大豆に命を吹き込む職人技

ながり
つ
の
っこ
根
太陽豆腐の製造元
みやぎやさん
訪問レポート
大豆に命を吹き込む職人技
「大豆」の旨みを最大限に引き出すために。
太陽の
人気商品
うすあげの工程を
見学させて頂きました!
膨張剤を使わずに、大豆が本来持って
いる「膨らむ力」を最大限に引き出す。
みやぎやさんの作るうすあげ(油揚げ)の特徴は、膨張剤など余計
な添加物を一切使わず、大豆の力で膨らませるから旨みが違うこと。
旨みがあって少し肉厚のうすあげは太陽食品でも人気の商品です。
「みやぎやの豆腐には、食べて美味しく甘みが強い大豆を使います。
」と
おっしゃるのは副社長の柚木崎さん。
「うちの豆腐で使っているのは煮豆にしても美味しい大豆です。でもタン
パク質が少ないので、豆腐にするとき非常に固まりにくく歩留まりが悪い。
大量生産する一般の豆腐屋は使えません。しかし、うちではあえてその作
りにくい大豆を選んでいます。なぜなら、
『安心』
はもちろん
『おいしい』
豆腐 を皆さんに食べて頂きたいからです。」
副社長の柚木崎直人さんは、自ら豆
腐作りのエキスパートとしてみやぎ
やの豆腐作りを支えてきた方です。
豆腐作りのこだわりを熱心に語る真
剣な眼差しがとても印象的でした。
また、豆乳を固めるニガリは天然の海精ニガリを使用。大豆の旨みを引き
出すと言われ、手に入りにくい貴重なものです。ニガリを上手にうてるよう
になるまで10∼15年はかかるので、熟練の職人さんにしか扱えません。
「出来上がった豆腐を水にさらす工程がうちにはありません。大豆の旨み
が逃げてしまうからです。でも、
膨張剤や消泡剤を使うと、
特有の酸っぱさ、
つまりアク抜きが必要となる。だから一般の豆腐は水にさらすんです。
みやぎやでは出来たてをそのままパックしてから水槽で冷やす、という工
程を採用しているので、旨みが逃げずにおいしい豆腐になります。
」
創業90年。そのこだわりと技術は
次世代へと確実に引き継がれています。
『子供達に伝えよう。忘れかけてたこの味を』これは、みやぎやさん
のお豆腐のパッケージに書かれている言葉です。みやぎやさんでし
か作れない、安心でおいしい豆腐作りへの思いが込められています。
これからもずっと、みやぎやさんの作るお豆腐を食べ続けていきたい
と心から思いました。
油抜き不要のワケは
『浮かし揚げ』にあり
うすあげ用のお豆腐は
一般的に大豆の濃度
が4%位。一方みやぎ
やさんでは8%。だか
ら自然の力だけで膨ら
むことができ、旨みも
あるのですね。
揚げ油はオーストラリア産の非遺伝子組み
換えのなたね油を使用。まずは写真左の10
5∼110度の油でじっくりとと大豆の力を最
大限まで引き出して膨らませ、頃合いを見て
右の160∼170度に熱した油に移して、浮
かし揚げをし、黄金色に揚げます。
揚げたてアツアツのうすあげを
試食させて頂き・・・おいしいっ!!
創業90年を迎えたみやぎやさん。現在働いているのは、平均年齢
35歳だそうです。豆腐作りは夜中の12時から始まるため、昼夜逆転
の生活ですが、みやぎやさんの豆腐作りにやりがいと魅力を感じた
若い世代の方々が育っているのは頼もしく嬉しいことです。
おいなり用は、空気を吹き込んで
袋状にしますが、これまた難しい。
奴一つに手を抜かない。
私たちが見学に訪れたのは朝の8時半過ぎ。豆腐
製造はほぼ終了しており、後片付けと次の日の準
備をしていました。写真左から社長の川邊きく枝さ
ん、副社長の柚木崎直人さん、川邊賢一さん。忙し
い中、時間をさいてじっくりとおはなしを聞かせて
下さいました。ありがとうございました。
うすあげの製造を実演してくれた
のは熟練職人の名嘉(なか)さん。
京都の料亭にもこだわりの豆腐を届けているみやぎやさん。京都と
いえば湯豆腐など豆腐がおいしいことで有名ですが、取引先から
「正直なところ、みやぎやさんのお豆腐の方が味はおいしいんです
よ」と言われることもしばしば。
また、冷や奴は豆腐を切って薬味をのせるだけのシンプルなもの
なので、
「おいしい奴を出す店は料理が美味しい」
「奴一つで店主の
こだわりがわかる」と通のあいだでは言われているそうです。
一般的には機械揚げが多いですが、み
やぎやさんは職人さんによる浮かし揚
げ。デリケートなので、箸で裏返す作業
は素人がやると全部やぶけてしまう。
「大
豆自体が生きてるので、1個1個生きて
る力が違うんです。
」簡単そうに見えて
も、うまくできるようになるまで1年はか
かるとか。1枚1枚を手作業で浮かし揚
げすることで余分な油を吸わずに済み、
油抜き不要のうすあげになります。