人間行動生態心理学に基づく自動車車内の快適性評価

人間行動生態心理学に基づく自動車車内の快適性評価に関する研究
Study on Comfort Evaluation for Automobile
研究の背景
研究の背景
自動車の快適性評価に関する目的
•自動車や鉄道車両を代表とする交通車両の車内における
快適性の向上に対する要求が高まっている
• シー トアレンジメント,乗車時間との関連に着目した
自動車の快適性評価手法の提案
• 快適性:人間の感性に関わる指標定量化は困難視されてきた
→定量的な評価手法
• ミニバンタイプなどの多座席車両が開発されている
→シートアレンジメント などの空間設計の自由度が高くなっている
• 具体的な目標
– 快適性と評価要因の関係の定式化→定量的な評価
– 異なる車内環境間の定量的な比較
研 究室の 先行 研究
500
1
– これまでに ない車内環境の快適性の予測
快適性
傾 き:
快適性
ミニバン
室 内 高 :1200
座席配置
評価式
乗車時間
y切 片:
乗 降容 易 性
快適性
通勤電車の座席配置について、 快適性を乗車時間の関
数として定量評価
例: 6人乗車 のシートアレンジメント
乗車時間
快適性と評価要因の関係調査実験
快適性と評価要因の関係調査実験
快適性算出に 関する仮説
快適性算出に関する仮説
• 抽出された項目をアンケートに用いた走行実験
→快適性は,第1次近似としてはシート周りの 体積に比例
視覚に関す る要素の重要度が高い
→空間,視覚の重要性が認識された
A
B
C
◆◇:2列目
■□:3列目
• 車内の快適性は,物理的体積(V p)と視覚的体積( V v)の関数として表
せ, その関係は乗車時間により変化する.
– V p: シー トまわりの体積(頭上空間, 足下空間など)
– V v:視野に入る空間の体積( 広く見える効果,隣の人の影響)
– 図面から算出可能
D
E
5 4.8
低← 重要 度→ 高
6
4
5
4.4
4 . 34 . 3 4. 1
4. 0 4 .0 3 .9 3 . 9
3 .8 3 . 83 . 63 . 63 . 5
3. 4 3. 4
3
4
3. 1 3 .1 3 .0 3 . 03 .0
2 . 82 . 82 . 62 . 6
2
3
1
2
1
0
0.5
1
1.5
2. 5
2. 3
1.9
個 性
面 白さ
座 席背後
頭 上空間
重 厚感
高 級感
明 るさ
車 内移動性
温 冷感
安 全性
雰 囲気
開 放感
操 作性
乗 降性
ホールド感
広 さ感
圧 迫感
触 感
座 席前面
振 動感
座 席の左右
静 粛性
清 潔感
内 装の質感
疲 労感
にお い
足 元空間
隣 の人
Bad←Evalu at ion→ Good
7
視覚的体積Vv :
(扇形の体積) −
(斜線部の体積)
物理的体積Vp:
平行六面体の体積
2
乗員 1人あたりの体 積 [m3 ]
快適性算出式
快適性算出式導出のための走行実験
快適性算出式導出のための走行実験
• 物理的体積V p,視覚的体積Vv を変化
t
C s (t )
→通常状態, シー トを前後にスラ イドさせたアレンジ
V p,V v:6通り
快適 性
– 被験者: 12人
(
A Vp
B Vv
C)
e
2
(A
Vp
B
Vv
C )
•重回帰分析により,快適度算出式の 係数を 導出
物理 的体積 Vp,視覚 的体 積Vvと 快適性の 関係
– Vp増大 が困難 な状 況:Vvを増 大させ るこ とで,快 適にできる.
•
(男性:8人,女性:4人)
– 実験車: ミニバン3台
• S, M, L
いったん走 行すると,その後評 点はほぼ 一定値に 漸 近
→指数関 数e
7
評価
わる い← → よい
– 市街地, カントリー,
高速路走行(公道)
– 5分ごとに評価
•
E val uat i on
– 走行時間:25分
Cs (0)
Cs(∞)
6
Vv 増大
5
4
Vp 増大
3
2
1
乗 車時間[分]
0
5
10
15
20
25
30
Vp,Vv と快適性の関係(イメ ージ)
推定値と実測値の一例
R id i ng Ti me [mi n]
全シー トアレ ンジ, シー トの評点の平均値
まとめ
快適性の工学的応用に関する研究グ ループ(生産技術研究所)
• シ ートア レンジメン トと乗車時間に着目した,快適性の 定量的な
評価手法の提案
• 乗員の主観評価をアンケートにより抽出
• 快適性の評価要因として乗員の物理的体積Vp,視覚的体積Vvを提案
• 乗車時間と快適性の関係式を同定,検証
• 多様なシ ートア レンジメ ントの比較が定量的に可能となった。
• 設計検討段階において、シートアレン ジメントの事前の快適性の予測が
可能になった
• 今後の課題
• 乗員どう しのコミュニケーション,走行条件の考慮.
• 疲労,酔い等の検討
共同研 究: トヨタ自 動車㈱
空調
(加藤)
研 究グル ープの 目的
・室内 や車両 内などの環境(主 にその物理 環境な
ど)の快,不快を 視覚,聴 覚,触覚 ,温 感,体感 と
人間 行動の関 係を説明するモデル構 築を試みる
• 環 境を認知し ,対応行 動を取る脳内認 知システ
ムとその 認知背 景にある情報データ 構造をモデ
ル化 する.こ の認知 構造を工学 的に利用 して
人と 環境や工 作物と の合理 的な関係 を形 成する
須田
加藤
合原
満渕
中野
坂本
田淵
古賀
鍋島
義大
信介
一幸
邦彦
公彦
慎一
義彦
誉章
憲司
振動・制御【代表】
空調
モデリング
生体
生体
音響
照明
心理
空間
心理
(古 賀)
音響
(坂本)
空間
(鍋 島)
快適性
照明
(田淵)
モデリング
(合 原)
振 動・制御
(須田)
生体
(満渕 ・中野)
さま ざまな 分野の融合により取り組む
2 008 年3 月7日 ,愛 媛大学に て
「快 適性研 究会シンポジウム」開催