平成23年度愛知県高齢者虐待対応研修会報告レポート 平成23年11月9日(尾張地区)、11月16日(三河地区)に、平成23年度愛知 県高齢者虐待対応研修会を開催しました。 尾張地区 三河地区 日程 11月9日(水) 11月16日(水) 開催場所 あいち健康プラザ プラザホール 西三河総合庁舎 大会議室 市町村職員 地域包括支援センター職員 保健所職員 医療ソーシャルワーカー 昨年度の本研修会終了後アンケートや 市町村職員及び地域包括支援センター職 員へのインタビューの結果では、医療機 関との連携が難しいという意見が挙げら れ、「保健医療福祉サービスネットワー ク」構築への取組を実施している市町村 が約5割に留まっていることから、 「医療 機関との連携」が高齢者虐待対応の課題 の一つとして考えられました。 それを受け、今年度は、市町村及び地 参加市町村数 48市町村 域包括支援センターと医療機関との連携 参加人数 109名 131名 強化を図る対策を検討するため、 『医療機 関における高齢者虐待対応の実態調査』を実施しました。 対象者 その調査結果から、 「医療機関も虐待対応において不安や悩みを多く抱えていること」、 「市 町村及び地域包括支援センターの虐待対応の流れがわからず、医療機関としても市町村との 連携にもどかしさ・難しさを感じていること」、 「市町村との連携に対し、医療機関側は好意 的な姿勢であること」がわかりました。 そこで、本年度の研修会には医療機関の方々にも参加していただき、市町村及び地域包括 支援センターとの連携のあり方を一緒に考えてもらいたいと、愛知県医療ソーシャルワーカ ー協会会員が所属する医療機関へご案内したところ、35医療機関43名の医療ソーシャル ワーカーの方々にご参加いただくことができました。 また、研修内容については、 「市町村及び地域包括支援センターと医療機関との連携」と、 最近、増加傾向にあり、介入が難しいと言われる「経済的虐待への対応方法」に重点を置き 組み立てました。 ≪カリキュラム≫ 内 容 挨拶 及び 医療機関における高齢者虐待対応の実態調査概要 講義・演習 『市町村及び地域包括支援センターと医療機関との連携のあり方』 講義 『高齢者虐待対応の基本的な流れ』 講義・演習 『事例検討~経済的虐待が疑われる2事例をもとに考える~』 講義 『成年後見制度の活用について~高齢者の権利擁護の視点の重要性~』 講 師 あいち介護予防支援センター長 津下 一代 名城病院 医療福祉相談部 部長 小林 哲朗 氏 あいち介護予防支援センター 社会福祉士 村上 智絵 日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 准教授 湯原 悦子 氏 NPO知多地域成年後見センター 事務局長 今井 友乃 氏 研修内容 ●ごあいさつ 及び 医療機関における高齢者虐待対応の実態調査概要 今年度、当センターが実施しました『医療機関における高齢者虐待 対応の実態調査の結果』から、医療機関における虐待対応の実態や市 町村等との連携に対する医療機関の思いについて受講者の皆様にお 伝えしました。 虐待の早期発見・早期対応のためには、医療機関と市町村・地域包 括支援センターとの円滑な連携は不可欠です。受講者には、この連携 の必要性を十分実感していただいた上で研修会に望んでいただきま した。 あいち介護予防支援センター 津下センター長 ① 市町村及び地域包括支援センターと医療機関との連携のあり方 実際に医療機関で発見された虐待事例を通し、医療機関からの虐 待通報や相談があった場合の市町村や地域包括支援センターの望ま しい対応方法について、各グループで話し合っていただきました。 その上で、医療機関が、どのようなことに苦慮しているのか、また、 市町村や地域包括支援センタ ーからどのような支援を必要 としているのかを知っていた だき、連携のあり方について理 解を深めました。実際に、医療 ソーシャルワーカーの方々が 名城病院 医療福祉相談部 部長 小林 哲朗氏 各グループに加わることで、よ り現実的な話し合いが持てたのではないかと思います。 ② 高齢者虐待対応の基本的な流れ 昨年度の研修後アンケートでは、 「虐待対応の経験がないため、研 修内容についていけなかった」というコメントがいくつか寄せられ ました。 そこで、今年度は、虐待対応の基本的な流れをしっかり押さえた 上で、午後からの事例検討に望んでいただくため、当センターで作 成した『高齢者虐待対応マニュアル(各論編:初動期対応を中心と して) 』と、シルバー総合研究所で作成された『新任、横山君の初め ての虐待対応~支援ネットワークで進める高齢者虐待への対応手順 ~』というビデオ教材を使用して、初動期対応を中心とした虐待対 応の基本的な流れについて、各段階のポイントを確認しました。 あいち介護予防支援センター 社会福祉士 村上 智絵 ③ 事例検討 ~経済的虐待が疑われる2事例をもとに考える~ 今回は、事例1『虐待かどうか迷う事例』・事例2『だれも支援を 欲していない事例~独身、親離れできず、親の金を勝手に使う息子~』 の2事例を取り上げました。 事例1については、事例を読んでどのように感じたのか、気になる ことや問題に感じたこと等についてグループの中で意見交換しても らいました。この事例1については、よくありがちで判断に迷いやす い事例でもあるため、グループ内でもそれぞれの立場や、地域によっ て考え方の相違がみられました。 事例2については、コアメンバー会議に受講者が参加している想定 とし、各グループで「虐待かどう かの判断」 「緊急性の判断」 「当面 日本福祉大学 社会福祉学部社会福祉学科 准教授 湯原 悦子氏 の支援方針」について話し合って いただきました。 また、具体的な経済的虐待事例への対応方法として、共依存の関 係にある家族に対しどのようなアプローチが考えられるのか、支援 方針が「見守り」となった場合の見守り・予防的支援の在り方につ いて講義を行いました。 ④ 成年後見制度の活用について ~高齢者の権利擁護の視点の重要性~ 被虐待高齢者の5割弱が認知症の高齢者であり、その件数は年々 増加しています。認知症高齢者の権利や財産などの保護を図るため には、成年後見制度などの法律の積極的な活用も視野に入れた経済 的虐待への対応・防止がとても重要です。しかしながら、現状では、 成年後見制度の活用、特に市町村長申立てについて消極的な様子が 見受けらえるため、虐待対応において成年後見制度を活用する意義、 活用する際の基本的視点やタイミングについて説明し、具体的事例 を通して制度活用の有用性の理解を深めました。 NPO 知多地域成年後見センター 事務局長 今井 友乃氏 アンケートより Ⅰ 医療機関と市町村及び地域包括支援センターとの連携 (1)連携の必要性について 医療ソーシャルワーカーへの設問 市町村・地域包括支援センター職員への設問 ①本研修を受けて、市町村との連携の ②本研修を受けて、医療機関に対する働きかけ 必要性を感じましたか 0.0% 0.0% が必要だと感じましたか 1.2% 0.6% 1.2% 0.0% (n=169) (n=41) とても感じる 22.0% とても感じる 29.6% 感じる 感じる あまり感じない 78.0% あまり感じない 感じない 感じない 67.5% わからない わからない Ⅰ-(1)-① 虐待対応における市町村及び地域包括支援センターとの連携について、「とても感じる」 「感じる」を合わせると 100%が必要だと感じています。 Ⅰ-(1)-② 虐待の早期発見・早期対応やその後の支援の円滑化を図るための医療機関への働きかけに ついて、 「とても感じる」 「感じる」を合わせると、97.1%が必要だと感じています。 (2)市町村から医療機関への具体的な働きかけについて 医療ソーシャルワーカーへの設問 ①医療機関として、早期発見・早期対応などの高齢者虐待対応について取り組むために、市町村 からどのような働きかけを望みますか (n=41、複数回答) 0% 市町村の虐待担当窓口の周知 2.4% 高齢者虐待の啓発(虐待とは・市町村の役割・医療機関の役割等) 医療機関から市町村へ虐待通報した後の医療機関に対するサ ポート(家族からの苦情の相談等) 市町村や地域包括支援センター主催の研修会や事例検討会の参 加勧奨及び情報提供 市町村開催の虐待防止ネットワーク会議の情報提供(会議で挙 がった話題や市町村としての方針等) 60% 80% 41.5% 41.5% 2.4% 0.0% 個別事例の対応を通しての情報交換・情報共有の機会を増やす 9.8% 40% 24.4% 7.3% 医療機関からの個別事例の相談に対する迅速な対応 医療機関から市町村へ虐待通報した後の経過報告 20% 29.3% 51.2% 34.1% 34.1% 39.0% 0.0% 31.7% 0.0% 院内の勉強会の支援協力(講師派遣等) 31.7% 0.0% 院内のマニュアル整備の支援協力 29.3% 0.0% その他 2.4% 0.0% とても望んでいる 望んでいる 100% 市町村・地域包括支援センター職員への設問 ②医療機関に対する具体的な取組みについて、下記項目をどのように思いますか 1.2% 市町村の虐待担当窓口の周知 40.0% 8.2% 5.3% n=170 45.3% 0.6% 高齢者虐待の啓発 27.4% 51.8% 5.4% n=168 14.9% 0.6% 医療機関からの個別事例の相談に対する迅速な対応 37.1% 43.1% 6.6% n=167 12.6% 1.2% 医療機関から虐待通報した後の経過報告 30.4% 54.2% 0.6% 虐待通報した後の医療機関に対するサポート 16.4% 5.4% n=168 8.3% 52.7% 18.8% 0.6% 10.3% n=165 1.2% 個別事例の対応を通しての 情報交換・情報共有の機会を増やす 21.9% 研修会や事例検討会への参加推奨及び情報提供 20.2% 56.8% 4.7% n=169 16.6% 0.6% 50.0% 20.2% 8.9% 0.6% 市町村開催の虐待防止ネットワーク会議の情報提供 8.4% 院内勉強会への支援協力 1.9% 院内マニュアル整備の支援協力 1.9% 49.7% 37.7% 32.1% 34.8% 0% 20% 22.8% 32.3% 40% 60% n=167 18.6% 23.9% n=159 25.9% n=158 4.4% 5.1% n=168 80% 100% 既に取組んでいる 取組みたい(取組めそう) 取組みたいが難しい 取組めない 取組む必要性を感じない 分からない Ⅰ-(2)-① 市町村からの働きかけについて望むことの上位3項目は、 「とても望んでいる」 「望んでい る」を合わせると、 『医療機関からの個別事例の相談に対する迅速な対応』 (70.8%)、 『医 療機関から市町村へ虐待通報した後の経過報告』(53.6%)、『高齢者虐待の啓発』 (48.8%)となっています。 Ⅰ-(2)-② 医療機関に対する具体的な取組みについて、 「既に取組んでいる」 「取組みたい(取組めそ う) 」を合わせると、 『市町村・包括の虐待担当窓口の周知』 (85.3%) 、 『医療機関から虐 待通報した後の経過報告』 (84.6%) 、 『医療機関からの個別事例の相談に対する迅速な対 応』 (80.2%)の順に多くの回答が得られました。 医療ソーシャルワーカーへの設問 ③市町村は、医療機関のどの部署に働きかけることが効果的だと思いますか (n=41 複数回答) 0.0% 診療部 看護部 20.0% 60.0% 80.0% 100.0% 28.9% 26.3% 事務部 15.8% 救急センター 15.8% 医療相談室 40.0% 78.9% Ⅰ-(2)-③ 早期発見・早期対応などの高齢者虐待対応について医療機関に組織的に取組んでもらうた めに、市町村が働きかけると効果的と思われる医療機関の部署は、 『医療相談室』 (78.9%)、 『診療部』 (28.9%) 、 『看護部』(26.3%)となっています。 Ⅱ 医療機関における高齢者虐待対応 (1)高齢者虐待対応の課題について 医療ソーシャルワーカーへの設問 ①所属医療機関における高齢者虐待対応の課題は何ですか 0% 院内で高齢者虐待が話題にものぼらない 20% 2.4% 院内職員の高齢者虐待に対する知識が乏しい 12.2% 院内職員の虐待対応スキルが足りない 14.6% 高齢者虐待対応担当部署が明確になっていない 2.4% 院内の対応方法が統一されていない (n=41 複数回答) 40% 60% 80% 7.3% 34.1% 53.7% 17.1% 14.6% 31.7% とても思う 関係機関(市町村、地域包括支援センター)との連携がうまくできていない 2.4% 100% 思う 19.5% Ⅱ-(1)-① 所属医療機関における高齢者虐待対応の課題の上位3項目は、 「とても思う」 「思う」を合 わせると、 『院内職員の虐待対応スキルが足りない』 (68.3%)、 『院内職員の高齢者虐待に 対する知識が乏しい』 (46.3%)、『院内の対応方法が統一されていない』(46.3%)とな っています。 (2)高齢者虐待対応の体制整備について 医療ソーシャルワーカーへの設問 ①所属医療機関における高齢者虐待対応の体制整備について、下記項目をどのように思いますか (n=39) 高齢者虐待対応の担当部署を設ける 高齢者虐待マニュアルの作成 高齢者虐待発見チェックリストの作成 院内職員に対する高齢者虐待の勉強会 高齢者虐待対応の委員会設置 30.8% 10.3% 17.9% 46.2% 2.6% 12.8% 2.6% 28.2% 12.8% 0.0% 0.0% 69.2% 2.6% 10.3% 0% 既に取組んでいる 取組めない 35.9% 17.9% 64.1% 12.8% 20% 取組みたい(取組めそう) 取組む必要性を感じない 20.5% 56.4% 40% 12.8% 0.0% 12.8% 5.1% 15.4% 60% 80% 100% 取組みたいが難しい 分からない Ⅱ-(2)-① 医療機関における高齢者虐待対応の体制整備については、 「既に取組んでいる」ことは、 『高 齢者虐待対応の担当部署を設ける』 (30.8%)が最も多く、次いで『高齢者虐待マニュア ルの作成』 (10.8%) 、 『高齢者虐待対応の委員会設置』 (10.8%)となっています。また、 「既に取組んでいる」 「取組みたい(取組めそう)」を合わせると、『高齢者虐待発見チェ ックリスト』 (69.2%) 、 『高齢者虐待対応の担当部署を設ける』 (66.7%)、『院内職員に 対する高齢者虐待の勉強会』 (66.7%)の順に多くの回答が得られました。 Ⅲ 市町村及び地域包括支援センターにおける高齢者虐待対応 (1)高齢者虐待対応における困難について 市町村・地域包括支援センター職員への設問 ①高齢者虐待の対応や支援で困ったり、迷うことは何ですか 0% 虐待の事実確認 5.7% 虐待かどうかの判断 60% 80% 20.0% 39.4% 緊急性の判断 24.6% 4.0% 17.1% 立入調査の実行 5.1% 13.1% 9.7% 33.1% 17.1% 高齢者・養護者に介入拒否への対応 虐待の認識のない養護者への対応 40% 18.3% 立入調査の判断 やむを得ない事由による措置の判断 (n=175 複数回答) 20% 31.4% 37.7% 15.4% 30.3% 介護に対する意欲や義務感が強い養護者への対応 4.6% 17.7% 高齢者と養護者が共依存になっている場合の対応 24.0% 措置等による分離後の養護者への支援 4.6% 14.3% 28.0% 支援関係者との連携 3.4% 12.6% 個別ケース会議の開催 1.7% 8.0% 特に困っている 困っている 個人情報の取扱い 1.1%6.3% 市町村長申し立てによる成年後見制度利用の判断 6.3% 19.4% 市町村長申し立てによる成年後見制度利用開始の審査請求の手続き 0.6% 9.7% その他 1.1% 2.9% Ⅲ-(1)-① 虐待対応において困難と感じていることの上位3項目は、 「特に困っている」 「困っている」 を合わせると『高齢者・養護者の介入拒否への対応』(69.1%)、『虐待かどうかの判断』 (57.7%) 、 『緊急性の判断』 (57.7%)となっています。 なお、 『虐待かどうかの判断』『緊急性の判断』については、例年上位に挙げられる項目 です。 (2)高齢者虐待対応の体制整備について 市町村・地域包括支援センター職員への設問 市町村・地域包括支援センター職員への設問 ①高齢者虐待防止ネットワークは構築されて ②高齢者虐待防止ネットワークは機能してい いるか るか (n=169) 11.8% 6.0% 8.4% (n=83) 19.3% 構築されている 23.1% 49.1% 構築に向け調整中 まあまあ機能している 20.5% あまり機能していない 構築されていない 16.0% 分からない 機能している 機能していない 45.8% その他 Ⅲ-(2)-① 高齢者虐待防止ネットワークの構築について、「構築されている」 「感じる」と回答したの は 49.1%でした。 Ⅲ-(2)-① 高齢者虐待防止ネットワークが「構築されている」と回答した方のうち、「機能している」 と回答したのは 19.3%でした。 Ⅳ 研修会に関すること (1)参加動機について 医療ソーシャルワーカーへの設問 (n=41 複数回答) ①研修会に参加した理由は何か 0% 高齢者虐待に対する知識を深めたい 20% 40% 9.8% 高齢者虐待の対応方法を知りたい 22.0% 14.6% 43.9% 市町村や地域包括支援センターの高齢者虐待対応の流れや役割 を知りたい 4.9% 市町村や地域包括支援センターに誘われた 0.0% 0.0% 2.4% 4.9% その他 100% 43.9% 9.8% 貴医療機関として高齢者虐待対応について学ぶ必要性を感じた 80% 65.9% 17.1% 高齢者虐待対応で困った事例があった又は現在、困っている事例 がある 60% 46.3% とても思う 思う Ⅳ-(1)-① 研修会参加した理由の上位3項目は、 「大変思う」 「思う」を合わせると、 『高齢者虐待に対 する知識を深めたい』 (75.7%)、『高齢者虐待の対応方法を知りたい』(61.0%)、『貴医 療機関として高齢者虐待対応について学ぶ必要性を感じた』(58.5%)となっています。 (2)研修会に対する意見について 市町村・地域包括支援センター職員への設問 (n=169 複数回答) ①今後の研修会テーマとして取り上げてほしいことは何ですか 0% 20% 法制度の理解と活用方法 6.5% 虐待対応の基本的な流れ 3.6% 4.7% 市町村と包括との連携・役割分担 緊急性の判断 14.2% 13.6% 5.3% 18.3% 5.3% 18.9% 事実確認のための情報収集の方法 5.9% 21.3% 7.1% 18.3% やむを得ない事由による措置の活用について 終結の判断と内容 高齢者と養護者が共依存になっている場合の対応 虐待の認識のない高齢者・養護者への対応 措置等による分離後の養護者への支援 関係機関との連携と役割分担の在り方 高齢者虐待対応専門チームの活用法 虐待防止ネットワーク構築手段 市町村長申立てによる成年後見制度利用の判断・手順 その他 25.4% 13.0% 21.3% 6.5% 32.5% 16.6% 高齢者・養護者の介入拒否の対応 30.2% 23.7% 27.8% 11.8% 17.2% 6.5% 11.8% 5.9% 60% 13.0% 虐待かどうかの判断 立入調査の判断・方法 40% 17.8% 11.8% 11.2% 7.1% 17.8% 21.9% 特に取り上げてほしい 取り上げてほしい 1.8% 0.6% Ⅳ-(2)-① 今後の研修会テーマに取り上げてほしいことの上位3項目は、 「特に取り上げてほしい」 「取 り上げてほしい」を合わせると『高齢者・養護者の介入拒否への対応』(53.9%)、『高齢 者と養護者が共依存になっている場合の対応』(49.1%)、『虐待の認識のない高齢者・養 護者への対応』 (39.6%)となっています。 ②研修会についての感想 ※一部抜粋 市町村・地域包括支援センター職員の感想 1 盛り沢山の内容で、時間が足りない程だったと思う。いざ、実際のケースの対応となると大変だけれど、病 院との連携でケース会議を病院で行うだけでも意識が違うと感じた。ありがとうございました。 2 虐待は日々あるケースではありませんが、通報・相談があった際は迅速に支援を進めていかなければな らないので、研修等を通して考えていければいいなと思います。共依存ケースの支援方法など、勉強にな りました。 3 他機関と共に学び、ネットワーク構築になるとよい。今日の研修は大変ありがたかったです。 4 市と包括の連携が上手くいかない中、医療機関との連携の在り方の講義は参加になりました。又、午後 は具体事例で演習でき、他の地域の方の意見も聞けて参考になりました。 5 緊急性の判断について勉強になった。コアメンバー会議についても改めて進め方等見直すことができた。 6 今まで高齢者虐待に関わっていないと思っていたが、虐待の可能性もあるということを頭の片隅に置き、 関わっていきたいと思った。 7 医療機関との合同の研修は、視点や考えがはっきり異なり、大変面白くまた参考になりました。 8 本研修では、普段関わりのない方々の視点から話を聞くことができたため、様々な発見があった。また、 担当する業務に介護サービスに関わるものがそんなに無いため、介護に携わる職員から内情を聞けたの は良い経験となった。今後、高齢者虐待の相談を受けた場合は、関係機関と連携して適切な対応をして いきたい。 9 虐待に関する相談・通報が入った場合は、敏感に反応しているつもりですが、今日の研修で改めて勉強 になりました。 10 包括職員・MSWの方々と話合いができ、とても勉強になりました。市としての役割を再認識することができ ました。 11 虐待や成年後見に関する講義では、やはり事例を通して学ぶことが大切で分かりやすいと感じました。 MSWの参加は望ましいと思います。ありがとうございました。 12 とても分かりやすい研修でした。医療機関の方との連携もできて良かったです。 13 医療担当の方、行政・包括対象の研修で、それぞれの立場からの意見・判断などがグループワークによ り知ることができました。とても良い研修でした。ありがとうございました。 14 グループワークの時間をしっかり取っていただけたので、話し合いができました。 15 虐待や困難事例の対応の仕方をいろいろな職種の方と話し合えるような研修会がよいと思う。今回の研 修会はとても勉強になりました。ありがとうございました。 16 日々の業務の悩み・迷いを同職種・異色種の方と話し合うことができ、とても参考になりました。虐待ケー スへの対応は特に難しく感じる部分が多いので、研修会を開いていただきありがたかったです。 17 今回は医療関係の方が参加され、医療の視点での意見が聞けて良かったです。内容も前回より踏み込 み、支援結果まで検討して行く内容だったので、具体的で分かりやすかったと思います。 医療ソーシャルワーカーの感想 1 院内の別のMSWにも参加させたい。 2 他機関とグループディスカッションをする機会があまりないので、いろいろな視点の 意見が聞けて参考になりました。 3 なかなか医療と地域というのは近い存在で遠いように感じていたので、よい交流 ができました。ありがとうございました。 4 事例を通じて、市町村担当者及び包括の方の取り組みなど分かりました。ただし、 市町村の担当者によって温度差があると思いました。 5 医療機関と行政や包括とは、若干考え方に相違あるように感じた。今後もこのよう に、考え方を出し合う研修が非常に有効だと思います。 6 ぜひもっと、行政・医療機関の交流ができる研修を多く企画していただければと思 います。 7 業務に直結する内容で勉強になりました。MSW向けの研修会あると嬉しいです。 8 経済的虐待について、よく考える機会となりました。 ▼他にもこのようなご意見・ご要望をいただきましたので、今後の参考にさせていただきます。 ・虐待に対する初期研修から、ステップアップした研修をお願いしたい。 ・全体的には、少し理解できたが、日頃、虐待事務を行ってない人でも分かりやすいように、専門用 語を少なくして説明してほしい。 ・市町村限定の研修を催すと、市町村の参加が増えると思う。 ・ベテランの方のロールプレイから対応方法を学びたい。アプローチの際のトーク例などを知りたい。 ・虐待の判断をする市町村職員の管理職が本研修に参加するべきだと感じた。 まとめ 虐待対応は、様々な関係機関との連携が不可欠ですが、医療機関を含めた「保健医療福祉 サービス介入ネットワーク」の構築は未だ5割程度に留まっています。また、ネットワーク が構築されている市町村においても、会議で年に1、2回顔を合わすだけの形式的なネット ワークになっている市町村も多いようです。 今回、初めて医療ソーシャルワーカーの方々が本研修会に加わり、市町村・地域包括支援 センター・保健所・医療機関という様々な立場・職種の方々が一緒に肩を並べて話し合うこ とで、虐待対応を進める際には他機関との連携が、とても重要であることを多くの受講者の 皆さんに実感していただけたのではないでしょうか。 本研修会でのつながりが、各地域での活きたネットワークの発展につながっていくことを 期待しています。 今回の事例検討の中では、虐待かどうか迷いやすい事例を取り上げました。 現場において、虐待があると判断し難い事例は多いと思います。その場合、虐待があると判 断できなくても、『虐待の可能性』や『虐待の予防としての権利擁護の支援の必要性』を察 知し、早期に必要な支援を行うことができれば、それが虐待の早期発見・早期対応となりま す。支援者は、 『高齢者本人に権利侵害の恐れがあるかどうか』という予防的視点を決して 忘れずに、日々の業務に取り組んでいただきたいと思います。 当センターは、今後も現場のニーズを的確に捉え、市町村及び地域包括支援センターが虐 待対応を円滑に行うことができるよう様々な場面でサポートを進めていきたいと思います。
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