こちら - 神戸松蔭言語科学研究所

英字新聞について
河野 知子
195-1214
神戸松蔭女子学院大学文学部
英語英米文学科 卒業論文
1999 年 1 月 11 日 提出
目次
第1章
序論
2
第2章
日本と世界の英字新聞
3
2.1. 日本の英字新聞
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
3
2.2. 世界の英字新聞
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
3
第3章
新聞英語全体について
3.1. 書き出し (lead) の今昔
3.2. 本文 (body) について
5
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
5
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
6
3.3. ニュース記事以外の記事について
第4章
: : : : : : : : : : : : : : : : : : :
見出しについて
4.1. 見出し (headline) の役目
6
8
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
8
4.2. 見出しとは?
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
8
4.3. 見出しの分類
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
9
4.4. 見出しに使用される省略形
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
4.5. 見出しに使用される特殊な用語
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
11
12
第5章
実例見出し 分類
15
第6章
結論
25
1
1 序論
普通の英字新聞は 、ニュース、社説、コラム、批評と広告から成るが 、その中の
ニュース記事に用いられる英語を一般に新聞英語 (newspaper English) と呼ぶ。
英字新聞のニュースは headline(見出し ) 、lead(書き出し ) 、と body(本文) で構成さ
れている。headline はニュースの最も簡潔な説明で、通常 lead や body よりも大きな
字で書かれる。次に、lead は記事の要約で、いわゆる 5W(who,where,when,why,what)
と 1H(how) を入れるよう努力がされている。body は lead の詳細な説明で、重要な
順に並べられる。つまり、日本語の新聞と同様に、限られたスペースの中でいか
に読者にインパクトを与え、読んでもらえる記事にするかと言う工夫されている
のである。また、この書き方は、読者にとって便利なだけでなく、編集者にとって
も都合が良い。それは、あとから掲載したいニュースが飛び込んできた場合など 、
記事の終わりの部分をカットして、スペースを作ることが出来るからである。
新聞英語は普通に書かれた英語と全く異なるのではないが 、特に見出しは特殊
な語彙、略語と文法を使用し 、ニュース記事特有の表現を多く用いる。それらに
は 、ある一定のルールがある。そのルールを知ることで 、英字新聞をより簡単に
理解できると思われる。
この論文では、第 2 章で英字新聞の種類と歴史について 、第 3 章では大まかな
英字新聞の構成、ニュース記事以外の記事について紹介する。次に第 4 章からは
英字新聞の見出しについて、焦点を絞って紹介する。第 5 章では実例を挙げなが
ら、述べていく。
2
2 日本と世界の英字新聞
2.1.
日本の英字新聞
日本で編集発行されている一般英字日刊紙 (English-language dailies) には The Japan
Times, Mainichi Daily News,Asahi Evening News,The Daily Yomiuri などがある。
歴史的には 、The Japan Times と Mainichi Daily News は戦前の創刊で 、Asahi
Evening News と The Daily Yomiuri は戦後発刊されたものである。また、The Japan
Times 以外の 3 紙は日本の大手新聞社が発刊しているので、それぞれの邦字新聞の
主な記事が翻訳されて掲載されることが多い。
日本の新聞社が、発行する英字紙以外では、USA TODAY や International Herald
Tribune(IHT) など も定期講読することができる。USA TODAY はカラー印刷を売
り物にしている米国の新聞であり、記事もアメリカ中心である。IHT は英字新聞
で 、パリで編集発行されている。衛星通信で 、画像通信され 、日本でも印刷され
て、ヨーロッパと同じ物が 、日本でもほぼ同時に読むことができる。
2.2.
世界の英字新聞
世界の新聞は大きく言って、アメリカ系とイギリス系に分けることが出来る。ア
メリカ系はアメリカを中心に AP(Associated Press) 、UPI(United Press International)
のニュースを利用している地域、日本、フィリピンもその仲間である。イギリス系
はイギリスの他に、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、インド 等を含ん
でいる。この地域の通信社はイギリスのロイター (Reuters) 、PA(Press Association) 、
オーストラリアの AAP(Australian Associated Press) などである。
新聞が イギリスで生まれたのは 17 世紀のことで、初めは不定期で題名もなかっ
た。新聞特有の語句が多数出来たのは、ヴ ィクトリア朝で 、ジャーナリーズとい
う呼び名が初めて用いられたのは 1883 年のことである。19 世紀の終わりに近づく
と、それまでの重苦しい調子の新聞に対して、万人の興味に訴えるヒューマン・イ
ンタレスト (human interest) を扱った新聞が現われた。そして、アメリカ流の簡潔
3
な文体が発達し 、逆ピラミッド 型 (inverted pyramid) として知られる書き方が生ま
れる。これは、重要事項を先に書き、比較的重要でない部分を後から付け加え、編
集を容易にするために出来たものである。1900 年から 1910 年の間に現在の新聞特
色であるブロック・パラグラフ (block paragraph) と呼ばれる、まとまりのある短い
パラグラフが発達している。これは版を変える際の編集をやり易くする必要から
きている。第 2 次大戦の直前から、過度に客観的で味のない通信社の報道の欠陥
を補う意味で、解説的報道 (interpretative reporting) が強調されるようになり、記事
の前に筆者名を入れるバイライン (by-line) が増加している。これは 、型にはまっ
た表現では物足りなくなり、個性的な表現を求めようとする動きを示している。
現在は 、日本でも、USA TODAY などは 、大きな駅の売店や大きな書店で購入
することができる。
4
3 新聞英語全体について
3.1.
書き出し (lead) の今昔
新聞英語のスタイルは 19 世紀末にすでに完成され 、five W’s and one H の原則も
特にアメリカの AP(Associated Press) 通信社を中心として唱えられてきたが 、放送
が 、ニュース報道に大きな役割を果たすようになると、リードがさらに、簡略化
されるようになった。
昔 (約半世紀前) のアメリカの新聞記事のリード と最近のリード の長さを比較し
た人の調査によると、昔のリード の長さは平均約 50words であったが 、今日では、
約 25words 程度の短いものになっている。個々のリード の長さは、もちろん記事
の重要度や性質によって違うが 、語数にしてほぼ 20 語ないし 40 語くらいの長さ
で書かれている。
一例として、半世紀前のスタイルで書かれた交通事故の記事のリード
を挙げる。
Two men, George P. Henderson, 31 2189 Sandel Boulevard, Centertown,
and John Shultz, age unknown,of Elmira, New York, were killed at 5:30
a.m. today at Fourteenth Street and Crescent Avenue, when a tire on Henderson’s car blew out and caused the car to overturn on the two occupants.(二人の男性、センタータウン・サンデル通り 2189 番地のジョー
ジ・P・ヘンダーソン氏と、ニューヨーク・エルミラのジョン・シュル
ツ氏がヘンダーソン氏の自動車に乗っていたが 、14 番街とクレセント
通りの角で、タイヤがパンクし転覆、二人は車の下敷きになって本日
午前 5 時 30 分死亡した。)
上例には、たしかに Who,What,When, Where, Why, How の要素が全部書かれ
ているて、丁寧な記事だと分かる。しかし 、人の名前など 、詳細に書かれすぎて
読みづらい。同じ事件の記事のリード を今日のスタイルで書けば次のようになる。
5
Two men were killed early today in Centertown when their car overturned
on them.(本日早朝、センタータウンで、二人の男性が乗っていた乗用
車が転覆、二人はその下敷きになって死亡した。)
[天野葉生 1993]
上記の文の方が 、はるかに簡潔で分かりやすくなっている。
3.2.
本文 (body) について
すでに、第 2 章でも述べたように、一般にニュースは重要事項から順に書く逆ピラ
ミッド 型 (inverted pyramid) をとる。最も重要なことを記事の一番初めに書き、読
者の注意を引くためである。また、一つのパラグラフが 25∼75 語からなっていて、
新聞の編集が簡単に出来るようになっている。
この逆ピラミッド 型の記事はアメリカ産で 1865 年頃に生まれたと言われている。
これ以前は、ほとんどの記事が 、出来事の発展の順を追って、書かれていた。南
北戦争が行われていたある日、記事の一番最後に 、その日の戦闘の結果を伝えよ
うとしていたニューヨークの新聞の編集長が 、急報として長い記事の冒頭に特別
に囲みをつけて掲載したのが始まりと言われている。その後、他の新聞もこれを
真似し始め、広まったとされる。
3.3. ニュース記事以外の記事について
記事はその内容によって、書き方、記事の呼び方もさまざまである。このセクショ
ンではニュース記事以外のものについて触れていく。
1. フィーチャー (feature) 記事について
昨日、今日起こった出来事でなくても、エイズ (AIDS) 予防に関する医学的解
説、熱帯雨林の破壊状況を調査して報道している記事などをフィーチャー記事
( feature) という。この feature の記事のスタイルは一般のニュース記事とは異な
る。つまり、ニュース記事の特徴である「逆ピラミッド 型」(inverted pyramid)
や、5W 1 H には必ずしもこだわらないということである。これは、ニュース
記事が速報性を重視するのに対し 、feature 記事は速さよりも、綿密さ、深さ
を大切にするからである。
6
2. インタヴュー記事について
記者会見、インタヴュー記事は 、書き始めは普通のニュース記事と同じ く、
lead から始まる。しかし必ずしも逆ピラミッド 型には、こだわらない。インタ
ヴュー記事は 、インタヴューされている人の話していることだけでなく、態
度、服装などについても書かれている。
インタヴュー記事でよく見かけられる、人の発言は、そのまま直接話法で引用
する場合には、英語では quotation marks (“ ”) が用いられる。日本のインタ
ヴュー記事との違いは、日本のジャーナリズムでは括弧の中は発言の主旨が
分かる程度に簡略化されたり、記者が要領よくまとめている場合がある。一
方、英語ジャーナリズムはもっと厳格で 、発言通り忠実に再現する場合にの
み、quotation marks を用い、長すぎて簡略化する必要がある時には、quotation
marks なしに間接話法で書く。
3. スピーチ記事について
スピーチ記事は、普通のニュース記事と同じく、lead によって始まり、スピー
チの順序に影響されないで 、重要な事柄からだんだんそうでない記事に移っ
て行く逆ピラミッド 型の body をとる。ちなみに、なるべく話し手の言葉を直
接話法で書き、重要でない所は、間接話法で書く。
4. スポーツ記事について
スポーツ記事も逆三角形の形式をとる。但し 、スポーツペーズの「読み物」は
例外である。スポーツ記事の特徴の一つは、競技の勝敗を報じる表現が色々あ
ることである。例えば 、動詞で一番よく見られるのは、win 、cop 、gain 、bag 、
capture(すべて他動詞) などである。
7
4 見出しについて
見出し (headline) の役目
4.1.
ニュースの最も簡潔な説明
読者の注意を引き、内容に関心を持たせる
活字の大小やそれが占める欄の大きさ、場所によりニュースの重要度を示す
ページの美化
見出しとは?
4.2.
見出しは完全な文から、記号に近いものまである。読者の目に、一番初めに飛び
込むものなので、短くて、インパクトのあるものが 、要求される。
長い見出しでも 10 語程度、短いのになると 2,3 語程度になる。
次に挙げる例を見ていこう。
(1)US Congress Supports Lithuania’s Independence
(米議会、リトアニアの独立を支持)
(2)Jetliner Crashes; All 45 Aboard Killed
(ジェット旅客機墜落、乗客・乗員 45 名全員死亡)
(3)Famine Seen in Russia (ロシアに飢饉迫る)
(4)Louisiana Floods Render 2,000 Homeless
(ルイジアナ州の洪水で 2,000 人家を失う)
[天野葉生 1993]
わずか 4 つから 6 つの単語を並べるだけで 、それぞれの事件の内容が表されて
いる。
8
少しの語数で出来事の概要を表すためには、見出し特有の工夫がなされ 、言葉
の簡略化がされている。
このように 、見出しは普通の文章とは違い、独特の言い回しが工夫され 、見出
し特有の簡略化が 、行われている。その簡略化は一定のルールに従ってなされて
いる。
次のセクションで、簡略化するためのルールについて紹介する。
見出しの分類
4.3.
北尾謙治, 北尾 S キャスリーン (1994) では 、次のような 7 つの項目が挙げられて
いる。
1. 冠詞、代名詞の所有格や“ be ”動詞は省略される。
2. 過去時制を現在時制で表現する。
3. 現在進行形は“ be ”動詞を省略して“ ing ”で表現する。
4. 未来形は“ to ”不定詞で表現する。
5. 受身形は過去分詞で表現する。
6. コロンはその情報源を示す。または、コロンの後にその特定の情報を付け足す。
7. and は“ , ”で置き換えられる。
(1) 冠詞、代名詞の所有格や ”be” 動詞は省略されている。
U.S. Lags Behind Japan in Robots
「米国は日本にロボットで遅れをとる」
The U.S. lags behind Japan in robots.
米国の前の定冠詞”the” が省略されている。
もう一つ紹介しよう。
Dean says academic quality primary goal of law school
「法学部長は学問上の質が法学部の大学院のもっとも重要な目的である
と語った」
(通常の英文)
The dean said academic quality is the primary goal of the law school.
9
ここでは3つの定冠詞と be 動詞が省略されている。
(2) 過去時制を現在時制で表現する。
ニュースになる出来事はすでに起きた事だが 、新鮮味を保つために、し
ばしば 、現在形で表現する。
U.S. Asks Japan to Join in Space Project
「米国は日本に宇宙開発プロジェクトに参加するよう要請した」
(通常の英文)
The U.S. asked Japan to Join in the space project.
このように過去のことが現在形で表現される。
(3) 現在進行形は ”be” 動詞を省略して ”ing” で表現する
記事が書かれた時にはまだその動向が続いていた場合に、進行形で見出
しが書かれる。つまり be + ing の be 動詞を省略して書かれる。
State surplus rising despite market slump
「州の剰余金は市場の不振に反して増加している」
(通常の英文)
The state surplus is rising despite the market slump.
(4) 未来形は“ to ”不定詞で表現する。
Kyoto Artists to Visit China
「京都在住の芸術家が中国を訪れる」
(通常の英文)
Kyoto artists will visit China.
これは記事が書かれた時にはまだ、計画段階であったことを意味する。
(5) 受身形は過去分詞で表現する。
Tax Cut Plan Given to Study Council
「減税案が審議会に諮問された」
(通常の英文)
The tax cut plan was given to the study council.
(6) a. コロンは普通の英文と異なった使用がされる。
b. トピックを述べ、コロンの後にその特定の情報を付け足す。
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Blizzard of ’88: Tales of heroism, tragedy, hilarity
このトピックは1888年のブリザード で、厳密には、そのブリザー
ド 中の英雄の物語、悲劇と陽気な出来事である。
(通常の英文)
From the blizzard of 1888, there were tales of heroism, tragedy and hilarity. 「1888年のブリザード から、英雄談、悲劇と陽気な出来事が
生まれた。」
c. コロンはその情報源を示す場合もある。
この場合情報源は、新聞によってコロンの右にくる場合も、左にくる
場合もある。日本の英字新聞はコロンの左側に情報が 、右にその源の
人がくる場合が多いが 、アメリカの新聞はその逆が多い。
Study: Roads need fixing
「道路状況の調査によれば 、道路は修理が必要である」
(通常の英文)
According to a study, (certain) roads need fixing.
(7) “and” はコンマで置き換えられる。
Freezing Temperatures, Snow Hit Tokyo Again
マイナス気温と雪が再び東京を襲った」
(通常の英文)
Freezing temperatures and snow hit Tokyo again.
このように ”and” がコンマに置き換えられる。
4.4.
見出しに使用される省略形
見出しには多くの省略形や特殊な用語が使用されている。これらは、見出しを短
くするために用いられる。
単語の省略形がよく使用されるのは、以下に挙げるような単語である。
国名
U.S.(the United States) 、ROK(the Republic of Korea)「韓国」のように頭文字
を集めて表す。
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地名
H’shima(Hiroshima) 、S’pore(Singapore) のようなアポストロフィを使用した
省略形では、
“ ’
”が単語の一部を表している。
地域
M.E.(Middle East)「中東」、W.Europe(Western Europe)「西欧」のように、ピ
リオド を使用して表すことが多い。
政党
LDP(Liberal Democratic Party)「自由民主党」のように、政党は普通略して用
られる。
政府
首都の名前はその国の政府の名前として、使用される。Tokyo は日本政府、
Washington はアメリカ政府を意味する。
国際機構
IOC(International Olympic Committee)「 国際オリンピック委員会」、UNSC(United
Nations Security Council)「国連安全保障理事会」のように、省略形が多く使
用される。
4.5.
見出しに使用される特殊な用語
見出しにはよく綴りの短い単語が使われる。これらの単語は、見出しを簡潔にし 、
さらに読者の注意を引くため、力強い特定の語が使用され自然に出来上がったも
のである。このため、見出しにだけ用いられ 、本文には全く使われない語も多く
ある。
例えば 、nix(否定する) 、solon(国会議員) などである。以下によく使われるもの
を北尾謙治/北尾 S・キャスリーン /山内信幸 (1994) に沿って挙げる。
12
短い単語
act(名)
accord
aid
air
aim
assail
back
ban (動)
blast (名)
(動)
body
boom(名)
(動)
clash(名)
confad
cut
death toll
deal(名)
dip
due
exeye
fete(名)
(動)
firm(名)
hike(動)
hit
意味
法律
協定
援助
議論する、公表する
目的
非難する
支援する
禁止する
爆発
非難する
団体
激増
激増する
意見衝突
会議
削減 (する)
事故や戦争の死亡者数
同意
下落する
予定である
元- 、前熟考する
祝い
祝う
会社
引き上げる
攻撃する、衝突する
一般に使用される単語
law
agreement
assistance
discuss openly, bring to public notice
porpose
criticize
support
forbid
explosion
criticize
group
a great increase
increase greatly
disagreement
conference
decrease
number of deaths
agreement
decrease
scheduled
former
consider
celebration
celebrate
company
increase
attack(ed)
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短い単語
ink
ire
isle
launch
mart
meet(名)
Nnab
name(動)
nip
nix
OK(動)
pact
plunge
probe(名)
(動)
quit
rite
set
slain(動)
talks
ties
toll
top
up(動)
urge
vow
wed
win
意味
調印する
怒り
島
始める
市場
会議
原子力
逮捕する
指名する、任命する
阻止する
拒む
承認する
協定
急落する
調査
調査する
辞める
儀式
決める
削除する
会議
関係
死亡者数
最高の
上昇する
要求する
約束する
結婚する
勝利
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一般に使用される単語
sign(an agreement)
anger
island
begin
market
conference, meeting
nuclear
capture
appoint
stop
turn down,reject
okay; agree to
agreement,treaty
drop quickly
investigation
investigate
resign
ceremony
decide
murder
conference
relationship
number of (deaths,injuries)
go over
increase
press,exhort
promise
marry
victory
5 実例見出し 分類
『はじめて読む英字新聞』(1994) 及び 、
『英字新聞読本』(1981) に従って,分類する。
1. be 動詞は省略する。
(8) a. Nomura wooed by Tigers
「野村監督、タイガースから要請を受ける」
[THE DAILY YOMIURI, July, 15, 1998]
b. (通常の文)Nomura was wooed by Tigers.
ここでは、be 動詞が省略されていてる。
(9) a. New HK airport hit by corruption scandal
「新香港空港は贈賄スキャンダルで打撃を受けた」
[THE DAILY YOMIURI, July, 15, 1998]
b. (通常の文)New HK airport was hit by the corruption scandal.
ここでは 、be 動詞と贈賄スキャンダルの前の冠詞が省略されている。なお、
hit は見出し特有の用語で、一般に使われる、attack と同じように用いられる。
(10) a. Special financial panel proposed by LDP
「特別財政委員は自民党によって提案された」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文)The special financial panel was proposed by LDP(Liberal-Democratic
Party).
ここでは、冠詞 the と be 動詞の was が省略されている。また、単語の省略形
LDP も用いられている。
(11) a. Indonesian culture hit by economic woes
「 インド ネシア文化は経済難によって打撃を受けた」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文)Indonesian culture was hit by the economic woes.
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ここでは、be 動詞と冠詞が省略されている。なお、hit は見出し特有の用語で、
一般に使われる、attack と同じように用いられる。
(12) a. Pubulic not wowed by Obuchi administration
「小渕政権は公衆を沸かさなかった」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
b. (通常の文)The pubulic was not wowed by Obuchi administration.
ここでは、be 動詞と public の前の冠詞が省略されている。
(13) a. Nobel Prize spoof given for weird science
「ノーベル賞は変わった科学に与えられた」
[THE DAILY YOMIURI, October, 10, 1998]
b. (通常の文)Nobel Prize spoof was given for the weird science.
ここでは、be 動詞と冠詞が省略されている。
2. 冠詞は省く。
(14) a. Oil broker jailed in bribery scandal
「石油ブローカー、贈賄スキャンダルで刑務所に送られる。」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
b. (通常の文) The Oil broker were jailed in the bribery scandal.
ここでは、冠詞と be 動詞の省略がされている。
(15) a. Elephant hit by car near Bangkok
「象がバンコク近くで車に激突した」
[THE DAILY YOMIURI, October, 22, 1998]
b. (通常の文)The elephant was hit by the car near Bangkok.
ここでは、be 動詞と二つの冠詞が省略されている。なお、hit は見出し特有の
用語で、一般に使われる、attack と同じように用いられる。
3. 過去時制を現在時制で表現する。
(16) a. Director Kurosawa dies at 88
「黒沢監督、88 歳で亡くなる」
[THE DAILY YOMIURI, July, 15, 1998]
b. (通常の文) Director Kurosawa died at(the age of) 88.
16
ここでは、過去時制を現在形で表して、ニュースの新しさをも表現している。
(17) a. Cambodia gets ASEAN advice
「カンボジアは ASEAN の忠告を受け入れた」
[The Japan Times, October, 28, 1998]
b. (通常の文) Cambodia got the advice of ASEAN(Association of Southeast
Asian Nations).
ここでは、過去時制を現在時制で表している。また、簡略化のために 、冠詞
の省略と ASEAN という略語の使用、そして、ASEAN という名詞を形容詞的
に用いている。
(18) a. Pilot hijacks Air China 737 airliner to Taiwan
「パイロットが中華航空 737 便台湾行きをハイジャックした」
[The Japan Times, October, 28, 1998]
b. Pilot hijacked the Air China 737 airliner to Taiwan
ここでは、過去時制を現在時制で表している。また、冠詞の省略がされている。
(19) a. Salinas denies money laundering
「サリナスは不正資金浄化を否定した。」
[THE DAILY YOMIURI, October, 22, 1998]
b. (通常の文) Salinas denied the money laundering.
ここでは、過去時制を現在時制で表している。また、冠詞の省略がされている。
(20) a. Italian artist Bruno Munari dies
「 イタリアのアーティスト、ブロノ ムナリが亡くなった」
[THE DAILY YOMIURI, October, 22, 1998]
b. Bruno MunariItalian of Italian artist dead.
ここでは、過去時制を現在時制で表している。また、人名の前にその人を修
飾する名詞を並べて、修飾している。
見出しでは限られたスペースの中で、読者に説明する必要があるので 、この
ように 、人名の前に職業、年齢、肩書き、あだ名、国籍など の修飾するため
の語を並べることもある。
4. 未来形は to 不定詞で表現する。
17
(21) a. Sawamatsu to end career after season
「沢松選手はシーズン後に引退するであろう。」
[THE DAILY YOMIURI, July, 15, 1998]
b. (通常の文) Sawamatsu will end career after the season.
ここでは、未来形を to 不定詞で表している。また、冠詞の省略もされている。
(22) a. Kajima to report midterm net loss
鹿島は中間最終損失について報告するだろう
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文) Kajima will report the midtern net loss.
ここでは、未来形を to 不定詞で表している。また、冠詞の省略もされている。
(23) a. OECD to issue declaration on e-commerce
「経済協力開発機構は、貿易に関する宣言を出すだろう」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文) OECD(Organization for Economic Cooperation and Development) will issue the declaration on the e-commerce.
ここでは、未来形を to 不定詞で表している。また、単語の略語の使用、冠詞
の省略がされている。
(24) a. Minshuto to present bank counterproposal
「民主党は銀行対案を提出するだろう」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文)Minshuto will present the bank counterproposal.
ここでは、この記事が書かれた時はまだ 、計画段階にあったことを意味して
いる。また、冠詞の省略もされている。
(25) a. N.Korea to return U.S. soldier remains
「北朝鮮は残留アメリカ人兵士を返すだろう」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文)North Korea will return the U.S soldier remains.
ここでは、この記事が書かれた時には 、まだ行われていないことを意味して
いる。また、単語の省略形、冠詞の省略がある。
18
(26) a. Tatsuyoshi to defend WBC crown
「辰吉、WBC 王を守るだろう」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文)Tatsuyoshi will defend the WBC crown.
ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞の省略もされている。
(27) a. Daiwa securites to start online stock service
「大和証券はオンライン株式サービ スを始める予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. Daiwa securites will start the online stock service.
ここでは、未来形を to 不定詞で表している。また、冠詞の省略もされている。
(28) a. Taiwan to accept more mainlanders
「台湾はさらに多くの大陸からの人々を受け入れる予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 08, 1998]
b. Taiwan will accept the more mainlanders.
ここでは、未来形を to 不定詞で表している。また、冠詞の省略もされている。
(29) a. N.Korea to demand pullout of U.S. troops
「北朝鮮は、米軍の撤退を要求する予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
b. North Korea will demand to pullout of the U.S. troops.
ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞と前置詞が省略されている。
(30) a. Honda to tie up with Toyota in new broadcast service
「ホンダ社は新放送サービスにおいてトヨタ社と提携予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
b. Honda will tie up with Toyota in the new broadcast service.
ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞が省略されている
(31) a. FTC to seek stronger investigative powers
「公正取引委員会は、さらに強力な調査を行う予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 15, 1998]
b. FTC(Fair Trade Commision) seeks the stronger investigative powers
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ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞の省略もされている。
(32) a. Airlines to crack down on big bags
「航空会社は大きい荷物に対して、厳しく取り締まる予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 15, 1998]
b. Airlines will crack down on the big bags.
ここでは未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞の省略もされている。
(33) a. China to build advanced N-reactor
「中国は進歩した原子炉を建設予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 15, 1998]
b. China will build the advanced nuclear reactor.
ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、冠詞の省略、単語の短縮もされ
ている。
(34) a. Police to rearrest couple in arsenic poisoning case
「警察はヒ素毒物事件における夫婦を再逮捕する予定」
[THE DAILY YOMIURI, October, 22, 1998]
b. Police will rearrest the couple in the arsenic poisoning case.
ここでは、未来形を to 不定詞で表し 、また、2 つの冠詞の省略もされている。
(35) a. IMF aims to normalize ties with Iraq
「国際通貨基金はイラクの関係の正常化を目指す」
[THE DAILY YOMIURI, November, 06, 1998]
b. (通常の文) IMF(International Monetary Fund) aims(plans) to normalize
ties with Iraq.
ここで挙げている例は 、今までの未来形を to 不定詞で表しているものとは 、
異なるが 、この文もまた、未来を表している。この他に∼ing 、seem 、もちろ
ん will などでも未来形を表すことができる。
5. コロンは普通の英文と異なった使用がされる。
(36) a. Doctors:Strawberry’s op went smoothly
「ストロベリー選手の手術はスムーズに行われた、と医師団が述べた。」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
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b. (通常の文) Doctors said “Strawberry’s operation went smoothly”.
ここでは、コロンで発言者を示している。また、単語の短縮形も用いられて
いる。
(37) a. Strawberry’s test results:All clear
「ストロベリー選手のテスト結果よると、完治した、とのこと」
[THE DAILY YOMIURI, October, 10, 1998]
b. (通常の文) According to the Strawberry’s test,it is all clear.
ここでは、コロンで情報源を示している。
(38) a. King:Holyfield-Lewis fight will take place
「ホーリーフィールド とルイスの試合は行われるだろうとキング氏は
言った」
[THE DAILY YOMIURI, October, 14, 1998]
b. (通常の文) King said it would take place the fight of Holyfield and Lewis.
ここでは、コロンで発言者を示している。また、fight の前に名詞を並べるこ
とでその名詞を修飾している。
(39) a. Report:Catholics detained in China
カトリック教徒が中国で拘留された、と伝えられた
[THE DAILY YOMIURI, October, 15, 1998]
b. (通常の文) According to the report, Catholics was detained in China.
ここでは、コロンで情報源を示している。また be 動詞が省略されている。
(40) a. Govt:North Korea possibly tried to launch satellite
「北朝鮮は衛星を打ち上げようと試みたのだろうと政府は伝えた」
[THE DAILY YOMIURI, October, 22, 1998]
b. (通常の文) Goverment said North Korea possibly had tried to launch the
satelite.
ここでは、コロンで情報源を示している。また、単語の短縮や冠詞の省略も
行われている。
6. and はコンマで置き換えられる。
(41) a. Carlson, Thomas Cook plan tie-up
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「カルソン社とトーマスクック社は提携予定」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文) Carlson and Thomas Cook plans the tie-up.
ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。また冠詞の省略がされて
いる。
(42) a. France Telecom, IDM launch project
「フランステレコム社と IBM は事業を始める」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文) France Telecom and IBM launched the project.
ここでは、 and の代わりにコンマが用いられ、project の前の冠詞が省かれ、動
詞は近い過去を示す現在形が使用されている。
(43) a. Singapore, Lufthansa expand alliance
「シンガポール航空とルフトハンザ航空は提携を拡張した」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 08, 1998]
b. (通常の文) Singapore Airlines and Lufthansa expanded the alliance.
ここでは 、and の代わりにコンマが用いられ 、また、企業名の略、be 動詞の
略がされている。
(44) a. Komei,Shinto Heiwa to merge on Nov.7
[MAINICHI DAILY NEW, October, 5, 1998]
「公明党と新党平和は 11 月 7 日に合併する予定」
b. (通常の文) Komei and Shinto Heiwa will merge on November 7.
ここでは 、and の代わりにコンマが用いられ 、また、Nov. という省略形が使
われている。動詞は未来形を to 不定詞で表している。
(45) a. U.S. goverment sues Visa, MasterCard
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 10, 1998]
「米国政府は VISA と MasterCard を訴えた」
b. (通常の文)The U.S goverment sued Visa USA Inc. and MasterCard International Inc..
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ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。また、企業名の略や、近
い過去に対して動詞が現在形を使っている。
(46) a. 2 Americans, German win Nobel Prize in Physics
「二人のアメリカ人とド イツ人が物理学でノーベル賞を受賞した」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 14, 1998]
b. (通常の文)2 Americans and German win the Nobel Prize in Physics.
ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。また冠詞の省略も行われ
ている。
(47) a. Japan, U.S. agree on deregulation efforts
「日米は公約緩和の努力をすることに同意した」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 14, 1998]
b. Japan and U.S. agreed on the deregulation efforts
ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。また冠詞の省略も行われ
ている。
(48) a. Habibie, Estrada discuss Anwar issue
「ハビビとエストラーダは戦争問題について論じた」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 15, 1998]
b. Habibie and Estrada discuss Anwar issue
ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。
(49) a. New Italian premier, goverment sworn in
「新イタリア首相、政府就任」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 22, 1998]
b. New Italian premier and goverment sworn in
ここでは、and の代わりにコンマが用いられている。
(50) a. Toyota production declines, Nissan output up in Sept.
「 9 月、トヨタ生産高下落、日産生産高アップ 」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 22, 1998]
b. (通常の文) Toyota declined the procuction and Nissan upped the output in
September.
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ここでは 、and の代わりにコンマが用いられ 、過去時制を現在形で表してい
る。また、冠詞の略もされている。
(51) a. China, Vietnam to step up talks on disputed border
「中国とベトナムは国境紛争についての会議を持つ予定」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 22, 1998]
b. China and Vietnam will step up the talks(conference) on the disputed border.
ここでは 、and の代わりにコンマが用いられ 、未来形を to 不定詞で表してい
る。また、冠詞が省略され 、特殊な短い語彙が用いられている。
(52) a. Telecom problem disrupts flights, financial operation
「テレコム問題はフライトや、財政上のオペレーションを混乱させた」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 29, 1998]
b. Telecom problem disrupted the flights and the financial operation.
ここでは、and の代わりにコンマが用いられ、また、過去時制を現在時制で表
している。2 つの冠詞の省略も行われている。
(53) a. Ineko Sata, early champion of working women, dies at 94
「最初の働く女性、佐田イネコさん 94 歳で亡くなる」
[THE DAILY NEWS YOMIURI, October, 14, 1998]
b. Ineko Sata of the early champion of working women dead at (the age of)
94.
ここでは 、これまでの使い方とは異なり、コンマを用いて前の名詞を修飾し
ている。また、過去時制を現在時制で表現している。
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6 結論
英字新聞を容易に読むためには 、英字新聞の慣用表現や特殊な用語に慣れる必要
がある。この論文では 、英字新聞の基礎知識や慣用表現、特殊な用語ついて、紹
介してきた。
新聞英語は決して特別な文法を持っている訳ではなく、学校で学んできた文法
に少し 、簡略化するためのルールを付け加えたものに過ぎないのである。しかし 、
これらのルールを知らなければ 、見出しを記号のように感じたり、読むことも躊
躇することも少なくないだろう。
最後に 、もう一度見出し (本文全体にも対しても同じ 事がいえるが ) における、
ルールについてまとめよう。
be 動詞は原則として省略する。
冠詞、代名詞の所有格は省略する。
過去時制を現在形で表現する。
未来は to 不定詞で表現する。
コロンは普通の英文と異なった使用がされる。
and はコンマで置き換えられる。
英字新聞に慣れ親しむようになるためには 、これまで 、英字新聞全般にわたっ
て、取り上げてきた事柄を踏まえて、まずは興味のある記事を、コツコツ読むこ
とから始まるように思われる。
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主な参考文献
天野葉生,『ニュース英語入門』, 研究社出版,1993
上野田守, 布施敏夫, 『新聞英語』, 1978
北尾謙治, 北尾 S. キャスリーン , 山内信幸,『はじめて読む英字新聞』, 桐原語学ラ
イブラリー,1994
堀内克明,『時事英語』, 朝日出版社,1979
村田 聖明,『英字新聞の読み方』,The Japan Times.Ltd
『英字新聞読本』, 別冊 The English Journal,1981.8.2
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