フランス北西部 グリーン・ツーリズムの旅 2012年5月29日(火)~6月11日(月) ITおやじ/清水 正博 2 はじめに 2006年8月、クロアチアを初めて単独で車で旅し、その後、ノルウェーのフィヨルド、フランス東部の美しい 村、イタリアの美しい村など、ヨーロッパの田舎を求めて旅しました。これらの旅の中で、フランスが一番素 晴らしいので、2011年6月に二度目のフランス、今度は西部の美しい村を訪れました。 フランス、とりわけ田舎は緑が多く、自然が美しくて癒される、ということもありますが、文化・歴史はイタリア に劣らず深みがあるし、宿泊施設は整っていて食事やワインは美味しいし、田舎の人は親切で治安もいい し、道路は広くて空いていて走りやすい等々、旅をする環境(ツーリズム)が、日本やイタリアよりもはるかに 整っているのです。フランスのツーリズムが整っている理由としては、以下のような経緯があります。 フランスでは、9世紀~15世紀に、ブルターニュ公国、ブルゴーニュ公国などが勢力を競い合う中、地方の 村は、敵の侵略を防ぐため急峻な崖の上に鷹の巣村を作り、堅牢な城塞を築きましたが、16世紀にフラン スに併合され、これらの村は廃れ、城塞も廃墟と化していきました。 ところが、18世紀後半、ジャン・ジャック・ルソーの自然賛美を契機に、王侯貴族の間では農村を癒しの場と するブームが起き、ロワール河周辺に優雅な城を作り、昼は狩りに熱中し、夜は社交に明け暮れ、19世紀 には、一般の人々も農村をくつろぎの場とする「グリーン・ツーリズム」が盛んになってきました。 そして20世紀後半には、農家の空き家、貴族の館、水車小屋などを修復し、シャンブル・ドート(農家民宿、 シャトー民宿など)として活用するとともに、フランス政府の支援で5万軒近くのシャンブル・ドートのネット ワーク「Gites de France」が実現し、「グリーン・ツーリズム」が普及していきました。 また、これらの動きと呼応して、廃墟と化した地方の村々を復興する動きも盛んになり、1982年には、「フラ ンスの最も美しい村協会」が設立され、人口2000人以下、2つ以上の保護遺産があるなど、厳しい基準の もと、フランス全土から美しい村(現在156村)を選出しました。この制度により、村の人々が村に誇りを持ち、 村をあげて廃墟と化していた中世の城塞や教会を修復し、自然の景観を保護した結果、治安もよくて安心し て旅ができるようになり、世界中の人々がフランスの美しい村を訪れるようになりました。 このような経緯で、フランスの田舎でゆったりと森を散策したり、サイクリングを楽しんだり、田舎の家庭料理 やワインに舌鼓を打つなどして、地元の人と触れあう旅、「グリーン・ツーリズム」が発達し、これがフランス 人だけでなく、欧米各国の人々にとっても、最高の余暇の過ごし方になってきました。 一方、いわゆる日本のツアーでは、観光地を目指し、朝早くから夜遅くまで大人数のバスで移動し、ホテル に帰ると、楽しいはずのディナーはおざなりの口に合わない料理が出てきたりして、ツアーに何度も参加して 旅慣れた方は、「もうこんな旅はしたくない!」との意見もよく聞いていました。 本来、旅の楽しみは、「行きた いところに行き」「食べたいところで食べ」「泊まりたいところに泊まる」ところにあり、これを実現するには個人 で旅するしかありませんが、これはなかなか難しいものです。 私が、フランスの田舎を一人でドライブして、グリーン・ツーリズムを実践し、HPで紹介したところ、私の旅に 同行したいという声も沢山いただきました。また、私の友人、野菜おやじさんは、海外特派員としてヨーロッ パ滞在時に、フランスの田舎の素晴らしさ、グリーン・ツーリズムを体感しており、日本のツアーの貧弱なこ とを嘆いていました。 そこで、できるだけ多くの方に本当の旅のよさを体験していただこうと思い、二人で協 力し、グリーン・ツーリズムの旅を企画することにしました。 旅の企画としては、2012年5月下旬、花の美しいフランス北西部を訪れるプランと、ブドウ畑の美しいフラ ンス北東部を訪れるプランです。いずれも4組8人限定で、 20人乗りマイクロバスで移動し、美しい村で ゆったり過ごすとともに、農家、シャトー、水車小屋などのシャンブル・ドートに宿泊して、地元のワインや郷 土色豊かな家庭料理を味わう、14日間の旅です。 この二つのプランをHPで参加者を募り、大阪、東京で説明会を開いたところ、それぞれ参加希望はありまし たが、最終的には、関西の参加者を中心に、フランス北西部の旅のみに絞り、私がアテンドして実施するこ とになりました。 この本は、フランス北西部グリーン・ツーリズムの旅の顛末記です。 3 旅のスケジュール立案について これまでフランス全土約8000㎞を車でまわって分かったことは、フランスは地方によって気候・歴史・文 化・食事が異なり、それぞれの地方がそれぞれ独自の魅力を備えてており、非常に多様性に富んでいる ということです。 この中から、行き先を決めることは非常に難しいのですが、今回の旅はグリーン・ツーリズムにピッタリ合 致するところ、つまり、フランス北西部の海岸線が美しくて、魚介類が美味しくて、古いフランスがそのまま 残っているブルターニュ地方と、森と川に囲まれた優雅なシャトーが点在し、緑豊かなロワール地方を選 んで旅することにしました。 フランス北西部の田舎を旅するには、まず日本からパリ空港(シャルル・ド・ゴール空港)に入ります。日本 からパリへの直通便は、午後出発便と深夜出発便がありますが、昼間出発して寝ないで午後フランスに 着くよりも、深夜便で眠っておいて早朝フランスに着く方が却って疲れないし、時間も有効に使えるので、 深夜羽田発のJAL便で行くことにしました。パリ空港からはマイクロバスをチャーターして移動します。 次に行き先ですが、旅のテーマがグリーン・ツーリズムですから、やはりフランスの美しい村は外せませ ん。パリ空港からノルマンディ地方、ブルターニュ地方に向かって車で走っていくと、ゴッホをはじめとする 画家たちが愛した美しい村がいくつもあるので、これらを訪ねます。 途中のノルマンディ地方には、世界遺産のモン・サン・ミッシェルがあります。ここは人が多すぎてあまり気 が進みませんが、やはり誰もが一度は行きたいところなので外せません。 フランス北西端に位置するブルターニュ地方で折り返しですが、ここは特に大西洋に面した荒々しい海岸 線が美しくて、ポン・デュ・ファやポン・デュ・ラなどの花が咲き乱れる岬を歩きます。また、ブルターニュ地 方はグルメでも有名で、獲れたてのエビやカニは絶品です。 次にサントル・ロワール地方ですが、ここは優雅なお城が沢山あり、貴族が狩りや田園生活を楽しんだと ころで、いわばグリーン・ツーリズムの本場です。ここではお城とワイナリーを訪れるとともに、世界遺産で もあるロワール川流域のサイクリングを楽しむことにより、グリーン・ツーリズムを満喫します。 以上のような見所を訪ねるべく、旅のスケジュールを立てるわけですが、車で旅する場合、これまでの経 験からして、1日の走行距離は平均200㎞、移動日でも最大300㎞というのが基本で、この距離を念頭 に泊まるところを決めていきます。 まず、初日は飛行機で疲れるので、パリ空港からマイクロバスに乗り込み、パリから北に100㎞ほど離れ た静かな村に宿泊。翌日は西に300㎞ほど移動して、ノルマンディ地方に入り、モン・サン・ミッシェルの 近くの村に宿泊。その次は、更に西に300㎞ほど移動して、ブルターニュ地方に入り、岬や海辺の美しい 村の観光拠点となる村に宿泊。最後は、東に300㎞ほど移動してサントル・ロワール地方に入り、ロワー ル流域の観光拠点となる村に宿泊とすることにして、最終日は一気に東進し、パリ空港に向かいます。 旅のスケジュールは次ページのとおりです。 4 【第1日目】2012年5月29日(火) イル・ド・フランス地方 羽田空港からパリ空港へ 午前から雷雨が激しい中、娘と孫が車で送ってくれたので、18時には伊丹空港です。 羽田へのフライトは20時20分、19時半JALカウンターに集合予定で、時間もあるので孫達と夕食をとっ ていると、雷雨の影響で、羽田へのフライトが遅れる可能性があるので、フライトを一つ早めたいと、Oさん から電話がありました。この少し前に従姉から姫路からのリムジンバスが、事故のため遅れているとの電 話もあり、フライトを早められるかどうか心配でしたが、何とか間に合って早い便に乗ることができ、無事 羽田空港にたどり着きました。 羽田空港では、Nさんと待ち合わせる予定でしたが、電話がないのでJALカウンター近辺を探していると、 携帯電話を忘れてきたとのことで、予定の時間には椅子に座って待っていました。これで何とか9名全員 揃ってパリ行きの飛行機JL138便に乗り込むことができました。 飛行機は揺れもなく順調で、翌日5月30日(水)朝6時にはパリ空港です。飛行機を降りてBaggage Claimに向かおうとすると、機内に帽子を忘れたことに気がつき、JAL係員にこのことを伝えると、探して すぐに持ってきてくれました。この旅最初の忘れ物です。空港では、トイレが美しいと女性に好評でした。 気を取り直して税関に行くと、あまり混んでいないし、トランクもすぐに出てきました。出口に向かうと、ドラ イバーのアランALANさんが待っていてくれて、さっそくマイクロバスに乗り込みます。バスは20人乗りで、 アランさんを入れて10名なので、ゆったり座ることができるし、トランクの収納スペースも十分です。 今回の旅では、バスは旅行社と契約し、担当窓口のIさんには、フランスORANGE社のプリペイド携帯電話 の調達と、足が痛くてあまり歩けない従姉のための折り畳み自転車のレンタルをお願いしていることもあ り、まずパリ市内の旅行社に向かうことにしました。 旅行社に行くのは30分もあれば十分と思っていたのですが、パリ市内への道は大渋滞で一向に進みま せん。かなりイライラしたのですが、2時間以上かかってやっと携帯電話と自転車を手に入れることができ ました。また、方向音痴の私には不可欠のガーミンが動作していることも確認して準備万端です。 皆さん、少しお腹も空いたので、パリのど真ん中のパティシエでパンを買って、トイレもすませて、エッフェ ル塔を横目で見ながら、イル・ド・フランス地方の最初の目的地オーヴィエ・シュル・オワーズに出発です。 イル・ド・フランス(フランスの島)地方は、パリを中心に半径100キロに広がる地域で、豊かな田園風景と フォンテーヌブローの森に代表される深い森林地帯が広がります。パリに近いことから政治的・文化的に 重要な施設などが数多く点在し、ヴェルサイユ宮殿やフォンテーヌブロー宮殿は政治の中心の役割を果 たしました。 フランス Orange携帯電話 この旅でチャーターした20人乗りマイクロバス ガーミン Dakota20 5 【第2日目】2012年5月30日(水) イル・ド・フランス地方 オーヴェル・シュル・オワーズ オーヴェル・シュル・オワーズ Auvers-sur-oise は、セーヌ川の支流オワーズ川沿いにある小さな村で、 セザンヌや、ピサロなど、多くの画家たちがアトリエを構えました。しかし、何といってもこの村は、ゴッホ が死の直前をすごした村として有名で、彼は自殺するまでの2カ月間、晩年の傑作といわれる『オーヴェ ルの教会』や『カラスのいる麦畑』など、村の建物や風景をモティーフにして、70点あまりもの作品を仕 上げました。また、麦畑や糸杉などゴッホが描いた風景がいまもそのまま残っており、ゴッホのお墓には、 花が一杯です。この村を1時間ほどブラブラして、ラ・ロッシュ・ギオンに向かいます。 今回の旅で、最初に訪れたツーリストオフィス オーヴェル教会 オーヴェル・シュル・オワーズの民家 12 ゴッホの墓 ゴッホの描いた絵(Yさん撮影) 【第2日目】2012年5月30日(水) イル・ド・フランス地方 ラ・ロッシュ・ギヨン(美しい村) セーヌ河畔の絶壁の上にあるラ・ロッシュ・ギヨンLa Roche-Guyonは、人口460人の小さな村で、イル・ ド・フランス地方とノルマンディ地方の中間に位置し、乳白色の石と木組みのコロンバージュ建築が同居し ています。12世紀に着工した城は18世紀に完成し、中世の雰囲気がそのままの姿で残っており、汗をか きながら急な階段を頂上まで上がると、雄大なイル・ド・フランスの大地が見渡せます。頂上には沢山の 子供達が来ていました。ここから見えるセーヌ川畔の広大な庭園には、沢山のリンゴの木あります。 この村に2つしかないレストランでクレープの定食を頼んで、この旅で初めての昼食です。 お昼の定食は、卵とハムの入ったクレープにシードル酒 ラ・ロッシュ・ギオンのクレープレストラン デザートは甘いクレープ ラ・ロッシュ・ギオンのお城 頂上に上がるとセーヌ川の展望が開ける 塔には洞窟の階段を登っていく(Nさん撮影) 7 ノルマンディ地方 【第2日目】2012年5月30日(水) ジヴェルニー ノルマンディ地方は、フランス北西部、英仏海峡に沿って開けた地方で、セーヌ川の下流域にあたり、風 光明媚な土地が続きます。8世紀末に、海を渡って侵入したバイキング(ノルマン)がノルマンディ公国を 建国し、13世紀にフランスに併合されるまで、独自の文化を築きました。ジヴェルニーは、人口500人の 小さな村ですが、クロード・モネが40年以上住んだ村です。またモネに惹かれて多くの印象派の画家が 村に滞在し、20世紀初頭、ジヴェルニーは芸術家のコロニーとして賑わいました。民宿にチェックインして、 まずモネの家を訪れました。去年も来て驚きましたが、パリから近いこともあり、やはりすごい人出です。 ハスの池の向こうには太鼓橋が見える 14 モネは窓からこの庭を眺めていた。(Nさん撮影) 庭は緑で覆われている ノルマンディ地方 【第2日目】2012年5月30日(水) 民宿 ル・ムーラン・デ・シェネヴィエ ① ル・ムーラン・デ・シェネヴィエLe Moulin des Chennevieresは水車小屋民宿ですが、去年来た時に、こん な素敵な家に泊まるのもいいなと思っていた民家で、まさか今日の宿泊がここだったとはビックリです。 ステファニーに挨拶して、トランクを部屋に運ぼうとすると、床に傷が付くので自分が運ぶというのです。 私の部屋は屋根裏で、天井が低くて柱に頭を打ち付けそうですが、居間は調度品が素晴らしくていい雰 囲気です。夕食は庭のBBQで焼いたソーセージとサラミ、アペリティフは白ワインのカシス割。メイン ディッシュはビーフですが少し焼きすぎ。ドライバーのアランさんも交じって楽しい食事を楽しみました。 夜はアメリカの睡眠薬Tyrenolを飲んだので、朝6時までぐっすり眠れました。 民宿 ル・ムーラン・デ・シェネヴィエの玄関 素敵なリビングルーム 裏から見たル・ムーラン・デ・シェネヴィエ 9 【第2日目】2012年5月30日(水) ノルマンディ地方 民宿 ル・ムーラン・デ・シェネヴィエ ② ここはもともと水車小屋で、納屋には猟のための鉄砲、自転車、家の横には川が流れています。裏庭は 広大で、ダチョウ、カンガルー、アヒル、ウサギ、羊の他にも知らない動物も沢山いて、さながら動物園の ようです。朝起きて庭に出るとNさんと会い、村を散策しようとしたのですが、柵があってなかなか外に出ら れません。しかし諦めずに歩いていくと、何とか柵の切れ目を見つけて外に出ることができました。 1年前に来たところなので、記憶を辿りながら歩いていくと、モネのお墓のある教会があり、村を一回りし て民宿に帰りました。ここにはモネが好んで散策した道があります。この時も、民宿に帰る途中、私があら ぬ方向に歩こうとしたので、私の方向音痴にはNさんはビックリするやら呆れるやらで大笑いです。 16 大きなダチョウがウロウロしている カンガルーもゆったり過ごしている これは何かな? アヒルも走り回っている 民宿のまわりは素敵な雰囲気だ すぐ横には小川が流れ、モネが散策した道がある 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 ル・ベック・エルアン(美しい村)① ル・ベック・エルアン Le-Bec-Hellouin は、リンゴ畑が広がる、人口400人の小さな村です。村の名所は、 ノルマンディ公爵ギョーム2世がイギリス王(ギョーム1世)になる前の1034年に建てたベック・エルアン 修道院で、英仏の戦いの歴史にも深く関わってきました。修道院の中は非常に大きく、百年戦争の時代 には要塞化され、まるで宮殿のようです。 ベック・エルアン修道院の塔 ベック・エルアン修道院 ベック・エルアン修道院の礼拝堂 11 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 ル・ベック・エルアン(美しい村)② 村は、コロンバージュ様式の民家が連なり、まるで絵本のようです。修道院のはずれには、大きなプラタ ナスの並木道があり、すごくいい感じでいつまでもここに立ち止まっていたい気がします。村の公園での 昼食は、民宿の朝食から持ち出したパンとフルーツで最高でした。その後、近くのお城を訪ねたのですが、 2時30分開門で入れません。せっかく来たので、写真を撮り、バスに向かおうとすると、Nさんから、「ITお やじさん、バッグ忘れてる」と指摘され、更には従姉が、「バッグを道路に置いたままバスに乗ろうとしたの で、私も言おうとしていたところ」と言われ、大爆笑です。これで忘れ物は2回目、イタリアでバッグを置き 忘れた教訓が全く生かされていません。やはり私には誰か見ている人が必要です。 プラタナスの大木が立ち並ぶ道を歩いていくと、木の精に吸い込まれてしまいそうな感じがする 18 村にはコロンバージュ様式の美しい家が建ち並ぶ 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 サン・セヌリ・ル・ジェレ(美しい村)① サン・セヌリ・ル・ジェレ村 St-ceneri-le-Gereiは、ノルマンディ地方の森の中にある、人口144人の静か な村で、中心にはサルト川が流れます。イタリア人の聖セヌリが村を拓きましたが、ノルマン族により破壊 された後、11世紀に再建されました。村の高台にはサン・セヌリ教会があり、教会の壁には、イエスの磔 を表した彫刻や見事な壁画を見ることができます。 馬が駆ける草原の先には、広々した牧草地があり、 そこには小さなチャペルがポツンと立っています。4年前、本屋でこのチャペルの写真を見つけ、フランス の美しい村を旅することを思い立ち、ここを訪れました。この村は、私がこれまでいくつも訪ねた美しい村 の中でも一番好きな美しい村で、私のグリーン・ツーリズムの旅の原点です。 草原の中にポツンと立つチャペルを見ていると、無心になれる このあたりはサイクリングを楽しむ人が多い 13 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 サン・セヌリ・ル・ジェレ(美しい村)② 20 15 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 サン・セヌリ・ル・ジェレ(美しい村)③ チャペルの反対方向に歩いていって石橋を渡り、ふり返ると教会が見えます。ここまでは、前回は時間が なくて来れなかったのですが、森の緑と川と教会のバランスが何とも素晴らしく、ゆったりした気分になり、 時の経つのを忘れてしまうほどです。といっても、いつまでもゆっくりはしていられないので、この村を午後 4時過ぎに出発し、今日の宿泊地サン・ジーン・ル・トーマスSt.Jean le Thomasへ向かいます。 これから150Kmも走るのですが、一般道なのでトイレが見つからず、どうしようかなと困っていました。 しかし、アランさんが小さな街のきれいなトイレを見つけてくれてみんな大助かりです。ノルマンディのゆっ たりとした道を走り抜けると、何とか午後7時前に民宿シャトー・レ・オーに着きました。 ウマノアシガタ?が咲き乱れ、草原が広がる(Nさん撮影) 石橋をふり返ると教会が見える 22 サルトル川は水が豊富に流れている 水門 【第3日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 シャトー民宿 シャトー・レ・オー ① サン・ジーン・ル・トーマスSt.Jean le Thomasにある民宿シャトー・レ・オーChateau les Hautはモン・サ ン・ミッシェルから30Km。ここの部屋は全て2階と3階で、しかもエレベーターがなくて階段も急なので、荷 物を運ぶのが大変です。Yさんと、Kさんの荷物はアランさんに運んでもらい助かりました。部屋はゴー ジャスで、ベランダからはモン・サン・ミッシェルを望むことができます。午後8時からディナーで、前菜はホ ワグラのテリーヌ、メインはマトン、デザートはチーズ。ホワグラには甘い白ワインとパンが合います。 マトンは臭みもなく柔らかくてジューシー、シャンペンとボルドーの赤ワインも美味しい。 ディナーが終わると10時半。今日は移動時間が長くて、ベッドに入るとすぐにバタンキューです。 シャトー民宿 シャトー・レ・オー 民宿の居間 部屋は受付の横の階段から上がっていく 民宿から望むモン・サン・ミッシェル(Nさん撮影) 民宿のお庭は知らない草花が一杯 17 【第4日目】2012年5月31日(木) ノルマンディ地方 シャトー民宿 シャトー・レ・オー ② シャトー・レ・オーの敷地は広くて、お庭には数え切れないくらいの花が咲いています。 残念ながら、花に疎い私には、花の名前はほとんど分かりませんが、見て回るだけでも心が安らぎます。 ただ、フランス固有のものも多くて、花に詳しい人でも、花の名前を同定するのはなかなか難しいようです。 それにしても、この広大なお庭を一人で手入れしている女主人のスザンヌは大したものです。 24 ニゲラ サルビアの仲間? アリウム? ポピー? ポピー(八重咲き) わすれな草 トリカブト? Yarrow バラ ジギタリス ハマナス(バラ) バラ 【第4日目】2012年6月1日(金) ノルマンディ地方 モン・サン・ミッシェル(世界遺産)① モン・サン・ミッシェルMont Saint-Michelは、海岸線から1キロほど沖に突き出た岩山で、フランスで最も 有名な巡礼地です。参道にはみやげ物店、レストランが立ち並び、観光客で賑わいます。ここは干満差が 大きくて、満潮になると島への道が消えてしまい、波にのまれた巡礼者もいたのですが、現在は堤防がで き、いつでも訪れることができます。モン・サン・ミッシェルに馬で行けるのですが、もしも誰かが怪我でもし たら旅が台無しになるので断念しました。また、去年は車で近くまで行けたのですが、現在はかなり手前 でシャトルバスに乗り換えて行くことになります。去年は車の大渋滞で大変でしたが、このシステムの導入 により、大渋滞はなくなり、行きやすくなったのでしょう。 はるか彼方にモン・サン・ミッシェルが見える 麦畑にも真っ赤なポピーが咲いている(Nさん撮影) シャトルバスで近くに来る 19 【第4日目】2012年6月1日(金) ノルマンディ地方 モン・サン・ミッシェル(世界遺産)② モン・サン・ミッシェルを1時間半ほどかけてみて回った後、モン・サン・ミッシェルのオムレツを食べたい! という要望があったので、テレビで紹介されたレストランに入り、9人で6人分のオムレツを頼みました。 オーダー時、スモールかラージかと聞かれて、スモールで注文すると、巨大なオムレツが出てきました。 食べ終わって勘定を見ると、何と一人分の料金が、25ユーロのはずが、75ユーロとついているのです。 おかしいので、ウエイターを呼ぶと、何と100gあたり25ユーロ、300gで75ユーロだというのです。もし ラージで頼んでいると150ユーロ、15,000円のオムレツなのです。これは全く詐欺です。こんなことを文句 も言わず認めるから日本人はバカにされるのだ!と憤慨しましたが、グループ行動なので我慢しました。 26 モン・サンミッシェルの中庭 モン・サンミッシェルから見える小島 モン・サンミッシェル モン・サンミッシェルからの景観 これで荷物を吊り上げていた 75ユーロのオムレツ!!! 【第4日目】2012年6月1日(金) ノルマンディ地方 サン・シュリアック(美しい村) 3時頃には、モン・サン・ミッシェルから、ランス河口に位置するサン・シュリアック St Suliac に向かいます。 この村は、肥沃な大地と大西洋両方の眺望が開ける村で、村の細い路地には石造りの漁師の家が並び、 村の頂からはサン・シュリアック教会の鐘楼が人々を見守るようにそびえます。サン・シュリアック教会の 海岸沿いには、遠浅で穏やかな海が広がっており、民家の庭や窓には使われなくなった浮き子や網が飾 られています。港にはヨットが沢山泊まっており、ベンチに座ってゆったりした気分でヨットを眺めているの もまたいい気分です。Oさんはずっと体調がよくないようでしたが、今日から元気になりよかったです。 サン・シュリアックの港 サン・シュリアックの民家 サン・シュリアック教会 21 【第4日目】2012年6月1日(金) ノルマンディ海岸の夕日 真っ赤に染まる夕日の中、馬ぞりがノルマンディの海岸を走っていました。 なかなか幻想的な光景で、ついカメラを向けてしまいました。 28 ノルマンディ地方 23 【第4日目】2012年6月1日(金) ノルマンディ地方 ノルマンディ海岸のレストラン ディナーは、民宿の予定でしたが、スザンヌから、毎日料理を作るのは大変で、美味しいところを紹介する のでそこで食べて欲しいとの要請があり、ノルマンディ海岸に面した夕日の見えるレストランに行きました。 皆さん、いろいろ迷ったあげく、結局頼んだのは一番無難なMenu(定食)で、蟹のスープと、魚(多分鱈) のクリーム煮にほうれん草、ジャガイモ、デザートはアップルタルト、女性陣は、お昼のオムレツがこたえ たようで、温野菜や冷野菜を頼むと、ホワイトアスパラがついてきて大喜びです。また、日の入りはガーミ ンによると、9時57分。夕日を是非見たいとのことで、女性陣は10分ほど前から海岸に陣取り、写真を撮 り、ご満悦でした。 海辺のレストラン 夕日に魅せられて・・・ 30 【第4日目】2012年6月2日(土) ノルマンディ地方 シャトー民宿 シャトー・レ・オー ③ 朝5時に目が覚めて、ベランダにでてみると外は真っ暗で肌寒い。6時頃やっと夜が明けてきて、鳥のさえ ずりがあちこちから聞こえます。シャトー・レ・オーの朝食は、暖炉のあるダイニングで、イベリコ豚、絞りた てのミルク、自家農園で採れたトマトとキュウリ、ヨーグルト、15種類以上のジャム、魚の燻製、生ハム、 クロワッサン、フランスパン、メロン、各種チーズ、お米と牛乳とバニラで煮込んだデザート、コーヒー、紅 茶、ジュース等々、書ききれないほど沢山あって、こんな新鮮で美味しくて豪華な朝食はフランスでも初め て、大満足の朝食でした。到底、食べ切れませ~ん。 全員あまりにも豪華な朝食でビックリ これだけ食べると昼は抜きだ イベリコ豚にハム、ソーセージ アボカドとテリーヌかな? メロンもタップリ チェリーにムースも山ほどある 25 【第4日目】2012年6月2日(土) ノルマンディ地方 シャトー民宿 シャトー・レ・オー ④ シャトー民宿の女主人、スザンヌは日本に非常に興味を持っており、私が選曲・編集した由紀さおりのCD をプレゼントすると非常に喜んで、受付カウンターでは、歌に合わせてリズムを取りながら事務処理をして いました。Oさんからは、Yさん手彫りの彫像と、アニメのCD、梅酒をプレゼントしましたが、これまた非常に 喜ばれました。 民宿からの風景 32 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 トレギエ ① フランスの西端、大西洋に突き出した半島に位置するブルターニュは、英仏海峡を挟んでイギリスと接して います。5世紀に、ケルト人がイギリス(ブリタニア)から移住したころにはこの地方は「ブリタニア」と呼ばれ、 1532年フランスに組み入れられるまでブルターニュ公国として栄えていました。トレギエTreguierに着くと、 まずツーリストオフィスに立ち寄り、地図をもらい、公園に座り込んで、民宿からもらってきたサンドイッチや フルーツを食べ、ゆっくり休んでから、街を見て回りました。この町は、中世の頃は芸術と交易の要所で、 石畳の小道や歴史を感じさせる建物、そしてアートギャラリーや骨董品のお店などが建ち並びます。 トレギエ民家 このあたりの石は色が濃い 誰かの記念碑 トレギエ教会 トレギエの町並み 気持ちのよい公園でランチタイム トレギエの港(Nさん撮影) 27 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 トレギエ ② 34 29 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 モルレー トレギエから西に走っていくと、途中にモルレーMorlaixという古くて素敵な街があり、トイレ休憩も兼ねて 少し時間を取りました。ここには古代水道橋があり、その上を、フランス新幹線(TGV)が走っており、去年 その橋を歩いたので、記憶を辿りながら登り口を探すことにしました。5分ほどウロウロしていると、何とか 登り口を見つけることができて、希望者だけ水道橋の通路を歩いて渡りました。皆さん初めての体験でな かなか興味深かったようです。この街では、丁度市場が開かれており、Yさんがチェリーを沢山買って、皆 さんに分けていただきましたが、非常に美味しかったです。 古代水道橋の上をTGVが走っている 36 急な階段を上ると橋の通路にたどり着く 橋の通路はさながらトンネルのようだ(Nさん撮影) 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 モンダレ ブルターニュは、先史時代にメンヒルやドルメンなど巨石文化がはぐくまれ、ケルト文化と融合して独自の 文化・風習が生まれました。言葉も独特で、現在でも、標識はフランス語とブルトン語の両方で表記してあ るほどで、ブルトン人の伝統は息づき、フランスの数ある地方のなかでも特異な存在です。 特に、フェニステールFinistere(地の果て)は自然も特異で、いくつもの息を呑むような景色があります。 中でも、モンダレMonts d‘Arréeの岩とヒースに注ぐ光は、神秘的な景観を見せてくれます。この日は、雨 模様にもかかわらず、私の期待通り、素晴らしい景観を見せてくれました。 このあたり一面にヒースが広がる この階段を上がっていく 美しい小さな花が咲いていた 31 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 ブラスパールのモン・サン・ミッシェル モンダレの、曲がりくねった山道を登っていくと、周囲を見渡せる地点、ブラスパールBraspartsにたどり着 きます。このあたりは湿地帯で、岩がごつごつしており、ヒースに覆われています。ここには小さな教会が ありますが、ブラスパールのモン・サン・ミッシェルLocal Mont Saint-Michel in Brasparts と呼ばれており、 広大な平原に教会だけがポツンと立っています。我々が行くまで雨が降っていたのですが、モン・サン・ ミッシェルに登り始めると何と雨が止んできました。ヒースに囲まれた丘の上にひっそりと佇む教会は本当 に素晴らしく、視界も360度拡がり、思わず見とれてしまいます。 実はこのブラスパール、フランス人は、バハパと発音するのです。フランス語は本当に難しい。 38 33 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 サン・テルボ ブラスパールから30Kmほど走ると、サン・テルボSaint-Herbot, Loqueffret という小さな村があります。 ここには14~16世紀に建てられたゴシック建築の教会があり、内部は16世紀に造られた彫刻やステン ドグラスが非常に美しいです。教会の壁や柱には、空想の動物が沢山彫られており、何か荒々しくて男性 的で、これまで見た教会とはかなり感じが異なり、原始キリスト教の風情を残しているように感じます。 今日はかなり走ったので、ここは止めておこうかと思ったのですが、無理してここまで来て本当によかった です。この教会も堪能して、今日の宿泊地ケルニールKernirに向かいました。 サン・テルボのゴシック様式の教会 40 ステンドグラスが美しい 彫像も素晴らしい 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 農家民宿 ケルニール ① 今日の宿泊は、農家民宿フェルム・ド・ケルニールFerme de Kernir。 何もない田舎道をGPSが指示する ままドンドン進んでいくと、そのうち農家が見えてきました。到着するとすぐに、民宿の主人フィリップと奥さ んのマドレーンがでてきました。二人とも田舎の人らしく、素朴で感じがよくて、気持ちが伝わってきます。 この農家は牛を60頭くらい飼っているようで、我々が泊まる建物の前には牛舎があり、かなり匂います。 これも田舎の楽しみ方だと我慢していると、そのうちあまり気にならなくなるものです。ここは5部屋しかな いので、アランさんは近くの農家民宿に泊まれるよう手配しました。 農家民宿 ケルニール 玄関先にはこんな看板が これが民宿の目印 35 【第5日目】2012年6月2日(土) ブルターニュ地方 農家民宿 ケルニール ② ディナーは7時半からで、マドレーンがクレープを焼き、フィリップがワインをついでホスト役です。最初は、塩 味の麦のクレープで、ハム、卵、チーズなど、好みに応じて焼いてくれて、次に、各自で焼くよう薦めるので、 まず私が焼きました。その後の小麦粉の甘いクレープは、メインディッシュが食べられなくなるので断わるの ですが、しつこく食べろと迫るのです。しかしそのうちに、二人とも席に座り次の料理を作る様子はなく、これ でディナーは終わりのようなのです。しまった!もっと食べるのだった!と悔やんでも後の祭り。しかし、これ ではお腹が空くので、ホットミルクを頼むと、フィリップは驚いたようですが、牛小屋からミルクを取ってきてく れました。このミルクの美味しかったこと。それにしてもクレープのディナーがブルターニュでは正式とは! マドレーンが器用な手さばきでどんどんクレープを焼いていきます。 ブルターニュ地方のもてなしのディナーがクレープだけだと知っていれば、皆さんもっと食べたのだけれど・・・ 42 私が焼いたいびつな形状のクレープ 【第5日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 農家民宿 ケルニール ③ 朝起きてみると、牛の乳搾りが始まりそうなので覗いてみました。ここには牛が60頭いて、一回10頭ず つ、朝夕二回乳搾りをします。乳搾りを待っている牛の乳房はパンパンに張って、待っている間にも乳が したたり落ちています。牛も早く絞って欲しいのでしょう、先に行きたくて前の牛を頭で押しのけています。 若い男性が、乳搾りの牛舎のゲートを開けると喜んで10頭が牛舎に入っていき、乳搾り機にお尻を向け てじっとしているのです。そして、若者が乳房を殺菌して吸盤を装着すると、お乳が一気に吹き出てきます。 若者によると、乳搾りでとれる乳の量は一回最大25㍑、一日最大45 ㍑ だそうです。 牛舎 早く乳を搾ってもらいたくて押し合っている 牛たちはここで放牧されている(Nさん撮影) 乳を搾ってもらうと乳房は一気にしぼむ 乳を絞り終わると足も軽やかに退場する 37 【第7日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ミレ インターネットの天気予報によると、フィニステール地方は今日は晴れ、明日は曇り、明後日以降は雨と のことなので、明日予定のポン・デュ・ファからポンデュ・ラへの海岸沿いのハイキングを、今日に繰り上 げることにしました。ポン・デュ・ファへ向かう途中には、ドゥアルヌネ湾Douarnenez Bayの断崖絶壁の上 にポツンと立って灯台の家があり、ポン・デュ・ミレPoint du Millierから見ることができます。この灯台は、 今は人が住んでいませんが、典型的なブレトン様式の灯台です。ここは去年来た時に、民宿のおばさん に教えてもらった私の好きなビューポイントです。女性陣はここでわらび採りをしていました。 44 39 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ファ~ポン・デュ・ラ ハイキング ① ポン・デュ・ファPoint du Vanと、ポンデュ・ラPoint du Razは、シジュン岬Sizunの先端の「死の湾」 Baie des Trépassésベ・デ・トレパスにあり、ここは潮流が早くて風が吹き荒れ、波が打ち寄せるところで、フラン スで最高の景観の一つといわれています。ポン・デュ・ファの岩場では、去年は黄色い花が満開でしたが、 今年は時期が少し早いせいか、ピンクのアルメリアが沢山咲いていました。 ポン・デュ・ファからポン・デュ・ラまでは、6Kmの素敵なハイキングコースです。従姉は自転車でポン・ デュ・ファは見て回ったのですが、ポン・デュ・ラへのハイキングは階段もあり自転車では無理なので、ここ からはご主人と一緒にバスでポン・デュ・ラに移動することにして、他の7人は歩くことにしました。 ポン・デュ・ファの荒々しい岩場にはアルメリアが一面に咲いている 46 黄色い花はもうすぐ満開になるようだ 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ファ~ポン・デュ・ラ ハイキング ② ポン・デュ・ラへの道は、断崖絶壁の湾に沿った少しアップダウンのあるルートですが、前方はるか彼方に、 ポン・デュ・ラの灯台が見えており、そこを目指して歩いていきます。午前11時半に歩き始め、午後1時に ポン・デュ・ラのツーリストオフィスで待ち合わせることにしましたが、歩いているうちに午後1時着は無理 だということが分かり、アランさんに電話して、合流時間を午後1時半に変更して歩き続けました。 特にYさんは、重いカメラを背負っておられるので大丈夫かなと思いましが、足取りも軽く、全員揃って、花 に囲まれた断崖絶壁の続くルートを、気持ちよく歩いていきました。 はるか彼方にポン・デュ・ラの灯台が見える。あそこまで歩いていくのだ。 途中にはロニセラやヒースの花などが咲いている 菜の花のお花畑で一休み 41 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ファ~ポン・デュ・ラ ハイキング ③ 48 43 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ファ~ポン・デュ・ラ ハイキング ④ 50 45 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ポン・デュ・ファ~ポン・デュ・ラ ハイキング ⑤ 結局、ポン・デュ・ラに着いたのは1時半ですが、待ち合わせの場所には2時。Kご夫妻には待たせて心 配かけましたが、全員完歩で素晴らしいハイキングとなりました。よく考えてみると、こんなハイキングは ツアーではまず来ないし、出発地点と到着地点が違うので、個人で来ても歩けません。ということは、多 分、Yさんはこのコースを歩いた日本一の最高齢者でしょう。大したものです。ポン・デュ・ラは、岩場が多 く、より険しいところです。ここからは、ラ島 Raz de Seinや、有名な灯台アルメンAr Menを見ることができ ます。 途中の岩場 52 美しい海岸線が続く ポン・デュ・ラ 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 サン・マリン ディナーのレストランに行くには少し時間が早いので、美しい漁港サン・マリンSte.Marineに立ち寄ること にしました。ここは前回来た時に民宿の奥さんから、夕暮れ時には多くの漁船が帰ってきて、その景観が すごく美しい漁村だと聞いていたところです。夕暮れには早すぎるのですが、ここは数え切れないくらいの ヨットが停泊しており、カフェに座って湾を見ながら、ゆっくりお茶を楽しみました。 お茶を飲み終えて、いつものようにアランさんに電話すると、すぐにバスで迎えに来てくれました。 フランスの携帯電話があるので、通話料金の心配もなく連絡でき、本当に助かります。 数え切れないくらいのヨットやボートが停泊している 47 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 ロクロナン(美しい村) 10世紀に聖ロクロナンがこの村を拓き、ルネサンス期には織物の産地として名を馳せ、インド、モーリ シャスまで広く交易しました。花崗岩で造られたルネサンス様式の館が連なる様は、麻布の取引で栄えた 豊かな時代を物語っています。村の中心に建つサン・ロナン教会のステンドグラスも素晴らしいです。 ここでは、ブルターニュ名物の塩飴、塩煎餅、手織りの衣類などを売っているので、皆さんお土産を買い 込みました。また皆さんフランスの地図が欲しいとのことなので、ツーリストオフィスで、ブルターニュ地図、 フィニステールの地図、ロクロナン資料を入手しました。 ロクロナン教会 54 ロクロナンの街並み ロクロナン地ビール 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ地方 海辺レストランでのディナー ディナーは、民宿から10Km離れた小さな漁村のレストラン。スープと野菜が食べたいので、魚スープに、 ムール貝がメインディッシュの15ユーロの定食に、私の大好きなロンゴスティンと生牡蠣の料理を追加注 文しました。それから、ブルターニュ名物のサイダー、ビールに白ワイン。料理は美味しいのですが、問題 は鍋一杯のムール貝。100個以上入っています。アサリのワイン蒸しのようで美味しいけれど、食べても 食べても一向に減りません。ウエイトレスにフランス人は全部食べるのかと聞くと、食べ切る人はまずいな いという。それにしても、これだけ頼んでも一人25ユーロ。ここでまたまた先日のモン・サン・ミッシェルの 75ユーロのオムレツが腹立たしくなります。 ロンゴスティンはシャコの味 魚のスープも美味しい フランスで食べるパンは何故か美味しい 鍋一杯のムール貝は到底食べきれない プディングも美味しかった 49 【第6日目】2012年6月3日(日) ブルターニュ海辺の夕暮れ 56 ブルターニュ地方 51 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 プレイベン フランスの労働基準法では、6日以上連続して勤務できないので、今日だけドライバーはアランさんから ミッシェルさんに交代です。ミッシェルさんはロクロナンに住んでおり、ブルターニュのことはよく知っていま す。朝から雨模様で、このまま海辺が見所のカマレ・シュル・メールに行っても仕方がないので、ミッシェル さんの推薦で、この近くの美しい教会があるプレイベンPleybenという村に連れて行ってもらいました。 プレイベンの教会をゆっくり見て回った後、この町にあるチョコレート工場に立ち寄って、味見をすると美 味しかったので、沢山お土産を買い込み、工場見学までさせてもらいました。 58 プレイベンの教会 教会の二階には立派なパイプオルガン 入口の左には6人の聖人 入口の右にも6人の聖人(全部で12聖人) プレイベンのチョコレート屋 チョコレート工場 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 ル・ファウ(美しい村) ル・ファウLe Faouの村は、ブルターニュ地方の西側に突き出たクロゾン半島へ向かう途中にあります。 16世紀には活気ある港として賑わい、17世紀には木材がこの村から各地へ運ばれていました。 村のプラス・デ・レジスタン広場には、かって牢獄があり、フランス最大の軍港であるブレストからの流刑 囚が収監されていました。16世紀に建設されたサン・ソヴール教会は、当時のまま美しい姿を残していま す。メインストリート沿いには、新旧の建物が混じるように建っています。村はお洒落でゆったりしているの で、皆さんついついパティシエでフランスパンを買って、ほおばりながら村をブラブラしてしまいました。 サン・ソヴェール教会 駐車場の側を流れる川 干潮時のようだ 洒落た家 ブリタニア文字も見える(Nさん撮影) 洒落たレストラン 53 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 ランデヴェネ ① お昼になっても曇り空で、カマレ・シュル・メールに行くにはもう少し天気が回復してからの方がいいので、 これもミッシェルさんお薦めの、ランデヴェネLandevennecという小さな村に行くことにしました。 ここには、ブルターニュ最古の教会の遺跡があります。ブレトン人が6世紀にこの地域に侵攻して、9世紀 に聖ベネディクト教会を建てました。この教会は、13世紀にはロマネスク様式、15世紀にはゴシック様式 に建て替えられましたが、現在は遺跡として残っています。 ランデヴェネの教会跡 60 ランデヴェネの教会跡 聖人像 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 ランデヴェネ ② この村で、何世紀も前の教会跡を見学してまわると、その裏庭では、ブルターニュ地方特有のどんよりし た空の下に、美しい花が咲き、木立が立ち並ぶ、素晴らしい景色に出会いました。この教会跡の奥には ミュージアムがあって、素朴な時代の信仰の姿を展示していました。 教会裏の素敵な風景 教会跡と受付 ミュージアムの展示 55 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 パン・イール 天気も回復してきたので、カマレ・シュル・メールの更に奥にある、クロゾン半島の先端のパン・イール Penn Hirに向かいました。ここは、大西洋の荒波が打ち寄せる70mの断崖絶壁の上にある岬で、フラン スでも最も美しい海岸の一つといわれています。ここからの景観は、晴れている時は、ポン・デュ・ラや、 サン・マシューを見ることができ、息を呑むような美しさです。去年来た時は、風が強くて波が荒くて、ほと んど人はいませんでしたが、今日は、授業の一環でしょうか、先生が大勢の子供達を連れて来ていました。 そのうち空は晴れ渡り、波も穏やかで、アランさんが、今までここは何回も来ているが、こんなに晴れて静 かなことは初めてだと言っていました。 子供達が崖の下をのぞいている 62 何かスケッチしている 海鳥も仲がよい 【第7日目】2012年6月4日(月) ブルターニュ地方 カマレ・シュル・メール カマレ・シュル・メールCamaret-sur-Merは、クネクネと走っていく美しい海岸線と、手からさらさらとこぼれ る砂の浜が有名です。港には多くの漁船やヨットが停泊しており、釣りをしている人もいます。ここで少し 休んでから、ロクロナンのレストランに向かいました。レストランではいつも料理を決めるのが大変なので、 今日はアランさんに頼んで、魚のスープ、魚のメインディッシュとデザートをお願いしました。これがやはり よくて、スープ、魚とも非常に美味しくてみんな大満足。アランさん、ミッシェルさんを加えた11人でのディ ナーで、全員話が盛り上がりました。 フランスも釣りの好きな人は多いようだ カマレ・シュル・メール近くの海岸(Nさん撮影) カマレ・シュル・メールの港 57 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 農家民宿 ケルニール ④ 昨日このあたりには沢山のわらびが自生していたので女性陣が摘んでいました。そのわらびをNさんが料 理したので、朝食に、Yさんが持ってきたわさびと醤油でいただきました。少し灰汁が残っているものの非 常に美味しいです。フランスでは、わらびは食べないようで、フィリップは我々が食べているのには驚いて いました。それにしてもここのミルクは美味しい。濃厚で、甘みがあって、これまで飲んだミルクの中では 一番でした。朝食の後、マダムが昔の写真を取りだして見せてくれました。きれいなブルトン衣装を着てい る姿で、嬉しそうに説明していました。この民宿は日本人は初めてかと思ったのですが、宿泊者の記録を 見ると数人すでに泊まっているのには驚きました。 マダムがブルトン衣装を一生懸命説明している 64 食べきれないほどのわらび。なかなか美味しい。 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 クラスコエ ケルニールを後にして、クラスコエKerascoetに行く途中、皆さんからマーケットに行きたい!との要望が でたので、アランさんに、Uスーパーマーケットに立ち寄ってもらいました。ここでチーズ、野菜、果物、お 菓子などを買い込むのです。どうも女性には買い物時間を取る必要があるようで、買い物の後は非常に ご機嫌です。私はホテルで調理してもらおうと思い、白アスパラを買いました。 今日の最初の目的地クラスコエは、ポンタヴェンから10Kmほど海岸に向かった所にある、ひっそりと隠 れた村です。この村には、200年前に立てられた、この村特有の石壁で作られた茅葺きの家があります。 Uスーパーマーケットから嬉しそうに出てくる クラスコエの茅葺きの家 59 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ポン・タヴェン ポン・タヴェンPont Avenは、ゴーギャンが愛した村で、美術家のアトリエ、美術館などを見たかったのです が、丁度お昼時で閉まっていました。そこで雨の中、ゴーギャンが好んだ愛の森 Bois d’Amore を歩いた のですが、途中から道がなく、ツーリストオフィスまで舗装道を迂回して帰りました。アランさんとは13時に 待ち合わせですが、一向に来ないし、電話しても繋がりません。Iさんに電話して探してもらいますがそれ でも見つかりません。どこへ行ったのかとイライラしながら待っていると、何と2時頃慌ててやってきて、携 帯電話が故障していたと言い訳するのです。あまり詮索しても仕方がないので、すぐに気持ちを切り替え て、ゴーギャンの有名な作品「黄色のキリスト」の題材となったトルマロTremalo教会へ向かいました。 ポン・タヴェンの街(Yさん撮影) ポン・タヴェンの画廊(Yさん撮影) 結局舗装道を歩く羽目に 66 トレマロ教会 トレマロ教会の黄色いキリスト像 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 トレオラントゥ ① 次は、カルナック遺跡を訪ねる予定でしたが、ポン・タヴェンのツーリストオフィスでもらった資料を見てい ると、今日の宿泊地、ロシュフォール・アン・テールのすぐ近くに、アーサー王伝説の村 トレオラントゥ Trehorenteucがあるので、予定変更です。トレオラントゥには、アーサー王の森を4Km歩くコースがあり ます。このコースを少し歩いていくと、ゴールデンツリーという木があり、不思議な形状の木を金色に塗り たくってあるのです。どうも儀式に使われたようですが、奥深い森の中に何とも不思議な感じです。 更に歩いていくと、とても深い森に入っていき、いかにもアーサー王に仕えた、ランスロットなどの円卓の 騎士が馬に乗り、剣をかかげて出てきそうな雰囲気です。 森の中で不気味に光り輝くゴールデンツリー 小川も渡りながら進んでいく 雨もほとんど止んで、どんどん森に入っていく 61 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 トレオラントゥ ② 68 62 63 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 トレオラントゥ ③ 4Kmのハイキングコースを全て歩きたかったのですが、先の道がどうなっているのかよく分からないし、 時間もあまりないので半分まで来たところで引き返すことにしました。途中には巨大なナメクジがいたりし て、驚かされましたが、日本では味わえないような深い森の中、雨もほとんど止んで、本当に楽しいハイ キングでした。実はこの時も、ガーミンが大活躍で、歩いている場所と、帰る方角がガーミンに表示される 地図で確認できるので安心です。私の旅にはガーミンが不可欠です。 深い森には木の精が住みついているような感じがする 70 幽玄な雰囲気に引き込まれそう 巨大なナメクジ 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ロシュフォール・アン・テール(美しい村)① ロシュフォール・アン・テールRochefort-en-terreは、丘の上に広がる村で、イギリスとフランス両国の影 響を受け、様々な建築様式が混在していますが、村全体は美しい統一感を保っています。ゴシック様式の 建物、ルネサンス様式の館、クラシックなホテル、19世紀のモダンな建築など、全ての建物には石がうま く利用され、重厚な雰囲気が漂います。路地裏には小さな画廊やアンティークのお店もあります。 ディナーの後、ライトアップされた路地を散策すると、家並みが本当に美しく、まるでおとぎ話の村に飛び 込んだような気分になります。どうすればこんな美しい街並みができるのでしょう。 ロシュフォール・アン・テールの家並み(Yさん撮影) ノートル・ダム・ドゥ・ラ・トロンシャイユ教会 皆さんこの村が気に入った様子 65 72 66 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ロシュフォール・アン・テール(美しい村)② 67 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ロシュフォール・アン・テール(美しい村)③ また、この村には多くの芸術家住んでいて、お洒落な工芸品や装飾品を売っているお店が沢山あります。 私が去年来た時には素敵な陶器を買いました。皆さんはウインドウショッピングで、すぐにでも買いたいよ うでしたが、如何せん、お店は既に閉まっており、明日の朝もお店が開く前に出発なので、買い物ができ なくて残念でした。 74 木のおもちゃ(Nさん撮影) 動物の装飾品(Nさん撮影) 土産物店(Nさん撮影) お洒落な扉(Nさん撮影) 木のおもちゃ(Nさん撮影) 看板も洒落ている(Nさん撮影) 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ロシュフォール・アン・テール(美しい村)④ ロシュフォール・アン・テールの風景(Yさん撮影) 69 【第8日目】2012年6月5日(火) ブルターニュ地方 ホテルレストラン ル・ペリカン 今回の旅の宿泊はほとんどが民宿ですが、初めてのホテル・レストラン、ル・ペリカンLe Pericanです。 チェックインする時、受付の女性に、途中スーパーで買い込んだ白アスパラを調理してもらうように頼むと 快く引き受けてくれました。ディナーの時には、マスタード付きの一皿にしてくれて、非常に美味しかったで す。その他の料理は、野菜もタップリで美味しくて適度な量で、皆さん大満足です。 ここでインターネットを使おうとすると、使えないと言うのです。ブルターニュの田舎の農家でもインター ネットは使えたのに信じられないのですが、田舎の小さなホテルではこんなこともあるのです。 ブルターニュ地方はここで終わりで、明日からはサントル・ロワール地方に入っていきます。 ホテルレストラン ラ・ペリカン アピタイザー 76 なすの上に揚げた素麺?が載っているのかな 調理してくれた白アスパラは美味しかった 魚とジャガイモを焼いたもの? 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 ロワール川流域ワイン街道(世界遺産)① ロワール地方を何より印象つけているのは、全長1000Km以上にわたって流れる大河、ロワール河で す。流域は美しい自然と豊かな田園地帯に恵まれ、自然や狩りを楽しむため、王侯貴族が争うように 次々と優雅なお城を建てました。シャントソーChamptoceauxからは、サン・フロロン・ル・ヴィエイユSaintFlorent-le-Vieil、モンジャン・シュル・ロワールMontjean-sur-Loireなど、美しい村が点在します。更に続 いて、シャロンヌ・シュル・ロワールChalonnes-sur-Loireからロシュフォール・シュル・ロワールRochefortsur-Loireへの道は、アンジェロードAnjou roadと呼ばれ、素晴らしい景観を見せてくれます。 シャントソーの教会 モンサン・シュル・ロワールの教会 モンサン・シュル・ロワール近辺のロワール川の景観 71 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 ロワール川流域ワイン街道(世界遺産)② ソミュールSaumurはこのあたりでは大きな街ですが、近辺には赤、白、クレマン、ロゼなど、さまざまな色 と味わいのワインをつくるブドウ畑が続いています。ワインテイスティングをするために、ソミュールのはず れにあるブーベ・ラデュベBoubay-Ladubayのセラーを訪れました。予約もしていなかったのですが、アラ ンさんが交渉してくれて、地下洞窟のワイン貯蔵庫も見学することもできました。赤いシャンペンを作って いるのはブーベ・ラデュベだけとのことなので、ワインは別のところで買うことにして、まずここではシャン ペンを買うことにしました。 78 ブーベ・ラデュベ社 オークの樽は10年ごとに替えて4回使うと廃棄 洞窟は素敵な女性が案内してくれる 洞窟にはワインの他にも、彫像の宝物で埋もれている ワインを並べたカウンターが洒落ている 彼女がテイスティングのサービスをしてくれる 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 モンソロー(美しい村) ロワール川に面したモンソローMontsoreauは、15世紀のお城の周りにできた村で、16世紀の宮廷小説 で、ベストセラーになったアレクサンドレ・デュマの小説「モンソローの奥方」の舞台となった地でもあります。 白壁の家々の窓には花が飾られ、手入れの行き届いた庭が、目を楽しませてくれます。村には様々な家 が建ち、裏通りにはワインショップやレストランがあり、楽しみながら歩いていきました。 モンソルーのお城 村のレストランでは犬と戯れていた 女の子も楽しそうに遊んでいる 73 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 カンド・サン・マルタン(美しい村)① カンド・サン・マルタンCandes-st-martinは、ヴィエヌ川とロワール川の合流点に位置し、12~13世紀に 建てられた教会を中心に、白壁と粘板岩屋根の民家が軒を連ねます。教会を建てた聖マルタンに関する 奇跡の物語が伝わり、聖人の遺体が船で運ばれた際、ロワール川沿いの花が一斉に咲いたとの伝説が 残ります。 80 カンド・サン・マルタンのお城 カンド・サン・マルタンの教会 教会ではミサが行われていた 教会のステンドグラス 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 カンド・サン・マルタン(美しい村)② カンド・サン・マルタンに着いて、石畳の道を歩いていると、見晴台の案内板があり、それを頼りに歩いて いったのですが、この道でいいのかなと少し危ぶんでいると、地元のおばさんらしき人が、そちらの方に行 けとしきりに手を振るのです。本当かなと、躊躇して止まっていると、そのおばさんがじっとこちらの様子を うかがっていて、彼女も動きません。こうなれば彼女の言うようにそのまま歩いて行くしかありません。 不安なまま10分も歩くと、見晴台が見えてきて、丘の上まで登ってみると、ロワール川の素晴らしい眺め ることができました。また、ここでサクランボを摘んでいるおじさんに出くわし、サクランボを持って行けとい うのです。つまんで食べると少し酸っぱいけれど美味しい。ありがたく頂戴しました。 雄大な流れのロワール川 見晴台の塔 サクランボを摘んでいたおじさん 75 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ① 駐車場に向かっていると、アランさんが近づいてきて、勤務時間が長くなり運転規定に反するので、次の 目的地クリセー・シュル・マンスには行けないと言うのです。何故わざわざ言いに来たのかよく分からな かったのですが、仕方なく民宿に帰ることにしましたが、どうも遠回りしています。それでもアランさんが選 んだ道だから、と思ってそのままにしていると、とうとうクリセー・シュル・マンスまで来てしまいました。 私は民宿ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティルに行くと思っていたので、エッ!まさか!という感じで、ビック リしていると、ITおやじさんが行きたいと言っていたので来たというのです。全くのミスコミュニケーション、 思いが全く伝わっていなかったようです。結局19時に民宿着き、さっそく部屋に案内してもらいました。 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティルの表玄関 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル裏庭 82 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ② ディナーは7時45分からで、私がメールで事前にお願いしたとおり、前菜にホワイトアスパラが出てきまし た。もともとこちらからいわなくても用意していたようですが、皆さん大満足です。メインディッシュは、豚の フィレ肉と、牡蠣とキノコの煮込み、量も適度でなかなか素晴らしい味です。デザートはチーズのセレク ションとシャーベット。特にブルーチーズはルバーブジャムと一緒に食べると美味しいとのことです。 ここのディナーは最初から期待していたのですが、期待を裏切らない味でした。 メールでお願いしておいたホワイトアスパラガス これは何か忘れた! 豚のフィレ肉の煮込み 豚のフィレ肉煮込みと牡蠣とキノコあえ シャーベット 77 【第9日目】2012年6月6日(水) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ③ 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティルの裏には池があり、すごく素敵な雰囲気 84 78 79 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 ヴィランドリー城と庭園 ① 民宿を9時に出発して、ヴィランドリー城Château de Villandryに着いたのは10時。しかし残念なことに 今日は朝から雨。しかしヴィランドリー城の庭園は雨にしっとり濡れてこれもなかなかいいのですが、一時 は土砂降りの状態で歩くのも大変です。このお城は1536年、フランソワ1世の国務卿ジャン・ル・ブルトン によって建てられた、ロワール川流域最後のルネサンス様式のお城です。幾何学造形模様に彩られたす ばらしい庭園があり、庭園を見るために訪れる人も多いです。 幾何学模様の庭園 86 サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼の貝の印が 四方にある天井 【第10日目】2012年6月7日(木 ロワール地方 ヴィランドリー城と庭園 ② 城館を囲む庭園は三層に分かれており、最上段には水をたたえた庭園、中段部には愛と音楽を表現した 装飾樹木庭園、そして最下段には十字架をかたどった装飾菜園を設けていて、それぞれ異なった特色を 見せています。 これらの庭園は、シャルル8世がイタリアから連れてきた造園家パチェルロ・デ・メリコリ ヤーノの造園法で作られましたが、ところどころにフランス風のスタイルも見受けられます。 テラスからは、色とりどりの花々で形作られた美しい造形を楽しめます。 幾何学模様の庭園 後にあるのが、ヴィランドリー城 謁見の小亭 81 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 アゼ・ル・リドー城 アゼ・ル・リドー城Azay-le-rideauは、豊かな森に囲まれたロワール河の支流アンドル川の畔に建ち、こじ んまりとしていながらも均整のとれた優雅なたたずまいは「ロワールの真珠」とも言われ、ルネッサンス期 の傑作です。ゴシック様式とルネッサンス様式を融合したこの美しい館は、ルイ12世のもとで財務官を勤 めていた資産家ジル・ベルトロが建てました。特に川辺のイギリス式庭園から見る城館は格別です。 お城を見た後は、アゼ・ル・リドー村の小さなレストランで昼食を取ることにして、クレープとサイダーを頼 みましたが、一番小さなSIMPLEでも、チーズにハムが5重にも載っており、食べ切れません。 昼からは雨も止んでいい天気になってきました。 アゼ・ル・リドー城は庭園からは池に浮かんでいるように見える、 88 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 バルザックの館 アゼ・ル・リドー城の近くに、文豪バルザックが住んでいた館があります。 ここは、次に行こうとしているバルザックの泉からほんの近くなので立ち寄ることにしました。 私は4年前に建物の中も見たのですが、手入れの行き届いた庭を見るだけでも、バルザックの洗練され た生活ぶりが分かるような気がします。 バルザックの館 ススキのような草は、観賞用の麦(ジュバタム)らしい? 庭にはきれいな花(ジギタリス)が咲いている 83 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 バルザックの泉 ① 90 85 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 バルザックの泉 ② サッシェSacheから3Kmほど北東に走ると、神秘的な美しさをたたえるバルザックの泉があります。 ここは4年前にフランスを旅した時に、たまたま見つけたところですが、あまりにも美しかったのでまたやっ てきました。このあたりは、バルザックが愛したところなのですが、地図にも載っていないし、見つけるまで は非常に不安だったのですが、日本で事前にガーミンにセットしていた場所がバッチリ合っており、ガーミ ンの指示するままに行くとアッという間に見つかりました。長年フランスでドライバーをしているアランさん もこの場所は全く知らなかったとのことで、この美しさには感心し、奥さんにも伝えていました。ここの神秘 的な風景には全員感激です。「バルザックの泉」という地名はどこにも載っていません。私の命名です。 この辺り一帯が神秘的な雰囲気に包まれている 92 後は水車小屋かな? 森の奥、この泉はどこまで続くのか? 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 シュノンソー城 ① シュノンソー城Chnonceauxは、ロワール川の支流、シェール川をまたがるように建てられ、代々女性が城 主であったため、「6人の奥方の城」の別名があります。 永遠の美女といわれたディアーヌ・ド・ポワティエ はアンリ2世の愛妾であり、本格的な庭園とシェール川にかかるアーチ形の橋を付け加えました。 しかし、アンリ2世の死後、本妻カトリーヌ・ド・メディシスは城を取り上げてしまいます。以後、天井を白と 黒に塗ったアンリ3世の妻ルイーズ・ド・ロレーヌ、フランス革命から城を守ったマダム・デュパンの手を経 て、1863年に修復を手掛けたマダム・ブルーズへと、女性城主を渡りあるきます。 シュノンソー城 シュノンソー城 プラタナスの並木道 シュノンソー城の入口 87 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 シュノンソー城 ② 1576年、カトリーヌ・ド・メディチはシェール川に架かる橋を改築し、ギャラリーを建てさせました。 長さ60メートル、幅6メートルのギャラリーには18もの窓があり、明るい日差しに満ち、白黒のタイル張り の床、と梁のある天井が特徴的で、このギャラリーは数々の華麗な舞踏会の舞台となりました。 お城の中では、ディアーヌ・ド・ポワティエの居室や、カトリーヌ・ド・メディシスの居室、カトリーヌの娘たち の部屋、アンリ4世の寵妃であったガブリエル・デストレの居室などを見ることができます。 そのほか、台所や衛兵の間、礼拝堂なども見学できます。 ギャラリー 暖炉 暖炉 94 カトリーヌ・ド・メディチの寝室 【第10日目】2012年6月7日(木) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ④ 今日のディナーは、まずアペリティフとしてベランダで、キールKir(シャンペンのカシス割り)と、カナッペを いただいて、少したってからダイニングに移動です。白ワインと赤ワインを飲みながら、マッシュルームの クリームスープ、アンティチョーク、メインはローカルスタイルのパイ、デザートはアプリコット。 フローレンスさんに事前にメールでアーティチョークをお願いしておいたのですが、彼女がちゃんと用意し てくれていたので感激です。ドライバーのアランさんも入って楽しい食事です。 アペリティフのカナッペ マッシュルームのクリームスープは丁度よい味 待望のアンティチョーク ロワール地方風パイ 89 【第11日目】2012年6月8日(金) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ⑤ 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティルのお庭には沢山の花が咲いています。 特にいろんな種類のバラが咲いていて非常にきれいでした。 また、民宿の裏の池は、朝と夕刻で光の加減が違って、いろんな景観を見せてくれます。 96 バラ1 バラ2 バラ3 バラ4 バラ5 バラ6 民宿の裏の池 民宿 【第11日目】2012年6月8日(金) ロワール地方 ロワール川流域サイクリング ① ロワール川流域には、全長800Kmものサイクリングコースが整備されており、サイクリングは、この旅の ハイライトの一つです。民宿のマダムに相談したところ、シャンボール城で自転車をレンタルできるとのこ となので、シャンボール城から出発することにしました。 残念ながらYご夫妻は不参加ですが、他の7名全員が参加です。身長に合う自転車があるかどうか心配 でしたが、何とかサドルの高さを調整してもらい、全員の自転車を調達することができました。 まずは足慣らしに、シャンボール城の裏庭5Kmのコースを川に沿って走ります。 川の向こうに見えるのがシャンボール城 皆さん気持ちよく飛ばします 91 【第11日目】2012年6月8日(金) ロワール地方 ロワール川流域サイクリング ② 足慣らしも終わったので、いよいよレンタル会社の若者お薦めの、ビレスヴィン城20Kmコースに向けて 出発です。シャンボール城からビレスヴィン城への道は、ほとんどが自転車専用道で、シャンボールの 森の中を走り抜けるのは本当に気持ちがよい。まるで森の精に包まれたようなサイクリングです。 10時半頃に出発し、途中、休憩を取ったこともあり、13時にやっとビレスヴィン城に着きました。このあ たりで少し雨模様になり心配しましたが、すぐに晴れ渡りました。お城の芝生で少し休み、お昼を食べる 暇もなく、帰りを急いだが、着いたのは2時過ぎで、結局シャンボール城の内部は見れませんでした。 98 森で一休み 鬱蒼とした森の中を走る 途中で一休み 途中の民家 並木 ビレスヴィン城で一休み 【第11日目】2012年6月8日(金) ロワール地方 ワイナリー デュハー 自転車を返すとすでに3時半。ランチも程々にして、民宿のマダムが予約してくれたワイナリー デュハー Caves Duhardに向かいました。ここは、4世代続いているワイナリーで、一番古いものは1854年もので、 ライトからフルボディまでいろいろ取りそろえています。150年も前のものでも300ユーロとのことで、思っ たほど高くないです。フランス人はワインを飲む前に、チーズや食事を選び、次にワインの味や香りを味わ い、それについていろいろ話をします。これが本格的なワインの楽しみ方のようです。 また、熟成したワインは、飲み始めて、5分ごとに味と香りが変わるそうです。 ここでテイスティングして、白ワイン2本、赤ワイン2本を買い込みました。 年代物のワインが洞窟の中に無造作においてあり、購入すると店主がラベルを貼る テイスティングは3種類 ワインボトルは埃だらけ 93 【第11日目】2012年6月8日(金) ロワール地方 アンボワーズでのディナー ディナーまでは少し時間があるので、アンボワーズのダ・ヴィンチ歴史館に行くことにしました。ワイナリー で少し時間を取りすぎたので、閉まってしまわないかと心配しながら歴史観に歩いていくと、やはり閉まっ ていました。仕方がないので、アンボワーズの街で買い物をすることにしました。ポン・タヴェンできれいな 傘を見ていたので、フランス土産に傘を買って帰ろうと思いたち、お店をのぞいていると、なかなかいいセ ンスの傘があったので買いました。今日のディナーはアンボワーズのレストラン。 ここもマダムのお薦めで、アスパラガスのサラダ、ウサギのクリーム煮なども本当に美味しかったです。 100 アンボワーズのレストラン メインディッシュ スープとサラダ デザート アンボワーズ城 【第12日目】2012年6月9日(土) ロワール地方 オルレアン 花咲く水源公園 ① オルレアン花咲く水源公園Le Parc Floral de la Sourceは、35ヘクタールもある広大な公園で、木々が 生い茂り自然のままの状態が残されています。5000㎡もあるアヤメ園には1000種類以上ものアヤメが 植えられているそうですが、既に花は終わっていました。この時期はバラが満開で、白いバラ、ピンクのバ ラ、赤いバラが咲き乱れており、さながらバラの楽園のようです。 池の向こうにはお城が見える まるでバラの大木のように咲き乱れている つるバラが屋根を覆うように咲いている 95 【第12日目】2012年6月9日(土) ロワール地方 オルレアン 花咲く水源公園 ② フラミンゴが群生する池や、オウムをはじめとする様々な鳥に触れ合うことのできるスペースもありますし、 蝶々館では、50種類の蝶々が飛び交っており、頭の上に止まったりします。 ここでは近づいて蝶々の写真を取ることができます。 102 フラミンゴがゆっくりくつろいでいた このオウム、いやに馴れ馴れしく近づいてきた 結婚式があったようだ 美しい紫の花が咲いていた 【第12日目】2012年6月9日(土) ロワール地方 オルレアンの町 オルレアンOrleansは、パリ南西130㎞に位置する商業都市で、15世紀の英仏百年戦争のとき、200日 間もの間、イギリス軍に包囲され苦しみました。その窮地からわずか10日で救ったのが救国の英雄ジャ ンヌ・ダルクでした。市内ではマルトロワ広場Pl.du Martroiの騎馬像をはじめ、ジャンヌ・ダルクゆかりの 場所を多く目にします。これまでショッピングの時間はほとんどなかったので、1時間半、ショッピングに当 てました。娘から頼まれたプレイスマットと小皿を探したのですが、いいものが見つかりません。 ただ、私の家のクッションカバーも交換の必要があり、丁度洒落たものがあったので、買ってしまいました。 オルレアンの電車 マルトロワ広場の騎馬像 オルレアン大聖堂 97 【第12日目】2012年6月9日(土) ロワール地方 クロ・リュセ城 オルレアンの次は、昨日行き損ねたクロ・リュセ城Château du Clos Lucéに行くことにしました。 クロ・リュセ城は 12世紀に建てられた城ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチLeonardo da Vinciは、1516年 にフランソワ1世の庇護のもとアンボワーズに来ることになり、1519年67歳で死ぬまでクロ・リュセ城で 過ごしました。クロ・リュセ城には、ダ・ヴィンチが設計した大砲、船、飛行機、灌漑設備など、当時の技術 では信じられないようなものが沢山展示してあり、驚かされます。 104 お庭 ダヴィンチの居室 ダヴィンチの暖炉 ダヴィンチの設計した戦車 ダヴィンチの設計した大砲 ダヴィンチの設計した三輪車と自転車 【第12日目】2012年6月9日(土) ロワール地方 民宿 ムーラン・デュ・フィエ・ジェンティル ⑥ いつものように7時半になったので、食堂に行ってみると、フローレンスさんが2階に来るように手招きをし ます。何かと思って行ってみると、ご主人のフランソワさんが暖炉が燃えている素敵なリビングでアペリティ フの用意をしてくれています。全員席に座り、フランソワさんの会社のこと、パリからブレレまで2時間半か けて帰ってくること、フランスの土地の値段、フランス人、イタリア人、スペイン人、リトアニア人、中国人、イ ンド人、韓国人などいろんな国から泊まりに来ること。ヨーロッパでは、ルクセンブルグ、スイス、ノルウェー などが裕福で、フランスはEU では中ほどであること、新しい大統領は歓迎していないことなどが話題となり、 楽しい一時でした。 リビングに全員集まりアペリティフを楽しむ フローレンスさん フランソワさん 99 【第13日】2012年6月10日(日) ロワール地方 ソロンヌ地方 シャンボール城の東にあるソロンヌSologne地方は、池や沼が多く神秘的な美しいところで、6月には美し い花が咲き、ハイカーには人気です。今日は最終日で、このあたりをゆっくり見て回る時間がなくて残念で すが、シューモン・シュル・タロンヌChaumont-sur-Tharonneを訪ねました。村の家はレンガと木で造られ ている美しい村です。洒落たレストランがあったので、コーヒーだけでもよいかと頼み込むとOKがでました。 店の前にテーブルをセットしてくれて、ここでゆっくりしてからヴェルサイユ宮殿に向かいました。 トイレも借りて、コーヒー1杯1ユーロでは少し悪い気はしたのですが、助かりました。 コロンバージュ様式の建物が美しいレストラン 108 シューモン・シュル・タロンヌの教会 丁度日曜日でミサをやっていた 【第13日目】2012年6月10日(日) ヴェルサイユ宮殿 イル・ド・フランス地方 アモー(世界遺産) フランスでは18世紀後半、ジャン・ジャック・ルソーの自然賛美を契機として、農村を癒しの場とするブー ムが起き、貴族たちは城の敷地にアモーhameauと呼ばれる農村を作りました。マリー・アントワネットは、 1774年にトリアノン宮を建て、農家、水車小屋、酪農舎などがあるアモーを作り、親しい友人たちと過ごし ました。しかしこのアモーを作った4年後にはフランス革命が起こり処刑されました。19世紀には、一般の 人々も農村をくつろぎの場として利用するようになり、このアモーが「グリーン・ツーリズム」の発端となりま した。今回の旅の締めくくりは、グリーン・ツーリズムの原点「ヴェルサイユ宮殿アモー」です。ただ、ヴェル サイユ宮殿は短時間で回るには大きすぎ、残念ながらアモーは遠くから見ただけで、またのお楽しみです。 ヴェルサイユ宮殿正面 ヴェルサイユ宮殿の庭 大トリアノンの庭 大トリアノンの庭 大トリアノン アモーを背景に 101 【第14日目】2012年6月11日(月) イル・ド・フランス地方 パリ空港から成田、伊丹へ ヴェルサイユ宮殿は、見学時間を2時間程度しか考えていなかったのですが、思っていたよりもはるかに 巨大で、2時間では到底見切れません。田舎の美しい村なら1時間で大抵はまわれるので、これを基準に 考えてしまったのが大間違いです。 今回の旅の趣旨としては、アモーがある小トリアノンで時間を取りたかったのですが、ヴェルサイユ宮殿 の入口から宮殿内バスに乗って、小トリアノンに行って帰ってくるだけでも、2時間はかかるのです。 ということで、ヴェルサイユ宮殿アモーは残念ながら次回のお楽しみです。 最終的に、ヴェルサイユ宮殿を出たのが午後4時、成田へのJAL便が午後7時30分、まず問題ないと 思っていたのですが、ヴェルサイユ宮殿を出て、高速に入ったとたん大渋滞、大丈夫かなと心配しながら じっと待っていると、そのうち何とか動き出して、ちゃんと4時半にはパリ空港ターミナル2Eに着いて一安 心です。 後はチェックインだけですが、預ける荷物の重量制限が23Kg、まさかこれに引っかかるとは思っていな かったのですが、半分以上の人がこれに引っかかる始末。そのまま49ユーロ黙って支払うか、預ける荷 物を減らして手荷物を増やすか、どちらかの選択になります。私はJALグローバル会員なので、32Kgまで OK、皆さんには悪いことしました。 それでも、何とかチェックインも終了し、飛行機に乗り込み、大した揺れもなく、成田には予定通り到着しま した。成田でNさんとはお別れして、他のメンバーは伊丹に向かい、これまた無事到着し、伊丹で全員解 散です。 2週間の旅もこれで終了です。 結局、前半は、日程の振替はあったものの予定していたところを全て回ったのですが、後半は、いつもの ように、旅をしているうちに興味が変わってきて、予定外のワイナリーを訪れたり、皆さんの要望にこたえ てオルレアンでゆっくり買い物の時間を取ったり、ダヴィンチの城を訪れたりしたため、予定していた シューモン・シュル・ロワール城、美しい村ラヴァルディン、穴式住宅遺跡トロオなどは、行くことができま せんでした。ただ、このように状況に応じてダイナミックに行き先を変えるのも、個人旅行の楽しいところで しょう。 110 あとがき 今回の旅は、「フランス北西部 グリーン・ツーリズムの旅」、14日間、9名のグループで、マイクロバスを チャーターして、パリから西に向かい、ノルマンディ地方、ブルターニュ地方、ロワール地方を3150Km 駆 け回りました。(ガーミンにより測定) 私にとっては、フランスの田舎を回るのは3回目ですが、これまでは一人旅で、勝手気ままに回っていたの で、少々手違いがあってもどうにでもなったのですが、今回は皆さんを連れて行く立場ですから、うまくいく かどうか少し不安な面はありました。 しかし、お天気の方は、ブルターニュは天候が不順なことで有名で、ロシュフォールアンテールでは去年に 引き続き雨に降られましたが、それ以外はうまい具合に晴れ間をかいくぐることができ、フランスの田舎の 素晴らしい景観を楽しむことができました。なお、帰国後、 Iさんからメールがありましたが、我々が帰った 後は、パリはずっと不順な天候だったとのことです。 食事については、ブルターニュの農家民宿のディナーでは、クレープの後でメインディッシュが出てくると思 いこんで、あまり食べずに失敗したことや、モン・サン・ミッシェルのランチでは詐欺のような目に遭って腹が 立ちましたが、これも後になると楽しい想い出です。また、フランス田舎の家庭料理についても、事前に量 より質を重視して欲しいと連絡していたこともあり、自宅の農場や農園で採れた新鮮な食材を使った、地方 色豊かな美味しい料理がでてきて、皆さんに非常に喜んでいただきました。特に私としては、今まではチー ズはさほど美味しいとは思わなかったのですが、今回民宿で出してもらったチーズは本当に美味しくて、フ ランスのチーズの美味しさがやっと分かってきたような気がします。 また、今回の宿泊はほとんどが民宿で、農家や一般家庭の人たちと一緒に食事をし、話しをすることにより、 フランス人の生活ぶりや考え方に触れることができ、ありきたりのツアーでは味わえない体験ができたこと も非常に喜んでいただき、嬉しく思っています。 更には、断崖絶壁のブルターニュの海岸をハイキングしたり、奥深いロワールの森をサイクリングすること は、なかなか通常ではできないことであり、私自身も一人旅では不可能なことを体験することができ、非常 に嬉しく思いました。 これら全てのことよりもよかったことは、一人も体調を崩すことなく最後まで旅を終えることができたし、また 一度も、危険な目に遭うことなく、無事帰国できたことで、これだけでもこの旅は成功だったのではと思って います。 今回のグループの旅は、私にとっても初めてのチャレンジであり、何とか終えることができたのは、参加さ れた8名の方々の協力のお陰であり、皆さんに感謝申し上げます。 ITおやじ P.S. 今回の旅ではドライバーのアランさんはいつも待機してくれていて、私が携帯電話で呼び出すと、す ぐにマイクロバスで駆けつけてくれたので本当に助かりました。アランさんには本当に感謝しています。 また、旅行社のI さんには、マイクロバスの手配はもとより、携帯電話の手配、自転車の手配までしていた だき感謝しています。 103 フランス北西部 ― グリーン・ツーリズムの旅 ― 2012年6月23日 初版発行 著者 発行者 印刷・製本 112 ITおやじ ITおやじ企画 ITおやじ企画
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