1 算数科における板書と子どものノートにめざすもの 2 板書の構造化

「板書の構造化」「板書とノートとの一体化」「1時間完結型授業に向けての7つのポイント」
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算数科における板書と子どものノートにめざすもの
課題解決学習の一時間完結型の授業において、板書は児童が今日は何を学ぶのかをしっかり掴むこと
と、授業の終わりにその1時間を振り返り、学習内容をまとめることができることが大切である。この
ことが「板書の構造化」である。よって、まずは「板書の基本」をつくり、授業の展開に沿い子どもの
思考が整理され、指導の重点が明記された板書である必要がある。
また、子どものノートにおいては、学年に応じて段階的に「ノートの使い方」を指導し、最終的には、
子ども自身による創意工夫したノートでこれまでの学びをふり返ったり、自分の考えをより分かりやす
く書き表したりすることで、学習内容の理解を深めることができる「ノートが自分の参考書」となりう
るノートづくりを目指す。
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板書の構造化
全学年の基本形として下の「板書の基本Ⅰ」を基として、低学年・中学年・高学年と発達段階に応じ
た板書になるよう留意する。
板書の基本Ⅰ
黒板を 3 分割し、基本として左・中をノー
めあては授業の初めに提示できる授業
めあて・問題・まとめ・練習問題の 4
ト 1 ページ分として授業を進めていく。
と、問題を解いていくうちに中心課題
つのマグネットカ―ドは。原則として、
月
として明確になってきて、途中で板書
黒板の同じ位置に配し、めあてを青囲
する場合もある。
み、まとめを赤囲みとする。
日( )ページを 必ず書いていく。
4月17日( )P、
めあて
(中心課題)
<考え 2>
問 題
<考え 1>
(式)
まとめ
練習問題(評価問題)
前時との違い
今日の学習の「ふりかえり」をする。
・新たに分かったことや良かったこと
・友だちの考えなどで感心したこと
ふりかえり
・さらに追究したいこと・疑問・・等
と同じ字数を基本として板書していく
●児童が「めあて(課題)
」を意識しながら、自分の言葉で「まとめ」ができる
ふりかえり
ふりかえり
ように必要な語句や考え方は、必ず板書しておく。赤チョーク・黄チョーク・
。(特に、低学年は重要です。
)
下線などにより強調して黒板上に明記しておく。
●「教師と同じスピードで書く」を目標に、
●はじめは、「虫食い文」の、(
毎回できたかどうか評価していく。そのこと
とからはじめ、次第に自分の言葉でまとめられるようにしていく。
●教師は、児童のノートの 1 行(例 15 マス)
によって、集中して速くノートをとることが
できるようになる。
)の要語句や数値を埋めさせていくこ
板書例<中学年>
下敷きを入れ、授業開始前に
(
月
●板書のキーワードに目を向けて、次第
日
に自分の言葉でまとめられるように
)を書いて準備して始業のあいさつ
していく。まずは自分の言葉で書か
をする。
せ、不十分な点を書き足させていく。
○月○日( )P、
(中心課題)
<考え 2>
めあて
●中心課題に対する自分の考えを絵・
問 題
<考え 1>
まとめ
練習問題(評価問題)
図・数直線・式・言葉などを使い書
前時との違い
(式)
き表わす。
●自分の考えと友だちの考えの違いに
目を向けメモをとる。
ふりかえり
●前時や前単元との違いに目を向け、ノート
今日の学習の「ふりかえり」をします。
を使って振り返りをする。
・新たに分かったことや良かったこと
●自分の考えを絵・図・数直線・式・言葉な
・友だちの考えなどで感心したことむ
ふりかえり
どを使い書き表わす。
・さらに追究したいこと・疑問・・等
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板書とノートの一体化
(1) ノート指導の方向
小学校修了時のめざす子どもの姿から、発達段階をおって 3 つのステップを設定し、指導の重点を
明確にし、積み上げていくことが必要である。
第 1 ステップ (低学年)
先生といっしょに、ノートのつかいかたをおぼえよう。
第 2 ステップ (中学年)
自分の考えを絵・図・式・言葉などをつかってノートに表そう。
第 3 ステップ (高学年)
友だちの考えを活かし、参考書となる工夫したノートをつくろう。
(2) 具体的手だて
まず、全校で次の『三芳小
ノートの五つの約束』を確認しあい、指導を徹底する。
『三芳小 ノートの五つの約束』
①
日付とページを書きます。
②
めあて青、問題黒、まとめ赤、黄色チョークは青ペンを使います。
③
定規を使います。
④
適度な余白をとります。
⑤
自分の考えは、消さずに残しておきます。
(3) 指導のポイント
○まずは、学習用具中でも筆記用具をしっかり整える習慣をつけさせることが大切である。
○ノートの使い方の基本的な約束について徹底させる。たとえば、行・マスの空け方、文字の大きさ、
赤・青・黒鉛筆の使い方、定規の使いい方などについて、
「次は、1 行空けて 3 マス目から書きなさ
い。
」など具体的に指示し、特に、年度当初に、力を入れて指導していく必要がある。
○ノートを基本とし、できる限り図や表を子ども自らが書き、それらを自在に書いて使えるようにな
ることをめざす。必要に応じては、最小限のワークシートを準備し学習が深まるようにする。また、
ワークシートは、ノートに貼って整理し、学習の足跡としていく。
○可能な限り友だちの考えや話し合いのポイントをメモし、授業内容を明らかになるようにする。
○板書の重要な点や自分の考えがきちんと書かれ、原則として見開き 2 ページで 1 時間の学習内容が
収まるように教師が計画して授業に臨む。
○電子黒板(デジタル教科書)を使用した際の 留意点として、
「わかったこと・考え」などをノート
に書き残しておく。
以上のことに留意することで、板書と一体化したノートとなり、また見やすいノートを意識させ、
他教科や家庭学習ノートでも応用していくよう指導を継続していく。
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1時間完結型授業に向けての7つのポイント
① 指導内容の把握
1時間(45分)で指導できる内容なのか、もしくは、2時間かけるべき指導する学習内容なのかにつ
いて、十分に教材を研究する。また、教師が教える内容なのか、子どもにじっくり考えさせる内容な
のか、また、これまでの学習の習熟を図るための内容なのかについても検討し、年間を見通しての時
間配分の軽重を付ける必要がある。
② 「授業の流れ」の確立
授業の基本の進め方を理解させる。⇔「板書の構造化「板書とノートの一体化」
めあて
問題
考え方
まとめ
練習
のカードを位置付けることによって、視覚による学習効果
を高め、どの子にも学習の見通しが持ちやすくなる。
③ 導入の工夫
「すっきり導入⇒[本時のめあて]づくり⇒学習の見通しを立てる」までを短時間に進めていく。
④ [本時のめあて]づくりの工夫
本時の問題と前時(既習の内容)との違いより生まれた「困り」から、子どもたちがめあてをつくるこ
とによって、意欲や関心を高めるようにする。既習内容を想起しやすいように、全学級の教室前面に
きょうのポイントの掲示コーナーを作り、ふり返りがしやすいようにする。
「めあて」は、一般化した課題に ⇒ 「まとめ」がしやすい。
⑤ 学習形態の工夫
ペア学習、グループ学習・ウォッチングタイムなど、その活動の目的を明確にして、授業の中に取り
入れる。
⑥ 終末の工夫
「まとめ」は、
「めあて」を主語として、子どもの言葉を活かし算数的用語や重要語句を抑えながら
まとめる。練習問題は、難易度を考慮して問題数を絞って出題し、1時間の学習の理解度の評価とす
る。
⑦ てきぱきとした学習作業の習慣化
「先生と同じスピードで書きましょう」等・・・聴写の取り入れ等、適時評価をする。