第4学年2組 体育科学習指導案

Ⅱ―1
学習指導案
第4学年2組
体育科学習指導案
男子15名 女子7名 計22名
場所
指導者
1 単元名
体育館
教諭
納富 久見子
みんなの力でゴールをねらえ!(リングゲーム)
2 運動の特性
○一般的特性
・チームで協力しながらパスを生かしてボールを運び、リングにシュートして得点を競い合うことが
楽しいバスケットボール型の運動である。
・ゴールの高さや向きなどの条件や場を工夫して取り組める運動である。
○子どもから見た特性
・両手でコントロールしたパスを多用しながらボールを運び、シュートにつなぐことができる運動で
ある。
・バスケットボールに比べて、リングが低くて大きく、ゴールしやすいため、得点する楽しさを味わ
うことのできる運動である。
・360度どこからでもシュートができるため、シュートチャンスが多く、運動量や触球数も多くな
り楽しい運動である。
・個人のめあての達成に向けて取り組める運動である。
3 子どもの運動に対する実態
○子どもの体位や体力・身体能力
本学級の子どもたちの体位は、全国平均と比較をすると、身長は男女ともに低い。また、体重は男
子が軽く、女子は重い。スポーツテストの結果では、反復横跳びは男女ともに全国平均より高い。ま
た、男子の20mシャトルランは高い。しかし、男女とも50m走やソフトボール投げは低い。特に
女子の20mシャトルランは低い。
○子どもの運動に対する意識
本学級の子どもたちは、始業前や業間を利用して運動場でボール遊びを楽しむことができている。
昼休みには、週に1~2回みんなで遊ぶ日を決め、お楽しみ係の運営で、キックベースボールやドッ
ジボールなどをして楽しんでいる。しかし、勝敗を意識するあまり、自分勝手なルールを作ったり、
相手チームのことを考えない言動をしたりすることがある。
また、子どもたちは3年時にリングゲームを経験している。実態を知るために行った事前のリング
ゲームでは、バウンドパスやロングパスなどを用いてゲームを楽しんでいた。しかし、ボールをうま
く捕れなかったり、すぐに落としてしまったりする子どもも多かった。
社会体育では、野球に6名、バレーボールに1名、水泳に2名、空手には4名が所属しており、学
校外の場面でも運動に親しむ機会が多く、運動に対し興味・関心が高い子どもたちである。
○意識調査から
運動に対しては、22名中19名が好きと答えている。理由として、運動することが楽しい、でき
るようになることが嬉しい、といった答えが多かった。逆に、嫌いな理由としては
疲れる、ケガをする、という答えであった。また、ボール運動に対しての意識としては、22名中1
7名が好きと答え、理由としてはボールを捕ったり投げたりすることが楽しい、チームを作りゲーム
をすることが楽しい、という答えが多かった。嫌いな理由としては、ボールに当たると痛い、ケガを
することがこわい、という答えであった。
4 授業における視点と指導、安全面に対する配慮
○授業(単元)における視点について
・ねらい1では、ゲームをする中で困ったことを出し合わせ、ルール作りをさせることで、みんな
が楽しめるようにする。
◎ねらい2では、ゲームごとに、チーム内でパスやシュートなど一人一人が頑張りたい簡単な作戦
(めあて)を明らかにさせる。そして、相互にチェックした記録カードを教え合い活動(アドバ
イスタイム)でのアドバイスに生かすことで、よりよい動きにつなげさせる。
○授業における指導
・ドリブルを制限し、パスを中心とした連携プレーで、ゲームを進めさせる。
・高学年でのバスケットボールにつなげるために、チェストパスを中心に指導し、ゲームに臨むよ
うにさせる。
・攻撃側のポジションを意識させるために、平ゴムを利用してパスの練習をさせる。
・ゲームの司会やチームの話し合いを子どもたちに運営させ、主体的に活動できるようにする。
・アドバイスタイムで教え合い活動がうまく運営できていないチームには、よい動きを紹介し直接
アドバイスをする。
・チーム編成は、チーム力がなるべく均等になるように子どもたちと一緒に行う。
・中学年の段階では、チームの作戦がゲームの中で機能しにくいため、ゴールを目指す全ての動き
(個人のめあて)を簡単な作戦と捉えている。一人一人の動きが高まり相手を意識できるように
なると、チームとしての組織的な作戦へと発展できるものと考える。そこで、4年生では個人の
動きの高まりをねらった単元構成を行い、高学年のチームとしての作戦につなげていくようにす
る。また、ねらい2の後半では、動きの高まりとともにチームでの作戦を立てようとすることも
考えられるため、個人のめあてを簡単な作戦という言葉で提示する。
・子どもの体位や体力・身体能力、ボールを投げ上げる力を考え、リングの高さを2メートルに設
定する。また、持久力を考え、ゲームの時間を設定する。ねらい1では、密集型のゲームになり
運動量は少ないと考え、ゲームの時間を3分にする。ねらい2では、動きが速いゲーム展開にな
り運動量も多くなると考え、ゲームの時間を1分30秒と設定し、ゲームを行う。
・ 昨年度、子どもたちはリングゲームを経験し、ゲームのイメージをもっている。しかし、ゲーム
に勝ちたいという気持ちから、ロングパスを多用し触球数を少なくして個人技でシュートするこ
とも考えられる。リングゲームはチームプレーが大切なため、パスを生かしたプレーを賞賛する
ことで、友だちと協力することの大切さを体感させる。
○安全に対する配慮
・足首のねんざや突き指を防止するため、手足の関節を中心に準備運動を行う。
・友だちとの接触プレーを防止するため、ボール保持者から1メートル以上離れて防御をさせる。
5 学習の場
●リング
ステージ
●
A コート
●
●
B コート
●
6 学習のねらいと過程
(1)学習のねらい
○得点する喜びを味わいながらゲームを楽しむ。
○自分たちに合ったルールを作ったり、簡単な作戦を立てたりしてゲームを楽しむ。
○安全に気をつけて、活動することができる。
(2)学習過程については別紙参照
7 本時の展開(6/9)
(1)本時のねらい
・ゲーム中に見つけた友だちのよさなどを伝えることができる。
(思考・判断)
・簡単な作戦(めあて)を立てて、ゲームを楽しむことができる。
(2)学習活動と指導上の留意点
学習活動
指導上の留意点(○)と評価(★)
(技能)
は
○ 準備運動・体ほぐし運動をする。
○ 手足の関節を中心に準備運動を行う。
○ 心身ともにリラックスできるような体ほぐし運動
じ
を行う。
め
ねらい2
簡単な作戦(めあて)を立てて、ゲームを楽しむ。
な
○ 簡単な作戦(めあて)を確かめる。 ○ 前時に決めた簡単な作戦(めあて)を再度確認し、
簡単な作戦(めあて)の例
・ 動きながらパスをする。
・ シュートをたくさんきめる。
○ チーム内で一人一人の簡単な作戦(めあて)を確
認させる。
○ チームで練習をする。
○ 簡単な作戦(めあて)を意識した練習をさせる。
・ 壁を使ったパス など
○ ゲーム1、2では4チームを順に観察・指導し、
○ 3-3で活動をする。 (分)
ゲーム3では、めあての見取りができていないチ
・ ゲーム1(前半) 1.5
ームの指導をする。
アドバイスタイム 1.5
(後半) 1.5
アドバイスタイム、練習3
・ パスを生かして攻めているか。
・ ボールを見て動いているか。
・ 自分のポジションを意識して動いているか。
・ ゲーム2(前半) 1.5
○ 記録カードに簡単な作戦(めあて)のパスやシュ
アドバイスタイム 1.5
ートの回数を記録するだけでなく、友だちの動き
(後半) 1.5
のよさやさらに動きがよくなるようなアドバイス
アドバイスタイム、練習3
などを、ゲームやアドバイスタイムの中で伝えら
・ ゲーム3(前半) 1.5
アドバイスタイム 1.5
(後半) 1.5
アドバイスタイム、まとめ5
か
変更してもよいことにする。
れるように指示をする。
○ 攻撃側には、チームワークでゴールにつながるプ
レーを意識させるように指示をする。
○ 守備側にはボールを持っているプレーヤーから
1メートル以上離れているかを指示する。
○ 安全な場づくりができているかを確認する。
○ 教え合い活動(アドバイスタイム)を観察する。
・ チーム内で友だちの動きのよさなどを話し合わ
せ、よい動きとはどのようなものなのかを感じ取
らせ、イメージ化させる。
・ 簡単な作戦(めあて)の達成度や動きのよさをほ
めたり、アドバイスをしたりして、子どもたちが
互いに教え合う場にさせる。
★評価
【ゲームごとに観察・評価を行う】
・
A
簡単な作戦(めあて)を生かしてゲームに参加できる。
B
簡単な作戦(めあて)を意識しながらゲームに参加できる。
○ ゲームにうまく参加できていない子どもには、そ
ばについて一緒に活動をする。
ま
○ 活動を振り返る。
○ 学習カードに振り返りを記入し、次のゲームの意
欲につなげる。
と
め
○ チームのよかったところを賞賛し、今後の課題についてア
ドバイスし合いながら、次のゲームへの期待を高める。
Ⅱ―2
授業の実際と考察
研究の仮説
②見取りの視点を与えたり学習資料をもとに運動に応じたよい動きに気づかせたりすることで,子ども
の学び合いが育つだろう。
1 学習資料・学習カード
学習資料では,技術のポイントがわかりやすいように,チェス
トパスやバウンドパス,山なりシュートの掲示を用意した。子ど
もたちは,ポイントを図で見ながら練習をしていた。また,学習
カードでは,個人の毎時間のめあてがわかるように学習カードを
作成し,友だちにゲームの様子をみてもらい,パスやシュートの
回数などを記入してもらうようにした。それが,ゲーム中やアド
バイスタイムで,友だちの動きのよさやさらに動きがよくなるよ
うなアドバイスなどを伝えるときに,参考にできるようにした。
(学習カード①ねらい1)
学習資料
(学習カード②ねらい2)
めあて
めあて
友だちのいいところを見つけながらゲームを楽しもう。
名前(
☆自分のめあては達せいできたかな。
)
お友だちに見てもらおう!
ゲームに参加して見つけた友だちのいいところを書いてみよう。
《よくできていた◎
いいところはどんどんまねをして、つぎのゲームに生かそう!
(
(
(
できていた○
あと少しでできるよ△》
さん)
ゲーム1前半
ゲーム2前半
ゲーム3前半
ゲーム1後半
ゲーム2後半
ゲーム3後半
さん)
さん)
今日のゲームをふりかえろう!
今日のゲームをふりかえろう!
⑤
今日のゲームは楽しかったですか。
◎
○
△
⑥
ルールを守ることができましたか。
◎
○
△
⑦
めあてをたっせいできましたか。
◎
○
△
①
今日のゲームは楽しかったですか。
◎
○
△
②
ルールを守ることができましたか。
◎
○
△
③
友だちにアドバイスできましたか。
◎
○
△
④
自分のめあてを達せいできましたか。 ◎
○
△
2 授業を通しての子どもの変容
子どもたちの授業前の様子では,運動に対して22名中19名が好きと答え,17名がボール運動に
対し好きと答えていた。授業でこのリングゲームを行ってからは,ボールを投げる力,捕る力が増し,
ますますボール運動への意欲が高まったと思う。授業後のアンケートでは,運動に対して21名が好き
と答え,ボール運動に対して20名が好きと答えた。
子どもたちの様子としては,始業前や業間,昼休み
にはボールを使ってキックベースやドッジボールを
する姿が見られた。また,みんなで遊ぶ日ではボー
ルを使った遊びも増えた。中にはまだ投げていない
25
20
10
友だちやボールにあまり触れていない友だちへ投げ
5
ることを譲り合う姿が見られ,一人一人の技術の向
0
上とともに,学級全体で取り組む意識も向上してき
たように思われる。
3 学習過程の工夫
授業前
授業後
15
運動が好き
ボール運動が好き
(1)授業の流れの工夫
ねらい1では,ゲームをする中で困ったことを出し合わせ,ルール作りをさせることで,子どもたち
全員が楽しめるようにした。衝突する危険性からボールを持っている人にはさわらないなどのルールを
子どもたち自身が作り出し,全員がルールを守らないとゲームを楽しめないということを感じながら授
業に参加していた。
ねらい2では,ゲームごとに,チーム内でパスやシュートなど一人一人が頑張りたい簡単な作戦(め
あて)を明らかにさせた。そして,相互にチェックした記録カードを教え合い活動(アドバイスタイム)
でのアドバイスに生かすことで,よりよい動きにつなげさせた。子どもたち一人一人が,簡単な作戦(め
あて)を立てることで,子どもたちの意欲の持続と個々に応じた技術向上につながったと考える。
(2)アドバイスタイム
ゲームが一つ終わるごとに,友だちの動きのよかったとこ
ろなどを伝え合う教え合い活動(アドバイスタイム)を設け
た。そのことで,友だちへのアドバイスが即座に伝えること
ができたのではないかと考える。そのため,シュートをたく
さんするというめあてを立てた子どもは,シュートした回数
を伝えてもらい,前のゲームでの回数と比較したりすること
ができる。また,次のゲームに生かすこともできる。
4 成果と課題
この単元では,授業の流れの工夫やアドバイスタイムなどをもうけることで,子どもたちの学び合い
の姿が多く見られ,子どもたちの技術の質の高まりにはつながった。授業後の感想に「友だちがチェス
トパスができていたよ。と言ってくれたのでうれしかった。」という意見や「友だちがぼくのめあてであ
るパスの回数を数えてくれたので,集中して取り組めた。」という意見が聞こえた。アドバイスタイムが
有効に活用し,子どもたちが学び合い,技術の向上につながったと考える。しかし,子どもたちの運動
に親しむ量をきちんと確保できたかは課題が残った。