U2の滞在

腎・尿管結石と、その治療装置:ESWL=
「体外衝撃波結石破砕装置」について
1.
2.
3.
4.
5.
6.
概説
ESWLと他の治療方法の相違について
診療報酬について
患者さんの治療の実際
治療における留意事項
ESWLと、製品名「インテグラ」について
1
概説-1
尿路結石症とは、尿の通り道である腎盂尿管に石ができる病気です。
結石の部位別呼称
R1
Renal Stone
R2
R3
U1
Urinary
Stone
U2
U3
腎実質内結石/腎憩室内
腎 結石
結 腎杯内結石
石 腎尿管移行部(UPJ)結
石
尿 上部尿管結石
管
中部尿管結石
結
石 下部尿管結石
結石の種類(成分)
頻度
蓚酸カルシウム結石
81%
X線透過
性
10.8
リン酸カルシウム結石
14%
22.0
リン酸アンモニウムマグネシウム結石
尿酸結石
シスチン結石
4.1
4%
1.4
1%
3.7
X線透過性=水を1とした場合の結石密度
2
概説-2
1)症状
①独特の疼痛、悪心、嘔吐、冷汗、頻脈
②血尿
③感染による発熱
尿路結石には上記のような症状が見られますが、一般に腎結石、尿道結石、膀
胱結石では、鈍痛か無症状のことが多いため、注意が必要です。
2)診断
疝痛発作を主訴に救急外来を受診した患者さんに対して、一般的に尿沈渣、
KUB、エコーによる初期診断を行います。その結果、血尿があり、KUB上石灰化
を認め、エコーで水腎症や音響陰影を伴った高輝度エコーを認めた場合、尿管結
石と100%確定診断されます。しかし、小さな結石では、KUB、エコーで同定され
ないことも多く、最近では単純CTが選択されることが増えています。
3
概説-3 尿管結石のガイドライン
注:2013年版 「尿路結石症診療ガイドライン」より抜粋
積極的治療対象尿管結石
上部尿管
長径10mm未満
ESWL
中部尿管
長径10mm以上
長径10mm未満
TUL または ESWL
下部尿管
長径10mm以上
TUL
4
概説-3 尿管結石の推奨される治療法
注:2013年版 「尿路結石症診療ガイドライン」より抜粋
1. 上部尿管結石
 長径10mm以上の結石では、ESWLまたはTULが第1選択。
 長径10mm未満の結石にはESWLが第1選択。TULも選択肢となる。
2. 中部尿管結石
 ESWLまたはTULが第1選択肢。
3. 下部尿管結石
 長径10mm以上の結石にはTULが第1選択肢。ESWLも選択肢とな
る。
 長径10mm未満の結石ではTULまたはESWLが第1選択肢。
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概説-3 腎結石のガイドライン
注:2013年版 「尿路結石症診療ガイドライン」より抜粋
腎結石
10mm未満
10mm以上~20mm未満
下腎杯
腎盂・上腎杯・中腎杯
ESWL
ESWL
PNL
20mm以上
f-TUL
PNL
PNL
f-TUL
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概説-3 腎結石の治療方針
注:2013年版 「尿路結石症診療ガイドライン」より抜粋
1. 10mm未満
 “10mm未満”の腎結石では、結石の位置によらず、ESWLが広く適用
される。結石や患者の状況に応じて、f-TULやPNLも適用され、治療
困難例では、他の治療との併用を考慮する。
2. 10mm以上~20mm未満
 “10mm以上~20mm未満”の腎結石では、ESWL, f-TUL, PNLのいず
れも適用が可能。但し15mm以上の結石はstone-free rate(SFR=完全
排石率))が低下するため、ESWLやPNLの併用も考慮する。
3. 20mm以上
 “20mm以上”の腎結石では、ESWLやf-TULによる単独治療ではSFR
が低下するため、PNLが優先される。
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2.ESWLと他の治療方法の相違について
1.体外衝撃波結石破砕術 (ESWL)
読んで字のごとく、体外で発生させた衝撃波により人体内の結石を破砕する方法で、人体へ
は非侵襲性の手術です。
この破砕術は、既に25年以上前に確立されたもので、技術の進歩に伴い、現在は第3世代の
装置が主流となっています。装置の多くは、無麻酔で、患者さんの状態によっては外来治療も
可能です。
2.経尿道的結石破砕術 (TUL)
尿管鏡とホロミウム・ヤグレーザーを尿道から尿管に挿入し砕石する、人体への侵襲性を伴う
手術です。過去10年でより安全で有効な治療手段に進化しています。
以前に比べ、重篤な合併症は減少しましが、軽微な合併症の発生率は9~25%と報告されて
います。熟練した術者がTULを施行すれば、その発生率は1%未満とされています。
3.経皮的結石破砕術 (PNL)
PNLは20㎜以上の大きな結石、サンゴ状結石の破砕治療で第一選択とされますが、結石破
砕治療の中で最も技量と経験が要求される手技です。
注:術式の選択は、結石の位置や結石の大きさ等、多角的観点から医師が選択し
ます。
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3.診療報酬について
1.K-768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術:19,300点 (一連につき)
一連につき:「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程
をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波腎・尿管結石破砕を行う場合は、1
回のみ所定点数を算定する。なお、その他数回の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
(2) 体外衝撃波腎・尿管結石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費
用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
注:2016年診療報酬改定に伴い、K-768 は、区分A400:短期滞在手術等基本料にも
収載され、短期滞在(5日未満)の場合、28,010点を上限とする診療報酬となりました。
2.K-678 体外衝撃波胆石破砕術:16,300点 (一連につき)
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4.患者さんの治療の実際 –1
1.治療前
1-1:ガイドラインに基づいた医師の診断と、ESWLによる治療を確定します。
1-2:患者さんの治療計画(ESWLによる治療日)を決めます。
1-3:患者さんより、手術同意書に署名をもらいます。
2.治療日当日
2-1:放射線科でKUB(腎・尿管・膀胱のエックス線一般撮影)撮り、結石の位置を確
認すると同時に、治療時の体位を決めておく。画像診断においては、超音波診断装置
やCTを併用する場合もあります。
2-2:ESWLの治療直前は、患者さんに座薬を処方します。
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4.患者さんの治療の実際 -2
3.治療中
3-1:必要に応じて、患者さんに点滴で鎮痛剤を処方します。
3-2:心電図モニターで、心電図波形を確認します。
3-3:X線照射時間の記録と体外衝撃波のショット数の記録します。
3-4:ESWLの治療終了時は、患者さんの血圧を測定します。
3-5:ESWLの治療終了前に、ストレッチャー、もしくは車いすを手配しておきます。
4.ESWLによる治療終了後
4-1:放射線科にて再度KUBを撮ります。
4-2:全てが終了し、患者さんは日帰り、若しくは1日入院し、経過を見ます。
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5.治療における留意事項 ‐術前
 治療当日は禁食とします。
 麻酔は必要なく、術前の鎮痛剤の投与のみで治療可能です。
 排石を促すため水分摂取または点滴投与、利尿剤の投与など
を行います。
 感染症による熱発を防ぐため抗生剤や消炎剤を投与する場合
もあります。
 stone street を形成する恐れのある大きな結石の場合、小さく
ても両側に結石がある場合は、尿路閉塞を避けるためステント
を留置しておきます。
 術後の合併症として皮膚発赤、血尿、疼痛、熱発、腎被膜下血
腫、などがみられることがあります。
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5.治療における留意事項 ‐術後

痛みがなければ直後でも歩行可能。結石部位によっては外来治療も可。
排石を促すため水分摂取または点滴投与、利尿剤の投与などを続けて行います。
また、階段昇降、縄跳びなどの排石運動、バイブレ-タ-によるマッサ-ジなどを行っ
て排石を促している施設もあります。

破砕効果の良くない場合には再治療が可能。
繰り返してESWL治療を行うことは可能ですが、学会発表では次の治療まで
1週間以上間をあけた方が良いという意見が多くみられます。

破砕効果が見られない場合は、他手技に移行することもある。
長期間結石が同じ部位にあると、尿管粘膜炎症等により結石が肉芽組織にまき込ま
、破砕されても排石されないことがあります。その場合はTULに移行されます。(再請
求は不可)
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禁忌

妊婦
衝撃波の胎児に与える影響が不明なため

ペースメーカー装着者
衝撃波の直接・間接的影響をさけるため

血液凝固障害
重篤な腎周囲血腫形成の恐れあり

重度の腎機能障害
破砕されても排石されない、より損傷させる

結石より遠位の尿路狭窄 ・通過障害
破砕されても排石されない

全身状態不良
敗血症・腎機能低下により死亡する可能性も

衝撃波進路上に石灰化・腫瘍・嚢胞がある
衝撃波の影響をうけるため

衝撃波進路上に肺野がかかる
衝撃波の影響をうけるため

大動脈瘤
衝撃波の影響をうけるため
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医師の判断のもとで行われるべき患者

高血圧
重篤な腎周囲血腫形成の恐れあり

肝硬変
重篤な腎周囲血腫形成の恐れあり

ステロイド投与患者
重篤な腎周囲血腫形成の恐れあり

生殖可能な女性の下部尿管結石
卵巣に対する衝撃波の影響が不明
なため。

高位脊損患者
自律神経過反射により死亡例もあり
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6.ESWLと、製品“インテグラ”について
Extracorporeal Shockwave Lithotoripsy
(体外衝撃波結石破砕術)
■手術をせずに、体の外から衝撃波を照射することにより、体内の結石を
破砕し、体外に排出する
■結石の大きさ、位置によっては日帰り治療も可能
■再発結石等に対しても治療が可能
結石
X線画像
破砕前
破砕後
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衝撃波発生原理(電磁変換方式)



電磁変換方式は、高電圧で発生した
電気エネルギーを金属膜の磁気反発
により衝撃波に変換させ、その衝撃波
を音響レンズで体内の一点に集束させ
る方式。
衝撃波は結石破砕装置内で生成され
る強い圧力波で、その力により結石を
破砕します。
衝撃波は装置内のコイルで発生した後
リフレクターで反射し、水中を通過しな
がら、F2(焦点)に収束します。そのF2
に結石を合わせ、衝撃波を照射するこ
とにより、結石を破砕します。
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衝撃波によって結石が破砕される理由
衝撃波は、水中を通過しながら体内の結石に到達し、結石を破砕します。
では、何故、衝撃波が結石に到達すると、破砕が起こるのでしょうか?
衝撃波は、音波と同じように縦波です。


衝撃波は水中ではエネルギーを発散しないで直進し、空気を多く含む物や水分を含ま
ない物に あたるとエネルギーを発散し衝撃を与える性質があります。身体や骨や筋肉
を含めて大部分は 水分を含みますが、結石はまったく水分を含まないため、体外から
結石めがけて衝撃波をあてることにより、体を傷つけることなく結石を砕くことが可能な
わけです。ただ、衝撃波はそれ ほど威力の強いものではなく、たとえばダイナマイトの
ように一発で粉々に破壊するようなも のとは違い、石をハンマーでたたいて少しずつ割
ってゆくといった感じのものです。
1㎝程度の結石を砕くには、平均2500発程度の衝撃波をあてる必要があります(80
発/ 分程度で発射)。また、安全性の面より、一回の治療での衝撃波は4000発以内
としていま す。そのため結石の成分や大きさによっては砕石が不十分な場合もあり、
数日の間をおいて2 回以上の治療が必要となることもあります。
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装置の外観例(ダイレックス・イニシア社製
X線透視装置
製品名:インテグラ)
操作ユニット
患者テーブル
モニターに
X線透視画
像が表示
され、結石
を確認する
ことができ
ます。
衝撃波発生装置
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衝撃波ヘッド(ダイレックス・イニシア社製
衝撃波の進行方向
製品名:インテグラ)
焦点(体内)
水バッグ
装置内部で生成された衝撃波は、水バッグ内の水、体内を通過し、焦点(結石)に到
達します。人体の軟部組織の音響インピーダンスは水と近いため、それらの間で反
射は起こりにくく、衝撃波は体内を水と同様に進んで行きますが、結石は水とまった
く異なる音響インピーダンスを持っているため、境界面で反射が起こり、結石が破砕
されます。
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