夏の終わりは、 ラブストーリーの 始まりです。 [ オリオン座 ] 3つ並んだ星と、それを取り囲む4つの星。雄大な星のひろがり に、古代の人は、勇者の姿を見いだしました。 オリオンは、海の神ポセイドンの息子。美しく勇敢な狩人として 名を馳せ、水の上ですら陸の上かのように歩くことができたとい います。そんな彼と恋に落ちたのが、月の女神アルテミス。ところ が、アルテミスの兄であるアポロンは、2人の関係が面白くありま せん。アポロンはアルテミスをそそのかして、オリオンを殺害させ てしまうのでした。悲しんだアルテミスは、せめて自分が通る道 の側にオリオンを置いてほしいとゼウス懇願します。願いは、果 たして叶えられました。 今日、オリオン座は月の通る「 白道 」のそばに現れます。冬の 夜空にひときわ輝くのは、愛する月の女神がすぐ側にいるからで しょう。月と星の恋は、いつまでも続いていくのです。 ベテルギウス 三ツ星 リゲル オリオン座は冬の星座の代表です。明るい都会の空でも見つけやすいこの星は、リ ボンの形をしています。真ん中の三ツ星が目印で左下の赤い光を放つ星のはベテ ルギウス、その対格にある白い星をリゲルと呼びます。 1月上旬であれば、2 2 時頃、2月上旬であれば 2 0 時頃、南の空に輝きます。 悪魔のような美しさと 呼ばれた星です。 [ 金星 ] 金星はギリシア語では「ビーナス」と呼ばれます。ある夜、ゼウ スは湖で水浴びをしていたビーナスを一目見た時から恋をしま す。ゼウスはビーナスを自分のものにしようと試みますがうまくい きません。何とか自分のもとにビーナスを連れてくるよう家来の ユニに命じます。しかしビーナスをとらえにいったユニもまたビー ナスに恋をしてしまうのです。 ユニはゼウスに背き、ビーナスを自分の屋敷に招き入れます。そ れを知ったゼウスはビーナス共々2人を殺してしまいました。 怒ったビーナスの父親はビーナスの肖像を旗に掲げ、戦いに出 ます。しかし圧倒的なゼウスの力にビーナスの父の軍隊もまた 絶命してしまうのでした。 今や「 愛と美の女神 」とされているビーナス。しかし時に戦い すら招いてしまうその美しさから「 欲望と戦いの女神 」とされて いた時代がありました。人々はビーナスを悪魔の星と呼び、そ の美しい星に心を奪われないよう、目を背けていたそうです。 金星は、夕方の西の空か、明け方の東の空に見ることができます。夕方に 見える金星を「 宵(よい )の明星 」、明け方に見える金星を「 明けの明 星 」といいます。夕方の西の空や、明け方の東の空で− 4 等星くらいの 明るさでかがやいているのが金星です。
© Copyright 2024 Paperzz