三重大学医学部附属病院 臨床研究講習会 資料 2009.4.27. 臨床研究倫理指針の改定(2008) の概要と対策 三重大学医学部附属病院 臨床研究開発センター 三重大学医学部臨床創薬研究学 NPO みえ治験医療ネット 西川 政勝、田丸 智巳 ここに記載された内容は、厚労省の規定、 ガイドラインに沿って作成しましたが、私ど もの個人的な見解です。 今後も内容が更新されます。 治験中核病院と治験拠点病院の分布(2007年~治験活性化5ヶ年計画) “選択と拠点化”(2007)から“特色づくり” (2008)が求められている “みえ治験医療ネットワーク”構築事業は、2004, 2005年の治験推進事業(厚労 省)に採択され、その治験ネットワーク事業業績が高く評価され、三重大学医学部 附属病院が2007年から開始されている治験活性化5ヶ年計画(厚労省)の治験拠点 病院に採択されました。 厚労省「治験活性化5ヶ年計画」により 期待される治験・臨床研究の姿 ①治験・臨床研究のコスト、スピード、質が米国 等諸外国並に改善されている。 ②国際共同治験の実施数がアジア周辺国と同 等以上の水準まで向上している。 ③質の高い最先端の医療の提供を確保し、国民 が安心して治験・臨床研究に参加することが 出来る体制が確保されている。 “世界に遅れることなく、優れた新薬を日本の患者様に提供する” 創薬と育薬 象 動物 非臨床試験 実験室内における製薬( 合成) 対 ヒ 第1相 健常者 第2a相 患 者 第2b相 患 者 ト 第3相 患 者 第4相(製造販売後) 研究者主導臨床試験 患 者 厚労省 承認 治験 EBM 臨床試験 疾患ガイドライン 創薬 GLP GMP 薬事法、GCP(厚労省令) 育薬 臨床研究倫理指針(2008) 薬事法に基づく承認と保険適用 (薬事法,GCPに基づく 製造販売承認) 医薬品の候補 医療機器の候補 体外診断薬の候補 治験 厚労省 申請/承認 厚労省医政発第0331022号(H20年3月31日) 新医療技術の候補 (例:○○内視鏡 先進医療 未承認薬・機器を使用する場合 による△△手術) 高度医療評価制度 保険外併用療養費 制度の適用 保険収載 保険収載 (例:生体肝移植) 新規適応 新医療技術 エピデンス(EBM)の形成 その他の臨床試験 臨床研究倫理指針(2008) 例:併用療法 新評価指標(生存期間、有害事象等) 個別化医療 科学者の行動規範(日本学術会議2006) 11項目 「科学者の責任」、「科学者の行動」、 「自己の研鑽」、「説明と公開」、「研 究活動」、「研究環境の整備」、 「法令の遵守」、「研究対象などへ の配慮」、「他者との関係」、「差別 の排除」、「利益相反」 不正行為 「組織の運営に当たる者の責任」、 「研究倫理教育の必要性」、「研究 グループの留意点」、「研究プロセス における留意点」、「研究上の不正 行為等への対応」、「自己点検シス テムの確立」 不正行為の不全型 ①捏造 ②改竄(Cooking, Trimming) ③剽窃(盗用) 不適切でゆがん だ価値観 不正行為を生みや すい研究環境 World Medical Association(WMA) ヘルシンキ宣言の規律事項(2008年版) A. 序言(1~10) ●適用範囲:人・人由来試料・情報 ●医師の責務:人類・患者の健康 ●益と危険の比較考量・危険の管理 ●個の倫理>集団倫理 ●弱者の保護 ●倫理・法規制への要請 B. すべての医学研究のための基本原則(11~30) ●被験者の保護は研究者の責務 ●科学的妥当性 ●環境・動物に配慮 ●実験計画書の作り込み・独立倫理委員会・利益相反 ●被験者のインテグリティ(完全無欠性)の保持、個人情報保護 ●同意原則:情報提供・自由意思・撤回の自由・代理同意 ●被験者募集前に一般的にアクセス可能なデータベースに登録の義務化 ●ヒト由来試料またはデータの再利用の同意と倫理委員会審議 ●研究者の適正な科学的訓練と資格 ●先行研究に基づくリスク・ベネフィット事前評価 ●著者・編集者・発行者の倫理的責務 編集者 C. メディカル・ケアと結びついた医学研究のための追加原則(31~35) ●新しい治療法は最善の標準治療と比較、 ●証明済の方法が存在しない場合のみプラセボ使用可 ●研究終了後証明された治療法(研究成果)の入手可能性の保証 ●情報公開 臨床試験・治験を適正に行うために 必須事項 (コアカリキュラム プロトコール 科学性 目的(エンドポイント) 方法(比較試験、RCT等) 評価・解析 GCP等 信頼性(規定) ヘルシンキ宣言(ソウル2008改 ) 薬事法, GCP, 高度医療評価制度 各種倫理指針 インフォームドコンセント(IC) 倫理性 被験者保護とIRB(EC) ) 個人情報保護(匿名化) 補償保険 研究チーム(医師,生物統計家,DM,CRCなど支援スタッフ) 用語と定義 教育と研修が必要です! 三重大学病院「臨床研究開発センター」の体制 病院長 IRB(治験審査委員会) 病院臨床研究倫理委員会 臨床研究開発センター センター長 病院内各種センター機構 ●臨床試験グループ ●血管内治療センター ●院内がんセンター (トランスレーショナルリサーチを含む) 臨床研究開発センター 運営委員会 センター長補佐 病院事務部 副センター長 血小板機能検査室 臨床検査技師1名 産学連携研究員 1名 ●オーダーメイド診療部 メディカル バンク みえ治験医療ネットワーク みえ治験支援システム (MiCTSS) (セントラル)モニター 治験・臨床研究 管理部門 事務員 2名 (+1名) 併任事務員 3名 MiCTSS: Mie Clinical Trial Support System TR: トランスレーショナルリサーチ 生物統計部門 生物統計家 1名 臨床研究 コーディネーター部門 臨床試験推進 室(TR室) 薬剤師CRC 2名 室長1名(助教) (+専任薬剤師CRC1名) データマネージャー1名 専任看護師CRC 5名 (CRC兼務) データセンター 三重大学 総合情報処理センター(SAS) 産学連携医学研究 推進機構 治験拠点病院として治験ばかりでなく臨床試験をトータルにサポートする基盤整備を行い、多施設 共同臨床試験の推進を図る(2004年度より三重大学病院の中期計画に策定、人材、ソフトウェア、設備 など基盤整備に努める) 臨床研究開発センターの目的 1. 治験の推進: 新薬の早期投入は社会的使命 病院の経営基盤の強化 医師主導治験, Global治験の推進 2. 自主臨床研究の支援: EBM、業績創出 臨床研究の質の向上 臨床統計家による支援・教育(2007) 割り付け業務の開始(有料2008) IgA腎症, ループス腎炎, MERIT, SURF, etc DMおよびCRCによる支援(有料2008) J-DOIT3, 新型インフルワクチン(2件), ProGEAR, Magic等 臨床研究倫理委員会のサポート(2009) CRC: 7名臨床研究コーディネーター(臨床薬理学会認定CRC2名) DM: Data Manager(癌治療学会認定DM 1名) 20国文科振第30号平成20年10月6日 臨床研究に関する倫理指針の改正(2008)等について (通知) 記 貴職においては、 以下の事項に関して御協力方をお願いするもので あること。 1. 指針の規定の実効性担保のため、 貴職又は関係機関が交付する 研究費の支給において、 倫理指針への適合性を交付の要件とす るなどの対応を行うこと。 2. 厚生労働大臣及びその委託を受けた機関が実施する指針に対する 適合性に関する調査結果について、 当職から貴職に通知する等 の協力を行うものであること。 3. 関係機関において臨床研究を実施する場合、 臨床研究の同意や 事務を補助するための臨床研究コーディネーターを活用できるよう 努めること。 4. 貴職又は関係機関が交付する研究費の支給において、 臨床研究 を実施する場合、臨床研究の事務局、 倫理審査委員会等が運営 できるよう、 またスタッフを確保し、被験者の健廉被害に関する補 償保険を利用できるよう、 対応を図ること。 「臨床研究に関する倫理指針」の主な改正点 H20年厚生労働省告示第415号 1. 全体に関する規定・個人情報保護等 • 臨床研究の多様な形態に配慮した規定(介入研究と観察研究、侵襲と非侵襲) • 観察研究のインフォームド・コンセント、検体の保存、提供、利用について(疫学研究倫理指針と同等 の規定を整備 ) 2. 研究者等の責務 • 臨床研究実施に際しての研究者等への研修受講の義務づけ • 医薬品・医療機器による予防、診断、治療方法に関する臨床研究(体外診断を目的とした研究を除く) においては、健康被害発生時の補償のために事前に補償保険等の手段を講ずることを求める • 侵襲性を有する介入試験については、臨床研究の公表を目的とするデータベースへの登録を求める 3. 臨床研究機関の長への責務 • 侵襲性を有する介入研究で発生した予期しない重篤な有害事象、不具合については対処内容の公 開、及び、その内容の厚労大臣等への報告を求める • すべての臨床研究において、重大な指針違反が判明した場合には、対処内容の公表及び厚労大臣 等への報告を求める 4. 倫理審査委員会 • 研究機関の長から他施設の倫理審査委員会への倫理審査の依頼が可能となる。(現指針では、臨床 研究機関が小規模の場合に限っている) • 倫理審査委員会設置者は、倫理審査委員が研修を受講するよう努めることとする • 倫理審査委員会については、定められた事項について、年1回、厚労大臣等への報告を求める 5. その他(指針周辺の検討事項) • 臨床研究保険(補償保険+損害保険)については、国内民間保険会社3社が治験と同等の保険を商 品化 臨床研究倫理指針(2008)のQ and Aの抜粋 Q1-3 診療目的で収集したデータを診療の質向上のために検討した結果、学会等で研究発表する価 値があるとして発表する場合 学会等公開の研究発表を意図していることから、単なる個別の症例を紹介する症例報告といった特 殊な場合を除き、本指針の適用範囲と解され、臨床研究計画書の作成、倫理審査委員会の承認と いった指針の該当規定の充足が必要であると考えられる (症例数や処理内容、公表の場、公表対象と いった観点で判断 ) Q1-6 健康成人を対象とした臨床研究 健康成人に対して医薬品を投与したり、医療機器を適用したり、あるいは手術等は、本指針の第 1.3(2)でいう「医療行為」 Q1-7 臨床研究の倫理指針の対象 「通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するもの」 「通常の診療を超えた医療行為」とは一般的に広く行われている医療行為以外、例えば、医学的に効果 などが検証されていない新規の治療法のことなどを指す Q1-8 介入研究にあたるものの範囲は、治療、診断、予防等の医療行為 臨床研究の例としては、看護ケア、生活指導、栄養指導、食事療法、理学療法、作業療法、地域保健 サービス、国際保健サービス等 Q5-5 「残存検体」の二次利用に関しては、検査室内の測定器械の精度管理等の業務に関するもの は研究とは考えず無条件利用できると考えている。-----------本指針臨床研究に該当する可能性があります。無条件で利用できると指摘している「測定機器の精 度管理等」であっても、診断精度向上を目指す等、研究性を帯びている場合には、本指針に該当する 可能性があるので、本指針への該当性について本指針の関係各項を確認する必要 エビデンスのピラミッド エビデンスの強さ 臨床研究倫理指針 2(008 ) メタアナリシス 無作為臨床試験(RCT) Prospective 前向き研究 コホート研究 Retrospective ケースコントロール研究 (症例対照研究) 後向き研究 介入型試験 ケースシリーズ(一連の症例集積) ケースレポート(症例報告) 総説,専門家の意見や考え 一般に観察 研究と分類 されている 今回の臨床研究倫理指針の改定を踏まえて大 学病院で取り組まなければならないこと 1.学内規定(SOP)の改定と倫理審査申請書類の改定 利益相反(COI)書類の提出、匿名化の遵守 補償保険の有無 2.臨床研究倫理委員会事務局の立ち上げとマニュアル作成 研究計画書、有害事象等の提出書類の管理、保存 ホームページでの情報公開、自己点検、厚労省の調査への対応 3.倫理委員会の意識改革 有害事象管理と進捗状況の把握 4.臨床研究者への啓発 研究計画書作成支援(生物統計家とDM)、DB登録の義務づけ 5.被験者個人情報の管理 匿名化の作業とデータセンター、サンプルの匿名化保存(メディカルバンキング) 6.研究倫理の教育・講習の義務化 医学部教育から研究倫理、被験者保護、臨床試験に関する教育が必要 厚労省からのQ and Aが公開(H20年12月26日) 三重大学におけるヒトを対象とする研究に関する委員会 部局長名 対象とする研究 医学系研究科長 疫学研究 ヒトゲノム・遺伝子解析研究 特定杯を取り扱う研究 ヒトES細胞研究 →医学部研究倫理委員会 その他ヒトを対象とする研究 医学部附属病院長 臨床研究 (ヒトゲノム・遺伝子解析研究を含む) →病院臨床研究倫理 委員会 ヒト幹細胞臨床研究 遺伝子治療臨床研究 →遺伝子治療研究倫理委員会 治験(GCP) →治験審査委員会(IRB) 工学研究科長 ヒトを対象とする工学系の研究 生物資源学研究科 長 ヒトを対象とする生物資源学系の研究 規定(SOP)を定めるのは比較的容易だが、運用・実施はなかなか大変で 人材(CRCと事務局員etc)の確保と基盤整備が重要! 三重大学医学部および病院の研究倫理審査体制の変更 医学系研究科長 病院長 医学部チーム(事務局) 臨床研究 開発センター 研究倫理委員会 (事務局) 病院部会 疫学 観察 臨床研究 介入 医学系研究科長 医学部チーム (事務局) 病院長 病院事務部企画第一係 医学部研究倫理 委員会 IRB 臨床研究開発センター (事務局) 病院臨床研究 倫理委員会 治験 IRB 治験 疫学 観察 介入 臨床研究 臨床研究の倫理性、科学性、信頼性を確保するため、治験 のノウハウを研究者主導臨床試験に活用する。 臨床研究と疫学研究 区分 臨床研究 形態 研究例 指針等 の適用 観察研究 (個別) 介入研究 医薬品・医療機器を使用 ♦治験以外の 医薬品・機器 の主として適 用外使用によ る研究(対外診 断目的を除く) 医薬品の 臨床試 験の実施 の基準に 関する省 令 (GCP省 令) 「臨床研究に関する倫理指針」 医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病 原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的とする医学 系研究で人を対象とする、介入研究及び疾学研究を含まない観察研究 ※ヒトゲノム指針、遺伝子治療指針、ヒト幹細胞指針等他の法令及び指 針の適用範囲に含まれるものを除く 区分①-2 治療等の医療行為 医療行為外 の介入研究 医薬品・医療機器を使用しない ♦薬事法 上の治験 (企業主 道) ♦薬事法 上の治験 (医師主 導) 区分①-1 ♦侵襲性を伴 わない診断 機器に関す る研究(体外 診断研究) 観察研究 (集団) ♦手術方法の 比較等物を対 象としない研 究 ♦診断技術の 比較研究 ♦看護ケア, リ ハビリ等の行 為に係る比較 研究 区分② ♦患者や検体(診断 を伴う)の個別的研 究 ♦患者のカルテ情報 等による個別的研 究 ♦看護、栄養指導等 による患者の病態 の予後やQCLの観 察に係る研究 区分③ ♦患者の検 体(診断を 伴う)の集 団的研究 ♦患者のカ ルテ情報 等による 集団的研 究 健康人の健 康食品等の 健康増進に 関する研究 「疫学研究に関する倫理 指針」 人の疾病の成因及び病態 の解明、予防、治療の確 立を目的とする疫学研究 ※法律の規定による調査、 他指針によるもの、医療行 為を伴う介入研究除く 他の人を被験者とする科学研究 医薬品 ・機器 疫学研究 医療機器のリスクに応じたクラス分類と製造販売承認等の要否 不具合が生じた場合でも、人体への リスクが比較的低いと考えられるもの (例)MRI、電子式血圧計、電子内視 鏡、消化器用カテーテル、歯科用合金 クラス4 患者への侵襲性が高く、不具合が生じ た場合、生命への危険に直結する おそれのあるもの (例)ペースメーカー、人工心臓弁 ステント 高度管理医療機器 不具合が生じた場合、人体への リスクが比較的高いと考えられるもの (例)透析器、人工骨、人工呼吸器、 バルーンカテーテル )一般医療機器 管理医療機器 不具合が生じた場合でも、人体への リスクが極めて低いと考えられるもの (例)体外診断用機器、鋼製小物、 X線フィルム、歯科技工用用品 機器分類 日 (本 国際分類 クラス1 クラス2 クラス3 リスクによる医療機器の クラス分類 販売規制 製造販売 承認の要否 販売業の 届出不要 承認を要しない 製造販売 承認不要 第三者 認証制度 販売業の 届出制 販売業の 許可制 製造販 売承認 (大臣承認) 原則として治験不要 一部のもので治験必要 原則として治験必要 臨床研究の定義 臨床研究の定義と区分 医療における疾病の予防法 、診断方法及び治療方法の改善、 疾病原因及び病態の理解並びに患者 の生活の質の向上を目的 として実施される次に掲げる医学研究であって人を対象とす るもの(他の法令及び指針の適用範囲に含まれるものを除 く) 健康被害に対する補償措置等 ①-1 介入(※2)を伴う研究で医薬品又は医療機器を用 いた予防、診断又は治療方法に関するもので体外 診断目的以外の研究 健康被害に対する補償のための保険そ の他必要な措置を講じ、その内容につ いて十分説明と同意 ①-2 介入を伴う研究で医薬品又は医療機器を用いた予 防、診断又は治療方法にかんするもので体外診断 目的の研究 健康被害に対する補償の有無について 十分な説明と同意 ② ①以外の介入を伴う研究 ③ 介入を伴わず資料等を用いた研究で疫学研究を含 まないもの 資料等の探取が侵襲性を有する場合に は補償のための措置の有無について十 分な説明と同意 ※1 侵襲とは、投薬、医療機器埋込み、穿刺、外科的な治療、手術等、被験者に対する危険性の水準が 一定程度以上の医療行為をいいます。(試料等のための採血、穿刺を含みます。) ※2 介入とは、予防、診断、治療、看護ケア及びリハビリテーション等について次の行為を行うこと。 ♦通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するもの ♦通常の診療と同等の医療行為であっても、被験者の集団を原則として2群以上のグループに分け、そ れぞれに異なる治療方法、診断方法、予防方法その健康に影響を与えると考えられる要因に関する作 為または無作為の割り付けを行って、その効果等をグループ間で比較するもの 研究者等の教育機会の確保と臨床研究の流れ 臨床研究機関の長 研究者等に対して、開始前までに臨床研究の倫理に関する講習その他 必要な教育を受けることを確保しなければならない 自己点検(病院長)と調査(厚労省) 議事録の公開 研究倫理、科学性、利益相 反、有害事象対策、等(補 償 etc) UMIN登録 研究者等の教育 適切な処置と報告 臨 開始 床 SAE 研 究 研究倫理 講 臨床研究の実施 委員会 習 会 受 講 認 ●研究計画書(医薬品概要書) 定 ●インフォームドコンセント(被験者用説明文書) 書 進 捗 状 況 の 報 告 ●倫理委員会審査申請書(利益相反自己申告書, 資金源) ●個人情報保護と匿名化の手続き ●医薬品・医療機器については補償保険の有無 臨床研究手続きの流れ 書類1部とこれらの電子ファイル(CD-R)を提出してください。 研究責任者 書類提出 提出書類 病院事務部 総務課企画第一係(5709) 病院臨床研究倫理審査委員会 審査・提言 病院長 • 倫理審査申請書(書式1) • 研究計画書 • 同意説明文書 • 被験者同意書 • 利益相反自己申告書 • 臨床研究講習会受講認定証(またはそ れに該当するもの)のコピー 許 可:審査結果通知書(書式3) 不許可:臨床研究に関する指示・決定通知書(書式5) →修正して再提出 研究責任者 臨床研究データベース(UMINなど)への登録 研究開始 提出書類 研究計画等の変更:研究計画変更申請書(書式2) 重篤な有害事象の発生:重篤な有害事象に関する報告書(書式4) 進捗状況の報告(年1回:12月31日まで):臨床研究経過報告書(書式6) 研究終了(中止・中断) 提出書類 臨床研究終了(中止・中断)報告書(書式7) 臨床研究講習会受講認定証 受講証に代わるものとして 臨床研究講習に関する情報(e-learning) ①.ICRweb http://www.icrweb.jp/icr/ ②.臨床試験のための e Training Center (https://etrain.jmacct.med.or.jp/) 日本医師会治験促進センター でも可能です。 Linkをさせていただくことの許可を ICRweb事務局(国立がんセンター山本 精一郎先生)および日本医師会治験促 進センターより得ております。 研究者等の臨床研究関連の教育受講義務 臨床研究機関の長の教育の機会確保義務 臨床研究講習に関する情報(e-learning) ①.ICRweb http://www.icrweb.jp/icr/ ②.臨床試験のための e Training Center (https://etrain.jmacct.med.or.jp/) 日本医師会治験促進センター みえ治験医療ネットワークおよび臨床研 究開発センターのホームページにリンクを 付けます。 みえ治験医療ネットホームページの 医療関係者向けページの関連サイト 臨床研究の書式類 臨床研究経過報告書(書式6) 有害事象報(書式4) 臨床研究終了(中止/中断) 報告書(書式7) 臨床研究機関の長、倫理審査委員会等、研究責任者の関係 意見 ① 臨床研究機関の長 意見 研究責任者 ② 公表 報告 ③ 医薬品・医療機器の介入試験の場合、重篤な有害事象の因果関係判定な ど倫理委委員会と独立した効果安全評価委員会の構築も臨床試験保険と の関連で必要かもしれない 厚生労働大臣等 報告 対応 国民 報告 (侵襲性を有する介入研究で 発生した予期しない重篤な有害事象) 倫理審査委員会等 重篤な有害事象の定義(ICHのガイドライン) 1) 死に至るもの 2) 生命を脅かすもの 3) 治療のため入院または入院期間の延長が必要となるもの 4) 永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの 5) 先天異常を来すもの 「予期せぬ」の定義: 試験薬(試験機器)等の概要書、実施計画書または添付文書から 予期できない有害事象 国民 厚生労働省 公表 侵襲性を有する介入試験における 予期せぬ重篤な有害事象 共同臨床研究機関 医療機関の長 医療機関の長 責任医師 責任医師 因果関係を問わない SAE 臨床研究倫理指針(2008)のQ and A より 補償責任と賠償責任 法的責任の有無 金額の多寡 適用法理 因果関係 賠償責任 違法性が前提・ 法に抵触 個人差あり 民法・PL法 必須 補償責任 違法行為に係る 損失補塡 一律・定額 介入型臨床試験 ― は臨床研究倫理 指針(2008) 必須 治験はGCP 補償内容(患者用) 医法研のガイドライン 補償内容(健常者用) 政府労災給付 臨床研究(介入研究)に係る臨床研究保険の概要 国大協サービス(代理店)ー 日本興亜火災、損保ジャパン、東京海上、 臨床研究に伴ない被験者に身体障害が発生した 法律上の賠償責任の有無あり 原因 なし 臨床 研究 補償責任保険 賠償責任保険 臨床研究保険 補償内容(患者用) 医法研のガイドライン 補償内容(健常者用) 政府労災給付 医療 行為 その 他 医師賠償 責任保険 PL保険/施設 賠償責任保険 など 保証内容に医療費、医療手当、休業 損害、慰謝料は含まれない 保険料はプロトコールの予定被験 者数、期間等による決まる 利益相反とは? 利益相反(COI: Conflict of Interest)とは、 具体的には、外部との経済的な利害関係等 によって、公的研究で必要とされる公正かつ 適正な判断が損なわれる、または損なわれる のではないかと第三者から懸念が表明され かねない事態をいう。 必ずしも回避する必要なく、情報開示やモニ タリング等、透明性を高めることによりマネジ メント可能である。 利益相反委員会(医学部 メンバーは非公 開)による臨床研究者の適切な情報管理 1次COI自己申告書 2次COI自己申告書 IRB(治験)、研究倫理審査申請書類と一緒に提出してください 利益相反とは 企業 謝金 研究費 寄付金等 利益相反状態 利益相反状態 外部資金 公正かつ適正な判断が妨 げられた状態としては、 データの改ざん、特定企業 の優遇、研究を中止すべき であるのに継続する等の状 態をいう 産学連携推進 医療系学術団体、 調査委員会など 医療系施設、機関 臨床研究・臨床試験 の実施と結果・成果の蓄積 新規の診断、治療法、予防 法開発 医療機関 社会への還元 ー標準医療ー 研究結果の発表、公表 ・学術雑誌 ・学会発表 ・ガイドライン策定 ・調査報告書作成 ・市民公開講座など 同意説明文書への研究費 (外部資金)の記載の徹底(H19.6) 左記の記事での指摘 1)財団からの助成を科研費申請時に 記載せず 2)説明文書に資金源を記載せず(倫 理指針不遵守) 説明文書に研究費(外部資金)の 出所を記載して下さい 1)科研費 2)受託研究費 3)財団からの助成金等 臨床試験における匿名化 Anonymization (Anonymity) in Clnical Trials 三井情報開発(株) SNP2000 SCT21 患者情報管理システム 患者情報管理システム 匿名化システム 匿名化システム 実験試料管理システム ゲノム基本データ管理システム 匿名化の完全実施に向けた取り組みが 必要(SOP作成等) 研究者や主治医が自分で行 う「暗号化」は「匿名化」とは 認めない。「匿名化」は研究 や検体提供承諾者に対する 第三者性を有するもの、つま り個人識別情報管理者が行 うものである。 守秘 患者の個人識別情報を含む情報の パソコンでの取り扱い方の注意 • 匿名化の手順書を作成中につき、暫定処置としてサンプ ル、資料(診療情報)は暗号化を各科で行ってください。 • ヒトゲノム・遺伝子解析研究では、個人識別情報を含む データを管理するパソコンはネットワークにつないでは ならない。 (指針で規定されている) • 個人識別情報を含むファイルを入れたままパソコンを捨 てない、人に譲らない。 • パソコンのウイルスチェックソフトを必ず最新版状態に して常時チェックする状態にしておく (三重大学内ではNorton Antivirusは無料でダウンロード可能です ) • パソコンのOS(特にWindows)を常時最新に保つ 個人情報保護は学長等の責務です 第2 2 研究責任者の責務等 (5) 研究計画等の公開 臨床研究機関の長 研究責任者による、臨床研究計画の公開データベースへの事前登録、 研究計画及び成果の公開を確保しなければならない 登録 計画 成果 国民 研究責任者 公開データベース (UMIN, JAPIC, 日本医師会) 公表 第2 2 研究責任者の責務等 (5) UMIN-CTRへの研究登録 全体の流れ ①UMIN IDの取得 既にUMIN IDを保有していれば手続き不要、 すぐにUMIN-CTRへの登録可能 ②登録項目の作成 日本語と英語が必要 選択肢項目も多い 研究実施を承認したIRBに関する情報が必要 ③UMIN-CTRのWEBにて 登録 ④更新および 問い合わせへの対応 ⑤研究結果の登録 所要時間30分程度 半年に1回リマインドメールあり 結果公開の有無のみ必須 UMIN登録手順 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0522-3f.pdf UMIN登録例 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0522-3g.pdf UMIN Clinical Trials Registry (UMIN-CTR) 倫理審査委員会の手順書、委員名簿、会議記録の公開と年次報告 臨床研究機関の長(倫理審査委員会の設置者として) 倫理審査委員会の手順書、委員名簿、 記録の概要の公表 会議の記録 の概要 委員名簿 開催状況 公表 年次 報告 進捗状況 (1/年)12/31 等 治験と同様、個々の臨床研究の管理(研究期間、研究 責任者、実施状況、有害事象等)が必要 厚生労働大臣等 委員名簿 臨床研究開発 センターのホー ムページ 国民 標準業務手 順書(SOP) 委員名簿、開催状況その他の 必要事項の年次報告 研究開始前に得られた資料の同意の取扱い (同意の取得が困難な場合) 疫学研究に関する倫理指針での整理を踏まえて作成 状態 人体試料 ①匿名化されているもの 要件 倫理審査委員会の承認 研究機関の長の許可 ② (目的外使用) 倫理審査委員会の承認 ①以外で、試料提供時に当該 研究機関の長の許可 研究による利用が明示されて ・試料の利用目的等の実施情報の公開 いない同意あり ・研究と同意との相当の合理的関連性 ③ 倫理審査委員会の承認 ①匿名化、②同意がされてい ないもの 研究機関の長の許可 ・試料の利用目的の公開 ・被験者が拒否できる ・公衆衛生の向上のために特に必要 人体試料以外の 資料 (※ICに係る観察研究の項に よる) 研究目的等の実施情報の公開 自己点検と改善措置等 臨床研究機関の長 厚生労働大臣等 ① 対応 いわゆる治験の“監査”に相当する 自己点検 ② 報告 意見 公表 ③ 臨床研究 国民 倫理審査委員会 厚生労働大臣等が実施する調査への協力 臨床研究機関 実地調査 書面調査 臨床研究機関の長 倫理審査委員会 厚生労働大臣等 協力 臨床研究に関する倫理指針の改定(2008)のまとめ 介入研究 ①医薬品・機器 ②予防・治療等 ③診断 ④観察研究(非介入 研究) 倫理委員会の要件、 チェック機能、情報公開 委員会名簿・事務局、開催状況(各回の議題、出席委員名)、審議結果を年1 回、厚労省に報告 研究計画の透明性・ チェック機能 厚労省に事前に計 画を報告する。DBに 登録 同意習得等手続き 事前・書面(インフォームドコンセント) 疫学研究指針との整 合性 保存資料の取 り扱い、外部機関へ の提供を追加 院内の有害事象、重 大な遵守違反への対 応 院内・倫理審査委員会での対応 処理結果の厚労省への報告 院内・倫理審 疫学研究指針との整 査委員会での 合性 対応 補償対応及びその事 前説明 補償(臨床研究保険)を実施 (保険等適切な措置、計画内容毎) 補償の有無の 疫学研究指針との整 説明 合性 DBに登録 (非該当) * 介入研究:予防、診断、治療について、通常の診療の範囲を超える医療行為を研究として実施する もの、通常の診療と同等の内容で あっても事前に計画して患者の割付、ランダム化等を行うものをいう。 * 医薬品・医療機器の承認事項の範囲の使用で、割付、ランダム化等を行わないものは観察研究(非介入研究)として取り扱う。 * 看護、リハビリテーション等におけるケアで介入を伴うのは介入研究、介入を伴わないものは観察研究 臨床研究開発センターによる臨床研究支援フローチャート 生物統計家による 臨床研究を実施しようとする研究代表者 統計相談のみには ・プロトコル 支援申込は ・同意説明文書 必要ありません。 支援申込 ・症例報告書 の作成支援 直接生物統計部門に ご連絡下さい。 支援内容の合意 研究実施に向けたスケジュールの確認 倫理審査申請書の提出 審査承認 データベース(UMIN)など登録 割り付けセンター業務 研究開始 研究終了 (中断・中止) 発表 (学会・論文など) ・スクリーニング ・適格性確認 ・IC補助 ・スケジュール管理 など ・進捗状況の情報提供 ・データ固定 ・解析用データセット作成 など ・データ解析 など 臨床研究支援申込書(2/2) 臨床研究支援申込書(1/2) 研究課題名 主任研究者 所属: 氏名: 担当者 所属: 氏名: <連絡先> Tel: e-mail: <連絡先> Tel: e-mail: 生物統計部門で 記載します 依頼項目にチェック下さい。 段階 計 画 時 実 施 中 終 了 時 協力内容 研究内容相談 研究計画書作成支援 同意書作成支援 症例報告書作成支援 データ管理 登録・割付システム スクリーニング・適格性確認 インフォームド・コンセント補助 被験者支援(面接・相談・情報収集) スケジュール管理 安全性情報収集 症例報告書記入 データ入力 進捗状況の情報提供 データ固定 解析用データセット作成(中間も含む) 解析実施 総括報告書作成支援 依頼項目 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 受託可否 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 研究目的と 方法の概要 研究デザイン □ 観察研究 平成 年 作成 介入研究 月 ~ 対象疾患 実施予定 症例数 例 研究期間 年 年 実施施設数 □厚生労働科学研究費 研究費 □その他 プロトコル案または倫理審査申請書を作成されている場合は 支援申込書に添えてご提出下さい。 その際は次ページのご提出は不要です。 □ □ 研究受託費 月 三重県内のすべての医療機関に倫理委員会が 設置されているが、臨床研究倫理指針(2008) を実施・運用できる医療施設は限られている 共同(中央)倫理委員会の設置が必要 三重大学病院臨床研究倫理委員会がその役割を 担い、みえ治験医療ネットが仲介業務を行います。 中央IRB、中央倫理審査委員会参加の調査 :統一書式導入済み 医療機関名 山本総合病院 桑名市民病院 県立総合医療センター 市立四日市病院 四日市社会保険病院 主体会病院 小山田記念温泉病院 鈴鹿中央総合病院 鈴鹿回生病院 三重大学医学部附属病院 三重病院 三重中央医療センター 済生会松阪総合病院 松阪市民病院 松阪中央総合病院 市立伊勢総合病院 山田赤十字病院 県立志摩病院 上野総合市民病院 岡波総合病院 名張市立病院 尾鷲総合病院 紀南病院 総合心療センターひなが 遠山病院 松阪厚生病院 :積極的に考えたい 統一書式について :未回答 中央治験審査委員会 中央倫理審査委員会 ○ ○ ○ (2009年) ○ ○ (2008年度内) △ △ ○ ○ △ △ ○ ○ (2009年) (ネットからの紹介のみ) (ネットからの紹介のみ) (2009年) (2009年) (2009年) (ネットからの紹介のみ) (ネットからの紹介のみ) ○ ○ ○ △ △ ○ (2009年) ○ ○ △ △ △ ○ ○ (今後必要があれば)
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