指導Ⅱ(演習)
Ⅰ
授業のねらい
この科目は、介護実習の事前や事後学習を行うための科目であり、単なる介護実習のた
めの「準備」科目ではない。その点への理解を学生にはじめに求めている。この科目で学
んだことを介護実習で生かし、また介護実習で学んだことをこの科目の中で確認し介護福
祉について理解を深める。このように常に実習と連動して学習していくことにこの科目の
特徴がある。そのため、授業形態もさまざまである。時によってゼミ形式、全体講義、グ
ループワーク、施設職員や介護される当事者の講演会、実習報告会等を行っている。いわ
ゆる学生参加型の授業であり、学生の関心は高い。介護福祉士になろうとする動機付けが
この授業でしっかり行なうことが「ねらい」であり、それに失敗すると意欲の喪失に直結
する授業でもある。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
全体に高い評価が得られているが、現在行われている授業内容は実習前準備に多くの時
間を費やされていて、本来この授業で行うべき事例研究等に時間を取れていない現実があ
る。この点は早急に解決しなければならない問題である。
昨年度卒業し、今は介護現場に働く卒業生に来てもらい話をしてもらったが、その企画
に対して肯定的な意見が自由記述欄に綴られていた。その他、実習報告会の運営、進行に
対 し て「 進 め 方 が 下 手 」
「 進 行 が 遅 い 」と い っ た ク レ ー ム が 綴 ら れ て い た 。実 習 報 告 会 の ク
レームは具体的に何を指しているのか定かではないのが残念。具体的な改善箇所、改善策
を指摘して欲しかった。この報告会は、発表内容もさることながら、とにかく全員が発表
することの教育的効果を期待して毎年、毎実習終了後に報告会を行ってきている。教員に
は、学生の成長が具体的に感じられる授業形態である。今後は教員だけでなく、学生にも
報告会の在り方を提案して一緒に会を作っていきたい。
ま た 、こ の よ う な 記 述 も あ っ た 。
「 あ る 先 生 に こ の 実 習 で 成 長 し た こ と と 尋 ね ら れ 、む か
し人嫌いであったことに触れ、その点成長したと答えたら、人が嫌いではこの仕事に向い
てないねと言われた。なぜ過程を見てくれないのかガッカリした。教員はこんな程度の人
間 性 し か 持 っ て い な い の か 」。お そ ら く 、教 員 が 述 べ よ う と し た 趣 旨 が 曲 解 さ れ て し ま っ た
のだろうが、学生にこのように受け止められてしまっているという事実に変わりはない。
こ の 意 見 を 真 摯 に 受 け 止 め た い 。教 員 の 仕 事 は 恐 く 、油 断 が あ っ て は な ら な い 仕 事 で あ る 。
Ⅲ授業改善の展望
事例研究等の学習に関しては、これまで定番の年間スケジュールを改めなければならな
い。専攻の教員間で、まず話し合うところからはじめたい。
92
学科:社会福祉学科
職名:教授
氏名:佐々木
隆志
対 象 科 目 :〔 老 人 福 祉 論 ( 社 専 、 講 義 )、 老 人 福 祉 論 ( 介 専 、 講 義 )、 児 童 福 祉 論 ( 介 福 、
講 義 )、社 会 福 祉 援 助 技 術 現 場 実 習 指 導( 社 福 、講 義 )、総 合 演 習 ・ 卒 業 研 究( 両 専 攻 、演 )
Ⅰ
授業のねらい
筆者は上記の専門科目を担当しており、老人福祉論(社福専攻、介護専攻)は、社会福
祉士及び介護福祉士養成施設の指定科目であり、厚生労働省の示した目標及び内容に沿っ
て講義を進めている。両専攻共老人福祉論は通年科目につき、前期では高齢社会の現状把
握に努め、高齢者の生活上の諸課題として、経済上、身体的、精神的、社会的、経済的な
視 点 か ら 老 人 福 祉 論 の 理 解 に 努 め て い る 。ま た 、高 齢 者 の 身 体 的 特 性 に つ い て も 学 習 す る 。
後期では老人福祉の全体像をおさえた後、具体的にサービスの利用方法とその対象者のニ
ー ズ 把 握 に つ い て 学 習 す る 。又 、具 体 的 な 事 例 を 通 じ て 社 会 福 祉 士 、介 護 福 祉 士 と し て 福 祉
と保健・医療等の一体的運用の必要性についても学習する。
以上のように前期・後期を通じて授業科目のねらいは、社会福祉分野における「老人福
祉」の位置と役割について学習し、最終的には社会福祉専門職として福祉サービスの仕組
みについて理解を深める。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
平 成 18 年 度 授 業 評 価 集 計 か ら 、『 授 業 の あ り 方 』、『 教 え 方 』 の 二 点 か ら 自 己 評 価 す る と
以下のようになる。
『 授 業 の あ り 方 』の 質 問 項 目「 授 業 の 目 的 、ね ら い が 明 示 さ れ て い た か 」
で は 、老 人 福 祉 論( 社 専 )「 や や そ う 思 う 」「 そ う 思 う 」 項 目 で は 93.5% 、老 人 福 祉 論 ( 介
専 )97.8% 、児 童 福 祉 論( 介 護 )99.5% と な っ て い る 。
「 授 業 は 計 画 的 に 進 め ら れ た か 」で
は 、 老 人 福 祉 ( 社 専 ) 91.5% 、 介 護 95.2% 、 児 童 福 祉 84.6% と な っ て い る 。
これらを受け、筆者はさらに今後も学生の理解を第一に考え講義を展開したいと考えてい
る 。こ れ ら の 数 値 は 、昨 年 の 同 調 査 よ り も 数 ポ イ ン ト 上 昇 し て い る 。一 方 、
『 教 え 方 』の 分
野 で は 、「 説 明 が わ か り や す か っ た 」 項 目 で は 、〔 老 人 福 祉 ( 社 福 ) 94.7% 、 老 人 福 祉 ( 介
護 ) 95.7% 、 児 童 福 祉 ( 介 護 ) 94.8% 、〕 に 共 通 し て 高 か っ た 。「 教 員 の 授 業 に 対 す る 熱 意
が 感 じ ら れ た 」 で は 、「 そ う 思 う 」「 や や そ う 思 う 」 で は 、 社 専 97.9% 、 介 専 100% 、 介 護
91.5% と な っ て い る 。
「 改 善 が 特 に 必 要 と 思 わ れ る 」項 目 で は 、Ⅰ ,授 業 の あ り 方 、Ⅱ ,教
え 方 、 Ⅲ , 総 合 評 価 で 評 価 の 低 い 部 分 に つ い て み て み る と 、 前 年 対 比 で 、 Q 1∼ Q 19 項 目
全般で上昇していることがわかる。これは昨年の自己評価・反省の現れであり、昨年指摘
されていた「講義のスピードが早い」が今年度改善されたと理解できる。
Ⅲ
授業改善の展望
先 に 述 べ た 自 己 点 検・自 己 評 価 を ふ ま え 、平 成 19 年 度 の 改 善・展 望 は 以 下 の よ う に な る 。
①授業はOHP、プリント、スライド等を積極的に活用し理解に努める。
②板書後、学生が書き終わるまで教員は、その後の説明を待つ。
③教科書、ノート、プリント等教材の活用内容及び質をさらに考え上手に活用する。
以 上 の 三 点 か ら 今 回 の 学 生 の 評 価 の 良 い 点 及 び 改 善 が 必 要 と 思 わ れ る 点 を 、 こ の FD
( Faculty Development)に 生 か し 、今 後 も 継 続 し 、教 育 ・ 研 究 質 の 向 上 に 向 け て 取 り 組 ん
でいく予定である。学生、受講者は年々変わる為、その講義に対するニーズ把握もますま
す 重 要 だ と 考 え て い る 。筆 者 は 講 義 の 基 本 的 考 え 方 と し て 、
「 よ り わ か り や す く 、よ り 明 る
く、より最新の状況を・・」をキーワードとして、大学も講義・演習を進めていきたいと
考えている。
93
学科:社会福祉学科
職名:助教授
氏名:立花明彦
対象科目:障害者福祉論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
ノーマライゼーション理念は、障害者福祉の分野で提唱されたものであるが、今では社
会福祉全体を支える基本的な理念として位置付けられ、その実現に向けた各種の施策がな
されている。とりわけ、公共交通機関や公共の建築物などのユニバーサルデザインの導入
やバリアフリー化は多くの人々が知るところである。その結果、徐々にではあるが障害を
もつ人々が町へ出やすくなり、そうした人々を目にする機会も以前に比べ増している。義
務教育の現場では、総合教育の一環として障害をもつ人から話を聞くなどして、障害理解
を図るところも少なくない。とはいえ、実際にはまだ障害をもつ人に直接接することは少
なく、本講義を受講する学生の多くは障害者の実像をほとんど知らず、理解できていない
の が 現 実 で あ る 。現 に 、2007 年 2 月 に 実 施 し た 障 害 者 に 関 す る 世 論 調 査 で は 、障 害 を 理 由
とした差別や偏見があると思う人が8割を超している。差別や偏見は、障害者の実像や理
解不足が起因するものであり、まだまだ不十分な社会の実情を反映する結果が示されたと
言える。一方、今日の社会の中で、障害者は様々なニーズをもち、的確なサービスを求め
て い る 。こ の た め 、社 会 福 祉 に 携 わ ろ う と す る 者 は 、障 害 を も つ 人 の 実 像 を 正 し く 理 解 し 、
専門的知識および技術、さらにそれらを支え、活かすことが不可欠である。そこで「障害
者福祉論」の講義では、障害をもつ人々の実像の正確な理解と、正しい障害者観の形成を
主たる目標に据えて授業を展開している。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
得られた授業評価の結果をみると、対象となる学生は異なるものの、従来のそれとほぼ
同様の数値が示された。
〈授業のあり方〉
「障害者福祉論」は社会福祉・介護福祉両専攻で開講されている。しかし、社会福祉専
攻は選択の通年科目であるのに対し、介護福祉専攻は必修の半期科目であるため、授業内
容は一部共通するが基本的に異なる。いずれのクラスにおいても、授業のねらいについて
は 初 回 で 学 生 に 伝 え 、ま た 意 識 付 け る た め 、折 に 触 れ 話 す よ う に 心 が け て い る 。そ の 上 で 、
授業は基本的にシラバスに示した計画に基づいて進めているが、学生へのアンケートから
はそれらを裏付ける結果が示された。また、毎回の授業の量や進度、水準についても5点
評 価 に お い て 介 護 福 祉 専 攻 で 平 均 4.4(SD= 0.7)、 社 会 福 祉 専 攻 で 同 4.7(SD= 0.5)を 得 た 。
〈教え方について〉
毎 回 、授 業 の 終 わ り に そ の 日 の 内 容 に つ い て の 感 想 や 意 見 、質 問 な ど を 提 出 し て も ら い 、
それによって学生の理解度を確認し、合わせて次回の授業の参考にしている。また、講義
内容についての理解を援助するツールとして、関連するビデオを見る機会も設けている。
さらに、可能な限り受講者の視覚に訴えるべく講義テーマに関連した実物を用意し見せる
よ う に も 努 め た 。こ う し た 方 法 は 学 生 へ 通 じ た よ う で 、
「教員は学生の理解度に配慮して授
業 を 進 め て い た 」や「 教 員 は 学 生 の 理 解 が 深 ま る よ う 授 業 を 工 夫 し て い た 」
「教員は熱意を
もって授業に取り組んでいた」などの問いでは高い評価が得られた。
寄せられた質問や授業で話したことに対する学生の意見や感想などについては、翌週の
94
時間の冒頭で答えたり紹介したりする。これについては、自由記述欄で「障害者福祉に関
連して、他学生の意見や考え方、学外での体験や気づきなどを知ることができ自身にとっ
て大変参考になった」とする声が昨年以上に多く寄せられた。これは、学生が他学生の意
見や考えを聞くことで刺激され、自らの学ぶ姿勢を正したり、修正しているように受け取
られる。こうした声は、授業展開におけるこの方法の有効性を物語るものであると受けと
めている。
社 会 福 祉 専 攻 の 授 業 で は 、昨 年 度 に 引 き 続 き 障 害 当 事 者 を 招 き 、講 義 い た だ く と と も に 、
学生が日頃からもっている疑問にもお答えいただく機会を設けた。これは学生にとって特
に印象的であったと見受けられる。授業後の学生からのメッセージは、ほとんどの学生が
新たな理解や認識をしたとし、講師に対して丁寧な礼の言葉を述べている。介護福祉専攻
の学生にも、同様の時間を設けたいと考えたが、授業回数の関係から今年度も実現できず
残念に思う。
筆 者 の 授 業 で は 、あ ま り 板 書 を し な い 。た だ 、そ の 代 替 と し 、毎 回 プ リ ン ト を 配 布 す る 。
また、それは学生が受動的にならぬよう、記入を必要とするように作成している。これに
ついては、自由質問において学生に問うたが、評価する声が多数で安堵している。
〈総合評価〉
「この授業は新たに考えたり学んだりすることの多い内容であった」では、介護福祉専
攻 で 平 均 4.5(SD= 0.63)、 社 会 福 祉 専 攻 で 同 4.9(SD= 0.32)、「 こ の 授 業 を 受 け て こ の 分 野
に 対 す る 興 味 ・ 関 心 が 増 し た 」 の 問 い で は 、 介 護 福 祉 専 攻 で 平 均 4.5(SD= 0.74)、 社 会 福
祉 専 攻 で 同 4.8(SD= 0.56)で あ っ た 。 ま た 「 こ の 授 業 に 満 足 し て い る 」 で は 、 介 護 福 祉 専
攻 で 平 均 4.5(SD= 0.77)、社 会 福 祉 専 攻 で 同 4.8(SD= 0.43)で あ っ た 。現 に 、自 由 記 述 欄 に
も「これまでの障害者観が変わった」とする声が複数あった。これらの結果は、教員の意
図する点が学生に伝わり、授業の目的が概ね達成できたのではと理解している。
Ⅲ
授業改善の展望
全 体 的 に は 、こ れ ま で 行 っ て き た 授 業 の 方 法 が 支 持 さ れ る 結 果 が 示 さ れ た と 考 え て い る 。
しかし、介護福祉専攻と社会福祉専攻の回答を比較してみると、ほとんどの項目において
介護福祉専攻の平均値は今年度も、社会福祉専攻のそれを0点数ポイント下回る結果とな
った。介護福祉専攻の学生は厳しい評価を下したとも考えられるし、教員の教授法などに
関する事柄は教員に対する率直な声として真摯に受けとめ、今後の改善に結び付けなけれ
ばならないと考えている。特に「自分は疑問点を必要に応じて教員に質問した」では、介
護 福 祉 専 攻 平 均 2.7(SD= 1.17)、社 会 福 祉 専 攻 同 3.4(SD= 1.23)で あ っ た 。全 体 的 に 学 生
は自身の取り組みになると低い結果になるが、ここでもそれが表れている。介護福祉専攻
の結果は、社会福祉専攻以上に受動的な授業態度を示すものである。そこには、必修科目
で あ る か 選 択 科 目 で あ る か の 違 い も 影 響 し て い る と 思 わ れ る が 、教 員 と す れ ば 残 念 で あ る 。
ともあれ、対象学生は異なるものの、介護福祉専攻での結果の向上を一つの課題として次
年度取り組んでいきたいと考えている。
95
学科:社会福祉学科
職名:助教授
氏名:立花明彦
対象科目:社会福祉演習(演習)
Ⅰ
授業のねらい
わが国の歴史には負の遺産がいくつかある。社会防衛思想の下で展開されたハンセン病
患者および元患者への強制隔離とそこでの処遇はその一つであり、近代史において決して
目を背けることのできない事実である。らい予防法の廃止や国家賠償訴訟における原告側
の勝訴により、元患者をめぐる環境は改善しつつあるが、社会の偏見と差別はその後も続
いており、その根の深さを物語っている。本ゼミでは、日本人として国家が行ってきたハ
ンセン病対策を正しく理解し、今を生きる者として何をすべきか考え、行動できる知識の
修得を主たるねらいとしている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
〈授業のあり方〉
社会福祉演習のメンバーは、事前に教員が示したテーマおよび内容に対し、興味・関心
をもって志望した者によって構成されている。したがって、授業のねらい等についての理
解度も高く、あり方に関する問いではそれぞれ好結果が示された。
〈教え方〉
授業はゼミの性格上、学生個々に課題を与え、それを調べてきて発表し、意見交換する
形式を基本とした。また理解を深める意図から、ハンセン病療養所を2度ほど見学した。
こ う し た 授 業 の 展 開 と 、そ こ で の 教 員 の 教 え 方 等 に 関 す る 結 果 で も 、平 均 4.8(SD= 0.5)の
高 い 値 を 得 た 。 特 に 自 由 記 述 欄 で は 、「 施 設 見 学 で 元 患 者 の 方 か ら 直 接 話 を 伺 っ た こ と や 、
調べたりすることにより理解が深まった」とする声が複数の学生から寄せられた。この結
果は教員の熱意や思い、配慮が学生へ十分に伝わったものであると受けとめている。
〈総合評価〉
こ の 授 業 を 構 成 す る 学 生 は 自 ら の 志 願 に よ る と は い え 、10 人 中 4 名 は 第 2 志 望 の 学 生 で
あった。この点、これらの学生の関心度は第1志望の学生よりは薄く、その結果が評価に
も 表 れ る の で は と 予 想 し て い た 。し か し 、総 合 評 価 で の 平 均 値 は 4.9(SD= 0.3)で 、授 業 の
内容についての理解度が高かったことや、学生にとって新たに学んだり考えたりすること
の 多 か っ た こ と を 物 語 っ た 。学 生 自 身 の 取 り 組 み を 尋 ね た 問 い で も 、平 均 4.6(SD= 0.7)が
得られ安堵している。
Ⅲ
授業改善の展望
本 テ ー マ で の 社 会 福 祉 演 習 は 、今 年 度 が 初 年 で あ る 。テ ー マ か ら し て 、10 名 も の 学 生 が
集まったことに驚くと同時に喜んでもいる。授業評価の全体的な結果は、テーマの妥当性
を示していると考える。次年度以降もこのテーマでのゼミを継続し、学生への理解の広が
りに努めていきたい。
96
学科:社会福祉学科
職名:助教授
氏名:立花明彦
対 象 科 目 : 形 態 別 介 護 技 術 Ⅱ ( 視 覚 障 害 )( 演 習 )
Ⅰ
授業のねらい
視覚障害と言っても、その程度、見え方、原因、障害発生期、および今後の進行予測な
ど個人によって様々である。またそれらがもたらす日常生活への影響も個々に異なる。加
えて、近年は高齢で視覚障害を負う人が増加していて、視覚障害をもつ人々の状況は多様
化している。このため、視覚障害をもつ人への援助に当たっては、一人ひとりの状態を正
しく認識し、適切な介護をすることが求められる。本科目はそのための知識・技能の習得
を主たる狙いとしている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
本科目は演習科目ではあるが、ねらいを視覚障害についての知識・技能の習得にも重き
を置いていることから、授業では半分を講義に、残り半分を点字の読み書きに関する演習
に 当 て て い る 。こ う し た 授 業 の あ り 方 に つ い て は 、平 均 で 4.7(SD= 0.6)の 結 果 が 得 ら れ た 。
ま た 教 え 方 に つ い て の 各 項 目 で も 平 均 4.6(SD= 0.6)、 総 合 評 価 の 項 目 で 同 4.6(SD= 0.7)
が得られ、筆者の予想よりも高い結果となった。つまり、筆者は同じく介護福祉専攻の担
当である別の科目からの結果を元に、もう少し低い値を予想していたのである。その背景
に は 、こ の 科 目 が 単 に 講 義 系 で は な く 、点 字 の 読 み 書 き を も し て い る こ と か ら 、学 生 に は 、
講義とは異なる関心と達成感が得られたものと推測される。現に「自身の取り組み」を尋
ね た 群 で も 、平 均 3.8(S D = 1.3)と 、講 義 系 の そ れ よ り も や や 高 く な っ て い る 。合 わ せ て
自由記述欄では、点字の読み書きを体験できたことへの評価や、視覚障害に関連する福祉
機器やUD商品をみることができたことを評価する意見が多くみられた。
「点字や視覚障害
者へ興味が湧いた」や「街でのいろいろな場所に敷設されている点字の表示が気になるよ
うになった」などの意見もあって、教員の意図とするところが学生に伝わったことを示し
ていると言える。
Ⅲ
授業改善の展望
本科目は、聴覚障害者への介護技術や居宅介護を合わせ、三つのジャンルから成り立っ
ている。このため、各ジャンルは5回の授業をもって完結せねばならない。ついては、早
い機会に学生の気持ちや意識を引き付けねばならず、筆者にとっては他の科目よりも緊張
感が高い。とはいえ、次年度も今年度の水準を維持できるよう努めたいと思っている。
97
学科:
社会福祉学科
対象科目:
Ⅰ
氏名:
介護福祉専攻教員
実習指導Ⅰ(演習)
授業のねらい
本科目は、介護実習の事前学習や事後学習を行うための科目であり、単なる介護実習の
ための「準備」科目として位置付けてはいない。学生へは、初めにその点への理解を求め
ている。この科目で学んだことを介護実習で活かし、また介護実習で学んだことをこの科
目の中で確認し、介護福祉士についての理解を深める。このように、実習と常に連動して
学習していくことにこの科目の大きな特徴とねらいがある。
したがって、科目の性質上、授業形態も様々である。時によってゼミ形式、全体講義、
グループワーク、施設職員や介護される当事者の講演会、実習報告会等を行っている。
いわゆる学生参加型の授業であり、それだけに学生の関心は高いものがある。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
授 業 の あ り 方 、教 え 方 、総 合 評 価 等 の 各 設 問 で は 、平 均 値 4 点 台 の 半 ば で 、SD も 小 数 点
以下に留まる結果を得た。現に、自由記述欄では「福祉に関わっている現場の人の話を聴
く こ と が で き 良 か っ た 」や「 い ろ い ろ な 方 の 話 が 伺 え て 良 か っ た 」
「講演会や映画観賞など
バラエティに富んで良かった」等の意見が複数みられた。これらは学生自身、授業のねら
いをしっかりと理解し、そのあり方を評価しているものと受けとめることができる。
一方で、学生に課す課題については量が多すぎるとの意見が自由記述の「改善してほし
いこと」に、これまた複数寄せられた。確かに、各現場講師による講演会やビデオ鑑賞等
で は 、常 に 感 想 レ ポ ー ト を 求 め た 。そ の 量 が 学 生 に は 負 担 に な っ て い た も の と 推 測 さ れ る 。
ともあれ、自身の取り組みについての評価でも「この授業を意欲をもって受講した」等で
平 均 4.6(SD= 0.64)と 、 学 生 参 加 型 の 科 目 と し て の 成 果 が 得 ら れ る 好 結 果 が 示 さ れ た 。
Ⅲ
授業改善の展望
科目の性質上、介護福祉士になろうとしている学生に対し、介護への最初の動機付けを
する科目であり、ここでそれに失敗すると、意欲そのものの喪失につながる恐れのある科
目でもある。この点を十分に踏まえ、授業展開をすると同時に、学生への負担にも考慮し
ていく必要がある。また、学生に求めるレポートは、学生の理解度を確認するものでもあ
るので、提出したものが以降に反映させられ、提出する意味を感じ取られるような対応を
していきたい。
98
学科:社会福祉学科
職名:講師
氏名:中澤
秀一
対象科目:社会保障論(講義:社会福祉学科社会福祉専攻・1 年通年)
Ⅰ
授業のねらい
・ 社 会 保 障 に つ い て の 理 論 ・ 歴 史 ・ 実 態 (制 度 )の 総 合 的 理 解
・ 貧困や生活不安について理解を深め、それらに対する社会保障の役割を学ぶ
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・ 「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」 に つ い て は 4.8、「 Ⅱ 教 え 方 」 に つ い て は 4.7、「 Ⅲ 総 合 評 価 」 に つ
い て は 4.7 で 、 学 科 の 平 均 値 を 上 回 っ て い る 。 特 に 、「 (2 )授 業 内 容 は 、 短 期 大 学 と し
て 、ふ さ わ し い 水 準 で あ っ た 」、「 (4 )授 業 の 目 的 、目 標 か ら 見 て 、授 業 の 難 易 度 は 適 切
で あ っ た 」、「 (6 )毎 回 の 授 業 の 量 や 進 度 は 適 切 で あ っ た 」 等 は 、 い ず れ も 4.9 で あ り 、
学 生 の レ ベ ル に 合 わ せ た 講 義 が 展 開 で き て い た こ と が 伺 え る 。こ の こ と は 自 由 記 述 欄 に
も 表 れ て お り 、「 難 し い こ と を わ か り や す く 教 え て く れ た 」、「 プ リ ン ト に そ っ て 授 業 が
展開されていて、わかりやすかったです」等の意見がみられた。
・ こ の 講 義 だ け に 限 ら ず 、講 義 に 小 テ ス ト を 導 入 し て 、学 生 の 到 達 度 チ ェ ッ ク を 行 っ て い
る が 、 こ れ が 学 生 に は 好 評 で あ っ た 。 自 由 記 述 欄 に は 、「 小 テ ス ト を 毎 回 実 施 す る こ と
で 理 解 が 深 ま っ た 」、
「 毎 回 テ ス ト が あ る の で 、前 回 を ふ り 返 れ て よ か っ た 」等 の 意 見 が
みられた。
・ 「 (10)教 員 は 、 学 生 の 理 解 が 深 ま る よ う に 授 業 を 工 夫 し て い た 」 が 4.6、「 (11)教 員 は 、
学 生 に 対 し て 誠 実 に 対 応 し て い た 」 が 4.5 で 、 他 と 比 較 す る と 低 い 評 価 で あ る 。
・ 「 Ⅳ あ な た (学 生 )の 取 り 組 み 方 」に つ い て は 3.7 で 、
「 (18)自 分 は 、疑 問 点 を 、必 要 に 応
じ て 教 員 に 質 問 し た 」 が 3.2、「 (19)自 分 は 、 こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、 復 習 を し た 」 が
2.8 で 、他 の 項 目 と 比 較 す る と 低 い 評 価 で あ る 。た だ 、も と も と 予 習 よ り も 事 後 の 学 習
が 重 要 で あ る と 考 え て お り 、復 習 に つ い て は 授 業 時 間 内 で 実 施 す る 小 テ ス ト で 行 っ て い
るので、この点に関してはそれほど問題ではないと考える。
Ⅲ
授業改善の展望
・ 「 (13)こ の 授 業 は 、新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 で あ っ た 」が 4.8 で あ
り、授業のねらい自体は達成していると考えられる。
・ こ の 授 業 で も 、何 回 か レ ポ ー ト 課 題 を 課 し た の だ が 、な か な か す べ て の レ ポ ー ト に コ メ
ン ト を す る こ と は で き て い な か っ た 。双 方 向 の 授 業 を 展 開 す る た め に は 、で き る だ け レ
ポートについて、教員がコミットする必要がある。
・ 学 生 自 身 の 取 り 組 み 方 に つ い て は 、学 生 が 質 問 を し や す い よ う な 関 係 を 平 生 の 講 義 内 に
おけるコミュニケーションを深めることで築いていきたい。
99
学科:社会福祉学科
職名:講師
氏名:中澤
秀一
対象科目:社会保障論(講義:社会福祉学科介護福祉専攻・1 年後期)
Ⅰ
授業のねらい
・ 社 会 保 障 (特 に 、 社 会 保 険 制 度 )に つ い て の 理 論 ・ 歴 史 ・ 実 態 (制 度 )の 総 合 的 理 解
・ 実 際 の 生 活 の な か で の 社 会 保 険 制 度 等 の 役 割 を 学 び 、将 来 の 人 生 設 計 に も 役 立 て て い く 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・ 後 期 の み の 開 講 で あ る の で 、社 会 保 障 全 般 に つ い て 講 義 す る の は 時 間 的 制 約 が あ り 、主
に社会保険制度に絞って展開している。
・ 「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」 に つ い て は 4.7、「 Ⅱ 教 え 方 」 に つ い て は 4.8、「 Ⅲ 総 合 評 価 」 に つ
い て は 4.7 で 、 学 科 の 平 均 値 を 上 回 っ て い る 。 特 に 、「 (3 )授 業 は 計 画 的 に 展 開 さ れ て
い た 」、「 (6 )毎 回 の 授 業 の 量 や 進 度 は 適 切 で あ っ た 」、「 (10)教 員 は 、 学 生 の 理 解 が 深 ま
る よ う に 授 業 を 工 夫 し て い た 」等 は 、い ず れ も 4.9 で あ り 、学 生 の レ ベ ル に 合 わ せ た 講
義が展開できていたことが伺える。
・ 自 由 記 述 欄 に は 、「 プ リ ン ト 形 式 な の で ま と め や す く わ か り や す い 」 の よ う な プ リ ン ト
に 関 す る 意 見 が 多 く み ら れ 、書 き 込 む 形 式 に す る こ と で 、単 に 耳 か ら だ け は な く 、視 覚
も駆使することでさらに理解が深まっていたことが伺える。
・ こ の 講 義 だ け に 限 ら ず 、講 義 に 小 テ ス ト を 導 入 し て 、学 生 の 到 達 度 チ ェ ッ ク を 行 っ て い
る が 、こ れ が 学 生 に は 好 評 で あ っ た 。自 由 記 述 欄 に は 、
「毎回小テストでまとめができ、
理 解 し や す か っ た 」、
「 小 テ ス ト も 復 習 の 機 会 に な っ て あ り が た い 」等 の 意 見 が み ら れ た 。
・ 「 (5 )教 員 か ら 与 え ら れ た 課 題 は 、 質 ・ 量 と も に 適 切 で あ っ た 」 が 4.5 で あ り 、 他 と 比
較 す る と 相 対 的 に 低 い 評 価 で あ る 。 こ れ は 、 レ ポ ー ト の 数 が 1 回 で あ っ た こ と (当 初 は
3 回 程 を 予 定 )が 原 因 と 考 え ら れ る 。
・ 「 Ⅳ あ な た (学 生 )の 取 り 組 み 方 」 に つ い て は 4.0 で 、 社 会 福 祉 専 攻 と 比 較 す る と 高 い 。
特 に 、「 (16)自 分 は 、 こ の 授 業 を 遅 刻 や 欠 席 を し な い よ う に 努 め た 」 が 4.9 で あ り 、 当
た り 前 の こ と は い え 、意 欲 的 な 姿 勢 が み ら れ る 。
「 (19)自 分 は 、こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、
復 習 を し た 」が 3.1 で 、他 の 項 目 と 比 較 す る と 低 い 評 価 で は あ る が 、社 会 福 祉 専 攻 と 比
較すると、若干高い評価である。
Ⅲ
授業改善の展望
・ 「 (13)こ の 授 業 は 、新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 で あ っ た 」が 4.8 で あ
り 、 授 業 の ね ら い 自 体 は 達 成 し て い る と 考 え ら れ る 。 自 由 記 述 欄 に も 、「 年 金 制 度 や 保
険制度などの複雑な仕組みをわかりやすく教えてもらえて良かった」とあった。
・ 今後も学生にとってわかりやすい授業を心掛けていきたい。
100
学科:社会福祉学科
職名:講師
氏名:中澤
秀一
対象科目:社会保障制度論(講義:第一看護学科・2年後期)
Ⅰ
授業のねらい
・ 社 会 保 険 制 度 や 生 活 保 護 制 度 等 の 所 得 保 障 制 度 を 中 心 に 、社 会 保 障 制 度 体 系 に つ い て の
理論を深める
・ 特 に 、近 年 の 年 金 、医 療 、介 護 等 の 改 革 の 動 向 を 学 び 、社 会 保 障 制 度 の 改 革 を 身 近 な 問
題としてとらえる力を養う
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・ 看護師養成クラスであるので、社会保障全般について講義するのは時間的制約があり、
主 に 社 会 保 険 制 度 (な か で も 年 金 ・ 医 療 )に 絞 っ て 展 開 し た 。
・ 「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」、
「 Ⅱ 教 え 方 」、
「 Ⅲ 総 合 評 価 」と も 4.7 で 、学 科 の 平 均 値 を 上 回 っ て
い る 。 特 に 、「 (1 )授 業 の 目 的 、 目 標 が 明 示 さ れ て い た 」 が 4.8 で 、 担 当 ク ラ ス の な か
でも最も高い評価であり、こちらの意図が学生側に伝わっていたことが伺える。
・ 「 (8 )教 員 の 説 明 は わ か り や す か っ た 」 が 4.8 で あ り 、 こ れ は 自 由 記 述 欄 の 「 す ご く 、
わ か り や す く 、社 会 保 障 制 度 が よ く 理 解 出 来 、よ か っ た と 思 う 」、
「とても分かりやすい
説 明 だ っ た の で 理 解 し や す か っ た 」、
「 例 を あ げ て わ か り や す か っ た 」等 の 記 述 に も 表 れ
ている。
・ 「 (13)こ の 授 業 は 、新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 で あ っ た 」が 4.8 で あ
り 、単 に 専 門 知 識 と し て で は な く 、一 人 の 社 会 人 と し て 知 っ て お か な け れ ば な ら な い こ
と を 学 べ た よ う で あ る 。 自 由 記 述 欄 に は 、「 こ の 講 義 は 普 通 に 生 活 し て い く 中 で も 役 に
立 つ の で と て も 勉 強 に な り ま し た 」、
「 自 分 の 生 活 や 、今 後 の 社 会 に つ い て 、考 え る き っ
かけになりました」等の意見にそのことが伺える。
・ こ の 講 義 だ け に 限 ら ず 、講 義 に 小 テ ス ト を 導 入 し て 、学 生 の 到 達 度 チ ェ ッ ク を 行 っ て い
る が 、 こ れ が 学 生 に は 好 評 で あ っ た 。 自 由 記 述 欄 に は 、「 毎 回 小 テ ス ト も や っ て く れ る
の で 、配 慮 さ れ て い る 」、
「 毎 回 ミ ニ テ ス ト を 行 う こ と で 復 習 に も な る し 、理 解 で き て い
たのか自分でも確認できたこと」等の意見があった。
・ 「 Ⅳ あ な た (学 生 )の 取 り 組 み 方 」に つ い て は 、3.8 で 、評 価 が 低 い 。特 に 、
「 (16)自 分 は 、
こ の 授 業 を 遅 刻 や 欠 席 を し な い よ う に 努 め た 」が 4.3 で あ り 、学 科 の 平 均 を 下 回 っ て い
る。これは 1 限の開講時間のため、定刻に間に合わない学生が多いためであろう。
Ⅲ
授業改善の展望
・ 今後も学生にとってわかりやすい授業を心掛けていきたい。
101
学科:社会福祉学科
職名:講師
氏名:中澤
秀一
対象科目:公的扶助論(講義:社会福祉学科社会福祉専攻・2年前期)
公的扶助論(講義:社会福祉学科介護福祉専攻・2年後期)
Ⅰ
授業のねらい
・ 公 的 扶 助 (生 活 保 護 )制 度 に つ い て の 歴 史 や そ の 存 在 意 義 等 に つ い て の 理 解
・ 現 代 の 貧 困 の 実 態 と 、 そ れ に対 し て 公 的 扶 助 制 度 の 果 た し て い る 役 割 を 知 る こ と で 、現
行制度の抱える問題点を理解する
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
・ 社 会 福 祉 専 攻 、介 護 福 祉 専 攻 共 に 2 年 次 開 講 科 目 で あ っ た わ け だ が 、
「Ⅰ授業のあり方」
に つ い て は 社 会 福 祉 専 攻 が 4.8 で 、介 護 福 祉 専 攻 が 4.6 で 差 が み ら れ る が 、
「 Ⅱ 教 え 方 」、
「 Ⅲ 総 合 評 価 」 に つ い て は 両 専 攻 と も 4.7 で あ っ た 。 で は 、「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」 に 差 が
生 じ た 要 因 は 何 だ っ た の で あ ろ う か 。「 (2 )授 業 内 容 は 、 短 期 大 学 と し て 、 ふ さ わ し い
水 準 で あ っ た 」、「 (3 )授 業 は 計 画 的 に 展 開 さ れ て い た 」 は 、 共 に 社 会 福 祉 専 攻 で は 4.9
と い う 高 い 評 価 で あ る の に 対 し て 、 介 護 福 祉 専 攻 で は ( 2 ) が 4.6、( 3 ) が 4.5 で あ
っ た 。 こ の 点 に 関 し て は 「( 12) こ の 授 業 の 内 容 は 良 く 理 解 で き た 」 が 、 介 護 福 祉 専 攻
で は 4.4 で あ っ た こ と も 関 連 し て い る と 考 え ら れ る 。公 的 扶 助 論 は 、共 に 受 講 す る 学 生
が 2 年 生 と い う こ と で 、 ほ ぼ 同 じ 講 義 内 容 で あ っ た (も ち ろ ん 、 説 明 の し か た に は 工 夫
を 加 え て い る )。 し か し 、 学 生 の 理 解 度 や 関 心 度 が 専 攻 ( ク ラ ス ) に よ っ て 異 な る の は
当然のことであり、講義内容もそれに応じて変化をつけるべきであった。
・ 公 的 扶 助 と い う 、社 会 保 障 制 度 の 中 の 一 制 度 に 絞 っ て 講 義 を 展 開 し な け れ ば な ら な い の
で 、ど う し て も 広 く 浅 く と い う よ り は 、狭 い 分 野 を 深 く 探 っ て い く と い う 形 に な ら ざ る
を得なくなり、その分内容も難しかったようである。
・ 自 由 記 述 欄 に は 、「 難 し い 内 容 で あ っ た が 、 わ か り や す く 、 と て も 楽 し い 授 業 だ っ た 」
「 1 回 、1 回 小 テ ス ト を し て 覚 え る 所 を 明 確 に し て く れ た 」等 の 意 見 が み ら れ 、こ の 講
義だけに限らず、講義に小テストを導入して、学生の到達度チェックを行っているが、
このように授業の展開自体には大きな問題がなかったことが伺える。
・ 「 Ⅳ あ な た (学 生 )の 取 り 組 み 方 」 に つ い て は 、社 会 福 祉 専 攻 が 3.8 で 、 介 護 福 祉 専 攻 が
3.9 で あ っ た 。
「 (18)自 分 は 、疑 問 点 を 、必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 」が 、社 会 福 祉 専
攻 で 3.2 で あ っ た が 、教 員 側 が も う 少 し 質 問 し や す い 雰 囲 気 を 作 れ ば よ か っ た の か も し
れない。
Ⅲ
授業改善の展望
・ 基 本 的 に は 、こ れ ま で 通 り の や り 方 で 授 業 を 展 開 し て い け ば 良 い と 考 え て い る が 、比 較
的受講する学生数も少ないので、学生側の反応をみながら、より臨機応変に対応して、
今後も学生にとってわかりやすい授業を心掛けていきたい。
102
学科:社会福祉学科
職名:准教授・講師
氏名:三富道子・濵口
晋
対象科目:介護技術Ⅰ(演習)
Ⅰ
授業のねらい
介護技術の基本的考え方をはじめ、介護技術の定義と範囲、介護技術の原則と技法につ
いて学習し、介護技術を実際に駆使できる能力を養う。介護技術の方法を、科学的根拠を
踏まえ習得させる、更に様々な介護場面で応用、発展できる能力を身につけるとともに、
利用者の尊厳に配慮して技術を行うことをねらいとする。すべての演習時は、毎回複数の
教員全員により、指導を行っている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
Ⅲ
授業改善への展望
以 下 は 、 平 成 18 年 度 新 規 に 担 当 し た 教 員
濵口
に よ る 自 己 点 検・自 己 評 価 に 基 づ く 授
業改善への課題である。今回の授業評価では、評価全体において、学科平均を下回ってお
り、昨年度に比べ、学生の授業の理解度や満足度等の総合評価は低下している。評価の低
い項目からその理由を探り、真摯に受け止め、授業改善につなげたい。
(Ⅰ
授業のあり方
平 均 4.3)
「( 5 )教 員 か ら 与 え ら れ た 課 題( 宿 題 、レ ポ ー ト )は 、
質 ・ 量 と も に 適 切 で あ っ た 」 は 、 4.0 で 特 に 低 か っ た 。 座 学 中 心 の 講 義 で な く 、 介 護 実 技
の 演 習 で あ り 、ま た 3 日 連 続 授 業 が あ る な か 、
“ 時 間 外 ”の 課 題 が 学 生 に と っ て 、負 担 と 感
じたこともやや低い評価の一因と考える。また、課題提出後の講評等学生へのフィードバ
ックが十分にできず、教員が出した課題の意義を理解できていないことにもよる。こうし
た課題のねらいや意義を理解できるよう、学生へのフィードバックにも努めたい。
(Ⅱ
教え方
平 均 4.1
範 囲 3.9∼ 4.4)
「( 6 )毎 回 の 授 業 の 量・進 度 は 適 切 で あ っ た 」
・
「( 7 ) 教 員 は 、 個 々 の 学 生 の 理 解 度 及 び 能 力 に 対 し 配 慮 し て い た 」・「( 8 ) 教 員 の 説 明 及
び指導は適確であった」の項目が特に低かった。自由記述には『授業がオーバーすること
がある』
『担当教員により説明の相違がある』
『 教 員 間 連 携 が 十 分 で は な い 。』等 の 意 見 が あ
り、これらの項目の評価が低くなったことの主な要因を表していると思われる。授業案を
十分に作成できておらず、本時の授業で伝えたい教えたいことが明確になっていないこと
が 原 因 で あ り 、そ の こ と が 、他 の 教 員 と の 連 携 不 足 に も つ な が っ た 。こ れ ら の 点 に つ い て 、
改善していきたい。
一方で、
『 レ ジ ュ メ が あ り 、わ か り や す か っ た 』
・
『 授 業 予 定 表 が あ り 、前 も っ て 何 を や る
か わ か り よ か っ た 』・『 先 生 が 複 数 い て 、 質 問 し や す く 、 丁 寧 に 指 導 し て く れ る 』 等 の 意 見
もみられ、こうした点はさらに継続できるよう授業を展開していきたい。
また、自己評価としては、ねらいにある科学的根拠を踏まえた基礎的な介護技術の指導
を十分に行えなかったことが反省点である。そのため、学生が介護技術を単なる‘テクニ
ック’として覚えることにつながりやすかった。この点も今後改善していきたい。
平 均 よ り や や 高 か っ た 項 目 と し て「( 12)安 全 に つ い て の 指 導 や 配 慮 が 十 分 な さ れ て い た 」
( 平 均 4.4) が 挙 げ ら れ る 。 介 護 技 術 と い う 科 目 特 性 も あ り 、 担 当 教 員 一 同 、 毎 回 、 安 全
について指導や配慮を十分に行った結果である。
以 上 、学 生 数 43 名 と 定 員 よ り も 少 な い 中 で 行 っ た 結 果 で あ る 。し か し 、複 数 教 員 が 連 携
を と り 、決 め 細 や か な 指 導 を 行 っ て き た こ と 本 学 で の 良 さ を 今 後 も 継 続 し て い く た め に は 、
特に学生定員数に見合う教員数を十分に配置している必要性があると言える。
103
学科:
社会福祉学科
職名:
准教授
氏名:
三田英二
対 象 科 目:前 期: 臨 床 心 理 学( 社 会 福 祉 専 攻 2 年・介 護 福 祉 専 攻 2 年 ),後 期: 教 育 心 理 学
( 社 会 福 祉 専 攻 1 年 ), 青 年 の 心 理 ( 社 会 福 祉 専 攻 2 年 ), 臨 床 心 理 ( 第 1 看 護 学 科 2 年 )
Ⅰ
授業のねらい
アンケートの生データが前期開講科目で入手できたため,この科目に絞り点検・評価を
行うこととしたい。
理論的背景を主に精神分析的な人格理論においている。これに基づき,対人援助業務が
できるような知識の習得を目標に講義を行っている。また,社会福祉専攻開講の講義につ
いては,1年次での教育心理学がベースとなって,2年次での臨床心理学と後期開講の青
年の心理に発展できるような構成に心がけている。
臨床心理学では,社会福祉学科という特性を考え,ケースワーカーとして知っておくべ
き心理職の考え方をその基本的な分野(心理学的評価,心理治療,地域援助)を中心に講
義を行っている。一昨年度まで,どのようなケースにも対応できるように対人援助の基本
を 重 点 的 に 扱 っ て き た が ,昨 年 度 か ら ト ピ ッ ク ス 的 に「 虐 待 」,「 mourning work」を 取 り 上
げ,ケースワーカーとしての援助の基本的な態度について考えてもらっている。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
生 デ ー タ を 入 手 す る こ と が で き た た め , 推 計 学 的 な 検 討 を 行 っ て み た 。 自 由 項 目 ( 20)
に 「 関 連 す る 専 門 書 を 購 入 し た こ と が あ る 」,( 21) に 「 関 連 す る 専 門 書 を 閲 覧 ま た は 借 り
たことがある」を設定し,分析に当たっては,1(そう思わない)と回答した調査対象者
を 「 未 購 入 群 ( 非 閲 覧 群 )」 と し 2 点 以 上 の 回 答 を し た 場 合 を 「 購 入 群 ( 閲 覧 群 )」 と し ,
項 目 ( 1) か ら ( 19) ま で , 各 項 目 ご と 平 均 点 の 有 意 差 検 定 を 行 っ た 。 こ の 結 果 ,( 20) で
「 購 入 群 」>「 未 購 入 群 」の 有 意 差( 有 意 傾 向 )が 見 ら れ た 項 目 が ,2,4,7,8,10,11,
12, 13, 15, 18, 19, で あ っ た 。( 21) で 「 閲 覧 群 」 > 「 非 閲 覧 群 」 の 有 意 差 ( 有 意 傾 向 )
が 見 ら れ た 項 目 は ,8,12,14,15,18,19,で あ っ た 。有 意 差( 有 意 傾 向 )が 見 ら れ な か
っ た 項 目 で も そ れ ぞ れ 1 項 目 を 除 き「 購 入 群( 閲 覧 群 )」の 平 均 点 が 高 か っ た 。
「未購入群」
の 平 均 得 点 が 高 か っ た 項 目 は ,( 16)「 自 分 は , こ の 授 業 を 遅 刻 や 欠 席 を し な い よ う に 努 め
た 。」で あ り ,
「 非 閲 覧 群 」で は ,
( 9)
「 教 員 の 授 業 に 対 す る 熱 意 が 感 じ ら れ た 」で あ っ た( 念
の た め , 有 意 差 ・ 有 意 傾 向 は あ り ま せ ん )。
Ⅲ
授業改善の展望
明らかに,専門書を購入した学生の方が購入しなかった学生よりも,授業に向かう動機
付けや授業理解,また学生自身の授業への取り組み方等は高まるようである。購入しなく
とも専門書の閲覧等でもその可能性は高まると考えられる。
これまでも講義中に専門書の紹介は必要に応じて行ってきたが,ある程度強制力を持っ
た方法(例えば,レポートを課す等)で専門書に接する機会を増やすことを考えていきた
いと思う。
104
学科:社会福祉学科
職名:准教授
氏名:三富道子
対象科目:介護技術Ⅰ(演習)
Ⅰ
授業のねらい
この授業のねらいとしてあげられることは、まず、第一に人間の身体や、力学として介
護 技 術 を 科 学 的 に と ら え る こ と に あ る 。言 い 換 え る な ら ば 、一 つ ひ と つ の 技 術 の 方 法 に は 、
必ず理論的根拠を持って説明できることを求めている。第二に、介護技術を提供する利用
者の人権や人間の尊厳に配慮した利用者理解をもとに、介護技術の習得である。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
(授 業 の あ り 方 に つ い て )
学 生 の 評 価 に つ い て は 、4.5∼ 4.0 と 学 科 平 均 に ほ ぼ 準 ず る 。学 生 へ の 授 業 の 指 針 は 相 応
して提示され、学生もそれについては、理解していたと推察できる。これらの評価を受け
て、同様に来年度以降は、一層の準備を整えて授業に臨む所存である。
(教 え 方 )
全 体 の 評 価 と し て は 、 昨 年 度 に 比 較 し 3.9 が 3 項 目 も あ り 厳 し い 評 価 で あ る 。 今 ま で と
同 じ 5 人 体 制 で 演 習 を 行 な っ た が 、充 分 に 機 能 し て い な か っ た 。そ の 最 大 の 原 因 と し て は 、
昨年度までの専任教員の退職及び助手の退職があげられる。とりわけ前期は、専任教員が
非常勤勤務であることから、事前に充分な打ち合わせが行なえなかったことと言えよう。
昨 年 度 に 指 摘 し た 教 員 及 び 助 教 (助 手 )の 安 定 的 供 給 を 欠 く な ら ば 、 授 業 の 品 質 を 保 持 す る
ことは、難しいと考えたことが的中した結果と言える。
(学生自身の取り組み)
学生自身の取り組みを見ると、遅刻や欠席をしない及び自分の意欲について自己肯定的
で 評 価 は 4.7、4.2 と 高 い 。し か し 、
「 疑 問 点 を 、必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 」あ る い は 、
「この授業について予習、復習をした」について、下位回答があることは、科目の特性と
授業体制からすると、学生が主体的に学ぶ姿勢に疑問が残る。
実際、技術の習得には反復練習が欠かせないが、試験の直前のみに集中して練習するだ
けの学生に、一層の動機付けが必要であると考える。
Ⅲ
授業改善の展望
科目の特性からすると、予習はこの科目にはなじまない。学生の入学した動機も、本人
の意志以外に、強力な外圧の結果入学していることも、否めない。そうした中、我われが
学生に、本科目を学ぶための予習や復習について、充分伝えることが、すなわちこの科目
のねらいにあることである。昨年よりも厳しい評価であることを踏まえ、教員間の連携と
教 員 個 々 の ス キ ル ア ッ プ が 極 め て 重 要 で あ る と 考 え る 。 ま た 、 助 教 (助 手 )の 人 員 配 置 が 大
きな役割を担っていることも合わせて言及しておきたい。
105
学科:社会福祉学科
対象科目:介護概論(歯科衛生学科
Ⅰ
職名:准教授
氏名:三富道子
講義)
授業のねらい
この授業のねらいは、介護とは何かをその歴史をたどりながら概説し、歯科衛生士との
かかわりについて理解を深めることにある。また、歯科衛生学科からの要望でもある介護
技術の入門編の演習も行なう。
Ⅱ
授業の自己点検自己評価
(授 業 の あ り 方 に つ い て )
歯科衛生士養成の中で、介護概論を教授するのは、毎年大きな課題である。7 回∼8回
の 授 業 内 で 、介 護 と は 何 か と い う 講 義 と あ わ せ 介 護 技 術 入 門 編 の 演 習 を 行 な う か ら で あ る 。
医療領域のとりわけ狭い分野に関るカリキュラムの中で、福祉科目を動機付けるのは難
しいし、またその中でも介護という狭い領域を教えることも難しい。
学生の評価については、毎年変動するが概して3点台と低い。選択科目であるものの、
学生はすべて履修している。しかし、出席率も悪く講義中は居眠りや内職も多い。
(教 え 方 )
本年度は、歯科衛生の教員が毎回受講されていたため、教える側としてはかなり緊張も
したし力も入った。しかし、学生にはこうした熱意は残念ながら伝わらなかった。自由記
載欄をみると、介護技術演習に興味を抱いたようである。ただ、介護福祉職を養成する立
場からすると、技術を教授するには問題も多い。危険を伴うため、助手の援助も仰がねば
い け な い こ と に あ わ せ 、歯 科 衛 生 士 と し て の 必 要 な 介 護 技 術 と は 何 か の 吟 味 が 必 要 で あ る 。
(学生自身の取り組み)
学生自身の取り組みは、遅刻や欠席に対して全く努力しない学生が2名いることや意欲
を持って受講しない学生も3名いる。このことから、この科目だけで学生に介護への関心
を喚起するには、大きな問題がある。
Ⅲ
授業改善の展望
歯科衛生士の教育の中で、なぜ介護概論を学ぶ意義があるのかを動機付けるのは、学科
の中で検討して欲しいと思っている。教員の思いと学生の受講意欲は、ここ5年間担当す
る中で随分遠いところにあると考えている。7∼8回の講義で学生に理解してもらうこと
は、至難のことだと毎年思う。
106
学科:
社会福祉学科
職名:
準教授
氏名:
宮脇長谷子
対象科目:①保育内容Ⅰ・表現(講義・演習)/ 社会福祉専攻1年生・前期開講
②保育内容Ⅱ・表現(講義・演習)/ 社会福祉専攻2年生・前期開講
③基礎技能Ⅰ・音楽(演習)/ 社会福祉専攻1年生・通年・複数教員担当
④基礎技能Ⅱ・音楽(演習)/ 社会福祉専攻2年生・通年・複数教員担当
Ⅰ
授業のねらい
上記①、②の科目は保育士養成に必要な専門科目である。乳幼児の表現活動をサポート
し、さらに活動を発展・展開しうる技能と感性の育成を目指す。①は音楽表現の基礎とな
る幼児歌唱教材の理解、手遊び、身体表現、器楽合奏、伴奏付けの基礎となる音楽理論、
指導案作成の学習後、グループで創作活動を行う。2年次開講の②は①の内容を更に発展
さ せ 、 手 遊 び の 教 育 実 践 と 「 音 楽 」「 こ と ば 」「 造 形 」 の 各 表 現 領 域 を 総 合 的 に と り い れ た
パネルシアター及びオペレッタの創作・実践を課題としている。
③、④の科目も保育士養成のための選択必修科目である。③では、保育士として必要な
ピアノの演奏能力と歌唱力の育成を目指す。④では、ピアノ・声楽のいずれかを選択しさ
らなる技能の習得を目指し、合唱・ピアノ連弾で他者とのアンサンブル能力を育成する。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
①・②について
「Ⅰ授業のあり方」
「Ⅱ教え方」
「 Ⅲ 総 合 評 価 」に 関 し て は ①・② と も に 平 均「 4.7」の 評
価を得ており、特に問題は感じられない。ただ「Ⅳあなたの取り組み」という項目に関し
て は 、 ② が 「 4.3」 で あ る の に 対 し て 、 ① は 「 4.1」 で あ っ た 点 に 多 少 の 差 違 が 見 ら れ る 。
し か し 、昨 年 度 の「 3.8」よ り も 数 値 が 向 上 し て お り 、「( 18)教 員 に 質 問 し た 」で 3.5( 昨
年 3.1)、「( 19) 予 習 、 復 習 を し た 」 で 3.6( 昨 年 3.2) と い う 質 問 項 目 で の 伸 び が そ の 要
因となっている。
「 学 生 に 主 体 的 に 学 ぶ 意 欲 を 持 た せ る 授 業 を 目 指 す 」と し た 昨 年 度 の 改 善
目 標 が 少 し で も 達 成 で き た と 自 己 評 価 し て い る 。( ② は 昨 年 度 と 同 値 )。 自 由 記 述 欄 の コ メ
ン ト も 好 評 で 、「 楽 し か っ た 」 と い う 感 想 が 印 象 に 残 っ た 。
③・④について
上 記 し た よ う に 、複 数 教 員 で 担 当 し て い る 科 目 群( 声 楽 担 当 者 1 名 、ピ ア ノ 担 当 者 4∼ 6
名 ) で あ る が 、 評 価 の 拡 散 は 少 な く 、 ③ で は 、「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」( 平 均 4.4)「 Ⅱ 教 え 方 」
( 平 均 4.3)
「Ⅲ総合評価」
( 平 均 4.4)と い う 結 果 で あ っ た 。さ ら に「 Ⅳ あ な た の 取 り 組 み
方 」 で も 平 均 4.3 と い う 数 字 が 出 て お り 、 予 習 ( 練 習 ) し な け れ ば 授 業 が 受 け ら れ な い 科
目 で あ る た め の 特 色 が 出 て い る 。③ で 唯 一 3 点 台 で あ っ た の は「 自 由 項 目( 20)」で 問 う た
「 声 楽 の 授 業 は 充 実 し て い た 」 で あ り ( 3.9)、 同 項 目 ( 21) の 「 ピ ア ノ の 授 業 は 充 実 し て
い た 」 が 4.4 で あ っ た の に 比 較 し て 、 改 善 す べ き 点 が あ る と 思 わ れ る 。 ④ は そ れ ぞ れ Ⅰ が
4.7、 Ⅱ が 4.8、 Ⅲ が 4.7、 Ⅳ が 4.4 と 1 年 生 よ り も 評 価 が 上 が っ て い る 。 担 当 講 師 は 同 じ
でも、選択学生が少なくレッスン時間が多く取れるために、授業内容が充実している結果
であろう。
Ⅲ
授業改善の展望
①、②については、今年度の方法を踏襲していきたいと考えるが、③、④については、
声楽の担当講師を代えて、より保育内容に移行しやすい授業内容を行う。また、来年度か
らはピアノの基礎の上に、2年生からはギターや管楽器の集団レッスンを取り入れ、音楽
的な経験の幅を広げていきたいと考えている。
107
学科:社会福祉
職名:
教授
氏名:山田
美津子
対 象 科 目 : 児 童 福 祉 論 ( 講 義 )、 社 会 福 祉 概 論 ( 講 義 )、 医 療 福 祉 シ ス テ ム 論 ( 講 義 )
保 育 実 習 Ⅰ 、 Ⅱ 、 Ⅲ ( 実 習 )、 社 会 福 祉 演 習 ( 演 習 )、 総 合 演 習 ・ 卒 業 研 究 ( 演
習)
Ⅰ
授業のねらい
児童福祉論は、現代社会における児童の成長・発達・生活実態を理解させるとともに児
童福祉の理念と意義、児童福祉の法とサービスの体系について理解させる。さらに児童福
祉ニーズの把握方法と、児童に対する相談援助活動についても理解させる。社会福祉概論
は、現代社会における社会福祉の意義・理念について学び、その上で社会福祉の法体系と
運営組織、社会保障および関連制度の概要を理解させる。さらに、社会福祉の遂行と福祉
専門職の必要性と、公私の福祉活動による福祉社会の確立の必要性について理解させる。
社会福祉演習、総合演習・卒業研究は、とくに児童福祉、高齢者福祉など社会福祉の各領
域に拘ることなく、今日身近に存在する社会福祉の諸問題を学生の目線で掘り下げること
を助ける。保育実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは、児童福祉施設の内容、機能等を実践現場の体験を通し
て理解させ、既習の知識・技術を基礎としこれらを総合的に実践する応用力を養い、保育
士としての職業倫理と子どもの最前の利益の具体化について学ばせる。医療福祉システム
論は、高齢化が進展するなかで、地域における保健・医療・福祉の現状の問題点とその解
決方法や実践の場での連携の方法について学ばせる。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
わが国の社会福祉は、少子化・高齢化をはじめとした諸問題に直面し、この現状を踏ま
えて制度改革が着手された。今後なお一層形を変えていくであろう日本の社会福祉の考え
方や制度の動向に常に関心を持ち続けていくことが、社会福祉の専門職の道に進むために
不可欠である。授業で提供する内容は、確かに膨大な量となってしまって、昨年度の社会
福祉概論、児童福祉論の受講生からの授業評価にあまりに広範にわたる内容に試験を直前
に控えて抵抗感が窺えた。そこで今年度は、今まで以上に、講義の進度に応じ、学生の視
点から社会福祉の問題を捉え、考察する機会としてレポートを課すことを通して、社会福
祉の制度が身近な生活課題を解決することに繋がっているのか気づく機会を提供した。ま
た 、近 年 、複 雑 な 制 度 改 革 が 著 し い こ と か ら 、そ の 情 報 を 理 解 で き る よ う 教 材 を 工 夫 し た 。
授業の内容に応じてビデオを活用したことに対して学生の理解を助けたことが評価の声と
して多かった。板書の工夫も併せて行い、難解な専門用語、法律用語を確実に理解できる
よ う 配 慮 し た 。 学 生 か ら は 「 と て も わ か り や す か っ た 」、「 プ リ ン ト を 用 い て 分 か り や す か
った」などの評価が多かった。
医療福祉システム論は、看護学科、歯科衛生学科、社会福祉学科の教員3人がそれぞれ
2∼3時間、すべての学科の学生を対象に行う授業である。授業時間があまりに少ないた
め、プリントの資料を準備し、理解しやすいようにビデオを活用した。多くの学生からは
「 ビ デ オ 教 材 が 適 切 で 分 か り や す か っ た 」と い う よ う に 好 評 で あ っ た が 、
「時間が少なすぎ
る 」、「 3 人 の 先 生 の 講 義 の 繋 が り が 感 じ ら れ な い 」 な ど の 意 見 も あ っ た 。 こ れ は 今 後 課 題
である。
108
Ⅲ
授業改善の展望
担当しているいずれの科目も、学生が授業の予習、復習をほとんどしていない実情に鑑
み、今後も学生の視点から社会福祉の問題を捉え考察する機会としてのレポートを課すこ
とを多くしていきたい。また、制度の変化をいち早く捉え、情報提供していく。歴任して
いる各種審議会委員等で得る最新の国や県の動きを教材に盛り込むことを心掛けていきた
い。社会福祉は政治・経済・文化の背景を土壌として発展するものである。在学中に学ん
だ制度も常に変化していくものであることから、これからも広い視野で社会の事象を捉え
ていくことが社会福祉専門職を志す者に求められる。そして学生が社会福祉概論、児童福
祉論を学び福祉の実践者となることは、自分自身が人間として豊かに成長していくことと
一体をなすものであることを教育の念頭に置いていきたい。講義で学ぶことを通して学生
自身が福祉の価値観を豊かに醸成するよう心掛けていきたい。
109
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:雨谷敬史
対象科目:地球環境論
Ⅰ
授業のねらい
履修要項では「地球上の人口は増加の一途をたどり、我々は地球環境を意識して生活せ
ざるを得ない状況になっています。これらの問題を一つ一つ考えていくことにより、住み
やすい地球環境を作っていくためには今後我々がどのように行動していけばよいのか、を
考 え る き っ か け に し た い と 考 え て い ま す 。」と 授 業 の 目 的 に つ い て 述 べ ま し た 。地 球 環 境 問
題は決して我々の手の届かないところにあるのではなく、身近なところにあって、我々の
一挙手一投足に左右されるものであるということを示すことが、授業の大きなねらいとな
っています。また、このような地球環境問題への対策を実行するためには、正しい知識を
持っていなければなりません。もちろん、環境問題は、あらたな事実や研究結果が明らか
にされるにつれて、何が正しいかということも変化する可能性があります。そこで、絶え
ず 最 新 の 情 報 を 仕 入 れ て 、現 段 階 で 言 え る こ と を 示 す こ と が ね ら い の 一 つ と な っ て い ま す 。
Ⅱ
授業の自己点検・評価
平 成 18 年 度 は こ の 授 業 の 初 年 度 で も あ り 、手 探 り で 進 め た 部 分 も 多 か っ た が 、概 ね 授 業
の目的は達せられたのではないかと考えている。学生による評価では、特に理解度への配
慮 な ど 、教 え 方 に 対 す る 評 価 が 低 め で あ っ た が 、こ れ は 、こ の 授 業 で 、
「 化 学 」的 な 内 容 を
取り扱っていることに対する反応ではないかと考えている。地球環境対策として紹介した
いろいろな国際条約など、身近でできることなどは理解度が比較的高かったのではないか
と 考 え る 。ま た 、逆 に 、
「 新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る こ と の 多 い 内 容 」に 評 価 が 高 か っ た
ということは、このことを裏付けているのではないかとも考えられる。
Ⅲ
授業改善の展望
学生の理解度への配慮という点が、改善点の第一ではないかと考えられるが、復習的な
要素を授業にもう少し取り入れることで、理解度が進むかどうかを来年度の課題としてい
きたい。選択科目でもあり、授業の意欲が低めであるが、地球温暖化問題など、今年に入
ってマスコミでもよく取り上げられる問題であるので、最新の情報をさらに仕入れて授業
に臨む予定である。
110
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:海野
展由
対象科目:保育内容Ⅰ(環境)
Ⅰ
授業のねらい
今日の子どもをめぐる環境を広い意味で捉え理解した上で、乳幼児にとっての身近で
具体的な環境である、自然や社会の事象、園内外の人物や事物、出来事などを把握して
いく。それによって、子どもが遊びの中で身近な環境とかかわることを通して、それぞ
れの発達段階にふさわしい活動ができるような保育方法を考察していく。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
①授業内容について
学生は他の授業の中で、地球環境や子どもの生活環境について多々学んでいる点があ
り、当該授業で重複する内容があったと思われる。
また、保育内容の中でも特に「数・両・形への関心」や「情報環境」などについての
学びが十分ではなかったと思われる。
②授業方法について
授業では随時グループ別討議を取り入れた。また近隣の保育園の協力を得て、園庭で
の保育内容考察を実施し、近隣の公園の砂場を活用して体験的授業を行った。このよう
な野外演習では学生の興味関心を高めることができたと思われる。
テキストの活用についてはまだまだ改善の余地が多い。
Ⅲ
授業改善の展望
1 ) 環 境 に 関 わ る 学 生 の 学 習 度 を 事 前 に 把 握 し 、不 必 要 な 重 複 を 避 け 効 率 的 に 授 業 を 進
める。
2 ) テ キ ス ト を 効 率 的 に 活 用 す る と 共 に 、グ ル ー プ 討 議 を 随 時 織 り 交 ぜ る 形 式 を 発 展 さ
せる。
3) 野外で環境を感じ自ら環境に関わる演習を計画的に実施する。
4) 実際に関われない環境分野については、映像教材を効果的に活用する。
111
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:岡村由紀子
対象科目:障害児保育
Ⅰ
・
授業のねらい
障 害 児 保 育 を 狭 い 中 で と ら え ず 人 間 発 達 の 視 点 か ら と ら え 、人 格( 自 我 形 成 の 発 達
を中心に)の発達を学びながら特別なニーズをもつ子どもをとらえること。
・保育場面に焦点化し保育者とは何か保育創造とは何かを基本的におさえ、障害児保育の
あり方について考える。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生さんから高い評価をいただき感謝しています。
授業内容の当日目標をその日の学生さんの状態や集中力などにあわせて“学生が理解でき
る”ことを重点に当日の授業を組みたててきたことが“分かりやすい”という評価につな
がったのか?と考えています。
現場の保育場面も同じですが授業は“そこにいる学生ともに創るもの”と改めて実感しこ
れからも質の高い授業方法の創造に努力したいと考えています。
Ⅲ
授業改善の展望
自由記述にもありますが今回は現場の保健センターで働く心理職の方をおよびして発達検
査について、現場と保健センターとの連けいを深めました。
障害児保育の深い理解のため、今後なかなかむずかしいですが親の方にきていただき授業
を多面的に深められるよう行っていきたいと思っています。
112
学科:歯科衛生学科
職名:非常勤講師
氏名:尾澤
光久
対象科目:歯科放射線学
Ⅰ
授業のねらい
歯科衛生士としての知識の中で当科目は特別なものと思われている学生が多いので、出
来るだけ臨床の場における必要な関連性を主眼として身近な実例を上げながら、今後の
現状を教え卒後において、その知識が役立つような内容にするよう心掛けた。
Ⅱ
1、
授業の自己点検・自己評価
受講生に対しての配慮
講義の進行上どうしても物理・化学的内容に一分含まれてしまうが、受講生の入学前の
専攻科目が生物学主眼となりどうしても理解しずらい現状が多い、そのために受講の意
欲 が 疎 が れ る 傾 向 が 見 ら れ る の で 、こ の こ と の な き よ う 内 容 に 工 夫 を 心 掛 け て い き た い 。
2、
授業方法の工夫
短時間の中で理解を深めてもらうため、基礎・臨床・防護に区分し、それぞれに準じた
プリント作成配布・スライド・ビデオ上映及び実例画像等を用いて、臨床の場の雰囲気
を深めるよう考慮した。
3、
学生からの授業に対するアンケート結果を踏まえて
講義に対して自分なりにも気を付けたが(例えば、黒板の字が読みずらいなど)再考の
点もあり参考になった。
Ⅲ
授業改善の展望
授業時間の割合のなか自己的には組織的に内容を組み立て望むのだが、縦割りの授業の
ためか重複の内容等により貴重な時間のロスが生じてる感がある。しかし、今後は決め
られた枠の中で、更に修了後も永く記憶に留まるような講義として努力をしたい。
113
学科:看護学科
職名:非常勤講師
氏名:小寺栄子
対象科目:看護管理(講義)
Ⅰ
授業のねらい
保 健 医 療 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 に 対 す る 看 護 職 の 課 題 に つ い て 考 え 、実 践 看 護 者 と し て 機 能
するために必要な看護サービス管理の基本的な知識・技術について学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
今年度、初めて短期大学部の看護学科の3年生を対象として、平成19年1月半ばか
ら末にかけて、1回に2∼3コマを3日間に分けて集中講義の形態で講義を行った。3
年生の学生にとっては最後の授業であり、また1ヶ月後に迫った国家試験の勉強中の授
業 で あ っ た 。ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 よ り 、全 体 的 な 傾 向 と し て は 、
「 授 業 の あ り 方 」、
「教
え 方 」に 関 し て は 、
「 毎 回 の 授 業 の 量 や 進 度 」(平 均 3.4)、「 授 業 の 目 的 、目 標 か ら 看 て 授
業の難易度は適切であった」
( 同 3.6)、
「教員は学生の理解度に配慮して授業を進めてい
た」
( 同 3.7)、
「 教 員 の 説 明 は 分 か り や す か っ た 」( 同 3.8)が 低 く 、学 生 の レ デ ィ ネ ス と
理解度、興味関心に応じた内容と量、授業展開に心がける必要があることが分かった。
結 果 的 に は 総 合 評 価 に お い て も 、 学 生 の 満 足 度 は 3.5 と 余 り 芳 し く な か っ た 。 し か し 一
方では。これらの項目のSD(いすれも1以上)がかなり大きく、学生により捉え方に
差があることもわかる。
自由記載欄には、この時期に必修科目を集中講義することへの疑問や、国家試験の準
備 に 響 く の で や め て 欲 し い と い う 意 見 が 多 く 、ま た ク ラ ス 課 題 が 授 業 、グ ル ー プ ワ ー ク 、
試験であったのでヘビーすぎるという意見が多く寄せられていた。これらより、開講時
期は遅くても12月中にしたほうが良さそうである。また一方では内容の濃い、大切な
授業であり、とても分かりやすかった、学生生活最後の授業にふさわしい楽しい授業で
あったとの意見も寄せられていた。
Ⅲ
授業改善の展望
1.開講時期を早め12月中に開講する。
2.学生のレディネスと興味に対応した内容と量の絞り込みをする必要がある。
3 .教 授 方 法( 授 業 、演 習 )、評 価 方 法( グ ル ー プ ワ ー ク の 結 果 の レ ポ ー ト 、試 験 )に つ
いては、教育目標と対応するため変更する予定はない。
4 .自 己 点 検 評 価 を 行 い 、改 め て 自 分 の 教 育 活 動 の 問 題 点 を 意 識 的 に 捉 え る こ と が で き 、
次年度に生かすことができそうです。
114
学科:社会福祉学科
対 象 科 目:
Ⅰ
職名:非常勤講師
氏名:木俣
創志
基 礎 技 能 Ⅰ( 図 画 工 作 )、基 礎 技 能 Ⅱ( 図 画 工 作 )、造 形 、(3 科 目 す べ て 演 習 )
授業のねらい
造形に苦手意識を抱いている受講者のなかには、小中学校を通じ思わしくない成績、不
適切と思われる指導によって美術・図工が嫌いになってしまっているケースが多い。こう
した現状を踏まえ、
「 授 業 の ね ら い 」で ま ず 大 切 に し て い る 点 は 、学 生 が「 つ く る こ と・か
くこと」を好きになるよう導いていくことである。造形を得意としている受講者は勿論で
あ る が 、美 術 に 苦 手 意 識 を 持 つ 学 生 や 嫌 い だ っ た 学 生 す ら 、私 の 授 業 を 通 じ て 、無 心 に「 つ
くること・かくこと」の面白さ・喜びを実感し、これを一生の友として位置づけられるよ
う に で き れ ば と 願 っ て い る 。(私 自 身 が 何 よ り 制 作 好 き な 人 間 で あ る か ら こ そ ク リ ア す べ き
課題であると考える。)
二つめは、教育の現場においてすぐに役立つ即戦力を身につけること。スパッタリング
やマーブリング、染め紙、デカルコマニー等の課題は、それが目的のひとつである。
三つめは、独創的な発想を(結果の見栄えに過剰にとらわれず)かたちにしていく粘り
強 さ と 喜 び と を と も に 育 ん で い く こ と で あ る 。そ の テ ー マ に 取 り 組 む こ と は 、今 日 、美 術 ・
造形授業の使命のひとつであろう。
四 つ め は 、 (「 授 業 の ね ら い 」 と 呼 ぶ に は や や 違 和 感 が あ る が )私 自 身 も ま た 学 生 た ち か
ら何かを学べるような雰囲気・体制をつくっていくことである。
総じて、人間にとって美術・造形という営みがどのような意味を持つか、制作経験での
試行錯誤からそれを充分に味わうことが授業の目的である。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
静 岡 県 立 短 大 に 美 術 の 講 師 と し て 、大 変 に 有 意 義 な 時 間 を 過 ご し て 10 年 に な る 。着 任 時
から変わらぬ指導方針は、
「 授 業 の ね ら い 」と し て そ の い く つ か を Ⅰ で 詳 述 し た 通 り で あ る
が 、改 変 し た 点 も 当 然 あ る 。保 育 者 養 成 の た め の ク ラ ス(「 基 礎 技 能 Ⅰ(図 画 工 作 )」)で「 造
形の教科書」を導入した点や、私のこども教室や大人の教室の講師経験から特に重要と思
われる指導上のポイントを整理して述べる機会を持つようになった点が、その主なもので
ある。作品を制作する上でのアドバイスばかりでなく、色彩の基本的な考え方、接着論、
こ ど も の 制 作 ・ 作 品 論 、 (特 別 な 技 術 を 必 要 と し な い )こ ど も の 喜 ぶ 造 形 論 、 こ ど も に 危 険
な造形用具論等の他、私の失敗談・成功談等がテーマである。いずれも制作開始前に若干
の時間をとり、学生たちと話し合うようにしている。
さて、今回のアンケートでは自由記述の欄に予想以上に多くの意見が寄せられ、現在、
私の授業が学生たちにどのように受けとめられているかを知る上で、設問によるアンケー
ト結果にもまして参考となった。授業中の学生たちとの会話・やりとりからは予想すら出
来なかった学生たちの思慮深さに驚き、きわめて的確に授業の主旨を把握していることに
改 め て 感 慨 を 覚 え た 。(「 基 礎 技 能 Ⅰ( 図 画 工 作 )」で は 受 講 者 43 名 中 29 名 が 、「 基 礎 技 能
Ⅱ ( 図 画 工 作 )」 で は 6 名 全 員 が 、「 造 形 」 で は 1 3 名 中 8 名 が 文 章 を 寄 せ た 。)
「 1 .良 い と 思 っ た 点 、感 心 し た こ と 」で 最 も 多 か っ た も の は 、
「自由でのびのび制作で
き て 楽 し か っ た 」(31 件 )、次 い で「 豊 富 な 造 形 材 料 や 道 具 」(6 件 )、
「 美 術 (図 工 )は 苦 手 ・
嫌 い だ っ た が 、そ の 楽 し さ を 知 っ た 」(5 件 )、
「 様 々 な 美 術 の 技 法 を 学 び 、色 々 な 経 験 が で
115
き た 」(5 件 )、
「 子 供 が 喜 ぶ 造 形 の 紹 介 等 が 将 来 役 に 立 つ と 思 っ た 」(4 件 )等 。そ の 他 、ラ
ンダムにいくつかを原文のまま抜き出すと、
「基本的に学生のやる気や自主性を引き出す授
業 だ っ た 」、「 先 輩 た ち の 作 品 は ど れ も す ば ら し く 、 個 性 あ る 作 品 が 多 く と て も 見 て い て 楽
し か っ た し 、 参 考 に も な っ た 」、「 美 術 展 に つ れ て い っ て も ら っ て 楽 し か っ た 」、「 や り た い
と 思 う こ と な ど 学 生 の 意 見 が 100% 生 か さ れ て い て う れ し か っ た 」、「 そ れ ぞ れ の 学 生 の 能
力 に 合 わ せ て 指 導 し て い た だ き ま し た 」、「 作 品 に 過 干 渉 で は な く 、 こ ち ら が 質 問 し た ら 親
身 に な っ て 答 え て く れ た 」、「 自 分 の 表 現 し た い と こ ろ を 理 解 し て く れ た 」、「 1 人 1 人 の も
っ て い る 個 性 を い か し た 作 品 を つ く れ た 」、「 う ま く い か な い と き 、 さ り げ な く 適 度 に 助 け
て い た だ き ま し た 」、「 ビ デ オ が 面 白 か っ た 」、「 先 生 が 面 白 か っ た 」 等 。
一 方 、「 2 . 改 善 し て ほ し い こ と 、 付 け 加 え て ほ し い こ と 」 で 最 も 多 か っ た も の は 、「 教
室 の 温 度 管 理 を 気 候 に 合 わ せ て ほ し い 、 冬 が 寒 い 」 (3 件 )、 次 い で 「 ビ デ オ が つ ま ら な か
っ た 」 (2 件 )、「 デ ッ サ ン は 苦 手 な の で し た く な い 」 (1 件 )、「 先 生 の オ ヤ ジ ギ ャ グ に 磨 き を
か け て ほ し い 」( 1 件 ) と い う 意 見 も あ っ た 。
「 3 .そ の 他 の 意 見 」の 欄 で は 次 の コ メ ン ト が 印 象 に 残 っ た 。
「中学校の図工の先生に言
われた一言でどうしても苦手な科目となり、高校では美術を選択しませんでした。けれど
も 短 大 に 入 学 し 、 図 工 で 美 術 の 楽 し さ を 知 る こ と が で き ま し た 。」 (原 文 )
さ て 、設 問 に よ る ア ン ケ ー ト 結 果 に は 概 ね 満 足 し て い る 。
「 自 分 は 、こ の 授 業 に 関 す る 予
習、復習をした」という設問のみ他項目と比べ思わしくなかったが、実際には、自宅制作
し て い る 学 生 は 少 な く な く 、「 基 礎 技 能 Ⅰ ( 図 画 工 作 )」 で は 全 員 が 街 の 雑 貨 店 で の 教 材 研
究をしている。制作中心の授業では、アンケートの際に設問の「予習・復習」という語句
を「授業外学習・自宅制作」というふうに解するようコメントすべきだったのかもしれな
い。
以上の結果を踏まえる限り、
「 授 業 の ね ら い 」は ほ ぼ 達 成 さ れ て い る も の と み て い る 。ま
た 、 何 よ り 、 学 生 と の 制 作 を 通 じ て の 一 期 一 会 (? )を 大 切 に し て い る 点 を 理 解 し て も ら え
たのではないだろうか。
Ⅲ
授業改善の展望
上記「2.改善してほしいこと、付け加えてほしいこと」の少数意見にも可能な限り対
応していきたいが、当面の問題としては「図工室の温度管理の不具合」について。この点
はこれまで授業中にもたびたび指摘されており、私の判断で大学担当者に随時要望してい
る 。 や は り 、( 特 別 な 理 由 が な け れ ば ) 改 善 が 望 ま れ る 。
116
学科:全学科
職名:非常勤講師
氏名:金美連
対象科目:国際関係論(講義)
Ⅰ
授業のねらい
本講義では、国際関係の歴史と現実を良く理解することを目的とする。前半では、第二
次世界大戦以後の国際関係の構造、その変容過程を歴史的に概観する。後半では、国際社
会の主要課題である平和、環境、開発、人権といったテーマを取り上げる。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
高校で世界史を履修しなかった学生が半分以上受講したので、国際関係の歴史と現状を
幅広く取り上げながらも、分かりやすい授業にしようと心がけていた。毎回プリントを配
り、パワーポイントやビデオを活用しながら授業を進めたため、自由記述欄では「内容が
理 解 し や す か っ た 」と い う 意 見 が 多 か っ た 。し か し 、
「 説 明 の 仕 方 が 分 か り に く い 」、
「おも
しろくない」という意見も1件ずつあった。
ア ン ケ ー ト 調 査 に よ る 評 価 は 、セ ク シ ョ ン Ⅰ「 授 業 の あ り 方 」、セ ク シ ョ ン Ⅱ「 教 え 方 」、
セクションⅢ「総合評価」とも平均点をやや上回る結果であった。しかし、セクションⅣ
の 項 目 ( 18)「 自 分 は 、 疑 問 点 を 、 必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問 し た 。」 と 項 目 ( 19)「 自 分 は 、
こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、復 習 を し た 。」は 平 均 点 を 下 回 っ て い た 。講 義 式 授 業 で あ っ た た め 、
学生と意見を交し合う場面は少なかったと反省する。学生の積極的な授業参加を促す授業
形態を工夫しなければいけないと考える。
Ⅲ
授業改善の展望
学生の関心ごとに応じて課題を出したり、発表をさせたりして、学生がより意欲を持っ
て授業に参加できるようにしたい。また韓国についてもっと知りたいという要望があった
ので、韓国や日本の話を今までより多く取り入れながら国際情勢をもっと身近なものとし
て感じてもらえるようにしていきたいと考える。
117
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:香野
毅
対象科目:障害者の心理
Ⅰ
授業のねらい
障害を持つ児・者に関わる専門職として必要な知識や考えを、心理学的立場から理解す
ることであった。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
多くの内容をカバーする必要があったため、いわゆる講義形式で進めることが多く、学
生の主体的参加を引き出せなかったという反省が残っている。
Ⅲ
授業改善の展望
90 分 の 講 義 と い う 形 式 は 学 生 に と っ て も 集 中 等 が 難 し い と い う 事 実 を 踏 ま え て 、実 際 の
授業構想をたてる必要がある。
118
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:小沼
肇
対象科目:養護原理
Ⅰ
授業のねらい
授業のねらいは、受講者の皆さんに社会福祉サービスの利用者の事情、痛み、気持ちな
どを理解する力を育成し、援助の姿勢や援助の技術などの社会福士の援助者あるいは保
育 者 と し て の 基 本 的 な 理 念 や 素 養 、専 門 知 識 や 技 能 を 身 に 付 け て も ら う こ と に あ り ま す 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学 生 さ ん に よ る 授 業 評 価 に お い て 、「 授 業 の あ り 方 」「 教 え 方 」「 総 合 評 価 」 の 15 項 目 中 の
2 項 目 を 除 く ほ と ん ど の 項 目 で 評 価 5 と 評 価 4 の 学 生 さ ん の 合 計 が 90∼ 100% に な り 、 特
に 「 (2)授 業 内 容 は 、 短 期 大 学 と し て 、 ふ さ わ し い 水 準 で あ っ た 。」「 (10)教 員 は 、 学 生 の 理
解 が 深 ま る よ う に 授 業 を 工 夫 し て い た 。」
「 (13)こ の 授 業 は 、新 た に 考 え た り 学 ん だ り す る
こ と の 多 い 内 容 で あ っ た 。」は 評 価 5 と 評 価 4 の 学 生 さ ん の 合 計 が 、そ れ ぞ れ 100% に な り 、
私が伝えようとしてきたことが伝わったことと嬉しく思います。
Ⅲ
授業改善の展開
学 生 さ ん に よ る 授 業 評 価 に お い て 、「 (18) 自 分 は 、 疑 問 点 を 、 必 要 に 応 じ て 教 員 に 質 問
し た 。」「 (19) 自 分 は 、 こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、 復 習 を し た 。」 の 2 項 目 が 、 他 の 項 目 に
比較して評価が低くなった。
今後、さらに学生さんたちが質問できる環境づくり、予習や復習をするための環境づく
りに配慮をしていかなければならないと考えています。
119
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:根本猛
対象科目:生活と法(社会福祉)
Ⅰ
授業のねらい
長 い 人 生 で 困 っ た と き 、法 や 法 律 家 が 力 に な れ る 可 能 性 を 思 い 出 せ る 感 覚 を 身 に つ け る 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
おおよそ4ポイント前後(5段階評価)の過分な評価に満足している。同じように授業
し て い て も ク ラ ス サ イ ズ に よ っ て 、 0.2∼ 0.3 ポ イ ン ト ほ ど 評 価 が ち が う の は 興 味 深 い 。
学生諸君、分からないときは気軽に質問して下さい。
Ⅲ
授業改善の展望
本務校(静岡大学法科大学院)の教育で多忙なのでたいしたことはできないが学生から
の要望にはできる範囲で応えたいと考えている。
細かな点は省いて大筋をていねいに説明する。ビデオを見せたりクイズ形式の問いで変化
をつけるなどの現在の方法は学生からも好評のようなので維持したい。
120
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:根本猛
対象科目:生活と法(介護福祉)
Ⅰ
授業のねらい
法を少しでも身近なものと感じてもらう。
具体的には、人生で、自分やまわりの人が困っているときに、法や法律家が役に立つか
もしれないと思い出せるように。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
過分な評価と思う。
Ⅲ
授業改善の展望
本 業 が 忙 し い の で た い し た こ と は 出 来 な い が 、可 能 な か ぎ り 、要 望 な ど に は 対 応 し た い 。
121
学科:全学科
職名:非常勤講師
氏名:野村卓志
対象科目:情報の活用
Ⅰ
授業のねらい
本講義のねらい(野村担当分)は、コンピューターにおける写真・図形のディジタル処
理についての理解を深め、またワードプロセッサや表計算、プレゼンテーションなどのソ
フトウェア中において、図形処理を適切に行えるようにすることである。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生のアンケート評点は、ほぼすべての項目に於いて平均以上の回答を示していること
から、講義に対する学生の満足度は高く、所定の目的を達しているものと思われる。
しかし、講義に対する「予習・復習」の項目はあまり高くなく、改善の余地があるもの
と考えられる。
Ⅲ
授業改善の展望
上 記 の 点 を 改 善 す る た め に 、本 講 義 に お い て 提 出 を 求 め て 成 績 評 価 の 対 象 と す る「 課 題 」
以外に、学生に対して提出は求めない課題(予習・復習項目)を示し、学生の自主的な予
習・復習を促してみることを試みる予定である。
122
学科:社会福祉学科
対象科目:乳児保育
Ⅰ
職名:非常勤講師
氏名:橋爪千恵子
(演習)
授業のねらい
乳幼児を取りまく環境の変化や、乳幼児をめぐる問題が多様性を示し、保育の質の高
さが求められている。
「 乳 児 保 育 」で は 関 連 す る 科 目 の 基 礎 知 識 も 併 せ な が ら 、人 間 発 達
の基本的な枠組みが形成される乳幼児の成長発達に関する知識や技術を理解するととも
に、乳児保育を担当し乳児の成長発達を援助する保育者の役割について学ぶ。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
「 乳 児 保 育 」と 言 う 科 目 は 、社 会 福 祉 、教 育 学 、心 理 学 、小 児 保 健 、小 児 栄 養 学 な ど 、
関連科目を基盤として、保育方法や保育技術を加えた学問体系で成り立っている分野で
あるため、学習内容の範囲が広く、学生にとっては取っ付きにくい科目だと思われる。
しかし、アンケート結果によると、ほとんどの項目で学科平均と同様の値、またはや
や 上 回 る 値 を 示 し た 。授 業 の あ り 方 の 平 均 が 4.6、授 業 の 教 え 方 の 平 均 が 4.4、総 合 評 価
が 4.4 と い う 結 果 か ら 、 教 師 も 学 生 も 授 業 に ま じ め に 取 り 組 ん だ と 評 価 さ れ る も の と 思
う。
また、授業の中で新聞記事などの資料を配布したことや、保育現場での事例および子
どもの実態などを話したことが学生に「乳児保育」への興味と関心を高めたことが、自
由記述欄からうかがわれた。体験の乏しい学生たちに具体的な事例を紹介することは、
学生に授業へのより深い興味・関心をもたせるためにも大切であると痛感する。
Ⅲ
授業改善の展望
Q 18「 教 員 へ の 質 問 」 の み が 学 科 平 均 を 下 回 っ て い る 。 授 業 の 中 で は 毎 回 、 授 業 内 容
に対する質問を促しているが、非常勤であるために質問しにくいのであろうか。この点
は次年度、工夫していきたい。
次年度からより内容の新しいテキストに変更したので、より一層の工夫を加え、学生
が興味を持ち理解しやすい授業内容や展開に努めたい。
123
学科:第一看護
職名:非常勤講師
氏名:林 正雄
対象科目:英語(演習)
Ⅰ
授業のねらい
簡単な医療英語の習得を主目的とした。単調にならないように、その他にプロット展開
を楽しめる映画を用いた英語の聞き取り練習を行った。リーディングやリスニングなど、
英語教育の多様な内容を満遍なく取り入れて英語脳の全体性を失わないように工夫した。
そ の 他 、 TOEIC の 解 答 方 式 の 説 明 、「 ハ ワ ー ズ ・ エ ン ド 」 の 映 画 英 語 、 リ サ ・ ラ ン ド ー
ル 博 士 の 5 次 元 世 界 を 紹 介 し た BS 放 送 な ど を 利 用 し て 、 多 様 な 英 語 音 声 を 紹 介 し た 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
専門意識がハッキリしているためか医療英語習得のために非常に真剣に取り組んでいる
学生が少なくなかった。医療関係・科学関係の最新のワールド・ニュースがあれば、それ
を紹介した。エイズが蔓延しているコンゴの実態、リサ・ランドール博士の唱える5次元
世 界 、 若 田 洸 一 さ ん の イ ン タ ビ ュ ー の 英 語 、 Storm Front と 題 さ れ た 地 球 温 暖 化 の 実 態 な
どを紹介した。グリーンランドの氷河がすべて溶けた場合に起き得る海面上昇(6∼7メ
ートル)と大西洋大潮流の消失、それに伴なって起き得る北ヨーロッパの氷河期再来など
のニュースに対して、強い興味を抱く学生とほとんど関心をみせない学生に分かれた。
Ⅲ
授業改善の展望
リーディングとリスニングに重点がおかれがちなので、ライティングとスピーキングを
重視した授業展開を心がけたい。
毎回の授業の目標を教材提示装置などで映し出して、それに沿った授業を展開して行き
たい。
夏休み後のテストに備えることには難点があるようなので、夏休み前の最後の授業で中
間テストを行いたい。
124
学科:歯科衛生学科
職名:非常勤講師
氏名:林
正雄
対象科目:応用英語
I
授業のねらい
” Natural Remedies”と 題 さ れ た 、 DVD 付 き の テ キ ス ト を 用 い た 。 音 声 の 聞 き 取 り に 重
点を置いた。
テキストの内容は、薬草、食事内容、音楽と舞踏、気の流れ、ヨガと瞑想、同種療法、
動物療法など、薬物に頼らない健康維持についての話題を集めたものである。
そ の 他 、TOEIC の 解 答 方 式 の 説 明 、
「 ハ ワ ー ズ ・エ ン ド 」の 映 画 英 語 、リ サ ・ラ ン ド ー ル
博 士 の 5 次 元 世 界 を 紹 介 し た BS 放 送 な ど を 利 用 し て 、 多 様 な 英 語 音 声 を 紹 介 し た .
II
授 業 の 自 己 点 検 ・自 己 評 価
音声の聞き取りを重視したテキストであるためか難易度が高いと感じた学生が少なくな
かった.
テ キ ス ト と は 別 に 、BBC の 特 別 番 組 の 、地 球 温 暖 化 、現 代 人 の ス ト レ ス 、食 べ 物 と 精 神
作 用 の 関 係 、サ ヴ ァ ン 症 候 群 の 人 々 、な ど を 映 像 を 取 り 入 れ た 授 業 を 心 が け た .映 画 の 語 り
のスクリプトを聞き取って教室で紹介した。
III
授業改善の展望
応用英語の目的をハッキリさせて、英語を用いた表現力を習得させるような簡単な会話
の練習を取り入れてゆきたい.
音声の聞き取りの訓練を心がけたが、内容の濃いテキストなので、教師中心の授業展開
に な り が ち で あ っ た .学 生 に 発 表 さ せ る 機 会 を 増 や す 必 要 が あ る と 考 え て い る .
『チャーリーとチョコレート工場』のなかの会話英語の聞き取りは楽しんでいたので、続
け た い .貧 し い 家 族 へ の 思 い や り や 、 Wonka と そ の 父 と の 仲 直 り を 実 現 さ せ よ う と す る チ
ャーリーの優しい心が表現されている個所の会話練習は、情操教育につながるので続けて
ゆ き た い .今 日 の 学 生 は 英 語 の リ ー デ ィ ン グ だ け で は 満 足 し な い の で 、映 像 作 品 の 提 示 方 法
を更に研究してゆく.
125
学科:看護学科
職名:非常勤講師
氏名:福岡欣治
対象科目:人間の心理
Ⅰ
授業のねらい
心理学の入門的な授業として、他の心理学関係の科目(発達心理、社会心理、臨床心理
な ど )の 基 礎 と な る よ う 、基 本 的 な ト ピ ッ ク を 取 り 上 げ て 丁 寧 に 解 説 す る こ と を 心 が け た 。
心理学の専門用語(概念)をそのまま説明してもわかりづらいため、なるべく図表や体
験を交えて理解できるようにした。そのため、毎回配付資料とスクリーンを使用し、可能
な場合はクイズ形式も採用した。ただし、あくまで「学問」として扱い、通俗的な“心理
テスト”等とは異なるものであることを強調した。
毎回の授業でコメント用紙を配付して授業に対する要望・質問を受け付け、記載があっ
たものについてはすべての要望・質問に対して(個人的に開設しているWeb掲示板およ
び配付資料などにより)回答する方針をとった。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
選択科目であるが、看護学科の学生は例年8,9割がこの授業を受講しており、関心の
高さを感じる。特に今年度は熱心な受講生が目立ち、授業はしやすかった。
アンケートの回答もおおむね好意的であり、
「Ⅰ授業のあり方」
「Ⅱ数え方」
「Ⅲ総合評価」
の 各 設 問 ( 問 1 ∼ 15) の す べ て に お い て 「 5 」 の 回 答 が 最 も 多 く 、 か つ そ の ほ と ん ど の 選
択 率 が 50%を 越 え て い た 。特 に「 11.教 員 は 学 生 に 対 し て 誠 実 に 対 応 し て い た 」で 回 答 者 の
9割が「5」としていたことは、教員として大変うれしい結果であった。
反省点としては、毎回の授業の進行(時間配分)がある。アンケートの「改善してほし
いこと」の自由記述で、7名(回答者の1割)から共通してこの点が指摘された。1コマ
1テーマで授業計画を立てていたがその回で完結せず次回に残り部分を説明する、という
ことが何度かあったためであり、担当者自身もこの点に問題を感じながら授業をおこなっ
ていた。
Ⅲ
授業改善の展望
選 択 式 の 設 問 で 最 も 平 均 点 が 低 か っ た ( 2. 4) の は 「 19.こ の 授 業 に 関 す る 予 習 、 復 習
をした」であり、約3割が「1」と回答していた。教養科目の一つでもあり宿題等は基本
的に出していないが、授業を受けた後の復習については、その効果を受講生に理解しても
らうよう働きかける必要があろう。この点と、前項で記した時間配分の問題を主に改善し
たい。
授業は受講者との相互作用であるので、今年好評であったから次も必ずそうであるとは
限らない。基本的な授業運営・方法は変更しないが、受講者の反応をみながら、その都度
改めて良い授業のあり方を考えていきたい。
126
学科:歯科衛生学科
職名:非常勤講師
氏名:福岡欣治
対象科目:人間の心理
Ⅰ
授業のねらい
教養科目の1つとして開設されている心理学の入門的な授業として、基本的なトピック
を取り上げて丁寧に解説することを心がけた。
心理学の専門用語(概念)をそのまま説明してもわかりづらいため、なるべく図表や体
験を交えて理解できるようにした。そのため、毎回配付資料とスクリーンを使用し、可能
な場合はクイズ形式も採用した。ただし、あくまで「学問」として扱い、通俗的な“心理
テスト”等とは異なるものであることを強調した。
毎回の授業でコメント用紙を配付して授業に対する要望・質問を受け付け、記載があっ
たものについてはすべての要望・質問に対して(個人的に開設しているWeb掲示板およ
び配付資料などにより)回答する方針をとった。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
歯科衛生学科の場合、
「 人 間 の 心 理 」は 他 専 攻 と 異 な り 必 修 科 目 と さ れ て い る( そ の 理 由
が 学 生 に 対 し て ど の よ う に 説 明 さ れ て い る か 、担 当 者 に は 不 明 で あ る )。担 当 者 は 昨 年 度 を
除いて過去数年この授業を担当しているが、受講に前向きでない受講生が例年少なからず
見受けられる。特に今年度は2年次開講に変更されており(※2月に急遽この授業を担当
す る こ と に な っ た が 、担 当 者 が 2 年 次 開 講 を 認 識 し た の は 4 月 で あ っ た )、そ の 傾 向 が さ ら
に強いようであった。
授業内容は同日の2時限目に担当している看護学科の「人間の心理」とほぼ同様とした
が 、受 講 態 度 は 2 時 限 目 に 比 べ て 明 ら か に 悪 く 、や り づ ら さ を 感 じ な が ら の 授 業 で あ っ た 。
アンケートの結果も、選択式の設問の大半で最も回答頻度が高かったのは5段階の「4」
で あ り( 看 護 学 科 は「 5 」)、特 に「 17.自 分 は こ の 授 業 を 意 欲 を も っ て 受 講 し た 」は「 3 」
の 回 答 が 最 も 多 か っ た ( 約 46%)
自由記述で目立った「改善してほしい点」は、担当者の注意の仕方(が細かいこと)で
あ り 、「 授 業 中 ト イ レ に 行 き づ ら い 」「 寝 て い る 人 を 起 こ す の は 起 き て い る 人 に と っ て 話 し
が中断するので不快」
「 集 中 し て い な い 人 は 無 視 す べ き 」等 が あ っ た 。他 の 授 業 で の 様 子 が
気になるところである。
ただし、授業内容そのものには興味をもつ学生も少なくなかったように見受けられ、ま
た 「 11. 教 員 の 対 応 の 誠 実 さ 」 に つ い て は 半 数 強 の 学 生 が 「 5 」 と 回 答 し て い た 。
Ⅲ
授業改善の展望
意欲の乏しい学生をいかに授業に関与させるかは教員の力量の見せどころでもあるから、
担 当 者 に は 「 challenging な 」 学 生 た ち で あ る と 感 じ て い る 。 次 年 度 か ら は ( 経 緯 は 聞 か
されていないが)選択科目に変更となるようであり、授業内容も2年生向けに入れ替える
予定である。授業のレベルを落とさず受講者を引き込めるかどうか、模索していきたい。
127
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:福岡欣治
対象科目:人間の心理(社会福祉)
Ⅰ
授業のねらい
「人間の心理」は、第一看護学科・歯科衛生学科を対象としても開設されている、心理
学の入門的な授業という位置づけの科目である。ただし、社会福祉学科の2専攻に対して
は 2 年 次 後 期 に 開 講 さ れ て お り 、「 ○ ○ 心 理 ( 学 )」 と い う 名 称 を も つ 専 門 科 目 を す で に 複
数受講し終えた状態にある(この点、担当者としてはいささか理解に苦しむカリキュラム
で あ る )。そ こ で 、本 年 度 は 授 業 の 前 半 を 心 理 学 の 基 礎 的 な 内 容 と し 、後 半 を 担 当 者 の 専 門
であり受講者が他の心理学関連科目として履修していない、社会心理学のトピックを中心
に取り扱った。
授業の進め方として、専門用語(概念)をそのまま説明してもわかりづらいため、なる
べく図表や体験を交えて理解できるようにした。そのため、毎回配布資料とスクリーンを
使用し、可能な場合はクイズ形式も採用した。ただし、あくまで「学問」として扱い、通
俗的な“心理テスト”等とは異なるものであることを強調した。特に後半の社会心理学に
関する内容では、研究の具体的な手続きについても紹介し、ハウツー的知識ではなくどの
ようにしてその学問の知識が生み出されているかの説明を心がけた。
毎回の授業でコメント用紙を配布して授業に対する要望・質問を受け付け、記載があっ
たものについてはすべての要望・質問に対して(個人的に開設しているWeb掲示板およ
び配布資料などにより)回答する方針をとった。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
卒業を控えた2年次後期に一般教育科目を履修する場合、授業内容に関心があるからと
い う 学 生 ば か り で は な く 、卒 業 に 必 要 な 単 位 を 修 得 す る た め 、と い う 学 生 も い る で あ ろ う 。
「 17.こ の 授 業 を 意 欲 を も っ て 受 講 し た 」
「 15.こ の 授 業 に 満 足 し て い る 」の 回 答 は い ず れ も
5 ∼ 1 ま で の 幅 が あ っ た が ( 平 均 値 は 前 者 が 3.4、 後 者 が 3.5)、 熱 心 に 聴 い て く れ た 学 生
もいた反面、いつも教室の最後方あたりに席をとり、あまり授業に参加したくないといっ
たふうの学生もみられた。
授 業 で 取 り 扱 う 内 容 が や や 難 し い と 感 じ た 学 生 も い た よ う で あ り 、「 2.授 業 の 水 準 」「 6.
毎 回 の 量 ・ 進 度 」「 7.理 解 度 へ の 配 慮 」「 8.説 明 の わ か り や す さ 」「 12.授 業 内 容 は よ く 理 解
できた」のいずれも、回答として最も多かったのは5段階の4(5ではなく)であった。
実習の関係もあるが、授業が途切れがちにならざるを得なかったのは残念であった。
授業態度に関しては、いささか気になる傾向があった。それは、教員の説明中に友だち
と会話を始める学生がいることである。本人によれば授業内容に関する内容だとのことで
あるが、説明の声と重なってしまうため、担当者としてはやりづらい面があった。この点
での注意を「煩わしい」と感じた学生もおり、評価が下がってしまったきらいがある。
Ⅲ
授業改善の展望
受講生の声は真摯に受けとめつつ、アカデミックな教養科目としてのレベルを保つよう
配慮していきたい。内容的にはぜひ1年次に開設すべき科目であるとは思う。
128
学科:社会福祉学科
職名:非常勤講師
氏名:福岡欣治
対象科目:人間の心理(介護福祉)
Ⅰ
授業のねらい
「人間の心理」は、第一看護学科・歯科衛生学科を対象としても開設されている、心理
学の入門的な授業という位置づけの科目である。ただし、社会福祉学科の2専攻に対して
は 2 年 次 後 期 に 開 講 さ れ て お り 、「 ○ ○ 心 理 ( 学 )」 と い う 名 称 を も つ 専 門 科 目 を す で に 複
数受講し終えた状態にある(この点、担当者としてはいささか理解に苦しむカリキュラム
で あ る )。そ こ で 、本 年 度 は 授 業 の 前 半 を 心 理 学 の 基 礎 的 な 内 容 と し 、後 半 を 担 当 者 の 専 門
であり受講者が他の心理学関連科目として履修していない、社会心理学のトピックを中心
に取り扱った。
授業の進め方として、専門用語(概念)をそのまま説明してもわかりづらいため、なる
べく図表や体験を交えて理解できるようにした。そのため、毎回配布資料とスクリーンを
使用し、可能な場合はクイズ形式も採用した。ただし、あくまで「学問」として扱い、通
俗的な“心理テスト”等とは異なるものであることを強調した。特に後半の社会心理学に
関する内容では、研究の具体的な手続きについても紹介し、ハウツー的知識ではなくどの
ようにしてその学問の知識が生み出されているかの説明を心がけた。
毎回の授業でコメント用紙を配布して授業に対する要望・質問を受け付け、記載があっ
たものについてはすべての要望・質問に対して(個人的に開設しているWeb掲示板およ
び配布資料などにより)回答する方針をとった。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
卒業を控えた2年次後期に一般教育科目を履修する場合、授業内容に関心があるからと
い う 学 生 ば か り で は な く 、卒 業 に 必 要 な 単 位 を 修 得 す る た め 、と い う 学 生 も い る で あ ろ う 。
「 17.こ の 授 業 を 意 欲 を も っ て 受 講 し た 」 の 回 答 は 5 ∼ 1 、「 15.こ の 授 業 に 満 足 し て い る 」
の 回 答 は 5 ∼ 2 ま で の 幅 が あ っ た が ( 平 均 値 は 前 者 が 3.3、 後 者 が 3.9)、 熱 心 に 聴 い て く
れた学生もいた反面、いつも教室の最後方あたりに席をとり、あまり授業に参加したくな
いといったふうの学生もみられた。
授 業 で 取 り 扱 う 内 容 が や や 難 し い と 感 じ た 学 生 も い た よ う で あ り 、「 2.授 業 の 水 準 」「 4.
授 業 の 難 易 度 」「 6.毎 回 の 量 ・ 進 度 」「 7.理 解 度 へ の 配 慮 」「 8.説 明 の わ か り や す さ 」「 12.授
業内容はよく理解できた」のいずれも、回答として最も多かったのは5段階の4(5では
なく)であった。この点は改善する必要がある
授業態度に関しては、いささか気になる傾向があった。それは、教員の説明中に友だち
と会話を始める学生がいることである。本人によれば授業内容に関する内容だとのことで
あるが、説明の声と重なってしまうため、担当者としてはやりづらい面があった。この点
での注意を「煩わしい」と感じた学生もおり、評価が下がってしまったきらいがある。
Ⅲ
授業改善の展望
受講生の声は真摯に受けとめつつ、アカデミックな教養科目としてのレベルを保つよう
配慮していきたい。内容的にはぜひ1年次に開設すべき科目であるとは思う。
129
学科:看護学科
職名:非常勤講師
氏名:牧野
典子
対象科目:急性期成人看護学(講義、演習)
授業のねらい
Ⅰ
この授業では前半に救急看護論を、後半に周手術期看護論を教授している。そのねらい
は 、Basic Life Support(一 次 救 命 救 急 、応 急 処 置 )が で き る よ う に な る こ と 、集 中 治 療 や 手
術療法に伴う看護を修得することである。第1に必要なことは、救急医療や集中治療、手
術療法を受ける患者及び家族を理解することである。具体的な事例を通して患者の病態や
治療、心理状態を理解し、必要な看護を考える。次に大切なことは、看護の方法を知り自
分が実施できるようになることである。授業の中では看護の方法を知るという段階まで学
ぶことができる。授業時間以外で自分ができるようになるまで練習し、習得してほしい。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
学生の授業評価の結果、
「 Ⅰ 授 業 の あ り 方 」、
「 Ⅱ 考 え 方 」、
「 Ⅲ 総 合 評 価 」が 4.2 以 上 で あ
ったことは、これまでの努力が認められているということだと思う。ところが、学生自身
の 取 り 組 み は 平 均 3.8 で あ り 、 学 生 の 予 習 や 復 習 を 促 す こ と が で き な か っ た 。 自 由 記 述 で
は多くの学生がミニテストや質問への教員の説明は学習の動機付けになったと言っている。
しかし、自己学習を十分に行ったという実感は持てなかったように思う。学習の助けに視
聴 覚 教 材 の 貸 し 出 し も 行 っ た が 、 20% 弱 の 者 し か 借 り て い な い 。 学 生 の 自 己 学 習 を 促 し 、
学生が満足できるような授業方法を考えなければならない。
梶田
1 ) は 、教 師 が「 授 業 の 達 人 」に な る た め の
3 つ の 力 は「 相 手 の 心 を つ か む 力 」
「学習
課題について教え指導する力」
「 感 化 す る 力 」で あ る と し て い る 。振 り 返 っ て み れ ば 、す べ
ての授業に「相手の心をつかむ」ために必要な「人間的な魅力と迫力」を発揮することは
できなかったように思う。1 回でも教師が努力を怠れば、学生は教師に対する魅力を感じ
なくなり授業への魅力も失っていくのではないかと思う。
Ⅲ
授業改善の展望
梶田は、特に「相手の心をつかむ力」と「学習課題について教え指導する力」が重要で
あるとしている。私は授業で重要な学習ポイントの指示やミニテストを行い、学習課題に
気づかせるようにした。しかし、学生にとってその学習が期末試験のためだけになってし
まい自己学習を動気づける迄には至らなかったのではないかと思う。
そこで今後は、毎回の授業で書かせているワークシートに表出されている学生一人ひと
り の 誤 解 や 混 乱 を 指 導 に 活 か す こ と 、ま た 、学 生 の 内 面 を 理 解 し て「 わ か る 」
「できる」
「お
ぼえる」を支える実感の深まりに注目した授業方法を工夫したいと思う。
1)
梶 田 叡 一 「 授 業 力 を 磨 く 」 人 間 教 育 研 究 協 議 会 編 『 教 育 フ ォ ー ラ ム 37 授 業 力 を 磨
く』
金 子 書 房 , 6-14, 2006.
130
学科:社会福祉学科
対象科目:
Ⅰ
職名:非常勤講師
氏名:丸山和香子
保 育 内 容 Ⅰ ( 言 葉 )、 保 健 内 容 Ⅱ ( 言 葉 )
授業のねらい
本科目は、保育士養成のためのカリキュラムにおける保育内容「言葉」の授業であり、保
育 内 容 Ⅰ は 必 修 、Ⅱ は 選 択 科 目 と し て 設 定 さ れ て い る た め 、Ⅰ で は 、受 講 者 が 領 域「 言 葉 」
の全体にわたり、把握・理解ができるように努めている。
新生児が成長にしたがって、言葉を獲得していく状況を、心身の発達、周囲の環境などと
関連して理解し、発達段階に応じた保育者の援助の必要性、その方法をしり、かつ、実践
を と お し て 身 に つ け る こ と を 目 的 と し て い る 。講 義 の ほ か 。学 生 に よ る グ ル ー プ・ワ ー ク 、
発 表 を 全 員 が 経 験 す る こ と で 、保 育 し と し て の 知 識 と 技 能 を 身 に つ け る よ う 配 慮 し て い る 。
また、社会生活を営む上での言葉の大切さを、言葉の本質と言葉の機能、人間の脳の発達
の重要性を再認識し、学生として、人間として十全な成長の一助となるような内容をめざ
して、授業に臨んでいる。
Ⅱは、選択科目、演習であり、Ⅰで学んだ内容を深め、実践する場の提供に努めている。
今、
「 言 葉 」に 関 連 す る 乳 幼 児 向 け 文 化 財 は 沢 山 あ る が 、そ の 中 か ら 適 切 な も の を 選 択 し て
乳幼児に与えることは、容易ではない。そこで、同類のお話、絵本などの実物をみて比較
検討し、選択眼を養い、自ら簡単な絵本を制作することで、市販の絵本の本質にせまる。
最後にはグループで、紙芝居・ペープサートを作成、実演・相互評価を行い、現場におけ
る実践力と協同の経験をさせていく。
Ⅱ
授 業 の 自 己 点 検 ・自 己 評 価
授業のねらいについては、科目設定上必要な内容を含んでいるので、変更の余地はない。
授業の方法については、学生の反応をかんがみ、改善すべき点を痛感している。
ま ず 、「 保 育 内 容 Ⅰ ( 言 葉 )」 は 授 業 時 間 数 に 比 し て 内 容 が 多 く 、 受 講 生 全 員 が 授 業 内 容 を
理解することは艱難であった。教科書を事前に読んでおくことを期待したいが、短大生に
なったばかりの授業なので、教科書に準じた授業を心がけたい。この授業をとおして、学
生自身も言葉の重要性を再認識してほしいと念願しているので、難しいと思われる内容も
方法を考えていく。学生の自由記述の中に、フンボルトの言葉として「人はただ、言葉に
よってのみ人間である」を銘記したと数人が書いている。こちらの意図が伝わったことを
示 し て く れ た 。授 業 中 の 学 生 自 身 の 発 表 や 読 み 聞 か せ 、創 作 は 評 価 が 高 い の で 、続 け た い 。
Ⅲ
授業改善の展望
学生の身近に乳幼児が少ないので、乳幼児の生活、活動などを記録したビデオなどを授業
中にみせる時間を作りたい。短大図書室にも、適切な内容のビデオを用意してほしい。
講義より、学生参加型の授業時間を増やしていきたい。
131
学科:歯科衛生学科
職名:非常勤講師
氏名:森家祥行
対象科目:口腔外科
Ⅰ
授業のねらい
1. 口 腔 外 科 疾 患 に つ い て 、 実 際 の 症 例 を 供 覧 し て 理 解 を 深 め る 。
2. 口 腔 外 科 で 取 り 扱 う 疾 患 の 範 囲 と そ の 分 類 に つ い て 知 る 。
3. 清 潔 不 潔 の 概 念 を 身 に つ け る 。
Ⅱ
授業の自己点検・自己評価
コンピューター用のプロジェクターを使用して授業することにより、口腔外科疾患の症
例提示が行いやすくなった。
授業時間の制約があるため、教科書に書かれている全ての内容に触れることは到底できな
い。授業内容に多くの項目を詰め込んで話をしても結局上滑りになって、学生は内容はお
ろか授業で習ったことすら覚えていないということを、病院での口腔外科実習において知
る結果になったため、主たるテーマをあらかじめ絞って学年の最初の講義の際に学生に提
示し、学生個々人にそのテーマを担当してもらうことにしている。
学生に何とか理解してもらいたいという思いで説明を加えれば加えるほど、学生にとって
は難しくなって、かえってわからなくなるので、学生の興味とレベルを考慮して講義すべ
きであると考えられる。学生が理解し身につけるためには、何回も同じことを講義の中で
繰り返し述べ、学生にもそのことについて発言してもらうことが必要である。
Ⅲ
授業改善の展望
授業においてプロジェクターとスクリーンを使用する頻度がふえると、板書を希望する学
生の声も聞かれてくるため、各単元で最初に板書にて大まかな説明をした上で、症例の供
覧を行うことにする。
どうしても理解してもらいたいことは、理解した学生が理解していない学生に教えるとい
う時間を設けてまでも、理解しない学生が出ないようにしたい。学生も受動的に講義を受
けるだけでは、何も講義に対する満足は得られないのは至極当然である。学生が講義中に
発言するような授業形態を考慮したい。
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