心理学概論

心理学概論
伊田 行秀
科目番号
0319
配当学期
通年
単位
2
クラス
000
研究室
5号館07-01号室
学習概要
大学の授業科目の中で心理学という学問ほど一般にもたれているイメージと実際の内容が大きく異なる科目は
ないかもしれない。テキストを読み始めると、ほとんどの受講生がこの点に驚かされるであろう。第0章「心理学
とは」をまずじっくり読んで、心理学における「心」の捉え方、「心理」に対するアプローチの仕方をよく理解
してほしい。この章を通読するだけでも、心理学のイメージは大きく変わり、心理学が占いやゲームのようなも
のではなく、科学であること、あるいは少なくとも科学であることを目指していることがわかるはずである。本
科目は、「心理学概論」という性格上、心理学の幅広い領域における基礎的な知識の修得を目標としている。第1
章以降は、心理学の基本的な領域別にこの知識をまとめる形になっている。第0章に引き続いてこれらの章を通読
し、本科目の目標を高いレベルで達成してほしい。なお、テキストの内容を補う意味で、やや応用的な内容、あ
るいは比較的新しい内容を含む書籍や、テキスト用に作られた平易な書籍を参考書として挙げておいたので、こ
れらにもぜひ積極的に取り組んでほしい。
到達目標
心理学がどのような問題に取り組んでいるのか、すなわち心理学の研究対象について、心理学の幅広い領域に
わたって理解できるようになる。
心理学の研究がどのような方法で進められているのか、実験や観察、調査などの具体的な研究例とともに理解
できるようになる。
使用テキスト
著者
北尾倫彦・中島実・井上毅・石王敦子
書籍名
グラフィック心理学
発行所
サイエンス社
心理学の学習やリポート作成のためにまず通読することが必要です。
参考書
著者
梅本堯夫・大山正 編著
榎本博明
中島義明・繁桝算男・箱田裕司 編
小笠原喜康
河野哲也
書籍名
心理学への招待
はじめてふれる心理学
新・心理学の基礎知識
大学生のためのレポート・論文術
レポート・論文の書き方入門
発行所
サイエンス社
サイエンス社
有斐閣
講談社
慶應義塾大学出版会
テキストの内容を補う意味で、やや応用的な内容や新しい内容を含む書籍を3冊挙げておいたので、ぜひ積極
的に取り組んでほしい。またリポートの書き方について2点の書籍を挙げておいたので、リポート作成の際に活用
してほしい。
リポート課題
書式:横書 ワープロ:可
課題
「心理学の対象と方法」
課題の説明
本課題は、心理学を人の心理状態や性格を当てるゲームや占いの類とみなすような誤ったイメージが一般に広
まっていることを念頭において選んだ。心理学がどのような考え方から出発して、どのような対象をどのような
方法で研究しながら成立してきたのか、基礎的な内容を理解することを通じて、しっかりと把握してほしい。そ
のためにも、テキストはまずきちんと通読してほしい。
なおリポートの書き方については、参考書として2点の書籍を挙げておいたので、これらを参考にして、リポー
トの書き方の基本を確認しておいてほしい。
リポート作成について
「心理学の対象」については、少なくともテキストの第1章から第7章の内容(知覚、記憶、思考、社会的認知、
感情・動機づけ、パーソナリティ、発達)は取り上げること。テキスト以外の文献を利用する場合にも、概ねこれ
らに相当する内容は必ず取り上げること。その際、特に重要と思われる内容、あるいは個人的に特に興味を覚え
た内容を具体的に紹介すること。ただ専門用語を連ねるだけの紹介ではなく、心理学の知識の全くない人が読ん
でもわかるような丁寧な説明を心がけてほしい。
「心理学の方法」については、テキスト等の中から適切な研究例を引き、まとめること。特にこの部分は、実
験や調査等の具体的な例(実験等に使った材料や手順、結果など)がないと、心理学の方法がどのようなものな
のかを伝えることは難しいであろう。
テキストの文章の書き写しは論外であるが、本テーマではそのようなやり方でリポートがまとめられるとはそ
もそも考えられない。一般的なまとめ方としては、対象については、章ごとにその全体、あるいはできるだけ広
い範囲の内容に関わるような記述を取り上げてノートに書き出し、そのような記述から章のまとめを作成し、な
おかつそのまとめに対応する具体的な研究例を選んで概要をまとめる、という作業を繰り返すことになろう。方
法については、この時に取り上げた研究例の研究方法をそのつど簡潔に紹介する形にすると、比較的容易にまと
めることができるであろう。
盛り込む内容が多くなるので、簡潔な表現を心がけることと、心理学の「方法」に関する記述を省かないこと
に、特に留意してほしい。この2点は、リポートの再提出が求められることとなる主な原因になっている。
また、「序本結」の形式になっていないリポートがしばしば提出される。リポートに慣れていない場合には、
事前に一般的なリポートの書き方を確認しておいてほしい。
リポートは提出すれば終わりではなく、再提出を重ねるのが通常である。リポートが返却されたら担当者のコ
メントをていねいに読んで、何度でも書き直すつもりで取り組んでほしい。
単位修得試験要項
持込:不可 筆記用具:自由
1. ヴントの心理学、ゲシュタルト心理学、精神分析学、行動主義心理学について説明しなさい。
2. 我々が我々の周囲の物理的世界をありのままに知覚しているのではないことを、実例を挙げて、できるだけ
多面的に説明しなさい。
3. 文字の認知におけるボトムアップ処理とトップダウン処理について説明しなさい。
4. 記憶の種類と忘却のしくみについて説明しなさい。
5. 知識に関する階層的ネットワーク・モデルと活性化拡散モデルについて説明しなさい。
6. 推理や確率判断において生じやすい誤りやバイアスについて説明しなさい。
7. 知能検査の例をあげながら、知能指数と知能偏差値の違いについて説明しなさい。
8. ハイダーのバランス理論について説明しなさい。
9. 個人の認知に対する集団の影響と、集団の認知に対する個人の影響について、外集団と内集団の違いに言及
しながら説明しなさい。
10. 感情体験における生理的要因と認知的要因について説明しなさい。
11. 動機づけの種類にはどのようなものがあるか。欲求や認知過程との関連から説明しなさい。
12. 性格の理解と診断のための方法について、具体的な例を挙げながら説明しなさい。
13. 主な防衛機制の種類を5つ、具体例を挙げながら紹介し、防衛機制のもつ適応的機能について説明しなさい。
14. 自己および自己概念の発達について説明しなさい。
15. 認知の発達段階に関するピアジェの理論を、具体的な発達的特徴を挙げながら説明しなさい。
オフィスアワー
場所:研究室(5-7-1)
時間:木曜日12時から1時間程度
連絡方法:メール
説明しなさい。