上田ハーローウィークリーレポート『Hallons』

FX Weekly Report
USD/JPY
30 Jan. 2015
雇用の『たるみ』解消なるか
■ 2/2 週のイベント
[重要度]
2 月 2 日 22:30 米 12 月個人消費支出(PCE コア)
☆☆
2 月 3 日 00:00 米 1 月 ISM 製造業景況指数
☆☆
2 月 4 日 22:15 米 1 月 ADP 雇用統計
☆☆
2 月 5 日 00:00 米 1 月 ISM 非製造業景況指数
☆☆
2 月 5 日 22:30 米新規失業保険申請件数
☆
2 月 6 日 22:30 米 1 月非農業部門雇用者数変化
☆☆☆
2 月 6 日 22:30 米 1 月失業率
☆☆☆
■ 2/2 週の見通し ( ドル円予想レンジ :116.50 – 119.50 円 )
25 日(日)のギリシャ総選挙では、急進左派連合 SYRIZA が大勝。国民の支持を背景にトロイカ(ECB、EU、IMF)との
債務削減交渉に強硬姿勢を貫く素地が整ったとの思惑から、市場はリスクオフ気味の反応となり、ドル円は 117 円台前
半へとギャップダウンしてのオープンとなった。しかし ECB 理事会、ギリシャ総選挙と大きなイベントを通過した安心
感から、全般的にリスクセンチメントが回復。米耐久財受注の悪化や原油価格下落等に下押しする局面も見られたが 117
円台前半では底堅さを見せた一方で、リスク選好度回復や、タカ派的と解釈された FOMC を受けての広範なドル買いを
受けての上昇は 118 円半ばで抑えられ、
週を通じて 117 円前半から 118 円後半のレンジ内を往来する値動きとなった。
来週は 2 月 6 日(金)に発表される 1 月の米雇用統計が注目される。12 月雇用統計は非農業部門雇用者数変化や失業率
等のヘッドラインは良好であったが、平均時給や労働参加率は精彩を欠き、賃金上昇なき雇用回復との見方から米 FRB
の利上げ時期が前倒しされる程の強気な反応は見られず。米長期金利の低下やドル売りが強まり、ドル円は 119 円台半
ばから 116 円台まで下落した。米 FRB の利上げのタイミング、ペースを見極めるためには 6 日発表分についても平均時
給などの詳細項目の確認が必要になるだろう。1 月平均時給が前月比+0.3%の市場予想通りと反発が確認された場合は、
ドル円は反発、119 円台に乗せる展開になると思われる。本日 30 日(金)22 時半に米第 4 四半期 GDP と同時に発表さ
れる米第 4 四半期雇用コスト指数の結果も確認したい。
ドル円の予想レンジは 116.50 – 119.50。ドル円は底堅い動きが予想されるが、さらなる円安材料は乏しく、目先の
上値は限定されそうだ。日本政府は日銀の追加緩和は必要ないとの見解を固めたとの報道の中で、原油価格下落を日本経
済のメリットであり、追加緩和による円安はそのメリットを減殺するものと認識する声も伝わってきている。上記報道時、
ドル円はさほど円高に反応しなかったが、政府のこのような見方が広がった場合や閣僚の口先介入などがあった場合は、
追加緩和期待の後退から円高に反応するだろう。また現在、オセアニア、資源国の通貨が弱く、利下げ観測が高まってい
る。特に 2 月 3 日(火)に予定されている豪準備銀行(RBA)金融政策会合において利下げを実施するとの観測もあり、円高
要因となりそうである。ユーロの量的緩和から世界的な株高となれば、ドル円には上昇要因となるが、現状では結びつい
ているとは言い難く。クロス円の下落からドル円も連れ安となる場面もありそうだ。
リスク要因としては引き続き原油安とウクライナ情勢に注視している。原油安は日本経済にとって消費増に結びつく可
能性などのプラス面を指摘する声もあるが、現状ではエネルギー関連や素材関連企業への業績懸念を生みやすく、米株式
市場の波乱要因となっている。またギリシャのツィプラス新政権がトロイカからの支援条件である、国営企業の民営化計
画を凍結することを発表しており、新政権が対立姿勢を強める状況ではリスクオフの流れとなりそうだ。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するものではございません。為替レートは参
考値であり上田ハーロー株式会社の取引レートを保証するものではありません。このレポートの情報・分析・予測でいかなる損害が生じたとしてもその責を負いません。
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FX Weekly Report
EUR,GBP
30 Jan 2015
“調整は値幅か時間か?”
ユーロドル予想レンジ
1.1100-1.1550
ポンドドル予想レンジ
1.4800-1.5200
■2/2 週のイベント
[重要度]
2/3
19:00
欧 12 月卸売物価指数
☆
2/4
18:00
欧 1 月サービス部門 PMI
☆
2/4
18:30
英 1 月サービス部門 PMI
☆
2/4
19:00
欧 12 月小売売上高
☆
2/5
18:00
欧 ECB 月報
☆
2/5
21:00
英 BoE 金融政策発表
2/6
16:00
独 12 月鉱工業生産
☆
2/6
18:30
英 12 月貿易収支
☆
GBP/USD 日足
☆☆
■2/2 週の見通し
EUR/USD
ギリシャ総選挙で急進左派連合 SYRIZA が過半数に迫る議席を獲得したことを受けて週初の EUR は薄商いの中 1.10 ドルを割り
込む水準へと急落したものの、その後はショートカバーが先行し 1.1420 ドル台まで反発する局面も。SNB の CHF 介入に持ち
上げられた局面もあったものの、ポジション調整の EUR 買いに下げ渋る推移が続き、経済指標への反応も鈍いものとなった。
SYRIZA は中道右派独立ギリシャ人と「緊縮財政反対」連立を成立させ新政権を発足。債務減免を求める姿勢を崩しておらずユー
ロ圏財務相会合でもトロイカとの対決姿勢を強めている。一方で、EMU 離脱の意思は見せておらず、債務を巡る交渉が長期に渡
り難航するリスクは高いと考えられる。総じて EUR ネガティブな材料ではあるものの、事前に織り込まれたシナリオを進んでい
ることから、新たな EUR 売りには繋がっておらず、再加速の動きを見せるギリシャ資産売りの流れが債務問題を有する南欧諸国
市場に波及する動きも鈍い。イベントを終えて EUR ショートを調整する動きも見られ、相場のリズムとしては、時間的或いは値
幅的な調整が行われる素地が出来ていると感じられる。但し、従前から指摘している通り、ポジション調整以外に EUR 買いの材
料は見られず、特に現状「独り勝ち」となっている対 USD で考えると、戻りは売りのスタンス変わらず。仮にショートスクイー
ズを巻き起こし 1.15 ドル台が見られれば、当該レベルは中期 EUR ショート作成の好機と見る。
GBP/USD
週序盤より EUR のショートカバーに連れて 1.5220 台へと値を戻した GBP ではあったが、金融政策ハト派化を受けての売りに
加え、テクニカルな要因も上値を抑える格好となり、再び 1.50 ドル前半へと反落する流れとなった。4QGDP 下振れを受けての
下落は限定的であったが、広範な USD 買い地合には大きく軟化し、フローや USD 主体の相場展開であったことを窺わせる。
タカ派 MPC 委員 2 名の利上げ主張取り下げはサプライズを呼んだものの、その後主要国中銀より相次いでハト派化の動きが見ら
れたことから、BoE 中立化の衝撃は「中和」されたとの感。但し、金融政策中立化は原油安を受けてのインフレ低下を受けての
ものであり、原油価格の見通しが弱い以上は、BoE のインフレ見通しも早期に回復し難いとの感。また、GBP の上値を重くする
もう一つの要因として 5 月の総選挙に対する不透明感が指摘されており、2 大政党共に支持を集められない現状を鑑みると、少な
くとも選挙までは GBP の弱材料が機能し続けるとの考え方も可能だろう。逆説的には上記 2 要因が解決しない限りは GBP の反
発は困難であるとも言え、特に「現在のところ」盤石な USD の方向性を加味すると、暫くは弱地合を継続しそうである。短期的
には特段の材料を欠き、資源価格や債券・株式市場の動向、そして USD の強弱に身を委ねる相場となろう。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するものではございま
せん。為替レートは参考値であり上田ハーロー株式会社の取引レートを保証するものではありません。このレポートの情報・分析・予測でいかな
る損害が生じたとしてもその責を負いません。内容の無断転載・コピーを禁止します。
FX Weekly Report
AUD,NZD
30 Jan 2015
来週は RBA 理事会!「利下げ」?文言変更?
豪ドル円予想レンジ
NZ ド ル 円 予 想 レ ン ジ
■2/2 週のイベント
87.00-95.00 円
84.00-88.00 円
[重要度]
02/02
10:45
中
1 月 HSBC 製造業 PMI・改定値
☆☆
02/03
09:30
豪
12 月貿易収支
☆☆☆
02/03
12:30
豪
RBA 理事会
☆☆☆
02/04
09:30
NZ
第 4Q 雇用統計
☆☆
02/05
09:30
豪
12 月小売売上高
☆☆
02/06
22:30
米
1 月雇用統計
☆☆☆
※02/01(日)10:45
中 1 月製造業・非製造業 PMI
■2/2 週の見通し
今週の豪ドルは軟調な展開。週初、ギリシャ選挙を控えギャップダウンでスタート。その後、株価が底堅く推移したことなどからギャッ
プを埋めたものの、スイス中銀の自国通貨売り・ユーロ買い介入で相対的な動きから AUDJPY は 94.08 円、AUDUSD は 0.7973 ド
ルで頭打ち。ただ、注目された第 4Q CPI の結果を受けて、AUDJPY は 94.36 円、AUDUSD は 0.8024 ドルまで上昇するも、来週
の RBA 理事会での利下げ観測やスイス中銀の介入での相対的な動きから再び売られる展開となり、AUDJPY は 91.38 円、AUDUSD
は 0.7718 ドルまで下落した。(1/30)
来週の豪ドルは、豪米中の経済指標に注目しつつ、原油先物市場や金利動向、株価動向を見ながらの展開が予想される。注目される WTI
原油先物相場は 1/30 に 1 バレル=43.84 ドルまで下落。今週、オバマ米大統領はサウジアラビアのサルマン新国王と会談し、原油相
場の安定について協議した模様だが、原油価格の下落に歯止めがかかっておらず、今後も引き続き下落すると考えられる。今週、豪国内
では第 4Q CPI が発表され、前期比、前年同期比共に市場予想を下回った。ただ、RBA が重視するトリム平均値CPIや加重中央値が
いずれも市場予想を上回る結果となったために、豪ドルは買いで反応した。この結果を踏まえると、来週 2/03 の RBA 理事会の金融政
策の予想が難しくなった。市場では、今週の第 4Q CPI がトリム平均値CPIを含め低下すると思われていたために、来週の RBA 理事
会で「利下げ」に踏み切ると思われていた。予想されるシナリオとしては、2 つ挙げられる。まずは「利下げ」。今年に入り、ECB の
QE 実施を前に、スイス、トルコ、デンマークが利下げを行った。また、BOE も引き締めバイアスを取り下げていることなどから、結果、
相対的に豪ドルが買われる展開が危惧される。輸出が主たる豪にとっては、豪ドル高は国内景況感の悪化の加速を招きかねない。今後下
がり続けると思われる原油相場を考えると、1/22 のカナダ中央銀行(BOC)に習い、「利下げ」を実施するのが豪ドル安誘導には一番
有効性が高いと思われる。もう 1 つは声明文の変更。RBA はこれまで、声明文に「安定期(period of stability)」を用いていた。今回
は、この表現を削除しこの結果を検証した後、3 月以降の RBA 理事会で「利下げ」を実行するという見方だ。ただ、後者の場合、有効
性に疑問があり、さらには、市場では「利下げ」を織り込んでいるために、RBA 理事会後に豪ドルは買いで反応する可能性が高い。前
述した 2 つのシナリオは、「利下げ」の実施時期の問題であり、現在の各国の金融政策を考えると、RBA も「利下げ」の実施は時間の
問題と思われ、仮に、声明文の変更のみで豪ドルが買われたとしても、上値は限定され、豪ドルの下落トレンドは継続すると思われる。
NZ は、今週 RBNZ 理事会が開催され、政策金利を現行の 3.50%のまま据え置くことを決めたと発表。ただ、声明文で政策金利につい
て前回の「いくらか更なる利上げが後の段階で必要となることが予想される」との文言を「当面の間据え置きと予想」に変更。この結果
を受けて、NZ ドルは対円、対ドルでも下落した。来週の NZ ドルの動向については、引き続き軟調な展開が継続すると思われる。
このレポートの記載事項はその内容を保証するものではありません。また、為替やその他いかなる商品について売買を推奨するものではございま
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