page2016 調査報告書 セミナー G6 「デジタル印刷の先端事例」 - Ga-City

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セミナー G6
「デジタル印刷の先端事例」
ジーエーシティ調査隊 代表取締役 堀本邦芳
大洞印刷の大洞専務は、南山大学 経営学部 情報
管理学科でプログラミング,Web 技術を学び、安田火
災海上保険で営業勤務した後、大洞印刷に転職後、
営業、工務、生産管理を経験。現職で営業、IT 技術、
生産管理、ファイナンスを統括している。2002 年に
【初めに】 JAGAT の案内には:
ビジネスフォーム印刷会社からの業態変革のため UV
「くじやクーポンによるイベント参加者ログの収集、
印刷によるセールスプロモーション事業、 通販事業
優良顧客への DM 送付、サンプルパッケージによるテ
を立上げ。2011 年デジタル印刷事業、パッケージ印
ストマーケティングなど、デジタル印刷によって顧
刷事業プロジェクト推進中だという。
客企業のマーケティング戦略との連携を実現した例
を取り上げる。」とある。
このカンファレンスセッションのモデレータは私
大洞印刷はデジタル印刷によるクリアファイルを
強みとしているが、パッケージへの進出を目的に B2
液体トナー機「Indigo 30000」を導入した。販促効
が勤めさせていただきました。
果の高いオリジナル商材向けパッケージをネット通
スピーカーは小松総合印刷の小松肇彦代表取締役社
販で展開する予定である。
長、大洞印刷の大洞広和専務取締役、東洋紙業:梅
東洋紙業:梅原大志氏は東洋紙業(タイヘイグル
原大志氏、朝日印刷工業 制作部:富沢充芳部長の4
ープ) 東日本商印事業部 PS 部プランニング課 チー
名である。
フプランナーである。1992 年 4 月大阪本社入社。企
最初に、パネラーの皆さんの略歴と会社の特徴(特
画制作部門でデザイナーとして大手百貨店を担当。
にデジタル印刷を使ったビジネスモデルを中心に説
DTP 自動組版システムを立ち上げ。1995 年より販促
明した。これを見てもらうと、4社のそれぞれの取
企画ディレクター、大手通信会社担当。モバイルコ
り組み方が、判り易いと思う。
ンテンツ情報誌の企画編集や集客イベント業務。
2008 年東京本社マーケティング企画部門に移動、One
小松社長は 2000 年 Jagra 主催アメリカ印刷会社弾丸
to One 可変印刷を核としたプロモーション企画担当。
見学ツアーで衝撃を受け 2002 年 UV6 色印刷機導入。
富士通やコダックなど各メーカーが開発した新技術
HP や展示会出展による受注に営業を変更した。その
を活用したプロモーションの市場展開企画に携わる。
後 UV ニス圧着ハガキ、特殊印刷受注開始。ISO9000・
東洋紙業(タイヘイグループ)は、オフ輪のイン
プライバシーマーク取得している。レスポンスを測
ラインに高速インクジェットヘッドを搭載し、チラ
れる圧着 DM を提案サンプルに「売れる仕組みのお手
シにバリアブル印字を施すことで「大ロット・バリ
伝い」キャッチで営業展開を進める。DM の One2one
アブル」を実現している。特に「くじ付きチラシ」
の必要性からデジタル印刷機とのハイブリット印刷
は、集客効果のみならず、来店者のマーケティング
を開始した。PW/ID やシリアル No 印字やカラーバリ
データが収集でき、効果測定ができるチラシとして
アブル印刷を展開し、2015 年マーケティングオート
注目されている。
メーション「DMA」サービス開始した。
小松総合印刷は早くからデジタル印刷に取り組み、
朝日印刷工業 制作部:富沢充芳部長は 1996 年、
朝日印刷工業入社。DTP による画像処理とドラムスキ
今や製作物の 3 分の 1 がバリアブル印刷物だという。
ャナによる色分解の業務に従事。その後、CTP 立ち上
マーケティングオートメーションと連動させた DM サ
げと CMS 構築に携わる。2003 年から管理部門におい
ービス「DMA」を展開しているのが一番の特徴である。
て生産現場の工程管理と品質管理を担当。プリプレ
スから POD に至るまでの技術評価や機器選定にあた
る。
ジーエーシティ株式会社
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会社主催のデジタル写真講座では、地域の一般市民
や学生を相手に講師を務めている。現在、企画デザ
パネラーの4社の戦略はどうなのか、各社のプレ
ゼンの後で再度考察したい。
イン・DTP 組版から撮影画像処理までのプリプレスと
プリントショップを管掌しながら、新たな市場獲得
(1)まず小松総合印刷のプレゼンから見てみよう。
の戦略的立案にも取り組む。
朝日印刷工業は地元前橋にプリントショップを開
設、BtoC、Bto スモール B ビジネスに進出している。
さらにメニューの拡充のため B2 インクジェット機
Jet Press 720S を導入した。
各社のビジネスモデルを考える為に、早稲田大学
ビジネススクール山田英夫教授が基調講演 2 で語っ
会社紹介によると主な取り扱い商品は:
た競争しない3つの戦略すなわち市場のリーダーと
圧着DM、圧着くじ、スクラッチくじ、三角くじ、
真っ向勝負しないで消耗戦から脱する3つの戦略を
可変(バリアブル)印刷全般、型抜き製品、
挙げる。
マーケティングオートメーション
 ニッチ戦略
DNP vs プロネクサス
<拠点>本社/工場:長野県伊那市横山10955-1
 不協和戦略 日本生命 vs ライフネット
<事業内容>総合印刷業兼情報発信業
 協調戦略 メガバンク vs
<設立>1948年10月<従業員数>30名 である。
セブン銀行
棲み分けが可能になるためには、リーダー企業が同
デジタル印刷、バリアブルに早くから取り組み、個
質化できない事が必要である。リーダー企業の持つ
人情報保護にも対応している。また後加工機を数多
経営資源から見て、当該企業が開拓した市場が規模
く揃え、他ではできない生産体制を持つ。
的に小さすぎて、そこに参入するとリーダーの高い
<設備一覧>
固定費により赤字になってしまう場合や、その市場
オフセット印刷機
を開拓するための経営資源が非常に特殊で、その市
■B2判UVオフセット印刷機 (R756)
場開拓のための資源を今から保有するのは割に合わ
■菊半裁UVオフセット印刷機 (R686P)
ないような場合に発生する。リーダーの資源と当該
■B2判UVオフセット印刷機+プロスパー印字機搭載
企業が攻める市場とが不適合であった例としては、
■B2判LEDオフセット印刷機 (R754G)
印刷業リーダーの大日本印刷に対してディスクロー
加工機
ジャー書類の印刷から成長してきたプロネクサスが
■断裁機 ×4 ■折り+圧着ライン ×4
あげられる。
■ふち糊加工機 ■フィルム圧着機
日本生命に対して営業職員を持たず保険料の内訳
■シリンダー式打ち抜き機 ×2
を開示したライフネット生命がある。この戦略は、
■ボグラマ打ち抜き機 ■ミシン加工機
リーダー企業内にジレンマを起こす「不協和戦略」
■カッタークリーサー ■無線綴じ製本機
である。
■中綴じ折製本機 (バリアブル対応)
セブン銀行は ATM に特化した銀行であるが、他行
■ラミネーター ■カッティングプロッター
はセブン銀行と提携し、セブンの ATM で自行のキャ
■COUNTRON AT
ッシュカードが使えるようにし、同時にコスト削減
デジタル印刷機
のために自社の ATM 店舗を縮小している。
■Indigo 10000 DigitalPress (HP)
■Bizhub pro 1051 (コニカミノルタ) × 3台
ジーエーシティ株式会社
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■700 Digital Color Press×3台 (富士ゼロックス)
対象者ごとの purl をランディングページ LP として
■プロスパー印字機 (kodak)
用意する。紙の DM と専用 LP を用いた O2O の仕組み
ここでの驚きは、従業員 30 名の企業に、これだけ
多くの印刷機と加工機がある事だ。
も提供する。
もちろんこうしたパーソナルキャンペーンの訴求
そして、年々パーソナライズ化が必要とされてき
効果は大きく3日以内のアクセスが 60%もあるが、
ていると実感している。データベースの情報をどの
驚いた事に最長 83 日までのロングテールのアクセス
ように整理し、どうやって質の高いデータにレベル
があったという。
を上げるかが大事である。
顧客からの評価は、レスポンスが 3%から 8%に増加
仕事面での特徴は、圧着製品で年間5500万枚以上
し、QR コードアクセス率が 7%と高い事、利用者から
もの生産実績がある。UV印刷から圧着DM/圧着くじ/
も「面白い DM」と好評な事に加え、履歴管理ができ
三角くじ/銀スクラッチ/DFスクラッチ/疑似エンボ
販促活動に役立つという。
スなどがある。また可変印字はカラー可変/イメージ
バリアブル/宛名・ナンバー・ID印字に対応する。
マーケティング支援ビジネスではデジタルブック
(2)大洞印刷の説明は、自社の位置づけを
Innovation Print Service Provider としている。
や動画作成に加え、DMによるマーケティングオート
メーションにも進出した。
創業 80 年のビジネスフォーム印刷の歴史があるが、
市場の変化、縮小に対応するために、2004 年から特
殊印刷に進出した。これは UV オフセット印刷と、UV
イメージバリアブルのサンプル
スクリーン印刷を用い、下地処理で化成品など特殊
パーソナル化を進めるほど、デジタル印刷の必要性
素材に対応し、表面の機能性や美粧性を高めるコー
が増すが、DB の情報をいかに整理し、質の高いデー
ティング、ラミネート、箔押し、機能性インキの塗
タにレベルを上げるかが重要だと話した。
布で高付加価値化や、厚盛りニス、ラメ入りニス、
マーケティングオートメーション MA とダイレクト
メール DM を組み合わせ、DMA という DM と e-mail を
香料インキ、点字など特殊な素材に対応し、また打
ち抜き、折り、溶着などの後加工も行う。
組み合わせたマーケティングオートメーションサー
特殊印刷では、セールスプロモーション用の商業
ビスを提供する。その一例が「デジくじ」で顧客情
系印刷で販促品・ノベルティーの印刷、加工を提供
報に紐づいた抽選を行う。ここでは QR コードでいつ
し、特殊印刷、加工による産業系印刷ではプラスチ
誰がくじを引いたかがリアルタイムに確認できる。
ックフィルム印刷加工、コーティングを行っている。
またパーソナル DM の実例では牛角の来店促進用の
最も主力となっているのは、クリアファイルの生
「ご当選 DM」でイメージバリアブルと個別 QR を使い
産である。
ジーエーシティ株式会社
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B1サイズで1mm厚の素材まで試作ダミーの作成、極小
ロット生産を実現した。課題は、印刷スピードが遅
い事、繰り返し印刷精度が悪いためクリアファイル
の小ロット対応、化成品や蒸着紙にUV印刷、ニス加
工の試作、提案用ダミーとして使えるが、極小ロッ
ト過ぎて生産機として向かない事である。
そこで2011年にデジタル印刷機Indigo5500を導入
した。この印刷機でもPPやPETなどの化成品や特殊素
材への高精細印刷、特殊なニスの加工を行う。しか
しまだ課題がでてきた。それは「単純な小ロット印
日産 20 万枚という生産設備を持ち国内シェア No.1
刷をしても儲からない!!」ことである。
を目材している。また自社独自の実用新案での差別
導入後の改善点として、単純な小ロット、オンデ
化や、小ロット、バリアブル対応でもシリアル番号、
マンド印刷からの脱却を目指した。そこでデジタル
画像差し替えも実績がある。
印刷の特徴である小ロット印刷は専用の製造フロー
2005 年からは、印刷通販も始め、販路を拡大した。
を構築し、もうひとつの特徴であるバリアブル印刷
を最大限に活用し、セールスプロモーション分野、
グッズ販売、パッケージングにおいて印刷物に新し
い役割を与えた。同時に小ロットが発注しやすいWeb
システムの開発とビジネスモデルを、利益を生むバ
リアブル印刷を活かした新しいSPの構築に、製造フ
ローの見直しとしてデジタル専用のワークフローを
構築し、営業スタイルを、モノを売るからコトを売
ることへ、御用聞きから提案型へと見直した。また
オフセットも重要な印刷手法であり顧客のニーズに
合わせて使い分けるなど新しいコンシューマー向け
これは商品特化型サイトの多店舗展開で、印刷通販
サービスを目指した。
の市場が成長する中、印刷通販大手との競争が激し
2015年2月にHP社の最新のIndigo7800デジタル印
くなり、大洞印刷は印刷通販大手のような百貨店型
刷機を導入した。これはA3サイズで化成品や蒸着紙
ではなく専門店型の店舗を多店舗展開し、専門分野
への印刷に対応し、オフセット印刷に迫る印刷品質
でのトップを目指している。
で、小ロット生産やバリアブル印刷を実現する。ク
 クリアファイルのボラネット
リアファイルの小ロット対応、化成品や蒸着紙への
 同人誌・同人グッズのドージンファクトリー
印刷を1~300通しまで対応している。
 販促ツールのボラネットSP
さらに2015年7月には、アジアで初となるIndigo
 圧着ハガキのボラネット DM
30000を導入した。HP社の最新のIndigo30000はB2サ
2010にはB1サイズのデジタル印刷UVインクジェッ
イズで初めてパッケージ印刷に対応したデジタル印
トRoland LEC330を導入し、デジタル印刷でも特殊印
刷機であり、オフセット印刷に迫る印刷品質で、小
刷を開始した。PPやPETなどの化成品や特殊素材への
ロット生産やバリアブル印刷を実現する。
高精細印刷、特殊なニスの加工を行う。
ジーエーシティ株式会社
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ら生み出す、多様な商品群をPPやユポをはじめタッ
ク紙やアルミ蒸着紙など、多様な素材への印刷加工
から生み出す多様な商品群である。UVオフセット印
刷で培ったコーティング技術によるプライミング技
術がこれらを可能にしている。クリアファイルの他
にもタックシール、POP、ユポメニュー、レンチキュ
ラー、ラベル、ナンバリング、缶バッジ、圧着ハガ
キなどがある。
また新規市場としてデジタル印刷を用いたパッケ
Indigo30000 Digital Pressのスペック
ージを提供する。
■印刷線数 AM175線、180線
■印刷スピード 3,450シート/時
■特色対応(大ロット)7色機
■最大用紙サイズ 750×530mm
最大印刷サイズ 740×510mm
■最小用紙サイズ 510×210mm
■対応用紙厚 200~600μ
■板紙、蒸着紙、化成品(調整中)
また大量バリアブルを可能とするmosaicシステム
を導入した。
このデジタル印刷によるパッケージの事例は
Indigo30000で生産されたBose® SoundSport in-ear
headphones用の100種の期間限定ギフトスリーブで
ある。デジタル印刷は多数のSKU商品の設計段階にお
けるダミーづくりから製造までを、短期間かつ低コ
ストで生産することができる。実生産と同等の品質
で試作・検討を繰り返し、小ロットの期間限定、店
舗限定のキャンペーンや多SKUによるテストマーケ
ティングを提供する。試作・検討・本生産の時間削
減効果により、商品をより早く市場に投入すること
このmosaic では生成できる画像の種類は無限大
になる。わずか数種類のソースデータを元に何万、
が可能になる。
またデジタル印刷だけでは実現できない「コトを
何十万のデザインデータを生成する技術で、世界
売る」為に様々な技術基盤を構築しそれらを組み合
にたったひとつのデザインを生成し、顧客に新た
わせる事で差別化された付加価値の高いユニークな
な体験を提供する。さらに出力時に多品種をシャ
製品を実現するとまとめた。
ッフルして出力する事で、よりランダムな多様性
を見せる事ができる。
大洞印刷のデジタル印刷の一番の特徴は、デジタ
(3)朝日印刷工業は、群馬県前橋市に本社を持つ
従業員108名の中堅印刷会社である。富沢部長は会社
ル印刷対応グッズとして多様な素材への印刷加工か
ジーエーシティ株式会社
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の紹介とともに2010年以前のジョブの分析結果を示
•2014年6月 自費出版講座
した。
•2014年7月 印刷講座
•2014年11月 SL写真展
•2015年6月 印刷講座
•2015年6月 デジタル写真講座
•2015 年6月 ぐんまの昭和写真展
これらのイベントでは Color1000Press による写真集
の作成をビジネスとしてアピールし、リピート客を
獲得している。
また過疎地域の「卒業アルバムを復活させよう!」
プロジェクトを立ち上げたが、これは県内の過疎地
域の学校では、3割が作製しておらず、2割は手作
ジョブは最高が1000万円で多くは100万円以下の仕
りだったことからである。
事が多いロングテールであるが、10-20万円の仕事に
ピークを持つ。
そこで朝日印刷工業は、新たな取り組みとしてオ
ンデマンドプリントショップDiPS.Aとクチコミ情報
サイトの「ぐんラボ!」を2011年に開設した。
プリントショップの隣に併設するギャラリー「ノ
イエス朝日」で開催した企画展自体をフォトブック
化して、毎月開催される県内作家の企画展を、作品
設置後に撮影しフォトブックの見本を作製。ギャラ
リー入口にフォトブック見本を展示し、来館者に販
これは消費者情報を活用することでニーズに応じた
売する。PODで必要に応じて都度生産する為、在庫リ
サービスを実現し、新たな市場を開拓する狙いであ
スクなく消費者に提供できる。
る。そして認知度を上げるために、様々なイベント
その他にも、地域の出版印刷を活性化させる取り
を開催し、身近なファンを作る努力を続けている。
組みとして、復刻本製造販売サービスを行っている。
デジタル印刷を消費者に知ってもらう為にディッ
これは絶版本として入手困難なものをPODによって
プス朝日で企画展や講習会、ワークショップを開催
復刻し、地域はもとより郷土出版物に関心を持つ多
し、店舗集客とぐんラボ!会員の獲得を目指した。
くの人に、インターネット販売サイトを介して販売
•2011年11月 デジタルカメラ使い方講座(初級編)
を行うものである。
•2011年12月 デジタルカメラ使い方講座(中級編)
また新刊本小ロット出版の活性化として自費出版
•2012年12月 デジタルカメラ講座
BtoCに加え、地域の出版業BtoBtoCにも働きかけ、デ
•2013年5月~ 毎月2回の活版印刷&リング製本ワ
ジタル印刷技術を利用してもらい、共に地域の出版
ークショップ
印刷産業の活性化に取り組んでいる。JetPress720S
ジーエーシティ株式会社
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を用いる事で、高い品質とサイズアップを実現した
小ロットカラー印刷が可能となっている。
(4)東洋紙業はタイヘイグループの主要印刷会社
である。タイヘイの事業は、食材事業、フード事業、
フレッシュデリカ事業、食品事業、信販事業と印刷
事業の6部門からなる。
印刷関連だけでもM&Aにより、23社を擁するかなり
の大企業である。
●タイヘイ株式会社印刷事業部
●株式会社ソネ企画
●東洋紙業株式会社
ハイブリッド印刷によるくじ付きチラシは、チラ
●グラフィックアーツ大阪株式会社
シ 1 枚ごとに異なる情報(番号や文字、QR コードな
●東洋紙業高速印刷株式会社
ど)を付加することでユニークなくじを作成できる。
●トーシ・プリンティングサービス株式会社
チラシという大量印刷配布物で、そのくじがすべて
●株式会社ティーディーエス
履歴がとれるという事の意味は非常に大きい。
●株式会社恒陽社印刷所
●株式会社メディアグラフィックス
●株式会社報宣印刷
●鶴亀製本株式会社
●株式会社イーライフ
●デジタル総合印刷株式会社
●ジャパンプリント株式会社
●真生印刷株式会社
●杭州真生企画印刷有限公司(杭州)
●真生印刷(タイランド)株式会社
●株式会社ギンレス通信部
くじ付きチラシは集客アップに非常に効果的であ
●株式会社テレビウィークリー企画
る。チラシ持参で店頭で大抽選会を開催し、買い物
●株式会社テレポ
クーポンが当たることでチラシを必ず持ってくる。
●竹内文化印刷株式会社
配付地域別にシリアル番号を管理することで、集客
●株式会社近代映画社
エリアごとの特性が判る。チラシの集客効果測定が
●株式会社トレセレ
できる事が重要なポイントである。これは新聞折込
タイヘイは2009年国内初でオフセット輪転機にイ
の場合、新聞配達所の配付エリアでの事前管理がで
ンクジェットを搭載し、ハイブリッド印刷を開始し
き、ポスティングの場合は町丁目単位での事前管理
た。東洋紙業は2015年9月生産ラインを増設した。梅
が可能である。効果の高いエリアと弱いエリアを見
原氏はKodak Prosper 搭載オフ輪印刷機によるチラ
極める事で、次回のプロモーション企画に役立てる
シのハイブリッド印刷の主な活用アプリケーション
事ができる。しかし従来ポスティングでの配布は可
を解説した。
能だが、新聞折込チラシにはくじは付けられなかっ
ジーエーシティ株式会社
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た。これを朝日オリコミの協力により条件付きで可
が挙げられる。これをマーケティング効果で見ると:
能となった。その条件は:
•
市場投入時間を加速
●朝日オリコミ経由での折込
•
ぎりぎりまで変更可能
●インターネットHPでチラシ配布を開示する
•
リードタイム削減
●新聞折込以外でもチラシを入手できるように、店
•
顧客ニーズに迅速対応
頭にも設置する
•
ジャストインタイム
その結果、折込チラシの効果測定が明らかになった。
•
在庫削減・適正化
•
サプライチェーンの改善
•
トラック&トレース
•
バージョニングとパーソナライズ
•
セグメントマーケティング(イベントなど)
•
インタラクティブマーケティング (QR,PURL)
•
トータルシステムコスト削減
•
売上・利益拡大
(品質・安全保証)
が考えられる。これをベースに考えると、各社はデ
ジタル印刷をそれぞれ効果的に利用している事が判
った。
ディスカッションのネタとして提供したのは:
ハイブリッドチラシの実施例として紹介されたのは、
Q1:
ペット用品チェーン店事例の来店誘導くじ付きチラ
シ、大手流通スーパーチェーンの催事イベント誘引
デジタル印刷はもうかっているのか?
目標利益率、売り上げ比率、
Q2:
自社の強みは何か?
くじ付きチラシ、居酒屋チェーン店舗オープンキャ
ビジネスモデル、ノウハウ、システム、人材
ンペーンチラシ、商店街組合の催事くじ付きチラシ、
顧客満足度はどう評価しているのか?
住宅メーカーの住宅展示場来場誘引くじ付きチラシ、
Q3:
他のパネラーの話で何が大事か?
カーディーラーの県内合同イベントチラシである。
Q4:
今後の展開は?
いずれも高い誘引効果を引き出す事ができた。
何を買う:
ログがとれるチラシはデータが簡単に貯まるので、
次の手が速く打てるメリットが大きいという。
デジタル印刷機、後加工機、IT
何を強化する?
という事である。パネラーの話はそれぞれ特徴があ
り、各社の市場やビジネスモデルの特性が出ていた
【パネルディスカッション】
のですべてを語る事は困難である。
デジタル印刷のメリットとしては:
A1: もうかるように頑張っているという回答が主。

小ロット対応
A2: ニッチの技術の積み上げ、ビジネスモデルの革

バリアブル対応

One2One DM でレスポンス率向上
みを組み合わせなどが回答。

Web2Print との連動
A3: 人材の話は、重要という印象。

プリプレス、後加工とのデジタル連携
A4:

印刷品質はデジタルで安定
が伺える。

顧客に対する ROI の見える化
以上、非常に面白い議論であった。

レスポンス率、IT 自動化
POD
在庫圧縮
ダイレクトマーケティング
新、他社に無い仕組み、機能と自社のインフラ、強
IT/DB の強化と後加工機に興味を持っている事
ジーエーシティ株式会社