俳句の作り方①

俳句の作り方①
日本専題講座レジュメ
花城可裕作成
一、俳句の規則:「有季定型」
1、定型:十七音(五七五)
古池や
上五
かわずとび
蛙 飛こむ
中七
水の音
松尾芭蕉
下五
2、拗音・促音・撥音・長音
①拗音:「ジュース」3音、「そうしじゅ(相思樹)」4音
②促音:「きって(切手)」3音、「パッツァン(縛粽)」4音
③撥音:「マンゴー」4音、「たんご(端午)」3音
④長音:「ビール」3音、「ブーゲンビリア(九層葛)」7音
3、季語
一句一季語:俳句は季語が必要である。季語は一句の中心・核となるもの。
題詠の場合 :今回は「粽」「蝉」「扶桑花」を詠じる。
自由詠の場合:市販の『歳時記』か、インターネットで好きな季語を選ぶ。
※日本の季語
春:立春、猫の恋、梅、鶯、春雷、東風(こち)
、春田(はるた)、雲雀(ひ
ばり)、燕(つばめ)、春雨(はるさめ)、木の芽(このめ)、椿(つばき)、霞
(かすみ)、菫(すみれ)、蒲公英(たんぽぽ)、桃の花、梨の花、杏の花、連
翹(れんぎょう)、春の宵(はるのよい)、春の月、朧(おぼろ)、柳(やなぎ)、
花(櫻のこと)、蝶、春風、躑躅(つつじ)、春愁(しゅんしゅう)…
夏:牡丹(ぼたん)
、端午(たんご)、祭(まつり)、薔薇(ばら)、梅雨(つ
ゆ)、蝸牛(かたつむり)、蟇(ひきがえる)、青蛙(あおがえる)
、さくらんぼ、
蛍(ほたる)、蠅(はえ)、蜘蛛(くも)、蟻(あり)、蚊(か)、蝙蝠(こうも
り)、時鳥(ほととぎす)
、苺、月見草(つきみそう)、雷(かみなり)、虹(に
じ)、花火、夜店、ビール、昼寝、夕焼、向日葵(ひまわり)…
秋:七夕(たなばた)、天の川(あまのがわ)、台風、蟋蟀(こおろぎ)、蟷
螂(かまきり)、名月(めいげつ)、蜻蛉(とんぼ)、雁(かり)、木犀(もくせ
い)、秋風、案山子(かかし)、啄木鳥(きつつき)、林檎(りんご)、柿(かき)、
重陽(ちょうよう)、柚子(ゆず)、紅葉(もみじ)、鹿…
冬:大根(だいこん)、蜜柑、落葉、時雨(しぐれ)、枯木(かれき)、おで
ん、焼芋、除夜(じょや)、雪…
新年:初春(はつはる)、年玉(としだま)、賀状(がじょう)、初夢…
4、切れ
①切れ:俳句はたったの十七音で森羅万象を表現する。その為に不可欠なのが
「切れ」である。「切れ」があると、その切れた所で余韻が残り、句に立体感
や重層感が生まれ、読者の想像力を喚起することができる。
5、切れ字(きれじ)
:句の中に強制的に「切れ」を作る文字。
代表的なものに「や」「かな」「けり」がある。
6、「や」:強調・詠嘆(~哟 !、~呀!)
古文
例
現代語
N+や
薫風や
薫風よ!
Na の名詞形(Na な)+や
静かさや
静かさよ!
V(原形)+や
降るや
降るよ!
薫 風 や /花 相 思 樹 の 並 木 道
大江白洋
閑 か さ や /岩 に し み い る 蝉 の 声
春 雪 の 暫 く 降 る や /海 の 上
松尾芭蕉
前田普羅
※「や」は上五の末や中七の末に使う。
※「や」は一句に一回だけ使う。
7、かな:感動を表す。
古文
例
現代語
N+かな
春田かな
N だなあ
A の名詞形(A い+さ)+かな
寒さかな
「A の名詞形(A い+さ)」
だなあ
V 原形+かな
話すかな
「V 原形」ことだなあ
A い+き+かな
遠きかな
A いのだなあ
Na な+かな
遥かかな
Na なのだなあ
副詞+かな
落花ばかりかな
副詞だなあ
V なる(ます形)+しかな
~となりしかな
~となったことだなあ
古文
例
現代語
V(ます形)+けり
尋ねけり
V たなあ
8、けり:詠嘆・発見した驚き
そう言えば V たのだった
なあ
V(ます形)+にけり
落ちにけり
V てしまったことだなあ
ない+かりけり
雲もなかりけり
(雲も)ないことだなあ
9、切れる場所
切れ字を使う場合と句切れ字を使わない場合とがある。
「上五の末」で切る場合
○○○○○/ ○○○○○○○
○○○○○
薫 風 や /榕 樹 の 中 の 開 元 寺
菅野ゆかり
椰 子 の 花 /高 雄 の 空 は 紺 碧 に
安倍春美
「中七の末」で切る場合
○○○○○ ○○○○○○○/ ○○○○○
旅 に 聞 く 祭 の 銅 鑼 や /夏 の 宵
望月児朗
椰 子 の 空 全 く 霽 れ て /夏 の 月
中島玲子
※「切れ字」を使う箇所
切れ字
上五
中七
下五
や
◎
◎
×
かな
×
○
◎
けり
○
○
◎
※「切れ字」は一句に一回だけ使う。
※「や・かな」、「や・けり」は一緒に使わない。
10、「切れ」の無い句。「一物仕立(いちぶつじたて)」の句。
「切れ」のない場合は、下五の末を「かな」「けり」や名詞などにする。
椰 子 の 花 散 る 媽 祖 廟 の 石 畳
有矢雄犀
さまざまの事思い出す桜かな
松尾芭蕉
いくたびも雪の深さを尋ねけり
正岡子規
11、一句中の「上五の末」と「下五の末」を同時に名詞にしない。
× 夏の雲 / ○○○○○○○ / 椰子の浜
→ ○ 夏雲や / ○○○○○○○
椰子の浜
→ ○ 夏雲に
○○○○○○○ / 椰子の浜
例えば、
「夏の雲」の場合は、
「夏雲」の後に「や」
「に」
「を」
「が」
「は」
「の」
などを附ける。
二、注意
1、比喩
比喩や擬人化は斬新さが必要である。独自の比喩を使う。
×桜 散 る ま る で 雪 で も 降 る よ う に → 陳腐
○月 の 駅 家 出 の よ う に 本 抱 い て
岡修平
2、言葉の倹約・節約
俳句では、「氷が冷たい」の様な当たり前なことは言わない。
また、「茉莉花の花が香る」の様に同じことを二度言わない。
3、自分の気持ちを表す(主観的な)言葉を使わない
「淋しい、悲しい、幸せだ、最高だ、うれしい、美しい、美味しい」と言った
主観的な言葉を使わずに句を詠む。
例えば、「淋しい」と言わずに淋しさを句に詠むこと。
この道や行く人なしに秋の暮
松尾芭蕉
三、第一回日語俳句大賽 題詠 季語の傍題
俳句を詠むときには以下の傍題も使える。どれも夏季・暑季の季語。
粽(ちまき):粽つくる、粽結う(ちまきゆう)
、粽解く(ちまきとく)、縛
粽(パッツァン)、肉粽(バアツァン)、客家粽、粄粽、阿拝(原住民の粽)…
蝉(せみ)
:初蝉(はつぜみ)
、蝉時雨(せみしぐれ)、唖蝉(おしぜみ)
、夕
蝉(ゆうぜみ)、夜蝉(よぜみ)、山蝉(やまぜみ)、空蝉(うつせみ)、蝉の殻
(せみのから)、羽衣蝉(はごろもぜみ)、…
仏桑花(ぶっそうか)
:菩薩花(ぼさつばな)、琉球むくげ(りゅうきゅうむ
くげ)、照殿紅(しょうでんこう)、扶桑花(ふそうか)、ハイビスカス、大紅
花(トアアンフェー)、仏桑華(ぶっそうげ)…
四、俳句を作る
先ず、季語を決め、その季語から連想することや、季語のイメージを紙に書
いてみよう。 例)粽:龍舟、卵立つ、お婆ちゃん、阿嬤、屈原、市場…
次にそれらの中から言葉を選び、自由な発想で俳句を作ってみよう!
五、俳句と短歌の違い
俳句
短歌
詠物詩
叙景詩
具体的な描写による象徴詩。
物や景色が自分の気持ちを象徴する。
俳句では、理屈を述べない。眼前の事象を描写する。
抒情詩
自分の気持ちをそのまま歌にする。
参考文献
大野林火ら『入門歳時記』東京:角川書店、1984 年 4 月。
黃靈芝『台湾俳句歳時記』東京:言叢社 2003 年 4 月。
社団法人俳人協会『俳句への一歩』東京:俳人協会、平成 9 年 7 月。
辻桃子『はじめての俳句づくり』東京:日本文芸社、平成 13 年 12 月。
復本一郎『青春俳句をよむ』東京:岩波書店、2003 年 9 月。
台湾季語一覧
詳しくは黃靈芝先生のご著書『台湾俳句歳時記』(東京:言叢社
2003 年 4
月)をご参照ください。
人事
年末年始
旧正月、新正月、送神、做粿、弁年貨、大掃除、捒做堆、囲炉、長年菜、烏魚
子、烟腸、年年有魚、歳歳平安、春聯、年画、圧年銭、爆竹、拝年、博牌、做
客、赤狗日、接神、清水祖師誕、天公生、上元節、放天燈、蜂炮節、偸俗、聽
香
暖かい頃
土地公生、水仙会、開台聖王祭、百花生日、観音媽生、三山国王祭、大道公生、
註生娘娘生、媽祖祭、焼王船、仙公生、呉鳳祭、清明、寒食、播早冬、農民節、
摸春牛、牛墟、アリツ祭、婦女節、花季、文芸季、賞鳥季、瓜を植う、売魚苗、
雷公炮、二二八
暑い頃
端午、縛粽、湧開目、食艾粄、城隍祭、関公生、乞食祭、雷公祭、八田祭、荷
花生、台湾衫、竹笠仔、鹹蜊仔、売花、あひる飼ふ、蛙釣る、採鹿茸、水萍塭、
塩田、掠沙随、鰻釣る、亭仔脚、釣蝦池、飼紅竜、博蟋蟀仔、大甲帽、捕蚊燈、
少年棒球賽、聯考、挽面、食檳榔、竹褯、台湾呆け、蝴蠅屎痣、マラリア、デ
ング熱、香港脚、蜈蚣膏、檨仔青、豉鹹卵、愛玉氷、芋氷、粉円氷、仙草氷、
冬瓜茶、酸梅湯、台湾ビール、台湾コーヒー、ビヤ・ホール、鰱魚鍋、曝筍干、
七娘媽生、中元節、鬼月、義民節、父親節
涼しい頃
中秋、月餅、豊年祭、樹王祭、食鴨公、新学期、孔子節、重陽節、寧靖王誕、
光復節、青山王祭、開山、粟の秋、土いぢり、娶り、種菜頭、番薯簽つくる、
土豆仁湯、栗子鶏
寒い頃
冬至、臘八、尾牙、炕窰、竹根掻、米粉をつくる、週年慶、鯔市、夜市、火籠、
茶岫、補冬、薬酒、焼肉粽、担仔麺、火鍋、鱔魚鍋、すっぽん鍋、蚵仔煎、卵
雛、香肉、冬菜鴨、土托魚焿、魚翅焿、麻油鶏、四神湯、当帰鴨、鶏脚凍、小
籠包、臭豆腐、麺茶、膨糖、雪見、流鼻将軍
自然
天文気象
平流霧、査某雨、夏東風、西北雨、秋老虎、九月颱、基隆雨、小陽春、狂狗湧、
輻射冷、輻射霧、東北風、基隆雨、新竹風、焚風、趕烏魚、霾
植物
暖かい頃
おにたびらこ、兔草、オキザリス、一点紅、昭和草、一葉蘭、胡蝶蘭、報歳蘭、
糸蘭、君子蘭、紅葱頭、蒜仔花、キャッサバ、満山紅、木綿花、含笑花、山櫻
花、苦桃、紅肉内李、仙桃、人心果
暑い頃
月桃、野あさがほ、月下美人、桜蘭、薑仔花、大谷渡、月来香、八角蓮、時計
草、蛇瓜、ねなしかづら、はぜらん、つるらん、蓖麻、洛神、相撲草、薄荷、
菜瓜、苦瓜、蒲仔、皇宮菜、九層塔、莧菜、番薯葉、蕹菜、竹筍、脚白筍、蓮
子、白木耳、霊芝、竹蓀、榕樹、椰子、相思仔花、鳳凰木、蛇木、林投、破布
子、仙丹、苦藍盤、蘇鉄、仏桑華、野牡丹、茉莉花、番石榴、波羅蜜、蓮霧、
マンゴー、木瓜、パイナップル、パンの実、竜眼、茘枝、ドリアン、アボカー
ド、バナナ、台湾水密桃、釈迦
涼しい頃
鶏母珠、燈籠草、素心蘭、土豆、菱角、金針花、珍珠菜、芹菜、韮菜花、五年
芋、草菇、楓、木欒子、白千層、文旦、柳丁、金柑、蘋婆、紅柿、草橄仔
寒い頃
蒜仔、芫荽、紅菜、打某菜、茄茉仔菜、肉豆、皇帝豆、腰果、いかだかづら、
山茶花、水筆仔、甘蔗、仏手柑、椪柑、桶柑、ザボン、桔仔、楊桃
動物
暖かい頃
春仔、甘仔、吻仔魚、四破魚、花飛、まんばう、サラマオ鱒、花蟹、旭蟹、竜
蝦、蝦蛄、鳳螺、血蚶、九孔、日月蟶、蟶、焼酎螺、粉蟯、小巻、かささぎ、
五色鳥、画眉、黒鵯、帝雉、鳥騒ぐ
暑い頃
虱目魚、呉郭魚、土殺、土竜、鱸鰻、鱺魚、草魚、鮕「魚+氐」1 、三班、
石斑、皮刀魚、花鮡、青衣、紅目鰱、飛魚、透抽、ざりがに、石螺、露螺、山
なめくぢ、サンコタイ、長い物、台湾コブラ、雨傘蛇、亀殻花、百歩蛇、青竹
糸、穿山甲、水牛、海亀、きんぱら、カーレン、ぺタコ、烏鶖、山娘、白鷺、
瑠璃鳥、密婆、大屯ひぐらし、羽衣蝉、土扒仔、牛屎亀、虎頭蜂、ごきぶり、
筍亀、ゑかき虫、太尾揚羽、ラアギア2
涼しい頃
秋刀魚、肉魚、白帯魚、市仔、毛蟹、目白、さしば
寒い頃
午仔魚、鮸魚、さはら、土黄、紅蟳、西刀舌、烏脚香、銭鼠、羌、竹鶏、鵙、
黒面箆鷺、黄鶯、烏骨鶏、紅面鴨、胡蝶谷
1
2
原文は「魚」偏に「氐」と言う字。
原文は、「流」の下に「虫」と言う字と「虫」偏に「禺」という字。
俳句の作り方②
「切れ」について、口語俳句を例に
花城可裕作成
一、切れ (「切れ」の前後は不即不離の関係にある。
)
1、初句切れ(「上五末」で切る場合)
○○○○○/ ○○○○○○○
○○○○○
薫風や
/榕樹の中の
開元寺
菅野ゆかり
椰子の花 /高雄の空は
紺碧に
安倍春美
2、二句切れ(「中七末」で切る場合)
○○○○○ ○○○○○○○/ ○○○○○
旅に聞く
祭の銅鑼や
/ 夏の宵
望月児朗
椰子の空
全く霽れて
/ 夏の月
中島玲子
3「切れ」の無い句(通常、下五末を、名詞や「かな」「けり」等にする)
○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○
椰子の花
散る媽祖廟の
石畳
有矢雄犀
さまざまの
いくたびも
事思い出す
雪の深さを
桜かな
尋ねけり
松尾芭蕉
正岡子規
※ 以下の例句は、伊藤園お~いお茶新俳句大賞(第 6 回平成6年~第 14 回平
成 14 年)より。平仮名や漢字を一部改めたところがあります。なお、原句
は分かち書きしてありません。
二、上五(初句切れ)
N・切れ
シャボン玉/ いびつに生まれ 丸く飛ぶ
蝉時雨/ きみの言葉で 遠くなる
柏餅/ 葉っぱのにおいも 食べました
夏祭り/ 浴衣に恋を 忍ばせて
N+V(原形)・切れ
スイカ切る/ その瞬間に もう夏だ
夏が来る/ でもその前の 海が好き
N+V(テ形)・切れ
雪とけて/
僕の前には
君がいた
N+V(原形)
・切れ(=テ形) 夕日燃え/
見てる私に
引火する
気分かな
Vする+し・切れ
失恋し/
鍋のハクサイ
Aい+し・切れ
風強し/
握り拳の
句など・切れ
また来るね/ 花はそう言い 散ってゆく
星ってね/ 落ちてこれない 花火かな
冬だから/ その手に触れて いいですか
中の春
三、上五(二句切れ・切れの無い句)
N+助詞
N+助詞
の
自転車の スピード落とす/ さくら道
先生の 話も止まる/ 蝉の声
一瞬の 輝きのため/ 鳴いた蝉
は
春風は
出会いと別れを 運んでる
が
風鈴が
水母に見える/ この暑さ
に
自転車に
を
さよならを
で
豆まきで
との
あなたとの
より
社長より
には
かれ木には
から
電話から
うつされそうな
まで
空気まで
磨いたような
でも
金魚でも
名前をつけたら
より
花火より
隣りで笑う
遠くから
もう来ていたよ/
Aい+く+から
先に乗ってる/
→や
赤トンボ
言いたかったよ/雪だるま
福より先に
鳩が来る
距離が近づく/
猫になりたい/
→や
冬が好き
冬の朝
次の時代が
つまってる
→詰りけり
風邪の声
下五:名詞
お正月
家族です
君を見る
下五:名詞
→かな
→君の顔
春の風
四、「下五」
V
V(原形)
引火する
+V(原形)
丸く飛ぶ
君を見る
V(タ形)
君が居た
食べました
V(テ形)
忍ばせて
V(テ形)+いる 運んでる
鳩が来る
つまってる
V(テ形)+いた 走ってた
V(テ形)+いく 散っていく
Na な
海が好き
Aい+く+なる
遠くなる
Aの名詞形(Aい+さ)
この暑さ
N
N
赤トンボ
N+の+N
春の風
V+N
鳴いた蝉
冬が好き
お正月
蝉の声
N+だ
もう夏だ
N+です
家族です
切れ字(N+かな)
花火かな
疑問文
いいですか
雪だるま
冬の朝
気分かな
風邪の声
俳句の作り方③
俳句の句法
花城可裕作成
一、俳句の基本的な句法
1、基本的注意
1)「切れ」の前後(甲と乙)は不即不離の関係にある。
A:甲○○○○○/ 乙○○○○○○○
○○○○○
甲夏祭り
/ 乙浴衣に恋を 忍ばせて
B:甲○○○○○
甲自転車の
○○○○○○○/
スピード落とす/
乙○○○○○
乙さくら道
2)俳句は「1つの季語」と「1つの名詞」と「1つの動詞」を中心に作
ると綺麗に纏まる。
3)形容詞や副詞は避けたほうが好い。
2、初句切れ(「上五末」で切る場合)
※ 甲:N1つ(季語など)。
乙:V1・N。
甲○○○○○
/ 乙○○○○○○○
N(5音)
N(4音)+1音の助詞
N(3音)+2音の助詞
/
/
/
○○○○○○○
○○○○○○○
○○○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
3、二句切れ(「中七末」で切る場合)
※ 甲:V1つ・N。
乙:N1つ(季語など)。
甲○○○○○ ○○○○○○○/ 乙○○○○○
○○○○○ ○○○○○○○/
N(5音)
○○○○○ ○○○○○○○/
N(3音)+「かな」or「けり」
4、チェックリスト
1)17 音(五、七、五)、季語1つ、切れ1つ。
2)一句の中心・核は「季語」である。季語を客観的に描写する
3)
「や・かな」、
「や・けり」は一緒に使わない。
「切れ字」は一句に一回だけ。
4)上五と下五が、同時に名詞で終わるのを避ける。
5)「切れ」の前後(甲と乙)を、「不即不離」の関係にする。
6)当たり前のことは言わない。
「冷たい氷」は、「氷」だけで十分。
7)同じことを二度言わない。「茉莉花の花」は、「茉莉花」だけで十分。
8)「淋しい、悲しい」の様な、自分の気持ちを表す形容詞を避ける。