「絵本のみ力 伝えます」 精華小学校 6年 伊藤 葵 みなさんは本が好きですか。本を読んでいますか。 私は、本の中でも絵本が特に大好きです。小さい時から、母に絵本の読み聞かせをしてもらって育ち、 多くの絵本に出会い、絵本のすばらしさを感じることができたからです。文字だけでなく、さし絵を見 つめるだけでも楽しいし、想像が広がって、どんなお話の世界にも入り込むことができます。そんな絵 本のみ力について、みなさんに伝えたいと思います。 私が初めて絵本を書いたのは、小学4年生の夏休みでした。毎日の学校や宿題がいやになった女の子 が主人公です。お母さんになれば勉強をしなくてもいいと思っていると、ある朝、お母さんになってい るという設定です。実際にお母さんとして生活してみると、買い物に行っても漢字が読めないし、計算 ができなくて困ります。そうじや洗たくなど、やらなくてはならないことが山のようにあり、想像して いた生活とはまるでちがう。 「やっぱり子どもが一番いいな。 」と気づく物語を書き上げました。 私がこの物語を通して伝えたい主題は、「人間は今が苦しくて、他人がうらやましく思える時がある ものだ。でも、誰でも苦労をかかえている。だから自分の今を精一ぱいがんばろう。 」というものです。 文字にすればちょっとかた苦しくなってしまう主題も、絵本にすれば、読み手の心にやわらかく届ける ことができる。そんな絵本のみ力を、絵本作りの体験を通して感じました。 また、私は母や友達の家族といっしょに、1ヶ月に一度、読み聞かせの会を開いています。絵本の読 み手をしているのです。聞いてくれる小さな子の笑顔を思い浮かべながら、季節や絵の美しさを考えて 絵本を選びます。「わあ、この絵本読んでみたいな!」と心から思える一冊が見つかると、わくわくし ます。登場人物になりきって読むと、 「え~。すごい!」と声を出して反応をしてくれます。そんな時、 絵本の世界に引き込まれているんだと思えて、うれしくなります。その場にいるみんなが一体となって、 絵本の世界を楽しめるのが、絵本のみ力だと感じられるひとときです。 このような経験から、絵本や本のみ力にひきつけられて、私の将来の夢が決まりました。それは図書 館司書として働くことです。以前、愛知県立図書館に出かけた時、所蔵されている本の多さにおどろき、 「み力のつまったたくさんの本に囲まれて、本に関わる仕事をしよう。」と決意しました。司書の仕事 を通じて、ますます多くの本と出会い、たくさんの人に本のみ力を伝えていきたいです。 みなさんも家に帰ったら、小さな頃に読んだ絵本をもう一度読んでみてください。小さな頃には気づ けなかった、新しい絵本のみ力を発見できるかもしれません。
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