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めて確認すると赤いカバンになっており注文を躊躇
ジーエーシティ
企画委員
岩淵敏文
する。といった経験をしたことがある。
現在通販
サイトが好調のようだが、実際に物がわかっている
2 月 9 日(木)12 時を少しまわった頃 Page 会場
から安心して購入できるといった部分があるのでは
を訪れた。 今回の取材に関しては殆ど事前情報を収
ないか?
集せずに会場を訪問する事となった。
物の質感が最も重要なのではないか?
昨年の Page
購入の決め手が色である場合やはり実
話が逸れて
の印象を思い起こしてみると、今後の就活に生かす
しまったが、おそらく、通販で物品購入後、イメー
のが目的なのでは?と思われるような学生風の人々
ジと色が違っていたという苦い経験をした方が少な
が多かったと記憶している。
からずいらっしゃるのではないかと思う。
今回会場を訪問した
我々は
時点で人影はまばらであり、客層はビジネス風な
皆画面で見ている物と実物を違っていると認識しつ
人々が中心であった。
つも、無意識のうちに補正して実物の色をイメージ
始めに訪問したのは、
(株)
ナナオブースである。事前招待の案内も送られてい
しているはずである。
たのでブース内でのプレゼンテーション時間にあわ
実物と異なる色であれば、通販であれば返品対象に
せて訪問した。
なるだろう。
ここでの主なトピックスは、ナナ
そうは言ってもあまりにも
このように、デバイスによって異な
オモニターによる各デバイスのシミュレーション
る色を調整するには、現状そのデバイスにあった色
である。
作りをする必要があるということになる。
理想的
には、全てのデバイスに色管理システムが搭載され、
多彩な色表現ができる画面を使ってどこで見ても同
じ色合いが表現できる事が好ましい。
しかし、同
じ物を誰が見ても同じに見えるとはいいきれない。
目の色や見る角度、場所や気分によって見え方は
様々のはずである。
モニタの機能に話を戻すとナ
ナオ製モニタで使用するキャリブレーションソフト
の ColorNavigator の最新版を使うと、Web サーバー
機能が動作し、携帯端末からブラウザ経由でアクセ
スでき、ColorNavigator 経由で測定した数値を取り
込み、デバイス毎の Profile を作成できる。これを
昨今、色を表現する媒体としては、印刷などの紙メ
使って、モニタ上で各デバイスのシミュレーション
ディアの他に、テレビに代表されるマルチメディア
を行い、夫々のデバイスにどのように表示させるか
系が、PC、携帯電話(スマートフォンや iPhone)、
予め確認できるというものである。
iPad など様々あり、それらが表示している色はそれ
ぞれ異なっている。
印刷物の色を管理するための
もう一つの機能として、色空間をあえて狭めた設
定にし、共通の色表現を行うという機能も紹介され
アイディアに日々頭を悩ませているが、ある意味印
ていた。
刷では管理する手法が確立されている。一方、最近
AdobeRGB 色再現を実現しているが、様々なメディア
急激に普及しているスマートフォンや iPad は綺麗な
に展開するためにあえて色再現を狭めた sRGB への設
発色は表現できているが、色を管理する仕組みは今
定を紹介していた。
のところ存在していない。
例えばスマートフォン
でも」同じ色に見えるといういわゆるユビキタスカ
上で通販サイトを見てオレンジのカバンに目を惹か
ラー(勝手に命名)的なものを実現するためには、
れブックマークする、いざ注文しようとPC上で改
表現できる色空間を狭く統一するというのは正当な
元々ナナオモニターでは広い色域の
「いつでも、どこでも、だれ
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方向性である。
しかし、本来ならば「いつでも、
ス。} また、小ロットに対応するために、ギャンギ
どこでも、だれでも」美しい色が共通して見られる
ング(付け合せ)も有効な手段の一つであると解説
事が理想のユビキタスカラーではないだろうか。各
している。
デバイスでの色管理は実現するのだろうか?
紙面上に印刷される場合を考えると、面付けから断
当然このように、複数のジョブが同一
裁まで自動化されていなければ、紙は有効に活用さ
れるかも知れないが、行程は複雑になってしまうだ
ろう。
印刷作業を効率化するためにはこのような
自動化をいかにうまくと取り入れられるかが鍵とな
るのかもしれない。
さて、いつも人だかりのできる Adobe のオープン
セミナーに今回も1つ参加した。
印刷の余白 Lab
の野口尚子氏による“PRINT GEEK!!
印刷を遊
ぶ、実験するための発想法”という名目のセミナ
ーであった。野口氏は印刷コーディネータという肩
書きで、印刷に関する色々な取り組みをしている方
つづいて JAGAT が行っている JDF 関連のみどころ
のようだ。
今回のセミナーでは、印刷を違った角
ツアーに参加してみた。今回は(株)JSPIRITS の
度で見て新しい事に挑戦するといった内容で実際に
竹井取締役本部長の案内によってプリントサピエン
野口氏が実践された内容を基に講和された。
スを中心とした JDF ワークフローのデモが実施され
例の1つにシールラベル印刷機が挙げられた。
た。プリントサピエンスといえば国内で一早く JDF
ールラベル印刷機を後加工+ハーフカットの機械と
対応した MIS フトウエアであり、現在は JSPIRITS 社
考え、紙に凸版印刷した後にアルミ箔押ししてカッ
が開発サポートを行っている。
トし、オリジナルの葉書をつくるという作業の実践
印刷作業の効率化
実験
シ
には IT 化が必要であるが、JAGAT では IT の事を
例であった。
e パワーと表現している。
うな個性的なデザインの葉書をワンパスで作成でき、
印刷作業の効率化には、
結果としてはかなり手間のかかるよ
生産設備、やオペレータの技術などに限界があり、
効果的であったという。
行程間の効率化には、IT 化が不可欠となるそうだ。
めロールに貼り付ける事を手作業で行わなければな
Web 受注の仕組みが営業マンの代わりをし、ここで受
らなかったそうである。
注した情報がそのまま生産工程まで飛んでいき、最
の例やオフセット印刷で出力線数の網点 1 個分の中
後にコスト計算で MIS にフィードバック、MIS が業務
に模様を作るといった pixel by dot などの話もされ
の代わりをしてくれる。
ていた。
このように行程間の仕組
ただし、印刷用の紙を予
そのほかにも他の箔押し
また、デザイナーから見た印刷のイメー
みが全て IT 化されれば、
確かに効率アップに繋がる。
ジをつぎのように語っていた。
それを実現するためのツールとして JDF や対応する
ボックス化しており、面白い物なのか、つまらない
システムが必要になるという事である。
物なの解りにくい。
『印刷がブラック
人間は解らないものからは逃
説明ツアーでは実際に JDF を使って MIS とデータ
げて行く傾向にある。印刷をもっとデザイナーの解
のやり取りをするためには次のようなシステムが紹
り易い物にして欲しい』
。 過去に、網点の角度を変
介された。
{FFGS の XMF コンプリート、コニカミノル
えてみたり、版に手で絵を書いてみたりとデザイナ
タの POD 機は EQUIOS(スクリーン)
、Agfa のシステ
ーが色々とイメージの沸くような実験行っていると
ムでは Apogee Prepress、後加工に繋げるために
いう話であり、デザイナー向けに自由な発想で印刷
Horizon では pXnet を使って JDF とのインタフェー
できる空間があれば、印刷はもっと可能性のある楽
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しい物になるように感じられた。
一方でさらに実態が見えにくいWEB受注での印
刷では、入稿データがそのまま印刷されるという特
徴を生かし、データの工夫の仕方によっては、思わ
ぬ好結果が期待できるという話もあった。
今回は、3つの視点で Page 展を見学する事ができ
た。1つは、色の共通化:ユビキタスカラー(勝手
に命名)2つめは生産性を向上させるための行程間
のIT化:e パワー、3つめは、印刷でできることを
再発見:rediscovery Printing。
徹底的に効率を上げるか、自社だけのオリジナルブ
ランド(手法)で勝負するか生き残るための道筋は
あまり多くない。
日本人として考えるならば、他
(の国)にはマネのできないものづくりを目指した
い。
気が付くと会場はビジネスマンでごった返し
ており、急いで移動すると荷物が触れ合うような状
況であった。
何かあるかも知れない、小さな事で
もヒントにしたいそんなムードが終わり間近の会場
から感じ取れた。
私自信もそうですが、発想を転換して今までで躊
躇していた事に挑戦してみてはいかがでしょうか?
この文章に目を留めていただいた方々に少しでも
日々の活動のヒントになる事柄があった事を期待し
て今回のレポートを終わります。
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