心理学統計法Ⅱ 小島弥生 授業概要 心理学で用いられている多種多様な統計手法のうち、多変量解析の一部を講義する。統計ソフトを用いた実習も授 業の一部に取り入れる。扱う手法は、主に調査法によって収集されるデータについて相関関係を基盤に因果関係を考 えるための回帰分析、心理学実験の要因計画の基本となる分散分析、心理尺度の作成の基本となる因子分析である。 受講生が授業目標に到達するために、授業の最後に「確認課題」としてその日の授業内容を振り返る課題を出す。 ここで受講生の理解度を確認し、授業の進行を調整する。 2年次秋期の「心理学実験Ⅰ」の履修を希望する学生や3年次以降に心理学のゼミを希望する学生は、この授業で 扱う内容を理解していると後の学習がスムーズに進むと思われるため、履修を推奨する。 授業計画 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 ガイダンス(授業の進め方・成績評価、など)/変数や尺度水準についての確認 多変量解析とは何か(基礎統計と多変量解析の関係性、多変量解析の特徴) 相関と回帰:回帰分析の基本的な考え方/重回帰分析とは何か 重回帰分析(1):分析の基礎 重回帰分析(2):重回帰分析の実習 重回帰分析(3):ダミー変数と多重共線性について 中間まとめ(1)(重回帰分析) 分散分析(1):平方和の分解という考え方 分散分析(2):1要因分散分析と2要因分散分析(実験計画・要因計画の考え方について) 分散分析(3):2要因分散分析における交互作用について 分散分析(4):分散分析の実習 中間まとめ(2)(分散分析) 因子分析(1):因子分析の考え方 因子分析(2):因子分析のすすめ方(実習を通した講義) 因子分析のまとめ/全体のまとめ 定期試験 到達目標 多変量解析は、細かい数式や構造を理解するのは困難を極める統計手法であるため、「何を行うために使われ る手法なのか」、「この分析によって何がわかるのか」を理解できることを到達目標とする。 具体的には、心理学の学術論文に掲載されている統計結果のうち、授業で扱った多変量解析を用いた記述や図 表を読み取れるようにすることが目標となる。 履修上の注意 「心理学統計法Ⅰ」との連続性はないが、「心理学統計法Ⅰ」あるいは「統計学Ⅰ・Ⅱ」を履修済みでないと理解は困難 な内容である。「心理学統計法Ⅰ」を履修していることを推奨する。 毎回の「確認課題」の他、2 回の中間まとめにおいて「宿題レポート」を課す。これらの課題も評価に大きく関わる ため、病気などやむを得ない理由を欠席した場合は次回の授業時に教員に課題の有無を問い合わせること。 なお、担当教員をはじめとする心理学の教員のゼミに所属する3・4年生の企画する「調査」や「実験」への参加協力 を求め、協力に対する意見・感想の提出を評価への加点とする場合もある。詳細は第1回の講義において説明する。 予習復習 予習よりは復習を重視してほしい。「履修上の注意」にある「宿題レポート」は具体的な心理学の研究問題を解 決するためにそれぞれの統計手法がどのように用いられるかを理解することを助ける内容である。レポートを 期日までに仕上げ、教員の添削を受けてほしい(返却は別の多変量解析の講義が終わる回を予定している)。 評価方法 定期試験6割、平常点(確認課題における理解度、レポート課題の出来、研究への参加協力に対する意見・感想 の提出などから総合的に算出)4割で評価する。評価内容の詳細は第1回の授業で説明する。 テキスト 山上暁・倉知佐一(編著)『要説 心理学統計法』北大路書房 上記のテキストがベースとなるが、授業の進行は毎回配布する授業プリントに沿って行う。
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