鰯邪 - 新潟大学生活協同組合

第31号2pos年鋤
|書評誌
特集
特集「若者論」
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新潟大学生活協同組合
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「ほんのこくや」アンケート
①今回の「ほんのこくや」全体についての感想.ご意見をお書き下さい。
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②この冊子を見て読んでみたくなった本があったら教えて下さい。
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(理由)(複数の本を挙げた場合は、それぞれの理由をお書き下さい。)
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③生協書籍部へのご希望.ご要望がありましたらお書き下さい。
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。i合部学年男・女
氏名
住所〒
ご協力ありがとうございました。このアンケートは、各店舗「虹のこえ」
ポストまたは轡籍部のカウンターまでお願いします。また、メールでも受
け付けています。上記項目をもれなく妃入して以下のアドレスにお送りくだ
さい。
メールアドレス:honkobe@nucjp
アンケートをお寄せくださった方の中から、抽選で50名様に図書券を差
し上げます。〆切は1月19日(金)です。
○特集若者論………………………………………….……………」
○教職員から学生に推薦する本………………………….……,
目
粟生田忠雄(股学部)………………………………………10
上松和義(工学部)….………………………………………11
遠藤治郎(元農学部)………………………………………1Z
小林博(歯学部)………………………….………………13
小山洋司(経済学部)…….….………………….…………14
西條秀俊(キャリアセンター)…………………………16
齋藤賜一(人文学部)………………………………………18
鈴木恵(敬育人間科学部).……………………………ZO
長瀞正樹(教育人間科学部)……………….……………22
次
松岡篤(理学部)……………………….……………………Z3
三浦津(人文学部).…………….………….……………24
溜口由己(経済学部)………………………………………26
渡辺勇一(理学部)……………………….……………………27
○学生・院生が推薦する本……….……………………………31
○自著を語る:宮坂道夫(医学部)………………………37
○教職員の方々のページ新潟大にも出版会を!…43
○「ほんのこくや」第30号アンケート結果…….……47
○編集後記.…………………………………………………………巻末
(この冊子は再生紙を利用しています)
本号に掲載されている書評は、7月から10月にかけて生協教職
員委員会が中心となって、教職員の方々に執筆依頼を行い、集約し
たものです。掲載は五十音別とし、敬称は略させていただきました。
専門書と一般書の区分けがなされていますが、おおよそ次のよう
な違いがあります。
「専門書此専門分野との関係で読んだ方がよいと思われる本
「一般書」:勉学研究を離れて学生時代にぜひ読んで欲しい本
集〉
<特
「若者論」
「近頃の若い者は…..」というセリフは、いつの時
代でも活きて使用され続けています。時代は刻一刻
と移り変わりますから、このこと自体は当たり前のこと
なのですが、最近の「若者」の中にはやや「想定外」
のタイプも増えてきたとの報告もあるようです。
そこで、今回の特集は「若者瞼」としました。紹介さ
れた本以外にも、小島貴子箸『就職迷子の若者た
ち』(集英社新書)や速水敏彦薯『他人を見下す若者
たち』(辮淡社現代新霧)など、生協替繍部には耳目
を引くものがたくさん並んでいます。これらの本を読ん
で、「近頃の若い者」について考えてみませんか。
-1-
うちだけん
内田健/教育人間科学部
「検証・若者の変貌失われ
一般雷
た10年の後に』
l裏菫…
「若者」という社会的カテゴリーをめぐって、近年はかまびすしい議論が交わ
されてきました。一連の「若者」論の主潮は、対象へのネガティヴな評定です。
「凶悪化」「幼稚化」「脱社会的存在」「フリーター」「ニート」「人間関係の希薄
化」「道徳観念の欠如」等々はどれも現代の「若者jの特徴のダークサイドを強
調するコンテクストで頻用されるヴォキャブラリーだし、すこし以前だと「深刻化
する学力低下」なんてのもありました。
けれど、「若者」が急激に悪い方向に変貌したというのは、ほんとうなのでしょ
うか。変わったのは、「若者」じたいではなくて、「若者に注がれる視線」のほうだ
ったりする、という可能性はないだろうか。そんなふうに言い切れないとしても、
両者のかかわりあいを慎重に見定め、もうすこしクールに検討してみる作業が
必要なんじゃなかろうか。
この本は、そうした課題意識を分有する若手・中堅の社会学者たちによる共
同研究の成果をまとめたものです。編者による総論にはじまり、サプカルチャー、
メディア利用、交友関係、自己意識、規範意識といった個別の主題について、
サーヴェイ調査から得られたデータとつきあわせながら「若者論の通説」の綿
密な検証が展開されていきます。
各章でしめされる執筆者の分析やデータの解釈には、共感をおぼえるもの
もあれば、疑問を拭い去れないものもあるかもしれません。どんなデータにも、
別様に読みとる余地が残っているものですから。いずれにせよ、抽象的なカテ
ゴリー(「若者」以外にもいろいろあるはず)にかんしてそれなりに説得力のある
議論を立てるさいに最低限もとめられる手続きがどんなものか、この本から学び
とれることは多いでしょう。
ごく控えめに言っても、「ゲーム脳」がどうしたこうした、とか、「サル化」が進行
中!とかいった類のトンデモ言説への解毒剤として、この本がしっかりと効く
ことは請け合いです。
-2-
まついかつひろ
松井克浩/人文学部鳥社会学
『「ニート」って言うな!』
一般書
縢關。藍
「ニート」という言葉はここ数年急に使われ始め、あっという間に有名になって
しまった。この言葉は、皆さんもご存知のように、仕事も通学もせず、求職活動
も職業訓練もしていない若者を指している。こうした若者の増加が社会問題と
して捉えられ、さまざまな対策が提案されている。その際「ニート」に対しては、
働く意欲がなく、人間関係が築けず、自分に自信がもてない弱い人、というイメ
ージが付与され、「ひきこもり」と重ね合わされる場合もある。だから若者の「人
間力」を高めたり、「人間性を叩き直す」ことが必要だとされたりする。
こうした「ニート」に対するまなざしを、著者たちは批判的に検証していく。た
とえば統計的なデータにもとづいて、「ニート」と呼ばれる若者たちはじつは多
様であること、増加している部分の多くは仕事や求職活動の経験をもちながら
体調を崩したり仕事を得ることができなかった層であること、にもかかわらず「働
く意欲がない」ごく一部の人びとのイメージが全体に拡大されていること、など
が明らかにされる。つまり本当は、労働や雇用の条件・環境の問題(働きたくて
も働けない社会の側の問題)のはずなのに、それが若者の側の働く意欲や意
臓の問題(個人の問題)にすり替えられてしまっているのである。
こうして「ニート」という言葉は、複雑で多様な現実の姿を覆い隠してしまう働
きをもつ。この言葉によって私たちは、すっきりと何かが見えたような気になって、
しかも自分をついくふつう>の、あるいは優位な側に極いてしまう。自分をく多数
派>だと信じる人に対して、この種の言葉は大いなる安心を提供してくれる。
現代社会はとても複雑なので、その-つひとつを丁寧に考えていくことはと
ても大変だ。だからく敵/味方>といった単純な二分法が好まれ、乱暴な言葉
でものごとを断定してしまうことへの抵抗感も薄れている。しかし多少しんどくて
も、複雑なことは、(本当に複雑なのだから)思考停止せずに複雑に考えていく
しかないだろう。面倒くさがらず、マスコミに流布していることを鵜呑みにせず、
他人事だと思わず、自分の頭でよく考えること。そうしないと、長い目で見て自
分が損なわれる可能性があること。この本からは、こうしたメッセージを受け取る
-3-
こともできる。
『検証・若者の変貌失われ
一般答
た10年の後に』
ド蓑…
この本もまた、通俗的な若者論を批判的に検証し、実証的なデータを踏まえ
た若者の像をそれに対極しようとしている。とくに90年代以降、「若者バッシン
グ」とでもいえるような、若者に対する否定的な語り口が目立ってきた。フリータ
ーやニートに対する批判、少年犯罪の凶悪化やキレやすい子どもといった批
判、さらにはケータイや種々のメディアの影響による人間関係の希薄化への批
判、などである。
しかし、フリーターやニートの問題は雇用する側が正社員を減らしていること
に主な原因があるのだし、少年犯罪も、統計的には増加も凶悪化も低年齢化
もしていない。しかし、主に社会学者が主張しているこうした議論は一般的には
マイナーなままで、相変わらずマスコミには若者に対するマイナスのイメージが
あふれている。
本書は、このような「若者についてのあまりに否定に傾いたイメージを相対化
し、できればそこに肯定的な要素を読み取っていく」ことを目指す。取り上げら
れているテーマは、音楽、メディア、道徳意識など多岐にわたるが、とくに若者
のアイデンティティと友人関係が中心をなしている。
たとえば現代の若者のアイデンティティは、「多元化」によって特徴づけられ
る。どこでも同じ単一の自己ではなく、場面や人間関係によって異なった複数
の自己(キャラ?)を使い分ける。そうした若者たちの友人関係は、かつてのよ
うな全面的で親密な関係とは異なるが、けっして表面的なわけでもない。状況
や関係に応じて複数の顔を使い分ける一方で、それぞれなりに本気で親密な
関係を志向している。だから彼らの友人関係は、必ずしも「希薄化」しているわ
けではない。といったようなことが、本書では語られている。
こうした議論は、皆さんの実感と比べてどうだろうか。当たっていると思うかも
しれないし、的はずれに感じるかもしれない。いずれにせよ、自分(たち)はどう
なのだろう、と考え始めるきっかけにはなるだろう。本書が優れているのは、「上
から」偉そうにバッシングをするのではなく、若者の状況や心情にできるだけ寄
り添おうとしているところだと思う。このようなまなざしだけが、「若者論」を生産的
-4-
な営みにする。
『下流社会一新たな階層
一般書
集団の出現一』
「鶏…
日本社会は、しばらくの間「みんな中流」の比較的平等な社会とみなされて
きた。ところが最近、階層化や格差社会が時代のキーワードのように語られるよ
うになった。時給100万円(?)のセレブ女医が話題になる一方で、東京都の
ある区では学校の給食費や文房具代を払えずに「修学援助」を受ける世帯が
4割を超えるという。
中流層が分解して現れてくる新しい社会を「下流社会」と名づけた本書は、
昨年から今年にかけてベストセラーになった。ここでいう「下流」とは、単に所得
が低いということではなく、コミュニケーション能力や、働く意欲、学ぶ意欲など
「人生への意欲」が低い集団を意味している。とくに若者層にこの傾向が強く、
このまま「だらだら生きている」と一生低収入で未婚のままの確率も高いと、著
者は警鐘を鳴らす。
本書で私が最も興味深かったのは、階層意織が低い若者ほど「個性」や「自
分らしさ」を求めるという指摘だった。メディアにあふれているそうした口当たり
のいい言葉に踊らされると、むしろ自分の姿が見えなくなり、結局いいように使
い捨てられてしまう。個性とかオンリーワンとかいって「頭使わずに面倒くさがっ
てると、一生だまされて高い金払わされる」(『ドラゴン桜』)のだ。だから早い段
階から「自分らしさ」を追求するよりも、まずは基本的な力をつけて、自分の「で
きること」を広げていくべきだ、という議論だと思う。
「下流」の自分らしさ志向は下層化につながり、やがて孫子の代までの階層
の固定化に至る。その流れをどうすれば止められるかという著者の問題意識に
は、とりわけ共感を覚える。しかしその意図は、とくに「下流化」が心配される若
者たちにうまく伝わっているのだろうか。本書の主要な読者屑は、若者に不満
を抱く中高年層だという。そうすると、意欲のないダラダラした若者を叱る「若者
バッシング」の一貫として消費されて終わり、ということにもなりかねない。
少し前に私のゼミの学生に本書を読んでもらったところ、「上昇志向には好
感がもてない。周囲にはスローライフ指向が多いし、それに好感をもつ」「上昇
志向をもつことのできる条件がない」といった意見が出てきた。若者にく意欲を
-5-
もたせない>社会の側の問題に十分目配りしつつ、現在の若者の価値意識の
中に将来を切り開いていくようなポジティブな芽を探索する視線が、ここでも必
要とされるだろう。
まつL、けんじ
松井賢二 /教育人間科学部
『キャリアデザイン入門I
(基礎力編)」
雫|鯰
872円
本書は3部榊成(第1部:キャリアデザインの考え方、第2部:年齢段階別
キャリアデザインの方法(30代まで)、第3部:基礎力を身につける)になってい
る。
その中でも特に興味を持った点をここでは、一つだけ紹介したい。
つまり、「キャリア」(本書では「職業経歴」と「仕事に対する自己イメージ」の
2側面をいう)を形成し、「キャリアの成功」(これはいわゆる立身出世的な意味
ではなく、ここでは、本人が「仕事を通じて自分が活かされていると実感でき、
幸福感を味わえる状態」をいっている)を収めるためにはどうしたらよいか。そ
のための一つのキヤリアモデルとして、「筏(いかだ)下り」--「山登り」モデル
を提示している点が大変興味深い。
そのモデルでは、その人のキャリアを大きく次の前半と後半のzつに分けて
考えている。前半とは、仕事に就いてからの10年から15年の間である。その
間は「筏下り」のように、ゴールに価値を極くのではなく、賢明に目の前の仕事
に取り組むプロセスに価値を置く。その間にさまざまな仕事を経験し、いろいろ
な人と出会い、そして基礎力を鍛える。後半は、その後ということになるが、自
分の専門領域をひたすら極める「山登り」に移行する。頂上をめざしてエネル
ギーを集中して、専門力に磨きをかける。
このように、「筏下り」から「山登り」への移行に成功すれば、キャリアの成功が
見えてくる、と蕊者は述ぺている。そして、このキャリアの成功を実現するため
-6-
にどのような思考と行動が必要なのか、またそのための方法は何なのか、という
ポイントを第2部以降で解説している。
本替は、いわゆる職業的自己実現をめざし、それを獲得するために、個々
の職業選択はどうしたらよいのか、そしてその後の職業キャリアはどのように築
いていくのか、を考える際に一つの有益な指針を与えてくれるであろう。特に就
職を控えた大学生に読んでほしい。
なお、今回紹介した本は前編のく基礎力編)であるが、興味のある方は後
縞く専門力編>もあるので、どうぞそちらもご覧ください。
-7-
教職員から学生に推薦する本
-9-
あおうだただお
粟生田忠雄/農学部
●自己紹介●
ひとこと:私は、静かに土に語りかけ、農業の本質について学びたいと常に思
っている。しかし、テロ、北朝鮮、憲法改正などの喧騒が、私の思考をさえぎり
つつある事に違和感を禁じ得ない。そこで門外漢を顧みず、現在のキーワード
である「憲法」、「戦争」についての本を紹介する。
『憲法が変わっても戦争に
ならないと思っている人の
ための本』
-蝋。l鷺iii獺。
安倍新政権が誕生し、「憲法」は時代のキーワードに躍り出た。憲法改正の
主な理由は、「時代遅れj、「押付け」などだが、本当だろうか?この本は、「憲
法は改正すべきでない」という立場で書かれている。執箪者は、ジャーナリスト
を初め、憲法学者、映画監督、元軍人など多様で、色々な角度から憲法改正
の負の効果を論じている。本書は挿絵の使い方、一問一答形式などの構成な
どが巧みで、決して押し付けでなく分かりやすい。巻末には、さらに読み進める
ための文献ガイドも掲載されており、憲法改正に賛成・反対の立場を超えて読
んで欲しい。
「憲法が変わったら、戦争になるのですか?」という質問に、基本的にはいつ
でも戦争を行えるようになる。また、戦争の危険性は現在に比べてとても高くな
ってしまう、と応じている。北朝鮮への対応もすっきりし書かれていて、1,470円
足らずで胸のつかえを取除ける。とても安い買い物である。
『茶色の朝』
一般害
l鍵需:。。
本書は、10分あれば読みきれそうな簡単な絵本。でも、考えながら読むとど
れだけ時間があっても足りなくなりそうな、内容深い反戦の本である。戦争は
-10-
「日常」の中にひっそりと入り込んでくるらしい。何か変だなと感じた時、おかし
いと気がついた時に、思考を停止させることなく考え続けることを提唱している。
本書を身近に極いて、平和について考え続けて欲しいと思う。
うえまつがずよし
上松和義/工学部
●自己紹介●
工学部、技術専門職員
化学の研究室で実験や研究のお手伝いや、装圃の製作をしています。
「研究室のDoltYourself
-手作り実験のすすめ」
-噸藩I鯛。…
私は休日になると家の塀を作ったり室内の壁を塗り替えたりすることが多い。
いわゆる日珊大工である.これに似たものにDIY(DoltYourself)というのがあ
る。「なんでも自分で作ろう」といった意味で、股初イギリスにおいて住宅を自分
で作ろうということから始まり、その後、アメリカへ広まった考え方である。「研究
室のDC……」はもちろん研究室の机や本棚を自分で作りましょうというので
はなく、実験装極を自分で作りましょうという本である。ただのノウハウ本ではな
く、道具についての著者の知識の広さと深さは読み物としても非常に面白い。
著者は無機化学系の研究者でありエックス線回折装置や電気炉などを改造し
たり自作する部分は私の専門とも重なり非常に役に立った。ただ、現在研究室
にある多くの装樋はコンピュータ化され、また、複雑になってきていることからこ
れらの装世を自作することはかなり難しくなってきているといえる。しかし、たとえ
ば電気炉という、セラミックスを焼き固める装置はまだまだ自作で十分対応でき
る。というよりも、誰もやっていない特殊な実験をやろうと思うと電気炉も特殊な
形になり、そんな製品は市販されていない。特注していたら時間とお金がかか
る。電気炉を作る知織と経験があれば市販の材料で十分対応できる.たとえば
"直径10mm厚さ1mmの円盤状のセラミックスを窒素ガス中で1000℃に加熱
しながら電気抵抗を測るための電気炉と反応管を用意したい''と思ったとき、発
-11-
熱体(ニクロム線など)は手巻きでつくり、反応管は石英ガラス管の底をガスバ
ーナーでふさいでつくると、朝から取り掛かれば夕方には実験ができるのであ
る。手づくりのノウハウを持っていれば早く安く同じ性能のものが手に入れられ
るだけではない。これまでにない新しいモノそのものを作ることができるかもしれ
ないしまた、新規なモノを作り出す装鰹を作ることができるであろうと私は信じて
いる。これから研究室に配属される4年生の学生さんに読んでいただきたい-
冊である。私が賊入したのは1995年であるから、現在入手できるか心配なので
調べてみたところまだ出版されているようだ。
_鰹馨I蔚蒜匙…
『知的DIYの技術』
もう一つDIY関係の本を紹介する。DIYを趣味にしていると、それに関連し
た本もほしくなる。しかしDIY関連の本は壁の塗り方の手順やイスの張り替え
方を解説したようなものばかりで、読み物として楽しめる本はなかなか見当たら
なかった。しかし、あるとき東京駅八重洲ロの近くの大型書店で見つけたのが
ここで紹介する「知的DIYの技術」である。本のタイトルは昔流行った本をまね
たようで気に入らなかったのであるが、内容はおすすめである。海外では電動
工具は一般家庭にも普及しているというのには驚いた。また、海外の研究者は
週末になると別荘を自分で立てたり(もちろん何年もかかったりするらしい)、著
者自身も書斎を自分で立ててしまったという話は興味が引かれる。
この本を読んだあとで知ったことであるが、著者の中野不二男氏は新潟県
出身の科学ジャーナリストであり、最近はわが新潟大学の中田力教授(医学
部)を題材にした『脳視ドクター・トムの挑戦』という本も出しておられる。
えんどうじろう
遠藤治郎 /元農学部
『戦争と平和
愛のメッセージ』
一般害
‐12‐
I灘
945円
歌手としては名の知られた男であるが、姿・形はまさに異様である。女性の
服装を身にまとい、メーキヤソプをすると言う念の入れ方で、印象としては軽率
な売名屋との感を持ってしまう。2月n日の反紀元節の行事で美輪明宏の本
が売られていた時には、場所柄も心得ずに、との感じだったものの、行事に賛
同の意味で入手してみた。
50頁ほどの薄さであるが、長崎での原爆体験を基調にした反戦の内容であ
る。しかも、世界の歴史に即した将来展望があり、文化が人類を救うと言う明確
な主張が読みとれるのである。物事を懸命に考えているとの姿勢が伺えるので
ある。
例えば、忠臣蔵批判がある。浅野内匠頭という自制心のない経営者のため
に、家臣が失職して苦労し、復讐すると言うアホな話し、と戦前の価値観の不
条理を指摘している。
憲法については、「戦争の放棄」の項目に「もう逃げまどう必要がないと、跳
び上がるほど婚し<思った。jとある。この本は憲法理論でも憲法解説でもない
のだが、将来の世情をどう受け止めるかを心1W的に示している点で一読に値
するであろう。
こぱやしひろし
小林博/歯学部
-噸雷I訂総昧了:i;向
『断絶への航海」
長い航海の末に新しい世界に到着する。というサイエンスフィクションではよ
くある設定ではじまる小説です。しかし、その惑星には、以前に植民した人類
が零から作った新しい社会構造を作っていたのです。ここから現代社会と新
社会の摩擦が起こるという、文化論的な小説に仕上がっています。
なぜ今までの歴史を引きずらずに新しい社会が作れるかは種明かしになっ
てしまいますので響きませんが、旧弊を引きずらずに作られた理想社会が見駆
に描かれているとともに、現代社会を代表する探検隊との摩擦により、現代社
会の矛盾、弊害が描き出されています。ハインラインの、異星の客という作品を
-13-
思い出させられました。
_鰹藩I訂臨へラン錦
『火星縦断』
火星探検ものの最新版です。火星に関する最新の備報を織り込んだ物語
は最後まで一気に読んでしまうおもしろさです。著者はNASAの現役研究者
だそうです。新しい火星の情報や最新技術がきちんと描かれているだけでなく、
もちろん登場人物の行動に現れる人間としての背景も見事に表現されていま
す。
こやまようじ
小山洋司 /経済学部:ロシア・東欧経済論
『検証戦争責任I』
_胆画I蜜蝋.嵐…雛
読売新聞は数年前、憲法改正に向けた輪陣を張ったことがあり、保守的な
新聞と思われてきた。ところが、どうも単純にそのように見ることもできない。とい
うのは、渡邉恒雄主箪・会長の提唱により、2005年に戦争責任の検証作業を
行うプロジェクト・チームが設置された。このチームは、なぜ、満州事変は日中
戦争へと拡大していったのか、勝算がないままアメリカとの戦争に踏み切った
のはなぜか、などのテーマを検証・分析した。その結果は2005年8月から2006
年3月までほぼ2週間に1回というペースで掲載された。本書はその特集記
事とパネル討議をまとめたものである。
本番は非常に多くのことを教えてくれる。その一部のみ紹介する。昭和16年
(1941年)12月8日の日本の真珠湾攻撃によりアメリカと開戦したという第一報
は「大本営」によって発表された。日滑、日露両戦争に続いて3度目の大本営
が日中戦争開始後の1937年11月に設圃された。大本営とは、もともと陸海軍
が統一的な戦略・作戦を遂行するための戦時組織のはずだが、大本営陸五
部と大本営海Ⅲ部が存在し、陸海軍を統合する存在は天皇以外にはなく、そ
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のために大本営が設置されても、陸海軍一体化した戦争指導は難しかったと
いう。軍は天皇の軍隊であり、この大本営には総理大臣すら加わっていなかっ
た。くせ者なのは、「統帥権の独立」という概念であり、これが参謀たちの力の
源泉であった。「統帥権」とは難しい言葉だが、軍隊を統率するのは天皇の大
権だという意味であり、統帥権には政治の関与が及ばない、という考え方が「統
帥権独立」である。これをたてに軍参謀たちは国民をあの無謀な戦争に駆り立
てていったのである。本書は、「この統帥権独立こそ、先の大戦での『陸軍の暴
走』の真因を探るうえでのキーワードといえる」(28頁)と指摘している。第2部
の刊行(2006年秋の予定)が待たれる。
『マクロ経営学から見た太_鑑l鰯
平洋戦争』
998円
著者は1926年生まれ。戦時中は海軍航空隊員として太平洋戦争に従軍し
た。東レ取締役、東レ経営研究所社長を歴任した。その後’999年まで龍谷大
学経済学部教授を務め、ロシア経済の専門家としてよく知られている.
著者は言う。日本の戦争推進者たちは常々、ひどい分裂症に悩まされ続け
ていた。日本は無謀にもソ連と中国という2つの巨大な敵を相手とする、危険
極まる二正面作戦をとった。このとき、海軍は海軍で陸軍とは別に、もう ̄つの
超大国アメリカ(それにイギリス)を仮想敵国にしていた。日本の陸海軍は二兎
(いや正確には、ソ連、中国、アメリカ、イギリスなど多兎)を追い求めることで、
非力な自らの戦力をいっそう非力なものへと分裂させてきた(33-34頁)。
1937年に日本は中国への侵略を開始し、ぬかるみのように大陸での戦争で
身動きがとれなくなる。米英の経済圏に頼ることなく、日本は日中戦争を遂行
することはおぼつかなかった。アメリカは通商条約の破棄で対抗した。日本は
アメリカ市場を失った。基礎的資源をアメリカからの輸入に依存していた。「戦
争をやるなら資源がいる。戦争をすれば資源は手に入らない。もし、資源が欲
しければ戦争政策を放棄する以外に術はない、という自縄自縛に日本の戦争
推進者たちは陥っていた」(75頁)。
GDP比にして約13倍、石油生産量にして721倍のアメリカに対して、日本
が総力戦を挑んだのは、いわば一か八かの決断であった。早くしなければモノ
がなくなる、時がたてばたつほど敵側が強力になるから、先制を占める以外に
勝つ方法はないと考えたからだ。
あきれたことに、「日本の国防方針が裁然と2つの方向に分裂して以来、両
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軍(陸軍と海軍)の間の協力関係は、マクロの段階はいうに及ばず、しばしばミ
クロのレベルでもなくなってしまい」(335頁)、「陸海軍の抗争」、「日日戦争」
(105頁)と呼ばれるものが見られたという。両者の間で資源の取り合いすらや
っているのだ。統一的な意思を欠き、合理的な計算もできないから、戦争に勝
てるわけはない。著者は、国家経営学(マクロ経営学)の立場から、多くの資料
を収集し、戦時中の日米経済格差を生産力、輸送力、開発力などから徹底的
に比較検証し、先の戦争がいかに無謀な戦争であったかを証明している。
さいじようひでとし
西條秀俊/キャリアセンター
『その幸運は偶然では_般書
ないんです!』
|蝋繼1…
この本は、将来何をすればいいのかわからずに悩んでいる方に読んでいた
だきたい本である。著者であるスタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授は
「偶然を活用してチャンスをつかむ」、すなわちプランドハプンスタンス(計画さ
れた偶然性理論)という考え方を提唱している。これはどういうことかというと、
「予測がつかない環境変化の激しい現代は、キャリアは予期しない偶然の出来
事によって、その80%が形成される。そして、個人が自律的にキャリアを切り開
こうと思ったら、偶然を必然化し偶然を味方につける。だから、自分にとって都
合のよい偶然の出来事がより起こるように、失敗を恐れずに能動的かつ継続
的に自ら仕掛けていくこと、その対応する力を育むことが必要になってくる。」と
いう考え方である。
将来のやりたいことがすでに明確に決まっている人はいいが、決まってない
からといって、決して焦る必要はない。しかし、あれこれ考えて行動しないより、
「まず結果が見えなくてもやってみる」ことが重要である。では偶然を見方につ
けるのはどうしたらいいのだろうか。新しいことに挑戦して、たとえ失敗したとし
ても、その次にどう結びつけることができるかを考えることが大切なのではない
だろうか。失敗から何かを得ることもできるし、一生懸命に取り組んでいる姿を
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見て、廻りの誰かが助けてくれるかもしれない。
私自身これまでのキャリアを振り返るに、数多くの失敗もしてきたし、廻りの多
くの人達に助けられてきた。そのことで多くのことを学んできた。これは必然的
な偶然だと思える場面も経験してきたし、その偶然を呼び込んだ何かがあるか
ら今がある。その意味では私自身の過去の経験からも、この本を読んで"なる
ほど',と感じさせられるものがあった。
学生の皆さんが自分の将来について悩んだときに、何かヒントになることが
隠されているかもしれない。キャリアについて考えるときには、是非参考にして
いただきたい本である。
『キャリアの常識の嘘』_腫書I雛驚鞠.,.
幸せなキャリアと不幸なキャリアの違いは何なのか。地位が高いだけで幸せ
なキャリアといえるだろうか。キャリアについて考えるときに、今まであたりまえの
ように常繊と言われていることが、実はそうではなかったということに気づく問い
かけの多い本である。たとえば、「夢や目標があるから頑張れるのか」「仕事とプ
ライベートははっきり区別すべきか」「キャリアにおいてお金は重要か」など、興
味深い問いかけが掲げられている。大学教員である金井氏と産業界で働いて
きた高橋氏の著者の異なった視点からキャリアのコラボレーションとも言える内
容になっている。金井氏は、現在神戸大学大学院経営学研究科教授で、主な
著響に『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP研究所)などがある。高橘
氏はワトソンワイアット代表取締役社長を経て、現在はピープルファクターコン
サルティングを設立、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授も兼務し
ている。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス内に設極されているSFC研究所キ
ャリア・リソース・ラボラトリーを通して研究活動を続けており、主な著書に『キャリ
ア瞼一個人のキャリア自律のために会社は何をすべきなのか』(東洋経済新報
社)、『スローキャリアー上昇志向が強くない人のための生き方論』(PHP研究
所)などがある。長い人生において、自分らしい充実したキャリア形成のため、
何が必要なのか、大切なことは何だろうかと自問自答してみる良い機会になる
のではないだろうか。
キャリアについて考えるとき、「ここぞという節目にだけは、きちんとした働き方、
生き方を吟味して、進むべき方向を自分で選び取っているが、節目と節目の
間はむしろキャリアデザインに囚われることなく、流れに乗ってキャリアドラフトを
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楽しみながら、さまざまなことにトライしているキャリア」がよいキャリアとしている
ところは興味深い。是非、人生の大きな節目を迎えている学生の皆さんにも一
読いただきたい本である。
さし、とうよういち
齋藤陽一/人文学部:ロシア文学.演劇論
●自己紹介●
もともと、ロシア文学が専門。ただ、対象がチェーホフなど演劇が含まれてお
り、さらに生来のお調子者の性格から舞台に乗ったりしたため、現在では演劇
関係の識義も担当している。
_胆霄I瀞
『チエーホフの戦争』
1,680円
劇作家にして遊園地再生事業団(劇団名です。念のため)の主宰者、宮沢
章夫が雑誌『ユリイカ』に連載していたチェーホフの戯曲についての考察をまと
めたもの。物騒な題名だが、直接的には軍人達が多数登場する『三人姉妹』
の読みから「戦争」という言葉が出てきており、間接的には日本はまた戦争に
向かっているのではないかという著者の時代認識を反映している。だからだろう
か、『三人姉妹』で描かれているのは、1848年の革命から1853年に始まるクリ
ミア戦争あたりまでの時代(戦争に向かう時代)であるということが、台詞の読解
に基づき語られている。この部分も含め、「演出家というのはそう銃むのか!」と
感心させられる部分がある反面、「そう読むのか、でもそれはどうかな?」(専門
的になるが、1幕のチェプトウイキンの「ばかばかしい」という台詞が、オリガのモ
スクワについて語った台詞を受けてなされたものであるという説など)と研究者
の目から見ると、疑問符を付けざるを得ない部分もまたあるように思う。
『喜劇の手法笑いのしくみ_仙蕃I灘。
を探る」
-18-
735円
喜劇が何故面白いのか、テクニックを挙げながら解説を加えているが、題材
となっているのが、シェイクスピアやモリエールといった古典である。そのため、
これらの作家に詳しい人は「変装」とか「双生児」といった見出しを見ただけで、
作品が思い浮かぶかもしれないが、そうでない人にとっては、新しい作品はせ
いぜいニール・サイモンどまりなので、肩すかしを食うかもしれない(日本の作
品もない)。それにしても、古典的な作家においては手法がテーマと絡んで、
作品全体と関わりがあることが多いということを再認識させられる。現代の喜劇
は、小さいネタがスピーディに組み合わされているという印象があるので。シェ
イクスピアの『十二夜』でヴァイオラの男装がばれるのは幕切れ近く、モリエー
ルの『守銭奴』でヴァレールとマリアーヌが兄妹であると分かるのも最後の幕、
現代の芝居ではここまでひっぱらない気がする。
『野田秀樹赤鬼の挑戦」
_胆譽l露樹鯛需,..
『赤鬼』とは、現代日本の代表的な劇作家にして演出家、俳優の野田秀樹
が書いた戯曲である。共同体とそこに現れた異形の者の運命をテーマとするこ
の戯曲を、野田が日本だけでなく、タイ、イギリスでも上演。その際に体験した
こと(主に苦労話)を綴ったエッセイと演劇評論家の鴻との対談、さらに鳩によ
る解説的な文章からなり、巻末には『赤鬼』のテキストも収録。ロンドンでの体験
をもとに、イギリスの演劇界の状況(役者は稽古開始の直前くらいまで出演する
かどうかを決めないこともあるなど)を語りつつ、同時に日本の演劇界へ批判も
加える。そのスタイルは、ブロードウェーで"THEWINDSOFCOD"の上演を
行った体験を記した今井雅之の本(『"カミカゼ`'公演記inNY』)に通じるも
のがある。野田が目指すのは、文化交流ではなく、文化「混流」である。西洋
が求める日本のイメージを送り出すことが本当に文化交流なのか?と野田は問
いかける。演劇に興味がある人のみならず、文化交流について考えたい人にも
面白いかもしれない。
‐19-
すずき86「でむ
鈴木恵/教育人間科学部:国語史
●自己紹介●
得意料理は「広島風お好み焼き」。しかし、広島の人は「広島風」という言い
方は絶対に認めません。広島のお好み焼きとは、あれを措いて他にはないの
です。
_鯉響I霊霊甑劉…
「功名が辻』1~4
ご存じ今年のNHKの大河ドラマの原作。と言っても、私が読んだのは随分
以前のことで、手許にある本は1982年刊行の第14刷。したがって、上記の値
段も当時のままなので、現在はこの価格では絶対に買えません。悪しからず。
本書は、尾張の岩倉織田家の家老・山内盛遠の遺児、山内伊右衛門一豊
が、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康という三英傑に仕えつつ、ついには土佐
(高知県)-国の国主に納まるまでを描いた出世話である。しかし、通常の出世
話というものは、出世を果たす本人の能力や努力が人並み外れて優れていた
ために、必然的に功成り名を残す結果となったという筋書きになるものである。
ところが、山内一豊は知恵といい簡力といい全くの人並みであって、唯一真っ
正直.律儀であることだけが取り柄という男なのである。こんな男が、何故に大
出世を果たすことができたのか。答えは、周知の如く、その妻.千代の存在が
絶大だったからである。
とは言え、司馬遼太郎の原作とNHKの大河ドラマの脚本とでは人物像や
筋立てが大いに違っていて、そもそも原作の千代は決して仲間由紀恵のイメ
ージではないし、昨日の放送(8/20)で亡くなった法秀尼は、原作では千代の
母親であるのに、NHKでは一豊の母親になってしまっている。そうした違いは、
数え上げたらキリがないほどだ。連続テレビドラマは、1回1回にそれ相応の山
場・見せ場を設定する必要があるから、こうした改稿も致し方ないのかもしれな
いが、両者が「似て非なる関係」にあることは確実である。司馬遼太郎の『功名
が辻』を理解するためには、あくまでも原作の通読が欠かせない。(ちなみに、
私の大先輩に山内〈やまうち>さんという、土佐・山内家の末商に当たる方がい
て、一般に山内一魁をくやまのうちかずとよ〉と呼んでいるが、あれは正しくは
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<やまうちかずとよ>だと伺ったことがある。NHKの大河で、もし世間一般の通
称くやまのうち>を採用していたらクレームを付けてやるところだったが、幸いな
ことにくやまうち>でした。)
『よみがえる芥川龍之介』一般書
I燗舅1m
芥川龍之介と言えば、庭の木に登り、河童のような異様な顔をして、遠くを
碑睨している写真を想い出す人が多いだろう。おまけに35歳の若さで服毒自
殺した人であることも手伝って、おそらく奇人・変人かつ腺病質の天才作家と
いうイメージを抱いている人が多いのではないか。私のイメージも、大体そのよ
うな線上にあった。あの(教科書かなんかに載った)写真の印象が、あまりにも
強すぎたからである。
しかし、本書を読んで後、その印象はガラッと変わってしまった。大川(隅田
川)をこよなく愛する下町出の秀才で、案外入づきあいも面倒見もよく、人並み
に失恋事件なども起こしているのである。何より意外だったのは、創作のために
「うんうん」という努力を惜しまない人であるという点だ。芥川が「芋粥」を出した
頃、師の夏目漱石が励ましの手紙をくれるのだが、その中に「世の中は根気の
前に頭を下げることを知ってゐますが、火花の前には一瞬の記憶しか与へて
呉れません。うんうん死ぬまで押すのです。」という件がある。これは漱石が芥
川の努力を認めた上で、その努力をこれからも根気よく続けなさい、と激励して
いる内容であることは明らかだ。あの芥川でさえ、努力に努力を重ねたのであ
る。この夏目漱石の言を、私も座右の銘にしたくなった。
-21-
ながさわまさき
長澤正樹 /教育人間科学部:障害児教育専修
R鯛識釧ラは-鰻密I鯆
隅女交際進化論』‐鰹ごl襲驍
777円
735円
「セクハラを,,男性問題,'として受け止め、その衝動についての説明責任を真
剣に考えることによって、''する男,'の呪縛は解ける。セクハラを男の側の鋭明
の付かない病理であることを認識することは、衝動の抑止力となる。だから、こう
した現実を受け入れ、セクハラを''しない男"へ転換することは決して難しいこと
ではない」(金子)
「女性は絶えず男を誘っている」「職場でも女はオンナ、男はオトコ」[女は家
庭を守るべきもの」などの思いこみから、いまだにセクハラは繰り返されている。
セクハラをした男の人間性を断罪することは当然であるが、もっと根本的な問
題として考える必要があるだろう。当たり前のことであるが、「男も女も、オトュ
オンナと分類する以前に、一人の人間である」ことを深く認識することが、セク
ハラやパワハラなどのハラスメントの解決・予防につながると思う。「男女交際」
ということばを「発明」した福沢諭吉が、初めて男女同梅を世にアピールしたこ
とからわかるように、男が女を一人の人間として認めるという思想は、きわめて
新しいようである。セクハラの問題を考える前提として、今一度男女同権の意
味を考える必要があると思う。私も-人の男性としてそうしたいと思う。
-22-
まつおかあつし
松岡篇 /理学部:古海洋学
●自己紹介●
9月に国際会織がありポーランドへ行ってきました。4年に一度開催されるジ
ュラ系に関する国際会議です。アンモナイトや恐竜などの化石に関する研究
成果やジュラ紀当時の地球環境についての検討結果などが発表されました。
私は、放散虫というプランクトンについての報告を行いました。新潟大学佐渡
臨海実験所や沖縄で行っている日本近海の放散虫の生態観察と、日本列島
各地、チベットフィリピン、太平洋の海底などから得られたジュラ紀放散虫の
研究をもとに、ジュラ紀の放散虫がどういう生き物をどのように食べていたのか
という発表を行いました。帰国してから、新潟市美術館で「ポーランド写真の
100年展」というのが催されていることを知り、見に行ってきました。ポーランドで
の国際会議がなければ、写真展は私のアンテナに触れることはなかっただろう
と思います。
のしくみ』
『カラー版徹底図解地球-噸藩I塞辮轌嚇
大学に入ったのを機会に地球のことをもっとよく知ろうと思っているひとは多
いはず。そういうひとにお勧めの本が出版されました。今回紹介する本は、オ
ールカラーで地球のしくみが図解されています。ひとつの項目が見開き2ペー
ジに収められていて、とても読みやすい榊成です。「プレートとプルームのテクト
ニクス」、「地球の歴史」、「マグマと火山」、「断層と地震」、「岩石と地球の調べ
方」、「地球表面から宇宙まで」、「地球の楽しみ方」の7章に区分された8Oあ
まりの項目が、簡潔に解説されています。巻末にはよくできた「さくいん」があり
ます。新聞を醜んだり、テレビを見たりしていて、わからない用語に出会ったら、
この「さくいん」をたよりに調べてみましょう。「さくいん」を順番に見ていって、ど
れぐらいの用語を知っているのか、自分の「地球人」としての素養をチェックす
るのにも使用できます。巻末には参考書のリストと参考ホームページも掲載さ
れていて便利です。わたしたちは、地震や火山活動が活発で、地球が生きて
いることを強く実感できる日本列島に住んでいます。みなさんの「地球人」度を
アップさせることは、防災にもつながります。もちろん、授業の参考書として使用
-羽一
すれば、予習・復習にばっちりです。
みうらあつし ̄ ̄ ̄
三浦淳/人文学部:ドイツ文学.表象文イヒ論
『男の子の脳、女の子の
脳」
レナード・サックス
一般害
草思社1,365円
近年、フェミニズムの流行もあって、男女の性差を否定し、男女の違いは教
育による後天的な刷り込みにすぎないとする乱暴な見解も流通している。しか
しそうした見解は医学や性科学の進歩によって明快に否定されつつあるのだ。
最新性科学の成果を分かりやすく教えてくれる本を紹介しよう。
著者は長らくアメリカで内科医・心理学者として活躍している人だ。一般には
成熟した男女の背丈や体つきの違いは誰の目にも明らかだが、子供の段階で
は性差はほとんどないと思われがちだ。だが著者によればそれは膜りで、むし
ろ子供時代の方が性差は大きいという。例えば目の見え方にしても男女では
相当に異なることがこの20年ほどの科学の進展で明らかになっている。網膜か
ら大脳皮質に至るまでの経路のどの部分を見ても、男女は細胞次元から異な
っている。そしてその差は人間だけでなくあらゆる励物に共通しており、男女の
差異が根源的なものであることがうかがえる。
それに対して、同性愛者や、生物学上の性と自己の性認識が一致しない者
(生物学的には男だが自分は女だと思っているなど)を取り上げて反駁する人
もいるが、著者によれば男女の差異は細胞吹元で決定されているので、例え
ば男性なら異性愛者でも同性愛者でもポルノをよく買うが、女性ではどちらもあ
まり買わないなど、基本的な行動パターンにおいて男女の差は明瞭なのである。
男女を同一視する乱暴な見解の般大の犠牲者は、子供たちである。上述の
ように性差はむしろ子供時代に大きいので、共学よりも別学の方が、子供を伸
び伸びと育て、なおかつ子供ごとの特性を開花させるのに適しているという。こ
の本にはその具体例が豊富に挙げられている。
こうした男女の差異は、本来は長い間につちかわれた人間の伝統的な知恵
によって把握されていたわけだが、一部の乱暴な男女平等政策は言説だけを
‐24-
頼りにそれを破壊しようとしてきた。しかし科学的な知見と伝統的な知恵が一致
することが判明した以上、性差を無視した男女平等政策は根本的な見直しを
迫られている。
『誰が教育を殺した川一膜密I鶏…。
著者は高校の数学教諭で、以前から教育問題に関する本を出していた。こ
の著書も、現場で教える教師の立場から、最近の教育改革を批判的に捉えて
いる。
近年、日本の教育界は「改革病」とでも言うべきものにとりつかれているが、
著者はこう断言する。「改革は少なければ少ないほどいい」と。プラスだけでマ
イナスのない改革などない、とも。この言葉は、最近の「大学改革」にも当ては
まりそうだ。こういうことを素直に言う人間が大学教師に少ないのを、私は日頃
から不審に思っているのである。
といって著者はただただ現状維持がいいと主張しているわけではない。改革
をするなら慎重に、結果を十二分に吟味して、カネと人材を費やしてやるべき
だ、と言っているのである。例えば近年、親が学校に文句をつけるケースが目
立っているが、著者は、学校に法曹関係者を雇って対処せよ、と提言している。
つまり学校を取り巻く環境は変わっているのであって、時代にふさわしい学校
運営には教師以外の人材を一定数導入しなければならないということである。
またマスーミなど学校外から寄せられる無責任な教育言説を批判もしている
が、同時に、教師の採用は実力、すなわち学力を本位にすべきであると述べ
て、コネ採用の噂が絶えない教師採用事情を批判してもいる。すぐれた現場
教師のこうした声に、文科省も教育学者も素直に耳を傾けるぺきだと思う。
けフリカの底流を読む』‐鵬。I鱒。
714円
10年前に出た新書だが、最近読んでなかなか優れた本だと感心したので
紹介したい。著者は毎日新聞記者で、長らくアフリカに駐在してかの地に関す
る報道を続けた人。
1960年前後にヨーロッパ植民地主義のくびきから逃れて次々と独立したア
-25-
フリカ諸国。当時は「アフリカの年」などと言われて、アフリカの未来は明るいと
世界中の人たちが信じていた。だがその後は経済的には低迷し、政治的にも
暴動や殺澱が相次ぐなど、ぱっとしない状態が続いている。とはいえ、どの国も
同じような事情からというのではなく、国ごとに混乱の原因は異なっている。著
者は多くの国に取材してそれぞれが抱える問題点を丁寧に指摘している。や
や細かすぎると思える箇所もあるが、アフリカの事情が新書一冊で分かる貴重
な本と言える。
目下品切れ中で新大図書館にも入っていないのが残念だが、古本では容
易に入手できる。(以下のアマゾン、及び「日本の古本屋」のサイト。)
http://wwwamazonにo、jp/
http://www・kosho・orjp/
なお、最近「ホテル・ルワンダ」という、アフリカ内部の民族抗争を描いた良質
の映画が作られ、新潟でも公開された。未見の学生はDVDなどで是非見てほ
しい。そしてアフリカの内部問題に興味を抱いたら、この本をひもといてほし
い。
みぞぐちゆうぎ
溝ロ由已 /経済学部:中国経済論アジア経済論
か!」
『子どもが減って何が悪い_皿騨I雲鶏
735円
厚生労働省が発表した2005年の日本の合計特殊出生率は125゜同時に
発表された日本の将来推計人口では約100年後の2100年に約6千万人と現
在(1億2700万)の約半分になるという。新聞、テレビ等を通じてこうしたニュー
スにすでにふれたことのある人も多いことだろう。学界でも少子化問題は多くの
研究者が取り組むホットなテーマとなっている。そこではえてして少子化の原因
解明とその対策という形で論が立てられるため、結論としていかにして政策的
に人口を操作するか(子を産ませるか)という話になりがちである。
そんな風潮に「待った!」をかけるのが本響である。いささか刺激的な題名
の本番であるが、その内容は代表的な少子化分析や論証を丁寧に洗いなお
-26-
す作業から始まる、いたって地に足の着いたアカデミックなものである。
少し乱暴に整理すると、本書では次の二つの議瞼の間で闘いが繰り広げら
れている。
(1)出生率低落の主要因として、女性の就労と出産・育児がトレード・オフの
関係にあることがあげられる。このため男女共同参画社会が成熟し、このトレー
ド・オフ関係をなくすような施策をとれば、出生率が回復する可能性がある。
(2)男女共同参画社会が出生率低落を食い止めるという実証的根拠はな
い。また少子化対策として施策が個人の「選択の自由」を損ねるのであれば、
少子化対策はせずに、少子化を受け入れるのがよい。
著者はこの後者(2)の立場に立っている訳だが、さて、あなたはどちら側に
立つだろうか?本書を読みながら少子化問題について考えてみよう。
わたぺ
渡辺勇一/理学部:生物学
●自己紹介●
北海道(出生+札幌医大)、四国(徳島大学)、本州(新潟大学)と色々な地
方に住み、多様な生活観を得る。また医学部と理学部の教員をそれぞれ20
年近く体験し、得た成果を教育に生かす。途中音楽の道を志した事もあった
程の音楽好きだが、最近二足のワラジは、研究の敵とする啓鰯を見て考え込
む。マーラー好きだけれど、最近通して聴く余裕が少なくなっている。
_鰻化欝二
『日本という国』
1,260円
若い世代を標的として作られた本書の文章は、大変やさしく番かれている。
しかも漢字にはルビ(ひらかな)が付けられているので、小学生でも醜む事が可
能である。しかしこの本の内容というものは、筆者がこれまで銃んだ本で出会っ
た事のない鋭い分析を含んでおり、まさに「眼からウロコが落ちる」思いで読ん
だ。
憲法を変えたいと感じる今の人達には、自衛隊の存在と恵法第9条が矛盾
-27-
しているという思いが大きい。第9条を変えてしまえばスッキリするという感覚は、
改憲反対を唱える人の心にも、全く無いとは言えない。
自衛隊がどのようにして作られたかは、この本以外にも多数の書籍が既に出
されているが、あらためて、アメリカが行った戦後処理と、その後の政策の変更
という歴史経緯を確実に押さえて置く必要がある。本轡にその分析がかなりの
部分を占める事は言うまでもない。
また、現在の私達の国の憲法はアメリカに押し付けられたものであるから、自
分達の手で新しい憲法を作ろうというセリフがよく聞かれる。本書には、当時ア
メリカでも明文化されていなかった「男女の平等」が憲法草稿作成に参加した
アメリカの女性の草稿に基づいて入れられたと番かれているし、当時の保守的
な為政者も、天皇制を残した新憲法を歓迎したとも書かれている。押しつけ憲
法という論法に立つ人達は、同時に有無を言わず結ばされた、安保条約、日
米地位協定には全くロを閉ざしている傾向がある。しかし基地に要する費用の
大部分を日本に出させる「押しつけ的」政策は、余り取りざたされる事がないの
ではないだろうか。そもそも、あの長い戦争で戦ったアメリカ以外の国が日本の
戦後処理に全く加われず、種々の取り決めが実施されていつたこと自体も、問
題にされなければいけない。アメリカにとって、また日本にとってどのように都合
の良い取り決めが行われたかが、色々記述されているので、一読されたい。
本書に書かれている密度の高い内容を、これ以上要約することは避けて、
最後に全体の櫛成と観点を述べておこう。現在の我々の国である日本を形成
した歴史の重要な転換点として、小熊氏は明治維新と第二次大戦後(つまり
新憲法、教育基本法など、日本の民主化が米国によって進められたが、すぐ
に政策転換があった)の二つを選択している。私達が福沢諭吉の「学問のスス
メ」等の表層しか習ってこなかった事を、本書を統むとイヤと言うほど知らされる。
日荊戦争から後の「大東亜」戦争にも連なる、アジア諸国への侵略の立場が、
福沢諭吉の考えに盛り込まれていたという分析に、歴史を見るとはこういうもの
だったのかと「学ばされる」思いになる。
諭吉の「脱亜」という考えは、教科書検定でも種々問題が起こる点らしく、
「第二の家永訴訟」とされる「高嶋教科書訴舩」の争点の一つともなっている事
を、最近インターネットで知った事を付け加えたい。
最後に、植民地化に走る当時の西欧を実際に見て作られた、明治初年度
の「諭吉の思想」、そして「太平洋戦争」敗戦後の戦後処理、の双方は、アジア
諸国との関係を抜きにしては分析できない。そして現在問題になっている、憲
法改悪の問題も、アジア諸国からの視点を抜きにして態度を決めることは不可
-28-
能だと言えよう。
朧〔二Ii鱒:鯛性_鰹書I鰯
819円
この本は、東京大学教養学部で行った講義をまとめたものであると著者が前
書きに記している。教員にとって授業を本にまとめるのは授業を行う何倍もの
苦労がある。それはさておき、学生にとって大学の研究室の中で毎日研究して
いる人間が、どのような存在で、何を考えてコツコツと研究を続けているのかは、
なかなか伺い知れないものがある。この本の各項目は、アインシュタイン、ニュ
ートン、チョムスキー、朝永振一郎、寺田寅彦、ダーウィン、カハール等の業績
や彼等が残した言葉を紹介する事により各々始められている。と書くと、何や
ら我々とは全くかけ離れた世界を紹介する内容で、とても身近に感じられない
本であるという印象を持つかも知れない。しかし実際には、科学(研究)者の定
義から始まって、どのような資質が研究者に必要か、独創性はどのような精神
活動から生まれるか、研究成果の発表をどのようなスタンスで行うか、など日頃
科学に縁遠い人間の入門書としてふさわしい内容が次々に展開される。研究
者としての生活を記述した60頁に、自己紹介で書いた問題(研究以外の種々
の活動)が出てくるのであるが、読者はどう読まれるであろうか。
全体を通して、科学研究の成果を生んだ「個人」の存在を明確に押し出した
記述が特徴であるけれど、それは著者が前書きで示しているように、ダーウィン
の写真を授業で示しても、殆どの学生が誰か解らず、科学を個人の生き様と分
離して捕らえる傾向がある現状が気になっているからである。余談であるけれど
筆者も、子供の頃から「伝記物」が好きで、フレミングやパスツールの伝記は、
何度も読み返している。
最終章の「科学者の社会貢献」の辺りでは、最近問題になっている研究デ
ータの提造が何故起こるのかなどが論じられれば、更に科学の世界の解説書
として-歩踏み込んだものになったかと思われるが、それは望みすぎかも知れ
ない。
一Z9-
学生。院生が推薦する本
-31-
学生・院生
力、たぎりかずえ
片桐一絵/教育人間科学部4年
『中島敦一父から子への南
洋だより』
-蝋|裟姜
3,150円
私信は普通公開されないが、人によっては公開された挙句本になったりする。
読むほうはおもしろいけれど、本人にとってはどうなんだろうなあと思いつつ、や
っぱりおもしろい。
この本には中島敦が昭和16年に赴任した先の、南洋パラオから家族へ宛
てたハガキや手紙が収録されている。「峨西の李徴は博學才穎、天費の宋年、
若くして名を虎楴に連ね……」なんて文を響いている中島敦も、子供にとって
は良きお父さんだったんだなあと思うとなんだかほほえましい。「この椰子の一
本一本に、みんな、大きな資が、たくさんなってゐるんだよ。だれでも、のぼっ
て行って、とってもいいんだよ。」と書く絵葉寄には、椰子の並木通りの写真が
使われている。編者によるまえがきに、「子供宛てのすべての絵葉書、手紙を
写真版で入れたのは、どの絵葉書を送ろうかと、絵柄を選択したところから手
紙は始まっているのであり、また、『おとうちゃん』の茶跡そのものが子供たちへ
のメッセージを含んでいると考えたからにほかならない」とあるように、全集に収
録されて活字になった書簡からは見えてこないものが、この本にはあるような気
がする。
-32-
_但審l麗一
『ラヴレターの研究』
630円
他人のラヴレターなんて読む機会はあまりない。あまりないが、しかし読める
なら相当おもしろいだろうと思う。この本では明治から昭和の文豪、才人たちの
ラヴレター19通から、時代背景、二人の恋のあらましが識み解かれている。ラ
ヴレターって、響いている本人は頭に花が咲いてる状態で書いてるわけだから、
冷静な第三者の目にさらされるとなると、いろいろと厳しいものがあるだろうなあ
とも思うけれど、とにかくいろいろな意味でおもしろい。高村光太郎から長沼智
恵子へ与謝野晶子から与謝野鉄幹へ芥川龍之介から塚本文へ佐藤春
夫から谷崎千代へ谷崎潤一郎から根津松子へ太宰治から太田静子へ坂
口安吾から矢田津世子へ……どれも切実で生々しい手紙ばかり。共感するか
客観的に読むかは読者の精神状態によるだろうけれど、どちらにしても大変興
味深い-冊。ラヴレターのお手本に……なるかはわかりませんが。
個人的には、島村抱月から松井須磨子への手紙がすごいと思う。42歳、大
学教授、妻子持ちの抱月が女優の須磨子に、「これから手紙はいつでも一番
しまいの所を字の上でも何でもかまわないから、べったりぬれるほどキッスして
送りっこね。そうすると、受けとったほうでもそこをキッスすることね.」とか、「抱き
しめて抱きしめて、セップンしてセソプンして。死ぬまで接吻してる気持になりた
い。まアちゃんへキッス、キッス。」などと番いている。わあ……大の男がそこま
で書くか。のぼせた状態って相当すごいなあと思う次第。
実は著者が渡辺淳一だったので別に期待していなかったけれど、各々の本
物のラヴレターそのものがおもしろいので読む価値あり。ただ最後に、自分がも
らったラヴレターと自分で響いたラヴレターまで載せてるところが、あ_あってか
んじはする……。
-33-
かみじようゆし、
上條祐衣/医学部,年
『ウエルカムホーム」_般響l鵜…
2004年、春。テレビのニュース速報。「作家鷺沢萌さんの自宅での死亡が確
認されました…」なぜか、胸に鋭い痛みを覚えた。やり場のない悔しさ}こかられ
た。
こう書くと、私が鷺沢萌の熱心な読者であると勘違いされるかもしれないが、
当時の私は、デビュー作「川くりの道」しか読んだことがなかった。しかし、私の
好きな作家群ようこの友人のひとりが鷺沢萌であり、その人となりを群ようこのエ
ッセイで知り、自分では気付いていなかったものの、心のどこかでひそかに敬
愛していたのかもしれない。群ようこのエッセイの中の鷺沢萌は、感情の起伏が
激しく、喜怒をあらわにする、元気で自由な女性のように思えた。けれども、鷺
沢萌の小説に出てくるのは、本質的なやさしさをもっているひとたちばかり。そ
このところのギャップが面白く、鷺沢萌に知らず知らず関心を抱いていたのだと
思う。
「ウェルカム・ホーム」は、私たちに自分という存在を必要としてくれ、大事に
してくれる人のいることへの感謝を気付かせてくれる小説である。多くの人を帰
るべき家へと導いたあとで、自らは帰ろうとしなかった鷺沢萌。「ウェルカム・ホ
ーム」を読めば、きっと私の感じた悔しさをわかったもらえるはず。「この人にもう
二度とおかえりなさいって言ってもらえないんだな」って。
しかまめぐみ
色摩恵/現代社会文イヒ研究科,年
_魍審l偽、
『空飛ぶ馬」
609円
く円紫さんと私>というシリーズ名がついた短編ミステリ集の第一作である。し
-34-
かし、ミステリといっても血生臭い殺人やことさらな事件などはまったく起こらな
い。
主人公は女子大生のく私>、探偵役は噺家・春桜亭円紫師匠。このく私>の
日常はありふれた出来事で構成されている。珍しく早起きして一限に出掛けた
果ての休識であるとか、友人との夏休みの旅行であるとか、大学帰りの古本屋
巡りであるとか。しかし、その日常には些細ではあるが不可解な謎が潜んでい
る。多くの人が気にも留めないだろうその謎をキャッチするく私>の瑞々しさが、
大府魅力的なのだ。そしてその謎がスルスルと解き明かされる様が、なんと鮮
やかであることか。なによりも、〈私>や円紫さんの人を見る目の温かさにじんわ
りとさせられる。謎解きに際して、彼らは決して独善的な物言いをしない。柔ら
かな人情にも生の哀しみにも暗く凝った悪意にも、等しく同じ眼差しを向けるの
だ。そこには"生きることの愛おしざ,が溢れている。
描かれているのは平凡な日常だ。それはありふれた情景ではあるが、むしろ
ありふれているからこそ、自らの生活に重ね合わせることができる。作品を読み
進めるその時、〈私>は私自身であり、あなただ。
にいがきまなみ
新垣真奈美/現代社会文イヒ研究科
瀬尾まいこ
『図書館の神様』
一般書
マガジンハウス
1,260円
私は中学校に勤めながら大学に通っている社会人学生です。瀬尾まいこさ
んは、現役の中学校教師ということもあって、私の好きな作家の一人です。瀬
尾さんの小説に登場する人物は、この『図書館の神様』の「1W(きよ)」にしても
そうなのですが、小説のモデルになる人物がいたのではないかと思わせるほど
リアリテイがあります。
滴(きよ)は、心に傷を負い、罪悪感に苛まれていました。高校3年の時、バレ
ー部のキャプテンだった滴は、試合でミスを重ねた山本さんに辛くあたり、翌日、
彼女は飛び降り自殺をしてしまうのです。消は周囲から受け容れられなくなり、
-35-
住んでいた土地を離れ、地方の小さな私立大学に進みます。楕は、それまで
の清く正しい生き方を手放し、投げやりになりました。
精は、その後、ある鄙びた土地で高校講師になります。そこで文芸部の顧問
として、放課後図書館で過ごすことになるのですが、その部にたった一人残っ
ていた3年生の部員垣内君と心を通い合わせていくうちに、清の心に変化が起
こります。
文芸部最後の日、二人は図書館から飛び出し、グラウンドを走りました。そし
て、卒業式の日、瀞は、これからも教師を続けていきたいと思うのです。教師は
生徒にとってただの通過点にすぎないが、自分の前を通りすぎていく生徒をも
っと見ていたいという思いを抱きます。
情は、山本さんの墓を月に-度訪れ、花を添えていましたが、引っ越しの日、
山本さんのお母さんから届いた手紙には、新しい生活を祝福することばが書か
れていました。
情を変えたのは、文芸部で過ごした日々。「神様のいる場所はきっとたくさん
ある。私を救ってくれるものもちゃんとそこにある。」
-36-
自著を語る
「ウチの大学の先生はどんな本を書いているの?」という疑問にお答メ
という疑問にお答えする
コーナーです。
今回は、新潟大学医学部保健学科・宮坂道夫先生にご登場いただき、
『ハンセン病重監房の記録』を紹介していただきました。
宮坂道夫祷言…・鬘二一 重監一房の記録 ハンセ 病
CD
←}。 籍
も
「
》
し← 叩
-37-
みやさかみちお
宮坂道夫
/医学部:保健学科
『ハンセン……鼬_繊稗I灘*
693円
■映画を握るように
この本は、ハンセン病問題のことを「ほとんど何も知らなかった著者」が、「ま
だよく知らずにいる読者」に向けて書いた本です。そうはいっても、「ハンセン病
問題」という難しいテーマの読み物を、そう簡単に手にとってもらえるとは思えま
せん。そこで、この本を書くにあたって、私は極力「面白く、読みやすく」というこ
とを意識しました。
しかしながら、そもそも軽薄な態度で書けるテーマではありませんし、自分の
専門である生命倫理の視点など、学術的な内容も盛り込まなければなりません。
どうしたものかと考えたときに、「映画を撮るような気持ちで構成を考えよう」と思
い浮かびました。
導入部は、ハンセン病問題に-つの決着をつけた、2001年5月11日の「ハ
ンセン病国家賠償訴舩・熊本地裁判決」の夜のニュース番組の画面から始まり
ます。テレビ画面に、この裁判で国などを訴えた原告の「元患者」の人たちが、
裁判の経緯や今後の問題などについて熱っぽく語っていました。ちなみに「元
患者」という言い方をするのは、彼らはハンセン病が完治しており、すでに「患
者」ではないからです。最近では「回復者」という言い方も好まれています。
画面を見ているうちに、そのなかの一人の口元から唾液がキラリと光って落
ちました。ハンセン病は治っているのですが、後遺症のために、話などをすると
きに唾液がこぼれてしまうのです。私はその映像と、それを見ながら抱いた感
覚を、この本の最初に持ってこようと思いました。そこにハンセン病問題というも
のが凝縮されているように感じたからです。
ハンセン病問題をよく知らない人が、単純にテレビを見ていれば、その様子
を見て、「汚らしい」と感じたかもしれません。しかし、ニュース番組に登場した
回復者たちは、自分たちが不当に種かれてきた境遇について、テレビを通して
訴えていました。それは理路整然としている上に、人の心をうつ訴えでした。病
気やその後過症、あるいは様々な障害のために、口もとから唾液がこぼれてし
-38-
まう人は、世の中にたくさんいます。その人たちの姿を前にして、「汚らしい」と
いう感情を抱くのは、人間というものの性質なのかもしれません。しかし、「この
人たちの訴えを問かなければならない」という倫理的な責任のようなものを感じ
るのも、やはり人間の性質でしょう。その矛盾する二つの性質を、両方ともしっ
かりと見極めなければ、ハンセン病問題は「解決」しないだろうし、もっと広く言
えば、病気や障害に対する差別偏見はなくならないだろうと、思いました。
次の「場面」として、新潟大学でのエピソードを描くことにしました。皆さんは学
内で毎年開かれる「全学講義」を聞きにいったことがありますか?これは、
ノーベル賞受賞者など、日本を代表するような優れた研究者・専門家をお呼び
することが多い講演会ですが、私たちは医学部主催の「全学講義」に、ハンセ
ン病の回復者を招くことにしました。それも、あのニュース番組に出ていた人
一瀞雄二さんという、群馬.草津にある国立療養所輿躍馨ii闇に暮らす方
でした。私も含めて、このときのバタバタした様子の一端を本書に響いたので、
ぜひ読んでみてください。「ハンセン病患者だった人」の大半が、志半ばで療
養所に隔離され、学校にも行けず、職業に就くこともできませんでした。しかし、
講師を呼ぶ時の手続きとして、履歴書を書いてもらうことになりました。なんとも
失礼な話ですが、平謝りに謝って書いてもらいました。
■『魔の山』
それから、私は生まれて初めて、ハンセン病療養所を訪れました。その時の、
あの「シニール」な感覚は、今も鮮明に残っています。とにかく現実離れした感
覚一同じ日本に、このような場所があったのかと呆気にとられるような感覚に
包まれました。皆さんは、トーマス・マンの『魔の山』という小説を読みましたか?
私はハンセン病療養所を歩きながら、あの本を読んだときの感覚を思い出し、
どうにかしてこの「シュール」な感じを描きたいと思いました。療養所に暮らす人
たちは、『魔の山』の登場人物のように、じつにユニークで、個性的でした。中
には大変に博学な方もいました。
しかし、『魔の山』のような可笑しさや譜雛味は、その場所で暮らしてきた人
たちの話を聞くうちに、吹き飛んでしまいました。研さんは、電動車椅子に乗っ
て、療養所をゆっくりと巡りながら、私にそれぞれの場所でどんなことがあった
のかを、分かりやすく、また生々しく説明してくれました。その中には、とても血
なまぐさい内容のものもありました。例えば、下に示したのは、療養所の片隅に
ある供養碑です。一見すると、どこにでもありそうな碑で、気にもかけずに通り
-39-
過ぎてしまいそうな感じがします。
しかし、この碑の前に来て、研さんはこんな話を聞かせてくれました。本文か
ら引用します。
「生活燃料として薪を使ったけど、火葬場もここにあったんです。火葬場跡
地が、今、碑が見えるあそこにあった。火葬場で遺体を焼くのに薪で焼いてい
た。だけどその薪の不足のために十分に焼けない。遺族なんかが来て骨上げ
をする前に、焼け残ってプスプスした部分をここに捨てたんです。戦争末期の
昭和19年か20年頃には、-日に二人も三人も亡くなる。十何パーセント-
13パーセントくらいかねえ、死亡率が。すごい死に方でしたよ。それを昭和51
年ごろ、ようやく一般社会の火葬場で我々の遺体も焼かれるようになって、それ
で骨を拾い典めて、ここの碑に祀ったんです。」(本書34ページ)
■立ち去りがたい感覚
そのような話を聞くと、自分の足が石のように固まって、そこに立ちつくしてし
まいそうな気がしました。広大で、静かで、人気の少ない療養所の道々に、そ
んなすさまじい場所がたくさんあるのです。
最後に案内されたのが、本書のタイトルにもなっている「重監房」という場所
でした(次項の写真)。重監房はハンセン病問題の本には大抵触れられている
有名な施設なので、多少のことは知っていました。1938年に設極され、47年
-40-
まで運用された「懲罰施設」で、この9年間に93名の患者が収監され、そのうち
14名が監禁中に死亡した。8名が衰弱して外に出され、まもなく亡くなっ
た-.
しかし、その場所に立ってみると、それまで気づきもしなかった疑問が頭を駆
けめぐりました。そもそもなぜ、このハンセン病患者の療養所であるはずの場所
に、そのような懲罰施設があったのか?懲罰施設というからには、裁判のよう
なものが行われたのか?いったいどんな人たちが、ここへ入れられたのか?
-土台だけが残る重監房の跡地を歩き回りながら、私にとってのハンセン病
問題への旅が始まったような気がしました。
■ハンセン病問題への「旅」
この本を書いたときのことをあらためて思い返してみると、そうやってハンセン
病問題の一端に触れた私が、生命倫理学という自分の専門分野を振り返りな
がら、どうにかしてこの大きな問題に近づいていった旅の記録であるような気が
します。また、ハンセン病問題をほとんど知らない人に読んでもらっても、たぶ
ん、この大きな問題を巡って旅をするような感覚を味わってもらえるかもしれま
せん。本の構成も旅をするような順序になっています。「医学の物語」から入っ
て、宗教の歴史にハンセン病患者への差別の原因をさぐる「烙印の物語」へ、
そして外国の様子に目を転じます。とりわけ、欧米列強の植民地となった地域
では、強い隔離政策が行われました。日本という「植民地化を免れ、逆にそれ
をする側になった国」にとって、国内のハンセン病患者は、できることなら隠して
-41-
しまいたい存在でした。近代化を押し進め、欧米なみの「文明国」になろうとし
た時代の空気が、ハンセン病患者を社会から排除する政策につながったので
す。結果として、日本は世界のどこにもないほどの隔離政策を実現していきま
す。そうやって時代と国境を越えた旅の果てに、私たちは群馬県の栗生楽泉
圃にある、懲罰施設・重監房に戻ってきます。世界各国のハンセン病政策を眺
めても、この場所のようにたくさんの患者を閉じ込めて、死に至らしめた施設は
ありませんでした。旅を終えて、その場所がとても特別な歴史的意味を持つ場
所であることが、あらためて分かります。
生命倫理学を学ぶ立場で、ハンセン病問題についての本を書くということ
-あるいは研究論文を書くということには、大きな責任が伴うように感じました。
根拠を明確にするために、文献やデータをきちんと提示しなければなりません。
さらには、実際に体験した人に聞いてみないと分からないことがたくさんありま
す。そのために、この本を書く準備として、重監房のことをよく知っている人たち
にインタビューをしなければなりませんでした。
そのようにして、苦労してできあがった本ですが、嬉しいことに、栗生楽泉園
に暮らす人たち--彼らはハンセン病問題を題材にした本や映画などについ
ての、ものすごく厳しい批評家です-から、正確で読みやすい、と褒めてい
ただくことができました。この問題に深く関わってきた医師や歴史学者などから
も、よく調べて書いている、という趣旨の評価をいただきました。どれほどホッと
したことか分かりません。
この本を書いたことは、本当によい経験でした。今後また本を書くことでしょう
が、この経験が多くの面で糊になってくれる気がします。
この本で描かれている様々な場面で、新潟大学の教職員の皆さんや学生さ
んたちからご協力をいただきました。最後にあらためて感謝を申し上げておき
たいと思います。ありがとうございました。
-42-
◆教職員の方々のためのページ
新潟大にも出版会を!
■出版会を設立した国立大学が新たに二校
前号で富山大学、前々号で弘前大学に出版会が作られたニュースをお届け
しましたが、その後新たに、国立大学二校が出版会を作ったという情報が入り
ました。
東京学芸大学と埼玉大学です。いずれも首都圏にある大学ですが、独自の
出版活動を通して研究や教育に貢献しようとする意志がうかがえます。
東京学芸大学は、出版会の設立そのものは2001年11月ですが、大学出版
会の集まりである「大学出版部協会」へは未加入だったため、その存在が知ら
れていませんでした。しかし今回、富山大学及び武蔵大学と共に「大学出版部
連絡会」を立ち上げ、ここに「大学出版部協会」から顧問が派遣されたために
活動が知られるようになったものです。
この「大学出版部連絡会」は、「協会」と違って会則や会費などのしばりを設
けず、誰でも参加できる緩やかな連合体として位置付け、相互の情報・意見交
換、個々の疑問や課題などを持ち寄りながら、年に2,3回の会合を開催して
「大学出版部設立のための準備」を行うことを目的としているそうです。
東京学芸大学出版会のURLは下記の通りです。
埼玉大学出版会については、大学出版部協会のサイトにその存在が記され
ていますが(下記)、独自のサイトがまだ設けられていないようで、詳しいことが
分かりません。情報が入り次第、二のコーナーでお知らせします。(情報をお持
ちの方は、ご教示下さいますようお願い申し上げます。)
http://www,aiup-rleLcom/top/news0604.shtml#01
この運動に賛同している教職員(部局別、五十音順)2006年9月末日現在
(以下のリストには定年退官や移籍などにより現在は当該部局に所属していな
い方も含まれておりますが、署名して下さった意思を尊重して、署名当時の部
局で掲載しております。)
-43-
新潟大学
人文:井山弘幸、荻美津夫、小林昌二、栗原隆、斎藤陽一*、鈴木孝脈、
鈴木佳秀、高橘秀樹、中西啓子、古厩忠夫、三浦惇*、村上吉男、
山内志朗
法:石崎誠也、西沢光代、高橋正平、成嶋隆
経済:姥原良一、小山洋司、佐伯尚美、菅原滑太、菅原陽心、鈴木利久*、
谷浦孝雄、永井雅人、永山lilr男、西沢輝泰、藤井隆至
教育:荒木一郎、伊賀光屋、五十嵐尤二、五十嵐由利子、石坂妙子、
伊藤克美、井上慶隆、大橋勝男、岡田努、岡田量一、岡野勉、
荻野敏夫ぃ鎌田正喜、木戸利秋、小谷スミ子、小林昭三**、佐竹昭
臣、柴田透、白井健裕、鋤柄佐千子、鈴木郁夫、鈴木質治、鈴木
恵*、鈴木保高、清田文武、高橋正夫、高野道夫、高山吹嘉、竹田健
二、田中栄一、谷口繰、田村裕、土田四郎、常木正則、富阪幸治、
富田健之、中村和吉、成田圭市、西岡伸紀、福原崎夫、福原昌恵、
長谷川敬三、藤林紀枝、藤本正行、古谷正、堀竜一、三塚樹、
森田龍義、八鍬友広、米山朝二
理:(数学)吉原久夫
(化学)市村徹、岡田建紀、小俣三郎、工藤久昭、長谷川和子、
松田義明
(生物)大西耕二、小谷昌司、小林道頼、杉本健吉、白岩善博、
廣川豊康、古橋勝久、前野貢、森和博、渡辺勇一、
(地学)赤井純治、上田哲郎、周藤賢治、田澤純一、長谷川美行、
松岡篤、宮下純夫
(自然環境)相川豊夫、池田泰治、石沢進、石田昭男、卯田強*、
樫田昭次、酒泉満、関谷國男、濱口哲、湯川鋼彦
工:(機械)愛田一雄、今井純一、大矢誠、小沼静代、川崎一正、
小松フサ子、坂上俊雄、白井健司、高崎操、高野剛、田村武夫、弦
巻明、鳴海敬倫、宮島雅博、柳沢敦、横山和宏、横山誠、
(電気電子)板垣厚一、伊藤告、岩野春男、大河正志、荻野弘次、小
椋一夫、貝津弘幸、加藤景三、金子双男、川上貴弘、菊地久和、喜多
村博、佐々木修己、佐々木重信、佐藤孝雄、佐藤孝、菅原晃、鈴
木孝昌*、関根征士、田村忠、布川武司、野口誠一、贋野幹彦、帆
苅イネ、星勝弘、丸山武男、南一男、渡辺弘道
-44-
(情報)阿達透、石井郁夫、石渡宏基、小柳秀樹、加賀利広、
金井鏑、木竜徹、小林良和、芹沢久光、仙石正和、高橋俊彦、田
島慎一、富塚静雄、中靜真、林豊彦、福嶋康夫、牧野秀夫、宮崎
正弘、宮村勤、元木達也、山口芳雄、山崎一生、山田寛喜、渡辺新
(化学)青木俊樹、安東政義、磯貝浩司、稲垣眞、今泉洋、
上松和義*、大川輝、太田雅尋、小田美奈子、カロ藤皓一、北山淑江、
木村勇雄、斎藤夏風、坂井淳一、坂井俊彦、佐藤峰夫、清水忠明、滝
沢一賞、田口洋拾、田中真人、坪川紀夫、頓所勝、堀田憲康、皆川
斉、安田守宏、山際和明
(建設)阿部和久、阿部憲一、石橋邦彦、泉宮尊司、大川秀雄、大熊孝
、加藤大介、川瀬清孝、神立秀明*、佐伯竜彦、鈴木哲、土井希祐、
多田克彦、富岡誠子、十和田朗、保坂吉則
(機能材料)合田正穀、佐藤高晴、本間興二、矢野
農:(農業生産)青柳斎*、荒木肇、池田武、伊藤忠雄、伊東睦泰、
祝前博明、岡島毅、加瀬良明、楠原征治、小島誠、集治善博、
菅沼圭輔、新美芳二、新村末雄、樋浦善敬、廣田秀憲、古市尚高、
馬上武彦
(応用生化)五十嵐太郎、内山武夫、大山卓爾、門脇基二、金野隆光、
城斗志夫、鈴木敦士、田中啓達、野中昌法、早川利郎、星野力、屋
代眞、
(生産環境)粟生田忠雄、阿部信行、小林正吾、霜鳥重雄、竹内公男、
豊田勝、中野和弘、中野俊郎、春原亘、三沢真一、早川嘉一、山
本一滴、吉田昭治
医:安保徹、岩永ひろみ、牛木辰夫、追手巍、金澤寛明、河内裕、
清水不二雄、関川弘雄、田辺直仁、出羽厚二、内藤眞、林千拾、
平野茂樹、松村博雄、森岡哲夫、山本格
大学院自然科学研究科:志村俊昭
図書館:佐藤浩昭
(**は会長、*は世話人)
敬和学園大学:浅野幸穂、安藤司文、市川康子、伊藤豊治、岩倉依子、
上野恵美子、大海宏、小野哲、片桐邦郎、金山愛子、金子哲夫、
-45-
神田より子、菅野浩、北垣景子、北嶋藤郷、久島公夫、桑原ヒサ子、
斉藤祐介、佐藤渉、塩屋保、柴沼晶子、鈴木由美子、高木香苗、
田原嗣郎、西沢昭夫、西村秀雄、延原時行、野村啓治、馬塲歩、孫
野義夫、益谷真、松崎洋子、山田耕太、和田悦子、童平、lames
Brown、SanfordColdstein、CJoyWi1liam、MartineTsumoto
出版会設立運動についてのお問い合わせは、各部局の世話人までお願いい
たします。
(文責:三浦)
-46-
ほんのこくや
第30号(2006年春号)アンケート結果
①今回の「ほんのこぺや」全体についての感想。ご恵見をお書き下さい。
○最近は急に騒ぎ出して、数ケ月も経つとその騒ぎも昔の事ということが屡
ある。今回の特集の選択は大いに意味があると思う。
○前回初めて読んでおもしろいなと思い、この回が出るのをとても楽しみに
していました。鉄道事故の本も紹介されていて、興味をひかれました。一
度、読んでみたいと思いました。
○私は正直鉄道にあまり興味はないのですが、これだけ多くの人が鉄道の
本を啓<のだから、そこには私がまだ知らない魅力がたくさんあるような気
がして、そういう意味でも一度読んでみたいと思いました。
○青春18切符を使って、格安で日本中をまわれる鉄道ですが、こう事故が
多いと、楽しいだけじゃないのかもな、と考えさせられました。鉄道というこ
とで個人的に興味があったのですが、事故についてのが多くてちょっと残
念…かな。勉強にはなりましたけど…。
○いつも先生方、生徒のすすめる本についてのページを見るのが楽しみで
す。いまいちなのはなぜか特集について。読んでみたい!と思えるものが
なかなかありません。
→直接は関係ありませんが、対象が中高校生でなく大学生である場合は、
「生徒」という呼称は問題だと思います。
○脱線事故のニュースをよく聞くようになったので、特集が「鉄道」で、つい
手にとってしまいました。
○鉄道の特集をするというのに大きなインパクトがありました。開いてみると鉄
道1つとっても色々な分析視点があるんだなとわかり、とてもおもしろかっ
たです。
○特集が「鉄道」とあったので、わくわくして開いてみたが、あまり興味のわく
本がなかったので少しがっかりした。
○今回の特集「鉄道」は、日ごろから興味があるのでよかった。しかし「鉄道
の安全そのものや歴史について」ということだったので、鉄道文学がなか
ったのは個人的には残念。機会があったら特集してください。内田百間が
おすすめです。それと特集が早めに決まっていたら原稿を募ってみても
面白いのでは?(学生とかに)
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→特集の原稿募集というのは、一考の価値ありですね。
○<特集>「鉄道」といっても日本国民と緊密な関係を持つ耐震設計の偽装
問題やライプドアの株取引のことも紹介してくれて、本当にありがたかった
です。
○今回の特集は「鉄道」ということでしたが、改めて鉄道のことについて興味
を持つことができました。鉄道の歴史や事故について調べてみたいと思い
ました。
○1年生の頃から愛読し、参考にさせてもらっています。今回、初めて回答さ
せていただきます!「鉄道」特集は、毎日電車を利用している身としては
興味深かったですが、少しいつもより量が少ないように感じました。アンケ
ートにそれぞれコメントがついてるのは読んでいて楽しいので、ぜひ続け
てほしいです!大変でしょうが…。
→大変ですね、確かに。でも楽しくもあります。
○「鉄道」特集がタイムリーで良かった。福知山線脱線事故から1年が経っ
たが、何ら問題の解決がなされていない。二れまでの鉄道の歴史とともに
事故について検討すべきと感じた。
○鉄道というテーマは最初マニアソクな感じがしましたが、その中に尼崎の
脱線事故などそのような本もあり、興味がわきました。またはじめてほんの
こくやを見て、こういう形で書かれているんだ…と思いました。
○特集が鉄道ということで工学的な部分がふえたので楽しく読めました。今
回のテーマは鉄道ですね。最初表紙を見たときはそんなにひかれなかっ
たのですが、それぞれの本の紹介文をよんで、どれももう少し詳しく読みた
いな、本を読んでみようかな、と思わされました。
○今回のテーマは鉄道でしたが鉄道にあまり興味がないため、鉄道の本の
紹介ではあまり関心のある本を見つけることはできませんでした。でも今回
はいつもより学生が紹介した本が多かったところに興味が持てました。同
じ年の人が本の紹介をこんなふうにできるのかと驚きもありました。
○特集が鉄道ということで、友達に鉄道マニアがいたので、その人のことを
思い出しながら楽しませてもらいました。
○JR西日本の事故のように、元電車通学の身にとっては人事でない惨事が
起こる一方で、鉄道のおかげで旅行ができるのも事実であり、私たちの生
活に密接した存在だということを思い知らされた特集でした。
○一口に鉄道といっても、歴史や事故など、様々な切り口があるんだなあと
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思いました。
○鉄道特集ということで、やはり事故の話題が多かった。
○鉄道というテーマが良かった。昨年はJRの不祥事や事故などが多発した
し、その流れは今年度に入ってもあまり回復していない。鉄道というものに
改めて向き直るという点でとても良いと思った。
○実は鉄道にはあまり興味がなかったのですが…。鉄道って一言では語れ
ない熱いものがあるんですね。少し興味がわきました。
○鉄道はすごく身近な存在だけど、知らないことが多い。奥が深くて楽しそう
だと思ったけれど、事故のことがあって、悲しい印象になってしまうのが残
念。
○今回は鉄道ですか。鉄道には興味ないと思っていたのですが、「なぜ起こ
る鉄道事故」に目がいってしまいました。なので銃んでみようと思います。
来年あたり春の特集を桜にしていただけるとうれしいです。(桜大好きなの
で。)
→2行目の接続詞「なので」は、現代の話しことばとしてはOKですが、書
きことばとしては使用しないようにしましょう。テストの答案やレポートの中
に発見すると、たまらなく悲しい気持ちになります。
○鉄道特集を読むまで、ちょっと前に鉄道事故があったことをすっかり忘れ
ていた。今はTVでも新聞でも鉄道事故を扱っていないので、すっかり関
心が無くなっていたが、せっかく鉄道を特集しているので、どれか一冊読
んでみようと思った。
○最近、福知山線脱線事故から一年が経ったというニュースを見ました。こ
の事故だけじゃなく、電車の事故はよく耳にします。そんなときに今回は
“鉄道,,特集ということで、とても興味深かったです。
→ということで、今回の特集「鉄道」には多数のご意見をちょうだいしました。
「鉄道」にはあまり興味がないとか、あまり銃みたい本はなかったとかの、
否定的な意見もありましたが、多くは時宜にかなった特集設定として、好
意的に受け取っていただいたようです。まずは、ホッとしている次第です。
日頃から絶対の信頼をおいて利用している鉄道が、ひとたび事故が起き
ると、多くの人命が失われてしまうということを、改めて思い知らされる事故
が続いていた時だけに、大きな反騨があったものと思います。よく利用す
る越後線が、風で運行が中止されたり遅れたりするのも、安全を確保する
ためには仕方のないことなのかなと思ってしまいました。便利さよりも安全
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第一ですからね。
○「自著を語る」の中田先生の本のタイトルが面白かったので、もう少し内容
を具体的にとりあげて紹介してくれたら、と思った。「鉄道」特集はなんとな
くユニークで面白かった。専門とは少し外れたテーマだと、様々な所属の
先生から本が紹介されるのでいいかもしれない。
○「自著を語る」のコーナーに、中田力脳研教授が登場したのに注目しまし
た。昨年、中田氏はNHK新潟放送局作成の番組に出演して、自分の研
究のことなどを語られていたのを視聴しましたし、私自身が最近「脳科学」
という分野に興味を持つようになっていますので、有難いことでした。次の
特集に「脳科学」はいかがでしょうか?
→検討してみます。脳研の先生方がOKを出してくださることを期待します。
でないと、なかなか難しいテーマです。
○ぜひいつか医学・医療系の特集をお願いします。
→これも検討してみます。
○『学生・院生が推薦する本』のコーナーに、友人の紹介文が載っているの
を見つけたときは驚きました。色々な人が読んでいることが分かり、「ほん
のこくや」がより身近に感じられました。
→ビックリしたでしょうね(*ハーハ*)あなたもぜひ書いてみてください。
○おもしろそうな本が結櫛あった。自分と違う学部の先生の紹介の本がなか
なか気になる。
→こういう形で、他学部の先生のことを知ることができるのも、『ほんのこく
や』の特徴です。
○初めて手にとってじっくりと読んだけれど、みなさんからの推薦本がたくさ
ん掲載されていておもしろかった。最近読書が好きになってきたところな
ので、読んでみたい本を見つけたりできた。学生からの推薦本は、同世代
の人がどのような本を読んでいるのかがわかって参考になっていいと思
う。
→刺激にもなりますね。生協書籍部でやっている「読書マラソン」を見てい
ますと、日常的に本をたくさん読んでいる学生さんが少なからずいるようで、
驚いているところです。新大も捨てたものではありませんね。
○初めてほんのこぺやを見たが、値段や出版社など、とても細かいところま
で書いてあったり、見やすくなってるので、また見たいと思った。
○学部卒業後、数年ぶりに「ほんのこくや」を手に取りました。(良い意味
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で)変わっていない懐かしさ1
→変わらないこともいいことですね。いえ、最近では変わらないことこそ意
味があるような気がしています。トシのせいでしょうか(ハーハ;)
Oさまざまな分野の本が紹介されていて、いろいろな事に関心がわきまし
た。
○本を紹介している人達が楽しんで紹介していたり、その人の人となりが文
章を読んでいるとみえてきて、おもしろいと思います。
→文は人なり、と昔からいいますからね。
○今回は学生が推薦する本が多めで面白かったです。いつもは専門的なも
のが多いように思いますが、小説が今回はいくつかあったのもよかったで
す。
○私が今まで興味がなかった本を読みたくなりました。「先生たちが紹介して
くれた本を読んでみようかな。」と思っています。
→食わず嫌いということもありますから、ちょっとでも興味がわいたら、ため
らわず読んでみることだと思いますよ。
○今回は学生・院生の書評=-ナーが充実しているように感じました。
→やっぱりこうじやなきや。学生さんの投稿が多いと、反響もありますね。
Oこれを読んで、(どれもこれもめつちやおもしろそう)と思いましたが、(お金
なくなっちゃいそう。ただでさえ、狭い部屋なのに、教科書以外にスペース
は…。映画の予告とかI±おもしろくても、観に行くとつまらないこともあるし
な-.それに…。)つまり、本を買うプランは密かに榊築されております。
→よっぽど分厚い本じゃなかったら、そんなにスペースを食ってしまうとは
思えません。教科書以外の本が並んでいる方が、かっこいいじゃないです
か。
○いろいろな分野の教職員から推蔚する本が紹介されて、たいへん興味が
あって、読んでみようかと思われるものが少なからずあって、すばらしいと
考えます。
O今回は特に、学生の紹介が多くて読みやすかったです。ほんのこくやは
先生や学生など、本当に様々な方たちが紹介しているので、とても参考に
なるし、面白いです。
○「ほんのこぺや」を読んで、読みたいと思う本がいくつかありました。特に
「学生・院生が推薦する本」には小説や読みやすそうな本が紹介されてい
るので、とても参考になります。
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O幅広い学部・分野・研究をなさっている先生・学生の視点からみた、おす
すめの本が知られてよかったです。私は今4年で、就活中で、面接のとき
の「好きな本は?」「最近読んだ本は?」という質問に答えられるよう、これ
から本を読んでみようと思っていたところだったので、「ほんのこぺや」はと
ても役に立ったし、参考になりました。
→特に役に立つことを第一に考えてはいないのですが、役に立ったと言
われると妙にうれしくなりました。
O今年新潟大学に入学し、始業式に配布された資料の中に、この「ほんの
こぺや」が入っていました。生協でこのような冊子を発行されていることに
感激しました。教職員の方の推薦轡など、大いに参考にさせてもらおうと
思っています。
→4年間、しっかり本を読んでください。生協薔籍部を利用していただける
と、なおうれしいです。
○今回は親しみやすい本の紹介が多くてよかったです。特に、学生が薦め
る本は、人気の作家さんのもので、読んでみたくなりました。やっぱり、自
分と同年代の人が読んでいる本は興味があります。
O「学生・院生が推薦する本」のコーナーは、小説がたくさん紹介されていて、
好みです。
○多くの本が紹介されていますが、私としてはもっと小説を戯せてほしいで
す。
○一つ一つの本の解説がとてもわかりやすくてよかったです。
○様々な本の紹介を読むことができて面白い。
○もっと写真がほしい。そうすれば見やすくなる。
→写真は、どうしても経費がかさみます。今のところ、自著を語る=-ナー
くらいが適当だと考えています。
○はじめてこの本を読みました。いろんな本に関する紹介が盤いてあって、
いいなあ~と思いました。私は韓国人ですけど、日本語の勉強にもなって
ほんとによかったです。
○今回は「ほんのこくや」の節目となる30号なので、何か特別に企画が用
意されているかもと期待していたのだが、いつもとあまり変わらなかった。
派手やかさはないけれど、それが長続きの秘訣かもしれませんね.これま
で制作に携わった方々、お疲れ様です。
→実は、縞梨部でも何かやれたらといろいろと知恵を出し合い、一旦はダ
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プル特集を企画してみたのですが、諸般の都合によりいつもどおりのスタ
イルに落ち着きました。多忙を極める昨今、依頼する側もされる側もモー
レツに忙しく、残念ですがご期待にこたえられないこともあります。
○毎回編集が大変だと思われるが、編集委員の方々、生協の方々のおか
げで毎号手にとることができ、楽しみにしている。法人化による様々な鐵
寄せが教員に行っている事はよく聞く。どうか頑張って、二れからも続けて
ください。
→はい、がんばります。継続は力なりといいますから。
○第29号(2005年秋号)アンケート結果がおもしろかった。いつもこのコー
ナーは楽しみにみています。
→そういわれるとますますがんばってしまいそうです。根がタンジュンです
から。
○よくまとまって親しみやすい内容。ただ、教員含めて一万人超える人間が
いながらアンケートが50集まらないのは寂しい感じ。
→編集部でも毎回不思議に思っています。発行部数は相当数に上るの
に、当然銃まれている数も相当あるはずなのに、啓評の投稿はおろか、ア
ンケートにこたえてくれる方が妙に少ない。まさに「新大七不思議」の一つ
ですね。
○アンケート結果のところが意外とおもしろかった。私も気軽に思ったことを
書こうと思った。
→ぜひ番いてください。書いたものが活字になるのは、得も言われぬ喜び
ですよ。
○院に進学できて、これからも読むことができるようになりました。編集後記を
読んで、この「ほんのこぺや」は今や全国でも珍しい伝統のある啓評誌と
知って驚きました。今後も毎号欠かさずに読みたいです。リスペクト、「ほ
んのこくや」Ⅱ
→そこまで言っていただけると、ますますやりがいを感じますね。卒業(修
了)後も、ぜひ生協に立ち寄って『ほんのこくや』を手にとってください。
-53-
②この冊子を見て読んでみたくなった本があったら教えて下さい。(書名の後
に人数を示し、その「理由」もすべて挙げました)
○『環境問題のウソ」(6人)
1.マスコミ等から得る情報だけを信じて、「分かっている」つもりの環境問
題が多いのではないかと思ったので、ぜひ読んでみたい。
2.森林は二酸化炭素の削減には役に立たない、みたいな事を聞いた
ことがあったので、そんなことが載っているのかな、と。
3.正しいことを知りたいと思うから。テレビで言われていること、まわりのこ
とば、いろいろなことに流されているのは良くないと思う。
4.環境問題の特集はよく見ていたし、それが真心だと思っていたから、そ
の中にウソがあるなら、なにがウソなのか気になって、読んでみたくなり
ました。
5.環境問題を、今後の取り組みに入れていきたいと考えています。そこ
で真の環境問題とは何かの、本質をしっかり見極めないと自己満足に
終わり、かえって環境を悪くしてしまうかもしれないと思ったからです。
6.自分が学ぶ学部の先生の書いた本なので、ぜひ読んでみたいです。
orだます心だまされる心』(6人)
L私はだまされやすいので…
2最近詐欺の手口などが巧妙化してきた。自分がだまされないために見
ておきたいし、だますほうの心を覗いてみたい。
3.手品や文学・芸術の中のだましから、悪徳商法などの犯罪に関係する
だましまで、幅広い「だまし」を取り扱っているとのことで、面白そうだなと
思いました。
4.現代の社会を生きぬくための方法を理解することで、今の社会がどの
ようなものかを知ることができる気がしたし、将来のためにも役立つと思
ったからです。
5.だまされたくないから!!!
6.最近様々なサギが増加していて、だまされる人は心のスキにつけこま
れてるのかな?と思っていた。この本を読んで著者の意見を聞いてみ
たいと思った。
○「幼児化する日本人』(6人)
L最近の犯罪が低年齢化かつ短絡的な理由で行われているので、これ
と無関係ではないと思ったから。
-54-
2「他人に興味が無く、自己中心的で、自己を過大評価する」-子ども
から大人まで、現代日本においては思い当たるところがあるのではない
か。勿瞼、自分も含めて。
3.「どんな文明も必ず終焉を迎え、その終蒋は文明の中にある矛盾によ
って準伽される」という文がすっと頭の中に入り、何となく、そうなのかも
知れないと思ってしまった。しかし著者が何故、その様に考えるのかは
わからない。其の辺の理由を知りたいと思った。
4.今どこにでも目にする茶髪。「茶はやっぱ最高一」一言では、きっと言
い尽くせない事情があるようで楽しそう。
5.題名からして挑発的。
6.日本人の髪を染めるという行動について、その裏に隠されている心理
的な要索が響かれてあり、他の行動についても知りたいと思ったから。
○「間宮兄弟」(4人)
1.聞いた話では映画化されるそうだし、江國香織さんの本を読んでみた
いと思っていたから。
2.江國香織の本は、今まで"すいかの匂い''を読んだだけで他にも読ん
でみたいと思っていたが、紹介文を読み、かなり笑えそう&ほろ苦そう
な筋轡きに興味を持ちました。今度映画もあるみたいだし、必見です
ね。
3.江國香織の本が大好きなので。次はこの本を読んでみようと思いまし
た。映画化されたので話題にもなりそうですね。
4.最近映画化されるということで、どんな内容なのか興味を持っていまし
た。紹介を髄んで、どういう展開になるのかますます気になります。
○『パイロットフィッシュ』(3人)
1.まじめな本ばかりの紹介かと思っていたが、そうではなく自分に合いそ
うなジャンルの本だったから。しかもそれほど有名な本ではなかったの
で、今までタイトルすら聞いた率がなかった。
2.新聞か何かの書評で一度見たことがあり、少し気になっていたから。
3.この本の感想を読んで、ちょっと読んでみたいと思ったから。
○「間題な日本鰭』(3人)
Lテーマの「問題な日本語」イコール方言の日本鰭ですか。あるいは日
本稿の方言ですか。日本語に興味を持つ私はぜひ読みたいと思って
います。
-55-
2.最近テレビを見ていても、日本語を膜って使っているとよく聞くし、知ら
ないうちに自分も膜った日本語を日常的に使っているので、この本を見
て、言葉のおもしろさを知りたいと思った。
3.日本脂をうまく話せていないし、間違って使っている敬語もあると思う
ので、この本を読んで、心を入れかえたいと思いました。
○『天使の梯子』(3人)
1.-度読み終えたが、横沢詩子さんの文章を読みもう一度読みたくなっ
たため。
2.啓評を琉んで大変興味を持ったので。人はみな「影jの部分を持って
いるが故に強く、人に優しくできる。普段の生活の中では意識しないが、
私の中にも自責と後悔の念は、年を重ねるにつれ降り積もっていく。こ
の本を跳んで少し救われた。
a天子の卵という本を以前友達からすすめられて、その続きだったから。
○「流星ワゴン」(3人)
1.ほんのこくやに戦っていた書評に引き込まれてしまい、とても読んでみ
たいと感じた。
2.私も「もう一度、あの日に戻れるとしたら…」と思ったことが何度もあるか
ら。
3.重松消の本は前に読んだことがあり、おもしろいと思いました。この本
の紹介文を読んで、この本も読んでみたいと思いました。
○『スノーボール・アース生命大進化をもたらした全地球凍結』(3
人)
1.地球の生命は幾度となく危機的な状況に見舞われ、その度にその苦
境を利用して進化してきた。全球凍結もそのうちの一つだと思う。その
状況から地球はどのように現在のようになったのか。生命はどのようにな
ったのかを知りたくなった。
2.地球が完全に凍結した中で生命がどう生き残り、どうやって進化してい
ったのか。そんな切り口から初めて地質学になじめそうな本だなと思っ
たため。
3.全地球凍結という話は聞いたことがありますが、くわしくは知りません。
本当にそんなことがあったのか?という疑問を解消してくれるのではと
思ったから。
○「存在の耐えられない軽さ」(3人)
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1.以前図書館でタイトルにひかれたが、難解そうなので手にとらなかった
本。紹介を読んで「そういう楽しみ方があるのか」と思い、気になった。
2.題名と哲学系の本だということは知っていましたが、恋愛小説だったと
は知りませんでした。恋愛小説を通して哲学を語るとどのようになるのか
興味がわきました。
3.ビデオで見ようと思ったのですが、4時間ものだったのでやめました。せ
めて本は読みたいです。チョコの町並みが創造できたらいいなと思って
います。
○『吉原はこんな所でございました-廓の女たちの昭和史』(2人)
1.最近吉原という地を知り、ちょっと興味を持ち始めたので。
2.もともと吉原について興味があったので、この本を読んで、吉原の女性
たちはどんな人生を送っていたのか、時代背景や社会情勢もふまえて
知りたいと,思った。
○『新しい高校物理の教科書一現代人のための高校理科」(2人)
1.読んで物理がわかったらいいなぁと思う。
2.現在の教科書と比較して、何が新しいのか知りたい。
○『アジアに共に歩む人がいる-ヒ素汚染にいどむ』(2人)
1.いろんなところで活動している人達のネットワークの参考になりそう。
2.私が理学部であるのもあるが、日々環境問題が深刻になる中で、自分
に何ができるのかを考えさせられる本だと思った。
○『流学日記」(2人)
1.「izumi」という別の小冊子で、作者のインタビューが載っていたので。
2.私は基本的に冒険とか旅とかそういった本が好きなので、題名からもう
ひかれるものがありました。また、内容も変わっていておもしろそうなの
で、電車などで読みたいです。
○『ボランティアーもうひとつの情報社会』(2人)
1.新たな視点をもつことができそうで、興味深いです。身近なことだからこ
そ、じっくり読んでみたいです。
2.私はボランティアが好きで、今でもボランティア活動をしています。普段
好きでやっているボランティアについては、あまり気に留めたり、考えた
りはしてないのですが、この本のように、惰報・社会という観点から改め
てボランティアのことを見直したり、ふり返ってみるのもいいかなと思った
からです。
-57-
○『鉄道もの知り百科一毎日乗る電車の仕組みが手に取るように解る!』
(2人)
1.鉄道に興味があるので、まずは基本的な仕組みを知りたい。
2.電車の自動改札の仕組みなど、あまり知ることのできないことを読んで
知りたいと思いました。
○『なぜ福知山線脱線事故は起こったのか』(2人)
1.冷静な目で、改めて事故について考えたいと思ったので。
2.最近ニュースで見たので。
○『ハルカ・エイティ』(1人)
L「ふつう」ということについて考えさせられる本、というところにひかれまし
た。
○『なぜ起こる鉄道事故」(1人)
1.私は、鉄道は安全だというイメージを持っていたのですが、それが壊さ
れた2005年。それでもバス等よりも電車が好きなのでよく利用している
のですが、帰省時などたまに不安になるときがあるので、この本をじっく
り読んでみたいです。
○『映画から見えてくるアジア』(1人)
1.本から映画の1W報をもらえることが魅力的です。アジアについてもより
やさしく近づけそうです。
○『脱出記一シベリアからインドまで歩いた男たち』(1人)
L行ったことのないロシアの自然、寒く厳しいだろうなと想像力をかきたて
られた。
○「プリオン説はほんとうか?』(1人)
1.得体の知れないことが起きているようで、気になってしょうがない。
○『新幹線をつくった男島秀雄物語」(1人)
LプロジェクトXみたいでおもしろそうだから。どんなドラマがあったんだろ
う。
○『戦中派からの遺言一戦役者の鎮魂のために」(1人)
1.今という時代に生きている中で、戦争ということを意職していないと時
代に流されていってしまう気がするので、自分の感覚からの記述を非常
によみたいです。
○「楼蘭王国一ロブ・ノール湖畔の四千年』(1人)
-58-
Lシルクロードのロマン中のロマン、楼蘭についてぜひ読みたい!と思い
ました!
○『「カルト」を問い直す-信教の自由というリスク』(,人)
1.「宗教はよくないjという根強い意職のある日本でも、沢山の人が入会
する。そこまで魅力のある宗教とは何か?と常々思っていたので気にな
った。
○『これが本当の朗読だ』(1人)
1.声に出して読むことに興味があるため。
○「森鴎外一文化の翻訳者」(1人)
1.言葉というものに非常に興味があるので、文章を読んでひっかかりそう
な気がしたので。
○『明治大正翻訳ワンダーランド」(1人)
L言葉というものに非常に興味があるので、文章を読んでひっかかりそう
な気がしたので。
○『刀狩り-武器を封印した民衆」(1人)
L自分の感覚をゆさぶってくれそうな感じがするので、そういうのは楽し
い。
○『本当は聞こえていたペートーヴェンの耳』(1人)
’・今までベートーヴェンは耳が聞こえないと思っていたので、興味を持ち
ました。
○『トスカニーニのモーツァルト.卜短調交響曲」(,人)
1.たまたま私もクラシック音楽のファンで、トスカニーニのCDも賦買部か
ら何枚か買って持っているため。但し何かの本でこのトスカニーニの卜
短調交響曲の演奏について読んだ記憶があり、それによると、この曲の
演奏のしかたがわからなかったトスカニーニが、ある時「かみつくように
演奏すればいいのだ!」などと独断で決め付けてしまったとのことで、
読みたくはあっても演奏は聴きたくない。(なお、ついでながらPZ6L11
の「二短調ピアノコンチェルトK446」とあるのは「K466」の誤りでは?)
○『英雄時代の鉄道技師たち-技術の源流をイギリスにたどる』(,
人)
1.あるTV番組で、イギリスには古の技術を重んじるところがあると分かっ
ていた。そこでそのことをもっと知りたいと思っていたから。
-59-
③最近藤んだ本から、あなたのおすすめの-冊をコメント付で教えて下さい。
(できれば出版社と価格も記入して下さい)
○『ネパーランド』恩田陸(築英社)540円
・冬休みの学生寮を舞台にした4人の少年たちの物語。それぞれが抱え
る過去やトラウマが、徐々に浮き彫りになっていくストーリー展開にどん
どん引き込まれます。青春ものが好きな人、ミステリー系が好きな人、ど
ちらにもおすすめです。
or冬の運動会」向田邦子(新潮社)546円
・家族がそれぞれの秘密の居場所を隠し持ち、そこで心を満たしている
が、その居場所も次々となくなり、最後に本来の家族の元へ戻ってくる
過程が、ありきたりだがおもしろい。
○『あなたは絶対1運がいい」浅見帆帆子(グラフ社)1,260
円
.この名前であまり信じられなかったですが、実際よんでみるとなるほどと
思うことや、マイナス思考が強い私にとってとてもためになるものになり
ました。
orひらめき脳」茂木健一郎(新潮社)714円
・ひらめきという、脳の活動がわかりやすく啓いてある。ゆえに、日常のひ
らめく感覚とひらめかない感覚の違いがおもしろく思えるようになった。
orフランクザッパ・アラモード」野中柊(筑摩書房)630
円
.『フランクザッパ・ストリート』の続編、というか別編。ヒトも猫も犬もパンダ
も…みんないつしよくたになって生まれる、ハッピーな空気と素敵なメニ
ューで元気になれる本です。
or3週間続ければ一生が変わる-あなたを変える101の英知」
□ピンシヤーマ(海竜社)1,680円
.「あなたが死ぬとき、だれが泣いてくれますか?」で有名なこの本。読め
ば生活の質が向上するかも?
○『日本の医者は「がん」を拾せない-私が患者だったらかかりたい
医者6人」平岩正樹(鋼談社)714円
・文庫化する前の書名は、なんと『いばるな!医者おごるなⅡ病院』とい
うもの。著者は物理工学科を出てサラリーマンになったが、日本の医療
に激しい疑問を抱き、脱サラして医者になった。口先で日本の医療界
-60-
を批判する(されて当然のヒドさなのだが)人は多いが、自ら医者になっ
て行動し、もの凄い妨害と斗いながら内部から改革しようとした人は稀
有。その人の「戦記」である。
○「岸和田少年愚連隊』中場利一〔本の雑臆社)1,835円
・大阪は岸和田を舞台に、痛快な青春をえがく。昭和の香りがいい。
○『ゾウの時間ネズミの時間一サイズの生物学』本川達雄(中
央公論社)714円
・ゾウとネズミ、大きさが違うこの2匹でも一生に打つ心拍数は同じ?とい
った分かりやすい例で、生物学を解説している。銃みやすいので是非
オススメ!!
○『かの子擦乱」瀬戸内ⅡNi美(鋼談社)940円
.とにかく、かの子が可愛くて、いじらしい。さすが岡本太郎の母親という
か、この母あってこの子ありというか…私はすっかりかの子のファンにな
りました。
○『はじめて考えるときのように-「わかる」ための哲学的道案内」
野矢茂樹(PHP研究所)650円
・横書きの文庫本で、茶色のインクとよい感じの紙に、雰囲気を持ったイ
ラストと文章が書かれた、素敵な本。
○『失はれる物語』乙一(角川書店)1,575円
・カバーデザインに魅かれ、思わず手に取りました。短編集なので本の
厚さに負けてしまう人にもおすすめです。どの話も最後はあっと驚くよう
な展開になります。小説が好きな人、ぜひ読んでみて下さい。
○『西の魔女が死んだ』梨木香歩(新潮社)420円
・人を思いやるやさしさ。おだやかなこころ。あせらないでゆっくりと生きる
こと。丁寧に生きること。自分の力を信じること。こころにしみこんでくる
作品でした。
○『詩歌の待ち伏せ(1)(2)』北村蕪(文蕊春秋)各550
円
.“誇ってよくわからないし…"という人に是非!
○『三四郎』夏目漱石(岩波書店)420円
・学生から見て共感する事柄や、単に小説としてのおもしろさだけでなく、
これからの学生生活を考えるきっかけを与えてくれる事が自然に書かれ
ている。
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○『24人のピリーミリガン(上)(下)」ダニエルキイス(早
川書房)各924円
、多重人格者の話です。多重人格者にとって、この世界がどう見えるか
がわかっておもしろかったです。
○『永遠の不服従のために」辺見脈(鯛談社)540円
、9.11以降に著者が書いたエッセイ。世の中にあふれる出来事に対し
て報道されないことや別の視点を見せてくれて、自分の中の感覚がゆ
さぶられておもしろいです。
O『たんぽぽのお酒ベスト版文学のおくりもの』レイ・プラッド
ペリ(晶文社)1,890円
・少年と周りの人達の一夏の出来事が、幻想的な文章で描かれていま
す。ノスタルジックなアメリカの空気が、行ったことのない人でも感じられ
そうです。
○『ありがと。-あのころの宝もの十二糖」ダヴインチ編集部〔メ
ディアファクトリー)662円
.“ありがとう,,という言葉をキーワードにした話を、12人の作家が書いた
本です。最近"ありがとう,'と言っていない人、ちょっと疲れている人に読
んでほしい本です。
○『仏教(上)(下)」渡辺照宏(岩波鴇店)588円
・入胎や誕生について多くの奇瑞が語られている仏陀ですが、この本を
読んで、仏陀も私達と同じく老・病・死の運命を免れえない普遍的な存
在であったと知りました。
○『巨食症の明けない夜明け』松本侑子(築英社)924円
・心が満たされないから食ぺ物で心を満たそうとし、暴食する。そして自
己嫌悪に陥り、また食で心を満たそうとする、という"巨食"の話です。同
じような経験をしたことはありませんか。
○「スターガール』ジェリー.スピネッリ(理論社)1,449円
・不思蟻な転校生スターガールの物語。とても切なくなる話。「自分らし
さ」とは何か考えさせられます。
○『イパラードの旅」井上直久(架空社)1,733円
・スタジオジプリ『耳をすませば』で、ジッキンガンと雫が空を飛んでいるシ
ーンの背擬がこの本からきている。すごくきれいで、神秘的な絵にクギ
づけになる。これを見ていると、本当に心が落ち着く。
-62-
○「国家の品格』藤原正彦(新潮社)714円
.すごく話題になっている本で、内容が深いので、読んでみて損はしない
と思う。
○『女子大生会計士の事件簿くりX,1〉〈DX2〉〈DX3>」
山田真哉(角川書店)500~580円
・会計学の事を、事件で面白おかしぐ理解できます。ちょっとした息抜き
にも最適なので、是非読んでみて下さい。
○『僕にお月様を見せないで(全10巻)」阿智太郎(メディア
ワークス)536~599円
・ギャグが好きな人は、10巻までスラスラ読めるだろう。
○「白夜行」東野圭吾(集英社)1,050円
・テレビドラマにもなりましたが、原作はさらに面白いです。複雑に絡む人
間関係と、裏のつながりが読みどころだと思います。ぜひ読んでみて下
さい。
○『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子(講談社)650円
・これは黒柳徹子さんの小学校時代の本当の話です。いろいろな話が
書かれており、読みやすく、おもしろいです。こんな小学校があったら楽
しそうだなあと思いました。
○『氷点(上)(下)』三浦綾子(角川書店)各483円
.この本は、妻が夫以外の男と浮気をしてしまったり、またその妻と夫の
間の娘が殺されて死んでしまい、その娘のかわりにと養子をもらい育て
るのだが、その獲子は娘を殺した犯人の実の子であったり…という、家
族・夫婦間のドロドロがうまく番かれており、とてもおもしろい本なので、
そういうのが好きな人は、ぜひ読んでみて下さい。
○『いま脳死をどう考えるか」渡辺淳一(綱談社)509円
.少し古い本で、脳死に関する法律がまだ制度化されていない状況での
日本について述べていますが、議輪の内容は今なお新しく、脳死につ
いて考えさせてくれる本です。すぺての人に脳死を雛鏡する義務があ
ることを認織させてくれます。
○「文体練習』レーモンクノー(朝日出版社)3,568円
・バスの中のささいな出来事を、99通りの文体で書き分けるという本。そ
のセンスに感服しきり。
-63-
○『天律今昔招待席」田中良平(株式会社ボイジヤー)3,150
円
・甘栗の天津の、日本とゆかりがある歴史がわかる-冊。ノンフィクション
の-冊。珍しい写真つきの-冊です。
○『鏡の中の迷宮(1)(2)(3)」カイマイヤー(あすなる書
房)各1,785円
・水上都市ヴェネチアをめぐるファンタジーです。人魚・羽の生えた石の
ライオン・水の女王。本当にヴエネチアにいるのではないかと思わせる
作品です。ハラハラ・ドキドキととても楽しませてもらいましたが、私は結
末が納得いきません!
○「きようのできごと』柴崎友香(河出書房新社)473円
・今風の若者グループの、ある日の話です。これといった事件も起こらな
い、平和な一日。そんな"何も起こらない話,,がこんなにおもしろいなん
て、作者の文章のセンスのスゴさに感動しました。関西弁を話す女の子
たちがすごくかわいい。
○「はるがいったら』飛鳥丼千砂(集英社)1,365円
・自分が短所だと思っているところが、他の人から見たらすごく良い所(あ
こがれてる所)だったりする。姉弟と老犬「はる」の周りの人々との、色々
な考えや関わりがあって、何より「はるjの介護を当たり前のようにしてい
るところがすごいと思った。
○『下流社会新たな階層集団の出現』三浦展(光文社)819
円
・冒頭の下流度チェックで"私は違う!?,,と喜んでみたが、本文を銃むと
“アレ?アレ?,'どうやらそうでもなかった…納得してスッキリできる本で
す。
・上流と下流の二極分化が進むといわれる社会についてしることができま
した。
○『「彼の気持ち」がわかる本一ほんとの恋をつかむために知っておき
たいこと』野浪まこと(大和書房)1,365円
・恋にゆきづまって悩んでいた時に、読んだらぐんぐん元気になりまし
た。
○『租税法演習ノートー租税法を楽しむ21問』佐藤英明(弘
文堂)2,940円
-64-
・租税法の基本を学んだ人におすすめです。事例形式の問題がおもし
ろく、題名通り楽しんで租税法を考えることができます。新司法試験対
策にも使えます。
○「東京タワー』江國香織(マガジンハウス)1,470円
・最近TVでやったので、興味がわいたので読んでみました。TV(映画)
では不自然なストーリーになってしまっていたので、原作を読んだほう
がおもしろかったです。
○『博士の愛した数式」小川洋子(新潮社)460円
・博士が記憶をなくしてしまい、そこからまた新たに初対面という形で話
がくりひろげられていく、悲しく暖かい物語です。
○『ペルセポリス(1)(Ⅱ)』マルジャンサトラビ(バジリコ)
各1,470円
・漫画です。イラン革変期を幼い頃に経験した著者マルジャン.サトラピ
がその体験を描いているのですが、悲惨さの中にも味わい深いペーソ
スが込められていて、消えることのない余韻が続きます。
○「延長戦に入りました」奥田英朗(幻冬舎)520円
・バックナンバーを含め、「ほんのこくや」は十数冊雛んでいるが、やはり
「活字だけというのが苦手」という学生が多い。そういう方にお蘭めする。
本欝は近年大変注目されて有名な直木賞作家奥田英朗が、以前雑
誌『モノ・マガジン』に連載していた「スポーツ万華鏡」というエッセイをま
とめたもの。あくまでおもしろエッセイなので、活字大好きの元文学少年
少女からは「なんじやこりや」とお叱りを受けるかも…。ただ、活字アレル
ギーの方には多分楽しんで頂ける。とにかく笑えますよ!笑いたい人は
どうぞ!
○『東京タワーーオカンと僕と、時々、オトン~」リリーフラン
キー(扶桑社)1,575円
・家族に会いたくなる一冊です。
○『探偵物語」赤川次郎(角川書店)483円
・赤川次郎の作品が好きで、特に主人公の女の子がお転婆というか、活
動的なのがいいですね。登場人物の辻山と直美の漫才のような会話で、
1人ニヤけてしまいますね。私が変わっているからかもしれませんが...。
○「半島を出よ(上)(下)』村上髄(幻冬舎)1,890~1,995
円
-65-
。恐かったです。近未来の日本が、本の中みたいにすさんだ世界になっ
ていたら嫌だと思いました。人と人との戦い、自分との関係は面白かっ
たです。
○『死ぬかと思った」林雄司(アスペクト)1,050円
.とにかく面白い実体験がたくさん載っている本です。恥ずかしい思いを
して、死ぬかと思った体験など、とにかく本当におもしろい本なのでぜ
ひ読んで下さい。そしておもいっきり笑ってください。
orこころ』夏目漱石(新潮社)380円
・有名な本ですが、教科書で-部(Kと私の辺り几か読んだことがなかっ
たので、最近通して読みました。題の通り、やはり人の心の中が多く描
かれており、その描写も隠されたものもあったりして…考えさせられる本
でした。
○『自殺とは何か」シュナイドマン(誠信書房)2,783円
・自殺の研究者として、予防の観点からその中心的な像をとらえようとす
る試み。事象を単純化せず複雑なまま扱おうという慎重なスタンスは、
勉強になる。
○『ハートで感じる英文法』大西泰斗・ポールマクベイ(日
本放送出版協会)998円
、この本は、英語を勉強するというより、英語をより楽しむための本です。
○『いい会話はいい女をつくる-あなたをもっと魅力的にする「会話
力」64の秘密」中IlIlilJf子(三笠書房)1,260円
.さまざまなシチュエーションを通して、幸運を呼び寄せる「会話力」を実
際にどう身につけていくかについて、考えてみるようにしてくれる本で
す。
○「赤い長靴」江國香織(文墓春秋)1,470円
.「笑うことは泣くことに似ている」という言葉が印象的。そんな悲しいよう
な、幸せなような、危うい生活を送る夫婦の話です。表現しにくいような
矛盾した、畷昧な心理表現が淡々と描かれていて、なんとなく理解でき
る所もあり、なんで?って思ってしまう所もあり。もう少し年を重ねたら、も
っと違った読み方ができるのかもしれません。数年後に読み直してみた
いと思える作品です。
○『マクベス』シェイクスピア(新潮社)380円
-66-
・シェイクスピアの4大悲劇のひとつと言われている作品。戯曲を読むの
は初めてだったが、舞台を想像しながら読むことができて面白かった。
登場人物が個性豊かでマクベスの心情変化がすごい。最後の解説も
時代背景と合わせて書いてあるので、興味深く銃めた。
○「100回泣くこと』中村航(小学館)1,365円
・感動しました。主人公と彼女の関係がステキです。泣けます。
○『単位171の新知識読んでわかる単位のしくみ』星田直彦
(鱒談社)987円
・授業に出てくるほとんどの単位がこれに書いてある。途中聞いたことの
ない単位なども入っていて、楽しみながら読むことができる。
○『赤ひげ診療認」山本周五郎(新潮社)580円
・江戸時代に活躍した医者の有名な物語です。しかし、昨今のように手
術や医療が中心の話ではなく、貧富の差が激しい社会への批判が、痛
烈に書かれています。
○『五体不満足』乙武洋匡(識談社)1,680円
・出版されてからだいぶたっているが、最近になって初めて読んだ。障害
者であることをほとんど意識せずに育ったということに驚き、またあらゆる
陣害をひよいひょいと乗り越えて、とても充実した生活を送ってこられた
乙武さんの人生をうらやましく思った。後半に大学生活がつづられてい
たが、自分の大学生活もこういうものにしたいと思った。
○『リレキショ」中村航(河出書房新社)515円
.あまり長くないのでさらっと読めます。読み終わったときに、ささやかなこ
とが大切に思えて、ちょっと元気になれました。
○『冷鯵と情熱のあいだ(Rosso)(Blu)」江國香織・辻
仁成(角川書店)各480円
・想いつづける二人の絆の深さは、計り知れない。愛し合うってこういうこ
となんだということがわかります。江國香織と辻仁成の共作で、女の視
点、男の視点の両方を味わうことができます。これは映画化されていま
すが、映画とは少し内容が違っていて、本のほうが絶対に内容が濃くて
面白いから、読んでみる価値はあると思います。
※上記瞥籍の定価等は予告なく変更される場合があります。
※価格は税込みです。定価等の指示がないものは文庫版・新書版のものを優
-67-
先しました。
アンケートと回答者の内訳:計52名(45)
※カッコ内は、すべて前号(29号)についてのアンケート調査です。
学部別:人3人(3)、法5人(5)、経5人(3)、教6人(7)、理3人(3)、
工6人(4)、農6人(5)、医5人(9)、歯0人(O)、教育院1人(1)、
自然研2人(2)、現社研4人(1)、実法研4人(1)、職員1人(1)、
卒業生1人(0)
学年別:1年10人(6)、2年10人(17)、3年14人(5)、4年5人(10)、
研究生0人(0)、院11人(5)、職員1人(1)、卒1人(1)
男女別:男19人(8)、女33人(37)
回答者総数は、ついに目標の50名に到達しました(52名です)。それこそ祝
賀会を開かなくてはなりません。ただ、編集部(私?)の妄想がなした業かと思
いますが、「回答者総数は、アンケート集計始まって以来の60人台に達しまし
た。当面の目標50を軽く超えてしまいました。縞築部一同、喜色満面です。」と
いう原稿が既になぜか作ってあって、狐につままれたような気がしています。ど
うも早くもボケが始まったようで、かなり心配です。
学部別では現社研と実法研、学年別では1年生・3年生・院生、男女別では
男性陣の活躍が目立ちました。次号では、2年生・4年生の偶数学年の奮起を
期待します。
なお、図譜券は52名の回答者全員に差し上げました。
-68-
「ほんのこくや」原稿・イラスト墓集
来春発行予定の「ほんのこくや」第32号の原稿を募集します。新潟大学の
教職員、学生・院生はもとより、卒業生の皆さんなどからも広く募集します。
この「ほんのこくや」は、新潟大学の学生の皆さんに讃極的に読替に親しみ、
その大切さ・楽しさに触れて、活字文化のすばらしさを味わってもらうことを趣
旨として、1991年より継続して発行しているものです。
この「発行趣旨」をご理解の上、あなたが感動した本、考えさせられた本、ワ
クワクした本、役に立った本など、ジャンルを問わずふるってご応募下さい。
また、イラストも募集します。活字ばかり(?)の「ほんのこくや」に、あなたの
イラストでオアシスを作ってください。
■募集要項■
【記入事項】
・本のタイトル、著者、出版社、定価
。ご所属(研究科・学部・学科・蝶程・学年など)
・お名前、住所、電話番号(匿名・ペンネームは不可)
・原稿の体裁は問いません。一冊あたり500字程度でまとめてください。
ただし、これは目安ですので、これより短くても長くてもかまいません。
なお、掲戟時に編集部で多少手直しする場合があります。
【原稿締切】
・2006年2月2日(金IlIH日)
【原稿受付窓口】
・生協書霜部カウンターまたは生協書霜部「虹のこえ」ボックス
.Eメールでの投稿も受け付けています。
アドレスは、honkobe@nucipです。
【採用の選考】
・2月下旬、生協教職員委員会「ほんのこくや」編集委員会にて選考しま
す。
・採用者には図書券をお送りします.
・応募いただいた原稿・イラストはお返ししません。
間去のlほん‘
◎
-69-
新潟大学生協・薔篇部からおしらせ
鶴…轡,DJ;;鮭鰯! 亮霊雲マテノー
◆読書マラソンとは?
本を継続的に競んで、4年間で
100冊以上を目指そうという企
画のこと。
◆何のために読書するの?
・醗轡は自分を広げる。自己形成にとって強力な道だから。
・読書は自分を広げ、コミュニケーション力がアップするから。
・醗害は楽しい。あらゆる時代、世界の人と対鯖できる。
『馴一熟
鞠》
可‐iIIIil・っ
に腱一輔
11
義加して肝ようと恩っに
壷ぢだは、窪可は生鰹呑
箱部にあるエント01-カ
ードで臆密マラソンにエ
ントリーしてね’
雄でも義加できぎす。
詳しくは生協書籍部まで!
※醜む本は、教科書や雑誌、コミックは除きます。
※POPカードは店内掲示・ホームページ及び広告物に褐戦させていただく場合が
あります。ご了承下さい。なお、掲載はペンネームのみでいたします。
過去の魏替マラソンは生協轡籍部のホームページで醜めます。
httWI/www、nucjn/Byoseki/
-70-
MEMO
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編集後記
○秋の読書週間が過ぎてしまいましたが、ほんのこくや31号ができました
ので、お届けします。
○利益優先の競争原理がはびこる中、評価を期待しないボランティア精神
でつくられている「ほんのこくや」は、正に前世紀の遺物。ゆっくり読ん
で、スローライフしましょう。
○「自著を語る」は医学部の宮坂先生にお願いしました。ハンセン病という
重いテーマです。目をそむけたくなるような、近代日本史の負の遺産で
すが、宮坂先生の真剣に取組む姿勢が伝わってきます。お願いした甲
斐がありました。
(あ)
ほんのこくや第31号
発行日:2006年11月30日
縄築者:新潟大学生活協同組合
教職員委員会
発行者:新潟大学生活協同組合
〒950-218l新潟市五十嵐2の町8050
電話OZ5-Z62-6093
印刷:株式会社北都