<車両作成における注意点> 全国ソーラーラジコンカーコンテスト 車検委員長 内田哲聖 2008 年度大会において色々と問題点が見られたので、今後の運営をスムーズに行う上での改善すべ き点と改善項目を記述するものです。 車両に関する問題 1. 電源コネクターの問題 今年度よりコネクターの形式が変更となったが、指定コネクターを使用していなかった。 また、回路図上のコネクター取り付け位置を間違って理解しているチームがあった。 <対策は> 配線については基本回路図に従ってもらうのが一番良い。 配線は確実に取り付け、無駄な配線を減らせばトラブルも減る。 2. 配線切れの問題が多い ソーラーパネルからの配線の取付けが不確実で断線する例が多い。 配線の取り扱いとハンダ付けの作業ミスによる断線が多く見られる。 いざレースといった時に動かないトラブルは配線切れが主な原因であった。 <対策として> コネクターのハンダ付けを確実に行うことが必要である。 配線の取り扱いも重要です。 3. コンデンサーの逆接続が多く見られる コンデンサーの逆接続ではソーラーパネルで発生した電力がきちんと貯まらないので走行不能の原因になる。 また、一度逆接続で逆充電したコンデンサーは内部が壊れてしまうので電気が貯まらなくなる。 <対策として> コンデンサーの表面パッケージの黒い筋がある側がマイナス極である。 1 4. コンデンサーの使用上の問題点 間違った使い方は、並列接続にしたコンデンサーに直列接続したソーラーパネルを接続して使用している物 を見かける。 電気部品としての電気的性能が決まっているにもかかわらず誤った利用方法で過電圧を加えて壊している。 コンデンサーのラベルに書いてある電圧は、部品としての絶対定格であるので、その電圧を守らないで使用 するとコンデンサーが壊れてパネルからの電気が貯まらない、結果としてモーターを回せる電力が貯められ ないので速度が出なくなるか、動かなくなる。 部品の耐圧 5.5Vにパネル3枚分の電圧 9Vが印加されると部品メーカーの動作保障電圧を超えてい る為コンデンサーが劣化し必要な電力を貯める事が出来なくなる。 車検の時にこの問題点を指摘しても聞き入れないチームが見られた。 <対策として> 配線の逆接続による逆電圧や定格を超えた電圧を与えるとコンデンサーが性能劣化し、発熱や液漏れなどに より内部が破損しソーラーパネルからの電力を保持できないので結果として走行に支障をきたす。 この問題を防ぐには回路図の事前審査を行い問題点を指摘し改善してもらう事で、走行不能の車両を減らす 事が出来る。 5. 電源回路が正しく設計されていない ソーラーパネルとコンデンサーの回路と配線の関係が正しくない車両が多い。 コンデンサーを直列接続してパネルを直列接続しているが電気的に間違った接続回路が多く見られる。 コンデンサーを直列接続すると回路電圧は高くなるが、コンデンサーの容量は1/3になり電力の利用効率が 悪く電圧が不安定なるので外乱に弱くなる。 曇りになると急に速度が落ちたり止まってしまう車両のほとんどがこの回路構成である。 <対策として> パネルとコンデンサーの関係はそれぞれがペアになっていないと、パネルで発生した電力が生かされずに電 圧が不安定になり車両が動かなくなる物が多い。 ソーラーパネルはコンデンサーとソーラーパネルが一対になった回路が正しいので、この構成を守ってもら うのが一番トラブルがない。 パネルで発生する電力量を適切に利用できる電源回路と負荷回路設計が重要である。 2 6. トランスポンダーの問題 トランスポンダーを搭載する場所を設けていない車両が多く見られた。 また、トランスポンダーの脱落による失格も減らないので、車検の際に指摘し搭載場所を設けさせた車両が あります。 <対策として> 競技参加ルールを良く見ていない事で起こっているので競技ルールの周知が必要です。 必ず取り付けのための穴か場所をシャーシーの設計段階から考慮するように参加車両規定を整理してもっと 判りやすくする。 ラジコン装置の取り扱いが正しくない 1. クリスタルの取り扱い 送受信機のクリスタルの取り扱いがめちゃくちゃである。 クリスタルをちゃんと管理していない為か、バンド番号を確認しないで組み合わせて使ってしまい動かなく なっているチームが見られる。 送信機用 TX 受信機用 RX をペアで使用しないと正しく動かないが、実際には送信機用を プロポと車体側に入れていることがある。 クリスタル貸出所で誤って送信機用を2個貸し出した人為的な問題もあった。 <防止方法> 使用するクリスタルには表示があるので必ず確認をする事で防げます。 プロポ(送信機)には“TX“や“T“と表示されており、受信機(車体側)には”RX“や”R“と表示 されていますので、基本を守って良く確認していれば起こらないものです。 この点では2008年度より使用を認めた2.4GHz方式のプロポですとクリスタルを使用しませんので、 バンドがらみの問題が無くなりプロポの取り扱いがもっと楽になります。 この方式のプロポがもっと普及すれば、このような初歩的ミスによるトラブルが発生しなくなります。 2. プロポ自体の使用方法 送信機のメーカーと受信機のメーカーが別物を組合せていた為に正常に動かない。 プロポの取り扱い説明書を良く読んでいない事で起こっている。 必ず、指定されたものを使用して正しく取り扱うことが重要である。 <使用方法は> ラジコン装置について、それぞれの機器はその製品メーカーの物同士での組合わせで性能を発揮するように 設計されているので、異なる製品同士を組合わせると正常に動きません。 正しい使用方法を守る事で無用なトラブルを防ぐ事が出来ます。 3 3. 操作方法について ラジコン装置の取扱いについて正しい操作方法をしていない事が多く見られる。 操作手順を守らないで車両が暴走したり、サーボモーターが動いてモーターが回ったままになっている車両 が見られる。 <正しい操作方法> 正しい操作手順は、スイッチを入れる場合は送信機を先に入れて、その後受信機の電源スイッチを入れます。 スイッチを切る時は車体側の電源スイッチを先に切り、次にプロポ(送信機)のスイッチを切ります。 必ず、スイッチを入れるときは送信機から、切るときは車体側を守ればトラブルは防げます。 スピード・コントローラーについて ソーラーラジコンカーに使用されるソーラーパネルから供給される電力量では、通常のラジコンカー用スピ ード・コントローラーを正常に動かす事が出来ないので使用してもまともに回路が動作しない。 <動作しない理由> ラジコンカー用のコントローラーは回路の動作電力が多く必要な為に、ソーラーパネルからの電力では容量 が不足して回路が正常に動作しない事が多い。 <対策方法は> 基本的に動力バッテリーを使用する回路設計になっているので、使う場合は適切な物を選ぶか、回路を工夫 しないと上手く動作させられないので使用するのは避けた方が良いです。 電力昇圧回路について 電源回路部分に電圧昇圧回路を組み込んでいる車両が見られたが、回路自体の機能を理解していないために モーターが動作しない車両が見られた。 <動作しない理由> 回路を動かすためにも電力を使用するのでソーラーパネルからの電力では足りない為に動作が上手くいかな いのです。 コイルを使用したDC-DCコンバーター回路で作られた電圧はモーターを駆動するのは可能であるが、回 路が発生できる電力量は入力電力に依存するので、実際には回路自身の能力があってもソーラーパネルから の電力が足りなければモーターを駆動する事が出来ません。 コンデンサーチャージポンプ式昇圧回路ではモーターを回せるだけの電力を供給できないので、実際に使用 することはできません。組み込んでも回路自体が無意味になります。 4
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