平成26年度 後 期 日 程 理 科 (1・・分) 注 意 事 項 1.試験開始の合図があるまで,この問題冊子を開いてはいけません。 また,別冊の解答用紙についても同じです。 2.問題は,「物理」が1ページから16ページまで,「化学」が]7ページから26ペー ジまであり就解醐は物劃は[亙ユ[亙],[狂]の3 枚・「化学」は[亙ユ[亘ユ[≡コ,[≡コの轍からなっ ています。ページの脱落等に気付いたときは,手をあげて監督者に知らせなさ い。「化学」班のB,Cは選択問題です。解答用紙の所定の欄に選択した問題の記 号(BまたはC)を記入すること。記入のあった記号の問題を解答したものとして 採点します。 3.解答は,以下の指示に従い解答用紙の指定された欄に記入しなさい。 (ア)生命・物質工学科,環境材料工学科,電気電子工学科,建築・デザイン工学科, 都市社会工学科を志望するものは,「物理,「化学」のうちから1科目を選択し, 解答しなさい。 (イ)機械工学科,情報工学科を志望するものは,「物理」を解答しなさい。 4.監督者の指示に従って,選択した科目のすべての解答用紙の該当欄に志望学科名 及び受験番号(2か所)を記入しなさい。 5.解答用紙の※を付した欄には,何も記入してはいけません。 6.問題冊子の白紙と余白は,下書きに適宜利用してもよろしい。 7.試験終了後,この問題冊子及び下書き用紙は持ち帰りなさい。 <>Mく1(327−38) 物 理 注意問題は1,□nlの3題である。 1 万有引力定数をGこm3/(kg・s2)〕,地球の質量をM〔kg〕として,以下の問いに答 えよ。以下の問題において,地球以外の天体による万有引力や地球の大気の影響な ど,問題文中に示されていないことは無視する。 問1地球の重心からの距離L〔m〕の高さから速さγ〔m/s〕で地球の重力方向に対 して垂直に打ち出された質量勿〔kg〕の探査機にっいて考える。ただし, Lは 地球半径よりも大きい。 (1)この探査機の力学的エネルギーを示せ。ただし,地球の重心から無限に離 れた点の位置エネルギーをゼロとする。 (2)この探査機が地球の引力圏から脱出して,地球に戻ってこなくなる最小の 速さを示せ。 次に,地球の重心を中心とする軌道半径R〔m〕の円周上を等速円運動してい る質量沈〔kg〕の人工衛星について考える。ただし,1∼は地球半径よりも大き い。 (3)この人工衛星の向心加速度と角速度を示せ。 (4)この人工衛星の公転周期をT〔s〕として,軌道半径Rを0,M,7’を用い て表せ。 1 ◇M4(327−39) 地球の自転と同じ周期で自転の向きに赤道上をまわっている人工衛星は,地 上から見ると静止しているように見えるので,静止衛星と呼ばれる。静止衛星 の回っている円軌道を静止軌道と呼ぶ。 (5)静止軌道の半径を有効数字1桁で求めよ。 ただし,G=6.7×1忙u m3/(kg・s2), M=6.0×1024 kg, 1日を 8.6×104sとする。解答欄には答えを導く過程についても簡潔に記述せ よ。 2 <>M4(327−4G) 問2次に図1のように,静」ヒ衛星の上下に質量μ〔1〈g〕の物体1と物体2を伸びた り切れたりせず質量が無視できるケープルで接続することを考える。 ケープルの長さを適切に調節して,物体1および物体2に静止衛星と同じ角 速度を与えると,地球の重心を中心にして等速円運動をした。このとき, 地球の重心と静止衛星と物体1および物体2が一直線上に並んでいる。 静止衛星が上下のケーブルから受ける張力∫〔N〕がつり合っており,静止 衛星は物体1と物体2を接続した後も静止軌道をまわりっづけている。静止 衛星の軌道半径をRo〔m〕,物体1の軌道半径を1∼1〔m〕,物体2の軌道半径を 1∼2〔m〕(1∼1>1∼G>1∼2)として,以下の問いに答えよ。ただし,静止衛星と物 体]および物体2のそれぞれの間に働く万有引力は地球との間に働く引力に比 べてとても弱いので無視する。 (6)物体]の向心加速度をα乏〔m/s2〕,物体2の向心加速度をα2〔m/s2〕とし て,それぞれの運動方程式を表せ。 静止衛星と物体1および物体2が同じ角速度で運動していることから,軌道 半径の比晋と晋鋼・は騨な関係力・成り立っている・ (脳一 W‥告として・・1と乃の間に成り立つ関髄・ld鮒 を用いて示せ。解答欄には答えを導く過程についても簡潔に記述せよ。 3 ◇M4(327−4]) 物体1 ケーブル 静止衛星 ケーブル 物体2 地球 図1 4 <>M4(327−42) さらに,物体1と物体2を質量が均一なケーブルで置き換えることを考えて みよう。図2のように,静」と衛星から地表までケーブルを届かせ,また,反対 側に約10万キロメートルの長さのケーブルをっけると物体1と物体2を接続 したときと同様に静止衛星の運動を保つことができる。このとき,地球の重心 と静止衛星および2本のケープルは一直線上に並び,静止衛星とケーブル全体 が同じ角速度で円運動をする。これに地上と宇宙を行き来するエレベータを設 置したものが宇宙エレベータである。宇宙エレベータを利用して探査機を打ち 出すことを考えてみよう。 問1(2)で求めた探査機が地球の引力圏を脱出できる速さを地球の重心からの 距離Lでの脱出速度と呼ぶことにする。宇宙エレベータ上のある点の速さ は,その高さでの脱出速度の大きさと等しくなっている。地球の重心からその 点までの距離をL,[m]とする。 (8)宇宙エレベータの回転の角速度をωo〔rad/s〕としたとき, L,をG, M,ωG だけを用いて表せ。 (9)L。は静止軌道の半径1∼oのイ可倍かを答えよ。 以上のことから,宇宙エレベータを用いて探査機をL。以上までうまく持ち上げ ることができれば,宇宙エレベータから切り離すだけで探査機を地球の引力から脱 出させることができる。 5 ◇M4(327−43) ケーブル 静止衛星 ケーブル 地球 図2 6 ◇M4(327−44) 1 摩擦のあるレール上での電磁誘導の影響を受ける金属棒の運動について考えよ う。図1に示すように,距離ψ〔m〕離れた2本の導体でできた平行なレールが水平 に置かれており,その上に質量傾kg〕の金属棒abがレールに垂直に置かれてい る。レールは点MN間がスイッチSlと導線,直流電圧源,点OP間がスイッチS2 と導線 31∼〔Ω〕の抵抗で接続されている。金属棒abの抵抗はR〔Ω〕である。な お,直流電圧源の電圧は点N側が高電位の場合を正とする。またレール全体と金 属棒abの間の静止摩擦係数はμ,動摩擦係数はμ’(μ〉μノ)であり,重力加速度は g〔m/s2〕である。空間には鉛直上向きに磁束密度8〔T〕の一様な磁場が加えられて いる。このとき以下の問いに答えよ。ただし,空気抵抗,レールと導線の電気抵 抗,回路の自己インダクタンスは無視できるものとする。またレールは十分に長く 金属棒が端に到達することは考えなくてよい。 問1はじめにスイッチS]を閉じてS2を開いた状態にし,直流電圧源により E(>0)〔V〕の電圧をかけた。 (1)このとき金属棒は静止していた。金属棒が磁場から受ける力の大きさを求 めよ。 (2>電圧を0から正の向きに次第に大きくしていった。金属棒がすべりだす直 前の状態になったときの電圧の大きさを求めよ。 (3)電圧をさらに大きくすると金属棒がすべりだした。どちらの方向にすべり だしたか解答欄の(アXイ)の中から適切な記号に丸をっけよ。ただしκ軸はレー ルに平行で点Nから点Pの方向を正とする軸である。また,このとき金属 棒が受ける動摩擦力の大きさを求めよ。 (4)その後,正の電圧をEl〔V〕にして十分時間が経つと,金属棒の速さが一 定のρ互〔m/s〕となった。このとき回路MNbaに生じる誘導起電力の大きさ を,のを含んだ式で求めよ。 (5)速さ〃1〔m/s〕を求めよ。 (6)金属棒でτ秒間に発生したジュール熱を,E1,川,β,ψ,1∼,7’を用いて 表せ。 一一7−一 <>M4(327−45) M S2 頑k9〕 β〔m〕 31ぞ〔Ω〕 直流 電圧源 N 一一一一… rκ P 図1 8 〈>M4(327−46) 問2次に図2のようにレールを水平面から角度θ(0〈θ〈2)傾けた・金属棒 をレーづレから外し,スイッチS]を閉じS2を開いた。その後そっと金属棒を再 びレー一ルに垂直に置くと静止したままであった。 (7)このときの直流電圧源の電圧E2〔V〕の取り得る範囲を求めよ。 その後,正の電圧を大きくすると金属棒がすべりだした。電圧を調整して E3〔V〕にし,十分時間が経っと,金属棒の速さがレールに平行に一定の パ〔m/S〕となった。 (8)このときの直流電圧源の電圧E3を,〃3を含んだ式で求めよ。 さらに,スイッチS1を開放しS2を閉じて十分時間が経つと, 金属棒は一κ 方向に一定の速さ〃4〔m/s〕になった。 (9)このとき回路abPOに生じる誘導起電力の大きさを求めよ。 (1① 金属棒を流れる電流の大きさを求めよ。 働 OP間の3Rの抵抗でτ秒間に消費されたエネルギーを求めよ。 9 <>E44(327−47) O 31∼〔Ω〕 P 頑kg〕 M θ S1 β〔m〕 図2 一10一 <>M4(327−48) 皿理想気体に関する以下の問1および問別こ答えよ。 問1なめらかに動くピストンのついたシリンダーにz2〔1nol〕の単原子分子理想気 体を封入し,図1の実線で示すように気体を状態AからA→B→C→Aへと1 サイクル変化させた。気体定数はR〔」/mol・K〕であり,定積モル比熱は ÷R〔」/m・1・K〕,斑モ眺禦1は÷R〔J/m・1・K〕である・肝の問・熔え よ。 (1)状態A→B,状態B→C,状態C→Aのそれぞれの過程は,定積変化,定 圧変化,等温変化のいずれかである。それぞれの過程がどの状態変化である か答えよ。 (2)状態Aの気体の体積と温度はそれぞれレo〔m3〕,7’o〔K〕であった。状態A の圧力を求めよ。 (3)状態Bの気体の温度は27’o〔K〕であった。状態AからA→B→C→Aへと 1サイクル変化させたときの気体の圧力と体積の変化を解答欄のグラフに実 線で示せ。また,状態Bおよび状態Cを表す点を黒丸(鯵)で示し,各点の 横にBまたはCと記入せよ。ただし,解答欄のグラフでは,四角(灘)は状 態Aを表しており,補助線は等間隔である。 (4)状態A→B,状態B→C,状態C→Aのそれぞれの過程での気体の内部エ ネルギーの変化を,増加を正,減少を負として,求めよ。 (5)状態B→Cの過程で,シリンダーに封入された気体は外部からQ〔J〕の熱 を得た。状態AからA→B→C→Aへと1サイクル変化させたとき気体が外 部にした正味の仕事を求めよ。 (6)状態A→B−→C→Aの変化を1サイクルとする熱機関の効率を求めよ。 一11一 ◇M4(327−49) C/ 体 積 〔ln 3〕 0 温度〔K〕 図1 一12一 〈>M4(327−50) 問2容器内に閉じ込めた気体による圧力は容器内部に均等に作用する。平面と曲 面をあわせ持つ円柱を例に取り,ミクロ現象である分子の熱運動とマクロ現象 である圧力との関係について考える。さらに同様なマクロ現象である気体の温 度との関係についても考える。 図2に示すような半径γ〔m〕,高さ/2〔m〕の壁の厚さを無視できる円筒容器 に1分子あたり質量沈〔kg〕の理想気体とみなせるN個の単原子分子を閉じ込 める。図2の点Aは速さ〃〔m/s〕を持つある分子がある瞬間に円筒内の上部の 底面(以後,上底面という)に衝突した位置を表す。その分子はその後,側面の 点B,C, Dと衝突を繰り返す。図2のように下部の底面(以後,下底面とい う)の中心を原点0として高さ方向に2軸を,下底面内にκ2平面が点Cを含 むように克軸を,κ軸から反時計まわりに90°回転した方向をy軸となるよう に直交座標系をおく。気体分子は様々な速度で等方的に運動をしており,分子 と容器の壁との衝突は弾性衝突とし,分子どうしの衝突は無視できるとする。 上底面 窪、 〃 、、 B∨ ’ @ ’ @ ’ 側面 A・i/、 .’ 恩c /2 ’ ’ D♂ f ,”一 O 一呉 下底面 図2 一13一 ◇M4(327−51) はじめに気体分子が底面に及ぼす圧力について考える。点Aに対して分子 の衝突前の速度ベクトルのκ,ッ,z成分をそれぞれぬ,句,〃、とする。 (1)この分子が点Aに及ぼす力積の大きさを求めよ。 (2)この分子が上底面上の点Aに衝突したのち,再び上底面に衝突するまで の時間を求めよ。 (3)上底面がこの分子から受ける力の大きさの時間平均を求めよ。ただし,そ の時間平均は問2(2)の上底面に衝突する時聞間隔に比べて十分に長い時間に 対して考えるものとする。 次に,N個の分子の場合について考える。各分子の〆,θ。2,0ノ,ρ、2の平均 値をそれぞれ〆,〃。2,0夕2,〃。2とした時,分子の運動は等方的なので以下の式 が成立する。 1ス_一 :ス コ ーρズ=”y =〃z T” (4)〆を用いてN個の分子が容器の上底面に及ぼす力の大きさとそれによる 圧力を表せ。 一14一 <>M4(327−52) 一方,分子が側面に及ぼす圧力について考える。図3は,分子の衝突の様子 を+z側から見た図である。点Cに対して分子の衝突前の速度ベクトルのκ, ッ,z成分をz4。,⇒,κ.とする。 夕 図3 (5)この分子が点Cに及ぼす力積の大きさを求めよ。 (6)点Cに衝突した分子は次に側面の点Dに衝突をする。この分子が点Cに 衝突したのち,点Dに衝突するまでの時間を求めよ。 (7)点Dに衝突した分子はその後も側面への衝突を繰り返す。この分子から 側面が受ける力の大きさの時間平均を求めよ。ただし,その時間平均は問2(6) の衝突する時間間隔に比べて十分に長い時間に対して考えるものとする。 次に,N個の分子の場合について考える。 (8)N個の分子が容器の側面に及ぼす圧力は問2(4)で求めた上底面に及ぼす 圧力と同じになることを示せ。解答欄には答えを導く過程も簡潔に示せ。 一15一 <>M4(327−53) 最後に,気体分子の熱運動と温度との関係について考える。 (9)アボガドロi数を∼VG〔lnor l〕,気体定数を1∼σ/mol・K〕,気体の温度を τ〔K〕としたとき,分子の〆を温度の関数として示せ。 以上のようにマクロ現象である気体の圧力や温度は,ミクロ現象である気体 分子の熱運動が目に見える形で表れたものであることがわかる。 一16一 <>M4(327−54) 学 化 注 意 問題は1,H,阻の3題である。解答に単位が必要なものには単位をつけ て記すこと。狐のAは全員解答し,田のBとCはどちらか一方を選択して解答 すること。また,問題文中の体積の単位記号Lは,リットルを表す。 1 次の文章を読み,以下の問1∼問6に答えよ。問1,問2,問4,問6(2)は解 答に至る導出過程も記すこと。必要であれば,下の値を用いよ。 loglG 2=0.30 10g玉03=0.48 10g]05=0.70 109107=0.85 原子量 H:1.O C:12 N:14 0:16 気体定数 1∼=8.3×103Pa・L/(mol・K) 25℃における水のイオン積 κw=[H+][OH ]=1.0×10 14(mol/L)2 ファラデー定数 9.65×104C/mol アンモニアは窒素と水素からなる化合物で特有の強い刺激臭をもち,常温常圧では 空気より軽い無色の気体である。水に良く溶け,弱塩基性を示す。工業的には,窒素 と水素の混合気体から直接合成され,工業原料以外にも様々な用途に用いられてい る。アンモニアは液化しやすい物質で,蒸発熱が大きく,オゾン層破壊係数が小さい ことから,フロン代替冷媒としての利用が検討されている。さらに,アンモニアを直 接燃料として用いる燃料電池の開発も行われている。 問1 1.0×105Pa,27℃におけるアンモニアおよび空気の密度(g/L)を求め,3 桁霞を四捨五入して有効数字2桁で記せ。ただし,気体は全て理想気体であり, 空気は物質量比4:1の窒素と酸素の混合気体とする。解答に至る導出過程も記 すこと。 問225℃において,0.10mol/Lのアンモニア水の電離度は0.014である。この アンモニア水のpHの値を求め,小数点以下第2位を四捨五入して記せ。解答に 至る導出過程も記すこと。 −17− ◇M4(327−55) 問3下の文の空欄[z]一巨]に当てはまる鎚な語髄記せ・ ハーバー法におけるアンモニア生成の熱化学方程式は下のようになる。 N2十 3 H 2=2NI{3十 92.2kJ この反応販繍でわかるように巨]反応であり,融が[イ]ほどア ンモニァの生成量が増える.また,圧力が巨コまどアンモニァの生遍が増 える.しかし,生産辮から考えると巨]も聾であり,短時間で平衡に到 違せた劫浪い.そのために,従来の畷化三縦り祐効な楡な[オ] が開発され,さらなる生産効率の上昇が行われた。 問4 窒素分子とその3倍の物質量の水素分子を密閉容器に入れて,ある温度で平 衡状態にした。このときの容器内の気体の全圧は8.0×107Paで,アンモニア の分圧は4.0×107Paであった。この反応の圧平衡定数Kpの値を求め,3桁日 を四捨五入して有効数字2桁で記せ。解答に至る導出過程も記すこと。ただし, 反応容器内には液体は存在しなかったものとする。 問5 アンモニアの蒸発熱は23kJ/molであるが,分子量がアンモニアとほぼ等し いメタンの蒸発熱は8.2kJ/molで,アンモニアよりもかなり小さい。この蒸発 熱の違いの理由を2行以内で記せ。 問6水素の代わりに気体のアンモニアを燃料として用いる様々な燃料電池が開発 されている。プロトン伝導性の固体電解質を用いた燃料電池では,負極側ではア ンモニアが窒素になり,正極側では酸素が水になる。この燃料電池の全反応は, 以下のようになる。 4NH 3十 302→2N2十6H20 (1)負極および正極で起こる反応を,電子e一を含むイオン反応式で記せ。 (2)この燃料電池を稼働し,68.Ogのアンモニアを用いて発電した。このとき 得られた電気量(C)を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。解答 に至る導出過程も記すこと。ただし,この燃料電池の発電効率は100%で あったとする。 −18− ◇M4(327−56) H 以下の文章を読み,以下の問1∼問7に答えよ。なお問4および問7については 解答に至る導出過程も記すこと。必要であれば,原子量は下の値を用いよ。 }1:1.O C:12 N:14 0:16 P:31 Ca:40 窒素醐賑で巨]族の元素である。その単体は大気中に約78%の害拾で含 瓢ており,撲的には紺空気の分留で得られる.実継では[イ]の願禰 ω 液を加熱して合成する。窒素ガスは希ガスに次いで反応性に乏しい気体であり,反応 の制御や保存などの用途に用いられている。また液化したものは冷却剤として広く利 用されている。 窒素を用いた工業的なアンモニアの合成法としてハーバー‡去が用いられている。一 方,根粒菌は酵素ニトロゲナーゼを用いて窒素をアンモニアに変換しているが,その 電子を含む反応式は以下のようになる。 Nウ十 国恒「司ゼー回職熾 アンモニアを用い撫靴酬の繊的な撲自勺難として巨]法と巨] 法が挙げられる。巨]法舶鋭触媒としてアンモニア醐化することで鵬や 燥の酬とな醐髄舗する方法である.巨]法は,炭酸カルシウムと靴 ナトリウムとアンモニアを用いてガラ膿造の原靴なる巨]を餓する方法で ある。 剛く[ア]働元素であるリン戚体}ま鰍界に存在しない.リン酸カルシウ ムを主成分とするリン鉱石にケイ砂やコークスを混ぜて強熱し,発生したリン蒸気を 凝集させると化学式P4で表される単体の黄リンが得られる。反応式は下に示すとお りである。 匡C・・(PO 4)・+回Si・・+団C一回C・Si・・+回C・+P・ 黄リンは非常に反応性が高く,空気中では簡単に自然発火する。黄リンを窒素中で (2) 高温瞭することで,マ・チや鱒体の酬として醐される[カ]にゆっくりと 変化する。 一19一 <>M4(327−一一57) 剛蜘確欄[コー巨]および[三]一[三]}・当てはまる鎚 な講た噸を記せ.ただし,空刷三],巨]には化学式を記すこと. 問2下線部(1)について, この反応の化学反応式を記せ。また生成した窒素の捕集 法を記せ。 問3[ウ]法は以下の3つのカセスで構成されている・ (1)白金触媒によりアンモニアが酸化され,一酸化窒素と水が生成する。 (2)生成した一酸化窒素を酸素と反応させることで二酸化窒素が生成する。 (3)生成した二酸化窒素を水と反応させることで硝酸と一酸化窒素が生成する。 団∼(3)の各プロセスの化学反応式およびプロセス(1)∼(3)を1つにまとめた化学 反応式(4)を記せ。 問4巨]法を用いて簸百分率緩6・%の舗脚・溶縦1・・k・舗す るために必要なアンモニアの質量(kg),および質量百分率濃度60%の濃硝酸水 溶液の質量モル濃度(mol/kg)を求め,3桁目を四捨五入して有効数宇2桁で記 せ。解答に至る導出過程も記すこと。ただし反応は完全に進行するものとする。 問5巨]法で巨コを舗する反応につし・て一つにまとめた化学疏式 を記せ。 問6 下線部(2)について,黄リンを保存するにはどのような手段が有効かを1行で 記せ。 問7黄リンを100kg製造するために,質量%で31%のCa 3(PO 4)2を含むリン 鉱石を原料として用いたときに必要なリン鉱石の質量(kg)を求め,3桁目を四 捨五入して有効数字2桁で記せ。解答に至る導出過程も記すこと。ただしリン鉱 石にはCa 3(PO 4)2以外にリンを含む化合物は存在せず,反応は完全に進行する ものとする。 − 20 −一 <>M4(327−58) 皿Aにっいては全員が解答すること。B, Cにっいてはし、ずれか一方を選択し,解 答用紙の所定の欄に選択した問題の記号(BまたはC)を記入すること。 A 分子量72で同じ分子式を有する化合物A∼Fがある。以下の問1と問2に答 えよ。必要であれば,原子量は下の値を用いよ。 H:1.O C:12 0:16 また,構造式は下の例にならって記すこと。 【例】 OH H l C㎡CぺCプC\CンCH3 i H CH 3 化合物Aは,幾何異性体が存在する第一級アルコールであり,トランス体である。 化合物Aを硫酸酸性のニクロム酸カリウム水溶液を用いて穏やかに酸化すると,還元 性を示す化合物を経て,酸性を示す化合物1が得られた。硫酸を触媒として化合物A と化合物1の混合物を加熱したところ,化合物2が得られた。また,化合物Aの二重 結合を三重結合に置き換えた化合物3に,触媒を用いて水を付加させると化合物4と 化合物5が生成した。 化合物Bは第二級アルコールであり,臭素と反応させると不斉炭素原子を2つ有す る化合物6が得られた。また,化合物8にニッケルを触媒として水素を付加させる と,化合物7が得られた。化合物7を水酸化ナトリウム溶液中でヨウ素と反応させ るとヨードホルムCHI3と化合物8が生じた。また,化合物Cも水酸化ナトリウム溶 液中でヨウ素と反応させるとヨードホルムとともに化合物8を生じた。 化合物Dは,ヒドロキシ基を有するが,ニクロム酸カリウムの希硫酸水溶液では, 酸化されなかった。 化合物EとFは,アンモニア性硝酸銀溶液と反応して銀鏡を生じた。化合物Eは, Aにニッケルを触媒として水素を反応させた後に,硫酸酸性のニクロム酸カリウム溶 液で穏やかに酸化することによっても得られる。銀鏡反応によって,Eからは化合物 9が,Fからは化合物10が得られた。 − 21 − <>M4(327−59) 問1 化合物A∼Fの構造式を記せ。なお,光学異性体が存在する化合物に関して は,不斉炭素原子には*を付けて記すこと。 問2化合物2,4,5,6,8,9,10の構造式を記せ。ただし,4と5は区 別する必要はない。なお,光学異性体が存在する化合物に関しては,不斉炭素原 子には*を付けて記すこと。また,塩になっている場合でも,塩の形で記す必要 は無い。 一22一 <>M4(327−60) B 次の文章を読み,以下の問1∼問5に答えよ。ただし,高分子化合物の末端に ついては考慮する必要は無い。必要であれば,原子量は下の値を用いよ。 H:1。O C:12 0:16 合成高分子化合物は,低分子化合物(単量体)が繰り返し多数結合したものであり, そ⑮飯応は巨]齢と巨]重合に大易・」される.餓灘のうち,ポリア クリ・ニトリ嶋は[ア]重飯応で生齢れ,一方6,6サイ・ン,刺エチレ ンテレフタレート等は巨]齢跡で生齢れる. ポリアクリロニトリル(アクリル繊維)の原料であるアクリロニトリルは,金属酸化 〈D 物触媒を用いてプロピレンとアンモニアと酸素を反応させ,工業的に生産されてい る。そして,アクリロニトリルを重合させて得られるアクリル繊維は,空気中で熱処 理(400∼600℃)を施すと,環化が起こり耐炎化する。さらに,非酸素条件で熱処理 (6・・−13・・℃)を行うと巨]繍窪が得られる.巨]灘強化翻旨}ま,縮 機(ボーイング787)の機体材料として利用され,胴体,主翼尾翼等機体の質量の 50%を占めており,機体の軽量化に大きく寄与している。 高分子化合物は繊維だけでなく樹脂としても用いられている。ポリスチレンは, CD・DVDケース,食晶容器等で,発泡させたポリスチレンは魚箱,食品用トレイ, カップ麺容器等で使用されている身の回りの代表的なプラスチックである。ポリスチ レンは,加熱や溶媒への溶解によって再生できるため,マテリアルリサイクルされて いる。一方,フェノール樹脂は,耐熱性が要求される自動車部品や絶縁体などとして 電気製品に利用されている。この樹脂は三次元の網目構造を持つために加熱しても融 (2) 解せず,溶媒に不溶であるため再生できず,焼却や埋立てで処分されている。 剛文中腔欄[ア]一巨]に当てはまる過嬬を記せ。 一23一 〈>M4(327−61) 問2 6,6一ナイロンとポリスチレンの繰り返し単位の構造を例にならって記せ。 【例〕 Cl 問3 下線部(Dの反応は下の式で表される。 巨]口・−CH−CH・+「司NH・+「司・・一 囚CH・−CH−CN+回H・・ 反賦中の[三]一巨]に当てはまる過な撒を記せ. 問4下線部(2)のような性質をもつ樹脂にはフェノール樹脂以外に尿素樹脂やメラ ミン樹脂がある。これらの樹脂の総称を記せ。 問5ポリ酢酸ビニル4.3kgを完全に加水分解してポリビニルアルコールにし た。そのポリビニルアルコール中のヒドロキシ基の45%をホルムアルデヒドと 反応させてビニロンを合成した。このときに反応したホルムアルデヒドの質量(g) を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。ただし,各反応は完全に進 行したものとする。 一24一 <>M4(327−62) C 次の文章を読み,以下の問1∼問4に答えよ。必要であれば,原子量は下の値 を用いよ。 H:1.OC:12N:140:16Cu63.5 生体は,水以外に,主に核酸,タンパク質,糖質,脂質から構成されている。デン プン,セ加一ス,列コーゲン,デキストリン等は,単酬が巨]結合でつな がった物質で唖で加水分解する撮終的にはすべて[イ]となる.[三]}ま官 能基としてヒド・キシ基を5個持ち・水}・醐する;、この巨コの量の酬ま分 子内に擁するもう1っの官能基である[二亘コ基の離を稠する[司反蘭・ より可能であり,「三コ諜を加えると有色の沈殿物が生じる. 糖類には,[イ]のような炭㍊6の六炭糖以外に,炭㍊5の磁糖も離し ている.キシ・一ス(C、H1。・,)も五炭糖の1つであり,熔洲では[亘]基の 存在により還元粧示す.キシ廿スを還元して「ウ]基鵠噸ア加ヲレに 変えたものがキシリトールである。キシリトールは,スクロースと同程度の甘味があ り,g当たりのカロリーはスクロースの6割程度である。スクロースよりも吸収速度 が遅いため,血糖値の急上昇が起こりにくいという特色もある。 五炭糖は核酸にも含まれている。核酸は,核酸塩基と五炭糖およびリン酸からなる ヌクレオチドが,リン酸エステル結合で連なった高分子物質である。核酸には遺伝子 情報を保存するデオキシリボ核酸(DNA)とタンパク質合成に関与するリボ核酸 (RNA)の2つがある。 剛蜘腔欄[ロー巨]に当てはまる適当な識記也 問2下線部(1)で生じる有色の沈殿物の名称と色を記せ。 問3[口反応により,[口基1m・1当たり問2の沈殿物1m・1が生じ る。キシロース600.Ogを還元したところ,キシロースとキシリトールの混合物 が6・4.・・生じた.この治物3・2.・・に[=反応を行った.生成した澱 物の質量(g)を求め,3桁圏を四捨五入して有効数字2桁で記せ。 一25一 <>M4(327−63) 問4下図はRNAの構造の一部を記したものである。 DNAを構成する糖の名称 と構造式を記せ。また,DNAの水溶液を中性付近で電気泳動を行った場合,陽 極・陰極のどちらの方向に移動するかを理由とともに1行で記せ。 O l /C\ HC NH II 1 ・−P−・−CH、:C\N/C\。 レ\/ 〇一 醜_鷲 l l O OH O−P一 0… 一26一 ◇M4(327−64)
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