「小さな事から大きな事へ」

高校の部
最優秀賞
「小さな事から大きな事へ」
大田高等学校
山
下
大
1年
智
(やました
だいち)
私がまだ小学生や中学1年だったときには、
「人権」という言葉についてあま
り考えたこともなく、ほとんど耳にしたこともありませんでした。しかし、最
近ではニュースでも頻繁に使用されたり、授業などでも人権についての話し合
いをしていたりと身近に「人権」という言葉についてふれるようになりました。
人権といえば最近ではいじめがすぐに頭に浮かびます。いじめは高校生である
私にとって決して関係のない話ではないと思います。そこで、いじめについて
考えてみたいと思います。
これは中学生の時、実際経験した話です。教室で先生を待っていた時です。
ある人がA君に芸能人のマネをしてと言いました。A君はみんなの前でものま
ねを見せて教室が笑いでつつまれました。その後、B君にも芸能人のマネをす
るよう誰かが言いました。B君が嫌だと言っているにも関わらず、クラスメイ
トはA君もやったんだからといってB君に頼みましたがB君はとても嫌がって
いました。
このことから、私は、人それぞれ個性があり、同じことを言われたとしても
受け取り方が全然違うということを感じました。A君は人前でおもしろいこと
ができる、ヤッターと思っていたかもしれませんが、B君からしてみれば嫌が
らせだと感じていたかもしれません。私の学校ではこのできごとで終わり、こ
の先何もありませんでした。しかし、最近よくニュースで目にする学校のいじ
めはこのようなことがきっかけでおきているのかもなと少し恐くなりました。
もし、冗談でみんながやってしまったあの悪ふざけが原因でB君が次の日から
学校にこなくなってしまったら、どうなっていたのでしょうか。もちろんその
可能性もあります。いじめというものはその様な小さな事から大きな事へ発展
してしまうことだということも分かりましたし、いじめは身近に起こりうると
いうことも分かりました。
そして先日のことです。今のクラスで同じような場面がありました。クラス
メイトからひやかされているというまさにあの時のB君の時と同じでした。私
は笑いを混じえながらではありましたが、それをとめることができたのです。
その後、私はその子にあのときは助かったよ、ありがとうと言われました。も
し、その子がA君のように人前で何かをすることが好きだったとしたなら、私
はその邪魔をしたことになります。しかし、私はその子に感謝されたことで、
自分は邪魔はしなかった、B君のようにさせないで良かったと思いました。
いじめというのは、大きくなってしまうとクラス全員と一人のような状態に
なってしまい、みんないけないと思っていても、勇気を出してとめる人は出に
くいです。もちろんそういう状態であっても勇気を出してとめることも大切で
す。しかし大きくなる前の、まだいじめに発展していない時であれば、簡単に
とめることができるのだと思います。今回の私のとめ方が正しかったのかは分
かりませんが、結果として喜んでもらったので良かったのかなと思っています。
また、最近では、SNS、LINE などを使ったいじめなどもニュースでた
くさん目にします。LINEなどの場合、限られた人でしかやりとりの内容を
知ることはできません。もし、その中でいじめに発展しそうな事が起きていた
としても、なかなか小さいうちに誰かが気付いてとめるということは難しいと
思います。そういう場合には、信頼している友達や家族などに、「昨日LINE
でみんなからこんなことされて、嫌だったんだけどあの人たちにやめてって言
ってくれん。
」と直接相談するということも大切だと思います。
このように、いじめというのは本当に身近に起こりやすいものであり、私が
経験してきたこうした話は数えきれないくらいたくさんあると思います。数え
きれないくらいたくさんある中で、最初に述べたA君のように何も気にならな
い人もいれば、B君のようにとても気にしてしまう人もいます。みんなが同じ
人だとは思わず接していくことが大切だと思いました。そして、もし誰かが嫌
がっているのを見たら、いじめに発展する前の小さな時にとめる事の大切さも
私は学校生活の中から分かりました。これからも、身近にあるささいな嫌がら
せからとめていきたいです。