平成25年度自家用電気工作物設置者及び電気主任技術者セミナー 説明資料 自家用電気工作物に関する 最近の関係法令、電気事故等について 平 成 2 6 年 3 月 関東東北産業保安監督部 電 力 安 全 課 1 目 次 第1章 自家用電気工作物の電気保安規制 第2章 自家用電気工作物の電気主任技術者 第3章 自家用電気工作物(関東地域)の平成24年度電気事故 第4章 自家用電気工作物(関東地域)の平成24年度立入検査 第5章 自家用電気工作物における不適切な事例 第6章 最近の法令等改正状況 第7章 その他 2 第1章 自家用電気工作物の 電気保安規制 3 1-1 電気工作物の分類 一般用電気工作物 事業用電気工作物 電気事業の用に供さないもの 電気事業の用に供するもの 発電所 1,476 ヶ所 1,807 発電所 〈 送電線路〉 50 万 V 級 27 万 V 級 送電 〈 送電線路〉 ( 送電線路及び配電線路 ) 大工場 電線路亘長 送電線路及び配電線路亘長 (架空)87,389km(地中)14,675km 94,124 km 〈 配電線路〉 配電 100 V/200V 3,199ヶ所 特別高圧 9,315軒 自家発 〈 配電線路 〉 小出力発電設備 工場、ビルディング 高圧 約77万軒 〈 配電線路〉 柱上変圧器 低圧 /約 8,348 万軒 自家発 配電用変電所 6000 V 級 住宅、商店、小工場 発電所 変電所数 6,554 ヶ所 6,697 変電所 6万 V 級 自家用電気工作物 配電線路亘長 (架空)125万km(地中)4万km H24年度末自家用電気工作物設置件数 約26万件(関東) / 85万件(全国) = 約31% 100 V/200V (平成24年版電気事業便覧等) 4 1-2 電気保安体系 一般用電気工作物 電気供給者 による補完 作 気 電 工 国の直接 監督 [第57条] (小出力発電設備を除く) 技術基準適合調査義務 技術基準の適合命令,国の立入検査 [第56条,第107条] (電気工事士法:電気工事士による工事義務) (電気工事業法:工事業者の登録,届出義務) (電気用品安全法:適合機械器具,材料の使用義務) 国の直接監督 (自家用電気工作物) (電気事業の用に供する電気工作物) 事業用電気工作物 自主保安体制 国が自主保安を補完 物 技術基準の適合維持義務 [第39条] 保安規程の作成,届出,遵守 [第42条] 主任技術者の選任,届出,外部委託 [第43条] 法定事業者検査 使用前自主検査[第50条の2] [第51条] 溶接事業者検査[第52条] 定期事業者検査[第55条] 安全管理審査 [第51条] 使用前安全管理審査[第50条の2] 溶接安全管理審査[第52条] 定期安全管理審査[第55条] 工事計画の認可,届出 [第47条,第48条] (認可は実質原子力発電所のみ) 自家用電気工作物の使用開始届出 [第53条] 使用前検査・定期検査 [第49条,第54条] (原子力発電所のみ) 事故,その他の報告義務 [第106条] 立入検査 [第107条] 技術基準適合命令,保安規程改善命令 [第40条,第42条] 電気工事士法により,自家用電気工作物(最大電力500kW未満 の需要設備)は,第一種電気工事士等による工事義務 電気工事業法により,自家用電気工作物(最大電力500kW未満 の需要設備)の工事を行う工事業者の登録,届出,通知義務 電気用品安全法により,適合機械器具,材料の使用義務 5 1-3 電気保安関係法令の適用イメージ 一般用電気工作物 600V以下で受電 小出力発電設備 電気事業法 自家用電気工作物 ※ 事業用電気工作物 自家用電気工作物 電気事業用電気工作物 600Vを超える電圧で受電 500kw未満の需要設備 電気供給者に対する一般電気 工作物調査義務(小出力発電設 備は除く) - 発電所、変電所、 送配電線路、500kw 以上の需要設備 ○工事計画届(受電電圧1万V以上の需要設備の新 設・受電用遮断器の取替など) ○使用前自主検査の実施、定期自主検査の実施 ○安全管理審査の受審 ○保安規程届○電気主任技術者選任○電気事故報告○技術基準維持義務 電気工事士 法 ○電気工事士でなければ電気 工事をしてはならない。 第1種電気工事士でなければ、自家用電気工 作物の工事をしてはならない。 - ○電気工事士は、電気設備技術基準を遵守しなければならない。 電気工事業 法 ○工事店に主任電気工事士を 置かなければならない ☆自家用電気工作物の工事のみを営む場合 は、国(県)に通知しなければならない。 ○工事店を登録しなければならない。(☆の場合を除く) ○電気工事士でない者に電気工事を行わせてはならない。 ○電気工事士に違法電気用品を使用させてはならない。 電気用品安 全法 ○電気工事士は、所定の表示 のない電気用品を使用してはな らない。 - ○自家用電気工作物設置者および電気事業者は、所定の表示のない電気用品を使用してはならない。 ○電気用品の製造又は輸入事業者(届出事業者)は、粗悪な電気用品を製造・輸入、販売してはならない。 ○届出事業者は、電気用品が電気用品技術基準に適合することを確認しなければならない。 ○届出事業者及び販売事業者は、所定の表示が付された電気用品でなければ販売してはならない。 ※電気事業法と電気工事士法における「自家用電気工作物」の定義の違いに注意 電気工事士講習テキストを参考に作成 6 1-4 自家用電気工作物とは 電気事業法第38条4項 この法律において「自家用電気工作物」とは、電気事業のように供する電気工作物 及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。 具体的には? ・他の者(電力会社等)から600Vを超える電圧で受電している ・構外にわたる電線路を有している ・構内に小出力発電設備以外の発電設備が設置されている 【小出力発電設備とは】 出力50kW未満の太陽電池発電設備 出力20kW未満の風力発電設備 出力20kW未満及び最大使用水量が1m3/s未満の水力発電設備(ダムを伴うものを除く。) 出力10kW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備 出力10kW未満の燃料電池発電設備(固体高分子型又は固体酸化物型のものであって、 燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MPa(液体燃料を通ずる部分にあっては、 1.0MPa)未満のものに限る。) ・火薬類取締法に規定する火薬類を製造する事業場に設置されている ・鉱山保安法施行規則の適用を受ける鉱山のうち、同令に規定する石炭鉱に設置 されている 7 1-5 自家用電気工作物に係る保安規制 設置者は、自らが自己責任のもとに電気の保安を確保する義務があり、電気事 業法の規定により次のことを行う必要がある。 条文 義務 概要 1 39 条 技術基準適合維持 設置者は、事業用電気工作物を経済産業省令で 定める技術基準に適合するように維持する 2 42 条 保安規程の制定、 届出、遵守 設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及 び運用に関する保安を確保するために保安規程 を定め、経済産業大臣に届け出ること。また、 設置者及びその従業者は、保安規程を守る 3 43 条 主任技術者の選任、 届出 設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及 び運用に関する保安の監督をさせるために主任 技術者を選任し、経済産業大臣に届け出る ※主任技術者のうち、電気主任技術者は全ての事業用電気工作物について選任しなければならないが、加えて、 一定の水力発電所についてはダム水路主任技術者を、一定の火力発電所についてはボイラー・タービン主任技 術者を選任する必要がある。 ※このほか、電気事故が発生した場合は事故報告、廃止した場合は廃止報告、受電電圧1万V以上の需要設備、 ばい煙発生施設等を設置する場合は工事計画の事前届出等を行う必要がある。 8 1-6 保安規程 1 保安規程の役割 (1)設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、 保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を 定め、当該組織における事業用電気工作物の使用等の開始前に、経済産業大臣 に届け出なければならない。(電気事業法第42条第1項) (2)設置者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。(同条第4項) 2 保安規程に定めるべき事項 (1)保安規程には次の事項について定める必要がある。(施行規則第50条第3項) ①電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。 ②電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。 ③電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。 ④電気工作物の運転又は操作に関すること。 ⑤発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。 ⑥災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。 ⑦電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。 ⑧電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。 ⑨その他事業用工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。 9 1-7 電気主任技術者 1.事業用電気工作物の設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に 関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者を選任し、その旨を経済産 大臣に届け出なければならない。 (電気事業法第43条第1項、3項) 2. 電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安 の監督の職務を誠実に行わなければならない。 (同条第4項) 3. 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、電気主任技術者 がその保安のためにする指示に従わなければならない。 (同条第5項) ★ 事業用電気工作物の保安を確保するために設置者が定めるルール が保安規程であり、そのルールに則って保安の監督の業務を行う者が 電気主任技術者である。 10 1-8 使用前自主検査と安全管理審査 電気事業法第51条 第48条第1項の規定による届出(工事計画届)をして設置又は変更の工事をする事業用電 気工作物であって、経済産業省令で定めるものを設置する者は、経済産業省令で定めるとこ ろによりその使用開始前に、当該事業電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録 し、これを保存しなければならない。 2 使用目自主検査においては、その事業用電気工作物が次の各号のいずれにも適合してい ることを確認しなければならない。 一 その工事が第48条第1項の規定による届けをした工事の計画に従って行われたもので あること。 二 第39条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合するものであること。 ※使用前自主検査の方法については、「電気事業法施行規則第73条の4に定める使用前自主検査の方 法の解釈」(平成24年11月30日付け20121122商局第3号(最終改正 平成25年3月14日))に規定さ れている。 3 使用前自主検査を行う事業用電気工作物を設置する者は、使用前自主検査の実施 に係る体制について、経済産業省令で定める時期に・・・審査を受けなければならない。 4 前項の審査は、事業電気工作物の安全管理を旨として、使用前自主検査に係る組織、検査 の方法、工程の管理その他経済産業省令で定める事項について行う。 ※安全管理審査の実施要領については、「使用前・定期安全管理審査実施要領(内規)」 (平成24年9月19日付け20120919商局第67号(最終改正 平成25年7月8日))に規定されている。 ※上記内規は当部の電気保安のホームページよりご覧なれます。 11 第2章 自家用電気工作物の 電気主任技術者 12 2-1 電気主任技術者の免状の種類と監督範囲 免状の種類 保安監督することができる範囲 第1種電気主任 技術者免状 事業用電気工作物の工事、維持運用 第2種電気主任 技術者免状 電圧17万V未満の事業用電気工作物の工事維持運用 第3種電気主任 技術者免状 電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所を除く) の工事維持運用 13 2-2 電気主任技術者の選任形態 自家用電気工作物の電気主任技術者の選任形態は、事業場単 位で次の4種類に区分 (1)選任届出(法第43条第1項) (2)選任許可(法第43条第2項) (3)兼任承認(施行規則第52条第3項ただし書き) (4)外部委託承認(施行規則第52条第2項) 14 2-3 自家用電気工作物に係る主任技術者の選任形態 自家用電気工作物の電気主任技術者の選任形態は、事業場単位で次の4種類に区分 需要設備の最大電力 選任形態 主な条件 100kW未満 100kW以上 500kW未満 500kW以上 2000kW未満 2000kW以上 電気主任技術 者免状 ○ ○ ○ ○ 第1種電気工事 士又は認定校 卒 ○ ○ × × 第2種電気工事 士等 ○ × × × 兼任 電気主任技術 者免状 ○ ○ ○ × 外部委託 承認 保安業務委託 ○ ○ ○ ○ 専任 選任許可 ※外部委託については、電圧7千V以下で受電するものに限る ※発電所、配電所等は、それぞれの選任形態により設備規模の上限が異なる 15 2-4 選任届出(電験有資格者を1事業場に) 「選任届出」とは、原則として、自家用電気工作物である事業場に、そこに常時勤務している 電気主任技術者免状の有資格者を選任する形態。 監督する事業場が掛け持ちの事業場ではないため、「専任」ともいう。 選任の手続き 設置者は、選任後に遅滞なく「主任技術者選任又は解任届出書」を提出。 選任の時期 事業場新設の場合 人事異動等の場合 設置者変更の場合 工事計画の策定に関与するときまでに 前任者の解任と同時に 譲り受けたと同時に 必要な資格 必要な免状の種別は、概ね次のとおり。 第3種電気主任技術者免状・・・6kV受電、22kV受電 第2種電気主任技術者免状・・・66kV受電、 154kV受電 第1種電気主任技術者免状・・・275kV受電 16 2-5 選任許可(免状がない者を1事業場に) 「選任許可」とは、自家用電気工作物である事業場に、そこに常時勤務している電気主任技 術者免状を有していない者を選任することの許可を受けた形態。 選任の手続き 設置者は、「主任技術者選任許可申請書」を提出。 選任の時期 事業場新設の場合 人事異動等の場合 設置者変更の場合 工事計画の策定に関与するときまでに 前任者の解任と同時に 譲り受けたと同時に 許可条件 必要な資格は、概ね次のとおり。 第2種電気工事士免状等・・・・・・・・・・・最大電力100kW未満 第1種電気工事士免状、電験認定校卒業等・・・最大電力500kW未満 標準処理期間 申請書を受理してから2週間 17 2-6 兼任承認(電験有資格者を複数事業場に) 「兼任承認」とは、自家用電気工作物である事業場に、すでに別の事業場に選任している電 気主任技術者免状の有資格者を兼任させることの承認を受けた形態。 選任の手続き 設置者は、「主任技術者兼任承認申請書」を提出。 選任の時期 事業場新設の場合 人事異動等の場合 設置者変更の場合 工事計画の策定に関与するときまでに 前任者の解任と同時に 譲り受けたと同時に 承認条件 ・兼任しようとする事業場の最大電力が2,000kW未満 ・到達時間が2時間以内 ・兼任しようとする事業場の数が5カ所以内 等 標準処理期間 申請書を受理してから2週間 18 2-7 外部委託承認(委託して選任しない事業場) 「外部委託承認」とは、中小規模の自家用電気工作物である事業場に、保安管理業務を所 定の条件を満たす外部の法人(電気保安法人)又は個人(電気管理技術者)に委託して、自ら の役員や従業員等から電気主任技術者を選任をしないことの承認を受けた形態。 選任の手続き 設置者は委託契約を締結し、「保安管理業務外部委託承認申請書」を提出。 選任の時期(=契約開始日) 事業場新設の場合 工事計画の策定に関与するときまでに 委託先変更の場合 前委託先の解約と同時に 設置者変更の場合 譲り受けたと同時に 外部委託承認を受けることができる事業場 ・電圧7,000V以下で受電する需要設備 ・出力2,000kW未満の発電所(※太陽電池、風力、水力、火力) ・出力1,000kW未満の発電所(上記に掲げる発電所を除く) ・電圧600V以下の配電線路を管理する事業場 標準処理期間 申請書を受理してから2週間 19 第3章 自家用電気工作物(関東地域)の 平成24年度電気事故 20 3-1.管内自家用電気工作物における電気事故件数の推移 過去10年間の電気事故件数の推移 種別 年度 感電・アーク等 による死傷 電気火災 主要電気工作物 の破損 波及事故 計 平成 15 39(40) 29 9 139 216 平成 16 17(18) 4 14 162 197 平成 17 20(21) 4 14 127 165 平成 18 31(34) 3 10 140 182 平成 19 22(25) 3 18 129 171 平成 20 30(31) 2 15 166 213 平成 21 19(19) 2 17 110 148 平成 22 27(29) 2 36 148 208 平成 23 18(19) 1 26 111 155 平成 24 12(12) 5 22 133 172 (注)1.発電所における事故件数も含む。 2.表の数字は事故件数であって、( )内は被害者数である。 3.件数は、発生日ベースであり、電気関係報告規則に基づき報告されたもの。以降同じ。 4.1件の事故が複数の種別にまたがる場合、計は1件で計上。 5.平成16年以降の感電・アーク等による死傷は入院加療を伴うもの、電気火災は建物の床面積の半焼(20%) 以上を伴うものに報告対象が限定されるなど、電気関係報告規則が改正されたため、統計的連続性はない。 21 3-2.平成24年度の電気事故について 平成24年度の電気事故件数 事故の種類 供給支障 感電 死傷 事故発生 場所 有 無 電気工作物の 破損等 (アーク等) による死傷 有 無 電気火災 有 無 主要電気工 作物の破損 有 無 波及 事故 有 事故総件数 有 20 発電所 無 計 20 20 変電所 架空送電線路 受変電設備で発生した事故は人身事故全体の約75% 特高配電線路 引込線等で発生した事故は波及事故全体の約85% 需要設備 高圧配電線路 引込線等 受変電設備 7 負荷設備 合計 うち死亡事故2件発生 1 113 113 2 115 2 1 1 20 20 11 31 2 4 6 6 4 5 39 172 1 8 (注)「供給支障」欄の「有」は波及事故を伴う事故である。 22 133 133 電気事故全体の約77% 22 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故の被害箇所と原因 事故の原因 事故の被害箇所 23 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故(自然劣化) 自然劣化によるもの 計72件 ※自然劣化とは、製作、施工等に特に欠陥がなかったにもかかわ らず、電気工作物の材質、機構等に経年による劣化を生じたもの (内訳) 地中引込ケーブル 上記以外 61件 11件 24 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(自然劣化) <事例1> 敷設後23年経過した引込みケー ブルが経年劣化により絶縁破壊を 起こし、波及事故に至った。なお、 ハンドホール内に水が溜まってい た状況から水トリーと推測。 <事例2> 敷設後18年経過したPGSのブッシ ング部に亀裂が入り、その後亀裂部 からガスが漏れ、内部の絶縁低下が 促進され、波及事故に至ったと推測。 ハンドホール内に水が溜っている 事故点 亀裂 25 3-3.波及事故 波及事故(自然劣化)における引き込ケーブル・G付PAS等の製造年数 (平成18~24年度) 26 3-3.波及事故 自然劣化による波及事故の防止対策 設備の更新 設備管理台帳 設置者に劣化した設備を放置すると、波及事故を起こす可能 性が高くなることを伝え、電気設備に関する設備投資計画の策 定を促し、早めの設備更新を推奨して下さい。 ケーブル 設備管理台帳 設備管理台帳 高圧ケーブル ・年次点検において、劣化状態を確認 (a) 絶縁体抵抗測定(ケーブル単体で測定する場合) → 1,000~2,000Vメガーによる測定 (注意値:絶縁体2,000MΩ未満、シース1MΩ未満) (b) G端子接地方式(他の高圧機器を含む電路と一括測定の場合) → 5,000Vメガーによる測定 (注意値:5,000MΩ未満、不良:500MΩ未満、シース1MΩ未満) 製造会社 型式 製造年月 ○○製作所 ABC-DEF 1998.1. H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000 1,000 [MΩ] 2,000 ・水トリー防止ケーブル(E-Eタイプ)の採用 PAS 1,000 ・年次点検において、劣化状態を確認 (a)制御線と接地線間の絶縁抵抗測定 (b)Va~Vc間の線間抵抗値の測定 測定した記録を設備管理台帳で管理 27 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故(雷) 雷によるもの 計22件 ※雷とは、直撃雷又は誘導雷によるもの (内訳) PAS 上記以外 19件 3件 28 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(雷) <事例1> 通信会社(携帯電話)のアンテナに 落雷し、東京電力の配電線を通じて誘 導雷を受けたPAS(2005年製LA無し) が相間短絡により焼損し、波及事故に 至った。 PAS内部は相間短絡に より焼損している。 29 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故(作業者の過失) 作業者の過失によるもの 計16件 ※作業者(自社又は自社の工事請負者の命を受けて作業に従 事している者をいう。)の過失によるもの (内訳) 地中引込みケーブル 7件 PAS 4件 その他 5件 30 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(作業者の過失) <事例1> 旧設置者が自家用の廃止に係る手続きを 行っていたものの、当該設置者は電力会社 からの受電状態で当該物件を購入し、当該 ビルの解体工事を行ったところ、作業者が 誤って当該ケーブルを切断したため、波及事 故に至った。 <事例2> 年次点検において一連の試験を終了後、 短絡接地器具を取り外さない状態で、PAS を投入したため、波及事故に至った。 LBS一次側 短絡接地器具取付箇所 31 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(作業者の過失) P1:白 P2:黒 +接地線 32 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(作業者の過失) ① ② • VTからの電源線をSOG制御装置に取り付け(誤接続①) • PAS投入 • 方向性SOG電源表示不点灯及び電圧低下 ・主任技術者は事故が起こるまで誤接続 • PAS開放 に気がつかなかった。 ・誤接続者は主任技術者の補助者で先 • ①の電源線を取り外し 輩だったため、信頼していた。 ③ • SOG制御装置の電源をTr負荷(200V)側から供給させ、PASを投入(誤接続②) • SOG連動試験実施→PASを開放 ・誤接続者は長年の経験で「確認」を 怠っていた。 ④ • DS投入後PASを投入(復電) • PASが爆発、発火→波及に至る 33 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故(保守不完全) 保守不完全によるもの 計7件 ※保守不完全とは、巡視、点検、手入れ等の保守に不備があったも の (内訳) 電線 上記以外 2件 5件 34 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(保守不完全) <事例1> LBSの経年使用により絶縁物沿面に堆 積した塵埃等が経年的に吸湿を繰り返し たことで、絶縁抵抗が低下し、波及事故に 至ったと推測。なお、当該LBSについては、 従前から年次点検、月次点検の際に更新 を促されていたところ。 溶痕 LBSの上部碍子の様子 <事例2> 高圧縁回し線のたるみが大きかったため、 R-S相間が短絡し、波及事故に至った。な お、当該事業場においては主任技術者が 未選任で定期的な点検等が実施されてお らず、事前に改修等の措置を講じることが できなかった。 35 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故(鳥獣接触) 鳥獣接触によるもの 計7件 ※ねこ、ねずみ、へび、又は鳥獣の接触、営巣等によるもの (内訳) LBS 7件 36 3-3.波及事故 平成24年度の波及事故例(鳥獣接触) <事例1> 低圧幹線用配管のシール材を食い破って侵入したネズミが高圧交流負荷開閉器 (LBS)本体に触れ短絡し、波及事故に至った。 ヒューズホルダーとヒューズに3相で 溶解痕があり、ネズミが三相同時に 接触し短絡したものと推測。 ハンドホールからキュービクルへの低圧幹 線用配管のシール材が食い破られていた。 37 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策(まとめ) 波及事故は、事故点となった需要家のみならず、 その配電線に接続されている住宅、ビル、工場、 病院、交通機関等を含む広い範囲を停電させ、 多大な被害を与える恐れがあります。 それぞれの設置者の電気工作物等を保守・点検さ れております電気主任技術者の皆様におかれまして は、設置者に対して、波及事故による社会的な影響 の大きさを伝えていただきますとともに、事故防止対 策に必要な措置を講じていただきますよう、お願いい たします。 38 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例①~G付PAS、UGSの取付~ ・受電点に設置することをお願いします。 <架空線で受電する場合> <地中線で受電する場合> ・高経年設備については、お早目の更新をお願いします。 <高圧設備の各機器の更新推奨時期(単位:年)> 高圧気中 負荷開閉 器 高圧CV ケーブル 高圧真空 遮断器 高圧交流 負荷開閉 器 変圧器 高圧進相 コンデンサ その他の 高圧機器 15~20 20~25 20~25 20~25 25~30 20~25 25~30 ※出典:2006年版 自家用電気工作物保安管理規程表240-1より 39 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例②~高圧ケーブルの更新と選定~ ・地中埋設等、水の影響を受ける恐れのある施設に敷設する場合には、 E-Eタイプの選定。 40 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例③ ~避雷器の設置~ ・外付けの場合、地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器の負荷側直近に「避雷器」の 設置。 ・避雷器内蔵型地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器も有効。 雷による波及事故があった事業場の避雷器の設置状況 避雷器の有無と 位置 避雷器あり PAS内蔵 外付け(直近) 避雷器なし 電気室内 合計 平成20年度 1 0 13 39 53 平成21年度 1 0 1 16 18 平成22年度 1 3 15 21 40 平成23年度 2 1 4 13 20 平成24年度 3 0 0 19 22 合計 8 4 33 108 153 5.2 2.6 21.6 70.6 割合(%) 41 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例④ ~風雨の侵入対策~ ・キュービクル前面の換気口に防噴流対策板や水平水切板を設置。 ・下駄基礎で設置されている場合は、遮風板等を設置。 <雨の侵入対策例> 42 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例⑤ ~小動物の侵入対策~ ・小動物の侵入する恐れのある穴・隙間はシール材やパンチングメタル等 で塞ぐ。 ・LBS等の高圧充電部には、絶縁バリアや防護カバーの取付。 43 3-3.波及事故 波及事故に対する防止対策例⑥ ~ケーブルの埋設位置の表示~ ・高圧ケーブルの埋設されている場所には、標柱・ 標石の設置 ケーブル標識シート 危険注意 この下に高圧電力ケーブルあり ・高圧ケーブル埋設上部には、ケーブル標識シート を敷設 標柱又は標石 ・電気主任技術者の皆様は点検等で訪問した際、設 置者に対し予定されている工事を確認してください。 高圧ケーブル付近で掘削工事等がある場合は、設 置者や工事業者等との打合せを十分に行い、その 工事の立会いをしてください。 44 3-4.電気火災事故 45 3-4.電気火災事故 平成24年度の電気火災事故 電気火災事故 計5件 (内訳) 低圧屋内コンセント 上記以外 2件 3件 46 3-4.電気火災事故 平成24年度の電気火災事故例 <事例1> 敷設後40年経過した低圧進相コンデンサより出火し、建物が全焼した。 なお、出火の原因は当該機器の経年劣化と推定される。 焼失した建物の様子 事故発生原因の低圧進相コンデンサ 47 3-5.感電・アーク等による死傷事故 48 3-5.感電・アーク等による死傷事故 平成24年度の感電・アーク等による死傷事故 感電死傷事故及び電気工作物の破壊等 (アーク等)による死傷事故 計12件 (内訳) 月次・年次点検中 電気設備における工事・作業中 上記以外 1件 7件 4件 49 3-5.感電・アーク等による死傷事故 月別感電・アーク等による死傷事故件数① <月別感電・アーク等による死傷事故件数> 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計 平成22年度 2 1 3 6 5 3 3 4 0 0 0 0 27 平成23年度 1 0 1 2 1 1 2 4 4 1 1 0 18 平成24年度 1 1 0 0 4 1 1 0 0 0 1 3 12 合計 4 2 4 8 10 5 6 8 4 1 2 3 57 <月別感電による死亡事故件数> 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計 平成22年度 0 0 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 5 平成23年度 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2 平成24年度 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 合計 1 0 1 1 2 2 1 0 0 1 0 0 9 50 3-5.感電・アーク等による死傷事故 月別感電・アーク等による死傷事故件数② 7 6 5 4 死亡事故3年合計 平成22年度 件数 平成23年度 3 平成24年度 2 1 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 51 3-5.感電・アーク等による死傷事故 感電等死傷事故の電圧別発生件数① 52 3-5.感電・アーク等による死傷事故 感電等による被害者と被害箇所(平成18~24年度) 電気関係 作業者以 外 主任技術 者等 電気保守 作業員 電気工事関 係 1:主任技術者とは、主任技術者及び電気保安法人の保 安業務担当者及び電気管理技術者を指す。 2:電気関係作業者以外の作業者には、製造部門の工員 や事務員等を含む。 53 3-5.感電・アーク等による死傷事故 事例1(年次点検中の事故) 平成24年4月(年次点検中の感電事故) 受電電圧:66kV 業種:製造業 主任技術者:選任 事故発生電気工作物:ガス絶縁開閉装置(66kV) 被災者:電気関係作業者(31歳)第2種電気工事士 作業経験年数10年 感電死亡【全身火傷】 【概要】 年次点検作業に伴い、停電中の午前中に碍子部清掃作業を実施した。 作業計画に基づき午後から受電を開始した。 被災者Aは別の作業員からGISの碍子部に汚れが残っていると指摘 を受けて、午後から被災者Bと一緒に汚れを拭き取る作業を行うべ くGIS天板に上がり清掃作業を開始したところ、両者とも感電し、 被災者Aは感電の衝撃で地表面へ転落し死亡、被災者Bは顔頬の火 傷を負った。 (両被災者の服装:作業服・ヘルメット・安全靴・ゴム手袋) 【原因:作業方法不良】 被災者は午後から受電することを事前の打ち合わせで理解していた が、作業時は通電していることを確認せずに清掃作業を行なった。 【対策】 ・受電中に作業を実施する場合には、受電ユニットにトラロープを 張るとともに立入禁止の標識を取付けることで注意喚起する。 ・作業時は電気主任技術者が立会い、充電状態を確認する。 ・受電を実施する際は、全作業員を特高受電所から引き上げて、受 電を周知徹底させる。 電圧66,000V 感電 特高受電所 1号GIS碍子 約3m 転落 54 3-5.感電・アーク等による死傷事故 事例2(電気機器の工事・作業中の事故) 平成25年3月(電気機器の工事・作業中の事故) 受電電圧:6.6kV 業種:娯楽業 主任技術者:外部委託 事故発生電気工作物:VT一次側ヒューズ(6.6kV) 被災者:電気主任技術者(63歳) 第3種電気主任技術者、第1種電気工事士 作業経験年数20年 感電負傷【右肩、頭部、背部及び右手指電撃傷】 取り外された防護板 【概要】 定期点検において、低圧幹線ケーブルの絶縁不良が判明したため、引替工事を実施してい たところ。 事故当日の作業前ミーティングで、被災者と係員にてキュービクル内への通線及び結線作 業を実施することを打合せた。 係員はキュービクルより30m程離れた接続箱で結線作業を、被災者はキュービクルへの 通線作業を開始した。 その後、被災者はキュービクルの高圧側側面扉を開け、防護板3枚のうち最下部を取り外 し、体を入れた際、頭部がVT1次側ヒューズ端子部に触れて感電した。 (被災者の服装:作業着、安全靴、素手) 【原因】 ・作業前に停電、検電、接地等の実施や、安全保護具(ヘルメット、手袋、ゴム長靴等) を着用すること等の作業手順を遵守しなかった。 ・被災者は電気主任技術者として、作業前に電気設備係員の作業範囲や作業手順を指示し たが、自らの作業内容については電気設備係員と意思疎通を図らないまま、作業を開始し てしまった。 ・被災者は、高電圧の危険性について認識していたにも関わらず、単独で充電中のキュー ビクル内へ入った。 後頭部が接触 【対策】 ・作業前KY活動を徹底させるとともに、マニュアルに基づく作業において、作業者間の 意思疎通を図る。 ・キュービクル内へ立ち入る必要があるときは、作業手順の遵守を再度徹底する。 55 3-5.感電・アーク等による死傷事故 事例3(電気機器の工事・作業中の事故) 平成25年9月(電気機器の工事・作業中の事故) 盤内の充電状況(イメージ図) 受電電圧:6.6kV 業種:自治体 主任技術者:自社選任 充電部(青線) 事故発生電気工作物:屋内高圧盤(常用線ブスバー)(6.6kV) 被災者:電気工事業者(2名) 作業者A(55歳)第1種電気工事士 作業経験年数32年 感電死亡 作業者B(43歳)電気関係等資格無し 作業経験年数22年 感電火傷 【概要】 当事業所は、電力会社から2回線(常用、予備)で受電をしている。PAS の移設工事に伴い、ケーブルの切替え工事を行っており、事故当日は、電 気室の高圧盤にケーブルを接続する工事となっていた。 作業は、予備線高圧盤の引込みの端子にて、検電し放電を行い、予備線の 停電の確認は監督員および作業者の上司が行い、作業者A,Bに接続作業の 指示を行った。 作業者Aは、ケーブルの余長分を切断している際に、盤内の活線状態にあ る常用線ブスバーにケーブルが接触し感電した。 補助者であった作業者Bは、感電した作業者Aを経由して感電した。 (被災者の服装:長袖、長ズボン、安全靴及びヘルメット、繋ぎ込み作業 のため、手袋は外していた。) 予備線(停電中) 常用線(充電中) 【原因】 ・盤内に充電部があることが監督員を含め、周知徹底されていなかった。 【対策】 ・事故が発生した高圧盤と同構造の盤については、裏面・バリア等にプ レート、ステッカー等で注意喚起の掲示を行う。 ・現場状況に応じた特記仕様書を作成する。 ・保安規程の細則(電気工事に関する事項)の見直しを検討する。 (活線近接作業の原則禁止を徹底させる。) 56 3-5.感電・アーク等による死傷事故 事例4(その他の事故) 平成25年2月 受電電圧:6.6kV 業種:医療業 主任技術者:外部委託 事故発生電気工作物:VT(6.6kV) 被災者:一般従業員(46歳)電気関係資格無し、作業経験無し 感電負傷【頭部額裂傷、頭部額・左手薬指・左手小指火傷、左大腿部擦過 傷】 【概要】 自治体からPCB機器調査通知を受け、キュービクル内のPCB機器を被災者 と同僚2名で確認する作業を行なった。 目視にて、PCB機器(コンデンサ1台)が保管されていることを確認した が、他にも該当機器があるのではないかと思い、被災者は受電盤側面扉から キュービクル内に屈んだ状態で入った。 同僚が危険なので出てくるように声をかけたため、被災者がそのままの体勢 で扉の方向に向きを変えたところ、頭部額の左側上部がVTヒューズホル ダー部に触れ感電負傷した。 (被災者の服装:長袖ワイシャツ、セーター、スラックス、ゴムサンダル) 進入方向 【原因】 ・主任技術者に連絡せず、安易にキュービクル内に入ってしまった。 ・被災者はキュービクル内が危険であることの認識が無かった。 【対策】 ・確認するPCB機器の保管場所の変更を行い、充電部と隔離する。 ・キュービクルの扉を開ける必要が生じた場合は、事前に必ず主任技術者へ 連絡し立ち会いを依頼する。主任技術者の立ち会い無しでキュービクルの扉 を開けることは絶対にしない。 ・職員に対し電気安全講習会等を開催し、電気の危険性について職員に周知 する。 事故点 57 3-5.感電・アーク等による死傷事故 感電・アーク等による死傷事故防止対策 電気関係報告規則により報告された感電・アーク等による死傷事故の再発防止対策を 次の6項目に整理しました。 作業前の安全確認を行なうにあたり、是非参考にしてください。 ① 点検又は工事に必要な停電時間は十分か。 ・最大限、充電部近接作業が生じないような十分な停電時間をとった上での作業計画と実施。 ② 設備側の安全対策は万全か。 ・断路器と遮断器のインターロック又は充電表示器の設置。人が触れる恐れのある充電部の防護対策(アクリル板カバー等)。 ・停電部と充電部に物理的隔壁、または、充電範囲を示す注意標識、作業区域図と充電範囲の掲示。 ③ 作業者側の安全対策は万全か。 ・電気用ヘルメット、電気用長安全靴等の絶縁用保護具の着用。絶縁防具、リストアラーム等の使用着用。高所作業は安全帯の使用。 ・作業前の確実な検電の実施等。 ④ 設備管理、作業管理は万全か。 ・電気室の鍵の管理。 ・事前打合せによる作業者全員の作業内容の理解。作業者相互間の綿密な連絡・連携の方法と手段の確保。 ・充電部近接作業時の単独作業の禁止。予定外作業の禁止、不測の事態発生時の対応方法の周知。 ⑤ マニュアル類は万全か。 ・作業マニュアル、手順書、チェックリスト等により安全確保が図れるようになっている。 ・分かりやすいマニュアル類となっている。 ⑥ 安全教育・訓練が行われ、安全意識が浸透しているか。 ・作業者の安全防具の着用、検電の実施、予定外作業の禁止など、作業安全が身に付いているか ・点検マニュアル・手順書による訓練が行われているか ・事故時の対応についてマニュアル・手順書等が作成され、有効性についても検証されているか 58 3-5.感電・アーク等による死傷事故 ヒューマンエラー防止に向けた対策 ヒューマンエラーに起因する事故が多くを占めています。ヒューマンエラーによるリスクを低 減させるための12項目を整理しました。安全作業の向上や安全教育に活用して下さい。 (河野龍太郎先生の講演を参考に作成) ① 知る (例)なぜ危険か理解する。感電とは何か、アークとは何か。危険の原理を知る。 ② やめる(なくす) (例)危険そのものの行為をやめる。停電し工事や点検を行い感電する危険をなくす。 ③ できないようにする (例)遮断器と断路器のインターロック。スイッチに誤操作防止用カバーの取り付け。 ④ 分かりやすくする (例)電気室の点検作業時等に充電表示器を使用する。充電範囲にフェンスや標識を設置。 ⑤ やりやすくする (例)点検スペースの確保。しっかりした足場、適切な照度の確保。 ⑥ 知覚能力を持たせる (例)視力・聴力などの身体能力チェック。ベストの身体状態の維持。深酒、睡眠不足はしない。 ⑦ 認知。危険の予測をさせる。 (例)事故事例の収集・共有しデータベースを整備。TBM-KYの励行。 ⑧ 安全を優先させる (例)「安全第一」という企業トップからのメッセージ。安全上できないことは「できない」という。 ⑨ できる能力を持たせる (例)知識・技能の修得・維持のための教育訓練プログラム。身体能力・知識・技能チェック。 ⑩ 自分で気づかせる (例)安全防具等の着装チェック。指差呼称の励行。チェックリスト(暗記しない)による検出。 ⑪ 検出する (例)継電器の事故診断機能。配線ミスのないように配線を色別する。 ⑫ 備える (例)感電を予測して、人工呼吸、速やかな医療機関への搬送等、緊急体制の構築。保険。 59 3-6.電気事故アンケート調査の結果について 60 3-6.電気事故アンケート調査の結果について 平成24年度に電気事故報告(波及事故に限定)を提出した設置者に対し、アンケート調査を 実施。 波及事故件数133件のうち、63件の設置者から有効回答を頂きましたので、その結果と主な ご意見を紹介いたします。 61 3-6.電気事故アンケート調査の結果について •開閉器(PAS・UGS)の設置を 行っておけば良かった。 •老朽化設備の更新をしておけば 良かった。 •年次点検における指摘事項に 対してきちんと対応しておくべき だった。 •主任技術者への緊急連絡体制 を確立しておけば良かった。 •近隣の方々に迷惑をかけてし まった。 ・・・等々 62 3-6.電気事故アンケート調査の結果について 電気設備全般の改善を行っ た。 他の事業所においてもPAS、 UGS等の設置を計画した。 他の事業所も含めて年次点 検のスケジュール管理を行っ た。 社員に対して電気安全に関す る再教育を実施した。 ・・・等々 63 3-6.電気事故アンケート調査の結果について • 年次点検で絶縁低下の判定があった。 • 点検報告でケーブル交換の注意があった。 年次点検を実施したとしても、事 故の未然防止は不可能化と思 う。 64 3-6.電気事故アンケート調査の結果について Q6.主任技術者とのコミュニケーションに ついて 施設の管理者が認識していなかった 緊急連絡体制が出来ていなかった 7% 事故を認識していなかった 19% 74% 取れていた 取っていない 未回答 65 3-6.電気事故アンケート調査の結果について Q8.操業への影響について 1% • 臨時休業とした • テナントへの信頼度が低下 • 基盤が損傷し、納期に遅れが 生じた ・・・等々 41% 58% 影響あり 影響なし 未回答 66 3-6.電気事故アンケート調査の結果について Q10.事故に関する近隣・外部からの苦情 等について • • • • 一般家庭からIT関連機器が故障した 電話で謝罪を求められた 事故報告書の開示要請 補償要請があった ・スーパーの商品 ・パチンコ店や飲食店からの損失補償 • 近隣からの損害賠償請求 67 第4章 自家用電気工作物(関東地域)の 平成24年度立入検査 68 4-1 立入検査の検査項目 • 電気主任技術者の執務状況 • 保安規程の遵守状況 • 技術基準への適合状況 69 4-2 立入検査対象(平成24年度) 電気事故の報告があった事業場 経年劣化のおそれがある電気工作物を有する事 業場 社会的に影響が大きいと認められる電気工作物 を有する事業場 その他保安の確保が適切でないおそれのある事 業場 (合計38事業場に対して実施) 70 4-3 電気主任技術者の執務状況 • 主任技術者の変更を要するもの ・3件 71 4-4 保安規程の遵守状況 選任形態 専 任 不良事項 届出書類の手続き不良 1 保安業務の運営管理体制不十分 1 電気工作物の保守状況不良 1 兼 任 兼 務 許 可 外 部 委 託 統 括 そ の 他 1 合 計 2 1 2 3 巡視点検計測記録の整備不良 2 2 手続書類の整備保守状況不良 1 1 図面等の整備不良 保安業務従事者に対する保安教育 未実施 その他 合計 3 0 0 6 0 0 9 72 4-5 電気工作物の施設状況 選任形態 専 任 件数区分 指摘事項なし 10 兼 任 兼 務 1 許 可 外 部 委 託 18 統 括 4 そ の 他 合 計 33 要改善事項1~2件 1 1 要改善事項3~5件 1 1 要改善事項6件以上 1 2 13 20 合計 3 4 38 73 4-6 主な不良事項 不良事項及び検討事項 受 変 電 設 備 接地抵抗の値が過大 B種接地工事が不適切 通気孔、ケーブル貫通部等から小動物侵入の可能性あり 不良事項及び検討事項 負 荷 設 備 電路の絶縁抵抗値が基準値を満たしていない 電技条数 (電技解釈条数) 件数 10.11 (19) 1 6、10~12 (24) 5 雑則 1 電技条数 (電技解釈条数) 件数 5,58 (14、15) 39 74 4-7 まとめ • 平成24年度も、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、例年より実施 件数が少なくなっております。 • 38の事業場に立入検査を行った結果、指摘事項がなかった事業場は33事業場であり、残 りの5事業場については、以下の指摘事項があった。 1)電気主任技術者の執務状況 自家用電気工作物設置者は、自らの電気工作物の保安を確保するため電気主任技術者 を選任し、選任された電気主任技術者は電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の 監督を職務として行うこととなっている。立入検査の結果、主任技術者の執務が不十分なこ とから、主任技術者の変更を要すると認められたものは3件。 2)保安規程の遵守状況 保安規程は、自家用電気工作物設置者が電気工作物の工事、維持及び運用に関する保 安を確保するために自ら作成するもので、これを遵守することは、自主保安体制を確立する 上で大変重要なものである。立入検査の結果、保安規程を遵守していなかった事業場は9 事業場あった。 3)電気工作物の施設状況 電気工作物の施設状況について、電気設備の技術基準に適合していると認められない事 項や保安上改善等の検討が必要な事項があった事業場は5事業場あった。 75 第5章 自家用電気工作物における 不適切な事例 76 保安管理業務に係る年次点検の未実施について 電気保安法人が電気事業法施行規則第52条第2項の規定に基づき保安管理業務を受 託する事業場の一部において、保安規程及び委託契約に基づく年次点検が未実施である ことを確認したため、以下の対応を行いました。 当該電気保安法人に対して ・部長名による注意文書の発出 ・設置者と調整の上、速やかに年次点検を実施するとともに再発防止のための更なる取 組を要請 他の電気保安法人及び電気管理技術者に対して 年次点検を適切に行っているか確認を行うとともに未実施の事業場があった場合に は速やかに実施するよう当部ホームページで注意喚起 年次点検の未実施は、設置者にあっては保安規程遵守義務違反(電気事業法第4 2条第1項)に、受託者である電気保安法人・電気管理技術者にあっては職務誠実義 務違反(電気事業法施行規則第53条第3項)に該当するものであり、年次点検が実 施されない場合は、同規則第53条第5項の規定により、外部委託承認の取消しがあ り得ることをご認識ください。 77 保安管理業務の不履行について 電気保安法人が受託している複数の事業場において、保安業務担当者が保安規程及 び委託契約に基づく月次点検、年次点検を長期間、行っていなかったにもかかわらず、当 該保安業務担当者が点検を実施したものと当該電気保安法人に偽って報告していたこと を確認したため、以下の対応を行いました。 当該電気保安法人に対して 部長名による厳重注意文書の発出 当該保安業務担当者に対して 電気事業法第44条第4項の規定に基づく電気主任技術者免状の返納命令の発動 当該設置者に対して 今後、点検の記録等について確認するよう口頭により注意 保安規程及び委託契約に基づく月次点検、年次点検の未実施は、受託者である電 気保安法人・電気管理技術者にあっては職務誠実義務違反(電気事業法施行規則 第53条第3項)に該当するものであり、同規則第53条第5項の規定により、外部委 託承認の取消しが、また、保安業務従事者・電気管理技術者にあっては、電気事業 法第44条第4項の規定により免状返納命令があり得ることをご認識ください。 なお、設置者にあっては保安規程遵守義務違反(電気事業法第42条第1項)に該 当することをご認識ください。 78 主任技術者の不適切な選任について 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に係る業務を管理会社 に委託している事業場に対して、当部が立入検査を実施したところ、同法第43条第3項の 規定に基づく、電気主任技術者が管理会社側の都合により当該事業場に常時勤務してい ないことを確認しました。 このため、当該設置者に対して他の事業場について、同様の不適切な電気主任技術 者の選任の有無について報告を求めたところ、立入検査を実施した事業場以外の複数の 事業場及び他の複数の管理会社5社においても同様の事例があることが判明しました。 当該設置者に対して 文書により厳重注意 当該外部委託事業者に対して 文書により厳重注意するとともに、発生原因及び再発防止対策について当部に報告す るように指示 主任技術者制度の解釈および運用(内規)にて、電気事業法第43条第1項の選任 については、1(1)の但し書きにて、委託契約に基づく事業所に常時勤務することが 求められており、設置者にあっては、主任技術者の選任義務違反(電気事業法第43 条第1項)に該当することをご認識ください。 79 第6章 最近の法令等改正状況 80 6-1 電気事業法施行規則の一部改正について 平成25年6月28日、経済産業省は電気事業法施行規則の改正を行いました。 ・電気主任技術者制度における外部委託承認範囲拡大 ・全量買取制度に基づく太陽電池発電設備の点検頻度見直しに伴う改正 □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/06/25062 8-2.html 81 ○電気主任技術者制度における外部委託承認範囲拡大 (1)太陽電池発電設備、風力発電設備、水力発電設備、火力発 電設備(ただし、燃料電池発電設備は除く。)については、外 部委託承認範囲を1,000kW未満から2,000kW未満まで引き上 げられた。 (2)2,000kW未満までの発電所が外部委託により受託可能になっ たことから、換算係数の表にこれら受託が可能になった発電 所の換算係数が追加された。 出力1,000kW以上1,500kW未満の発電所は「1.0」、出力 1,500kW以上2,000kW未満の発電所は「1.2」の換算係数が追 加された。その他の換算係数は変更されていない。 82 ○太陽電池発電設備の点検頻度について 設置形態の違いによる点検頻度の比較 ? ? 83 6-2 電気設備の技術基準に関する改正について 経済産業省は、以下のとおり「電気設備の技術基準の解釈」の改正を行いました。 平成25年5月20日 ・IEC60364規格の改定等への対応(218条) ・引用JISの改定への対応(33,40,163,172条) ・金属製水道管を利用した接地工事の改定(18,19条) □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/05/250520-2.html 平成25年5月31日改正 ・バンク逆潮流の制限の緩和(第228条) □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/05/250531-1.html 平成25年10月7日改正 ・太陽電池発電用直流ケーブルの太線化の追加(第46条) □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/10/251007-1.html 84 ○IEC60364規格の改定等への対応(第218条) 平成23年度電気設備技術基準関連規格等調査事業において、IEC60364シリーズの規格及び対応するJISのうち、IEC規 格の4規格が改定又は新規制定され、これらの規格が省令に規定する技術基準を満足するものであることを確認したことを 踏まえ、電技解釈第218条(218-1表)の改正を行ったもの。 ○引用JISの改定への対応(第33条・第40条・第163条・第172条) 平成23年度電気設備技術基準関連規格等調査事業において、電技解釈が引用しているJISのうち改正されたものにつき、 最新のJISを引用することの妥当性を調査・検討した結果、妥当であるとの結論が得られたものについて改正を行ったもの。 85 ○金属製水道管を利用した接地工事の改定(第18条・第19条) 第18条 【工作物の金属体を利用した接地工事】(省令第11条) 1 (建物の鉄骨等をA種、B種、C種及びD種の共用接地極として使用する要件) ≪略≫ 2 (2Ω以下の建物の鉄骨等の共用接地極として使用する要件) ≪略≫ 3 (金属製水道管を接地極として使用する要件) 削除 3 A種接地工事又はB種接地工事を、第1項又は前項の規定により施設する場合における接地線は、第17条第1項第三号 (同条第2項第四号で準用する場合を含む。)の規定によらず、第1項の規定により施設する場合にあっては第164条第1項 第二号及び第三号の規定、前項の規定により施設する場合にあっては第164条第1項第一号から第三号までの規定に準じ て施設することができる。 第19条 【保安上又は機能上必要な場合における電路の接地】(省令第10条、第11条) ≪略≫ 2~4 ≪略≫ 5 需要設備の引込口付近において、地中に埋設されている金属性水道管路又は建物の鉄骨であって、大地との間の電気 抵抗地が3Ω以下の値を保っているものがある場合は、これを接地極に使用して、B種接地工事を施した低圧電線との中性 線又は接地側電線に、第24条の規定により施す接地に加えて接地工事を施すことができる。この場合の接地工事は、次の 各号によること。 一・二 ≪略≫ 6 ≪略≫ 86 ○バンク逆潮流の制限の緩和(第228条) (高圧連系時の施設要件) 第228条 高圧の電力系統において分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の配電用変圧 器において、(常に)逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分 散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は、この限りではない。 87 ○太陽電池発電用直流ケーブルの太線化の追加(第46条) 第46条 【太陽光電池発電所等の電線等の施設】 一・二 ≪略≫ 三 導体は、断面積60m㎡以下の別表第1に規定する軟銅線又はこれと同等以上の強さのものであること。 四 絶縁体は、次に適合するものであること。 イ ≪略≫ ロ 厚さは、46-1表に規定する値を標準値とし、その平均値が標準値以下、その最小値が標準値の90%から 0.1mmを減じた値以上であること。 46-1表 導体の公称断面積(m㎡) 絶縁体の厚さ(mm) 2以上14以下 0.7 14を超え38以下 0.9 38を超え60以下 1.0 ハ ≪略≫ 五・六 ≪略≫ 2 ≪略≫ 88 6-3「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の改正について 経済産業省は、以下のとおり「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の改正を行いました。 平成25年6月28日 ・電気主任技術者制度における兼任要件の緩和 □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/06/2506283.html 平成25年9月27日 ・小出力(100kw以下)の温泉による発電設備用のボイラー・タービン主任技術者選任要件 の新設 ・電気主任技術者選任における統括事業場の設置要件の新設 □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/09/2509271.html 89 ○電気主任技術者制度における兼任要件の緩和 同一敷地内において設置者の異なる複数設備に係る電気主任技術者の兼任を認めることについては、 設置者間に資本関係がない場合であっても、以下の条件を設けることによって兼任を認める。 ① 設置者間で、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督に関する協定等が結ば れていること。この協定等には、日常点検や、不測時の対応、連絡体制、対応方法及び設備の関係 者への内容の周知等が含まれ、両設備の総合的な保安を確保する ためにも各設置者間の責任の所在を明確に記載していることを条件とする。 ② 保安規程において、上記協定等を遵守することを明記すること。 90 需要設備と太陽電池設備が同一敷地内にある場合、又は電気主任技術者制 度が既に兼任している需要設備の事業場と太陽電池発電設備が同一敷地内に ある場合の具体例 91 ○小出力(100kw以下)の温泉による発電設備用のボイラー・タービン主任技術者選任 要件の新設 法第43条第2項において、自家用電気工作物の設置者は、主任技術者免状の交付を受けてい ない者から、経済産業大臣の許可を受けて、選任することができると定めており、火力設備ではボ イラー・タービン主任技術者の選任要件を設備の規模別に主任技術者制度内規で定めている。内 規における小出力(発電所の出力の合計が200kW未満)のボイラー・タービン主任技術者を選任 する要件に、「高校普通科卒業者」等であって、「火力発電所の工事、維持又は運用に関する実務 に通算して1年以上従事した者」を課している。 今般、以下の①②を要件とすることによって選任許可を可能とした。 ①比較的危険性の低い100kW以下の温泉発電を対象とする。 ②学校教育法による高等学校又はこれらと同等以上の教育施設を卒業した者であって、労働安全 衛生法で規定された2日間のボイラー取扱技能講習を修了した後、1日間の電気工作物取扱に関 する講習を受けた者又は1時間の電気工作物取扱に関する試験に合格した者(電気工作物取扱に 関する講習又は試験は経済産業省で実施) 92 ○小型地熱発電の例 ・温泉井戸の熱水(100~150℃)を活用して、熱水と蒸気をタービンに導き、回転動力に換え発電を行う方式。 93 ○電気主任技術者選任における統括事業場の設置要件の新設 近年、同一の設置者が比較的規模の大きい複数の風力発電所を近隣の地域に施設して、これら複数の 風力発電所の工事・維持・運用を直接統括する事業所(以下「統括事業所」という。)から一体的に行う ケースが見られる。 電気主任技術者は、原則として1発電所に1名選任することとしているが、今般、規制・制度改革要望が あり、統括事業所に係る電気主任技術者の選任等の審査を統一的に行うように、統括事業所に係る技術 的要件について明確化したものであり、以下の要件を内規に加える。 ①原則として、発電所等の箇所数は6箇所(風力発電所にあっては、各発電機を一体として運用 する事業所等を1箇所とする。)以下、統括事業所から各発電所等までの到達可能時間は2時 間以内。 ②電気主任技術者は原則として、統括事業所に常駐。 ③電気主任技術者は統括事業所の保安組織において実効性のある監督が可能である地位にあ る者であること。 ④電気主任技術者の代務者を予め同等の知識及び経験を有する者から指定しておくこと。 ⑤保安組織の保安確保上の有効性を確認するために、定期に設置者による評価(マネージメント レビュー)を実施すること。 94 95 96 6-4 「使用前自主検査の方法の解釈」の改正について 経済産業省は、以下のとおり「電気事業法施行規則第73条の4に定める使用前自主検査 の方法の解釈」の改正を行いました。 平成24年11月30日 ・磁束密度測定の検査項目の追加 □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2012/11/2411303.html 平成25年3月14日 ・太陽光発電設備における検査方法の一部追加 □経済産業省の関係ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2013/03/2503142.html 97 ○磁束密度測定の検査項目の追加 今回の改正は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」に電力設備から発生する磁界に関する規 制を導入したことに伴い、本解釈の6.変電所及び7.送電線路について、磁束密度測定の検査項目を追加 するものです。 98 ○太陽光発電設備における検査方法の一部追加 事業用電気工作物として「出力二千キロワット以上」の太陽電池発電所を設置する者は、 電気事業法に基づき、使用前自主検査の実施の義務が課せられていますが、自然条件 に左右され、計画的な自主検査の実施が困難な特性を有している太陽電池発電の特性を 踏まえ、保安レベルを低下させずに合理化を図れる項目について、「電気事業法施行規則 第73条の4に定める使用前自主検査の方法の解釈」及び「電気設備の技術基準の解釈」 について一部改正を行いました。 ・電気設備の技術基準の解釈の改正 第16条 【機械器具等の電路の絶縁性能】(省令第5条第2項、第3項) 6 開閉器、遮断器、電力用コンデンサ、誘導電圧調整器、計器用変成器その他の器具{第1項から第5項までに 規定するもの及び使用電圧が低圧の電気使用機械器具(第142条第九号に規定するものをいう。)を除く。}(以 下この項において「器具等」という。)の電路並びに発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施 設する機械器具の接続線及び母線(電路を構成するものに限る。)は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能 を有すること。 一~四(略) 五 逆変換装置が、太陽電池モジュールに接続する低圧の直流電路に施設されるものである場合は、電気学会 電気規格調査会標準規格JEC-2470(2005)「分散形電源系統連系用電力変換装置」の「6.2一般試験」 の交流耐電圧試験により絶縁耐力を有していることを確認したものであって、常規対地電圧を電路と大地との 間に連続して10分間加えて確認したときにこれに耐えること。 99 7.その他 100 7-1 電気保安功労者表彰制度 経済産業省関東東北産業保安監督部は、電気保安において永年にわたり保安の確保に 努め、その功績が極めて顕著である事業者、個人に対する関東東北産業保安監督部長表 彰式を実施しております。本表彰は、電気保安業務に携わっている者の保安意識の高揚を 図り、電気保安のより一層の推進を図ることを目的として実施するものです。なお、本表彰に ついては、従前は原子力安全保安院長表彰として実施しておりましたが、組織改編に伴い、 平成24年度からは、関東東北産業保安監督部長表彰として実施しております。 <過去の表彰者数> 工場等 電気工事業者 の営業所 主任技術者 電気工事士 永年勤続者 平成19年度 - 1 8 5 5 平成20年度 1 4 9 4 6 平成21年度 1 1 8 6 5 平成22年度 2 1 12 8 3 平成23年度 1 3 12 8 6 平成24年度 - 3 8 8 6 平成25年度 - 1 8 12 4 表彰年度 101 7-2 関東東北産業保安監督部HPのご紹介 関東東北産業保安監督部 検索 http://www.safety-kanto.meti.go.jp/index.htm 102 ご清聴ありがとうございました。 関東東北産業保安監督部 電 力 安 全 課 103
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