その人らしさを引き出すケア 音楽療法士と柔道整復師によるミュージックリハの役割 特別介護棟 にし あいり 西 愛里 今回の発表の部署 サービスの 概要 共同研究者 松岡 勇次 特別介護棟は中度∼重度の認知症のご利用者が約 50 名ほど入所されています。 ご利用者とそのご家族が安心して穏やかな毎日を過ごせるよう日々、ケアの向上 に努めています。 <はじめに> 寝たきりで言語コミュニケーションが非常に難しい ご利用者に対して心身の活性化を促す為に個別音楽 療法で音楽刺激を提供している。心理面へのアプロ ーチには大変有効であるが、体の機能へのアプロー チには音楽刺激のみでは限界があると感じた。 <取り組んだ課題> ・対象者 Aさん 97歳 女性 介護度5 既往歴 アルツハイマー型認知症 高血圧症 パーキンソン症状あり Aさんの現状は全身の筋緊張が高く、音楽を聞いて も表現することに制限があるのではと考えた。そこ で柔道整復師と協力し、音楽療法と機能訓練を組み 合わせて行う[ミュージックリハ]の体制を作り、筋 緊張を緩めるアプローチを行う。寝たきりになる前 のハミングや手拍子、足踏みをして音楽を楽しんで いた状態に少しでも近づけようとすることはできな いのか?という視点でAさんらしい音楽の楽しみ方 を追求する。 <具体的な取り組み> ・柔道整復師による以下のリハビリ内容(約 10 分) で全身の筋緊張の軽減を図る。 ① ポジショニング ② 上肢ROM ③ 介助呼吸 ・音楽療法士による個別音楽療法は以下の内容 (約 15 分)により情動反応を引き出し、またリズム 活動により手拍子を誘発する。 ① 挨拶の歌 ② 太鼓活動 ③ クールダウン ・平成 26 年 2 月∼9 月の中で≪音楽療法のみ≫と ≪ミュージックリハ≫の中で【発声】【手拍子】 【深呼吸】 【笑顔】の四項目で発生数の平均に違いが 見られるのかをビデオ検証より比較した。 <活動の成果と評価> ・柔道整復師の適切な施術によりAさんの固く腕 組みされていた状態がほどけやすくなった。 ・≪ミュージックリハ≫の発生回数の平均値を ≪音楽療法のみ≫の平均値に対して以下の四項 目で比較した。 【発声】+1.3 回 【手拍子】+0.8 回(両手) (右手のみの平均値)+0.1 回 (左手のみの平均値)+0.8 回 【笑顔】+5.2 回 【深呼吸】−1 回 以上のことから音楽療法のみで行うよりもミュー ジックリハは筋緊張を緩和し、心身の活性化に有 効であると考えられる。 <今後の課題> 1、 介護現場でのミュージックリハの定着化 ①実施する曜日や時間帯を決める。 ②対象者領域の拡大(ターミナルケアへの介入) 2、他職種との情報の共有、連携の強化 <参考資料など>
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