環 境 保 全 ・ 新 エ ネ ル ギー 電 力 固 有 技 術

項 目
電
力
固
有
技
術
展 示 内 容
ガイド波超音波探傷装置
配管の減肉状況を把握する手法として、配管全周を広範囲に探傷可能な超音波であるガイド波を用いた探傷システムを開発しました。
本システムは、電磁超音波センサを利用し、ガイド波を配管に伝搬させるものです。
本システムを利用して配管の減肉状況を広範囲に把握することで、効率的な減肉調査が可能です。
22kV配電用ポリマーがいしの開発
従来の22kV配電用がいし(磁器製)に比べ、サイズ・重量とも小さく、作業効率化が図られている22kV配電用ポリマーがいしを、実物
とパネルで紹介いたします。
鉄塔敷地斜面災害予測システムの開発
台風、梅雨等による集中豪雨で鉄塔敷地斜面の崩壊が発生した場合、鉄塔の変形や倒壊といった設備事故に波及する恐れがあるため、
早期に発見する必要があります。そこで、大雨により「鉄塔敷地斜面崩壊の危険性が高まっている箇所」をリアルタイムに把握し、効
率的な巡視計画が策定できる災害予測システムを開発しました。本システムの設置により、迅速な災害復旧が期待できます。
KOホーン(66kV限流アークホーン)
66kV送電線の雷事故を防止する手段として、限流アークホーン(避雷器)がありますが、現行の限流アークホーンは、低コスト化、小
形・軽量化が課題となっています。KOホーンは、従来の限流アークホーンに比べ、低コスト化、小形・軽量化が図られました。本装
置の設置により、66kV送電線の雷事故に対する供給信頼度向上を、低コストで実現することが期待できます。
配電線光遠制システムにより、異常(事故)時に計測される波形データを活用して、異常(事故)原因を推定するアルゴリズムを研究
光遠制配電線路における配電線事故原因 しております。これにより、巡視の効率化や原因発見率の向上などが期待されます。
本研究成果を基にした、異常(事故)原因推定アルゴリズムを組み込んだ光遠制システムは、平成22年度より全社への展開を開始して
推定機能の開発
いますが、更なる精度向上を目的として、蓄積される様々な異常波形データを継続して分析しています。
変圧器励磁突入電流抑制制御装置
遮断器の投入タイミングを制御して変圧器加圧時の励磁突入電流を抑制する装置を開発しました。これにより変圧器加圧時の瞬時電圧
低下の発生を防止することができます。
水力土木設備の診断技術
当社の水力発電設備は高経年化が進行しており、また、近年では大規模地震時の水力設備の安全性に対する社会的関心が高まっていま
す。よって今後は高度な経年劣化に対する健全性と耐震性能の照査を行い、社会に説明していくことが必要です。本研究では、常時微
動計測に基づく振動特性からのダム健全性評価法、シミュレーションによるダムの耐震性能評価法、ならびに、超音波を用いたダム洪
水吐トラニオンピン内部・水圧鉄管固定台埋設部の可視化、および弾性波・電気抵抗等を用いたダム基礎岩盤部の可視化による健全性
評価法の開発に取り組んでいます。
屋外型無線LANの検証
屋外で長距離伝送が可能な無線LAN「IEEE802.11j」の適用について検証を行いました。
有線でのシステム構築が困難な場所への適用が期待されています。
センサネットワーク構築方法の検討
屋外機器、施設に設置されているセンサをネットワーク化するための構築方法について、使用する無線方式を含め検討しています。
超電導変圧器の技術開発
変圧器は超電導線材の適用により、小型・効率化かつ不燃性となります。特に、イットリウム(Y)系超電導線材は高磁界中で通電電
流が大きく、細線化により低損失化が図れ、将来の低コスト化も期待できることから、Y系超電導変圧器実用化の技術開発に取り組ん
でいます。
なお、本研究は経済産業省プロジェクト「イットリウム系電力機器技術開発」(H20∼H24)をNEDOから受託し実施しています。
石炭火力発電所の窒素処理排水中の微生物は、特異な環境下で生育されます。そのため、長期運転を行った結果、年々微生物が退化な
微生物を利用した発電所窒素排水処理に
いし、その極貧環境下に適応するため変異いたします。それらの変化に対応できる測定方法や運用について微生物的調査研究から現場
関する研究
サポートを行っております。
褐炭高度利用研究
当社の中長期的なエネルギーセキュリティへの取組みとして、これまであまり利用されてこなかった低品位炭(褐炭)の高度利用技術を
資源国である豪州と連携し開発しています。
ゼオライトを用いたセシウム除去法の性 水質浄化など、さまざまな特性を持つゼオライトについて、セシウム除去性能を把握、評価できる試験方法を海水及び淡水で検証しま
したので、その概要を報告します。
能評価について
太陽光発電の導入拡大に向けた研究への 全国321箇所(内、九州24箇所)の日射量や太陽光発電出力を同期計測し、太陽の運行や気象による太陽光発電の出力変動が需給バラ
ンスの調整に与える影響を定量的に評価しました。(経済産業省プロジェクトとしてH21∼23年度実施)
取組み
ライフサイクルCO2削減、天然資源保護の観点から、石炭灰(フライアッシュJIS灰)の砂代替とセメント代替の研究を行ってい
火力発電所の石炭灰を有効活用した新技 ます。火力発電所から発生する石炭灰をセメントの一部代替とすることで、セメント製造時に発生する大量のCO2を抑制できます。
また、苅田発電所から発生する加圧流動床石炭灰(PFBC灰)は、通常の石炭灰と異なり自硬性を有する特長があり、高炉セメント
術
B種等と配合することで、地熱発電所や下水道施設等のコンクリート構造物酸性劣化対策の「補修材料」として適用可能です。
太陽光など出力が不安定な分散型再生可能エネルギーが大量に普及した場合においても、高品質・高信頼度の電力供給を維持できるよ
う、全ての電源及び系統設備の最適運用を行えるスマートグリッドの構築を目指しています。九州の気象特性や電力系統設備の実態に
即した、電力需給面、電圧面及びお客さま面の課題抽出と技術的検証を目的として計画中の、スマートグリッド実証試験の概要につい
て紹介します。
航空障害灯電源供給システム
送電鉄塔には航空法に基づき各種の航空障害灯が設置されており、一部の小容量のものを除いて配電線から電力を供給しています。こ
のため山間部の送電鉄塔では用地取得、配電線建設・保守面の課題があります。
そこでリチウム電池を適用した運用性、経済性に優れた航空障害灯用の電源供給システムを開発し、航空障害灯用配電線の課題を解消
することを目的としてた研究開発を行いました。現在、実際の送電鉄塔にて実証試験を行っております。
太陽光発電量PCSの特性評価
太陽光発電(PV)の連系量が増加した場合には天候等による出力変動が大幅かつ急峻な電圧変動を発生させ、目標電圧の逸脱や広範
囲のパワーコンディショナ(PCS)の停止によって系統電圧の維持に影響を及ぼすことが懸念されています。その効果的な対応を図
るために、そのべースとなるPCSの単体動作特性、複数の系統連系特性を実験的に分析しました。また、PCSの電圧制御特性の分
析を行い電圧制御手法の異なる4種類のPCSの複数台動作特性を実験的に評価いたしました。更に、デジタル解析を行うためにPC
Sの動作特性についてモデル化を進めています。
ー
環
境
保
全
・
新
エ
ネ
ル
ギ
スマートグリッド実証試験
離島マイクログリッド実証試験
系統規模が異なる6離島(鹿児島県三島村 黒島、竹島、鹿児島県十島村、中之島、諏訪之瀬島、小宝島、宝島)に太陽光発電、蓄電
池及び風力発電を導入し、電力品質を維持するとともに低炭素社会に貢献する離島マイクログリッドシステムの開発、実証研究を行っ
ています。
高水分バイオマスの燃料化、直接燃焼発 九州の地域性を活かしたカーボンニュートラルである畜産廃棄物を電気エネルギー源として利用することを目的とした技術開発を行
い、九州における地産地消エネルギーの発掘を目指しています。
電に関する研究
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)
環境と家計にやさしい暮らしのために、ホームエネルギーマネジメントシステムを開発しています。
住宅内の電気使用量の見える化、電気使用の最適化などの機能や自動換気システムと協調して、季節や使い方に応じた最適空調の自律
制御を行うことができます。
自動換気システム
自然風を積極的に活用し、心地よさと省エネを向上する自動換気システムを開発しています。
外気温等の条件に基づき、HEMSと連携して、換気システムによる外気の導入とエアコンの動作を自動で切り替えます。
地中熱利用ヒートポンプ
地中熱ヒートポンプについて、園芸用ハウスへの適用及び高効率化を目指す研究を行っています。
希少植物の保護・増殖に向けた研究を実施しております。
希少植物(絶滅危惧種)ならびに自生種
現在、社有地内で発見された「タコノアシ」の自生地拡大へ向けた研究を行っております。また、自生種を脅かす「特定外来種:アレ
の栽培に関する研究
チウリ」の防除方法についても検討中です。
施設園芸(ハウス)への太陽光パネルの 太陽光発電パネルの農業分野への利用可能性を検討するため、ハウス設置箇所での発電量の把握や、発電を行いつつハウス内の光量調
節が行える装置を試作し評価を行いましたので、その概要を紹介します。
利用に関する研究
項 目
展 示 内 容
総研の見える化
総合研究所には、これまで蓄積してきた技術・知見・ノウハウなどが豊富にあります。これらの技術や知見を全社で共有化することに
より、技術レベルの向上及び若手社員等の自己研鑽の場にもなるよう、「総研テクナビ」を構築し、全社に提供しています。
AE計測システム
(屋外貯蔵タンク底板腐食評価)
屋外貯蔵タンク底板裏面の腐食状況を燃料が入った状態でAE波(材料が変化・亀裂が生じる際に弾性波が放出される現象)を検出
し、評価するシステムを開発しました。タンクを開放せずに底板裏面の腐食状況をマクロ評価するグローバル診断として有望な技術で
す。
内燃機関等から発する異常音の周波数特徴パターン、しきい値(基準値)を明確化することにより、従来では検知できなかった機器の
音響法を用いた内燃機関の状態監視シス
損傷部位や損傷程度を予兆段階において特定できる状態監視システムを開発しました。本システムは、当社の内燃力発電所における実
テム
機試験を通し確立させたもので、当社独自の技術です。
ポータブル電源装置
電力事業の作業の効率化や利便性の向上などを図り、作業を支援する目的でポータブル電源装置の開発に着手、配電作業の現場検証な
どを通じて、可搬性や性能の優れた3つのタイプを開発しました。これらの装置は先の東日本大震災で日本赤十字社の救護用テントに
おいて医療支援活動をサポートするなど、社会的にも認知されるようになったことから、H24年1月から「エネジール」(2.5kWh)の製
造販売を開始し、その他の機種についても、製造販売に向けた開発を行っています。
リチウム電池を用いた高所作業車用バ
ケット部駆動システム
建設現場や工事現場など、産業機器を使用する作業環境では、騒音・排ガスのない環境にやさしい機器が求められています。
今回、当社が開発したリチウムイオン電池を用い、株式会社アイチコーポレーションと株式会社九電工と共同で高所作業車用バケット
部駆動システムを開発しました。
当社と株式会社デンソーは、電気自動車(EV)の普及促進による低炭素社会実現への貢献と、地域情報データベースの有効活用によ
情報配信システムに対応した電気自動車 る地域振興を目的とした、情報配信サービスのシステム開発に共同で取り組んでおります。
このシステムは、インターネットに接続されたEV用充電スタンドとEVに搭載された情報端末等が通信を行い、福岡市が保有する情
用普通充電スタンド
報等を同端末に配信するもので、平成23年度末から実証実験を実施しております。
新
規
事
業
・
社
会
貢
献
小型、高効率な直流安定化電源
当社は、マトリックスコンバータ技術を適用したインバータの高性能化技術に取り組んでおり、その一環として、電気自動車の急速充
電器に適用できる直流安定化電源(30kVA)を開発しました。この直流安定化電源は、高効率(93%:従来品+3%)、小型化(従来
品▲20%)を実現しております。
IHアイロン
IH技術を応用した、新たな電気の使い方を提案します。
アイロン本体が発熱せず、安全で省エネ性に優れる新しいアイロンを開発しています。
IHクーラー
IH技術を応用した、新たな電気の使い方を提案します。
本体を「IHクッキングヒータ」のプレート上に載せることで食材の冷却を行うことが出来ます。
照明システム
照明の光の広がり具合(配光)を調節することが出来る照明システムを開発しました。
くつろぎや団欒など生活シーンに応じた照明の演出効果を、スイッチ一つで切り替えることが出来ます。
ブレーカー状態表示器
ブレーカーが動作して部屋の中が暗闇になっても、動作したブレーカーのつまみの位置を確認出来る表示器を開発しました。
手さぐりではなく、確実・安全にスイッチを操作できます。
EVコンセント
RFIDやQRコードを用いて充電開始・停止制御などを行う電気自動車用普通充電コンセント(EVコンセント)を開発いたしまし
た。インターネットを介して、充電開始・停止を行ったり、充電量などの情報収集が可能です。
重機後方接近警報装置
土木建設工事現場等において、作業員に重機が接近した場合に、安全のため重機の操縦席に警報を発する装置を開発しています。
平成21年度からコチョウラン(中小輪系)の苗を購入、ヒートポンプ設備を活用して栽培試験を実施し、成果物の試験販売を実施して
ヒートポンプを活用したコチョウランの
おります。高品質コチョウランの栽培に成功し、市場への販売出荷や社内販売を行いました。
生産・販売事業化に関する研究
ヒートポンプを活用したコチョウランの栽培状況と高品質を得るためのヒートポンプの役割を紹介します。
森づくりへの取組み
「九州ふるさとの森づくり」で植樹する苗木を、各県ごとに種を採集し前原分場で県ごとに栽培して当該県へ出荷しています。
その取組み状況を紹介いたします。
ハウス暖房に使用する重油価格高騰により、また低炭素型農業の一つとして施設園芸(ハウス栽培)へのヒートポンプ導入が求められ
施設園芸(ハウス栽培)へのヒートポン
ています。ヒートポンプは1台で暖房、冷房及び除湿が可能であり、九州地区においてもバラ、ラン類、ハウスミカン、マンゴー、ト
プ利用に関する研究
ルコギキョウなど、導入が進んでいます。これまで、生物資源研究センターが係わってきた研究成果について紹介いたします。
農業生産場面においてヒートポンプの導入対象は、マンゴー、ラン類、バラ、キク、ピーマン、トマト、キュウリなどの高中温(25∼
エコキュートを利用したハウス暖房シス
14℃)で管理する作物ですが、九州内で多く栽培されている作物、イチゴは10℃以下で管理され空気熱源のヒートポンプでは効率が悪
テムに関する研究
く普及していません。このため、エコキュートを利用した暖房システムについて検討を行いましたので、その概要を紹介します。
九州電力グループのうち7社の技術を紹介いたします。
九州電力グループの技術紹介
(一財)電力中央研究所展示
● 九電産業㈱
・脱硝触媒再生事業(触媒性能評価、触媒性能維持対策コンサル、触媒洗浄・触媒補修)など
● 九電テクノシステムズ㈱
・低圧新型電子メータ(ユニットメータ)、デマンドコントロール装置、EV用充電インフラ機器、フリッカメータなど
● 光洋電器工業㈱
・LED照明灯一体型ポータブル電源装置
● 西日本技術開発㈱
・風況予測技術及び風力発電適地選定・評価コンサルティング
● ニシム電子工業㈱
・各種センサー情報収集ゲートウェイ(マルチエアネット)、デマンド監視装置
● ㈱プラズワイヤー
・長期防錆技術 プラズワイヤー工法
● ㈱キューヘン
・66kv移動用変圧器、LRT用新デジタル盤(新DLR盤)、遠制化対応SVR制御装置、無効電力補償装置など
電力中央研究所の成果のうち、電力会社やグループ会社などにおいて使用していただけるソフトウェア、および装置についてご紹介い
たします。
電力の現場にてご使用いただける「台風による配電設備被害予測」「電力流通設備更新計画支援」、オフィスビル事業者の方々にご使
用いただける「オフィス省エネ方策選択支援」「建物温熱環境設計支援」、および電気自動車用の充電ステーションの設置計画にご利
用いただける「次世代自動車交通シミュレータ」等のソフトウェア、そして「柱上変圧器巻線異常診断」装置の展示とデモを行いま
す。