「子どもの貧困」グループ発表要旨 「貧困の連鎖を断ち切るために~貧困

発表順4 14:40~
*事務局作成
「子どもの貧困」グループ発表要旨
「貧困の連鎖を断ち切るために~貧困を生み出す現代の階層社会に迫る~」
1.問題意識
1)日本は階層再生産社会。6人に1人の子どもが相対的貧困状態。意欲や希望を失い、社
会の活力を低下させている。
2)幼児期から貧困の中で育てられる子どもは、学力・食事・自己肯定感等の面で不利な境
遇に。成人後も貧困から抜け出せず、貧困が次世代に連鎖する。
3)子どもは環境を選ぶことが出来ず、貧困を自力で打開するだけの能力も機会も持たない。
自己の責任に帰せられる余地は大人と違ってない。子どもこそ優先的に援助されるべき。
2.貧困の連鎖はなぜ起こるのか
1)家庭の中で生じる貧困
両親の離婚や家族の病気といった家庭環境の変化は、子どもの身体的・心理的な負担を高
め、成人になっても労働意欲、生きる意欲の低下につながり、低所得の可能性が高まる。
2)学校教育の中で生じる貧困
貧困状態による教育機会の制限、家庭における十分な学習環境が整っていないことなどか
ら、自己肯定感の低さや自尊心の欠如により情緒あるいは行動が不安定になる。このことが
子どもの学習意欲の低下、学習面での遅れをもたらす。また、日本は教育費の私的負担が
大きいことも、教育面において不利を背負う可能性を高めている。
3)現在の日本社会において、「大学を卒業しているかどうか」ということはその後の人生を左
右する重要な指標。これが所得格差につながり、結果的に貧困が再生産されている。
3.政策提言
1)学歴に着目
子どもの貧困の解決のため、教育や家庭への支援を整えても、実社会では学歴で判断され
るために「将来活躍できない社会」になっていることが貧困の再生産の原因。
⇒学歴偏重社会の価値観を転換する
①高等学校までに幅広い職種に求められる最低限の能力を身につけさせる。
②大学の地位を純然たる学問研究の場として再度位置付ける。
⇒高卒と大卒の能力差を縮め、能力のシグナルとしての学歴の意味を希薄化する。
【幼稚園・保育園】保育園の低所得世帯無償化
【小中学校】放課後に「寺子屋」開設。教え手は大学生と高齢者。
【高等学校】授業料を含む学校関連費の援助の拡充。グループワーク・小論文・論理的思
考能力を養う授業を追加。Word, Excel, Powerpoint,プログラミングの基礎を全
員が習得。全高等学校の実質総合学科化。
【大学】課題や卒業要件を厳格化。社会人や高齢者の生涯学習を推進。
2)「子ども国債」の発行:子どもの成長に投資する政策の財源調達方法。
4.私たちの目指す社会
「生まれや環境に左右されず、誰もが同じスタートラインに立って参加できる社会」
「各自の目指すゴールを家庭環境によって阻まれない社会」