状態変化マップ作成に基づいた歴史的事象の因果関係図作成支援 名手

状態変化マップ作成に基づいた歴史的事象の因果関係図作成支援
名手郁人,徳竹圭太郎,小尻智子
電子情報通信学会技術研究報告,Vol. 115, No. 127, pp.43-48 (2015)
歴史学習において,事象間の因果関係を理解して歴史の流れを把握することは,歴史を左右
する重要な要因を理解するために有用である.事象間の因果関係に関する理解を表出する
方法として,ノードとリンクを用いた因果関係図が提案されている.因果関係図の作成過程
において,時間的順序関係と因果関係を混同してしまい,因果関係の存在しない事象間にリ
ンクを付与してしまう学習者が存在する.本研究では,歴史から妥当な因果関係図を作成さ
せる学習方法の提案とその支援システムの構築を目的とする.因果関係がある事象間では,
ある事象で変化した要素が後の事象が起こるきっかけとなっている.そのため,妥当な因果
関係図を描くためには状態変化と事象の関係を理解することが必要となる.そこで,因果関
係図の作成前に,歴史的事象によって変化する人や物の状態変化を整理する段階を導入し,
状態変化マップとして表出する学習方法を提案する.また,状態変化マップと因果関係図を
段階的に作成できるシステムを構築し,作成された状態変化マップから取得される状態変
化を因果関係図に反映することで,妥当な因果関係図の作成を支援する.