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平成 16年度前期期末試験問題:「水理学原理」解答例 Ans. Ans.

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平成 16年度前期期末試験問題:「水理学原理」解答例
[1] 下図のように,2つの水槽 A,B がパイプでつながれている状況を考える.
水槽A
水槽B
バルブ
水粒子R
1)バルブを閉じて静水状態にあるとき,水粒子 R が重力に対抗して静止できるのはどのような
力が作用しているからか?具体的に図示することにより説明せよ.
Ans.
水槽A
水槽B
“静水圧分布”
バルブ
水粒子R
静止状態の水中では上記のように静水圧分布が作用しており,粒子 R の上面から下方に作用す
る圧力よりも粒子の下面から上方に作用する圧力が上回る形になっている.その合力が粒子 R に
作用する上向きの浮力に他ならず,それが粒子の重量と釣り合う形になっている.
<解答上のポイント>
たんに「水粒子の重量と同じ大きさで上向きの浮力が働いているから」
では,答えとしては十分ではない.浮力の中身を圧力分布との関係から説明する必要がある.
2)バルブを開くと水槽 A から B に向かって水が流れる.そのとき水粒子 R にはどのような力が
作用することによって右方向に流れるのか?
Ans.
水槽A
水槽B
バルブ
水粒子R
管路両端での圧力の差
“水平圧力勾配”
上図のように,バルブを閉じた静水状態では,バルブの左側領域では水槽 A の静水圧分布が,
またバルブの右側領域では水槽 B の静水圧分布が作用しており,それぞれ鉛直位置が同じであれ
ば圧力は同じである.したがって,水平圧力勾配はゼロで,パイプ内の水粒子には水平方向の力
は働かない.しかし,バルブを開くと,パイプ内での水平圧力勾配はゼロでなくなり,水槽 A か
ら B の側に向かって圧力が小さくなる.したがって,パイプ内の水粒子には右向きに力が働くこ
とになり,右方向への流れが生じる.
3)同様に水が流れているとき,渦度はどの場所で生成されどのように空間的に広がっていくか?
Ans.
水槽A
水槽B
渦度は境界でのみ発生するが,発生する渦度の量は境界近傍の流速の大きさによる.水槽
内においても厳密に言うと水槽壁近傍の流速がゼロではないのでごくわずかでも渦度は発生
し得るが,十部大きな流速が生じているパイプ内の壁面と,パイプ出入り口近くの水槽壁面
で有意な大きさの渦度が発生し,それが流体内部に移流・拡散していく.具体的には,上図
のようにパイプ入り口近くの壁面から渦度が生成され,それが右向きの流れによってパイプ
内で移流されると同時にパイプを次第に満たすようにパイプ内に拡散していく(→渦度から
見た境界層の発達)
.そしてある程度流下した後に,渦度が(したがって境界層が)パイプを
満たすようになる.
[2]下図のような,スルースゲートを通過する水平床上の開水路流れを考える.
A
u0
∆h
U1
h1
h2
U2
1)スルースゲートの上流側背面の水表面A点では水位がΔh だけ上昇する.その理由を述べる
とともに,Δh を具体的に求めよ.なお,上流側水表面での接近流速を u0 とする.
Ans.
A点はよどみ点で流速はゼロである.エネルギー保存の観点から水表面上(これは一つの流線)
の水粒子の水頭の変化を考えてみると,水面上の水粒子の速度水頭はA点においてゼロになり,
それがΔh の位置水頭の上昇になってあらわれることになる.これを,上流側の水面上の点をB
点として,A点とB点との間で Bernoulli の定理を適用して,具体的に書き表してみる.
v 2A
p
v2
p
+ z A + A = B + zB + B
2g
ρ g 2g
ρg
ここで,
v 2A
= 0,
2g
v 2B
v2
= 0 ,
2g
2g
pA
pB
=
= 0 (大 気 圧
ρg
ρg
)
よって,
v 02
2g
∆ h = zA − zB =
2)水路床にほぼ平行に流れている区間にマノメータを挿入した場合,そのときの読み(ピエゾ
計水頭)はどのようになるか.概念的に図示するとともに,そのようになる理由を述べよ.
Ans.
h1
z
u2
2g
h2
z
p
ρg
u2
2g
p
ρg
水路床にほぼ平行に流れている区間での各水頭の鉛直分布は,上流側,下流側でそれぞれ上図
のようになる.すなわち,位置水頭と圧力水頭を足したもの,すなわちピエゾ計水頭は各断面で
一定で,その値はその場の水深に等しくなる.したがって,それらの区間にマノメータを挿入し
た場合,どの深さに挿入したとしてもその読みは水面位置に等しくなる.
3)断面平均 Bernoulli の定理(ただしエネルギー補正係数αは 1.0 とする)を用いて,上流側
および下流側水深 h1 と h2 から,下流側断面平均流速 U 2 を求めよ.
Ans.
断面平均 Bernoulli の定理
α
U2
+ h = const.
2g
を,エネルギー補正係数αを 1.0 として,上流側断面(添字1)と下流側断面(添字2)に適用
すると,
U 12
U2
+ h1 = 2 + h2
2g
2g
一方,連続の関係により,U1h1 = U 2 h2 = q ( 単位幅流量 ) =const.
よって,
U1 =
これらより,次式を得る.
U2 =
h2
U2
h1
2g
h1 + h2
h1
4)断面平均運動量保存則(ただし運動量補正係数βは 1.0 とする)を用いて,単位幅流量 q お
よび上流側水深 h1,下流側水深 h2 から,ゲートに作用する力の合力 F を求めよ.その際,検
査面をどのようにとったかを明示せよ.
Ans.
P
U1
F
h1
h2
U2
上図中の(オレンジ色の)点線のように検査面を設定し,開水路での断面平均運動量保存則
 ρ gh12 ρ gh22

ρβ q (U 2 − U1 ) = 
−
+ ( Sp )x − ( Sτ )x − ( ρ gV )x 
2
 2

において,運動量補正係数β=1.0,そして水路床の摩擦力を無視することにより,次式を得る.
1 1
ρq 2  −  =
 h2 h1 
 ρ gh12 ρ gh22

−
− F

2
 2

[3]物体に作用する抗力について下記の設問に答えよ.
1)抗力は摩擦抵抗と形状抵抗よりなるが,それぞれについて説明せよ.
Ans.抗力とは,流体中におかれた物体が,流れから受ける力の流下方向成分のことであるが,
これは,物体表面で作用する圧力 p とせん断摩擦力τを物体表面全体で積分して得られる力の流
下方向成分である.このうち,圧力 p に基づくもの,すなわち
Ñ∫S ( pds)x
を形状抵抗(圧力抵抗)といい,せん断摩擦力τに基づくもの,すなわち
Ñ∫S (τ ds)x
を摩擦抵抗という.
2)形状抵抗を小さくするには,一般にどのようにすればよいか.概念図を用いて理由を明示し,
説明せよ.ただし,流体の密度や物体の流れ方向への投影面積,流速は一定とする.
Ans.
剥離
後流
(wake)
剥離
形状抵抗が大きい状況というのは,上図に模式的に示すように,流れの剥離によって物体後部
に広い後流域が発生している場合である.このようなケースでは物体の上流側に働く圧力に比べ
て後流側の圧力がかなり小さくなり,その合力である形状抵抗がかなり大きくなってしまう.し
たがって,形状抵抗を小さくするには剥離点をなるべく後ろにずらし,後流の範囲を狭くするの
がよい.その方法としては,物体の形状そのものを変えてなるべく流線形に近い形にするか(下
図参照),形状が変えられない場合には物体表面に凹凸をつけて層流境界層を早めに乱流境界層に
移行させるという方法が考えられる.
円柱の後部の形状変更による流線形化
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