第 2 部 試験研究業務

第 2 部
試験研究業務
−9−
1
スの解析も行った。
電子航法開発部
ASAS 用データリンク方式の電磁環境に関する研究は
Ⅰ 年度当初の試験研究計画とそのねらい
初年度であり,ASAS 導入前の電磁信号環境を予測する
平成 12 年度における研究は,特定研究として承認され
手法を開発するため,電磁信号環境記録装置を製作した。
た項目及び行政当局の要望などを考慮して,下記のよう
また,ASAS 導入前の環境を想定した電磁信号シュミレ
に計画した。
ータを製作した。更に,電磁信号記録装置を用いて,地
1.
2.
3.
エンハンスト・ビジョン・システムに関する基礎
上実験や飛行実験を行い,現在の信号環境を測定し,い
研究
くつかの知見を得た。この他に本研究の一環として,技
ASAS 用データリンク方式の電磁環境に関する研
術協力により戦術データ交換システムと民間航法機器と
究
の電磁的両立性を調査した。
管制間隔基準策定のための航空路システム要件に
管制間隔基準策定のための航空路システム要件に関す
関する研究
る研究では,北太平洋の洋上航空路に関して,従来の横
4.
ヘリコプタの衝突警報システムに関する調査研究
間隔と垂直間隔に加えて,航空機の進行方向の縦間隔短
5.
GPS 搬送波位相の進入着陸への応用の研究
縮の可能性について,数学モデルの定式化やモデルパラ
メータの推定を中心に検討した。横方向に関しては SA 解
1 ∼ 2 は特定研究である。1 は低視程の進入着陸などに
除後の GPS 装備機の航法精度を調査し,精度の改善効果
際して,パイロットの前方スクリーンに擬似前方映像,
を明らかにした。更に,短縮垂直間隔(RVSM)や航空
飛行・航法情報などを表示・提供するシステムに関する
交通流の特性に関しては北太平洋航空路を通過した航空
基礎研究である。2 は国際民間航空機関(ICAO)で航空
機の高度データを引き続き収集・解析している。短縮垂
機 間 隔 維 持 装 置 ( Airborne Separation Assurance
直間隔は洋上空域だけでなく,今後,国内空域にも適用
System : ASAS)のデータリンク方式に関して,チャネ
する可能性がある。そのため,日本全国の航空路につい
ルの無線通信量の増加が検討課題とされているため,電
て,垂直近接通過頻度を算出し,現状を明らかにした。
磁信号環境の予測手法を開発し,実現可能な性能につい
これらの他に GPS を装備した航空機の航法精度の向上に
て研究する。3 は要望研究であり,航空路において安全
伴う経路の計画的オフセットの安全性への影響を調べ,
な管制間隔基準を策定するために必要な航空路システム
衝突危険度への影響を試算した。
要件に関する研究である。4 と 5 は一般研究である。4 は
ヘリコプタの衝突警報システムに関する調査研究は最
ヘリコプタの前方障害物衝突事故を防ぐため,前方をセ
終年度であり,赤外線から得られた画像の処理手順の検
ンサで監視し,障害物を自動的に識別し,パイロットに
討を進めた。更に,赤外線カメラの情報を補強するため,
警報を発するシステムの開発に資するものである。5 は
距離情報が得られる実験用ミリ波レーダの基礎的な地上
衛星を利用する精密着陸誘導方式で必要とされる進入着
実験とレーダの改良を行った.その結果,赤外線の画像
陸段階の航法性能要件に関する研究である。
に関しては,目視などで困難な送電線などをより効果的
に探知できる処理手順を明らかにした。ミリ波レーダに
Ⅱ 試験研究の実施状況
関しては,短距離ではあるが正しい距離情報が得られる
エンハンスト・ビジョン・システムに関する基礎研究
ことが分かった。
では,可視光と赤外線カメラを実験用航空機に取り付け
GPS 搬送波位相の進入着陸への応用の研究では,測量
る改造工事を行った。改造後,赤外線画像と実画像との
などで高精度の実績があるリアルタイム・キネマティッ
融合を行うため,全地球的測位システム(GPS)データ
ク(RTK)GPS で 2 周波 RTK GPS 受信機を用いた飛行実
をもとにした 3 次元コンピュータ・グラフィック画像を
験を行った。その結果,1 周波と比べて 2 周波でも収束時
作成し,飛行実験を行い,データ収集を行った.また,
間などで改善は見られなかった。飛行実験は,より利用
実運用されている航空機衝突防止装置については,航空
効率を上げるために受託試験「メガフロート(浮体式海
局との技術協力により引き続き運用調査作業を行った。
上)空港モデルへの GPS による進入飛行に関する試験研
今年度は ICAO の二次監視レーダ(SSR)及び航空機衝突
究(平成 12 年度受託第 1 号)」と合わせて行った。同試験
防止パネルの開催年であり,運用調査における日本の検
では潮位により滑走路の位置が変動する空港でディファ
討項目がその一つとして認められた。並行して,ニアミ
レンシャル GPS による進入着陸が可能かを調べた。基準
−11−
局はメガフロート上に設置し,その結果,相対測位の効
ム要件に関する研究の成果は ICAO の管制間隔検討パネ
果により陸上空港と同様にディファレンシャル GPS で着
ルで毎年発表し,常に高い評価を得ている。ヘリコプタ
陸できることが確認できた。
の衝突警報システムに関する調査研究の成果は近年のヘ
リコプタの事故増加の点から,今後も発展的に研究を進
めて行くべき課題と考える。受託試験の GPS による進入
Ⅲ 試験研究の成果と運輸行政,産業界,学会等に及ぼ
す効果の所見
着陸に関して,ディファレンシャル GPS を用いて浮体空
エンハンスト・ビジョン・システムに関する基礎研究
港に進入着陸できることが実証されたことは意義が高い。
と ASAS 用データリンク方式の電磁環境に関する研究の
本年度のこれらの研究成果に関しては,ICAO,当所の
一環として行った航空機衝突防止装置に関する成果は,
研究発表会,関連学会,国際研究集会などで非常に活発
ICAO の二次監視レーダの改善及び航空機衝突防止パネ
に発表した。
ルの作業部会を経てパネル会議で評価を得た。後者に関
(電子航法開発部長 東福寺則保)
する戦術データ交換システムに関する技術協力は行政施
策に貢献した。管制間隔基準策定のための航空路システ
エンハンスト・ビジョン・システムに関する基礎研究
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○白川昌之 住谷泰人 小瀬木滋
研究期間
平成 10 年度から 14 年度
9,918 千円
平成 12 年度経費
1.
ファクトリコンピュータの取り付けを行った。図 2 に系
はじめに
統図を示す。
エンハンスト・ビジョン・システム(EVS)とは,パ
イロットが前方の外の光景をウィンド・スクリーンを通
して見ながら,主要なフライト・パラメータ,航法情報,
航空機衝突防止装置の情報,擬似地上映像等をコンピュ
ータ・グラフィックス等により見ることのできるシステ
ムである。これによりパイロットは,前方を目視した状
態で飛行に必要な情報を取得しながら操縦できる。また,
赤外線画像等,人間が見ることのできない景観をカメラ
図 1 カメラの取り付け
を通して表示することにより,視程が悪い状況下で計器
進入を実施する際に効果を発揮することが予想される。
特に,低カテゴリの空港であっても高カテゴリ運航に貢
献できる可能性がある。さらに,空港や航空路において
も,有視界飛行方式で飛行している周辺機や訓練空域を
考慮して飛行でき,運航の安全性向上が期待される。
2.
研究の概要
2.1
航空機の修理改造
航空機上から移動中の映像,及びそのときの GPS デー
タの取得を試みた。このため,赤外線カメラ,及び可視
図 2 実験系統図
光線カメラを前方の映像が取得できるように図 1 に示す
2.2
ように航空機への取り付け工事をした。また,GPS 受信
機やビーコン受信機などの取り付けと記録装置としての
飛行実験
赤外線画像等の実画像との融合を行うため,GPS デー
−12−
4.
タをもとにした 3 次元 CG 画像を作成し,飛行実験を行っ
おわりに
た。実験は仙台空港を基地として行い,三陸海岸に沿っ
パイロットの視覚を支援する方式として,赤外線方式
て飛行して海上保安庁のビーコン局から発射されるディ
など実画像に融合する 3 次元画像を GPS データに基づい
ファレンシャル情報を取得した。
て生成する方法について検討した。
平成 12 年度はカメラや GPS 受信機など測定システムを
飛行実験によりカメラ画像と GPS 情報,ディファレン
航空機に搭載するための修理改造工事を行った。また,
この後で飛行実験により航空機からの画像データや GPS
データを取得し,融合画像のサンプルを作成することが
できた。
5.
掲載文献
a
住谷,白川,小瀬木:”EVS 画像融合のための地上実
験の解析”,平成 12 年度電子航法研究所講演会,平成
12 年 6 月
s
住谷,Brown,白川,小瀬木:”実験用 EVS を用い
た地上予備実験の解析”,2000 年電子情報通信学会ソ
サエティ大会,平成 12 年 10 月
d
白川:”航空機衝突防止装置の今後とその役割”,労
働の科学,平成 12 年 4 月
図 3 ビデオ画像と CG 画像の融合例
f
住谷,白川,小瀬木:”GPS に基づく自機周囲の地
形と景観の照合”,平成 13 年度第 1 回電子航法研究所研
シャル情報を取得した。図 3 に融合画像例を示す。
究発表会講演概要,平成 13 年 6 月
3.
g
航空機衝突防止方式
S. Ozeki, et.al. : “Initiation Timing of ACAS RA
Broadcast”, ICAO SCRSP WG-A, April, 2001.
航空機衝突防止方式(ACAS)については,航空局と
の技術協力に基づき運用調査の作業を引き続き行った。
h
S. Ozeki, et.al. : “1030MHz Signal Measurement in
Japan”, ICAO SCRSP WG-A, April, 2001
国際民間航空機関(ICAO)の監視及び衝突回避システム
j
パネル(SCRSP: Surveillance and Conflict Resolution
Y. Sumiya, M. Shirakawa, S. Ozeki, H. Yoshimura
Systems Panel)で世界共通の統計の取り方が検討されて
(JCAB) : “The trend of the results of ACAS operational
おり,日本の検討項目がそのモデルの一つとして選ばれ,
evaluation in Japan, First report of 2001”, ICAO SCRSP
フォーマット制定作業が昨年からの継続作業として行わ
WG-A, April, 2001.
k
れている。
H. Yoshimura (JCAB), Y. Sumiya, M.
Shirakawa,
“Abrupt ACAS Advisories Issued against Helicopters”,
また,航空局からの技術協力依頼により,ニアミスの
ICAO SCRSP WG-A, April, 2001.
解析を行った。
−13−
ASAS 用データリンク方式の電磁環境に関する研究
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○小瀬木滋 白川昌之 住谷泰人
研究期間
平成 12 年度∼平成 16 年度
7,802 千円
平成 12 年度経費
1.
概念が討議され,ICAO サーキュラー案をまとめる議論
はじめに
1.1
が行われていた。
研究の背景
1.3
将来の航法システムでは,レーダによる監視,各種の
ASAS 研究の主な課題
ASAS に関しては,性能要件,機器実現の可能性,運
自動従属監視(ADS : Automatic Dependent Surveillance),
データ通信等,機器相互の情報交換に基づく総合的シス
用方式等,多様な研究課題がある。本研究では,ASAS
テムの実現が期待されている。しかし,これによる無線
の監視性能要件や機器実現の可能性を検討する上で重要
通信量の急激な増加が予想され,システムの性能飽和が
になる電磁信号環境を研究対象としている。
ASAS 等移動体用監視装置が電波を有効利用するため
懸念されている。
この対策として,電波を有効利用し,監視能力や通信
には,多数の送信機が国際的に共通に定められた通信チ
容量の飽和を防止する技術が特に求められており,国際
ャネルを共用することが求められている。特に,放送
民間航空機関(ICAO)では重要な議題になっている。特
(同報)型データリンクを使用して通信量軽減をはかると
に,ICAO の二次監視レーダ改善および衝突防止装置パ
ともに,既存の他のシステムが使用しているチャネルを
ネル会議(SICASP)や監視および異常接近回避システム
共有して周波数資源を有効利用できると期待される。
パネル会議(SCRSP)では,航空機衝突防止装置
ASAS 用データリンクを開発するためには,導入候補
(ACAS : Airborne Collision Avoidance System)や航空機
となるチャネル内への信号発生量について,チャネルを
間隔維持装置(ASAS : Airborne Separation Assurance
共用する各システムの許容範囲内にする必要がある。ま
System)について,実現可能な性能やチャネルを共用す
た,他のシステムが ASAS に与える混信の影響を考慮し
る二次監視レーダ(SSR : Secondary Surveillance Radar)
て ASAS の性能を予測する必要がある。
等への干渉を検討する上で,混信妨害の原因になる信号
このため,本研究では,ASAS が導入されるチャネル
の発生量や電力等の電磁信号環境の検討が課題になって
について将来の電磁信号環境および ASAS が与える影響
いる。
を予測し,ASAS が実現可能な性能を予測する手法を開
1.2
発することを目的としている。
ASAS の概要
ASAS は航空機搭載装置であり,SICAS パネル会議にお
2.
いて ACAS の目的外使用を議論する過程で概念が提案さ
研究の概要
本研究は 5 年計画であり,平成 12 年度は開始年度であ
れた。これまでに提案された概念では,ASAS は次の機
る。平成 12 年度の研究の目的は,今後の研究の基礎とな
能を持つ。
・ 搭載機周辺の航空機の監視等必要な情報収集
る ASAS 導入前の電磁信号環境を予測する手法をまとめ
・ 航空機間隔維持支援のための情報処理
検証することにある。また,ASAS の性能要件の調査を
・ 搭載機周辺の航空交通状況や支援情報の表示
開始する。
ASAS の具体的な応用形態について検討が開始された
計算や実験のため,ASAS 用データリンクの具体例と
ところであり,ICAO は各方面からの意見収集を行って
して,ICAO における規格討議の進捗状況が著しい周波
いる。運用においては,次の段階的な導入が考えられて
数 1090MHz 帯のスキッタ信号に着目した。これにより,
いる。
当研究所の実験装置を有効利用できる。
・ パイロットの航空交通状況認識の支援
平成 12 年度は,主に下記のことを行った。
・ パイロットと管制官の責任分担最適化の支援
・ ASAS の要件調査
ASAS については,1997 年の第 6 回 SICAS パネル会議に
・ 電磁信号環境記録装置の製作
・ 電磁信号環境シミュレータの製作
て調査開始が勧告された。本研究の開始時期には,基本
−14−
・ 実験および予測精度の検討
予測が重要になる。このため,電磁信号環境を正確に予
・ 航空局への技術協力
測するためには,時間の経過に応じた信号発生量を算出
できるシミュレーション手法を導入する必要がある。
3.
また,信号送信の意図とは異なる機器動作が実験では
研究成果
3.1
ASAS の要件調査
観測されているが,これらの原因の多くは,電波伝播上
これまでに SICAS パネル会議作業部会で検討されてい
の問題が関係している。このため,電波伝播を考慮した
た ASAS の要件について文献調査した。
シミュレーション手法を導入する必要がある。
平成 12 年 9 月に開催された第 7 回 SICAS パネル会議に
以上の考察に基づき,従来のシミュレーション手法を
て ASAS の国際標準化の検討が勧告された。
調査の上,信号環境シミュレーションソフトウェアの基
この勧告に先立って ICAO サーキュラー案がまとめら
本設計を行った。また,その基本動作を確認した。
れたため,主に ACAS と ASAS の独立性について調査した。
調査の結果,ASAS と ACAS は共通な監視データを使用し
3.4 実験および予測精度の検討
電磁信号環境の現状調査を目的とした地上実験と飛行
得るが,既に定められている ACAS の監視方式などに影
実験をした。
これまでに,仙台空港面では 4 秒周期で数百 Hz の
響を与えない方向で ASAS の規格制定が進められること
がわかった。
ATCRBS(従来型)応答信号が観測さる異常な信号発生
3.2 電磁信号環境記録装置の製作
の例が報告されている。今年度は,その原因を探る地上
実験を実施した。空港の特定の位置でヘリコプタがホバ
あるチャネルの電磁信号環境を予測する手法を開発す
るためには,信号発生の因果関係を明確にする必要があ
リングするときに,この現象が観測されることを確認し,
る。特に,質問用と応答用の両チャネルを用いて質問応
仙台空港面で受信される SSR 質問信号の波形からマルチ
答による通信手順を用いる方式が使用される場合は,両
パス発生状況を測定した。その結果,空港内の格納庫,
チャネルの信号発生を対応させながら分析することによ
空港外の橋梁や工場等,多くの構造物からの反射波が観
り,信号発生の過程を明確にすることができる。
測された。これにより,応答信号を停止させる抑圧信号
実際の環境では,ある種類の質問信号が別の種類に誤
であっても,マルチパス波とともに受信されたときに信
解読されたり,応答を停止させる信号が正しく解読され
号波形が変化し,応答信号を発生させる質問信号として
ない例も見られ,必ずしも信号送信の意図通りには動作
誤解読される可能性があることがわかった。
しない場合がある。電磁信号環境を予測する上で,これ
飛行実験では,当研究所の実験用航空機を用いて,仙
らの意図しない動作が計算結果とは異なる信号発生量を
台から東京を経由し名古屋までの航空路について,信号
もたらす主要な原因になっていると予想される。
環境を測定した。このとき,機上で観測される 1030MHz
信号発生量には SSR 等のアンテナ回転周期に同期した
チャネルの信号発生量を測定した。このチャネルでは,
変動が見られるため,少なくともアンテナ回転周期の数
ATC トランスポンダ等に 1090MHz の信号を発生させる質
倍の時間について信号発生状況の分析が必要である。試
問信号等が使用されており,1090MHz の信号環境を予測
作した電磁信号環境記録装置は,約 25 秒間連続して 2 チ
する上で重要な要素である。実験の結果,おおむね予想
ャネルの受信信号波形を記録する機能を持つ。
された信号発生量であった。しかし,SSR 近傍の上空で
3.3
は予想以上の質問信号が測定されており,その原因調査
電磁信号環境シミュレータの製作
ASAS は搭載機が進路変更する前にその意図を含む信
は今後の課題である。また,艦船搭載 IFF による質問信
号を送信するため,一時的に信号発生量が増加する。こ
号も観測され,沿岸部空域で観測される信号の大半を占
れは,チャネルを共用する ACAS 等他のシステムについ
める例も見られた。このように,移動式 IFF が電磁信号
て混信妨害の原因になる。このとき,ACAS や SSR モー
環境に大きな影響を与えるため,将来の信号環境の予測
ド S は,必要な応答信号が混信妨害等により受信できな
では考慮が必要であることがわかった。
かった場合に追加の質問を送信する。さらに,ACAS は
3.5 航空局への技術協力
ICAO の SICAS パネル会議にアドバイザーとして参加
規格に定められた干渉制限方式に応じて信号発生量を制
した。会議では,航空局への技術的支援を行うとともに,
御する。
ASAS に関する情報を収集した。
このように,将来の信号環境では,信号環境や混信発
戦術データ交換システム JTIDS と DME 等の民間用航
生に応じた信号発生制御が行われ,その時間的な変動の
−15−
法無線機器との電磁的共用性について技術的調査をした。
法を応用して実験手法を立案し,航空局への技術協力に
空港面で発生したマルチパスの影響を考慮した干渉実験
活用した。
手法を提案し,ターミナル DME への干渉の影響を確認
するために航空自衛隊が実施した実験に協力した。これ
掲載文献
らの技術協力では,電磁信号環境の予測に関する研究の
a
S. Ozeki : “Multipath Effect Observed on the Sendai
Airport Surface”, MNWG00-1, April, 2000
ためにまとめた計算手法を活用できた。
s
4.
小瀬木:“混信妨害の判定への薬効検定の応用”,電
子情報通信学会ソサエティ大会, 平成 12 年 10 月
まとめ
d
ASAS 用データリンク方式の電磁信号環境に関する研
小瀬木:“ATM と機上装置 ASAS”,CNS/ATM シン
ポジウム,平成 13 年 2 月
究を開始した。ASAS の性能要件について調査を開始し,
f
電磁信号環境記録装置等,信号環境の測定に有用な機器
S. Ozeki, et. al. :”1030MHz Signal Measurement in
Japan”, ICAO SCRSP WG-A, April, 2001.
を整備した。信号環境の予測計算手法を立案し,検証を
g
開始した。伝播伝搬上の問題により,機器が解読する信
小瀬木,他:“L バンドで測定された人工雑音”,電
号発生量と計算結果の誤差が発生することもわかった。
子情報通信学会宇宙航行エレクトロニクス研究会,平
また,JTIDS と DME 等との干渉妨害の分析等にもこの手
成 13 年 5 月
管制間隔基準策定のための航空路システム要件に関する研究
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○長岡 栄 天井 治 住谷美登里
研究期間
平成 10 年度∼平成 13 年度
26,500 千円
平成 12 年度経費
1.
とにある。主要な成果については後述するが,本年度に
はじめに
近年,通信・航法・監視/航空交通管理(CNS/ATM)
計画した主要事項は,1)交通流データの収集・整理,2)
システムの多様化・高度化に伴い,航法装置や通信装置
監視性能要件(RMP)に関する調査,3)データ解析装
等の要件を装置の指定ではなく機能・性能の要件で定め
置用のソフトウェアの整備,4)ICAO の管制間隔検討パ
る傾向にある。しかし,国際民間航空機関(ICAO)にお
ネル(RGCSP)のための活動である。
具体的には,1)はレーダデータや飛行計画情報の収
いて,概念が確立したのは航法性能要件(RNP)だけで,
集・整理である。2)は文献調査,3)は解析の支援のた
通信や監視などの性能要件はまだ検討段階である。
航空需要の増大や利用者の様々なニーズに対応するた
めのソフトウェア等の整備で,4)は RGCSP ワーキング
め管制間隔の短縮が望まれている。一般に,短縮の可否
グループ会議への参加とワーキングペーパー(WP)の
は空域内の航空機の航法性能,通信や監視システムの性
提出である。
能などに依存する。この判断を科学的根拠に基づいて行
3.
うことが望まれているが,こうした管制間隔の諸問題に
研究の概要と結果
ついては,ICAO の管制間隔検討パネル(RGCSP)が安
今年度に行った研究を大別すると,次のようになる。
全性の観点から検討を進めている。
1)縦間隔の短縮可能性の検討
2)GPS 装備機の航法精度の調査
本研究では航法,通信,監視などのシステム性能要件
の概念に基づく管制間隔基準の短縮や策定方法を検討す
3)短縮垂直管制間隔(RVSM)関連の研究
るため,種々の調査・研究を行っている。
4)経路オフセットの安全性への影響
5)その他の安全性,管制間隔に関する調査・研究
2.
これらの項目に関して,研究の内容と成果を以下の節で
研究の計画
概説する。
本研究の目的は,空域システムの性能・機能要件と関
3.1
連した管制間隔基準に関わる諸問題の解決を支援するこ
−16−
縦間隔の短縮可能性の検討
現在,北太平洋の洋上航空路(NOPAC)での縦間隔は
機の横方向逸脱量(横方向経路維持誤差)を航空路監視
マック数指示の下では 10 分が使用されている。これは,
レーダによる測定データをもとに推定してきた。2000 年
480knots の航空機の距離間隔にすると約 80NM に相当す
5 月に GPS の選択利用性(SA)が解除されて,測位精度
る。近い将来,運輸多目的衛星(MTSAT)が打ち上げら
の向上が期待できる。そこで,GPS を搭載した FANS-1
れ自動従属監視(ADS)が実運用になれば,縦間隔の短
装備機の横方向逸脱量を調べた結果,約 200 便について
縮が考えられる。こうした場合に備えて,縦方向の衝突
の横方向逸脱量の標準偏差は 0.072NM であった。この値
危険度モデルによる安全性評価の観点から,縦間隔の短
は SA 解除前の約 70 %程度である。これがあまり小さく
縮可能性を検討している。今年度は衝突危険度の数学モ
ならないのはレーダの測位誤差による影響と考えられる。
デルの定式化や,モデルパラメータの推定を中心に検討
3.3 短縮垂直管制間隔(RVSM)関連
した。現時点での大まかな検討結果では,RNP10 の航空
太平洋の洋上空域では 2000 年 2 月 24 日から 1000ft の短
機に 50NM の縦間隔を適用する場合,5 × 10−9[件/飛行
縮垂直管制間隔が適用されている。RVSM 空域を飛行す
時間]の目標安全度を満たすには位置通報の間隔は少なく
る航空機は一定の高度維持性能を備えていなければなら
とも 30 分に 1 回程度とする必要があることがわかった。
ない。これを確認するのが高度モニタリングである。モ
また,この数学モデルで使用されている相対速度のパ
ニタリング装置として,操縦室に持ち込む GPS モニタリ
ラメータについての理論的考察を行い,モデルの適用限
ング装置(GMU)と地上からレーダで高度を測定するも
界を明らかにした。
のがある。現時点では,北太平洋では GMU のみが使用
3.2
されている。
GPS 装備機の航法精度の調査
近年,太平洋の空域でも,FANS-1 装備機の割合が増え
モニタリング装置の候補として当所で開発した NAMS
つつあるが,その出現により空域の安全性が変化するこ
(Navigation Accuracy Measurement System)型高度監視
とになる。これに伴い管制間隔の短縮も考えられるが,
装置も期待されている。この高度監視装置は,当所の岩
その検討には,FANS-1 装備機の航法性能の実態を把握す
沼分室で様々な実験を行なっていたが幾つかの改善すべ
る必要がある。そこで,NOPAC の R220 を飛行した航空
き点が明らかになった。その後,若干の改良の後,1999
年秋に NOPAC の R220 航空路を通過した航空機が飛行す
る経路下(宮城県瀬峰町)に移設し,種々の実験を行な
うとともに,航空機の高度データを収集している。
RVSM は今後,洋上航空路のみではなく陸上の空域に
も適用されるものと予想される。これに先立ち,当該空
域の垂直近接通過頻度の値を把握しておく必要がある。
このため,飛行計画情報に基づき日本全国の航空路につ
いて垂直近接通過頻度を算出し,現状を明らかにした。
図 1 にその推定結果を示す。大島上空から台湾や沖縄方
面に向かう航空路での近接通過頻度が高いことがわかっ
た。
3.4 経路の計画的オフセットの安全性への影響
GPS を装備した航空機は従来の慣性航法装置(INS)
で飛行する航空機に比べて指定された経路をより正確に
飛行する。このため,隣接したフライトレベル上の航空
機が真下,あるいは真上にいる可能性が高くなる。この
ため,垂直方向の航法精度が同じである場合,垂直間隔
の喪失による衝突確率が大きくなる。
これを回避する一方法が経路を横方向にわずかにずら
すオフセットである。これは垂直方向の衝突危険度を軽
図1
垂直近接通過頻度の計算例(示した数値は反航垂
減するが,他方,平行ルートにおいては,横方向の衝突
直近接通過頻度[機/時間])
危険度を増大させる恐れがある。そこで,NOPAC をモ
−17−
l
デルにして,オフセットによる衝突危険度への影響を試
長岡,天井:“飛行計画データによる洋上航空路に
算してみた。その結果,想定した条件下では,2NM 程度
おける航空機間の距離分布の推定”,2000 年電子情報
のオフセットであれば,横方向衝突危険度の増大は 7 %
通信学会基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集 ,
程度で無視できることがわかった。
p.291,2000 年 10 月
3.5
¡0
その他
天井,長岡:“北太平洋航空路システムの安全性評
NOPAC では,1998 年 4 月 23 日より横間隔 100NM の複
価:−短縮垂直間隔適用下の横方向の近接通過頻
合間隔ルートが横間隔 50NM の平行ルートへと変わった。
度−”,2000 年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエ
これに伴い,交通流の特性がかなり変化した。このため,
ティ大会講演論文集,p.290,2000 年 10 月
¡1
衝突危険度モデルのパラメータを新たに推定した。
O.Amai & S.Nagaoka: “A Consideration on Lateral
Collision Risk for the North Pacific Routes”,ICAO
4.
RGCSP-WG/A-IP/5, Annapolis, November, 2000
まとめ
¡2
平成 12 年度に行った研究の概要を示した。この研究成
S. Nagaoka: “Effects of Systematic Offsets of GPS
果のうち,学術的な部分については学会で発表した。ま
Equipped Aircraft on Lateral Collision Risk”,ICAO
た,管制間隔や航空路の安全性などの実際的な諸問題に
RGCSP-WG/A-IP/4, Annapolis, November, 2000
¡3
関わるものは,国際民間航空機関の RGCSP 会議や RVSM
S. Nagaoka: “An Explicit Analytical Representation of
Collision Risk Equation for Assessing the Distance-
タスクフォース会議などの技術資料として発表した。
based Longitudinal Separation Minima”, ICAO RGCSPWG/A-IP/6, Annapolis, November, 2000
掲載文献
a
¡4
O.Amai & S.Nagaoka : “Passing Frequency Values
O.Amai & S.Nagaoka: “ Estimation of Lateral
for the North Pacific Routes under Impelemtation of a
Collision Risk for Aircraft on the North Pacific Routes”,
Reduced Vertical Separation Minimum”, ICAO
Proc.of PSAM5 (Probabilistic Safety Assessment and
RGCSP/10-IP/6, Montreal, May, 2000
Management), vol.2, pp.1367-1372,Osaka, November,
s
2000
長岡,天井:“洋上航空路における航空機間の最小
¡5
距離間隔基準の安全性評価:−衝突危険度モデルの定
S. Nagaoka & O. Amai: “Estimating the Risk of
式化について−”,日本信頼性学会誌,Vol.22,No.4,
Aircraft Collision due to Loss of Planned Longitudinal
pp.331-332,2000 年 5 月
Separation in the North Pacific Routes”,Proc. of
d
天井,長岡:“北太平洋航空路の安全性の評価 ―横
PSAM5 (Probabilistic Safety Assessment and
方向の衝突危険度について―”,日本信頼性学会誌,
Management),vol.2, pp.1359-1366, Osaka, November,
Vol.22,No.4,pp.333-334,2000 年 5 月
2000
f
¡6
天井,長岡:“GPS を装備した航空機の航法精度の
評価”,第 32 回電子航法研究所研究発表会講演概要,
衝突危険度への影響”
,電子情報通信学会技術研究報告,
pp.13-18,2000 年 6 月
SANE2000-121,2000 年 12 月
g
¡7
長岡 栄:“経路の計画的オフセットによる衝突危
長岡,陶山,天井,佐藤:“第 5 回確率論的安全性
険度の軽減”,第 32 回電子航法研究所研究発表会講演
評価および管理に関する国際会議(PSAM5)参加報告”,
概要,pp.71-76,2000 年 6 月
日本信頼性学会誌,vol.23,No.1,pp.117-123,2001 年
h
1月
天井,長岡:“GPS を装備した航空機の航法精度の
評価”,航空振興財団衛星利用小委員会,第 156 回,
¡8
S.Nagaoka & O. Amai: “ Results of Flight
2000 年 6 月
j
Experiments for Evaluating the Accuracy of the NAMS
長岡 栄:“航空路における運航の安全性”,第 30
Sensors Installed at Semine”
,ICAO RVSM-TF/9-IP/14,
Bangkok, January, 2001
回信頼性・保全性シンポジウム発表報文集,pp.345¡9
348,2000 年 7 月
k
長岡 栄:“GPS 機の経路オフセットによる横方向
長岡 栄:“航空機の最小間隔の安全性評価のため
長岡,天井:“NAMS 型高度モニタリングシステ
ム:−瀬峰における実験結果−”,航空振興財団情報処
理方式小委員会,2001 年 2 月
の衝突危険度の定式化”,電子情報通信学会技術研究報
™0
告,SSS2000-25,2000 年 10 月
−18−
長岡 栄:“38 編 4 章:航空交通”,電気工学ハンド
SASP-WG/A/1-WP/23, Madrid, May, 2001
ブック第 6 版,電気学会編,pp.1708-1712,オーム社,
™7
2001 年 2 月
™1
長岡 栄:“35 編 8 章:電波応用”,電気工学ハンド
天井,長岡:“日本上空における航空機の垂直方向
の近接通過頻度について”
,日本信頼性学会誌,Vol.23,
No.4,pp.395-396,2001 年 5 月
ブック第 6 版,電気学会編,pp.1602-1606,オーム社,
™8
2001 年 2 月
™2
の衝突危険度の一検討”,日本信頼性学会誌,Vol.23,
長岡,天井:“NAMS 型高度モニタリングシステム”
,
No.4,pp.397-398,2001 年 5 月 航空振興財団航空保安システム技術委員会平成 12 年度
™9
調査研究報告書,pp.427-439,2001 年 3 月
™3
長岡 栄:“北太平洋の洋上航空路における縦方向
長岡 栄:“縦方向衝突危険度モデルの解析的表現
に関する一考察”,日本航海学会春季講演会,2001 年 5
天井,長岡:“GPS を装備した航空機の航法精度の
月
評価”,航空振興財団航空保安システム技術委員会平成
£0
12 年度調査研究報告書,pp.173-183,2001 年 3 月
™4
長岡 栄:”GPS 装備機のオフセットと横方向衝突
危険度”,第 1 回電子航法研究所研究発表会講演概要,
O.Amai & S.Nagaoka: “Analyzing the Cross Track
pp.75-80,2001 年 6 月
Deviations of GPS Equipped Aircraft Observed after the
£1
Turn-off of Selective Availability”, ICAO SASP-
天井,長岡:“日本上空における垂直方向の近接通
過頻度”,第 1 回電子航法研究所研究発表会講演概要,
WG/A/1-WP/26, Madrid, May, 2001
™5
pp.81-86,2001 年 6 月
O.Amai & S.Nagaoka: “Estimating the Vertical
£2
Passing Frequencies in the Japanese Airspace”,ICAO
流調査”,第 1 回電子航法研究所研究発表会講演概要,
SASP-WG/A/1-WP/30, Madrid, May, 2001
™6
住谷,長岡,天井:“最近の北太平洋ルートの交通
pp.87-90,2001 年 6 月
S. Nagaoka: “On the Average Relative Longitudinal
Speed of a Longitudinal Collision Risk Model”,ICAO
ヘリコプタの衝突警報システムに関する調査研究
1.
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○山本憲夫 山田公男
研究期間
平成 11 年度∼平成 12 年度
で行い,またレーダ用アンテナに関しては国際共同研究
はじめに
としてフランス・ニース大学が主に分担した。
ヘリコプタ等小型機は,輸送や農薬散布等のため低空
を有視界飛行することが多く,前方の送電線や索道等目
2.
視では発見が困難な障害物に衝突する事故がしばしば発
研究の概要
生している。このような事故を防ぐため,ヘリコプタ前
これまでの研究から,送電線等目視での発見が困難な
方をセンサで監視し,障害物を自動的に識別して,パイ
細長い物体の検出に赤外線カメラが有効であることが確
ロットに警報を発する障害物検知・衝突警報システムの
認された。そこで,本研究では障害物探知・衝突警報シ
開発が望まれている。
ステム用センサとして赤外線カメラを使用し,障害物検
本研究の目的は,障害物監視センサからの情報をもと
出特性について実験を行った。その赤外線画像から背景
に障害物を識別するための画像データ処理手順及び障害
等の不要ノイズを低減し,障害物を識別する画像処理手
物を表示する技術等について研究し,今後の障害物探
順に関して考察を行い,短時間に送電線等障害物を抽出
知・衝突警報システム開発に資することである。12 年度
する方法を示した。
は,センサとして赤外線カメラから得られた画像の処理
また,障害物までの距離等の情報を赤外線カメラの情
手順について検討を行った。また,赤外線カメラによる
報に追加するため,実験用ミリ波レーダを設計し試作し
情報を補強するためミリ波レーダの試作を行い,その特
た。その後,ミリ波レーダの動作の確認とアンテナ部分
性の基礎実験とレーダの改良を行った。なお,ミリ波レ
の改良を行って,距離測定に供する事を確認した。
なお,ミリ波レーダ用のミリ波回路等に関する基礎研
ーダに関する基礎研究は,国内での三社による共同研究
−19−
図から,目視(可視光線画像)では発見困難な山腹の
究と設計・試作は,国内三社との共同研究により行い,
またアンテナや高周波回路等の研究についてはフラン
送電線が,赤外線カメラを用いると容易に確認できるこ
ス・ニース大学が分担した。一方,当研究所は赤外線カ
とがわかる。また,使用した赤外線カメラは赤外線感知
メラの特性に関する実験・検討,赤外線画像の処理に関
素子の分解能が高いため,送電線の輪郭が明瞭に表示さ
する研究及び実験用ミリ波レーダの設計等を分担した。
れた。多くのデータから,赤外線カメラの障害物検出可
能距離や,また,雨・霧等が画像に与える影響に関する
3.
研究結果と考察
a.
赤外線画像から障害物を識別するための画像処理手
資料が得られた。
次に,赤外線画像から障害物を強調・表示する手順を
検討した。図 2 は図 1(b)を画像処理した例で,送電線
順の検討
障害物を検出する実験には,赤外線カメラ,赤外線画
の明瞭度が上がっている。センサからの画像は背景や障
像記録装置,レーザ測距装置等からなる観測システムを
害物の形状等により多様であるが,画像フィルタ,統計
用い,神奈川県,埼玉県の山沿いの道路上から山腹の送
的処理,目標形状に基づく処理等の適切な併用により障
電線を含む画像を収集した。実験結果の一例を図 1 に示
害物識別に有効な処理手順が得られることがわかった。
す。(a)は可視光線カメラ,(b)は赤外線カメラによる
この画像処理では,アンシャープマスキング処理と方向
画像である。天気は曇り,カメラから送電線までの距離
性ローパスフィルタ処理を行った。その結果,送電線が
は約 500m,背景の山と建物までの距離は約 700m であっ
強調表示されていることが分かる。この処理は,比較的
た。
簡単で,処理時間は約 1 秒足らずであった。ただし,処
理された送電線はまだ不明瞭な部分もあるので,更なる
追加処理と,他の処理手順による時間短縮が今後の課題
である。
(a)カラー画像
図1
送電線観測例(相模湖町)
図2
b.
送電線強調表示例(原図は図 1(b)
)
実験用ミリ波レーダの改良
ミリ波レーダは小型・軽量なシステムの構成が容易で
あるため,これまで自動車用追突防止装置等への応用研
究が多い。そこで,小型機での使用を前提としてミリ波
に関する基礎研究と実験用ミリ波レーダの試作を行った。
試作したレーダの主な仕様は,レーダ周波数: 94GHz,
出力:約 10mW,パルス変調方式とし,アンテナにはカ
セグレインアンテナを用いることにした。図 3 にミリ波
レーダの構成図を示し,図 4 にミリ波レーダの外観を示
(b)赤外線画像
図1
送電線観測例(相模湖町)
す。なお,レーダには目標までの距離算出用位相測定機
能を付加し,動作試験を実施した。送信波形のタイミン
−20−
図 3 実験用ミリ波レーダ系統図
図 5 距離観測結果の一例
ムのセンサとして赤外線カメラを使用し,赤外線画像か
ら障害物を識別する画像処理手順を提案した。また,赤
外線カメラによる情報を補強するためミリ波レーダを試
作・改良し,コーナレフレクタによる距離検出実験を行
った結果,正しい距離情報が得られることを確認した。
今後,赤外線画像から目標を識別する精度の向上法と
処理手順の高速化,および実験用ミリ波レーダでは送電
線確認のための実験,ならびに FM-CW 方式への変更や
パワーアップによる検出距離の延長をはかるための研究
を計画している。また,センサからの情報をもとに識別
された障害物の表示法の検討を行う。
図 4 ミリ波レーダの外観
掲載文献
a
山本憲夫,山田公男:“ヘリコプタの障害物探知・
グ出力と,受信波形の検波出力をモジュレーションドメ
衝突警報システム”,日本航海学会,秋季講演会講演概
インアナライザに入力し,この両出力から距離に相当す
要,2000 年 10 月
s
る位相差を読みとった。その測定結果を図 5 に示す。こ
山本憲夫,山田公男:“へリコプタの障害物探知・
の例では送受信パルスの位相差は 512ns のため,これを
衝突警報システム用ミリ波レーダ”
,電子情報通信学会,
距離に換算すると約 76.8m となる。一方,レーダと反射
総合大会講演集,2001 年 3 月
d
板(コーナレフレクタ)間の実際の距離は 72m であるの
山本憲夫,山田公男:“Obstacle
Detection
for
で,その距離誤差は約 7 %となる。ただし,この誤差は
Helicopter Fligts by Infrared Images”,SPIE Aero Sense
複数のデータを平均化することにより低減できる。また,
Symposium”,Proceedings of SPIE “Enhanced and
120m の距離にコーナレフレクタを設置し,同様に測定し
Synthetic Vision 2001”,Vol.4363, 2001.4
f
た結果,正しい距離情報が得られた。以上により,120m
山田公男,山本憲夫:“飛行障害物検出のための処
理とミリ波レーダ”,電子研発表会,講演概要,平成
以内では目標を検出できることを確認した。
13 年 6 月
4.
まとめ
ヘリコプタ等の小型機用障害物探知・衝突警報システ
−21−
GPS 搬送波位相の進入着陸への応用の研究
1.
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○田嶋裕久 朝倉道弘 東福寺則保
研究期間
平成 12 年度∼平成 13 年度
はじめに
着陸への応用について将来の可能性に関する検討を行う。
国際民間航空機関(ICAO)において地上補強システム
(GBAS)を含めた全地球的航法衛星システム(GNSS)
2.
研究の概要
を,将来高カテゴリの進入着陸へ利用するための検討を
平成 12 年度は,平成 7 年から 9 年度の特定研究「自動
進めている。基本的な GPS による測位では信号コードを
着陸を目指した航法精度要件の研究」において開発した
利用しており,ICAO において検討中の GNSS の標準も信
C バンドデータリンクを利用した DGPS 実験システムの
号コードによる測位方式である。将来高カテゴリの進入
ソフトウエアを改造し,2 周波 RTK GPS が使えるように
着陸においては高い航法精度が要求される。信号コード
機能を向上した。飛行実験としては実験用航空機の利用
と比較して波長の短い搬送波の位相を利用するキネマテ
効率を上げるため,受託試験「メガフロート(浮体式海
ィック GPS は,GPS による測位の中では最も高い精度が
上)空港モデルへの GPS による進入飛行に関する試験研
得られる方式として既に測量等に利用されている実績が
究」と合わせて行い,横須賀港沖合のメガフロート空港
ある。しかし,リアルタイムキネマティック(RTK)
のモデルに対し,進入着陸データを収集した。飛行実験
GPS には同様の波の繰り返される搬送波のどの波かを表
は,2000 年 8 月 22 日から 9 月 6 日まで,ローパスも含め
す整数値バイアスの決定に時間がかかり,また間違った
約 50 回の進入飛行を行った。
解を出力する可能性もあるといった問題があるため,高
現在航法用の RTK GPS 受信機は無いので代表的な 2 周
い信頼性が要求される航空機の航法システムとしては利
波 RTK GPS 受信機を実験用として使用した。理論的には,
用できなかった。
2 周波 RTK GPS が 1 周波 RTK GPS に比べ,収束時間が短
GPS の信号は将来強化され,民間用にも 2 周波または 3
縮されるはずであるが,今回使用した実験用 2 周波 RTK
周波が利用可能となる計画がある。この場合,整数値バ
GPS 受信機では,着陸までに収束しない場合の方が多く,
イアス決定に利用できるデータが多くなるため,収束時
1 周波 RTK GPS に比べて収束時間の顕著な改善は見られ
間と解の正解率等の性能が改善される。また,現在ヨー
なかった。その他,受信機のバグによる異常な誤差も見
ロッパで開発中の衛星測位システムの Galileo において
られたが,航法用の受信機ではないので本質的な問題で
も,RTK の利用を始めから考慮し,複数周波数によるサー
はない。これらの原因を調べるためさらに飛行実験,地
ビスを計画している。また受信機に内蔵されるマイクロ
上実験,データ解析を行う必要がある。
プロセッサとソフトウエアの技術的な進歩も考慮すると,
将来の衛星測位システムにおける RTK の利用は現在より
3.
まとめ
も容易になり,利用範囲が広がることが予想される。本
2 周波 RTK GPS の飛行実験を行った結果,予想に反し
研究では,現在使用可能な GPS 受信機における RTK の性
1 周波 RTK GPS に比べて収束時間の顕著な改善は見られ
能を確認する基礎的な実験データを収集し,RTK の進入
なかった。平成 13 年度にこの原因を調べるためさらに飛
行実験,地上実験,データ解析を行い研究をまとめる計
画である。
掲載文献
a
田嶋,朝倉,松本,“DGPS 進入着陸飛行実験による
航法性能要件の検討,” 信学論(B), Vol.J83-B,No.8,
pp.1186-1194, Aug. 2000.
s
朝倉,田嶋,“DGPS 進入におけるメガフロート空港
の潮汐の影響”,第 1 回電子研発表会,平成 13 年 6 月
図 1 実験用航空機操縦席から見たメガフロート
−22−
メガフロート(浮体式海上)空港モデルへの GPS による進入飛行に関する試験研究
(平成 12 年度受託第 1 号)
1.
担 当 部
電子航法開発部
担 当 者
○田嶋裕久 朝倉道弘
研究期間
平成 12 年 6 月 1 日∼平成 12 年 12 月 21 日
DGPS では誤差と潮位の変化(1.8m)が同程度であり,
はじめに
GPS(Global Positioning System)のような人工衛星を
その判別が困難である。そこで,標準の高さを 10m 高く
利用する航法システムが運用され,航空機の航法システ
シフトし,これより潮位が 10m 下がった状態を DGPS で
ムとしても利用され始めている。航法性能要件を満たす
補正していることを模擬した実験も行った。
DGPS の実験結果における高さ方向のばらつきは± 1m
ための GPS の補強システムとしては,静止衛星による広
域に対する SBAS(Satellite Based Augmentation System)
程度であり,潮汐による高さ変動があっても陸上空港の
と空港毎に基準局を設置する GBAS(Ground Based
Augmentation System)があるが,どちらも地球の中心を
基準として固定した世界共通の標系を使用している。
海上空港として超大型浮体式海洋構造物(メガフロー
ト)を使用する場合の問題等を研究するため,メガフロ
ート技術研究組合が実験を行ってきた。実証実験におい
ては長さ 1000m の空港モデルを横須賀港沖に建造し,各
種の航空機による進入着陸実験が行われた。本試験研究
では,メガフロートのように潮汐によって滑走路の位置
が変動する空港において,地球に固定した座標系を標準
図 1 メガフロートエプロンの実験用航空機 B-99
とする衛星航法システムを使用する場合の問題を検討し
(運輸大臣視察)
た。
実験結果と比較して精度の低下は無く,基準局設定デー
2.
タを +10m シフトした結果は航空機において測位される
試験研究の概要
高さが +10m シフトした結果となることが確認された。
ディファレンシャル GPS(DGPS)は GBAS の要素技
術であるので,当研究所の DGPS 実験装置と実験用航空
機(Beechcraft
これは,GPS の測位が基準局との相対的な測位となって
99)を使用してメガフロート空港モデ
いることを示している。
ルに対して進入着陸の飛行実験を行いデータを収集した。
3.
DGPS を利用する場合,浮体上で局所的座標を使用する
まとめ
方式と地球座標を使用する方式が考えられるが,陸上と
今回実験した基準局をメガフロート上に設置する方法
互換性の無いシステムでは実用性に問題があるため,浮
は,浮体を基準とした局所的な座標を使用する方式であ
体上で局所的座標を使用する方式に絞って飛行実験を行
る。地上装置及び航空機側の装置が陸上空港に着陸する
った。
場合と同様で良く,互換性の点で優れている。実験では
当研究所の実験用 DGPS 基準局(基準用 GPS 受信機,
高さが潮位によって変化しても相対測位の効果により陸
C バンドデータリンク送信機)をメガフロート上に設置
上空港と同様に DGPS による着陸ができることが確認さ
し,実験用航空機に機上装置(測位用 GPS 受信機,C バ
れた。
ンドデータリンク受信機)を搭載した。航空機では,地
上からのデータを利用して航空機位置を補正するととも
掲載文献
に,パイロットに対してコース偏差をコース偏差指示器
a
朝倉,田嶋,“DGPS 進入におけるメガフロート空港
の潮汐の影響”,第 1 回電子研発表会,平成 13 年 6 月
(クロスポインタ)で表示して進入飛行実験を行った。
−23−
2
港と新東京国際空港において GPS 信号の信頼性の検証に
航空施設部
関する地上実験を行った。また,仙台空港において進入・
Ⅰ 年度当初の試験研究計画とそのねらい
着陸の飛行実験を行い,実験結果と連続的な GPS の受信
平成 12 年度における研究は,行政当局の要望などを考
信号の解析等に基づいて GBAS の完全性・連続性・有効性
慮して,下記のように計画した。
の評価を行った。
1.
SSR モード S ネットワーク化の研究
2.
ハイインテグリティ・ディファレンシャル方式の
研究では,平成 11 年度に実施したシステムの基本設計に
研究
基づいて,マルチチャネル化により通信容量が大幅に拡
データリンクによる航空機等の監視システム高度
大できる実験用 ADS システム地上装置の製作を行った。
3.
データリンクによる航空機等の監視システム高度化の
化の研究
航空管制用デジタル対空無線システムの研究では,実
4. 航空管制用デジタル対空無線システムの研究
験システムの高周波部と電波干渉実験システムを製作す
5. 積雪による進入コースの予測技術に関する研究
ると共に,地上センター局の基本設計を行った。また,
6. 空港面における SSR マルチパス除去方法の研究
VDL モード 3 の運用要件に基づいて,今後実施する評価
1 から 4 の研究は航空局からの要望研究であり,経費は
実験の内容と方法について検討した。
空港整備特別会計によるものである。また,5 は指定研
積雪による進入コースの予測技術に関する研究では,
GP 反射面の積雪の誘電率変化を長期的に監視するため
究,6 は一般研究である。
1 は我が国の航空管制に適合した二次監視レーダ(SSR)
モード S のネットワーク化とモード S データリンク応用
に,改良ガンマー法を考案して測定装置の製作を行い,
性能確認のための試験を青森空港で実施した。
空港面における SSR マルチパス除去方法の研究では,
についての検討と開発を行う研究である。2 は全地球的
航法衛星システム(GNSS)を精密進入着陸に導入する
電子走査アンテナを使ってマルチパス環境下において
場合のデータ伝送システムの開発と補強情報の質の検証
SSR 信号を解読して航空機を識別する方法に関する実験
に関する研究である。3 は空港面を走行する航空機,車
を行った。また,航空局に対する「空港面航空機自動識
両ならびに周辺空域を飛行する航空機を正確かつ効率的
別表示システムの性能向上に関する技術協力」の一環と
に監視する自動従属監視(ADS)システムの開発に関す
して,距離分解能の高精細化,降雨クラッタ抑圧効果の
る研究である。4 は将来の管制通信量の増加に対処する
検証,表示装置の液晶ディスプレイ化,TV 監視装置によ
ため,空地間の音声通信をデジタル化し,併せて,デー
る空港面探知レーダの補完に関する試験等を実施した。
タ通信を可能にする次世代の VHF 対空通信システムの開
この他,受託試験として,メガフロート空港における
ILS の安定性に関する試験研究を行った。
発に関する研究である。5 は空港に設置されている計器
着陸装置(ILS)グライドパス(GP)の進入コースが積
Ⅲ 試験研究の成果と国土交通行政,産業界,学会に及
雪によって変化するのを,雪の電気的特性を測定するこ
とでコース変化を予測する技術の開発に関する研究であ
ぼす効果の所見
る。6 は空港面航空機自動識別表示システムで出発機の
当部が実施している研究の成果は,今後設置・運用す
識別に SSR 応答信号を利用するための研究で,空港内の
る航空保安システムの技術基準,運用基準の策定等に必
建造物によるマルチパスを抑圧し,目的の航空機からの
要な技術資料として,国土交通行政に直接寄与している。
SSR 応答信号を解読する技術の開発研究である。
また,次世代航空保安システムに係わる研究では我が
国独特の問題もあり,積極的に国際民間航空機関(ICAO)
Ⅱ 試験研究の実施状況
において評価試験データを公表するなど,国際的な技術
SSR モード S ネットワーク化の研究では,前年度に実
基準の検討と策定に貢献している。また,これらの研究
施した基礎試験結果に基づいて各装置の機能向上を行う
成果は電子情報通信学会,日本航海学会及び日本航空宇
と共に,データ解析装置を製作して評価システムを完成
宙学会等で発表している。
させてモード S ネットワークの総合評価試験を実施した。
ハイインテグリティ・ディファレンシャル方式の研究
( 航空施設部長 田中 修一 )
では,可搬型 GBAS データ収集装置を使用して,仙台空
−25−
SSR モード S ネットワーク化の研究
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○三吉 襄 宮崎裕己 古賀 禎
研究期間
平成 8 年度∼平成 12 年度
48,100 千円
平成 12 年度経費
1.
理装置等の既存装置に,ネットワーク関連の機能を付加
はじめに
二次監視レーダ(SSR)は,管制情報処理システムに
するとともに,擬似モード S センサ,マルチサイトター
航空機の位置,高度,および識別符号等の情報を提供す
ゲットシミュレータ等,ネットワーク化に必要な装置を
る航空管制施設で,空港や航空路の主要地点で運用され
加えてモード S ネットワークを形成している。
ているが,航空交通の増大や地上 SSR 局の増加に伴い,
測位精度の不足,干渉によるターゲットの欠落,過剰質
問によるトランスポンダの飽和等の問題が生じてきた。
また,管制の処理効率を高めるために,信頼性の高い空
地データ通信の要求が高まってきた。
これらの背景から国際民間航空機関(ICAO)では,監
視機能を向上するとともに空地データ通信機能を付加し
た SSR モード S(以下モード S という)の国際標準が制定
され,各国においてモード S の開発および導入が進めら
れている。電子航法研究所では,平成 3 年度からモード S
システムの開発および評価を行ってきたが,評価試験の
結果,実用化の見込みが得られたことから,我が国にお
いてもモード S の導入が計画され,平成 15 年度より監視
機能の運用が開始される予定である。
このモード S は,ネットワーク化を図ることによりモ
ード S が持つ優れた機能および性能を十分に発揮させて,
図1
モード S ネットワーク評価システムの構成
協調的な航空機監視,効率的な空地データ通信,相互バ
2.1
ックアップによる信頼性の向上等,効率的で信頼性の高
研究計画
い運用を提供することができる。加えて,モード S は航
平成 8 年度は,モード S ネットワークの接続方式,管
空通信ネットワーク(ATN)における空地サブネットワ
理方式,評価内容等を検討して基本設計を行うとともに,
ークの一つでもあることから,今後の我が国におけるモ
評価試験装置にネットワークを評価するために必要な機
ード S の普及に備え,モード S ネットワーク技術を確立
能を付加した。
平成 9 年度は,我が国の管制通信に適したモード S デ
しておくことが必要である。
ータリンクを検討するとともに,擬似モード S センサ,
このため,本研究では,モード S ネットワーク評価シ
ステムを整備し,ネットワークの機能および性能につい
マルチサイトターゲットシミュレータを製作した他,タ
て評価試験を実施して,モード S ネットワークに関する
ーゲット発生器にマルチサイト環境下でのターゲットを
諸機能の動作確認,ICAO 国際標準の検証,ならびにネ
模擬する機能を付加した。
平成 10 年度は,前年に引き続きモード S データリンク
ットワーク化によるモード S の性能評価等を行った。
を検討するとともに,擬似モード S センサ,マルチサイ
2.
トターゲットシミュレータに機能付加を行った。
研究の概要
図 1 に本研究で構築したモード S ネットワーク評価シ
平成 11 年度は,地上データリンク処理装置にネットワ
ステムの構成を示す。本評価システムは,「SSR モード S
ーク化に対応させるための改修を行うとともに,ターゲ
システムの研究」において整備した地上データリンク処
ット相関装置を製作した他,モード S ネットワークの基
−26−
2.2 評価システム
礎試験を実施した。
平成 12 年度は,前年度に実施した基礎試験結果に基づ
本研究にて整備した評価システムでは,モード S セン
いて各装置の機能を向上させるとともに,データ解析装
サの他,複数センサの機能を模擬できる擬似モード S セ
置を製作して評価システムを完成させ,モード S ネット
ンサを用いてマルチサイト環境を形成させ,マルチサイ
ワークの総合評価試験を実施した。
トターゲットシミュレータにより模擬ターゲットを発生
させることで,様々なセンサ配置およびターゲット分布
に対してシミュレーションによる評価を行えるようにし
た。図 2(a)にモード S 地上局,(b)に擬似モード S セ
ンサ等の新規製作装置,(c)に評価試験装置等の外観を
示す。以下に各装置の機能を説明する。
a
モード S 地上局
モード S センサは,質問応答の送受信,応答の信号処
理を行うとともに,監視処理,データリンク処理,およ
びネットワーク管理等の機能を実行する。ネットワーク
管理では,覆域マップの管理,航空機情報の転送等を行
う。ターゲット発生器は,モード S センサに対して模擬
ターゲットを発生させる。モニタ表示装置は,モード S
(a)モード S 地上局
センサの運用状況を表示する。
s
擬似モード S センサ
複数センサによるネットワーク環境を形成させるため
にモード S センサの機能を模擬するとともに,模擬ター
ゲットを発生させる。本装置では,ネットワークの機能
確認で必要とされるアップリンク送信の失敗,センサ障
害等を模擬できるようにした。
d
地上データリンク処理装置
ICAO が定めたモード S ネットワークの規定に従って,
ネットワーク管理,モード S 固有サービス等の機能を実
行する。ネットワーク管理では,センサプライオリティ
(b)新規製作装置
の決定,データリンクメッセージおよび航空機情報の転
送制御等を行う。
f
マルチサイトターゲットシミュレータ
マルチサイト環境下における模擬ターゲットの移動お
よびデータ通信を一元的に制御する。本装置では,模擬
ターゲットのシナリオ設定,機上データリンク処理装置
の機能模擬等を行う。
g
評価試験装置
ターゲット相関装置は,複数のセンサから送られてく
る監視情報を選択するとともに,ターゲットを共通のレ
ーダ画面に表示させるために監視データの座標変換を行
う。レーダ表示装置は,監視情報に基づいてターゲット
(c)評価試験装置
をレーダ画面に表示する。データ入出力装置は,データ
図2
リンクメッセージの入力および表示等を行う。データ収
各装置の外観
集装置は,各センサより送られてくる監視情報およびデ
ータ通信情報を収集する。データ解析装置は,収集した
−27−
データよりネットワークの性能解析等を行う。
を転送することにより,復旧センサの運用開始をバック
2.3
アップする。
評価試験
[運用モード管理]
モード S ネットワーク評価システムを用いて,ネット
データ通信回線に障害が発生した場合,センサの運用
ワークの機能および性能に関する評価試験を実施した。
機能試験では,協調的な航空機監視,効率的な空地デー
モードを切り替えて監視を継続できるようにする。
タ通信,相互バックアップによる信頼性の向上等,モー
2.3.2 性能試験
ド S を高度運用させるネットワークの諸機能を確認した。
性能試験では,トラック移送による捕捉時間の比較,
性能試験では,航空機監視ならびに空地データ通信の性
トラック補完による再捕捉時間の比較,センサ障害復旧
能について,モード S を単独で運用した場合とネットワ
後のターゲット捕捉時間の比較等について性能評価を行
ーク化して運用した場合とで比較して,モード S のネッ
い,モード S はネットワーク化して運用した場合のほう
トワーク化による性能向上を評価した。
が単独で運用した場合よりも,効率的で信頼性の高い運
2.3.1 機能試験
用を行えることが分かった。
以下に各試験項目で確認した機能の概要を説明する。
a
3.
協調的な航空機監視
まとめ
本研究では,モード S ネットワーク評価システムを整
[センサプライオリティ管理]
備し,ネットワークの機能および性能について評価試験
割り当てセンサ情報に基づき,各ターゲットに対して
監視およびデータリンクを行うセンサを管理する。
を行い,ネットワーク諸機能の確認,ICAO 国際標準の
[トラック移送]
検証,ネットワーク化によるモード S の性能評価等を実
ターゲットが覆域境界を通過する場合,航空機情報を
施した。機能試験では,協調的な航空機監視,効率的な
転送することによりハンドオフを行い,監視を連続的に
空地データ通信,相互バックアップによる信頼性の向上
継続させる。
等,モード S を高度運用させるネットワークの諸機能が
[トラック補完]
正常に機能していることを確認した。性能試験では,
SSR モード S はネットワーク化を図ることにより,効率
コースト発生時に航空機情報の転送し,コースト機の
的で信頼性の高い運用を行えることが分かった。
監視を継続させるともに再捕捉のバックアップを行う。
s 効率的な空地データ通信
[アップリンク]
[参考文献]
a
各センサから送られてくる航空機情報を基にルート情
三吉:“新しい航空機監視レーダ“SSR モード S””,
報を管理し,アップリンクの転送ルートの決定する。
1998 年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会講演論
[ダウンリンク]
文集 1,p.196,平成 8 年 9 月
s
地上側から転送されたルート情報を管理し,ルート情
宮崎,三吉,古賀:“SSR モード S センサの航空機
報に従ってダウンリンクの転送ルートを決定する。
追尾特性について”,第 29 回電子航法研究所研究発表
[送信センサ切り替え]
会講演概要,pp.45-48,平成 9 年 6 月
d
アップリンクまたはダウンリンクの送信が失敗した場
古賀,三吉,宮崎:“DGPS と SSR モード S の測位
合,ルート情報に基づいて転送ルートの変更する。
精度比較”,第 30 回電子航法研究所発表会講演概要,
[モード S 固有サービス]
pp.65-68,平成 10 年 6 月
航空管制用に設計されたデータリンクプロトコルで,
f
古賀,三吉,宮崎:“GPS を用いた SSR モード S の
地上喚起ダウンリンク,ブロードキャスト,モード S 固
較正について”,電子情報通信学会宇宙・航行エレクト
有プロトコルの 3 種類のサービスが用意されいる。
ロニクス技術報告 SANE98-32,平成 10 年 7 月
g
d 相互バックアップによる信頼性の向上
[センサ障害発生時の処理]
宮崎,三吉,古賀:“SSR モード S の開発と監視機
能の評価試験”,電子航法研究所報告,NO.92,1999 年
1月
ネットワークを構成するセンサに障害が発生した場合,
h
隣接センサが監視およびデータ通信の代行する。
宮崎,三吉,古賀:“SSR モード S ネットワークの
開発について”,第 31 回電子航法研究所研究発表会講
[センサ障害復旧時の処理]
演概要,pp.29-32,平成 11 年 6 月
障害センサが復旧した場合,隣接センサが航空機情報
−28−
j
通信リサイエティ大会講演論文集 B-2-2,p.159,平成
Miyoshi :“Development and Evaluation of SSR
12 年 9 月
Mode S in Japan”,ICAO SICASP-WG/1 WP-846,
¡1
March 2000,London
k
古賀,三吉,宮崎:“SSR モード S データリンクの
古賀,三吉,宮崎:“SSR モード S のデータリンク
評 価 試 験 の 結 果 に つ い て ”, 電 子 航 法 研 究 所 報 告 ,
NO.96,2001 年 1 月
試験結果について”,第 32 回電子航法研究所研究発表
¡2
会講演概要,pp.47-50,平成 12 年 6 月
l
その 2
三吉,宮崎,古賀:“SSR モード S システムの研究
その 1
データリンク機能とその評価試験について”,
要望研究報告,平成 13 年 2 月
モード S システムの開発と監視機能の評価試験
¡3
について”
,要望研究報告,平成 12 年 9 月
¡0
古賀,三吉,宮崎:“SSR モード S システムの研究
宮崎,三吉,古賀:“SSR モード S ネットワークの
評価試験について”,第 1 回電子航法研究所研究発表会
古賀,宮崎,三吉:“SSR モード S のデータリンク
講演概要,pp.51-58,平成 13 年 6 月
評価試験の結果について”,2000 年電子情報通信学会
ハイインテグリティ・ディファレンシャル方式の研究
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○藤井直樹 福島荘之介 齊藤真二
研究期間
平成 8 年度∼平成 12 年度
53,500 千円
平成 12 年度経費
1.
した GBAS を構築するための,本研究を平成 8 年度より
はじめに
ICAO(国際民間航空機関)は,航空機の航法として,
開始し,カテゴリー I の GBAS に対する技術開発を行って
人工衛星を使用した全地球的測位システムであるアメリ
きた。この技術開発には,GNSS の補強データを送るデ
カ合衆国の GPS やロシア連邦の GLONASS を利用した全
ータ伝送に関する研究と送信する補強データの質に関す
地球的航法衛星システム(GNSS)を導入するため,
る研究がある。8 ∼ 12 年度にかけてはデータ伝送に関す
GNSS に関する SARPs(国際標準および勧告方式)を策
る研究,10 ∼ 12 年度にかけては補強データの質に関する
定する全地球的航法衛星システムパネル(GNSSP)を平
研究を行い,実験用 GBAS を構築し実用化システムへの
成 6 年に設置した。GNSS を航空機の進入着陸システムに
問題点の整理を行った。
使用するためには,高い精度,高い完全性(ハイインテ
2.
グリティ)及び十分なサービスの継続性が要求され,そ
の条件を満たすためには GNSS の信号を補強するシステ
研究の概要
GBAS の補強データの伝送方式に関する方式としては,
ムの構築が必要とされている。補強システムとして,静
研究開始時点では VHF(108MHz ∼ 118MHz)帯,C バン
止衛星を利用して補強データを放送する静止衛星型補強
ド(5GHz 帯)を始め種々の周波数を使用した方式が検
システムと,地上から放送する地上型補強システム
討されていた。当所としては候補となった方式の中から,
(GBAS : Ground Based Augmentation System)が考えら
当初有力だった,高カテゴリーの精密進入を目的とした
れ,これらに対する SARPs 策定のための検討および
放送型データ伝送方式として,MLS に使われている C バ
SARPs 案に対する検証が行われている。平成 11 年 4 月に
ンドと ILS/VOR に使われている VHF 帯を利用する方式
開かれたパネル会議で航空路,ターミナル空域からカテ
に対して試作検討を行った。
ゴリー I 進入着陸までに対する SARPs 案が採択され,そ
C バンドを使用した方式は,電波の干渉問題がないこ
の案に対する検証と改訂作業が,平成 12 年 6 月の米国シ
とと高い完全性及び十分なサービスの連続性が MLS の開
アトル作業部会まで行われた。SARPs 案は ICAO の航空
発の中で実証されているために,開発期間を短縮するこ
委員会(ANC)および理事会の審議を経て,平成 13 年 11
とが可能で英国などが支持した方式である。我が国も
月 1 日に発効する運びとなった。
MLS のデータ伝送方式を発展させた,GNSS の補強デー
当所では,これらの ICAO における SARPs 案の策定作
タを効率的に伝送する可変長フォーマットの拡張 C バン
業,検証作業に対する寄与,並びに,我が国の国土に適
ドデータ伝送方式を考案し,ICAO に提案した。VHF 帯
−29−
を使用した方式はすでに多くの航空機に VHF のアンテナ
が取り付けてあるため航空会社に対する負担が少なく,
VHF ディジタルリンク(VDL)の技術が応用できるため
に米国などが推進した方式である。現在の ICAO では,
VHF 帯を使う D8PSK 方式が SARPs 案に採択されている。
C バンドを使用した方式の評価のために,ビット誤り
率,受信レベル,受信信号位相角度が測定できる,C バ
ンド受信装置と C バンドデータリンク受信信号処理装置
を開発した。従来の機材と比べて受信感度がよく,この
機材を C バンドデータリンクに関する実験に使用した。
図 1 拡張 C バンドデータ伝送方式によるアプローチ
高利得でシャープカットオフ特性を持つ C バンド全方向
飛行実験結果
アンテナを開発し,岩沼分室のハイインテグリティ・デ
ィファレンシャル実験用鉄塔に設置し,地上および飛行
実験を行った。
VHF 帯を使用した方式の評価のために,GBAS-VHF 送
信装置,GBAS-VHF 受信装置および GBAS-VHF 送信アン
テナなどを開発し,実験を行った。実験においては,米
国の薦めている D8PSK とスウェーデンが薦めている
GFSK の 2 つの変調方式に関する評価を行った。
補強データの質に関する研究は平成 10 年度から始ま
り,補強データを作成するための GBAS 用データ計測シ
ステムと,補強データの質を評価するための GBAS デー
図 2 RTCA SC159 方式によるアプローチ飛行実験結果
タ評価装置を製作した。GBAS 用データ計測システムは 4
式の GPS 受信機から高信頼性の GPS 補強データを作成す
るシステムで,GBAS データ評価装置は作成した補強デ
ータを評価する装置である。また,補強信号を監視する
ための GBAS 監視装置を製作した。GBAS 監視装置は
GPS 信号と VHF 方式の信号を受信することによって,放
送された補強信号を監視する装置である。各装置に対す
る評価を行いながら,SARPs 案の変更などに合わせて機
能向上を行った。各種の設置環境でデータを採取するた
めの可搬型 GBAS データ収集装置を製作した。また,調
布(三鷹)の研究所において定常的にデータが採取でき
るように GPS アンテナなどの整備も行った。平成 11 年度
図 3 VHF D8PSK 変調方式によるアプローチ飛行実験結果
から 12 年度にかけて,可搬型 GBAS データ収集装置を用
い,仙台空港と新東京国際空港において GPS 信号の信頼
性に関する地上実験を行った。平成 12 年度には仙台空港
において飛行実験を行い,精度の評価を行った。これら
の実験および調布における連続的なデータの取得による
GPS 受信信号の解析などを通じて,GBAS の完全性・連
続性・有効性の評価を行った。
3.
3.1
研究成果
補強データの伝送方式に関する成果
図4
−30−
VHF GFSK 変調方式によるアプローチ飛行実験結果
C バンド補強データの伝送方式に関する研究において,
ICAO に提案した拡張 C バンドデータ伝送方式の評価のた
めに,仙台空港における飛行・地上実験では,伝送方式
として,提案した拡張 C バンドデータ伝送方式と VHF と
同じ信号形式である RTCA SC159 方式を比較検討した。
図 1,2 に,それぞれ 2 回の飛行実験における航跡,受信
機入力レベルとメッセージ誤りが生じたポイントを航跡
上に示す。図 1,2 に示す通り,メッセージ誤りもなく,
双方の結果とも良好で,進入に際して MLS 受信機に対す
図 5 単一アンテナによるレベル飛行実験結果
る要求受信レベル-95dBm をほぼ満たしており,信頼性が
高いという実験結果を得たので,この結果を GNSSP の作
業部会にも報告を行った。
VHF バンド補強データの伝送方式に関する研究では,
岩沼分室に送信機を設置し,D8PSK と GFSK の 2 つの変
調方式に対して,飛行実験を評価した。図 3,4 に飛行航
跡,受信機入力レベルとメッセージ誤りが生じたポイン
トを航跡上に示す。図 3,4 が示すようにメッセージ誤り
もなく双方とも良好であった。ただし,詳細に比較する
と,GFSK は D8PSK に比べて,メッセージ誤りや受信覆
域などは変わらないものの,ビット誤りでは VHF 通信な
図 6 アレイ・アンテナによるレベル飛行実験結果
どの送受信切り換え雑音などの外部雑音に対しては弱い
傾向が見られた。
また,図 5,6 にレベル飛行実験の結果の飛行航跡,受
信機入力レベル,航跡上にメッセージ誤りが生じたポイ
ントと要求最低受信機入力レベルの-87dBm を示す。水平
偏波の VHF 帯の信号では,図 5 に示すように,電界強度
が低くなる地域(ナル)が発生しやすいので,単一アンテ
ナによる飛行実験と,アンテナを重ねたスタックド・アレ
イによる飛行実験を行い,アレイによるナル抑制効果の
比較を行った。図 6 に示す通り,実験結果はメッセージ
誤りが生じる場所が仰角 15 度より高い空域となり,要求
覆域の 1 度∼ 7 度の外となった。この結果はスタックド・ア
レイによるナル抑制効果が優れていることを示した。
3.2
補強データの質に関する成果
図 7 アプローチ飛行による DGPS 精度実験結果
補強データの質に関する研究の成果は,平成 11 年度に
行った,可搬型 GBAS データ収集装置を用いた仙台空港
ソフトウェアに多くの問題点があることを明らかにし,
と新東京国際空港における GPS 信号の信頼性に関する地
機能の改修および向上の必要性を示した。精度を評価す
上実験を実施し,24 時間にわたるデータを各種の条件下
るための仙台空港における 13 回のアプローチ飛行では,
で 3 日分採取し解析を行った。この結果,GBAS 基準局と
垂直方向の精度は 95 %確率で 2.4m,最大値 2.5m となり,
して 4 つの受信局を用いる方法の有効性が確認された。
カテゴリー I の性能要件であるである 3.4m(95 %確率)
また,周辺構造物などが GPS 信号を遮蔽しない場合,受
の精度を満足することを確認した。横方向に対しても,
信アンテナの高さが低いほど精度が良くなるという結果
13.7m(95 %確率)の精度要件に対して,実験では 95 %
も得られた。調布の研究所において連続的に採取したデ
確率精度で 1.7m,最大値 1.7m となり,要件を満足する
ータは,GBAS 用データ計測システムのアルゴリズムと
ことを確認した。(図 7 参照)
−31−
4.
Omni-Directional Antenna” ICAO GNSSP-WG/D-
まとめ
WP/93, Brussels, September 1997,
本研究において,次世代の航法システムである GNSS
l
を航空機の進入着陸に使用するために用いられる GBAS
S.FUKUSHIMA, N.FUJII, A.SHIMAMURA: “Flight
の確立に向けての技術的な検討,評価,開発を行い,
Test Results for C-Band Broadcast System” ICAO
GBAS 実用化に向けての基礎的な資料を得た。現在,
GNSSP-WG/B-WP/54, Wellington, May 1998.
ICAO で議論されているように,GBAS に要求されている,
¡0
福島,藤井:“衛星故障を考慮した LAAS のアベイラ
高い有効性,高い完全性及び十分なサービスの連続性の
ビリティ”第 30 回電子研発表会講演概要,平成 10 年 6
要件を満たすには,本研究の対象とされていなかった電
月
¡1
離層による影響,大気圏誤差による影響などの自然現象
N.FUJII, S.FUKUSHIMA, Y.MATSUZAWA,
に対する解析も必要である。今後とも,ソフトウェアの
A.SHIMAMURA : “VDB System Using D8PSK and
信頼性の向上を図りながら,さまざまな観点からの検討
GFSK Modulation” ICAO GNSSP-WG/B-WP/63,
が必要であり,ICAO の動向を注視しつつ,我が国独自
Krasnoyarsk, August 1998.
¡2
の問題を考慮し,最適な GBAS の構築のために研究を進
N. FUJII, S. FUKUSHIMA, Y. MATSUZAWA, A.
めていくなかで,今回の本研究の結果は,カテゴリー I
SHIMAMURA: “Flight Test Results of GBAS VDB
の GBAS の実用化に向けての資料になるとともに,将来
System” ICAO GNSSP-WG/B-WP/12, Kobe, January
に向けた高カテゴリーの GBAS に対する研究開発に対し
1999.
¡3
ても基礎的資料となると考えられる。
福島,藤井:“VHF による LAAS データ伝送の飛行実
験”第 31 回電子研発表会講演概要,平成 11 年 6 月
¡4 N.FUJII, S.FUKUSHIMA, S.SAITOH, Y.MATSUZAWA,
掲載文献
a N.FUJII, N.TAKAGI: “NABS Power Budget with 360
A. SHIMAMURA: “Flight Experiments for Horizontal
degree C-band Antenna” ICAO GNSSP-WG/D-WP/1,
Polarization VDB System” ICAO GNSSP-WG/B-
Atlantic City, September 1996.
GBAS/SG-WP/5, Toulouse, March 2000.
s
¡5 N.FUJII, S.FUKUSHIMA, S.SAITOH, Y.MATSUZAWA,
N.FUJII, N.TAKAGI: “Preliminary Results of Bit
Error Rate Test for General Aviation C-band Receiver”
A. SHIMAMURA: “VDB Transmitter Performance”
ICAO GNSSP-WG/D-WP/2, Atlantic City, September
ICAO GNSSP-WG/B-GBAS/SG-WP/10, Toulouse,
1996.
March 2000.
¡6
d N.FUJII, N.TAKAGI: “Flight Experimental Results of
齊藤,福島,藤井:“GBAS 飛行実験結果について”
第 32 回電子研発表会講演概要,平成 12 年 6 月
C-Band NABS” ICAO GNSSP-WG/D-WP/3, Atlantic
¡7
City, September 1996.
f
測位実験”第 32 回電子研発表会講演概要,平成 12 年 6
N.FUJII, N.TAKAGI: “The Results of Bit Error
Experiment on the Runway Surface using C-band NABS”
S.TANAKA, S.NIHEI, N.FUJII, Y.KAWAI :
“Introduction of Airport Vehicle Positioning System in
1997.
Japan” ICAO GNSSP-WG/B-WP/5, Banff, March 2001.
N.FUJII, N.TAKAGI: “NABS-C Message Format”
¡9
GNSSP-WG/D-WP/60, Gold Coast, February 1997.
h
月
¡8
ICAO GNSSP-WG/D-WP/59, Gold Coast, February
g
N.FUJII, S.FUKUSHIMA, S.SAITOH, Y. KAWAI:
“Preliminary Results of GBAS Flight Trial in Japan”
福島,藤井,横山: “C バンドデータ伝送による
ICAO GNSSP-WG/B-WP/36, Banff, March 2001.
LAAS の評価実験”第 29 回電子研発表会講演概要,平
™0
成 9 年 6 月.
j
齊藤,福島,藤井,“GBAS 補強情報による航空機の
測位実験”第 1 回(独)電子研発表会講演概要,平成
N.FUJII, S.FUKUSHIMA, N.TAKAGI: “Experiment
13 年 6 月
Results of Bits Error Rate by New C-Band Data-link
™1
Receiver” ICAO GNSSP-WG/D-WP/9, Montreal, May
福島,齊藤,藤井,“地上型補強システム(GBAS)
のインテグリティ”第 1 回(独)電子研発表会講演概
1997.
k
福島,齊藤,藤井:“多基準局を用いる狭域 DGPS の
要,平成 13 年 6 月
N.FUJII, S.FUKUSHIMA, A.SHIMAMURA: “C-band
−32−
データリンクによる航空機等の監視システム高度化の研究
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○田中修一 二瓶子朗 加来信之
研究期間
平成 11 年度∼平成 15 年度
31,300 千円
平成 12 年度経費
容量の大幅な拡大が可能なマルチチャネル対応の実験用
1.はじめに
将来の航空機監視には,全地球的航法衛星システム
ADS システム地上装置を製作した。通信容量の大幅な拡
(GNSS)などによる精密測位とデータリンクを利用した
大方法については,現在実験に使用している 2.4GHz 帯の
自動従属監視(ADS)システムを導入することが提案さ
ISM 無線帯域が平成 11 年から従来の3倍の帯域を使用で
れており,ICAO では,洋上や航空路上で衛星や VHF 電
きるようになったため,これを利用して容量の大幅な拡
波によるデータリンクを利用した ADS が検討されてい
大を図ることとした。すなわち,ISM 無線帯域を3分割
る。また,空港周辺と空港面においても,安全性向上と
してマルチチャネル化してチャネル毎に別個のデータリ
空港の運用効率改善を図るために航空機や車両の監視に
ンクを形成し,これを統合化してデータを一元的に管理
ADS の導入が検討されており,SSR モード S のスキッタ
することで全体があたかも一つのデータリンクで動作し
や VHF 電波によるデータリンクを利用する方法が提案さ
ているように働き,しかも通信容量を大幅に拡大するこ
れている。このような ADS 技術は,ICAO 等で検討が進
とが可能なシステムの考案を行った。
また,製作した地上装置等を使って基地局装置および
められている先進型地上走行誘導管制(A-SMGC)シス
マスター局装置間における有線通信系を中心とした高速
テムにおいて重要な技術になることが予想される。
大容量のデータ伝送試験を行った。
本研究では,空港面の地上を走行する航空機・車両と
平成 13 年度は,移動体装置の製作と無線通信系を含む
周辺空域を飛行中の航空機を正確に効率よく監視できる
ADS システムについて,実験装置の試作と評価試験を行
データリンク性能試験を行う。
って,移動体の精密測位技術と測位データを管制機関等
平成 14 年度は,製作した実験システムと航空機の監視
に伝送するデータリンク技術に関する資料を得ることを
を目的とした装置を連接する統合化システムの設計と製
目的としている。
作及び統合化した ADS システムの基本性能試験を行う。
平成 15 年度は,これまでの性能試験結果をもとにして
システムの改修を行い,実験用 ADS システムの総合性能
2.研究の概要
本研究は5ヶ年計画で進めており,平成 11 年度は,航
評価試験を実施する予定である。
空機・車両等移動体の測位システムの検討と測位性能試
3.空港内車両位置情報システムの運用評価
験を実施すると共に,高速で大容量化が可能な実験用
航空局の技術協力依頼に基づいて平成 11 年度に製作・
ADS システムの基本設計を行った。
設置した新千歳空港向け「空港内車両位置情報システム」
移動体の測位については,仙台空港において車両走行
による DGPS/RTKGPS の測位性能試験を実施した。その
の基本性能試験を実施すると共に,新千歳空港において
結果,大部分の場所では正常な測位性能が得られること
航空局の車両を中心とした通常期および積雪時の車両従
が確認できたが,ターミナルビルの近傍においては正常
属監視機能について運用評価試験を実施した。
5月にシステムの立ち上げと基本動作試験を開始して
に測位できない場合が多い。これは,ターミナルビルや
ボーディングブリッジ等による電波の遮蔽によって,
以来,常時システムを運用状態に維持して使用し,9月
GPS 衛星数の減少や無線データリンクの受信状態が不安
初旬,12 月初旬,1月下旬,3月初旬に性能評価試験を
定になるためと考えられる。このようなターミナルビル
実施した。その結果,夏場の高温期や冬場の厳しい気象
近傍における測位性能の劣化については,ジャイロや車
条件下も含めて比較的安定なシステム運用が確保され,
速パルス等を使った補完方法等について今後検討してい
空港内を走行する移動体の監視が効果的に行える見通し
く計画である。
が得られた。
平成 12 年度は,これまでの基本設計に基づいて,通信
図1は,新千歳空港内の場周道路を実験車両で1周し
−33−
図 1 システム運用航跡記録例
図2
消防車両夜間走行訓練航跡記録例
図 3 滑走路除雪作業時航跡記録例
−34−
たときのシステム運用時の航跡記録例を示す。図中の航
体の数が非常に多くなるので,空港の規模や交通量の変
跡で右側の赤色は M1,青色は M3,左側の赤色は M5,
化などにも十分に対応できる拡張性のあるシステムの検
黒色は M6,中央下側の赤色は M4 の各マスター局セルに
討が必要である。
加入していることを示す。走行コース上における各サー
本研究では,移動体の測位性能およびデータリンク性
ビスエリアの切換えポイントでは,色表示の変化から離
能等について検討を行い,実験用 ADS システムの試作と
脱・加入操作がスムーズに行われていることが確認でき
性能評価試験を通して A-SMGC システムや空港面の ADS
る。
システムの技術的な要件や運用要件等を策定するのに必
要な技術資料を取得する予定である。
図2は,消防車両の夜間走行訓練の航跡記録例を示す。
この時の車両台数は,大型消防車3台と指揮・監督車1
台,それに実験用車両1台である。この場合も,各セル
掲載文献
の切換えポイントでは離脱・加入操作がスムーズに行わ
a
二瓶,田中:“空港内車両位置情報システムについ
て”,第 32 回電子研発表会,平成 12 年6月
れていることを確認した。
s
図3は,12 月初旬に 30cm あまりの積雪があり除雪車
二瓶,田中:“空港内車両位置情報システムについ
て”,航空無線,2000 第 25 号(秋期)
両が出動したときの航跡記録例を示す。指揮・監督車を
d
先頭にスノープラウ,ロータリー除雪車が出動し,誘導
二瓶,田中:“空港内車両位置情報システムについ
路を南下して B 滑走路に入り,滑走路の除雪作業を開始
て”,日本航海学会 GPS 研究会 GPS シンポジウム 2000,
したときの状況を示す。
平成 12 年 11 月
f
平成 13 年度は,本システムの利用者の要望等も取り入
二瓶,田中:“空港内車両位置情報システム”,情報
れた機能向上も含めてシステムの改修を行い最終的な総
処理学会 高度交通システム研究会 高度交通システ
合性能評価を実施する予定である。
ム 2001 シンポジウム,平成 13 年1月
g
S. Tanaka, S. Nihei, N. Fujii, Y. Kawai, “Introduction
of Airport Vehicle Positioning System in Japan”, ICAO
4.むすび
GNSSP-WG/B-6, March 2001, Banff
空港面を中心とした航空機と車両監視用の ADS システ
h
ムでは,移動体の精密な測位と高速で大容量のデータリ
二瓶,田中:“空港内車両位置情報システムの性能
評価実験”,第 1 回電子研発表会,平成 13 年 6 月
ンクが要求される。特に,大規模空港では監視する移動
航空管制用デジタル対空無線システムの研究
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○藤森武男 松下征二
研究期間
平成 12 年度∼平成 16 年度
80,600 千円
平成 12 年度経費
1.
はじめに
画で実施しており,我が国の航空管制業務に適合するシ
航空管制用デジタル対空無線システム(VDL モード 3)
は,空地間の音声通信をデジタル化し,併せて,データ
ステムを構築するため,実験システムの開発及び所要の
評価実験を行うこととしている。
通信を可能にする新しい VHF 対空通信システムであり,
平成 13 年 3 月,ICAO において国際標準システムとして
2.
VDL の概要及び国際動向
VDL(VHF デジタルリンク)については,様々な方式
採択された。このシステムは,現在,航空管制用の対空
通信に使用されている無線送受信施設(RCAG,A / G)
のものが提案されたが,平成 12 年 度 末 時 点 に お い て
に代わる次世代の通信システムであり,ICAO の CNS /
ICAO の国際標準システムとなっているのは,次の 3 つの
ATM 構想を実現するうえで衛星データリンクとともに重
方式(モード 2 ∼モード 4)である。
①モード 2 :データ通信用(非リアルタイム通信用)
要な役割を果たすものである。
本研究は,平成 12 年度から平成 16 年度までの 5 ヶ年計
②モード 3 : 音声通信及びデータ通信用
−35−
図1
VDL モード 3 実験システム構成図
③モード 4 :データ通信用(主に航空機の監視用)
(モード 1 は利用者がいないため標準から削除された。)
なお,モード 2 ∼モード 4 のいずれも未だ運用されてい
ない。モード 2 については国際的に実用機器の配備が始
まっており,平成 14 年度頃から欧米の一部地域で運用が
開始される見通しである。一方,モード 3 とモード 4 は,
既存システムと併用していくためのマルチモード機上無
線機の開発や運用評価が必要とされており,国際標準の
技術項目の改善を図る作業も始められている。
また,モード 2 ∼モード 4 のいずれも,既存 VHF アナ
ログ無線機等との間の電波干渉が懸念されている。これ
図2
を防ぐため,無線機間の離隔基準及び周波数割当基準の
VDL モード 3 実験システム送受信装置系統図
作成が検討されており,これらの基準作成に必要な電波
作した。また,VDL モード 3 の導入に当たって問題とな
干渉実験が行われている。
る既存 VHF アナログ無線機等との電波干渉の程度を調べ
3.
るための電波干渉実験システム(写真 2)を製作した。
研究の概要
本研究においては,ICAO が定めた VDL モード 3
実験システムの地上センター局についてはその具備すべ
SARPs(標準及び勧告方式)に基づき実験システムを製
き機能の基本設計を行った。さらに,VDL モード 3 の運
作し,その実用化にあたって必要となる各種評価実験を
用要件を文献により調査し,想定される運用要件に基づ
行うこととしている。なお,必要に応じて VDL モード 3
いて評価実験の内容及び方法を検討した。
の技術的改善や SARPs 変更の提案を行う等により国際貢
4.
献に努めていくこととしている。
むすび
VDL モード 3 実験システムは,図 1 に示すとおり,地
平成 12 年度は本研究の初年度であり,実験システムの
上局 2 局,航空機局 2 局及びこれらを統括する地上センタ
製作に着手し,併せて,評価実験の内容及び方法の検討
ー局で構成される。図 2 に実験システム送受信装置の系
を行った。平成 13 年度は,実験システムのうち D8PSK
統及び内部構成を示す。送受信装置は,高周波部,
変復調部,TDMA 制御部及び音声処理部等の製作及び電
D8PSK 変復調部,TDMA 制御部,音声処理部及び通信制
波干渉実験を行うこととしている。
御部から構成される。
今後,できるだけ早期に実験システムを完成させ,航
平成 12 年度は実験システムの高周波部(写真 1)を製
空管制官及びパイロットの参加を得て音質及びデータ通
−36−
掲載文献
a
藤森,松下,塩地:“VHF ディジタルリンク・モー
ド 3 の実験計画”,第 32 回電子航法研究所研究発表会講
演概要,平成 12 年 6 月
s
藤森:“VHF デジタルリンクについて”,日本航海
学会誌,第 145 号,平成 12 年 9 月
d
藤森,松下,塩地:“VHF デジタルリンクの開発と
評価”,第 38 回飛行機シンポジウム講演集,平成 12 年
10 月
写真 1
VDL モード 3 実験システム高周波部(機上局用)
f
藤森,松下,塩地:“VHF ディジタルリンクの開発
動向”,電子情報通信学会技術研究報告,SANE2000120,平成 12 年 12 月
信機能の評価を実施するとともに,実際の空地間におけ
る通信実験(地上実験及び飛行実験)を行っていく予定
である。
写真 2 電波干渉実験システム
積雪による進入コースの予測技術に関する研究
1.
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○横山尚志
研究期間
平成 11 年度∼平成 13 年度
GP 進入コースを正確に予測する監視技術を確立する必要
はじめに
わが国の ILS(計器着陸装置)は長い間カテゴリーⅠ
があった。
で運用してきたが,最近では,濃霧が多発する新東京国
2.
際空港,釧路空港および熊本空港において,視程が 200m
研究の概要
まで低下しても着陸することができるカテゴリーⅢ A の
GP 反射面の積雪は,時間や日照により雪質と雪深が変
全天候運航が行われるようになった。一方,降雪地にあ
化するが,それに伴い GP 進入コースが変化する。しか
る空港では,GP の反射面に積雪があると進入コースが変
し,雪の電気的性質を正確に把握する積雪の誘電率を測
化することが知られているが,それを検出する方法がな
定する適当な方法は開発されていない。そこで,本研究
く,ILS を高度運用する上で大きな障害になっていた。
は,積雪の誘電率を測定する新たな技術の開発を当面の
それらの問題を解決するには,GP 反射面の積雪の誘電率
目標としている。
変化を長期的に監視できる測定方法を開発し,積雪時の
2.1 現行の測定法の問題点
−37−
昨年度は,GP 反射面の積雪への入射波と反射波の比か
高周波ケーブルの外気温による伸縮の影響を校正するも
ら雪面の伝達係数 S 21 をネットワークアナライザで測定
ので,適宜,校正用アンテナに切り替えてネットワーク
し,S21 と雪深より複素誘電率εを計算した。この方法で
アナライザを校正する。
は,被測定積雪面を除雪してからネットワークアナライ
s
ザの校正をし,被測定積雪面に雪を盛ってその積雪のε
周波数を用いる。これにより,アンテナが小型軽量とな
を測定すると言うものであった。このような従来方式で
りアンテナの風圧加重が減少するほか,アンテナの設置
は,被測定積雪面の除雪と人為的な積雪面の形成作業を
高も大幅に低くすることができる。しかし,測定された
繰り返すため,積雪の密度が不均一になって,自然積雪
積雪のεは C バンドの測定値であるため,GP の周波数帯
に比べると積雪のεの虚数部が大幅に変動した。このた
(330MHz)のεに外挿法を用いるが,外挿法に適用する
め,本研究では,測定する積雪に手を加えないで長期的
実験式の導出には,実験データの蓄積が不可欠である。
に積雪の誘電率の変化を測定できる方法を開発すること
2.3
測定周波数として,C バンド(約 3GHz ∼ 5GHz)の
GP 進入コースの予測計算
積雪時の GP 進入コースの飛行実験結果は,冬季の気
が課題であった。
象条件が厳しいため殆ど得られていない状況であるが,
今後,航空局の協力を得て飛行実験データの蓄積を図り
予測計算の有効性を確認する必要がある。また,GP 進入
コースの予測計算は,GP 反射面の積雪の誘電率,雪深お
よび反射面の積雪面の形状等を入力データとして用いる
ので高精度の予測が期待される。
ネットワーク
アナライザ
3.
まとめ
考案した「改良ガンマー法」は,GP 反射面の積雪に触
れることなく測定機材の校正と誘電率の変化を長期間測
図1
積雪の誘電率測定装置系統図
定できる方法で,今後,その性能確認をする予定である。
また,GP 進入コースの予測計算では,飛行実験結果と比
2.2
較をし GP 進入コースの予測精度の確認を行いたい。
改良ガンマー法
除雪しなくても積雪のεを測定できる方法「改良ガン
マー法」を考案し,測定装置を平成 12 年度に試作して,
発表論文
平成 13 年 1 月に青森空港で性能確認のための積雪データ
a
横山他“積雪による航空機の進入コース変化の予測
を収集した。図 1 に改良ガンマー法のシステム構成図を,
について”2000 年度日本雪氷学会全国大会,10 月 4 日,
その概要を以下に述べる。
B2-14
a
s
校正用と積雪測定用として,電気的な性能が等価な
中田,横山他“UHF 帯積雪誘電率測定用プローブセ
一対のアンテナを用い,それをスイッチで切り替えて使
ンサー”2000 年度日本雪氷学会全国大会,10 月 4 日,
用する。校正用アンテナの地面に鉄板を敷いて除雪面と
B2-7
d
し,被測定積雪面には積雪測定アンテナを設置する。校
戸川,横山他“UHF 帯での積雪の誘電率”2000 年度
日本雪氷学会全国大会,10 月 4 日,B2-7
正用アンテナは,ネットワークアナライザの状態変化や
−38−
空港面における SSR マルチパス除去方法の研究
1.
担 当 部
航空施設部
担 当 者
○加来信之
研究期間
平成 12 年度∼平成 13 年度
指向性の鋭い SSR アンテナのビームを航空機に向けて,
はじめに
空港面を走行する航空機の監視は,現在管制官の目視
その航空機が送信する応答信号を解読して,航空機情報
と無線電話による位置の確認の他に,空港面探知レーダ
を得る方式は,既に実施した評価実験において解読可能
(ASDE)を用いておこなっているが,この画面表示は一
であることが明らかとなっている。しかし,マルチラテ
次レーダの反射波をそのまま表示しているため,航空機
レーション法による航空機の位置測定には,従局の方で
の位置は把握できるが識別することができない。この点
ビーム幅が広くて利得が低いアンテナを使用しているた
を改善するため,航空機をシンボルとして表示するとと
め,マルチパスの影響を受けて,正確な位置を求めるのが
もに,その航空機のコールサイン,機種などをデータブ
困難であった。そこで,固定したスレッショルドレベル
ロックとして付加する空港面航空機自動識別表示システ
を越えた信号を受信する今までの方式の受信機を,入力
ムを,平成 5 年度から 8 年度にかけて開発した。しかし,
信号の強さによりスレッショルドレベルを変動させる能
このシステムは滑走路末端で ASDE と SSR で検出した到
動式の受信方式に昨年度改修した。その改修効果を検証
着機の位置相関が得られたとき,SSR の識別番号を基に
するために,今年度に評価実験を実施したが,真のパルス
飛行計画情報処理システム(FDP)から航空機の情報を
とマルチパスとのレベル差が小さく,能動式受信機の動
入手し,航空機がエプロンで停止するまでその情報を保
作が不安定で,マルチパスを除去できるほどの効果が得
持する方法を用いている。そのため,到着機には自動的
られなかった。
に航空機情報をタグ付けできるが,出発機には手動で付
3.
加しなければならない問題が残っている。
技術協力
出発機への自動的タグ付けをおこなうには,空港内で
航空局より「空港面航空機自動識別表示システムの性
SSR 信号を受信解読しなければならないが,空港は多く
能向上に関する技術協力」と「夜間及び悪気象条件下で
の建造物があるためマルチパスが多発する他に,航空機
の TV 画像による誘導路上の航空機追尾を行うための整
が輻輳し信号が重なり合うガーブル現象も数多く発生す
備要件調査」の 2 件の依頼があった。
る。したがって,飛行中の航空機を監視するために使用
「空港面航空機自動識別表示システムの性能向上に関
している SSR は,空港面においては使用できず,現在の
する技術協力」は,空港面航空機自動識別表示システム
ところ航空機の情報を得ることができない。そこで,こ
の距離分解能の高精細化と降雨クラッタ抑圧及び高機能
のような環境下でも情報入手が可能な,マルチパスなど
表示装置の液晶ディスプレイ化である。また「夜間及び
の除去方法に関する基礎技術を確立する必要がある。
悪気象条件下での TV 画像による誘導路上の航空機追尾
を行うための整備要件調査」は,ASDE のブラインドエ
2.
リアを補完する TV 監視装置を夜間でも使用可能にする
研究の概要
当所で開発した空港面航空機自動識別表示システムは,
ものである。
3.1 距離分解能の高精細化
走行中の航空機を ASDE で追尾しているため,航空機の
位置は常に把握されているので,この ASDE の位置情報
空港面航空機自動識別表示システムは,平成 6 年度に
を基に,指向性の鋭い SSR アンテナのビームを目標とす
製作したもので,当時の技術では 1 秒毎にリアルタイム
る航空機に向けて静止させれば,ビーム外の SSR 信号に
に処理するのが難しく,距離分解能を 1/256NM としてい
影響されずに目標の信号を受信し,航空機を識別するこ
た。ところが,この分解能では航空機の位置表示が滑ら
とが可能となる。また,電子走査アンテナのモノパルス
かでないため,距離分解能を 1/512NM にする改造を昨年
測角により既に航空機の正確な方位を得ているため,受
度実施した。今年度この改造効果を評価するため,実験用
信機 2 台だけでマルチラテレーション法による航空機の
航空機に精密測位が可能なキネマティック GPS を搭載
位置を求めることができる。
し,この GPS 測位位置を真値と仮定して測位誤差を求め
−39−
(a)処理前
(a)航跡
(b)抑圧処理後
図 2 降雨クラッタ抑圧効果
(b)検出誤差
図1
実験小型機の検出精度
た。その結果を図 1 に示す。これは,実験用航空機 B-99
位置がずれている。これに対し誘導路 B5 を直進走行して
を誘導路 C から誘導路 B5 を経由して滑走路 B から離陸し
いるときは,バイアス誤差はほとんどなく,測位誤差の
たときのデータである。(a)がそのときの航跡を表して
変化は誘導路 C と同様に最小処理単位で変化している。
おり,図右下の部分を拡大したものを別に示してある。
曲線部では,誤差が X 軸と Y 軸とに現れ,誘導路 C から
細い実線が GPS により求めた航空機の航跡で,真の航跡
B5 への左回転では両者の合成である直距離は 1.5m,誘導
と考えられる。黒丸が ASDE 信号から求めた 1 秒毎の航
路 B5 から滑走路 B への左回転では直距離は 2.3m であっ
空機の位置である。(b)は GPS を基準として求めた航路
た。この値は,航空機の大きさ(B767 で全長 48.5m)と
逸脱量で,GPS と ASDE の測位タイミングを同期できな
比較すると,極めて小さいので空港面を監視する装置と
いため真の誤差を求めることができず,この逸脱量を測
して十分な測位精度を有している。また,改造前と比べ
位誤差と考えた。これは ASDE 測位点から GPS 航跡に垂
て走行時の表示が滑らかになった。
線を下ろしたときの X 座標成分と Y 座標成分の値で,X 座
3.2
降雨クラッタ対策
標に沿って走行する誘導路 C と滑走路 B では X 座標成分
準ミリ波を使用している ASDE は,雨滴の反射で生じ
は 0 となり,Y 座標に沿って移動する誘導路 B5 では反対
る降雨クラッタが発生し易く,降雨時の監視に支障があ
に Y 座標成分が 0 となる。誘導路 C を直進走行している
った。この ASDE 信号を使用する空港面航空機自動識別
ときの Y 軸の誤差は,約 1.0m のバイアス誤差を有してお
表示システムは,降雨クラッタにより偽像が多数発生し,
り,測位精度が悪くなる場合は,最小処理単位の 3.6m で
航空機の追尾ができなくなる現象が生じる。この問題を
−40−
解消するため,平成 7 年度より東京電機大学との間で共同
研究「降雨時における空港面探知レーダのクラッタ処理
の研究」を実施してきたが,画像処理において雑音除去に
使用する収縮法をレーダ信号に応用する方法が適してい
ることが明らかとなった。この収縮法の抑圧効果を検証
するために昨年度空港面航空機自動識別表示システムを
改造した。今年度は,この抑圧効果を評価するため,仙
台空港において雷雨の時に航空機(B767)が走行するデ
ータを ASDE 信号記録装置に記録し,そのデータを用い
図 3 液晶型高機能表示装置
て降雨クラッタの中を走行する航空機を追尾できるよう
に空港面航空機自動識別表示システムの調整をおこなっ
た。その結果,降雨強度 17mm/h の雷雨でも着陸からエ
プロンで停止するまで支障なく追尾可能となった。図 2
に,抑圧処理により変化する信号の状態を示す。(a)が
抑圧処理前の信号で,降雨強度 17mm/h で発生している
降雨クラッタの中に B767 が埋もれているときのシステム
の内部信号である。(b)はクラッタ抑圧処理を行った後
の信号で,航空機の形状は変化しているが,ほとんど降雨
クラッタは消去されている。
3.3 液晶型高機能表示装置
平成 6 年度に製作した空港面航空機自動識別表示シス
テムの表示装置は,20 インチ角型の CRT ディスプレイを
a
用いていたが,管制塔への設置および交換が困難であっ
配置図
た。最近の計算機技術の発展に伴い液晶型ディスプレイ
が高輝度化されたため,明るい管制塔内でも液晶型ディス
プレイが使用可能か否か検討することになった。
今年度,対角 21.4 インチ,表示画素数 1600 × 1200 ドッ
ト,視野角 85 度(水平,垂直)の性能を有する液晶ディ
スプレイを用いた高機能表示装置を試作した。これは,
表示機能は CRT 型高機能表示装置と同等で,ディスプレイ
を液晶型に置き直したものである。今年度 3 月に,管制
塔内でこの液晶型高機能表示装置が使用できるか,飛行
場管制の経験がある管制官 8 人で評価実験を実施した。
その結果,明るい管制塔内でも十分に使用できることが
わかった。図 3 に本装置の外観を示す。
3.4
TV 画像による航空機の監視
b
空港内の建造物等により生じる ASDE のブラインドエ
リアを補完するため,平成 7 年度に製作した TV 画像を処
航跡
図 4 TV 画像による航空機の監視
理して航空機の位置を標定し,監視する航空機画像識別
装置を,誘導路上でも使用できるように,ステレオ方式
台のカメラで監視できるようにした。(a)の黄色線で囲
と赤外線カメラに適用できるよう改造した。
まれた区域が 1 台のカメラの監視域で,2 台のカメラの監
図 4 に示すように,仙台空港南西側にカメラを 2 式(可
視域が重なった部分が,ステレオ方式で位置を標定でき
視カメラ及び赤外線カメラ)を設置し,誘導路 B3 を含む
る区域である。
区域を ASDE ブラインドエリアと仮定し,その場所を 2
この場所を走行する各種の航空機のビデオを記録し,
−41−
そのビデオデータを用いて航空機画像識別装置の調整と,
の TV 画像による誘導路上の航空機追尾を行うための整
空港面航空機自動識別表示システムとの連接調整を実施
備要件調査」の 2 件を実施し,昨年度改造した空港面航
した。その結果,(b)に示すように仮定した ASDE ブラ
空機自動識別表示システムの距離分解能の高精細化と降
インドエリアを走行する航空機を TV 画像で標定可能と
雨クラッタ抑圧効果の検証実験をおこない,十分な性能
なり,さらに ASDE 信号を用いた空港面航空機自動識別表
を有していることを確認した。高機能表示装置の液晶デ
示システムとの間で追尾を移管できることとなった。こ
ィスプレイ化では,高輝度液晶ディスプレイを用いた高
れにより,空港内の ASDE ブラインドエリアを,実質的
機能表示装置を試作し,管制官評価を実施した結果,明
に解消できることになった。
るい管制塔内で使用できることが認められた。ASDE の
ブラインドエリアを補完する TV 監視装置を,誘導路上
1 月に管制官 11 名による評価実験をおこない,ASDE
の補完装置として十分に飛行場管制に使用できることが
で使用できるように,画像識別装置を改造するとともに,
わかった。
仙台空港で評価実験を行い,ASDE ブラインドエリアで
の飛行場管制に使用できる性能を有していることが認め
3.
られた。
むすび
マルチパス環境下において SSR 信号を解読するため,
ASDE 検出位置を基に電子走査アンテナのビームを目標
掲載文献
に向けて SSR 信号を受信し,航空機を識別する方法の実
a
清水めぐみ,幸谷智,三輪進,加来信之:“収縮法
験を進めた。今年度は改修した受信方式で実験を行った
を用いたレーダ SCR の改善”,信学論(B),vol.J83-B
が,ビーム幅の広いアンテナではマルチパスの影響が大
No.7,平成 12 年 7 月
s
きく出て,希望したようなデータが得られなかった。
三輪進,斎藤彰彦,幸谷智,加来信之:“レーダ
技術協力では,「空港面航空機自動識別表示システムの性
SCR に関する一考察”,信学技報,SANE-2000-53,平
能向上に関する技術協力」と「夜間及び悪気象条件下で
成 12 年 9 月
メガフロート(浮体式海上)空港における ILS の安定性に関する試験研究(その 3)
(平成 12 年度受託第 2 号)
1.
担 当 部
航空施設部
担 当 者
横山尚志
研究期間
平成 12 年 5 月 26 日∼平成 13 年 1 月 31 日
ースへの影響について評価をした。
はじめに
海上空港は,埋め立て方式と浮体方式に大別される。
2.
メガフロート技術研究組合は,滑走路長 900m の浮体式
研究の概要および成果
の海上空港モデルを建造して,洋上における施工・耐用
台風が到来するとうねりと風波でメガフロートは変形
技術,空港施設の機能確保に関する技術および環境への
をするが,これによって GP 反射面にできる電波の反射
影響について各種の試験研究を実施している。空港施設
点が上下動して,GP 進入コースに影響が生じる可能性が
として多くの無線施設が用いられているが,それらの無
ある。これは陸上空港にはない現象である。そこで,飛
線施設の中で,地面反射を利用して進入コースを形成す
行実験と予測計算により波浪による弾性変形の影響を確
る ILS(計器着陸装置; Instrument Landing System)GP
認することとした。
まず,波浪による浮体の弾性変形は動的な現象である。
(グライドパス;高低誘導装置)が最も浮体の空港面構造
メガフロート研究組合は波浪の有義波高を 2.3m,有義波
と弾性変形の影響を受けることが懸念されていた。
そこで,平成 11 年度には,浮体の地面構造と周辺構造
周期を 5 秒程度として浮体の弾性変形を解析した。その
物による GP 進入コース特性について,飛行実験と予測
結果,台風時の弾性変形の波長は約 200m ∼ 300m,浮体
計算により,浮体の 2 層構造の地面による影響を明らか
の上下振幅は± 0.2m であることが分かった。
そこで,台風相当の変形を GP 反射面に生じさせて,
にした。平成 12 年度には,浮体の弾性変形と GP 進入コ
−42−
(b)滑走路方向の GP 反射面の変形
図 1 GP 反射面と注水前後の変形
図2
注水変形前後の GP 進入コースの変化
飛行実験を実施することにした。今回は,GP 反射面の中
ことが明らかになった。陸上空港でも積雪時に類似の現
程にあるバラストタンクに海水を 4500 トン注水して静的
象が生じることがあるが,積雪との相異は反射面に形成
な変形を生じさせた。図 1 に GP 反射面と注水前後の変形
される反射点が動的に移動する点である。従って,進入
を,図 2 に注水前後の飛行試験結果と予測計算結果を示
機が速度一定で降下すると,図 2 に示すような注水前と
す。飛行実験結果は,予測計算結果と 1 ∼ 2NM では必ず
注水後のコース偏移の間で GP 進入コースが動的変形で
しも一致していない。その原因は,飛行試験に使用した
上下振動を繰り返すが,その振動は時間的に変化するた
YS-11 型機では 3 次元の機体の位置座標が計測できないた
め,機上の進入コースは図 3 に示すパスベンドを生じる。
めで,事測計算では航空機が理想コースを飛行したもの
台風のうねりと風波で生じる GP 進入コース上のパスベ
としてコース偏移を求めている。しかしながら,3 ∼
ンドは浮体構造により変わるが,今回の場合,ICAO の
6NM では計算値と実験値はほぼ一致しており,この結果
CAT Ⅲの規格値をほぼ満足していることが分かった。
から GP 進入コースは注水前後の変形で上下に偏移する
−43−
(b)大型台風による弾性変形の場合
図 3 弾性変形による進入機の指示値
3.
参考文献
まとめ
a
GP 進入コースに及ぼすメガフロートの弾性変形の影響
横山 et al.;“The Elastic Deformation of “MEGA-
について,大型台風による浮体の弾性変形の解析,弾性
FLOAT”and its effect on the GP (Glide Path) Course
変化による GP 進入コース変化の解析を行った。
Structure” Proceeding of OMAE’01 20th International
Conference Offshore Mechanics and Arctic Engineering,
その結果,動的な弾性変形が生じると,GP の進入コー
Rio de Janeiro, Brazil, June 3-8, 2001
スが上下に振動することが明らかになった。このような
s
進入コースを降下すると,周辺構造物に類似したパスベ
横山他;“メガフロート空港における弾性変形のグ
ンドを生じるが,大型台風の弾性変形による GP 進入コ
ライドパス特性への影響” 日本航海学会 航空宇宙研究
ースのパスベンドは,時間によって変化し,台風が去れ
会 春季講演会,東京水産大学,May 24, 2001
ば消滅する現象であることが分かった。
−44−
3
ある。8.は将来の航空交通流管理システムの高度化を実
電子航法評価部
現するためには,空港における航空機の運航状況をシス
Ⅰ 年度当初の試験研究計画とそのねらい
テムに入力することが不可欠であり,これに必要な次世
平成 12 年度における研究は,行政当局の要望などを考
代飛行場管制卓の開発を行う研究である。9.は航空管制
慮して,下記のように計画した。
1.
2.
の現場における新たな情報機器の導入による,業務環境
輻輳海域における海上交通流管理の高度化に関す
の変化の良否の判定に非接触型の疲労計測法である,発
る研究
話音声をカオス理論により分析する手法で実現しようと
CNS/ATM パッケージに対応した空地データリン
する研究である。
ク統合化の研究
3.
ADS 環境下での国際航空交通流管理手法の研究
4.
大都市圏空域の航空路の有効利用に関する研究
CNS/ATM パッケージに対応した空地データリンク統
5.
データ通信対応管制情報入出力システムの研究
合化の研究は本年度が最終年度である。本研究では
6.
カメラ画像からの直線的要素の検出に関する研究
CNS/ATM パッケージの検証などを目的に海外テストベ
7.
小型航空機向け情報通信機器に関する調査研究
ットとの接続実験を行った。その結果インターネット通
8.
航空交通流管理に対応した次世代飛行場管制卓の
信サービス,上位層通信サービス,空対地のアプリケー
研究
ションである管制官・パイロット間データリンク通信/自
カオス理論によるヒューマン・ファクタの計測に
動従属監視の相互接続性や運用性について良好な結果を
関する基礎研究
得た。地対地のアプリケーションである ATS メッセー
9.
Ⅱ 試験研究の実施状況
1 の研究は運輸政策局の主導による研究であり,経費
ジ・ハンドリング・システムの海外接続実験も良好な結
は運輸技術研究調査費によるものである。2 ∼ 5 の研究は
果であった。また,航空移動衛星業務サブネットワーク
航空局からの要望研究であり,経費は空港整備特別会計
のデータ転送速度の評価を疑似衛星サブネットワークを
によるものである。また,6 ∼ 9 は一般研究である。
用いて行ったところ自動従属監視について洋上空域での
1 は海上交通の分野に情報化技術・知能化技術を導入
運用については可能であるとの結果を得た。
ADS 環境下での国際航空交通流管理手法の研究では,
(インテリジェント化)し,海上交通管理の高度化を図る
研究である。2 は国際民間航空機関(ICAO)で提案され
洋上経路等を対象とする航空交通流管理手法について検
た航空通信ネットワークの技術基準案である CNS/ATM
討を進めた。飛行計画段階と出発段階における調整の比
パッケージをシミュレーションと実証実験により検証す
較検討のため,両調整方法を模擬する飛行計画調整シミ
る事を目的とした研究である。3 は自動従属監視(ADS)
ュレータおよび洋上合流シミュレータを改修した。管制
や管制官パイロット間データ通信(CPDLC)等の整備が
官参加のシミュレーション実験により,両調整方法の組
進められている中,これらの環境整備を有効に活用し,
み合せ手法を検討した。また, 新東京国際空港のように,
増加した国際航空交通流と国内交通流を統一的に管理し,
その到着機の大部分が国外空港からの出発である空港を
全体として円滑な航空交通流を形成するための手法を開
対象とする航空交通流管理手法の検討も行った。通過計
発する研究である。4 は航空管制シミュレーション装置
画調整シミュレータを製作し,基礎的な空港の滑走路使
を用いた実時間シミュレーション及び高速シミュレーシ
用スケジュールを作成する機能を確認した。
ョンを用いて空域容量評価手法を確立して大都市圏空域
大都市圏空域の航空路の有効利用に関する研究では,
の航空路の空域設計評価手法を確立することを目的とし
本年度は,昨年度に引き続き,航空管制シミュレーショ
た研究である。5 は将来のデータ通信の導入に対し,音
ン装置の整備を進め,大規模な実時間シミュレーション
声とデータ通信の混在する場面における管制業務形態の
装置を構築した。これにより,任意の空域で多数のセク
構築とその業務の遂行に必要な情報機器の開発を行う研
タ構成が可能になり,航空管制シミュレーション実行の
究である。6 はカメラで取り込んだ画像から人工物に多
環境が整備できた。また,高速シミュレーションによる
い直線的要素の検出を行い,対象物の位置,速度,移動
評価手法についても引き続き,実験を実施するとともに,
方向などを抽出する手法を開発し,電子航法に利用する
実時間シミュレーションと結果の相互比較等により検討
研究である。7 は小型航空機やヘリコプタ等の運行を支
を進めていく予定である。
援するために必要な情報通信機器の調査を行ったもので
データ通信対応管制情報入出力システムの研究では,
−45−
本年度は,データ通信を主要な通信手段として管制業務
ー・ラッピング技術に関する調査研究を行っている。ま
が行われる状況を想定し,そこにおける管制業務形態に
た,サテライト空港における管制業務の効率化を目的と
つき調査検討を行うとともに管制卓に必要な要素の調査
して,これに対応する飛行場管制卓の研究開発も行って
も行った。そしてこれらの結果を踏まえデータ通信管制
いる。
カオス理論によるヒューマン・ファクタの計測に関す
卓モックアップを試作した。
る基礎研究では,発話音声をカオス理論により分析する
カメラ画像からの直線的要素の検出に関する研究では,
時間・空間的に異なる画像を処理することで画像センサ
ことで疲労の検出がリアルタイムで行えるソフトの開発
と対象物との相対距離,角度などを検出する手法につい
ができ,リアルタイムを必要とする用途への適用性が実
て検討し,解析を行った。その結果ノイズに影響を受け
現できた。
やすいことがわかった。その対策として画像処理範囲を
Ⅲ 試験研究の成果と運輸行政,産業界,学会等に及ぼ
動的に変化させる方法が有効であることがわかった。
す効果の所見
小型航空機向け情報通信機器に関する調査研究では,
運航支援情報システムに活用の可能性が考えられる情報
当部が実施している研究の成果は,今後設置・運用す
通信機器(情報通信方式)について基本的な調査として
る施設に対する技術基準,設置基準の策定など運輸行政
実用間近な VDL(極超短波データリンク)の小型機への
に直接寄与している。また,ICAO における国際的な技
適用可能性について調査した。
術基準の検討に寄与している。これらの成果は日本航海
学会,電子情報通信学会及び日本航空宇宙学会等で発表
航空交通流管理に対応した次世代飛行場管制卓の研究
は,管制システムは将来 ATN(航空通信ネットワーク)
している。
(電子航法評価部長 長谷川 英雄)
を基盤としたシステム構築が必須であることからレガシ
輻輳海域における海上交通流管理の高度化に関する研究
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
水城 南海男 矢田 士郎
研究期間
平成 12 年度−平成 17 年度
17,000 千円
平成 12 年度経費
1.
情報の画像合成法について検討していく予定である。ま
はじめに
陸上交通における高度道路交通システムと同様に,海
た,AIS 情報を海上交通流の予測/制御に有効に利用す
上交通の分野においてもデジタル情報通信技術を利用し
るため,輻輳海域におけるトラフィック・シミュレーシ
て安全や効率の飛躍的な向上を図ることが求められてお
ョンを行うが本年度はその基本部分を製作した。
り,次世代の海上交通システムを構築していくことが必
2.
要である。
研究の概要
2.1
本研究は,国土交通省で実施する「海上交通のインテ
AIS 情報の VTS への導入による海上交通流管理シス
テムの高機能化
リジェント化に関する技術開発」の一環として実施する
VTS レーダに AIS 情報を取り込み,レーダ上の船舶を
もので,主として AIS(Automatic ship Identification
System)情報の VTS(Vessel Traffic Management System)
自動識別・追尾し AIS 情報を最適な形式で表示すること
への導入による海上交通流管理システムの高機能化と輻
ができるシステムを開発することが第一段階として必要
輳海域における海上交通流制御技術の高度化を図ること
である。
このため,平成 12 年度では AIS 地上局の基本装置を整
が目的である。
このため,平成 12 年度では AIS 地上局の基本装置を整
備するとともに,各種条件における実験データを収集す
備し,各種条件における実験データを収集するための
るための AIS データ収集装置を製作した。図 1 に AIS デー
AIS データ収集装置を製作した。これらを用いて VTS レ
タ収集装置を含む陸上 AIS 実験システムを示す。
今後,これらを用いて VTS レーダ・データと AIS デー
ーダデータと AIS データを収集して,VTS レーダと AIS
−46−
図1
陸上 AIS 実験システムの概念図
変針点:任意,変針点数: 10 以上
タを収集して,VTS レーダと AIS 情報の画像合成法につ
④船長機能
いて検討していく予定である。
2.2 輻輳海域における海上交通流制御技術の高度化
保針・変針・避航の動作をシミュレート可能
AIS 情報を海上交通流の予測/制御に有効に利用する
3.
ため,輻輳海域におけるトラフィック・シミュレーショ
まとめ
5 年計画の初年度として,AIS 地上局の基本装置を整備
ンを行うがその基本部分を製作した。
するとともに AIS データ収集装置と輻輳海域におけるト
このシミュレータの基本的な機能および性能は,次の
ラフィック・シミュレータの基本部分を製作した。
通りである,
今後これらを有効に活用して,VTS レーダと AIS 情報
①対象海域設定
任意に設定可能,海域内設定可能ゲート数: 10 ゲー
の画像合成法,船舶の自動識別・追尾等および輻輳海域
ト以上
における海上交通流制御について検討していく予定であ
る。
②船舶設定
シミュレーションに用いる船舶の母型船数: 100 種
以上,船舶性能設定範囲:任意,レーダ・レンジ:
4.
掲載文献
30 マイル以上
a
平成 12 年度高度情報通信技術を活用した海上交通の
インテリゼント化に関する技術開発報告書:国土交通
③交通流/航行環境
省総合政策局(平成 13 年 3 月)
ゲート別・船種別の船舶発生頻度:任意,船舶毎の
−47−
CNS/ATM パッケージに対応した空地データリンク統合化の研究
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
○板野 賢 塩見格一
研究期間
平成 8 年度∼平成 12 年度
44,500 千円
平成 12 年度
1.
度はこれをふまえて ULCS と CPDLC(管制官・パイロッ
はじめに
航空通信ネットワーク(ATN : Aeronautical
ト間データリンク通信)および ADS(自動従属監視)の
Telecommunication Network)は,従来個別に行われて
接続実験を行った。さらに平成 12 年度には当所衛星航法
いた航空におけるデータ通信を ISO(国際標準化機構)
部で試作した擬似 AMSS(航空移動衛星業務)サブネッ
の提唱する OSI(開放型システム間相互接続)に準拠し
トワークを用いた通信実験を行った。ここでは,その概
たビット指向型のデータ通信に統一し,航空通信用のイ
要と実験結果について述べる。
ンターネットを構築して行くものである。
2.
ATN の SARPs(標準化及び勧告方式)は,コアパート
(第 10 付属書の改定部分)と Doc.9705 と呼ばれる技術書
海外接続実験および擬似 AMSS サブネットワークを
用いた実験の概要
で構成されている。この第 1 分冊はシステム要件に関し
ATN の実現を目的として,欧州,オーストラリア等で
て,第 2 及び第 3 分冊はそれぞれ空対地及び地対地のアプ
は国際間での試行・接続などの実運用を意識した評価実
リケーションに関してまとめられている。第 4 及び第 5 分
験が進められている。一方,我が国は平成 17 年頃までに
冊が通信サービスに関するもので,第 4 分冊は OSI5 層以
ATN の運用を公表しており,この計画に沿った整備を行
上の ULCS(上位層通信サービス)を,また,第 5 分冊は
うためには,早急に ICS の接続性の検証に加えて,ULCS
4 層以下の ICS(インターネット通信サービス)をまとめ
及びアプリケーション間の相互接続性の確認を実施しな
たものである。
ければならない状況にある。また,我が国と諸外国との
ICAO
当所では 1996 年までの Doc.9705(CNS/ATM-1 パッケ
SARPs に対する解釈の相違などによる問題点を,
ージと呼ばれる)の検証などを目的として平成 10 年度か
ATN の整備に先立ち明らかにし解消することが重要であ
を行っている。平成 10 年度に
り,これらの目的のため当所の実験システムと海外のテ
ら海外との接続実験
(1),(2)
行った実験は ICS(パケットを目的の相手に届けるため
ストベッドとの接続実験が不可欠である。
このため,平成 10 年度から接続実験を開始し平成 12 年
の通信サービス)に関するもので,平成 11 年度から 12 年
図 1 通信実験の構成図
−48−
度までに CPDLC/ADS アプリケーションを含めた相互接
空地データリンクの両端では必須のものである。
続性を海外テストベット(ユーロ・コントロールおよび
航空機側及び地上側のネットワークはハブを用いた
エアサービス・オーストラリア)との接続実験で確認し
LAN で構成される。航空機 BIS と AES(航空機地球局)
た。平成 10 年度は ICS の接続性の検証実験を BIS レベル
間,及び地上 BIS と GES(地上地球局)間の接続は x.25
で行い良好な実験結果であった(1)。平成 11 年度下半期か
を用いた WAN(回線速度 9600bps)を用いる。また,性
らは ULCS 及び CPDLC/ADS アプリケーションの接続性
能測定装置は一種のプロトコルアナライザで,航空機側
の検証を行い,当初は SARPs の解釈の相違などから芳し
及び地上側の LAN 上のパケットを監視し,パケット出現
い結果は得られなかったが(2),現在では良好な結果を得
の絶対時間から,各パケットの差分をとって通信時間を
ている。
計算する。
また,我が国は平成 15 年度頃には MTSAT(運輸多目
衛星データリンク実験システムは,AMSS サブネット
的衛星)の航空通信への運用を予定しており,MTSAT
ワークを模擬し,BIS との接続には x.25 を用いるが,
では ICAO
AMSS − SARPs に準拠した通信プロトコル
AES と GES 間の通信には ICAO の AMSS-SARPs に準拠し
が用いられるため,ATN の空地サブネットワークとして
たプロトコルが用いられる。また,フェージング・シミ
使用可能である。このため,平成 12 年度は衛星航法部で
ュレータにより電波伝播におけるレベル変動やノイズな
試作した擬似 AMSS サブネットワークを用いて ATN の通
どの影響が模擬できる。AMSS のデータ伝送速度は
信実験を行いデータ転送速度などの測定を行った(3)。
600bps と 10500bps を用いた。
図 1 に擬似 AMSS サブネットワーク(図中の衛星デー
3.
タリンク実験システム)を用いた通信実験の構成図を示
実験結果
実験は AMSS の回線速度 600bps のノイズの無い場合と
す。衛星データリンク実験システムを挟んで性能測定装
置を省く左側が航空機側で,右側が地上側である。
C/No 比 31.9db(搬送波電力対雑音電力密度比)を,回
CPDLC/ADS 航空機シミュレータが機上のパイロット用
線速度 10500bps の場合はノイズの無い場合と C/No 比
の CPDLC と ADS の操作表示端末である。CPDLC 及び
42.9db の場合について測定した。C/No 比の値は BER
ADS 操作表示端末が,管制官用の GUI を提供する操作表
(ビット誤り率)10-5 を満足する最小の値とした。
示端末であるが,ATN に関する通信の処理は
図 2 にコネクション確立要求を含まない ADS 及び
CPDLC/ADS サーバが行う。CPDLC 及び ADS 操作表示
CPDLC のデータフォーマットの一例を示す。ATN では
端末と CPDLC/ADS サーバ間ではプロトコルに TCP/IP
図 2 の TP 層ヘッダ以降の TPDU(トランスポート層プロ
を用い,CPDLC/ADS サーバと航空機シミュレータ間は
トコル・データ・ユニット)の最大サイズが 1024 バイト
OSI を用いる。また,BIS は一種のデータの中継機で,各
なので,ATN に接続される各データリンクの取り扱える
最大ユーザデータサイズも同程度以上が望ましい。
しかし,AMSS では X.25 のユーザデータサイズが最大
で 128 バイトであり,CLNP(コネクションレス・ネット
ワーク・プロトコル)ヘッダだけでもこれより大きいた
め各 BIS は LAN から送られてくるパケットを必ず 2 個以
上に分割して衛星データリンク実験システムに送信する
必要がある。これは AMSS の取り扱えるユーザデータが
最大 144 バイト程度であることによる。このため,デー
タの伝送に時間がかかる。
また,ADS データの大きさは今回は数バイトから 20 バ
イト程度(ADS レポートは 18 バイト)で,CPDLC デー
タの大きさは十数バイトからフリーテキストで 256 バイ
ト程度であった。
3.1 ADS の実験結果
ADS は地上からのコントラクトにより,航空機側から
図2
位置情報などを含む ADS レポートを地上に送信したり,
CPDLC/ADS の空地データリンクに送られる
データフォーマット
−49−
レポートの送信を止めたりするアプリケーションである。
ある場合とない場合の通信時間の差については,にシー
今回用いたコントラクトは demand(一回限りの ADS レ
ケンスの違いによるものと考えられる。また,測定値の
ポート要求)と periodic(周期的な ADS レポート要求)
ゆらぎには,AMSS のスロット予約のタイミングなどが
の 2 種類である。ADS は同じコントラクトでもダイアロ
含まれると考えられる。また,ノイズの影響については
グがある場合とない場合があり(ATN のアプリケーショ
有意な差は見られない。回線速度 10500bps では 600bps
ンはダイアログサービスを用いているが,ダイアログが
に比べて 4 ∼ 4.5 倍ほど高速であったが,回線速度ほどの
確立されている場合とそうでない場合がある。),データ
差は見られなかった。これは回線速度が影響するのはデ
伝送手順が異なり,通信時間も異なる。つまり,まだ一
ータ伝送にかかわる部分であり,メッセージの分解・組
度もコントラクトを要求していない航空機に対してコン
み立て等のプロトコルに係わる AMSS 内部の処理には影
トラクト(demand でも periodic でも)要求する場合など
響せず,この部分でかなりの時間が取られるためと考え
がダイアログのない場合で,periodic コントラクト中の
られる。
航空機(ダイアログは確立されている状態)に対して
3.2
CPDLC の実験結果
表 2 に CPDLC 操作端末と航空機シミュレータ間の往復
demand コントラクトや periodic コントラクト要求を行う
通信時間を示す。表 2 の上から一番目がスタート処理の,
場合などがダイアログがある場合である。
ここで,ADS の実験結果の一例を示す。表 1 は,ADS
二番目が終了処理の往復通信時間である。三番目以降が
操作端末からコントラクトを送信してから,航空機シミ
CPDLC メッセージを送信してから応答が返ってくるまで
ュレータからの応答が返るまでの時間を示す。表 1 の通
の時間である。最後の処理を除いて,いずれも地上側か
信トラフィック量は衛星データリンク実験システムに送
ら送信を始めたものである。
られる各シーケンスでのトラフィックの総量である。ま
CPDLC メッセージの送受信では,スタート処理でコネ
た,各コントラクトに対して ADS レポートが返ってくる
クションの確立やダイアログの確立が行われているので,
場合と,Negative-Ack(否定応答)が返ってくる場合が
ADS のようなダイアログの有る無しの問題は発生しな
ある。Cancel 要求は ADS レポートの送信をとめるのに用
い。しかし,CPDLC ではサーバと航空機シミュレータ間
い,表 1 では Cancel 要求してから応答が返ってくるまで
ではメッセージを受信した側が Lack(ロジカル・アクノ
の時間を示す。
レッジ)を返すので ADS に比べ手順が複雑になる。また,
表 1 から,往復通信時間は,回線速度が 10500bps では
この Lack はアプリケーション・レベルのものなので,ト
コントラクトの種別にかかわらず約 10 秒である。回線速
ランスポート層ではメッセージと同等とみなされ,Lack
度が 600bps では,ダイアログのない場合は 37 ∼ 46 秒で,
に対しても Ack を返す必要がある。このため,CPDLC は
ダイアログがある場合は 42 ∼ 59 秒である。ダイアログの
ADS に比べ今回用いたメッセージのデータサイズは殆ど
表1
ADS 操作端末−航空機シミュレータ間往復通信時間(レスポンスタイム)
−50−
同等なのにより通信時間がかかる。また,表 2 の空地間
ーションの一部)の相互接続性や運用性については良好
データサイズはそのシーケンスで用いられた CPDLC メ
な結果を得た。また,地対地アプリケーション(第 3 分
ッセージと Lack のデータサイズの総和を示す。
冊)については,AMHS(ATS メッセージ・ハンドリン
表 2 からフリーテキストを除く CPDLC メッセージの往
グ・システム)の海外接続実験(豪州および米国)が航
復通信時間は回線速度が 600bps の場合は約 63 ∼ 64 秒,
空局の IDEC で行われ,良好な結果を得ている。
10500bps の場合は約 13 ∼ 14 秒程度であった。フリーテ
平成 12 年度は,空地データリンクの一部である AMSS
キストの場合は CPDLC のデータ自体が大きい(20 バイ
サブネットワークのデータ転送速度等を評価するため,
ト前後に対して 256 バイト)のでより時間がかかってい
当所衛星航法部の擬似衛星サブネットワークを用いて通
る。また,回線速度 10500bps では 600bps に比べて 4 ∼
信実験を行った。実験結果は,ADS に関しては回線速度
4.5 倍ほど高速であったが,ADS の場合と同様に回線速度
600bps および 10500bps ともに洋上空域での運用について
ほどの差は見られなかった。
は可能であるという結果を得た(3)。
ここで特異なデータについて考察する。CPDLC メッセ
Doc.9705 の改訂作業は現在でも続けられており,2000
ージの送受信の通信時間で,表 2 の回線速度 10500bps で
年に開催された ATN パネル 3 では大幅な改訂が行われ
38 秒を超えるデータが 2 件,回線速度 600bps で 75 秒を超
た。今後はパネル 3 に対応した ATN 研究が望まれる。
えるデータが 3 件ある。これらは BIS の通信履歴から,
いずれも衛星データリンク実験システム内部で処理中の
参考文献
データがあり送信遅延が発生したため,BIS での処理が
a
板野賢,塩見格一:“ATN の国際接続実験について”,
第 31 回電子航法研究所発表会概要,平成 11 年 6 月.
待たされたためと考えられる。
s
4.
板野賢,塩見格一:“ATN の国際接続実験について
(その 2)”,第 32 回電子航法研究所発表会概要,平成 12
まとめ
年 6 月.
本研究では,CNS/ATM-1 パッケージの検証などを目
d
的として,海外テストベットとの接続実験を行った。そ
板野賢,塩見格一,藤田光紘:“擬似衛星サブネッ
の 結 果 , I C S ( 第 5 分 冊 ), U L C S ( 第 4 分 冊 ),
トワークを用いた ATN 実験”,第 33 回電子航法研究所
CPDLC/ADS(第 2 分冊に記述された空対地アプリーケ
発表会概要,平成 13 年 6 月.
表2
CPDLC 操作端末−航空機シミュレータ間往復通信時間(レスポンスタイム)
−51−
ADS 環境下での国際航空交通流管理手法の研究
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
○福田 豊 福島幸子 岡 恵 井無田貴 塩見格一
研究期間
平成 10 年度∼平成 13 年度
平成 12 年度経費
1.
45,900 千円
画調整シミュレータは,先行機と後続機の間隔等の制約
はじめに
条件の設定,問題解決ルールを設定することにより,制
現在,我が国および東アジア各国において大規模空港
約条件を満足する滑走路使用スケジュールを作成する。
の整備が進められている。将来これらの空港整備が完了
した場合,東アジアと北米間等の国際航空交通量の増加
2.2
が予想される。洋上管制においては,運輸多目的衛星等
管制官参加のシミュレーション実験
を利用する自動従属監視(ADS:Automatic Dependent
洋上経路を対象とする飛行計画段階と出発段階の調整
Surveillance) や 管 制 官 パ イ ロ ッ ト 間 デ ー タ 通 信
の組合せ手法を検討するために,管制官の参加による管
(CPDLC:Controller Pilot Data Link Communicaitons)等
制シミュレーション実験を実施した。飛行計画調整シミ
の環境整備が進められている。これらの環境整備を有効
ュレータにより飛行計画段階で調整を実施したシナリオ
に活用することにより,増加した国際航空交通流と国内
と未実施のシナリオを作成し,管制官が洋上合流シミュ
航空交通流を統一的に管理し,全体として円滑な航空交
レータを使用し,出発段階の調整である管制承認の判断
通流を形成する手法の開発が望まれている。
をした。
実験したシナリオでは,飛行計画段階の調整を実施す
本研究では,航空交通状況の予測を行い,特定の航空
路や空港への航空機の一時的な過度の集中を防止する航
ることにより出発段階での調整の作業量が減少すること,
空交通流管理手法を検討することを目的とする。平成 12
出発機の出発待機時間の最大値が減少すること等が確認
年度は,洋上経路等の我が国の飛行情報区(FIR : Flight
できた。
Information Region)から出域する航空路を対象とする航
2.3
空交通流管理手法について検討を進めると共に,新東京
統計情報処理システムの試作
国際空港のように,その到着機の大部分が国外空港から
航空交通流管理手法の検討のためには,航空交通状況
の出発である空港を対象とする航空交通流管理手法の検
の把握が重要である。航空機の運航データを解析する機
討を行なった。
能およびその情報の共有化手法を検討するために,統計
情報処理システムを試作した。統計情報処理システムで
2.
は , 飛 行 計 画 情 報 処 理 シ ス テ ム ( FDP:Flight Data
研究の概要
Processing System )の統計データをデータベースに読
2.1 航空交通流管理ソフトウェアの製作
洋上経路を対象とする航空交通流管理として,洋上空
み込み,航空路上の指定した地点を通過する航空機の情
域への出域時に適正な航空機間隔を確保するために運航
報等を検索することができる。情報の共有化のモデルを
者側の希望する飛行計画に対して,出発待機や高度変更
目指し,クライアント/サーバ・システムとして構築し,
等の調整を実施する。この調整を飛行計画段階で実施す
クライアントはウエブブラウザを利用する。検索結果を
る方法と出発段階で実施する方法について検討した。飛
データ解析するために,ヒストグラムを求める機能を持
行計画調整シミュレータは,米国のトラックアドバイザ
つ。
リのような飛行計画時の調整機能を持つ。洋上合流シミ
3.おわりに
ュレータは,出発前管制承認の調整業務を支援する機能
を持つ。本年度は,このシミュレータの問題検出および
洋上経路等を対象とする航空交通流管理手法について
解決機能の向上,表示機能の向上のための改修を実施し
検討を進めた。飛行計画段階と出発段階の調整の比較検
た。
討のため,両調整方法を模擬する飛行計画調整シミュレ
空港を対象とする到着機の航空交通流管理を検討する
ータおよび洋上合流シミュレータを改修した。管制官参
ために,通過計画調整シミュレータを製作した。通過計
加のシミュレーション実験により,両調整方法の組み合
−52−
ウム講演集,平成 12 年 10 月
せ手法を検討した。
f
新東京国際空港のように,その到着機の大部分が国外
福島,井無田,岡,福田,塩見:“洋上経路への出
空港からの出発である空港を対象とする航空交通流管理
発調整に関する一検討”,電子情報通信学会 2001 年総
手法の検討を行った。通過計画調整シミュレータを製作
合大会講演論文集(通信 1),平成 13 年3月
g
し,基礎的な空港の滑走路使用スケジュールを作成する
福田,岡,福島,井無田,塩見:“国際線の到着機
の航空交通流管理手法について”,第1回電子航法研究
機能を確認した。
所研究発表会講演概要,平成 13 年 6 月
今後は,より現実に近い運用環境を想定し,航空交通
h
流管理手法の検討する予定である。
福島,井無田,岡,福田,塩見:“北米行き航空機
の飛行計画時調整の検討”,第 1 回電子航法研究所研究
発表会講演概要,平成 13 年 6 月
掲載文献
a
s
d
j
井無田,福田,岡,福島,塩見:“飛行計画調整シ
塩見,福田:“次世代 FDP システムの検討と試作”,
ミュレータについて”,第 32 回電子航法研究所研究発
第 1 回電子航法研究所研究発表会講演概要,平成 13 年
表会講演概要,平成 12 年6月
6月
k
福田,岡,福島,井無田,塩見:“洋上合流シミュ
福田,塩見,福島,岡,井無田:“ADS 環境下での
レータについて”,第 32 回電子航法研究所研究発表会
国際航空交通流管理手法の研究 その 2 :航空交通流
講演概要,平成 12 年6月
管理システム要件”,要望研究報告書(中間報告),平
成 13 年3月
福田,井無田,岡,福島,塩見:“国際航空交通流
管理の支援システムの試作”,第 38 回飛行機シンポジ
大都市圏空域の航空路の有効利用に関する研究
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
○三垣充彦 井無田貴 福島幸子 蔭山康太 岡 恵 相澤大輝
研究期間
平成 10 年度∼平成 13 年度
25,000 千円
平成 12 年度経費
1.
本年度は,昨年度までに整備した航空管制シミュレー
はじめに
我が国の航空交通量は一段と増加することが予想され,
ション装置を使用して,大都市圏空域における実時間シ
特に高密度化が進む空域の航空交通の処理方法が課題と
ミュレーション評価実験を実施した。一方,航空管制シ
なる。このため,飛行経路構成や空域構造等の問題につ
ミュレーション装置の大幅な増設と機能向上を図り,実
いて事前に十分調査・研究する必要がある。
時間シミュレーション環境の一層の整備を行った。
2.1. 大都市圏空域におけるシミュレーション評価試験
そこで,本研究では,航空管制シミュレーション装置
を用いた実時間シミュレーションおよび高速シミュレー
航空管制官の協力を得て,大都市圏における新空港の
ションによる空域容量評価手法を確立して大都市圏空域
建設に係る管制処理容量の評価及び空域・飛行経路の評
の航空路における普遍的な空域設計・評価手法を得るこ
価のための実時間シミュレーション実験を,昨年度まで
とを目標とする。また,具体的な空域における飛行経路
に整備した航空管制シミュレーション装置を使用して実
構成や空域構造等の検討資料の取得を行う。
施した。評価試験では,新空港の建設に伴って想定した
仮想空域を新たな管制空域とし,新空港の飛行経路とと
2.
もに既設の飛行経路も一部見直し,管制運用方式等も設
研究の概要
定した。ターミナル管制用レーダ卓を管制官が実際に操
本研究では上記の目標のために,航空管制シミュレー
ション装置を整備し,実時間シミュレーション環境を構
作して管制業務を模擬的に実施し,意見の収集を行った。
築することで空域容量評価を行う。また,高速シミュレ
収集した設定空域,運用条件及び管制処理結果に関する
ーションソフトウェアを整備し,高速シミュレーション
意見等をまとめ,航跡図等を添付して報告書を作成した。
による空域の容量評価,設計手法の確立をめざす。
本評価試験の結果として明らかになった課題等は今後の
−53−
2.3. 高速シミュレーションによる空域容量評価の調査
検討,評価実験等に反映して行く予定である。
2.2. 実時間シミュレーション環境の整備
効率的な空域設計,評価手法の検討のために,高速シ
ミュレーションを用いた評価を容易に行えるようにデー
昨年度までに整備した航空管制シミュレーション装置
の大幅な増設と機能向上のために,ターミナル管制用レ
タベースの整備とデータ処理方法を検討した。同時に,
ーダ卓,航空路管制用レーダ卓をそれぞれ 4 卓,2 卓増設
新空港に係るデータの整備を行い,高速シミュレーショ
して 2 倍の規模とし,さらに飛行場管制卓を全面的に改
ンを実施した。この結果は実時間シミュレーションの結
修,増設して 5 卓とし,全域模擬卓を 2 卓新設した。これ
果と比較検討し,高速シミュレーションの有効性,適用
に伴ってパイロット卓は 12 卓となり,その構成機器,操
範囲等を調査した。この結果は,今後もシミュレーショ
作性,機能の変更,改修等も行った。本体となるシナリ
ン手法の検討に活用していく予定である。
オ処理装置及び記憶装置の性能向上を図るとともに,デ
3.
ータベースの大幅な見直し等,ソフトウェアも大きく変
あとがき
本年度は,昨年度に引き続き,航空管制シミュレーシ
更を加えて,より高機能,高性能なシミュレーション装
ョン装置の整備を進め,大規模な実時間シミュレーショ
置にした。
この結果,全国の広い空域を一度に模擬でき,また,
ン装置を構築した。これにより,任意の空域で多数のセ
シミュレーションの実行とシナリオ,空域・環境データ
クタ構成が可能になり,航空管制シミュレーション実行
の作成,編集等のオフライン処理を同時に並行して進め
の環境が整備できた。今後は,シミュレーション実施に
ることができ,シミュレーション実験の効率的な運用が
要する人的な要件の整備を進めていく必要がある。
可能になった。さらに,管制官とパイロット間の音声通
また,高速シミュレーションによる評価手法について
信の記録,処理もより容易にでき,管制官の作業状況の
も引き続き,実験を実施するとともに,実時間シミュレ
画像記録も可能になり,実験の評価がより多面的にでき
ーションと結果の相互比較等により検討を進めていく予
るようになった。図 1 にシミュレーション装置の全体構
定である。
成図を示す。
図 1 航空管制シュミレーション装置全体構成図
−54−
データ通信対応管制情報入出力システムの研究
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
塩見格一 板野 賢 福田 豊 井無田貴
研究期間
平成 12 年度∼平成 16 年度
69,016 千円
平成 12 年度経費
h
ウェアラブル・コンピュータ
航空管制業務への CPDLC 等各種データ通信の導入は
j
音声認識技術
世界的な流れであり,近い将来我が国においても,その
k
疲労計測等ヒューマン・ファクタ計測技術
1.
はじめに
業務が音声通信とデータ通信の混在する状況への対応を
求められることは必至と考えられる。
全く従来通りのシステムを,将来においても全く同じ
将来的に予測される,これら状況に対応するためには,
ように利用するのであれば,技術開発は信頼性の向上の
音声通信とデータ通信の夫々の特性を考慮し,双方の長
みを目的として進めることが可能である。今日の技術的
所を引き出した運用の可能な業務形態の構築が必要不可
状況は,単純な高信頼化は平均的な周辺技術の向上を取
欠であり,またその業務形態による業務の遂行を可能と
り入れることで容易に実現される程のレベルに達してい
する情報機器の開発を可及的速やかに上記検討に並行し
る。
て進めなければならない。
しかしながら,今日求められる技術開発は,“将来にお
本研究においては,ATN パラダイムにおける管制業務
いて,今日よりも一桁以上多い情報を処理することによ
形態の検討,これに対応する業務環境構築に要する各種
り空港空域等航空交通資源の高度有効利用を実現する”
要素技術の調査,またこれら要素技術を取り纏め,構築
ために行っているものである。
する次世代管制卓の試作開発を行っている。
上記に行った技術調査項目は,何れも上記目的に対応
するために必要不可欠と考えられている技術である。
2.
研究の概要
2.1.
オブジェクト指向デザイン等新たな技術的な提案がな
業務形態の検討
される時,常に,「現状で旨く行っているのだから,現状
データ通信を主要な通信手段として管制業務が行われ
の技術は確認された技術であるから,これを以って次期
る状況を想定し,そこにおける管制業務形態につき調査
システムも構築すべし。」との主張がなされるが,これら
検討を行った。
調査により明らかになったことは「従来型の技術におい
本検討においては,現状のレーダ管制業務形態につい
ては,現状よりも複雑なシステムを構築することは不可
ての調査を行うと共に,これに加えて,航空管制官に将
能である。
」と言うことであった。
来的な展望に対して意見を聞く事等の作業を行った。
将来の航空管制情報処理システムにおいては,将来的
また,本件検討調査においては,管制官を始めとする
に様々な機能付加が求められること考えられるが,その
航空局関係者に対し,最新の情報処理技術に関する勉強
都度柔軟に対応できるようにするためには,システム・
会を数回にわたり実施し,彼等諸兄の情報処理技術の可
プラットフォームに最大限の多様性を実現することに有
能性についての理解を深めることにも重点をおいた。
る。また,多様性は,システムを構成するオブジェクト
2.2.
或いはモジュール等の仕様を徹底的に明確にすることに
要素技術調査
次世代管制卓の構築に必要となると考えられた技術に
よってのみ実現されるものであり,決して曖昧な表現に
関する調査を行った。
より実現されるものではないことを理解しなければなら
主なものは以下のとおりである。
ない。併せて,システムを構成するプロセスに不必要な
a
オブジェクト指向デザイン
順序関係が入り込まないようにすることも極めて重要で
s
将来のコンピュータ・アーキテクチャ
ある。
d
インタフェース標準化技術
2.3. データ通信管制卓
f
利用者開放型ユーザ・インタフェース
g
航空管制用情報表示デバイス
データ通信管制卓モックアップを試作した(写真 1 参
照)。
−55−
管制卓のあり方を明らかにしたいと考えている。
3.
おわりに
平成 12 年度には,特に,技術調査に重点をおいた研究
を進めてきた。
そして,各種技術調査により,今後のコンピュータに
よる情報処理技術の発展は,過去十年にも増して著しい
であろうことが明かとなった。
また,欧米各国で進められる次世代管制情報処理シス
テムの開発においても,積極的に先端技術や先進的なコ
ンセプトが取り入れられていることが明かとなり,利用
写真 1
データ通信管制卓モックアップ
者である管制官や航空会社関係者とサービスを提供する
管制側が一体となった開発体勢が敷かれていることは,
CPDLC 用データ入力デバイスを製作し,液晶ディスプ
我々にとっては羨ましい限りである。
レイを主表示装置としたレーダ管制業務用管制卓のモッ
電子航法研究所は,各共同研究者と次世代管制卓に関
クアップを製作した。今後,ソフトウェア機能の確認作
する様々なルック・アンド・フィール特許(海外特許を
業を通じて GUI の適正化等ヒューマン・インタフェース
含む)等を多数獲得してきている。欧米に先駆けること
の完成度を向上させたいと考えている。
数年と評価されるこれら実績を活かせない事態に到るこ
また,利用者開放型 GUI による管制卓ヒューマン・イ
とは,極めて残念なことであり,何としても避けなけれ
ンタフェースの試作も進めており,空域情報の 3 次元表
ばならないのではなかろうか。
示等新たな情報表示形態と併せて,より高機能な次世代
カメラ画像からの直線的要素の検出に関する研究
1.
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
〇矢田士郎
研究期間
平成 12 年度
メラの動きや建物,地形,移動体との間の位置(距離),
はじめに
カメラ画像を利用して移動体の監視,追跡を行ったり,
角度を求める方法について各種の検討を行った。
航法などに役立てる試みがいろいろ行われつつある。ヘ
距離や角度を求めるためには,時間空間の異なる複数
リコプターの着陸時や捜索救援の際の低空飛行の時など
の画像を利用して対応付けを行うことが必要である。そ
に,固定または移動物体や地形との相対的な位置や角度
のために空間的に異なる方向から撮影された複数の画像
を画像から知ることにより,安全で効率的な運航に役立
について濃淡画像の探索領域同士の差分二乗誤差が閾値
てることができる。
より大きいものを選択したり,正規化相互相関を求めて
画像からヘリコプターなどの運動パラメータを求めた
相関値の高いものを対応点として解析を進めた。また複
り,また逆に速度ベクトルや回転ベクトルなどの航法情
数のカメラのお互いの評価値を積算することにより対応
報を利用することで物体との距離や地形に対する奥行き
付けの信頼性を向上させる試みも行った。対応点の探索
を知ることにより近接回避を行わせしめることも可能で
範囲はあらかじめ基本行列が既知の場合はエピポーラ関
ある。カメラ画像から電子航法に役立つ有用な情報を抽
係から探索範囲が狭められるが,基本行列が未知の場合
出する手法について検討し,解析を行った。
はそれを推定しながら同時に対応点の探索もやる必要が
あり,精度上の問題が生じる。
2.
時系列画像(動画像)の場合は対応点探索を行わずに
研究の概要
直接的に速度場を求める方法としてオプティカルフロー
画像から対象物体との間の相対的な変化を抽出し,カ
−56−
がある。これは画像の変化が滑らかであるという仮定の
が生じる。この計算には最急降下法による繰り返し計算
もとに時間空間微分の保存則からオプティカルフローを
を利用して求めた。
計算することができる。それを利用すると航法パラメー
また解析的に角度変化を求めるために,非線型の透視
タから対象物体との距離を求めることができる。ただし
射影モデルに線形射影的な近似を導入した。対象物体の
オプティカルフローの計算はノイズの影響を受けやすい
代表的な大きさに比べて充分距離が離れている場合を仮
ので,そのための誤差を減らすための工夫が必要となる。
定して線形近似を行い,物体とのエピポーラ関係式から
ここではローカルサポートを利用することを考えた。小
相対的な角度変化を計算し模型画像により確認した。
領域での変動の偏差を求め。偏差の大きいものは信頼性
3.
が低いとしてオプティカルフローの計算結果から除外す
おわりに
ることにした。しかしこの方法では小領域の中に距離の
画像の計算処理が不十分だったので,ソフト,ハード
大きく変化する複数の対象物が入っていると,それも排
において改良を進めていきたい。解析に適した実験画像
除されてしまうので,その場合は領域の取り方を動的に
を取得する際に機材や撮影方法などにいくつかの問題が
変化させながら評価判定を行う必要がある。また隣接す
あった。今後より実際的な画像の取得を行い,それにあ
る時間的に連続する複数のフレームに対しても同様な評
わせて解析方法についても検討し,改良していきたい。
価を行い,より信頼性を高める工夫を行うことにより,
特にノイズや明るさの変化などに影響をうけにくいロバ
比較的ノイズの影響を受けにくいロバスト性の高い結果
スト性を高めた手法の開発に努めていきたい。そのため
を得ることができた。
にも時間的空間的に複数枚の画像からの情報を利用して
ローカルサポートを含めた方法で信頼性の高い結果を得
複数画像の特徴点の対応があらかじめわかっている場
るようにしたい。
合に,これからの物体の形状とカメラの運動を求める手
法の一つとして因子分解法がある。この方法は対応点の
データを一様に計測行列として扱って処理するもので,
掲載文献
もともとは正射影モデルにランク定理を適用して特異値
a
矢田:“複数の画像を利用した運動パラメータの推
分解を利用して導かれたものであったが,これを透視射
定”,平成 13 年度(第 1 回)電子航法研究所研究発表会
影の場合に対して計算を行った。この場合正射影の場合
講演概要,平成 13 年 6 月
と異なり非線型モデルとなるので射影深さを求める必要
小型機向け情報通信機器に関する調査研究
1.
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
○塩地 誠
研究期間
平成 12 年度
こで,より経済的な運航支援情報システムを実現するた
はじめに
めに,航空分野に限定せずに広く,情報通信機器につい
近年,小型航空機(軽飛行機,ヘリコプター等)向け
の GPS やデータリンクを利用した運航支援システムが望
て調査を行っている。
本年度は,基本的な調査を実施した。
まれており,試作検討も行われている。本格的な運航支
援システムは高機能で,かつ高価であるため,当所では
機能を一部簡易化した「運航支援情報システム」の検討
2.
も行っている。本格的なシステムでも簡易なシステムで
2.1 運航支援情報システム
調査の概要
も情報通信機器は重要な要素である。航空分野では,
「運航支援情報システム」は,ヘリコプター,小型航
VDL(極超短波データリンク)などの情報通信機器の開
空機向けに,気象情報,危険箇所等運航上の注意事項,
発評価が進行中である。また,航空以外の分野でも種々
周辺を飛行する他の航空機の位置など,パイロットが飛
の情報通信機器が実現されており,本研究で考察してい
行中に欲しい情報(以下,運航支援情報という)を,機
る運航支援情報システムに利用できる可能性もある。そ
上で取得,表示するシステムである。 本研究では本格的
−57−
な運航支援システムが実現するまでの間に,既存の技術
しかし,広い通信エリア内に山地があると,電波の特性
を活用して,簡易で経済的なシステムの提供を目指して
上,十分強い電波も山で遮られてしまい,電波の届かな
いる。システムは最近の民生用電子機器(ノートパソコ
い「山かげ」
(ブラインドスポット)が生じることがある。
ン,携帯電話,GPS 機器)をベースに構成され,地上の
高々度を飛行する旅客機では問題にならないが,低い高
目標も参照できるように地図上に GPS による自己位置を
度の小型航空機では安定した通信が困難な場合も予想さ
表示し,情報通信で取得した運航支援情報を合わせて表
れる。そのような場所でも,通信衛星(MTSAT 等)の
示する。地上に専用サーバーを設置せずにインターネッ
データリンクを補完的に用いれば,電波は頭上より降り
トのホームページを直接参照する方法も検討している。
注ぐので,問題はなくなる。
正式な航法機器ではなく,参考用の情報提供装置と考え
本調査は,民生用の簡易なシステムの活用も視野に入
ている。
2.2
れているので,それらの技術情報の収集も継続している。
本年度の調査概要
(携帯電話のような小電力狭エリアの補助通信手段があれ
小型航空機向けの運航支援情報システムに使用できる
ば山かげ対策になるかもしれない。)今後は,VDL との
可能性のある情報通信機器(システム)の調査を行って
比較を念頭において調査を継続する。
いるが,最初に,航空用データリンクシステムとして実
現が間近い VDL システムの調査を,VDL 研究チームの協
4.
力を得て行った。また,飛行実験,実験室内実験にも参
むすび
小型航空機向けの簡易な「運航支援情報システム」に
加し,技術的情報を実地に把握した。
関連して,情報通信機器の調査を行っている。本年度は,
調査の結果,以下の点が明らかになった。VDL は,比
主として,実現が間近い VDL システムの調査を行った。
較的広い通信エリア(セル)を持つ基地局配置で,航空
今後は調査を続けるとともに,各通信機器相互の比較を
機の数,移動速度にマッチした設計になっている。安定
行い,長所短所を検討する予定である。
したデータリンク特性が得られる良いシステムである。
航空交通流管理に対応した次世代飛行場管制卓の研究
1.
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
塩見格一 福田 豊 井無田貴
研究期間
平成 12 年度∼平成 13 年度
日,管制情報や航空機運航情報のデジタル化の進んでい
はじめに
るレーダー管制業務から,また衛星を利用する洋上空域
現在,効率的な空域運用を目的とし航空交通流管理シ
に係る業務から進められている。
ステムの高度化等が進められている。将来的に更なる高
度化を実現するためには,空港における航空機の運航状
何れも現時点で利用可能な情報をシステマティックに
況をシステムに入力することが必要不可欠であり,例え
管理することによる業務効率の改善を計ろうとするもの
ば,航空機から運航情報を得ると共に,これ確認する等
であり,これに要する情報処理システムも現用機器をゲ
作業を可能とする次世代の飛行場管制卓が必要である。
ートウェイ等を介して連接する程度のものであり,ATN
を情報基盤として想定しその上にシステマティックに構
また,新首都圏空港設置後の関東圏のように大規模空
築しようとするものではない。
港が密集する状況においては,そのターミナル空域の効
率的な運用にはサテライト空港を含めた空港相互の出発
しかしながら,将来的なシステムの統合を想定しない
調整が必要と考えられ,上記に併せて,同様にこれを可
多数のシステムの乱立は,短期的には何等かの役に立つ
能とする次世代の飛行場管制卓が必要と考えられる。
システムも長期的にはトータル・システム構築の足を引
っ張るものにしかならないことは歴史的にも明らかであ
2.
る。
研究の概要
2.1. 航空交通管理システム
本研究では,将来的に発生するであろう上記のような
問題に対して有効な解決策を与えるであろうレガシ・ラ
航空交通管理に要する情報処理システムの整備は,今
−58−
ッピング技術に関する調査・研究及び開発を行っている。
具体的には,飛行場管制卓とレーダ管制卓を CORBA
技術により連接し,更にこれらをレガシ・ラッピングし
た仮想現実実験施設シナリオ処理システムに連接してい
る。現時点ではシナリオ処理システムと各管制卓との連
接は未だに不十分であるため,今後,HLA 等の技術も含
めて更なる研究開発を進めたいと考えている。
2.2.
サテライト空港管制卓
サテライト空港における業務の効率化を目的とし,こ
れに対応する飛行場管制卓の研究開発を行った。
「GPS 及びトンネル表示を用いた曲線進入運航方式の
評価」として航空宇宙技術研究所との間に共同研究契約
を締結し,3 次元的な運航プロファイルにより曲線進入
等を行う航空機の監視に必要な管制側情報表示部につい
て検討し,3 次元鳥瞰図法による航空機位置情報表示シ
図 1 3 次元鳥瞰図による航空機位置表示の例
ステムについてコンセプト・ビデオの作成等を行った
(図 1 参照)
。
将来的にサテライト空港が地域交通において重要な役
敵する情報源が存在しないことから,また管制業務に要
割を果たすようになれば,またなるためには,IFR によ
求される適時性もターミナル空域の管制業務と同様に高
る高い定時性が実現されなければならない。その状況に
く,要求される適時性に対応する情報入力機器(例えば,
おいて,都市近郊のサテライト空港における管制業務は,
飛行場管制用電子ストリップ)を未だ実現できていない
人口密集地への騒音公害を低減した運航方式による航空
ことから,他の業務に比較して著しく遅れている。航空
機に対する管制業務を,離発着量の多い親空港と調整し
機の動きを監視したり,或いは航空機からデータリンク
ながら進めなければならないものと考えられ,今日にお
等により情報を得ることも検討されてきたが,決定的な
いては予想できない程に複雑な管制業務を適時的確に行
方策は未だ存在しない。
しかしながら,飛行場が航空機運航の起点であること
わなければならないであろう。
から,此処における情報化なくしては,航空管制情報及
本研究においては,航空宇宙技術研究所と共に,都市
び航空機運航情報の管理システムの完成はあり得ない。
型サテライト空港の運用方式について,その要件等を明
本研究においては,飛行場管制業務の情報化への方策
らかにしていく予定である。
について様々な角度から検討を進めていきたいと考えて
3.
いる。
おわりに
飛行場管制業務の高度情報化は,管制塔にレーダに匹
カオス理論によるヒューマン・ファクタの計測に関する基礎研究
1.
担 当 部
電子航法評価部
担 当 者
塩見格一 板野 賢
研究期間
平成 12 年度∼平成 15 年度
ため,新たな業務機器の導入等業務環境の変化の良否の
はじめに
判定は長期的な試験運用後の作業者ヒアリングによる他
現在,航空管制の現場においては,様々なデータ通信
なく,効率的な業務環境改善を困難なものとしている。
装置の導入等による業務環境の変革が進んでいるが,業
務環境の変化による作業者の業務負荷の変化を業務遂行
カオス論的手法によりヒューマン・ファクタを計測すれ
に何等影響を及ぼすことなく評価する手段が存在しない
ば被験者の自覚しないストレスを検出することも可能と
−59−
に警告すること等は十分に可能である。
考えられ,環境と業務負荷の関係を簡易に判定し,効率
的な環境改善を可能とするために,カオス論的なヒュー
3.
マン・ファクタ計測手法を明らかにする必要がある。
おわりに
平成 12 年度には,技術開発のみならず,米国において
2.
ATCA で紹介する等の活動を行った。
研究の概要
我が国においては読売新聞による取材を受けた。また,
発話音声による疲労検出システムの開発は,科学技術
振興事業団の補助金等を受けながら,平成 10 年より進め
英国の科学雑誌に取上げられたことにより,ダイムラ・
ており,平成 11 年度には試作 1 号システムを実現してい
クライスラー社やエアバス関連の会社,また英 NATS や
る。
米 NTSB 等様々な分野からの問合せを受けた。
平成 12 年度には,オージス総研との共同研究契約を締
カオス論的ヒューマン・ファクタ計測装置としての実
現に必要な作業は,後は,医学的なデータとの突き合わ
結し,上記試作システムの機能向上等改修を進めた。
せにより装置機能の確認を行うことのみであり,平成 13
平成 13 年 3 月時点において,パソコン・ハードウェア
の発展も有り,1 秒間録音した音声を 1 秒以内に処理する
年度にはこれを実現したいと考えている。
ことが可能となり,リアルタイムな用途への十分な適用
掲載文献
性を実現している。
a
技術的また資金的な制限により,疲労やストレスに関
塩見,他:音声から眠気や疲労を検出する試みにつ
いて,第 37 回飛行機シンポジウム。
して,脳波やだ液中のステロイド濃度等の他の医学的パ
s
ラメータとの比較実験等は未だに行えていないが,脳機
塩見,他:音声によるヒューマン・ファクタ評価手
法について,第 32 回電子航法研究所研究発表会。
能に極端な個人差が無さそうであること等を発見し,同
d
システムの適用範囲を著しく拡大することができた。
塩見,他:“Fatigue and Drowsiness Predictor for
Pilots and Air Traffic Controllers”,45th ATCA, Fall
技術的には,例えば,同システムを管制通信のアナロ
2000.
グ音声ラインに導入しリアルタイムに管制官の発話音声
を評価し,彼等に,過度なストレス状態に陥らないよう
−60−
4
I
II
衛星航法部
試験研究の実施状況
次世代衛星航法システムに関する研究では,GPS 等既
年度当初の試験研究計画とそのねらい
存の衛星航法システムの調査と性能解析を行うと共に次
平成 12 年度における研究は,特定研究として承認され
世代衛星航法システムの性能要件の検討を開始した。
た項目および行政当局の要望等を考慮して,下記のよう
衛星データリンクの研究では,10.5kbps の高速データ
に計画した。
通信機能を衛星データリンク室内実験システムに付加し
1.
次世代衛星航法システムに関する研究
伝送性能を評価すると共に ATN 実験設備と接続して総合
2.
衛星データリンクの研究
伝送性能を評価した。さらに,多数機の環境下における
3.
静止衛星型衛星航法補強システムの性能向上に関
10.5kbps の伝送遅延特性を計算機シミュレーションで解
する研究
析した。
4.
衛星測位システム完全性監視方式の基礎研究
5.
航法衛星を利用した航空機高度測定の改善方式に
研究では,海外テストベッドとの相互接続による SBAS
関する研究
の性能向上,SBAS 認証に必要なデータ等を取得するため
静止衛星型衛星航法補強システムの性能向上に関する
以上のうち,1 は特定研究であり航空局の要望による
GNSS 試験システムの解析ソフトウェアの機能向上およ
もので,民間航空機に必要な性能を備えた将来の衛星航
び電離層シンチュレーションによる GPS 信号への影響の
法システムに関する検討を行うものである。2 および 3 は
測定と解析を行った。
航空局からの要望研究であり,経費は空港整備特別会計
衛星測位システム完全性監視方式の基礎研究では,新
によるものである。2 は航空機の航法装置で得られた位
たな監視方式としてファジィ推論による手法を開発し,
置情報等をデータリンクで自動的に地上の管制機関に送
シミュレーションによりその有効性について評価した。
り,航空機を監視する自動従属監視(ADS)技術と洋上
航法衛星を利用した航空機高度測定の改善方式に関す
航空管制における衛星データリンクの利用技術の開発研
る研究では,SBAS の利用を考慮した実験方法の検討を
究である。3 では,現在,国際民間航空機関(ICAO)で民
行った。
間航空航法に米国の全地球的測位システム(GPS)やロ
III
シア連邦の全地球的航法衛星システム(GLONASS)を
試験研究の成果と運輸行政,産業界,学会等に及ぼ
利用した全地球的航法衛星システム(GNSS)を導入す
す効果の所見
ることを検討している。現在の GPS や GLONASS を
現在,ICAO においては航空移動通信パネル(AMCP),
GNSS として使用するには,インテグリティ(完全性)
ADS パネルおよび GNSS パネルが組織され,将来航空航
の確保,測位精度およびアベイラビリティ(利用性)の
法システム(FANS)構想の実現に向けて国際的な技術
保証のため,補強システムを構築する必要がある。補強
基準作成の作業が行われている。当部ではこれらの会議
システムの一つとして,静止衛星を利用する静止衛星型
に代表を出席させ,あるいは技術資料を提出して ICAO
衛星航法補強システム(SBAS)があり,我が国では,運
の活動に寄与している。
輸多目的衛星(MTSAT)による衛星航法補強システム
また,我が国においては,FANS 構想に沿って,運輸
(MSAS)の整備が進められている。また,米国,欧州等
多目的衛星(MTSAT)を中心とした航空衛星システムの
ではそれぞれ WAAS,EGNOS の整備が進められている。
整備が行われており,この整備にこれら研究成果が活用
これら SBAS による相互運用性の向上,サービス空域の
される。更に,GNSS 試験システムを用いた研究により
拡大,位置決定精度の性能向上を図ること,および GPS
MSAS の独立検証等を可能としている。
システムの性能向上に対応するための検討と方式の開発
本年度の研究成果は,当研究所研究発表会,米国航法
を行う。4 は科学技術振興調整費による重点基礎研究で
学会,欧州航法学会,電子情報通信学会,日本航空宇宙
あり,GPS 等の航法衛星システムの完全性を機上におい
学会,日本航海学会等で発表している。
て自律的に監視し警報等を発する技術の調査と検討を行
う研究である。5 は一般研究であり,現在の気圧高度計
(衛星航法部長 惟村 和宣)
に替わって将来的には GPS 等による高度計の利用が考え
られるので,この特性を明らかにし,必要な精度等の確
保を検討するための研究である。
−61−
次世代衛星航法システムに関する研究
担 当 部
衛星航法部
担 当 者
○伊藤 憲 新美賢治 坂井丈泰 惟村和宣
研究期間
平成 12 年度∼平成 15 年度
8,339 千円
平成 12 年度経費
1.
能に対する要求条件である。次世代衛星航法システムの
はじめに
性能要件の定性的に検討し,次のようなものが得られた。
現在,衛星航法システムを民間航空の航法装置として
a
利用するための検討が進められている。この衛星航法シ
ステムとして,米国の GPS やロシアの GLONASS の利用
24 時間,一定高度以下の宇宙を含む全世界をカバ
ーし,切れ目のないサービスを提供できる。
が考えられている。これらのシステムを民間航空で利用
s
全天候型である。
する場合,測位精度や完全性などの性能要件の面におい
d
静止/移動に関わらず,利用者の 3 次元位置を即
時に高精度で求められる。
て不十分な点がある。このため,飛行局面ごとに異なっ
た GPS 補強システムの開発が日本,米国および欧州等で
f
時刻と速度を正確に測定できる。
進められている。また,米国では,測位精度改善を目的
g
通信機能も有する。
として,民間用周波数追加などによる GPS の改良(GPS
h
測位精度は利用要求条件に柔軟に対応できる。
近代化)のための検討が進められている。一方,国際民
j
GPS や GLONASS と互換性がある。
間航空機関では,衛星航法システムを民間航空で利用す
これらの要件は,どのような利用者を想定するか,そ
る場合に要求される性能要件を検討し,民間用次世代衛
して,それらの利用者にどのようなサービスを提供する
星航法システム導入のための指針の作成を開始している。
かを検討することで,さらに具体的かつ定量的に記述で
さらに,欧州では,Galileo と呼ばれる次世代衛星航法シ
きる。
ステムの検討が進められている。
2.3
周回衛星を用いた次世代航空衛星通信プロトコル
周回衛星を用いた次世代航空衛星通信プロトコルに関
このような背景から,当研究所は,民間の手により開
して次の項目を調査した。
発・運用され,世界中のすべての利用者による利用が可
能な次世代衛星航法システムに関する検討を,平成 12 年
a
既存の ADS 用プロトコル
度より開始した。
s
通信プロトコルシミュレーション方式
d
周回衛星による ADS シミュレーション用モデル
2.
2.4
研究の概要
2.1
ェア
既存衛星航法システムの調査
次世代衛星航法システムをシミュレーションするソフ
既存衛星航法システムおよび次世代衛星航法システム
トウェアのシステム設計を実施し,必要な機能,ソフト
の動向について,下記の項目を調査した。
a
次世代衛星航法システムシミュレーションソフトウ
GPS,GLONASS,近代化 GPS,近代化 GLONASS,
ウェアの構成などを検討した。
静止衛星 GPS 補強システム,Galileo の概要
s
GPS,GLONASS,静止衛星型 GPS 補強システム,
3.
おわりに
平成 12 年度に実施した調査に基づいて,平成 13 年度は,
Galileo の測位機能の詳細
d
Galileo の通信機能の詳細
次世代衛星航法システムの概念設計を行うとともに,次
f
利用者用受信機の動向
世代衛星航法システムシステムシミュレーションソフト
g
GPS,GLONASS,GPS 補強システム,Galileo の
ウェアの作成を行う。
衛星および地上局の概要
h
システム間の互換性および相互運用性
掲載文献
j
航空応用,海上応用,陸上応用の場合の性能要件
a
2.2
坂井丈泰:「欧州における次世代衛星航法システム」
,
電子情報通信学会,信学技報,SANE2000-122,pp17-
次世代衛星航法システムの性能要件
24(平 12.12)
衛星航法システムの性能要件とは,そのシステムの性
−62−
s
Galileo の併用による効果」電子情報通信学会,2001 年
「既存衛星航法システム調査報告書」,電子航法研究
総合大会講演論文集,通信 1,p 235(平 13.3)
所(平 12.12)
d
坂井丈泰他 3 名:「GPS と新衛星航法システム
衛星データリンクの研究
担 当 部
衛星航法部
担 当 者
○石出 明 藤田光紘 北折 潤
研究期間
平成 2 年度∼平成 12 年度
116,300 千円
平成 12 年度経費
1.
(ATN)を構築する計画である。この ATN では,開放型
はじめに
国際民間航空機関(ICAO)の将来航空航法特別委員会
システム間相互接続(OSI)モデルに基づく 7 層のプロト
(FANS 委員会)では,現在の洋上航空管制方式で使用さ
コルによりデータ伝送を行う。ATN のサブネットワーク
れている短波の無線電話および位置通報に代わって,衛
となる衛星データ通信では物理層,データリンク層及び
星データ通信および衛星データ通信を利用した自動従属
ネットワーク層の一部であるサブネットワーク層をサポ
監視(ADS)を早急に開発し,導入することを勧告した。
ートする。平成 2 ∼ 6 年度の衛星実験で使用した衛星デー
ADS は航空機に搭載した航法装置で得られた位置情報等
タリンク実験システムでは,航空機地球局(AES)が 1
をデータ通信で自動的に地上の管制機関に送り,レーダ
つであったため,物理層及びデータリンク層のみをサポ
のようにディスプレイ上に表示して航空機を監視する方
ートするもので十分であった。しかし,ATN と接続する
式である。この勧告に基づいて,航空移動通信パネル
には,サブネットワーク層もサポートする必要があるの
(AMCP)や ADS パネル(ADSP 現 OPLINKP)において
で,これを組み込んだときの機能及び性能を評価してお
衛星通信や ADS の標準及び勧告方式(SARPs)の策定や
く必要がある。そこで,平成 7 ∼ 8 年度には,実験システ
見直し作業が行われている。
ムにサブネットワーク層を付加して,データ伝送機能及
我が国では,昭和 62 年 8 月に打ち上げられた技術試験
び性能を評価した。このため,室内実験で実際の衛星回
衛星 V 型(ETS-V)を用いて航空および海事用の衛星通
線と同様な条件で実験ができるように実験システムを改
信・測位技術の開発を目的とした航行援助実験で,音声
造した。図 1 に実験システムの構成,図 2 にその外観写真
通信,データ通信および測位等の実験が行われた。この
を示す。図 1 に示すように,衛星データリンク実験シス
実験の成果をもとにして,また国際動向に合わせて,衛
テムは 4 台の擬似 AES,機上データ端末,実験用航空地
星データ通信や ADS を洋上航空管制に利用する技術を開
球局(GES),地上装置およびフェージングシミュレータ
発・評価することが本研究の目的である。
で構成される。この構成で,通信回線の特性,通信回線
この研究では,上記の目的を達成するために,平成 2
の混雑状態を種々変えたときの P,R 及び T チャネルの伝
∼ 6 年度に日米技術協力により,航空会社の運航管理デ
送遅延時間等の伝送特性を実験評価した。また,実験シ
ータ通信を利用して ADS の基礎データを収集するための
ステムで評価ができるのは 4 機までの環境であるが,実
実験(以下「ADS 太平洋国際共同実験」という。)およ
際の運用環境のように多数機の環境での評価は行えない。
び ICAO の衛星データ通信の SARPs に適合する管制デー
そこで,計算機シミュレーションシステムを開発して,
タ通信と ADS の実験(以下「衛星データリンク実験」と
多数機の環境におけるデータ伝送特性を評価した。図 3
いう。)を行った。そして平成 7 年度から 12 年度はこれら
に T チャネルで通信回線の混雑状態(チャネル負荷率)
の実験の成果をもとにして,衛星データリンクをさらに
を変えて測定した平均伝送遅延時間の例を示す。
平成 9 ∼ 10 年度には,ADS の伝送手順を改良し,実験
高度化する技術の開発・評価を行った。
システムに組み込んでその性能を評価した。ICAO の国
2.
際技術基準に基づく衛星データリンクでは,ADS レポー
研究の概要
ICAO の FANS 構想では,衛星データ通信,VDL 及びモ
トの長さが 34 オクテット以上の場合は T チャネルで伝送
ード S データリンクを統合した航空通信ネットワーク
される。T チャネルでのデータ伝送は予約 TDMA(Time
−63−
図 1 実験システムの構成
図 2 実験システムの外観
−64−
図3
通信回線混雑時の伝送遅延時間測定例
図 4 改良方式の伝送遅延時間測定結果
Division Multiple Access :時分割多元接続)方式で行わ
技術基準案に適合する衛星データリンク実験システムを
れる。この方式(標準方式と呼ぶ)では,まず AES から
開発し,日本国内の種々の航空路を飛行して実験用航空
GES にデータ送信時刻の予約をリクエストする。これに
機と KDD 山口衛星通信所に設置した実験用 GES,当研
対して GES では他の送信時刻の予約状況をみて割り当て
究所に設置した実験用地上装置の間でデータ通信及び
られていない送信時刻をこれに割り当てて AES に通知す
ADS の実験を行った。この実験で得られた結果は ICAO
る。AES では割り当てられた時刻まで待ってデータを送
の AMCP や ADSP に報告し,衛星データ通信や ADS の技
信する。このため,ADS レポートの伝送遅延時間が大き
術基準案の検証に役立った。平成 7 ∼ 12 年度には,衛星
くなる問題がある。そこで ADS レポートの開始時にすべ
実験で得られた成果をベースとして,システムの改良や
ての ADS レポート送信時刻の予約を行うことによって送
実際の運用環境におけるデータ伝送性能の検証等衛星デ
信毎の送信時刻予約手順を省略できるように T チャネル
ータ通信をさらに高度化する研究を行った。その結果は,
の伝送手順を改良した。図 4 は ADS レポートの長さ(シ
AMCP に報告し,衛星データ通信基準の見直し等に役立
グナルユニットまたは SU 数)を変えたときの標準方式
った。現在 FANS-I システムと呼ばれる衛星データ通信が
と改良方式の伝送遅延時間の測定結果である。また,こ
実際の航空管制で使用されつつあるが,ICAO の衛星デ
の方式についても多数機の場合の伝送特性は計算機シミ
ータ通信技術基準に適合する衛星データ通信はまだ導入
ュレーションにより評価した。
されていない。しかし,本研究の成果は,今後の ICAO
これまでの研究では伝送速度 600bps におけるデータ伝
方式の衛星データ通信設備の導入及びその運用に活用さ
れると考えられる。
送特性を評価してきたが,ICAO の衛星データ通信技術
基準では,高速伝送用として 10.5kbps のデータ伝送速度
も規定されている。そこで,平成 11 ∼ 12 年度には
掲載文献
10.5kbps の高速伝送機能を衛星データリンク室内実験シ
a
藤田,石出,新美,大沼:“空地衛星データリンク
ステムに組み込んでデータ伝送特性を実験評価した。こ
の実験計画”,電子情報通信学会春季全国大会,平成 3
の実験では,通信回線の特性,伝送データの長さ及び間
年3月
s
隔等を変化させて,P,R 及び T チャネルの伝送遅延時間
藤田,石出,新美,大沼:“洋上航空管制用衛星デ
を測定し,600bps や 1200bps の場合と比較した。多数機
ータリンク実験計画”,第 23 回電子研発表会講演概要,
におけるデータ伝送特性は計算機シミュレーションによ
平成 3 年 5 月
d
り評価した。さらに,この実験システムを ATN 実験設備
Ishide:“ADS Pacific Engineering Trials Program in
と接続して,総合的なデータ伝送特性を測定した。この
Japan”, 10th ICAO Air Navigation Conference,
実験では模擬的な CPDLC メッセージ及び ADS レポート
September 1991.
を伝送して,end-to-end の伝送遅延時間を測定した。
f
Ishide:“Satellite Data Link R&D Program in Japan”,
10th ICAO Air Navigation Conference, September 1991.
ADS レポート(219octet)の場合,伝送遅延時間は伝送
g
速度 600bps では約 23 秒であるが,伝送速度 10.5kbps で
新美,石出,藤田,大沼:“洋上航空管制用衛星デ
ータリンクの実験計画”,第 29 回飛行機シンポジウム,
は約 8 秒であった。
平成 3 年 10 月
3.
h
おわりに
Ishide:“Interim Report on Japanese ADS Pacific
Engineering Trial”,ADS Pacific Engineering Trials
本研究では,平成 2 ∼ 6 年度に ICAO の衛星データ通信
−65−
™3
Meeting, December 1991.
j
新美,石出,藤田,湯川,松崎:“実験用航空管制
Ishide:“Data Collection and Processing in Japan”,
データ通信システム航空地球局”,電子情報通信学会,
ADS Pacific Engineering Trials Meeting, December
B-174,平成 6 年 3 月
™4
1991.
k
Japan”,3rd ICAO AMCP, April 1994.
新美,石出,藤田,湯川:“ADS 太平洋国際共同実
™5
験”,電子情報通信学会春季全国大会,平成 4 年 3 月
l
新美,石出,藤田,湯川,松崎:“ADS 太平洋国際
Ishide:“Interim Result of Japanese ADS Pacific
共同実験について(第 2 報)”,第 26 回電子研発表会講
Engineering Trial(PET)”,3rd ICAO FANS(II)
演概要,平成 6 年 5 月
™6
Meeting, March 1992.
¡0
Oonuma:“Result of Satellite Data Link Trials in
Ishide:“Interim Result of Japanese ADS Pacific
Ishide:“Japanese Satellite Data Link Experiment
Program”
,3rd ICAO ADSP, May 1994.
™7
Engineering Trial(PET)”,ICAO AMCP WG Meeting,
March 1992.
Ishide:“Interim Report of Satellite Data Link Trial in
¡1
Japan”,ADS PET Meeting, June 1994.
™8
Ishide:“Japanese Satellite Data Link Experiment
Prigram”,ICAO AMCP WG Meeting, March 1992.
新美,石出,藤田,湯川,松崎:“実験用航空管制
¡2
データ通信システム”,信学技報,SANE94-37,平成 6
年8月
湯川,石出,藤田,新美,松崎:“ADS 太平洋国際
™9
共同実験について”,第 24 回電子研発表会,平成 4 年 5
藤田,松崎:“飛行実験による慣性基準装置の位置
誤差”,日本航海学会論文集,第 91 号,平成 6 年 9 月
月
¡3
£0
Ishide:“Interim Result of Japanese ADS Pacific
新美,石出,藤田,湯川:“ADS 太平洋国際共同実
Engineering Trials(PET)”,2nd ICAO ADSP,June
験Ⅱ”,日本航海学会論文集,第 91 号,平成 6 年 9 月
£1
1993.
¡4
Ishide:“Status Report of Japanese Satellite Data Link
Ishide:“Development of Experimental ADS System
and In-flight Performances”,ICAO ADSP WG Meeting,
R&D Program”,2nd ICAO AMCP, November 1993.
¡5
November 1994.
£2
新美,石出,藤田,湯川,松崎:“実験用航空管制
データ通信システム”,電子情報通信学会春季全国大会,
石出,藤田,新美,松崎,湯川:“自動従属監視
(ADS)実験システムの開発と実験”,信学論,Vol.J78-
平成 5 年 3 月
¡6
B-Ⅱ,平成 7 年 5 月
£3
藤田,石出,新美,湯川,松崎:“洋上航空管制用
Ishide:“Comparison of IRS-, GPS- and SSR-derived
衛星データリンク地上実験設備”,第 25 回電子研発表
positions”,ICAO ADSP WG Meeting, November 1995.
£4
会講演概要,平成 5 年 5 月
¡7
8年2月
松崎,石出,藤田,新美,湯川:“洋上航空管制用
£5
衛星データリンク機上実験設備”,第 25 回電子研発表
会講演概要,平成 5 年 5 月
¡8
Ishide:“Interim Validation Results of Japanese
月
£6
Ishide:“Properties of Position Extrapolation Error in
Meeting, July 1993.
α-β Tracking for ADS”,4th ADSP, September 1996.
£7
Ishide:“Data Collection and Analysis in Japanese
石出,藤田,新美,湯川,松崎:“衛星データリン
ADS Trials”,ADS PET Meeting, July 1993.
™0
クの研究(実験システムの開発とその基本性能)”,要
望研究報告書,平成 9 年 3 月
新美,石出,藤田:“ADS 太平洋国際共同実験”,
£8
日本航海学会論文集,第 89 号,平成 5 年 9 月
™1
石出,藤田,新美,湯川,松崎:“衛星データリン
Ishide:“ Test Results on ADS Transmission
クの研究(衛星実験の結果)”,要望研究報告書,平成
Performances”,ICAO AMCP WG-A Meeting, January
9年3月
£9
1994.
™2
藤田,石出,北折:“衛星データリンクの伝送特性
について”,第 28 回電子研発表会講演概要,平成 8 年 6
Satellite Data Link Trials”, ICAO AMCP WG-A
¡9
石出:“衛星データリンクの研究”,航空無線,平成
Ishide:“ Measured Results of Bit Error
藤田,石出:“ADS へのα-β追尾の応用”,電子情
報通信学会総合全国大会,平成 9 年 3 月
¢0
Characteristics”
,ICAO AMCP WG-A Meeting, January
1994.
石出,藤田,北折:“ADS へのα-β追尾の適用”,
第 29 回電子研発表会講演概要,平成 9 年 6 月
−66−
¢1
11 年 6 月
Ishide:“Measurement of transmission Delays in a
∞0
Multiple AES Environment”,AMCP WG Meeting,
Delays for Experiment and Simulation”,ICAO AMCP
January 1998.
¢2
WG-A Meeting, September 1999.
藤田,石出,北折:“航空衛星通信 R チャネルの伝
∞1
送遅延特性”,電子情報通信学会総合全国大会,平成
ICAO AMCP WG-A Meeting, January 2000.
石出,藤田,北折:“衛星利用空地データリンクの
∞2
通信負荷特性”,第 30 回電子研発表会講演概要,平成
ICAO AMCP WG-A Meeting, January 2000.
Ishide:“Measured 95% Transmission Delay for 600
∞3
bps R and T Channels”,ICAO AMCP WG-A Meeting,
July 1998.
¢5
平成 12 年 3 月
北折,石出,藤田:“空地衛星データ通信の特性”,
∞4
北折,石出,藤田:“航空衛星データ通信のシミュ
レーション解析”,第 32 回電子研発表会講演概要,平
Ishide:“Comparison of Transmission Delays for
成 12 年 6 月
Experiment and Simulation”,ICAO AMCP WG-A
∞5
Meeting, January 1999.
¢7
藤田,石出,北折:“航空衛星通信 T チャネルへの
周期的伝送手順の適用”,電子情報通信学会総合大会,
信学技報,SANE98-97,平成 10 年 12 月
¢6
Ishide:“Interim Report on Implementation and
石出,藤田,新美,北折:“衛星データリンクの研
究(DATA-3 システムの開発・評価)”,要望研究報告
書,平成 13 年 3 月
Evaluation of Periodic Reporting Protocol”,ICAO
∞6
AMCP WG-A Meeting, January 1999.
¢8
Ishide, Fujita, Kitaori :“Simulation of Log-on Rush at
the Event of Satellite Failure”,ICAO AMCP WG-C
藤田,石出,北折:“ADS へのα-β追尾フィルタの
Meeting, May 2001.
応用-Ⅱ”,電子情報通信学会総合全国大会,平成 11 年
∞7
3月
¢9
Ishide, Fujita, Kitaori :“Update on ‘Comparison of
Transmission Delays for Experiment and Simulation’”,
10 年 6 月
¢4
Ishide, Fujita, Kitaori :“Estimation of Channel Load
and Capacity for Experiment and Simulation (Ⅱ)”,
10 年 3 月
¢3
Ishide, Fujita, Kitaori :“Comparison of Transmission
板野賢,塩見格一,藤田光紘:“擬似衛星サブネッ
トワークを用いた ATN 実験”,平成 13 年度(第 1 回)
石出,藤田,北折:“洋上空域における衛星データ
電子航法研究所研究発表会講演概要,平成 13 年 6 月.
回線の通信量”,第 31 回電子研発表会講演概要,平成
静止衛星型衛星航法補強システムの性能向上に関する研究
担 当 部
衛星航法部
担 当 者
○星野尾一明 伊藤 実 新井 直樹 松永 圭左 関 司
研究期間
平成 11 年度∼平成 15 年度
平成 12 年度経費
1.
62,200 千円
な位置と時刻を提供するシステムである。
はじめに
現在の GPS や GLONASS を GNSS として使用するには,
米国およびロシアの全世界的なカバレージをもつ測位
システムである全地球的測位システム(GPS)と全地球
インテグリティ(完全性)の確保,測位精度およびアベ
的航法衛星システム(GLONASS)の利用が各方面で考
イラビリティ(利用性)の保証のため,GNSS の運用要
えられている。
件を満足するような GPS の補強システムを構築する必要
GPS は 1993 年 12 月に運用が開始され,国際民間航空機
がある。
関(ICAO)では当面民間航空航法に GPS や GLONASS を
補強システムの一つとして,インテグリティ,ディフ
利用した全地球的航法衛星システム(GNSS)を導入す
ァレンシャル情報及び測距信号を静止衛星を利用して放
ることを検討している。
送する静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)があり,
この GNSS は航空機のすべての飛行局面における運用
米国,欧州等で検討され,システムの導入が計画されて
要件を満足する衛星航法システムであり,航空機に正確
いる。我が国おいても,我が国の空域における GPS のイ
−67−
ンテグリティ(完全性)の確保並びに測位精度およびア
性能向上の解析および GPS データ解析のためのプログラ
ベイラビリティ(利用性)の保証のため,現在,運輸多
ム作成およびソフトウエアの機能向上を行った。
目的衛星(MTSAT)による衛星航法補強システム
①
GNSS 試験システムで作成する SBAS メッセージと
EGNOS,WAAS 等他 SBAS のテストベッドおよび
(MSAS)の整備が進められている。
これらの SBAS は独立に運用されることが前提となっ
WAAS の試験用メッセージを組み合わせて解析する
ているが,SBAS 間の連接,地上型衛星航法補強システ
ため,SBAS メッセージタイプ 2 − 5 および 25 を利用
ム(GBAS)との連携による拡張により,相互運用性の
者測位に利用可能とするプログラムの作成。
向上,サービス空域の拡大,衛星軌道標定精度,電離層
②
対流圏遅延量推定解析機能付加。
伝搬遅延の推定精度の性能向上を図ることができる。こ
③
那覇で観測を行っている電離層シンチレーションデ
のため,国際的な相互接続が検討されており,我が国に
ータの収集,三鷹への転送機能,GPS と GLONASS
おいても SBAS の性能向上,相互運用性向上の研究が必
データ選択機能の付加等,GNSS 試験システムのデ
要である。また,補強対象となる GPS については,セレ
ータ収集に関連するプログラムの機能向上。
SBAS の補強対象である GPS について,GPS の性能
④
クティブ・アベイラビィティ(SA)の完全解除,民間用
第 2 周波数の開放,GPS への干渉が米国で検討されてい
が規定の性能を有していることを解析し,SBAS の
る。本研究においては,SBAS の軌道標定技術や電離層
認証に必要なデータ取得方法,解析方法,データ特
補正情報等の基本要素技術について,性能向上の可能性
性などの基礎資料を得るため,GPS の測距精度,サ
とその方策について研究する。
ービスの信頼性,再現測位精度,予測測位精度,相
対測位精度の規定値適合性を判断する GPS 信号解
2.
析・認証機能向上および一部データの解析の実施。
研究の概要
2.2
SBAS 性能向上について,下記の下記の研究を行う計
解析結果
SBAS データ交換による SBAS の性能向上に関しては,
画である。
① SBAS 間や GBAS との連接による性能向上の可能性の
米国 NSTB とのデータ交換として,電離層観測データの
研究,サービス空域の拡大,軌道標定精度向上。
交換を行った。また,米国 WAAS 信号を利用しての受信
② 民間用第二周波数の利用や SA の解除を通じた SBAS
実験により,SBAS カバレージの周縁地域での性能評価
の性能向上の可能性の研究。
実験を行った。SBAS 周縁地域では,SBAS 情報使用可能
③ 太陽活動等干渉妨害の研究。
な衛星が限定されること,電離層遅延情報が使用できな
いこと等により,測位精度は SA 解除後,GPS 単独測位と
また,米国,カナダ,欧州と連携を図り,本研究によ
り ICAO における国際標準策定作業に寄与するものであ
同程度となっている。
る。
在解析中である。なお,NSTB のシンチレーション観測
データおよび NSTB
年次計画としては,平成 11 年度は,海外テストベッド
電離層観測データについては現
TRS 観測データの一部は NSTB ホ
ームページ(http://www.nstb.tc.faa.gov/)からもダウン
との接続,解析ソフトウエアの製作を行った。
平成 12 年度は,データ交換による SBAS 性能向上及び
ロード可能である。
解析ソフトウエアの製作を行った。平成 13 年度は,デー
GPS の性能評価に関しては,実際のデータ,情報を基
タ交換による SBAS 性能向上の解析,評価,SA 解除/ 2
に ICD − GPS − 200
周波数化時の精度,利用性解析ソフト,評価機材の製作
れている GPS の測距精度(一部のみ),サービス信頼性,
及び干渉の解析,評価を行う。平成 14 年度は,SA 解
予測測位精度,再現測位精度,相対測位精度に関する規
除/ 2 周波数化による SBAS 機能,精度,利用性の解析,
定値を GPS 信号が満足しているがどうかの検討を行っ
評価を行う。平成 15 年度は,SA 解除/ 2 周波数化による
た。
補正間隔の解析,評価を行う計画である。
REV.C, September 5,1997 で規定さ
なお,以下に示す結果は,一部のものであり,十分な
また,札幌,東京,福岡,那覇航空交通管制部および
データによる評価が必要である。
三鷹での GPS データおよび電離層シンチレーションデー
2000 年 11 月∼ 12 月のデータ解析では,サービス信頼
タ(三鷹,那覇のみ)の収集・解析を行う。
性,予測精度および再現精度はすべて問題なく規定値を
2.1
満足していた。しかし,測距精度のうち加速度および相
GNSS 試験システムの解析ソフト機能向上
平成 12 年度は,以下に述べる,相互接続による SBAS
対測位精度については,規格を満足していない部分があ
−68−
のと考えられる。
った。これらは,受信機おける擬似距離測定へのマルチ
電離層シンチレーションに関しては,2000 ∼ 2001 年が
パスなどの影響が考えられるが,詳細はさらに検討する
太陽活動の極大期に当たり,特に那覇での,シンチレー
必要がある。
データ収集は,那覇および三鷹に設置した電離層シン
ション発生頻度が大きいこと,および,振幅,位相の変
GSV4000)を用い,電離
動も大きいことが観測されており,GPS 信号のロックは
チレーション測定装置(ISM
ずれおよびサイクルスリップが確認されている。
層シンチレーションの観測を続行すると共に,札幌,東
京,福岡,那覇航空交通管制部に設置してある GPS 受信
機(Z12)により GPS データ収集を継続し,3 月には,通
参考文献
信総合研究所との共同観測も含め小笠原父島にて受信実
a
Hoshinoo:“ ENRI Research and Development
Activities on SBAS”
,IWG/8, 平成 12 年 5 月
験を行った。那覇においては,2000 年および 2001 年春秋
s
分の日を中心とした前後約 1 ヶ月においては,電離層シ
星野尾,伊藤,新井:“GPS 信号による電離層シン
ンチレーション発生頻度が大きくなることが確認されて
チレーションの観測”,平成 12 年度(第 32 回)電子航
いる。
法研究所研究発表会講演慨要平成 12 年 6 月
d
2.3 共同研究
SBAS のサービス地域の拡大,性能向上のためには,
新井:“GLONASS の現状”,電子情報通信学会宇宙航
行エレクトロニクス研究会”,平成 12 年 7 月
f
サービス領域内外のディファレンシャル情報およびイン
Hoshinoo:“ ENRI Research and Development
Activities on SBAS”
,IWG/9 Meeting, 平成 12 年 9 月
テグリティ情報特性および受信機特性を把握する必要が
g
ある。このため,古野電気株式会社とこれらのデータ取
Kawai, Nakano, Wakasa, Hashimoto, Arai, Hoshinoo,
得と解析・評価を行う共同実験「SBAS 信号解析・評価
Ito:“GPS/SBAS Receiver Flight Test in Japan”,ION
共同研究」を実施中。
GPS-2000, 平成 12 年 9 月
h
また,GPS 信号を利用し日本周辺における電離層シン
松永,星野尾,伊藤,新井,関:“GPS 信号による電
チレーションを観測し,電離層不規則構造の発生機構を
離層シンチレーションの観測”,2000 年電子情報通信
解明するとともに発生頻度,発生場所等を明らかにし
学会ソサイエティ大会,平成 12 年 9 月
j
SBAS への影響を明らかにすることを目的とする共同研
松永:“GPS 信号による電離層シンチレーションの観
究「GPS 信号による電離層シンチレーションに関する研
測”,日本航海学会 GPS 研究会 2000 年度秋季研究会,
究」を総務省通信総合研究所と平成 13 年 2 月より実施し
平成 12 年 10 月
k
ている。
関:“神戸衛星センターについて”, 日本航海学会航
空宇宙研究会 2000 年度秋季研究会,平成 12 年 10 月
3.
l
おわりに
Hoshinoo:“ ENRI Research and Development
Activities on SBAS”, 平成 12 年度 JICA 一般特設コース
2000 年 5 月 2 日の SA 解除により GPS 単独測位性能が向
上したが,精密進入に使用可能なレベルにはない,また,
インテグリティ機能もない状態である。これらは,
(FANS セミナー),平成 12 年 11 月
¡0
橋本,荒井,星野尾,伊藤:“GPS 補強システム用受
WAAS 試験信号を使用した実験であるが,確かめられて
信機概要と WAAS 試験放送による実験結果“,日本航
おり,SBAS 等の補強システムの重要性に変わりはない。
海学会誌 NAVIGATION 第 146 号,平成 12 年 12 月
¡1
GPS 信号の規格適合性については,加速度誤差,相対
星野尾,伊藤,新井:“GPS 信号による電離層シンチ
測位精度の適合性確認には外乱の少ない測定状況を作る
レーションの観測”,航空保安無線システム協会航空無
必要があることがわかった,しかし,現在 SA が解除され,
線 2000 年秋季号,平成 12 年 9 月
規定の見直しが行われてたので,再評価が必要になるも
−69−
衛星測位システム完全性監視方式の基礎研究
担 当 部
衛星航法部
担 当 者
○伊藤 憲 坂井丈泰 星野尾一明 新井直樹 松永圭左
研究期間
平成 10 年度∼平成 12 年度
5,136 千円
平成 12 年度経費
1.
衛星を組み合わせたシステムでは稼働率が 100% になる。
はじめに
GPS などの衛星測位システムを利用するとき,利用者
また,精密進入の場合,高い測位精度が要求されるた
は,期待される精度で測位できるかどうかを常に知って
め,有効な自律的完全性監視方式は検討中である。
おく必要がある。完全性監視とは,衛星航法システムに
2.2
ファジィによる自律的完全性監視方式
より得られる測位結果が航法に利用できるかどうかを臨
検定量を計算するために用いる測定量には測定誤差が
機に利用者に知らせることである。自律的完全性監視で
含まれる。従来方式では,測定誤差の影響を計算機シミ
は,この完全性監視を利用者用受信機が行う(図 1)。本
ュレーション実験により評価し,その結果をしきい値に
研究では,既存の自律的完全性監視方式を検討し,それ
反映させている。
に基づいて新たな自律的完全性監視方式を提案した。そ
このような誤差を含む量を扱うために,本研究ではフ
して,計算機シミュレーション実験により,提案した新
ァジィ推論を適用することとした。ファジィ推論では検
しい自律的完全性監視方式の有効性の評価を行った。
定量と衛星測位システムの状態の関係を言葉によるあい
まいさを含む表現で規定し,それを「知識」として定式
化する方法がとられる。具体的には,測定量から求めら
れる検定量が小さい(大きい)とき,測位の結果として
得られる位置の信頼度が高い(低い)というように規定
する。実際の測定値にこの規定を適用しファジィ処理す
ることで,そのときの位置の信頼度が決定できる。
ファジィ推論を応用した自律的完全性監視では,従来
方式のように,故障が発生しているか発生していないか
の 2 種類の出力のみが得られるわけではない。信頼度に
応じて,測位結果が「十分に信頼できる」,「やや信頼で
きる」,「やや信頼できない」,「全く信頼できない」とい
図 1 自律的完全性監視概念図
ったような定性的な出力形式となる。位置の信頼度に対
して適当なしきい値を設定すれば測位結果の良否を判定
2.
することもできる。この場合,位置信頼度がそのしきい
研究の概要
2.1
値を越えたら警報を出すことになる。
既存の自律的完全性監視
2.2
現在までに提案されている自律的完全性監視方式(以
計算機シミュレーション実験
下,従来方式と呼ぶ)では,監視の対象となる衛星航法
前節で述べたファジィによる自律的完全性監視方式の
システムから得られる測定量を用いて,適当に定義され
有効性を評価するために,国際民間航空機関で定められ
た検定量を計算する。この検定量を,各飛行段階に応じ
た評価方法に基づいて計算機シミュレーション実験を実
て設定されたしきい値と比較する。検定量がしきい値を
施した。
越えたらそのシステムに故障が生じているという警報を
a
相関
評価用に選ばれた衛星配置において,ある特定の衛星
発する。
航空路,ターミナル,非精密進入の各飛行段階に対し
に対する擬似距離に,時間とともに増大する誤差を付加
て,GPS のみを用いた場合には,従来方式では自律的完
する。このとき,水平方向の位置誤差も時間的に変動す
全性監視の稼働率(自律的完全性監視が可能な時間率)
ることになる。この位置誤差が,従来方式で用いられて
が 100% にならない。GPS に GLONASS または数個の静止
いる検定量またはファジィによる方式の位置信頼度と,
−70−
出される)と従来方式で用いられる検定量(しきい値で
どのような相関関係にあるかを調べた。
自律的完全性監視で用いられる指標(従来方式の場合
正規化されている)および提案したファジィによる方式
の検定量またはファジィによる方式の場合の信頼度)が
の位置信頼度である。図 2(a)では,60 秒を過ぎた辺り
位置誤差の変動を忠実に反映できれば,適切に警報を出
で測位誤差が警報限界を上回っていることがわかる(正
せる。そのため,自律的完全性監視では,位置誤差と大
規化された測位誤差が 100% を越えている)。この図で,
きな相関を持つ指標を利用することが望ましいと考えら
従来方式の検定量は 60 秒後から 80 秒後までの間,あまり
れる。
変化せず,しきい値を下回っており(正規化された検定
量が 100% を越えない),80 秒を過ぎて始めてしきい値を
計算機シミュレーション実験結果によると,水平位置
誤差と従来方式の検定量との間の相関係数は 0.5 程度,水
上回る。従来方式では,検定量がしきい値を上回るまで,
平位置誤差とファジィによる方式の位置信頼度との間の
利用者に警報を出さない。そのため,80 秒を過ぎるまで,
相関係数は 0.6 程度であった。
利用者は測位結果が十分信頼できるものと認識している
s
ことになる。すなわち,従来方式では故障の発生を適時
測位精度劣化検出
に利用者に知らせることができない。一方,ファジィ理
ファジィ理論を用いる自律的完全性監視方式を評価す
るときには,相関を調べるだけでなく,実際に衛星航法
論を用いる方式により得られる位置信頼度は,図 2(a)
システムに故障が発生し測位誤差が大きくなったときに,
の場合,60 秒過ぎから低下している。
適切に警報を発することができるかどうかも調べる必要
がある。この点に関しても計算機シミュレーション実験
を実施した。
具体的には前項で述べたような方法を用いて,選ばれ
衛星配置に対して,完全性監視が可能かどうかを,従来
方式およびファジィによる方式の場合のそれぞれについ
て調べた。
(b)適合度
図 2 実験結果
ファジィ理論を用いる新しい方式では,位置信頼度だ
けではなく,適合度の情報も利用者に提供できる。ここ
で適合度とは,システムの状態が,たとえば,「位置信頼
(a)水平測位誤差,検定量,位置信頼度
度がほぼゼロである」という状況に適合する割合を示す
図 2 実験結果
指標である。
図 2(a)の結果が得られたときの適合度を図 2(b)に
示す。図 2(b)から,「位置信頼度がほぼゼロである」
図 2(a)は,従来方式では衛星航法システムの故障の
発生を適切に検出できない場合の例である。この図の縦
への適合度は 60 秒を過ぎてから急激に大きくなり,「位
軸は水平方向の測位誤差(警報限界で正規化されている,
置信頼度が中くらいである」への適合度は急激に小さく
ここで警報限界とは,衛星航法システムに故障が存在す
なることがわかる。従って,ファジィによる方式を用い
るかどうかの目安となる水平方向の測位誤差の大きさの
る場合,適合度に関する情報により,利用者は 60 秒を過
ことで,測位誤差が警報限界より大きくなったら警報が
ぎた辺りから位置信頼度が低下しつつあるということを
−71−
案し,その有効性を計算機シミュレーション実験により
認識できることになる。
ファジィ理論を用いる自律的完全性監視方式では,総
評価した。その結果,ファジィによる方式は,従来の完
合的な位置信頼度だけでなく,適合度に関する情報を利
全性監視方式を上回る性能を持つことが分かった。この
用者に提供できる。このため,従来方式では適切に衛星
ファジィを用いる完全性監視方式は,今後,当研究所で
航法システムの故障を検出できない場合でも,ファジィ
平成 12 年度より開始された「次世代衛星航法システムに
理論を用いる方式では衛星航法システムの故障の発生を
関する研究」において活用される。
適切に検出することができることがわかった。
(掲載文献)
なお,従来方式により故障を適切に検出できる場合に
a
ついては,ファジィ理論を用いる方式でも故障の検出を
伊藤:“GPS 補強システムの自律的完全性監視”,電
子情報通信学会技術研究報告 SANE98-43,平成 10 年 8
適切に行えた。
月
この節の結果は,ファジィ理論による完全性監視方式
s
を用いると完全性監視稼働率が改善される可能性がある
伊藤:“ファジィによる GNSS 自律的完全性監視”,
ことを意味し,また,ファジィによる方式の有効性を示
2000 年電子情報通信学会総合大会論文集(通信 1),
すものである。
p238,平成 12 年 3 月
d
3.
伊藤:“ファジィを用いた衛星航法システム完全性
監視”,第 44 回宇宙科学技術連合講演会講演集(上巻),
おわりに
423-428,平成 12 年 10 月
本研究ではファジィによる自律的完全性監視方式を提
航法衛星を利用した航空機高度測定の改善方式に関する研究
1.
担 当 部
衛星航法部
担 当 者
○新美賢治 惟村和宣
研究期間
平成 12 年度∼平成 13 年度
差特性解析装置を用いて実験を行っている。本装置は,
はじめに
当研究所の実験用航空機に搭載する機上設備と,三鷹の
現在,航空機に使用されている気圧高度計は,大気圧
の影響を受け時々刻々地域による補正が必要であり,パ
当所に設けた基地局設備から構成される。基地局設備は,
イロットの作業負荷となっている。また,高々度におい
当所本庁舎の鉄塔に設置した GPS 受信用アンテナ,基地
ては誤差が大きくなる等の問題もあり,航空交通の安全
局用の GPS 受信機およびデータ収集用の計算機から構成
のため将来的には全地球的航法衛星システム(GNSS)
されている。これらで取得したデータは高度誤差特性解
を利用した高度計がシームレスで全ての飛行フェーズで
析装置で解析氏改善方式等を検討する。
可能となる垂直ガイダンスの候補として検討されている。
平成 12 年度は,GPS の他に静止衛星型衛星航法補強シ
そこで,従来の気圧高度計との誤差特性の相違等の検討
ステム(SBAS)の利用も考慮した高度誤差特性取得のた
と GNSS を利用した高度計の精度向上について研究を行
めの検討を行った。航空機の高度基準は,基地局設備近
ってきた。
傍では GPS を利用した航空機高度測定装置によるオフラ
インによるキネマテック GPS により求めることができ
本研究により,次のような成果が期待できる。
る。また,SBAS を利用する飛行実験の他,オフライン
(イ)GPS により得られる航空機の高度誤差特性が明らか
によるディファレンシャル GPS およびエアデータコンピ
になり,高度誤差改善方式を開発できる。
(ロ)ICAO の提唱する FANS 構想の実現に寄与すること
ュータ(ADC)それぞれの方式により航空機高度を測定
する飛行実験を実施するための準備を行った。
ができる。
平成 13 年度は,現在運用中の SBAS(米国の WAAS)
2.
を用いた GNSS 高度誤差データ収集と高度改善方式に関
研究の概要
特定研究(平成 8 年度から平成 11 年度実施)において
する研究を行う計画である。
製作した GPS による航空機の高度測定装置および高度誤
−72−
5
研究所報告
No
発行年月
95
12 − 11
著 者
論 文 名
上野 徹
空港における航空機の地上運航状況分析
古賀 禎
96
13 − 1
SSR モード S データリンクの評価試験の結果について
三吉 襄
宮崎 裕己
97
13 − 2
山田 公男
実験用海上監視支援システムの試作と評価
山本 憲夫
船舶技術研究所
桐谷 伸夫
松倉 洋史
6
要望研究報告 発行年月
表 題
部 名
SSR モード S システムの研究その 1
12 − 9
モード S システムの開発と監視機能の評価試験
について
13 − 2
SSR モード S システムの研究その 2
航空
施設部
航空
データリンク機能とその評価試験について
施設部
担 当 者
三吉 襄
宮崎 裕己
古賀 禎
古賀 禎
三吉 襄
宮崎 裕己
福田 豊
13 − 3
ADS 環境下での国際航空交通流手法の研究(その
2 :航空交通流管理システム要件)
電子航法
評価部
塩見 格一
福島 幸子
岡 恵
井無田 隆
7
受託試験
受託番号
1
2
依 頼 者
担 当 者
メガフロート(浮体式海上)空港モデルへの GPS
メガフロート
田嶋 裕久
による進入飛行に関する試験研究
技術研究組合
朝倉 道弘
メガフロート(浮体式海上)空港における ILS の
メガフロート
安定性に関する試験研究(その 3)
技術研究組合
試 験 内 容
−73−
横山 尚志
8 共同研究
担 当 部
相 手 方
研 究 課 題
実 施 期 間
電子航法開発部
(株)アイ・エイチ・ア
ヘリコプタの衝突警報システムに関する調査研究
12.8.1 ∼ 13.3.31
降雨時における空港面探知レーダのクラッタ処理
10.4.1 ∼ 13.3.31
イ・エアロスペース
日立エンジニアリング(株)
(株)アンプレット
航空施設部
東京電機大学
に関する研究
航空施設部
青森大学
(株)トーキン・イ・エ
積雪による GP 進入コースの予測技術の研究に関
12.10.1 ∼ 13.3.15
する共同研究
ム・シ・エンジニアリング
電子航法評価部
(株)東芝
将来的な管制情報処理システムの構築に関する基
9.5.1 ∼ 13.3.31
礎研究
電子航法評価部
日本電気(株)
統合的な航空管制情報及び航空機運航情報の管
9.6.1 ∼ 13.3.31
理・集配システムの構築に関する基礎研究
電子航法評価部
日本無線(株)
ダイバシティレーダの評価に関する共同研究
12.2.29 ∼ 13.3.31
電子航法評価部
大阪大学
輻輳海域における海上交通流の予測/制御に関す
12.8.10 ∼ 15.3.31
る研究
電子航法評価部
医療法人社団祥徳会
カオス理論によるヒューマン・ファクタの計測に
12.9.1 ∼ 15.3.31
関する基礎研究
電子航法評価部
沖電気(株)
AIS の評価方法,及び AIS 情報の VTS の導入に関
12.8.1 ∼ 15.3.31
する研究
電子航法評価部
電子航法評価部
科学技術庁航空宇宙
GPS およびトンネル表示を用いた曲線進入運航方
技術研究所
式の評価
(株)オージス総研
音声による先進的な航空管制業務のための基礎研
12.9.1 ∼ 18.3.31
12.10.1 ∼ 15.3.31
究
電子航法評価部
音声による疲労度計測システムの実用化研究
13.2.16 ∼ 13.3.31
総務省通信総合研究
GPS 信号による電離層シンチレーションに関する
13.2.1 ∼ 16.3.31
所長
研究
古野電気(株)
SBAS 信号解析・評価共同研究
三菱スペース・ソフ
トウェア
衛星航法部
衛星航法部
−74−
12.11.27 ∼ 14.3.31
9
研究発表
a
第 32 回研究所発表会 (平成 12 年 6 月 8 日,9 日)
1.
ビデオ画像における特徴抽出およびその応用
10. 小型航空機の運航支援情報に関する調査
電子航法評価部 ※矢田 士郎
2.
電子航法評価部 ※塩地 誠
EVS 画像融合のための地上実験の解析
11. VHF ディジタルリンク・モード 3 の実験計画
※
電子航法開発部 住谷 泰人
航空施設部 ※藤森 武男
M.A.Brown
松下 征二
白川 昌之
電子航法評価部 塩地 誠
小瀬木 磁
12. SSR モード S データリンクの試験結果について
3.
航空施設部 ※古賀 禎
仮想進入飛行実験における飛行誤差
電子航法開発部 ※朝倉 道弘
三吉 襄
田嶋 裕久
宮崎 裕己
前電子航法開発部 松本 千秋
13. 航空衛星データ通信のシミュレーション解析
4.
5.
GPS を装備した航空機の航法精度の評価
衛星航法部 ※北折 潤
電子航法開発部 ※天井 治
藤田 光紘
長岡 栄
石出 明
14. ATN の国際接続実験について(その 2)
GPS を信号による電子層シンチレーションの観測
※
衛星航法部 星野尾一明
電子航法評価部 ※板野 賢
伊藤 実
塩見 格一
新井 直樹
6.
GBAS 飛行実験結果について
15. 拡張スキッタを用いる ADS − B の実験
※
7.
航空施設部 齊藤 真二
電子航法開発部 ※小瀬木 滋
福島荘之介
住谷 泰人
藤井 直樹
白川 昌之
多基準局を用いる狭域 DGPS の測位実験
16. 空港内車両位置情報システムについて
※
航空施設部 福島荘之介
航空施設部 ※二瓶 子朗
齊藤 真二
田中 修一
藤井 直樹
17. 経路の計画的オフセットによる衝突危険度の軽減
8.
機上における GPS 信号の信頼性について
電子航法開発部 ※長岡 栄
衛星航法部 ※坂井 丈泰
惟村 和宣
9.
メガフロート空港面構造による GP 特性への影響
航空施設部 ※横山 尚志
−75−
20.
18. 空港での航空機地上運航の調査分析
洋上合流シミュレータについて
東京航空交通管制部:前電子航法開発部 ※上野 徹
電子航法評価部 ※福田 豊
岡 恵
19.
飛行計画調整シミュレータについて
福島 幸子
電子航法評価部 ※井無田 貴
井無田 貴
福田 豊
塩見 格一
岡 恵
21.
福島 幸子
音声によるヒューマン・ファクタ評価手法について
電子航法評価部 ※塩見 格一
塩見 格一
(注)
−76−
※
講演者
s
所外発表伺
題 目
発 表 者
発表年月
航空機衝突防止装置の今後とその役割
白川 昌之
2000.4
労働の科学 平成 12 年4月号
Multipath Effect Observed on the SENDAI Airport
小瀬木 滋
2000.4
2000 年第1回 Multi National Working
Surface
発表機関または誌名
Group 会議および日米二国間会議
Passing Frequency Values for the North Pacific
天井 治
routes under Implementation of a Reduced Vertical
長岡 栄
2000.5
ICAO RGCSP/10-IP/6,Montreal
2000.5
proceeings of GNSS2000 at Edinburgh
2000.5
日本信頼性学会(第8回研究発表会)
2000.5
日本信頼性学会(第8回研究発表会)
2000.5
欧米航空交通管理技術交流会議(オラン
Separation Minimum
MSAS progress and status
惟村 和宣
島村 淳
北大平洋航空路の安全性の評価
天井 治
−横方向の衝突危険度について−
長岡 栄
洋上航空路における航空機間の最小距離間隔基準
長岡 栄
の安全性評価:
天井 治
−衝突危険度モデルの定式化について−
Dynamic Simulation Experimnts of Arrival Traffic
東福寺則保
Flow Managemnt in Domestic Airspace using an
ダ)
Assising Tool
ENRI Research and Devlopment Activities on SBAS
星野尾一明
2000.5
SBAS 相互運用性作業グループ第8回会議
(IWG/8)
VHF デジタルリンクについて
藤森 武男
2000.5
日本航海学会 航空宇宙研究会
SA が解除された時刻の観測結果
福島荘之介
2000.5
電子研 Web Page
SICAS パネル WG 会議出張記
小瀬木 滋
2000.6
航空無線 2000 夏期号
将来の航空管制情報処理システムのデザインとイ
塩見 格一
2000.6
航空無線 2000 夏期号
天井 治
2000.6
航空振興財団 平成 12 年度第1回情報処
ンターフェース
GPS を装備した航空機の航法精度の評価
長岡 栄
洋上合流シミュレータについて
福田 豊
理方式小委員会
2000.6
航空振興財団 平成 12 年度第1回情報処
理方式小委員会
電波利用の現状と技術動向について 航空移動通
小瀬木 滋
信と測位
−77−
2000.6
郵政省 電波有効利用委員会分科会
題 目
ヘリコプタの障害物探知・衝突警報システム
発 表 者
発表年月
発表機関または誌名
山本 憲夫
2000.6
日本航海学会誌 第 148 号
2000.7
電子情報通信学会 航行エレクトロニクス
山田 公男
Cockpit Applications of 3D Computer Graphics
Mark.A.Brown
研究会
GLONASS の現状
新井 直樹
2000.7
電子情報通信学会 航行エレクトロニクス
研究会
衛星の出没時刻を用いた高速アベイラビリティ計 福島荘之介
2000.7
電子情報通信学会 技術研究報告
2000.7
電子情報通信学会 航行エレクトロニクス
算法
SSR モードSデータリンク評価試験について
古賀 禎
研究会
2000.7
電子情報通信学会論文誌 B Vol.J83-B,No.7
2000.7
信頼性・保全性シンポジウム
2000.8
ATNP WG 全体会議
田嶋 裕久
2000.8
メガフロート技術研究組合
DGPS 進入着陸飛行実験による航法性能要件の検 田嶋 裕久
2000.8
電子情報通信学会論文誌B
2000.8
AIAA Guidance,Navigation,and Control
収縮法を用いたレーダ SCR の改善
清水めぐみ
(東京電機大)
幸谷 智
(東京電機大)
三輪 進
(東京電機大)
加来 信之
航空路における運航の安全性
R&D
OF
EQUIPMENT
長岡 栄
FOR
ATN 板野ほか
IMPLEMENTATION IN JAPAN
メガフロートにおける DGPS による進入飛行実験
討
朝倉 道弘
松本 千秋
Radar SCR improvement using awavelet transform
齋藤 彰彦
Conference and Exhibit
(東京電機大)
幸谷 智
(東京電機大)
三輪 進
(東京電機大)
加来 信之
洋上合流シミュレータについて
福田 豊
2000.9
航空無線 2000 秋期号
GPS 信号による電離層シンチレーションの観測
星野尾一明
2000.9
航空無線 2000 秋期号
伊藤 実
新井 直樹
−78−
題 目
実験用 EVS を用いた地上予備実験の解析
発 表 者
発表年月
発表機関または誌名
住谷 泰人
2000.9
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
Mark.A.Brown
会
白川 昌之
小瀬木 滋
混信妨害の判定への薬効検定への応用
小瀬木 滋
2000.9
2001 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
GPS 信号による電離層シンチレーションの観測
松永 圭左
2000.9
星野尾一明
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
伊藤 実
新井 直樹
関 司
オフセット補償機能を有するフローティングゲー
伊藤 和則
ト付差動増幅器
広谷俊太郎
2000.9
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
(早大)
坂井 丈泰
松本 隆
(早大)
航空機の飛行状態による GPS 信号の中断
坂井 丈泰
2000.9
惟村 和宣
北大平洋航空路システムの安全性評価
天井 治
−短縮垂直間隔適用下の横方向の近接通過頻度−
長岡 栄
SSR モードSデータリンク評価試験の結果につい
古賀 禎
て
宮崎 裕己
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
2000.9
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
2000.9
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
会
三吉 襄
2000.9
2000 年電子情報通信学会ソサイエティ大
飛行計画データによる洋上航空路における航空機
長岡 栄
間の距離分布の推定
天井 治
ENRI Research and Devlopment Activities on SBAS
星野尾一明
2000.9
IWG/9 Meeting
三輪 進
2000.9
電子情報通信学会 宇宙航行エレクトロニ
レーダ SCR に関する一考察
会
(東京電機大)
クス研究会
齋藤 彰彦
(東京電機大)
幸谷 智
(東京電機大)
加来 信之
GPS における選択利用性(SA)の解除
坂井 丈泰
−79−
2000.9
日本航海学会誌 第 145 号
題 目
発 表 者
発表年月
発表機関または誌名
積雪による航空機の進入コース変化の予測につい
横山 尚志
2000.10
2000 年 日本雪氷学会全国大会
21 世紀の航空(FANS とフリーフライト)
福田 豊
2000.10
トランスポート 10 月号
国際航空交通流管理の支援システムの試作
福田 豊
て
2000.10
第 38 回飛行機シンポジウム
岡 恵
福島 幸子
井無田 貴
塩見 格一
航空機の最小間隔の安全性評価のための衝突危険
長岡 栄
2000.10
度の定式化
Fatigue and Drowsiness Predictor for Pilots and Air
Traffic Controllers
電子情報通信学会技術研究報告(安全性
研究会)
塩見 格一
2000.10
第 45 回管制協会総会
廣瀬 尚三
(オージス総)
航空用途における最近の GPS の測定精度
坂井 丈泰
2000.10
日本航海学会平成 12 年度秋季講演会
VHF デジタルリンクの開発と評価
藤森 武男
2000.10
日本航空宇宙学会 第 38 回飛行機シンポ
ジウム
メガフロート空港面構造による GP 特性への影響
横山 尚志
2000.10
久保 義信
日本航空宇宙学会 第 38 回飛行機シンポ
ジウム
(石川島播
磨重工)
台木 一成
(メガフロ
ート技術研
究組合)
神沢 雅彦
(住友重機)
メガフロートの弾性変形による GP 特性への影響
横山 尚志
について
宮島 省吾
2000.10
日本航空宇宙学会 第 38 回飛行機シンポジ
ウム
(三井造船昭
島研究所)
堀場 伸
(三菱重工)
佐藤 千昭
(メガフロー
ト技術研究
組合)
ファジィ理論を用いた衛星航法システム完全性監
伊藤 憲
視
−80−
2000.10
第 44 回宇宙科学技術連合講演会
題 目
次世代航空管制情報処理システムの検討と試作
発 表 者
発表年月
塩見 格一
2000.10
発表機関または誌名
第 38 回飛行機シンポジウム
松岡 詳博
神戸航空衛星センターについて
関 司
2000.10
日本航海学会 航空・宇宙研究会平成 12 年
度秋季研究会
GPS 信号による電離層シンチレーションの観測
松永 圭左
2000.10
日本航海学会 GPS 研究会 平成 12 年度秋
季研究会
メガフロートにおける GPS による進入飛行実験
田嶋 裕久
2000.10
航空振興財団 全天候方式小委員会
GPS 及び補強システムのアベイラビリティ
福島荘之介
2000.10
航空振興財団 全天候方式小委員会
ヘリコプタの障害物探知・衝突警報システム
山本 憲夫
2000.10
山田 公男
メガフロートの空港面構造及び弾性変形による
日本航海学会航空宇宙研究会平成 12 年度
秋季講演会
横山 尚志
2000.10
航空振興財団 全天候方式小委員会
惟村 和宣
2000.10
日本航海学会航空・宇宙研究会平成 12 年
GP 特性への影響について
MTSAT/MSAS の動向
度秋季研究会
GPS 及び補強システムのアベイラビリティ
福島荘之介
2000.10
電子情報通信学会技術研究報告(安全性
研究会)
空港内車両位置情報システムについて
二瓶 子朗
2000.11
日本航海学会 GPS 研究会 GPS シンポジウ
ム 2000
田中 修一
Study on ADS-B Signal Environment
小瀬木 滋
2000.11
ADS-B 海外調査団資料
GBAS の現状
藤井 直樹
2000.11
日本航海学会 GPS 研究会 GPS シンポジウ
ム 2000
多基準局を用いる狭域 DGPS の測位実験
福島荘之介
2000.11
日本航海学会 GPS 研究会 GPS シンポジウ
ム 2000
齊藤 真二
藤井 直樹
Satellite Navigation and its Application in Japan
惟村 和宣
2000.11
韓国 GPS/GNSS 国際シンポジウム
Effects of Systematic Offsets of GPS Rquipped
長岡 栄
2000.11
ICAO RGCSP WG/B Meeting
A Consideration on Lateral Collision Risk for the
天井 治
2000.11
ICAO RGCSP 17th Meeting of Working
North Pacific Routes
長岡 栄
Aircraft on Lateral Collision Risk
−81−
Group A
題 目
発 表 者
発表年月
Estimating the Risk of Aircraft Collision due to Loss
長岡 栄
2000.11
of Planned Longitudinal Separation in the North
天井 治
発表機関または誌名
Imt 'l Conference on Probabilistic Safety
Assessment & Management
Pacific Routes
Estimation of Lateral Collision Risk for Aircraft
天井 治
2000.11
Imt 'l Conference on Probabilistic Safety
on the North Pacific Routes
長岡 栄
An Explicit Analytical Representation of Collision
長岡 栄
2000.11
ICAO RGCSP WG/A Meeting
藤森 武男
2000.12
電子情報通信学会 宇宙航行エレクトロニ
Assessment & Management
Risk Equation for Assessing the Distance-based
Longitudinal Separation Minima
VDL ディジタルリンクの開発動向
クス研究会
欧州における次世代衛星航法システム
坂井 丈泰
2000.12
電子情報通信学会 宇宙航行エレクトロニ
クス研究会
GPS 機の経路オフセットによる横方向衝突危険度
長岡 栄
2000.12
への影響
GPS 補強システム用受信機概要と WAAS 試験放送
による実験結果
電子情報通信学会 宇宙航行エレクトロニ
クス研究会
橋本 豊雄
2000.12
日本航海学会誌 NAVIGATION 第 146 号
荒井 修
(古野電気)
星野尾一明
伊藤 実
次世代管制情報処理システムの検討と試作
塩見 格一
2000.12
平成 12 年度情報処理方式小委員会報告書
空港内車両位置情報システム
二瓶 子朗
2001.1
情報処理学会 高度交通システム研究会
高度交通システム(ITS)2001 シンポジウ
田中 修一
ム
Results of Flight Experiments for Evaluating the
長岡 栄
Accuracy of the NAMS Sensors Installed at Semine
天井 治
第5回確率論的安全性評価および管理に関する国
長岡 栄
際会議(PSAM5)参加報告
陶山 貢市
2001.1
ICAO RVSM Task Force Meeting
2001.1
日本信頼性学会誌
2001.2
CNS/ATM シンポジウム パネルディスカ
(東京商船大)
天井 治
佐藤 吉信
(東京商船大)
ATM と機上装置 ASAS
小瀬木 滋
ッション
−82−
題 目
発 表 者
発表年月
発表機関または誌名
NAMS 高度モニタリングシステム
長岡 栄
2001.2
航空振興財団
−瀬峰における飛行実験結果−
天井 治
国際航空交通流管理手法の研究
福田 豊
2001.2
第2回 CNS/ATM シンポジウム パネル
ディスカッション
航空交通,電気工学ハンドブック,38 編4章
長岡 栄
2001.2
電気学会編
電波応用,電気工学ハンドブック,35 編8章
長岡 栄
2001.2
電気学会編
欧州 Galileo システムについて
坂井 丈泰
2001.3
航空振興財団 全天候航法方式小委員会
平成 12 年度報告書
「ナンバー・ナインティーン・プロブレム」と呼
福島荘之介
2001.3
航空無線 2001 年 春期号
福島 幸子
2001.3
電子情報通信学会総合大会
2001.3
電子情報通信学会総合大会
2001.3
電子情報通信学会総合大会
2001.3
航空振興財団 航空保安システム技術委員
ばれる GPS 衛星の故障
洋上経路への出発調整に関する一検討
井無田 貴
岡 恵
福田 豊
塩見 格一
GPS と新衛星航法システムの併用による効果
坂井 丈泰
伊藤 憲
新美 賢治
惟村 和宣
ヘリコプタの障害物探知・衝突警報システム用ミ
山本 憲夫
リ波レーダの試作
山田 公男
NAMS 高度モニタリングシステム
長岡 栄
−瀬峰における飛行実験結果−
天井 治
GPS を装備した航空機の航法精度の評価
天井 治
会報告書
2001.3
長岡 栄
航空振興財団 航空保安システム技術委員
会報告書
航空交通管理シミュレーション実験と信頼性
東福寺則保
2001.3
日本信頼性学会誌
運輸研究交流事業報告
惟村 和宣
2001.3
国土交通省 航空局無線課
Introduction of Airport Vehicle Positioning System
藤井 直樹
2001.3
ICAOGNSSP-WG/B, Banff, Canada,
in Japan
二瓶 子朗
田中 修一
河合 良則
(航空局)
−83−
March, 2001
題 目
Results of GBAS Preliminary Flight Trial in Japan
発 表 者
発表年月
藤井 直樹
2001.3
福島荘之介
齊藤 真二
河合 良則
(航空局)
−84−
発表機関または誌名
ICAOGNSSP-WG/B, Banff, Canada,
March, 2001
10
a
工業所有権
特許権
発 明 の 名 称
全方向式無線方位方式
発 明 者
出願年月日
登録番号
登録年月日
田中 修一 二瓶 子朗
57.5.17
1487245
元.3.23
57.11.12
1500115
元.6.28
57.5.17
1540108
2.1.31
58.12.20
1599149
3.1.31
60.5.9
1613239
3.8.15
山本 憲夫
一方向測距装置
田中 修一 二瓶 子朗
山本 憲夫
一方向測距装置
田中 修一
VOR 受信装置
田中 修一 二瓶 子朗
SSR 方式による航空機識別装置
石橋 寅雄
DSB 方式ドップラー VOR モニタ方法
田中 修一 二瓶 子朗
62.10.29
1731867
5.2.17
アンテナ故障検知装置
田中 修一 長岡 政四
63.1.13
1739963
5.3.15
併設用空中線装置
横山 尚志 田嶋 裕久
62.5.12
1778682
5.8.13
藤井 直樹 長谷川英雄
レーダ信号伝送方式とその送受信装置
加来 信之
63.12.6
1778723
5.8.13
電子ゴニオメータ
田中 修一
61.10.23
1791791
5.10.14
信号発生器
田中 修一 二瓶 子朗
元.12.11
1813658
6.1.18
対波周期ダイポールアンテナを用いた ILS ロー
石橋 寅雄
61.4.9
1828295
6.3.15
移動目標信号伝送方式とその送受信装置
加来 信之
元.2.9
1838414
6.4.25
電子走査アンテナ故障検知方式
横山 尚志 田嶋 裕久
元.2.9
1875585
6.10.7
カライザーのモニター装置
藤井 直樹 長谷川英雄
レーダの偽像抑制装置
水城南海男
58.4.6
1917847
7.4.7
ドップラー VOR のアンテナ切換給電方法
二瓶 子朗 田中 修一
2.3.16
1928084
7.5.12
二次レーダによる航空機の識別方法およびその
石橋 寅雄
元.11.20
2517848
8.5.17
装置
二次レーダの応答信号識別方法
塩見 格一 石橋 寅雄
元.3.29
2053799
8.5.23
航空機,車輌の応答信号識別方法およびその装置
塩見 格一 石橋 寅雄
4.2.3
2600093
9.1.29
空港面における航空機識別方法およびその航空機
加来 信之 塩見 格一
4.12.4
2600098
9.1.29
魚眼レンズを用いた測位方法およびその装置
塩見 格一
4.6.11
2611173
9.2.27
被管制対象監視システム
塩見 格一 (株)東芝
6.3.11
2619217
9.3.11
シークラッタ抑圧方法
渡辺 泰夫 水城南海男 5.5.27
2653747
9.5.23
加来 信之 北舘 勝彦
7.6.23
2666891
9.6.27
塩見 格一 (株)東芝
6.5.18
2675752
9.7.18
惟村 和宣 松本 千秋
6.3.4
2681029
9.8.1
自動識別装置
日本無線(株)
空港面における航空機識別方法およびその識別
装置
飛行場運航票管理システムのユーザインターフ
ェース装置
GPS 信号による位置決定方法およびその装置
朝倉 道弘
被管制対象監視システム 外国出願:アメリカ
塩見 格一 (株)東芝
7.3.9
5,677,841
9.10.14
飛行場運航票管理システムのユーザインターフ
塩見 格一 (株)東芝
7.5.18
680365
9.11.13
ェース装置(PCT 出願:オーストラリア)
−85−
発 明 の 名 称
発 明 者
出願年月日
登録番号
登録年月日
被管制対象監視システム
塩見 格一 (株)東芝
7.2.23
2763272
10.3.27
ターミナル管制用管制卓の航空機位置表示装置
塩見 格一 沖電気工業(株)
8.6.13
2763521
10.3.27
ターミナル管制用管制卓における管制指示値入
塩見 格一 沖電気工業(株)
8.6.13
2763522
10.3.27
被管制対象監視システム
塩見 格一 (株)東芝
6.3.11
2777328
10.5.1
被管制対象監視システム 外国出願:カナダ
塩見 格一 (株)東芝
7.3.9
2,144,291
10.5.26
航空機管制支援システム
塩見 格一 (株)東芝
8.3.29
2801883
10.7.10
飛行場運航票管理システムのユーザインターフ
塩見 格一 (株)東芝
7.5.18
2295472
10.7.22
被管制対象監視システム
塩見 格一 (株)東芝
6.3.11
2854799
10.11.20
熱交換器
田嶋 裕久
7.12.19
2852412
10.11.20
誤目標の抑圧方法およびその装置
加来 信之 北舘 勝彦
8.11.11
2884071
11.2.12
滑走路予約システム
塩見 格一 (株)東芝 9.6.9
2892336
11.2.26
力方法
ェース装置(PCT 出願:イギリス)
沖電気工業(株)
ターミナル管制用管制卓の航空機位置表示方法
塩見 格一 沖電気工業(株)
8.6.13
2907328
11.4.2
滑走路予約システム 外国出願:イギリス
塩見 格一 (株)東芝
10.6.5
2327517
11.7.28
沖電気工業(株)
航空機管制支援システム 外国出願:アメリカ
塩見 格一 (株)東芝
9.3.28
5941929
11.8.24
航空機搭載レーダによる着陸方法及びその装置
長谷川英雄 田嶋 裕久
7.12.11
2979133
11.9.17
SSR 装置及び航空機二次監視網
塩見 格一 (株)東芝
10.10.30
2991710
11.10.15
マルチバンドレーダの信号処理方法
水城南海男 日本無線(株)
5.5.27
3002738
11.11.19
ターミナル管制用管制卓における航空機の順序
塩見 格一 沖電気工業(株)
8.10.24
3013985
11.12.17
9.3.26
3017956
11.12.24
位置付けのためのユーザーインタフェース装置
飛行場管制支援システム
塩見 格一 (株)東芝
沖電気工業(株)
航空管制情報統合表示装置
佐藤 裕喜 山崎 俊一
7.4.3
3030329
12.2.10
管制用通信システム
塩見 格一 (株)東芝
10.12.18
3041284
12.3.3
受動型 SSR 装置
塩見 格一 (株)東芝
10.10.30
3041278
12.3.3
滑走路予約システム 外国出願:オーストラリア
塩見 格一 (株)東芝
10.6.5
713823
12.3.23
10.7.31
1075354
12.4.7
9.6.5
3054685
12.4.14
沖電気工業(株)
空港管制用操作卓 意匠登録
塩見 格一 (株)東芝
地形表示機能を備えた搭載用航法装置
田中 修一 二瓶子朗
フェイズドアレイアンテナの位相器の故障箇所の検出方法及
田嶋 裕久
7.12.19
3060002
12.4.28
塩見 格一 沖電気工業(株)
10.2.24
6064939
12.5.16
10.7.31
1
12.6.16
7.9.28
3081883
12.6.30
11.12.17
3086828
12.7.14
びフェイズドアレイアンテナの給電系の移相誤差の検出方法
自動従属監視環境下における進入管制区航空機
個別誘導システム:アメリカ
(株)東芝
空港管制用操作卓 類似意匠登録
塩見 格一 (株)東芝
移動体の自動従属監視方法およびその装置
田中 修一 二瓶子朗
飛行場管制支援システム
塩見 格一 (株)東芝
レーダ受信画像信号のクラッタ抑圧方法及び装置
加来 信之 東京電機大学
11.4.8
3091880
12.7.28
飛行場管制支援システム:アメリカ
塩見 格一 (株)東芝
10.3.25
6144915
12.11.7
10.10.5
3151489
13.1.26
9.3.27
2201256
13.2.6
沖電気工業(株)
音声による疲労・居眠り検知装置及び記録媒体
塩見 格一 オージス総研(株)
航空機管制支援システム:カナダ
塩見 格一 (株)東芝
−86−
s
出願中の特許
発 明 者
発 明 の 名 称
出願年月日
出願番号
被管制対象監視システム(外国出願:欧州特許庁)
塩見 格一 (株)東芝
7.3.8
95103343,0
飛行場運航票管理システムのユーザインタフェース装置
塩見 格一 (株)東芝
7.5.18
2,167,516
マルチバンドレーダ装置並びにこれに適する方法及び回路
水城南海男 日本無線(株)
8.12.5
8-325628
空港面監視装置
加来 信之 北舘 勝彦
8.12.12
8-332394
9.2.7
9-40072
PCT 出願:カナダ
三菱電機(株)
時分割多重アクセス通信方法およびこの方法を用いた複数の
田中 修一 北舘 勝彦
移動体の自動従属監視方法およびその装置
加来 信之 二瓶 子朗
航空機管制支援システム(外国出願:カナダ)
塩見 格一 (株)東芝
9.3.27
2,201,256
地形表示機能を有する航法用機器
田中 修一 二瓶 子朗
9.6.5
9-163395
航空交通シミュレータ
塩見 格一 (株)CRC総合研究所
9.12.22
9-353463
自動従属監視環境下における進入管制区航空機個別誘導シス
塩見 格一 沖電気工業(株)
10.2.26
6160/1998
10.6.4
10-172173
10.6.4
10-172174
(株)東芝
テム(外国出願:韓国)
田中 修一 二瓶 子朗
無線通信ネットワークシステム
クラリオン(株)
田中 修一 二瓶 子朗
無線ネットワークを使用した移動体測位システム
クラリオン(株)
滑走路予約システム(外国出願:カナダ)
塩見 格一 (株)東芝
10.6.8
2,239,967
滑走路予約システム(外国出願:アメリカ)
塩見 格一 (株)東芝
10.6.9
09/092,642
管制通信発出システム
塩見 格一 (株)東芝
11.3.19
11-74940
飛行場運航票管理システムのユーザインタフェース装置
塩見 格一 (株)東芝
11.6.10
09/329,293
航空機等の進入コースの変動を防止する積層構造体
横山 尚志
11.9.17
11-262815
受動型 SSR 装置(PCT 出願:欧州特許庁)
塩見 格一 (株)東芝
11.10.29
99951156,1
受動型 SSR 装置(PCT 出願:アメリカ)
塩見 格一 (株)東芝
11.10.29
09/609,056
SSR 装置及び航空機二次監視網(PCT 出願:アメリカ)
塩見 格一 (株)東芝
11.10.29
09/609,174
SSR 装置及び航空機二次監視網(PCT 出願:欧州特許庁)
塩見 格一 (株)東芝
11.10.29
99951157,9
受動型 SSR 装置
塩見 格一 (株)東芝
11.11.10
11-319945
航空管制用ヒューマン・マシン・インターフェース装置
塩見 格一 沖電気工業(株)
11.12.7
11-347123
(PCT 出願:アメリカ)
(株)東芝
管制装置システム
塩見 格一 日本電気(株)
11.12.8
11-348349
ターゲット選択操作装置
塩見 格一 (株)東芝
12.3.24
2000-083786
CPDLC メッセージ作成方式
塩見 格一 沖電気工業(株)
12.3.30
2000-95320
航空管制用管制指示入力装置
塩見 格一 沖電気工業(株)
12.3.30
2000-92584
CPDLC/AIDC 共用管制卓及び同ヒューマン・インタフェース
塩見 格一 沖電気工業(株)
12.3.30
2000-95323
航空路管制用航空機順序・間隔付けヒューマン・インタフェ
塩見 格一 沖電気工業(株)
12.3.30
2000-95322
CPDLC メッセージ作成システム
塩見 格一 沖電気工業(株)
12.3.31
2000-95321
無線ネットワーク制御システム
二瓶 子朗 田中 修一
12.6.6
2000-169539
12.6.6
2000-169538
ース
クラリオン(株)
田中 修一 二瓶 子朗
無線ネットワーク観位システム
クラリオン(株)
−87−
発 明 者
発 明 の 名 称
GPS 及びその補強システムを用いた航法システムにおけるア
出願年月日
出願番号
福島荘之介
12.7.26
2000-225935
塩見 格一
12.10.19
09/691,126
12.11.13
2000-344734
12.11.13
2000-344733
12.12.7
09/731,583
ベイラビリティ取得方法及びその装置
音声による疲労・居眠り検知装置及び記録媒体
オージス総研(株)
(外国出願:アメリカ)
周辺移動局監視装置,及び周辺移動局監視装置を備えた無線
二瓶 子朗 田中 修一
ネットワークシステム
クラリオン(株)
複数チャンネルを利用した無線ネットワークシステム及びそ
田中 修一 二瓶 子朗
の制御装置
クラリオン(株)
管制装置システム(外国出願:アメリカ)
塩見 格一 日本電気(株)
−88−