贈与した現金を「生命保険」で残す方法(PDF / 134.12 KB)

会社の「元氣」のために
AMAYA Partners Tax
Accountants Co.
アマヤ・パートナーズの「AP 通信」
6
2015
贈与した現金を「生命保険」で残す方法
アマヤ・パートナーズ税理士法人
担当:田久保
相続税法改正により、非課税枠が縮小され、相続税率も最高 55%まで引き上げら
れました。財産の多寡に関わらず、より相続対策が必要となってきています。
生前贈与は、相続対策として有効な手段のうちの 1 つです。その反面、贈与した
現金などを子供に浪費されてしまう不安もありますが、贈与した現金で子供に生命
保険に加入してもらうことで、その不安を解消することができます。
1.
贈与してから保険金を受け取るまでの流れ
① 親から子供へ現金を贈与します。
② 子供に、親を被保険者、子供を受取人とした生命保険に加入してもらいます。
③ 子供は、贈与された現金で毎年保険料を支払います。
④ 子供は、相続が起きた際に保険金を受け取ります。
②③保険料の支払い
子供
親
①現金贈与
2.
保険会社
受贈者・受取人
贈与者・被保険者
④保険金の受取り
メリット
贈与した現金で生命保険に加入してもらうことにより、次のようなメリットが
あります。
① 現金が浪費されず、納税資金が確保できる
子供が贈与で受け取った現金は、保険料の支払いのために使われます。子
供が実際に現金を手にするのは、相続が起きて保険金を受け取るときですの
で、そのときまで現金が浪費されることなく、相続税の納税資金に充てるこ
とができます。
AP 通信のバックナンバーは、弊社ホームページでご覧になれます。http://www.amaya.co.jp / お問合せ
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2015
② 高い相続税より、一時所得の方が有利
親が自身で生命保険に加入し保険料を支払っている場合、相続が起きた際に
子供が受け取る保険金は、
「相続財産」として非課税枠(500 万×法定相続人
の数)を超える部分に「相続税」が課税されます。
一方、子供が保険料を支払っている場合、その子供が受け取る保険金は「一
時所得」として「所得税」が課税されます。一時所得の税率は最高でも 27.5%
で、多くの場合相続税よりも税負担が少なくて済みます。
3.
留意点
この方法を実行する際は、次の点に注意が必要です。
① 「贈与」を確実に成立させる
保険料の負担者を子供にすることでこの方法は成立します。したがって親
から子供への贈与が成立していないと、保険料の負担者が子供ではなく親と
いうことになってしまい、相続税が課税されてしまいます。
贈与は「あげます」
「もらいます」というお互いの合意により成立しますの
で、この合意を証明するための贈与契約書の作成は必須です。また、贈与す
る現金を振り込む口座は、子供が実際に管理している口座である必要があり
ます。
② 加入する生命保険を「終身保険」にする
生命保険には「定期保険」や「養老保険」「終身保険」などがありますが、
中でも満期がなく保障が一生涯続く「終身保険」に加入すれば、確実に保険
金を受け取ることができて安心です。
③ 贈与税、所得税と相続税の税負担を比較・検討する
相続が起きる前 3 年以内に行った贈与については相続税が課税されます。
また、相続税が発生しないなどの場合にこの方法は相続対策にはならず、生
命保険を活用した生前贈与が有効であるとは一概に言えません。
実際に贈与した場合の贈与税や所得税、相続税の額を比較・検討する必要
があります。
相続対策は、ご家族や財産の状況により様々なケースが考えられます。ご検討の
際は担当者までお気軽にご相談下さい。
参考文献:株式会社近代セールス社『生前贈与徹底活用読本』
株式会社セールス手帖社保険 FPS 研究所
『新・生命保険を活用した相続対策のすべて』
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