EVO Commodity Report

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平成 26 年 12 月 22 日発行
原油市場の動き
●OPEC の 11 月生産量は前月比 39 万バレル減少
石油輸出国機構(OPEC)が 12 月 10 日に発表した月報によると、OPEC 加盟 12 ヶ国の 2 次情報ベースに基づい
た生産量は合計で前月比 39 万バレル減の日量 3,005 万 3,000 バレルとなり、OPEC 生産目標枠(3,000 万バレル)
の範囲内でほぼ抑制された模様。一方で 2015 年の OPEC 産原油への需要見通しは日量 2892 万バレルとし、前月
から約 30 万バレル下方修正されている。
11 月の OPEC 諸国産油量では、政情混乱が伝えられたリビアが大幅減少となり、前月比 24 万 8,300 バレル減の
日量 63 万 8,000 バレルに留まった。また、OPEC の盟主であるサウジアラビアが同 6 万 0,100 バレル減の日量 959
万バレル、クウェートが同 5 万 9,400 バレル減の日量 269 万 9,000 バレルとなった。
一方で、非 OPEC の生産見通しは、2014 年が前年比 172 万バレル増の日量 5,595 万バレルで前月から 4 万バ
レル上方修正、2015 年が 136 万バレル増の日量 5731 万バレルで同 15 万バレル上方修正となっており、引き続き
北米の増産が牽引すると予想されている。
世界石油需要見通しは 2014 年が前年比 93 万バレル増の
サウジアラビアの原油生産量
日量 9,113 万バレルで、前月から 6 万バレル下方修正。2015
年は同 112 万バレル増の日量 9,226 万バレルとし、同 13 万バ
レル下方修正となった。アジアを中心に消費が減退しているこ
とが理由。
結果、世界石油需要から非 OPEC 生産量を差し引いた
OPEC 産需要量は、2015 年は日量 2,892 万バレルとなり、2014
年(日量 2,936 万バレル)から一段と減少するとしている。
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●OPEC 加盟アラブ諸国、原油相場は来年 70-80 ドルに回復へ
12 月 21 日に開催されたアラブ石油輸出国機構(OAPEC)閣僚会合で、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源
相は、OPEC(石油輸出国機構)非加盟国の非協力と投機筋の行動が、原油価格の下落を招いていると述べた一
方、石油市場の改善に自信を示しております。また、同石油相は「サウジの政治的な動機による陰謀説は根拠がな
く、理解が不足している」とした上で、「サウジの(石油)政策は厳格に経済原理に基づいており、それ以上でも以下
でもない」と強調。仮に OPEC 非加盟諸国が減産に踏み切るとしても、サウジアラビアは原油相場下支えを目的とし
た減産を行わない考えを示し、現在の原油価格に不満を表明した上で、時期は分からないが相場は回復するとの
見通しを示しております。
イラクのメフディ石油相は、OPEC 緊急会合は必要ないとの考えを示した一方で、OPEC が先に決めた生産目標
の据え置きが、正しい決定だったかどうか見極める必要があると述べております。また、原油価格が 1 バレル=約
60 ドルの現行水準で安定するとの見方を示しております。
アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は、原油価格下落の主要因の一つは OPEC 非加盟国によ
る「無責任な」生産だと指摘。また、OPEC が先に決めた生産目標の据え置きについて、「正しく戦略的決定だ。この
決定に全くの自信を持っている」と述べております。
クウェートのオメール石油相は、OPEC は減産の必要はなく、原油価格下落について討議するための緊急会合を
開催することはないと述べております。
なお、市場関係者によると、OPEC 加盟のアラブ諸国は、原油相場について、2015 年に 1 バレル当たり 70-80 ド
ル程度に回復すると予想し手いる模様。ある湾岸諸国の関係筋は「概して原油価格が底割れするとは考えていな
い。数カ月程度は 60 ドル、もしくはそれを下回る水準を付ける可能性があるが、許容可能な 80 ドルに戻ると想定し
ている。だが、おそらくは 8 ヶ月~1 年後になる」と述べている。また、別の筋は「急な供給停滞がない限り、来年 100
ドルに戻ることはないが、平均して 70-80 ドル程度になるだろう」と述べた模様。
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平成 26 年 12 月 22 日発行
●EIA、2015 年の米原油生産見通しを前年比 932 万バレルに下方修正
米エネルギー情報局(EIA)は、12 月短期見通しレポートで、米国の 2015 年の原油生産を日量 932 万バレルと予
測。11 月(同 942 万バレル)から小幅下方修正した。ただ、11 月の月間生産量は 900 万バレルだったとしており、原
油価格急落にもかかわらず、活発なシェール・オイル開発で右肩上がりとなっている。EIAのシミンスキー局長は、
価格下落が来年、米国での原油生産の伸びは鈍化するが、それでも年間の生産量は 1972 年以来の高水準に増
加する可能性が高いとしている。2015 年の WTI 原油平均価格は 62.75 ドルと予想(11 月時点 77.75 ドル)。ブレント
原油平均原油は 68.08 ドル(同 83.42 ドル)としている。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが 12 月 19 日に公表したデータによると、同日までの 1 週間の同国石油
掘削リグ稼働数は前週比 10 基減の 1536 基となり、5 月以来の低水準に落ち込んだ。リグ稼働数は 10 月半ばに過
去最高の 1609 基を記録した後、10 週間中 7 週減少しており、原油価格の大幅下落が続く中、石油掘削プロジェク
トに打撃を与え始めている。なお、原油価格急落を受け、エネルギー企業各社は 2015 年の新規開発プロジェクト投
資額を 25%超削減する見通し。
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平成 26 年 12 月 22 日発行
●IEA、2015 年の石油需要予測を 9,335 万バレルに下方修正
国際エネルギー機関(IEA)は 12 月 12 日に発表した 12 月石油市場月報で、2015 年の石油需要予想を前年比
0.98%(91 万バレル)増の日量 9,335 万バレルとし、前月予想から 23 万バレル下方修正。前月からの下方修正は、ここ 5
ヵ月間で 4 回目。2014 年は前年比 0.73%増の 9,244 万バレルで、前月予想で据え置いた。消費国は、一部の国で過去の
原油高を受けて導入された石油購入に関わる
補助金が削減されていることや、ドル高によって
原油安の効果が相殺されるなどの理由から、消
費者が原油価格下落の恩恵を十分に受けられ
ないと指摘している。
2014 年 11 月の石油生産量は前月比 34 万バ
レル減の 9,409 万バレル。OPEC 加盟国ではイ
ラクで増加した一方で、サウジアラビア、アンゴ
ラ、リビアなどで減少。OPEC 全体の生産量は
前月比 32 万バレル減の 3,681 万バレルだったと
世界石油需給
している。また、クルド地区産原油を含む北部イ
ラクからの石油輸出が日量 30 万~40 万バレル
2014 年
2015 年
日量 9,244 万バレル
日量 9,335 万バレル
2014 年 10 月
2014 年 11 月
世界の原油生産量
9,421 万バレル
9,409 万バレル
OPEC の原油生産量
3,649 万バレル
3,681 万バレル
世界の原油需要
になるとの見通しを示している。
(12 月 22 日 ERI 大湖 一樹 記)
※DATA:IEA、筆者調べ
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