北村 歳治 教授 - Graduate School of Global Information and

北村 歳治 教授
KITAMURA, Toshiharu Professor
学会論文誌
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北村 歳治・吉田 悦朗(共著)
「現代のイスラム金融」
日経 BP(ISBN978-4-8222-4710-2 c2033)(第1章,第6∼8章及び付論を北村が執筆〈253ページの内,pp. 13-45. 及び121-253. を担当〉)
【要約】
イスラム金融を現代の金融論の観点から分析することを目的として,第1章ではイスラム金融の経緯を金融史の観点
から明らかにするとともに各地域で今日どのような展開が行なわれているかを明らかにする.第6及び7章では,イ
スラム金融の利子概念を欧米の利子論と対比的に論じるとともに,今日のコーポレート・ガバナンスの観点からイス
ラム金融がどのようなインプリケーションを持つかを明らかにする.第8章では,イスラム金融が日本という金融制
度・慣行の下でどのようにして存在・共存できるか,その限界は何かを論じる.付論では,国を超えた地域の観点に
経ち7世紀から今日に至るイスラムの歴史的な展開を概観する.
(なお,吉田氏が担当した第2∼5章は,具体的な
数値・金額等を用いてイスラム金融の近年の動向を示している.)
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北村 歳治
「トルコの EU 加盟の模索」
早大:イスラム科学研究(Vol. 4)pp. 77-106.2008年5月
【要約】
EU の拡大は,5次にわたる拡張をへて,2007年末時点で27カ国の加盟国となり,同年12月13日には統合の象徴とも
いえる(EU 憲法に代わる)EU の新基本条約であるリスボン条約に27カ国の首脳が署名し,各国による批准をへて
2009年には発効する見込みとなっている.また,EU の統合のもう一つの象徴である通貨「ユーロ」についても,同
年1月にスロベニアによる採択に続いて,2008年初頭にはマルタとキプロスも採択し,27の加盟国中15カ国がユー
ロを統一通貨として使用する段階に入っている.このような EU の動きは,世界におけるさまざまな動きにきわめて
着実かつ広範囲にわたって影響を及ぼすようになっており,それが日本を含む東アジア等の EU に対する認識をさら
に改めつつある.
本ペーパーは,このような EU について,トルコの EU 加盟問題という特異な視点からアプローチし,対外的,特に
イスラム世界に対する EU の問題を分析することを試みる.具体的には,
EU の拡大を地理的な観点からの“widening”
,
また政策・運営的な観点からの“deepening”という形で捉え,さらに,“deepening”から見たトルコの問題を,(1)
労働移動の問題,(2)経済運営の問題と通貨,及び(3)政治社会問題の3つに分けて分析し,最後にトルコの EU
加盟問題が EU にとってどのような意味を持つか,今後のイスラム世界との関係においてどのような意味を持つかに
ついて,論じている.
3 (学生との共同執筆)サフィーナ・コディリ,リュウ・アレックス及び北村歳治
「セカンドライフ─夢,幻か─」
セカンドライフにおけるサイバーマネーに関する GIT 発表会提出論文(2008年 GITS/GITI Research Paper, pp. 193-199.)
【要約】
2006∼2007年にかけて各方面から強い関心を呼び起こしたセカンドライフというインターネット上の仮想空間につ
いて,
その今日的な位置づけを明らかにするとともに,リアルな世界との関係においてその特異性と限界を分析する.
具体的には,伝統的な概念との対比においてセカンドライフのリアリティとバーチャリティの特徴を明らかにすると
ともに,仮想空間で使用される仮想通貨に焦点を絞ってその問題点等を分析する.
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その他の小論─ Contributions to the column of the Japan Economic Review(English)等
① “Today’s implications of international trade” (May 15, 2008)
It is strange, the article argues, that the Islamic world that played a leading international role for many centuries is now
branded unmodern in the contemporary world. Such a twisted perception renders history beyond interpretation with its
simplified arguments. Emerging economies, including those of Islamic countries, may find clues to ensure future
development.
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② “Rapidly worsening employment problems ̶ overseas migrant workers issue” (March 15, 2009)
Following the global financial and economic crisis in 2008, the employment situation has worsened in many countries.
In addition, in many advanced and energy-rich countries, many migrant workers were from neighboring poor regions
and countries, who were sending what they earned to their families in their home countries but now are losing their jobs.
Their unhappiness lies behind rising unemployment rate in those host countries. In their home countries, there is a large
group of working but underprivileged people called “working poor”. Without serious international considerations and
policy measures, their discontentment will translate into the most desperate economic and social unrest in poor countries.
③北村歳治「ダイナミックとなった財務関係の国際基準」経理情報 No. 1186(2008年7月1日)
会計・監査基準の分野においては,IFRS 及び ISA の改正が急速に進んでいる.特に,EU27カ国が IFRS に続
いて ISA にも強い関心を示している.このような EU の動向が今後の企業のコーポレートガバナンス,金融
資本市場に大きな影響を与えていくことは疑いない.
国際会議等
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国際公益監視委員会(International Public Interest Oversight Board, PIOB)の活動として,①マドリード,アテネ
等における PIOB の第14∼18回会議に出席(2007年6月第14∼16回の各マドリード会議及び2009年2月の第17
回国際電話会議,2009年3月30−31日の第18回アテネ会議)
.また,②国際会計士連盟のコンプライアンス委
員会バンコック会議(2009年1月19−20日)に PIOB 委員として出席.さらに,③国際会計士連盟の指名委員
会の京都会議(2009年3月23−24日)に PIOB 委員として出席.
なお,PIOB は,各国の企業に適用する監査基準等の設定プロセスを監視することを目的として,証券監督者国
際機構〈IOSCO〉・バーゼル銀行監督委員会〈BCBS〉・保険監督者国際機構〈IAIS〉・世界銀行・ EU 等の支援に
より2005年にマドリードに設立されたもの.この PIOB に,北村は証券監督者国際機構(IOSCO)推薦の委員
として2007年6月25日に就任.
6 “Summer Course”(English):2008年8月7日 財務省(東京)における中央アジア・コーカサス研修における国
際金融市場に係る“Structural Approach to International Financial Markets”の講演.
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マレーシアのラブアン島におけるオフショア金融市場の調査(2008年8月1日)とクアラルンプールにおける
マレーシア中央銀行と IFSB との討議(8月4∼5日)を踏まえて,8月28∼29日にマラヤ大学で開催された
マラヤ大学・早稲田大学の Workshop on Information Telecommunication Technology and Muslim Society in Malaysia
and Japan において“Financial Standardization ̶ What distinguishes global from local in finance? のプレゼンテーショ
ン.
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日本金融学会秋季大会(2008年10月12∼13日に広島大学で開催)において「現代のイスラム金融批判と利子概
念─ Critical Review of Islamic Finance and Concepts of Interest ─の発表.
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タシケントにおける講演(2008年10月29日の金融財政アカデミ,Banking and Finance Academy 及び10月31日の
東洋文化大学,Tashkent State Institute of Oriental Studies)において,“Financial Crisis in 2007 and 2008”.
10 第8回国際シンポジウム「イスラムと IT ─イスラーム世界の経済と教育─」(早稲田大学小野梓記念講堂)に
おける全体のコーディネータとコンクルーディング・リマークス.
11 マレーシアの Sarawaku 州の Kuching において,英国支配下からイスラムの復権を果たした過程を調査(2008年12月27−29日).
12 Tashkent における講演(2009年2月16日の金融財政アカデミ,Banking and Finance Academy 及び2月17日のウ
ズベキスタン銀行協会,Uzbekistan Banking Association)において,“After the Global Financial Crisis”.
13 2009年3月3∼7日にマニラにおいてアジア開発銀行関係者と東南アジア金融情勢,イスラム金融及び中央ア
ジア経済問題について意見交換.
14 早稲田大学ファイナンス研究センター(日本橋)主催の研修における「国際通貨制度論」の講義(2008年5月14−16日).
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