平成28年03月号

2016年3月
高津区役所衛生課
感染症対策担当発行
電話861-3321
やわらかな春の日差しの中で、
子どもたちは元気よくお散歩や外
遊びを楽しんでいることと思いま
す。今号は、注目の感染症や妊娠
中に気をつけたい感染症、ハチの
巣についてご案内します。
ニュース等で話題の「ジカウイルス感染症」に
ついて、Q&Aにまとめました。
※情報は2016年2月時点のものです。最新情報は厚生労働省
のホームページ等で確認してください。
Q.
ジカウイルス感染症とは、どのような
病気ですか?
流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスによる感
染症で、一般には「おたふくかぜ」として知られ
ています。この数年目立った流行はありませんで
したが、昨年から患者報告数が増えています。
川崎市の「流行性耳下腺炎」発生状況
(2016年2月時点)
A.ジカウイルスが感染することにより起こる
感染症で、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、
関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
ジカウイルスは妊娠中に母体から胎児へ感染す
ることがあり、小頭症などの先天性障がいを起こ
す可能性があるとされています。
Q.
どのようにして感染するのですか?
流行地はどこですか?
A.ジカウイルスを持った蚊に吸血
されることで感染します。他に稀な
ケースとして、献血や性行為による
感染が指摘されています。
アフリカ、中央・南ア
メリカ、アジア太平洋地
域で発生があります。特
に、近年は中南米及びそ
の周辺地域で流行してい
ます。
感染経路:患者の咳やくしゃみをあびたり、手
やおもちゃなどについたウイルスが鼻や口から
感染します。
潜伏期間:2~3週間(平均18日前後)
好発年齢:3~6歳の小児に多くみられますが、
他の年齢でも感染することがあります。
症状:両側、あるいは片側の耳の
下のはれと痛み、発熱等が起こり
ます。通常1 ~2週間で軽快しま
す。感染しても症状の出ない人
(不顕性感染)も3割程度いると
されています。
基本的には軽症のまま治りますが、合併症と
して、髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴などを発
症することもあり、妊婦が感染すると自然流産
することもあります。
予防方法:有効な予防方法は予防接種で、現在、
任意予防接種として1歳以上で接種することがで
きます。保育園等の集団生活に入る前に早めに
受けるとよいでしょう。
登園(校)停止期間:川崎市医師会の基準では
「耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹の発現後5日
を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」
となっています。
(↑紫色の部分:2016年2月現在確認されている流行地)
Q.
日本での発生はありますか?
A.日本国内で感染した症例はありません。海外
の流行地で感染し、国内で発症した症例が、
2013年以降、4例見つかっています。
Q.
日本で感染することはありますか?
A.ジカウイルス感染症の媒介蚊であるヒトスジ
シマカは日本のほとんどの地域に生息しています。
このことから、流行地でウイルスに感染した発症
期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が
国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者 を吸
血した場合に感染する可能性は、低いながらもあ
り得ます。ただし、ヒトスジシマカは冬を越えて
生息できないことから、限定された場所での一過
性の流行になると考えられます。
Q.
どのように予防すればよいですか?
A.海外の流行地にでかける際は、蚊に刺されな
いように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用
が推奨されます。また蚊の忌避剤なども利用され
ています。妊婦及び妊娠の可能性がある方の流行
地への渡航はできるだけ控えた方がよいでしょう。
妊娠中にウイルスや細菌、寄生虫
などに母体が感染すると、胎盤や血
液を通じて赤ちゃんに感染してしま
い、流産したり、赤ちゃんが何らか
の障がいを持って生まれてくること
があります。
正しい知識を持つことで予防することができま
す。今回は、特に子どもから感染する機会が多い
感染症をまとめました。
風しん
妊娠中に初めて風しんウイルスに感染した場
合、まれに赤ちゃんが難聴・白内障や緑内障・
心臓疾患を起こすことがあります。
血液検査で過去の感染の有無が分かります。
妊娠前に検査を受け、抗体価が十分でない人は
ワクチン接種を受けましょう。(妊娠中は接種で
きません)
みずぼうそう(水痘)
妊娠中に初めて水痘ウイルスに感染した場合、
流産や、まれに赤ちゃんの皮フや脳等に障がい
が生じることがあります。
ほとんどの人が子どもの頃に感染していて抗
体を持っているとされています。上のお子さん
には適切な時期に水痘ワクチンを接種しましょ
う(2014年10月から定期接種となりました)。
りんご病(伝染性紅班)
妊娠初期に初めてヒトパルボウイルスB19
に感染した場合、まれに胎児水腫や流産等の影
響が出ることがあります。
伝染性紅斑は子どもに多い病気ですが、成人
も感染します。頬に赤い発しんが出るのが有名
ですが、それよりも前に発熱等の風邪様症状が
出ます。妊婦さんは流行時期に風邪様症状の人
に近づくことを避け、万一家族等に伝染性紅斑
の患者が発生した場合は医師に相談しましょう。
サイトメガロウイルス
妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染
した場合、まれに流産・死産、赤ちゃんの脳や
聴力などに障がいが生じることがあります。
サイトメガロウイルスはごくありふれたウイ
ルスで、唾液や尿等を介して感染します。健康
な人は感染していても症状はありません。
血液検査で抗体価を調べることができますが、
通常の妊婦健診には含まれていません。自分に
抗体があるのか、妊娠中に感染していないか知
りたい方は医師に相談するとよいでしょう。
ハチは、自然界では花の受粉をしたり、毛虫等
を食べる益虫です。ハチは、むやみに人を刺すの
ではなく、巣を守ろうとして刺します。人が近づ
かない場所にできた巣は、静かにそっとしておく
のも一つの手です。
ただし、ハチに刺されると重篤なアレルギー反
応を起こすこともあります。正しい知識を持って
ハチと上手に付き合う方法をご案内します。
ハチの種類の見分け方(巣で判断します)
市内で見かけるハチのほとんどは「アシナガ
バチ」か「スズメバチ」です。ハチ自体はよく
似ていますが巣で見分けることができます。
[アシナガバチ]
おわんを伏せたような
形で、六角形の部屋の
一つ一つが見える。
[スズメバチ]
マーブル模様。逆さの一輪挿しのよ
うな形(左)や、ボール型(右)。出入
口は一つで、六角形の部屋は外から
見えない。
刺されないためには
①巣に刺激を与えない!
揺すったり、石をぶつけるのは絶対にダメです。
②黒っぽい服は避ける!
黒くて動くものに反応するので、野外に出ると
きはできるだけ白い服を着用し帽子をかぶりま
しょう。
③ハチを振り払わない!
飛んできたハチを手で振り払うと攻撃されたと
判断し反撃してきます。
④姿勢を低くし後ずさり!
ハチに襲われたときは姿勢を低くすると人を見
失い、飛び去ることが多いです。かがんで静か
に後ずさりしましょう。
◆遠足の対策◆
子どもたちに上記のことをご指導ください。
引率の先生はスプレー式殺虫剤やハチ専用毒抜
器を携帯するとよいでしょう。
刺されてしまったら
①まず指で毒をつまみ出す
②流水や氷で患部を冷やす
③一刻も早く医療機関へ!
ハチ専用毒抜器
巣を駆除する場合は
スズメバチは攻撃性が高いため、業者に駆除
を依頼すると良いでしょう。アシナガバチなど
の攻撃性が弱いハチや、スズメバチでもできた
ばかりの小さな巣などは、市販の薬剤を使い個
人で駆除することもできます。
高津区役所衛生課では業者の紹介、駆除方法
の説明、防護服の貸出しを実施しています。