JAEA 向け・無線式個人線量計の供給について

2012 年 8 月 28 日
株式会社アール・アイ・イー
JAEA 向け・無線式個人線量計の供給について
株式会社アール・アイ・イーでは、JAEA(独立行政法人日本原子力研究開発機構)からの発注を受けて、独自の
無線式個人線量計 RF-DSM の供給を開始しました。
この無線式個人線量計 RF-DSM は、株式会社アール・アイ・イーと日立アロカメディカル株式会社との共同開発によ
る、世界初の放射線安全管理システムです。両社はチェルノブイリ原発事故後にウクライナでの原発事故現場での復
旧工事現場で働く作業者の健康と安全管理の為に、2004 年から先端技術を結集して技術開発を行ってきました。
無線式個人線量計 RF-DSM は高精度の線量計の計測をおこなうだけでなく、作業者の体動を検知する加速度セン
サを内蔵しており、リアルタイムで姿勢情報を把握し、不慮の転倒事故なども遠隔地から把握することができます。
本システムは、国内外の原子炉施設、核燃料物質の使用施設等への適用も可能です。例えば、東京電力株式会社
福島第一原子力発電所の解体作業や被災地区の除染作業においても、多数の作業者の被ばく線量を効率的かつ効
果的にリアルタイム管理することなどがあげられます。基幹となる技術と製品は、㈱アール・アイ・イーから日立アロカメ
ディカル㈱を通じて JAEA に供給されます。
JAEA では、RIE の無線式個人線量計を使って材料試験炉内での作業者の被ばく管理や安全管理に活用する方針。
(*8 月 24 日付プレスリリース記事参照)
株式会社アール・アイ・イーは、今後も福島原発被災地での作業員と環境の安全管理以外にも、高線量区
域内で作業する人々の健康と安全に貢献する技術や製品の開発に最善を尽くしたいと考えています。
株式会社アール・アイ・イー
代表取締役社長 片山 敬止
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平成 24 年 8 月 24 日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
放射線管理区域への多機能入域管理システムの開発・導入に成功
(プレスリリース)
【発表のポイント】
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作業者の所在管理、放射線管理及び健康管理がリアルタイムに行える革新的な入域管理システムを開発。
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材料試験炉(JMTR)に導入し、本年 8 月から本格運用を開始。
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国内外の原子力施設に加え、福島原発など特殊環境での除染作業への展開を期待。
o
独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 鈴木篤之。以下「原子力機構」という。)は、日立アロ
カメディカル株式会社(取締役社長 吉住 実。以下「日立アロカ社」という。)との共同研究で「リアルタイム
多機能入域管理システム(以下「本システム」という。)」の開発・導入に成功しました。本システムは、原子
力機構と日立アロカ社が共同取得した特許「被ばく管理システム」(特許第 4639349 号)に基づき開発し、
大洗研究開発センターにある材料試験炉(以下「JMTR」という。)建家内に導入して、平成 24 年 8 月から
本システムの本格運用を開始しております。
o
本システムは、「作業者が携帯する携行器(位置検知タグ、姿勢検知機能付き無線式線量計)」、「それら
のデータを受信する無線機器」及び「データを収集管理するサーバー」から構成され、作業者の所在、健
康状態、被ばく線量をリアルタイムに把握し、それらの情報を管理者及び作業者間、作業者相互間、さらに
は JMTR 建家内と建家外にいる者の相互間で共有することができます。
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JMTR 建家内に作業者が入域すると、作業者の所在をフロア別及びエリア別にリアルタイムに入域状況を
原子炉制御室等で確認できるようになり、作業状況の把握が容易になりました。さらに、システムの機能と
して、日立アロカ社が開発した最先端の無線式線量計を用いることにより、作業者の積算被ばく線量及び
線量率をリアルタイムに確認すること、警報設定機能及び無線式線量計内蔵の加速度センサーにより作
業者の姿勢を検知し、体調不良や不慮の事故等による転倒時における迅速な救護活動も可能となりまし
た。
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株式会社アール・アイ・イーの独自技術/システムとして提供しました。
本システムは、国内外の原子炉施設、核燃料物質の使用施設等への適用も可能です。例えば、東京電
力株式会社福島第一原子力発電所の解体作業や被災地区の除染作業においても、多数の作業者の被
ばく線量を効率的かつ効果的にリアルタイム管理することなどがあげられます。
【開発の背景】
原子力機構では、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を受け、原子力施設における作業者の安
全管理がよりいっそう求められると考えました。そこで、図1に示すように今までにない新しい革新的なシステムとし
て原子炉建家内での作業者の安全管理並びに事故の未然防止及び事故の拡大防止を図れ、入域場所の把握、
線量変動及び体調変動などの観点から作業者の状況を総合的に捉えることできる「リアルタイム多機能入域管
理システム(以下、「本システム」という。)」を導入しました。
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【本システムの概要】
本システムは、位置情報管理システム、線量管理システム、健康状態管理システム及び携行品管理システムによ
り構成されます。
位置情報管理システムは、原子炉建家内の入域者の図 2 に示す一覧表示のほか、入域者の所在をフロア別及び
エリア別にリアルタイムで一覧表及びマップ上に表示するものです。図 3 に入域者マップ表示を示します。
入域している作業者が一覧表で確認できる
この位置情報管理システムは、位置検知タグ、位置検知タグ励起装置(エキサイター)、無線 LAN 親機(アクセス
ポイント)、入退室管理用サーバー、LAN スイッチの各機器及びソフトウェアから構成されます。アクセスポイントは、フロ
ア、エリア内の位置・存在を検知し、エキサイタ―は、フロア、エリア間の通過情報を検知します。
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線量管理システムは、図 4 に示すように原子炉建家内の入域者の積算線量及び現在の線量率をリアルタイム
に表示することができます。また、健康状態管理システムは、線量計内蔵の姿勢検知機能を使用し、入域者が立
っているか、倒れているかを判定し、リアルタイムに把握できるものです。
線量管理システムは、姿勢検知機能付き無線式線量計、無線中継機器、健康管理用サーバー、LAN スイッチ
の各機器から構成されます。
携行品管理システムは、携行品の個人情報との関連づけ及び警報レベルの個人別の設定を行うとともに、携行
品の在庫管理・電池残量管理・品質管理も行うシステムです。
管理用機器として図 5 及び図 6 に示すように各種データを表示するグラフィックパネルを原子炉建家入口と原
子炉制御室に設置し、各フロアで持ち運び使用できる現場表示器(タブレット型)を整備しました
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【期待される成果】
JMTR における従来の入域管理は、作業者が入室時に炉室出入口の炉室入出表示盤の氏名表示灯を点灯させ、
退室時には消灯させる方法を用いており、入域状況の確認は炉室出入口1か所でしか行えませんでしたが、 本シス
テムでは、原子炉建家内に入室する作業者が位置検出や線量管理が行える携行品(位置検知タグと無線式線量計)
を携帯し炉室へ入室すると、各エリアに設置されている管理用機器、現場表示器にて、作業者の所在をフロア別及び
エリア別にリアルタイムで表示させることが可能になりました。また、炉室出入口、サーバー室だけではなく、タブレット型
端末を用いることにより炉室内の様々な場所で炉室入出状況を確認できるようになり、原子炉建家内における作業状
況の把握が可能となりました。さらに、本システムの機能として、無線式線量計により、作業者の積算線量及び現在の
作業環境における線量率をリアルタイムに表示器で確認でき、設定により警報が発報する機能も有していることから被
ばく状況を迅速に把握することが可能となりました。また、無線式線量計内蔵の加速度センサーにより作業者の姿勢を
検知し、体調不良や不慮の事故等により作業中に倒れた際には、作業者の姿勢異常を判定し、警報が発報すること
から、万一の際の迅速な救護活動も可能となりました。JMTR における新旧炉室入域管理の比較を表1に示します。
本システムの導入により、上記のとおり一層の作業安全確保に貢献するとともに、図7に示すように国内外の原子炉
を含む原子力関連施設で活用すれば、東京電力株式会社福島第一原子力発電所等の特殊環境での除染作業に
おいて作業者の被ばく低減が期待できます。
今後、作業者の姿勢状態だけでなく心拍数、体表面温度も把握できる生体センサー開発、位置検知精度と情報
処理速度の向上、双方向通信システム開発等システムの高度化が進めば、より高い次元で作業者の安全確保が行
えます。
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携行器と装着例
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