eneration 3 G 熟練マスター世代 指導歴16年以上のフィットネス指導者が、これまでの経験や実績を踏まえながら、後進へのア ドバイスや同世代へのエールを送ります。 Miyuki Taniguchi 谷口 美由紀（北海道 指導歴29年） JAFA/ADI 日本体調改善運動普及協会スペシャルコンディショニングインストラクター PTCパーソナルトレーナー 「目指すは“生涯現役インストラクター”」 フィットネス指導歴約29年 く思います。 北国の長い長∼い冬がようやく終わり、桜が楽しみな季節 多様なニーズに応えるために になってきました。北海道札幌市でフィットネス指導をして おります、谷口美由紀です。 フィットネスといえば激しいエアロビクスが主流だった フィットネス指導を始めてから、早いものでいつの間にか 昔と比べて、時代の流れとともに日常の健康づくりが求めら 30年近い月日が経ちました。この30年は本当にあっという れるようになりました。フィットネスクラブなどの運動施設 間で、そして四半世紀以上にわたってこの仕事を続けられた には、元気な方ばかりが来ているとは限らず、健康になりた ことを考えると、非常に感慨深いものがあります。 かったり元気になりたかったりして来る方もたくさんいらっ 現在は、フィットネスクラブや市の体育館、健康づくりセ しゃいます。 ンター等でエアロビクスや、ダンス系プログラム、健康体操 私のキャリアとともにお客様の年齢もだんだんと上がっ を指導しています。さらに最近は、老人福祉施設での健康づ てきて、からだのさまざまな悩みを相談されることが増えま くり体操、スポーツ財団からの依頼で親子ビクスも時々させ した。そうすると、私自身もそんな方たちのお役に立ちたい ていただいています。 と思うようになっていきました。 数年前からはグループ指導のほかに、一人一人のからだの そのためにはきちんとからだの仕組みを勉強し、安全で正 悩みに合わせてパーソナル指導も行っています。もちろん、 しく効果的に指導する知識や技術がますます必要です。さら お客様とともに汗を流し、笑顔の絶えないエネルギッシュな には日本の超高齢社会において、私たちの仕事がもっと必要 クラスも健在です。 とされるだろうと思い、いろいろな勉強をしてきました。 さまざまな身体活動のレベルに合わせた指導ができるよ 華やかなフィットネス指導の裏側で… うにと、気がつくとたくさんの資格を取得していました。学 私がインストラクターを始めた頃は、全国にたくさんの専 門スタジオがあるほど、女性を中心にエアロビクスが大ブー ム。女性の新しいライフスタイルやファッションの一部とし て、爆発的な人気のプログラムでした。 当時のエアロビクスは、大音量の中で猛烈に汗をかいて、 ある意味その暑苦しさが魅力でもありました。 かくいう私も、 ハイレグのレオタードを着て、激しいプログラムを指導する インストラクターでした。 そのようなプログラムが主流だった当時、華やかにエアロ ビクスを指導する心の裏側では「この仕事は30歳くらいま でしかできないのではないか…」という不安もありました。 そこで、レッスンだけではない仕事の仕方を考えました。 当時はエアロビクスのインストラクターを目指す人も多 かったこともあり、まずは養成コースを始めました。養成 コースを10年以上開催していると、卒業生がフィットネス 指導者として活躍している姿を見ることができ、大変うれし 6 HEALTH-NETWORK May, 2013 文京台地区センターで行っている「健康きれいエクササイズサークル」の皆さ んです。 私たちのフィットネス指導 びの場としては、JAFAの講習会には大変お世話になりまし ださった方に何を提供できるか考え、さまざまな引き出しを た。勉強の甲斐あってか、現在はかなり幅広い年齢の方々に 用意して、参加者の皆さんの目標を達成できる、何かあれば 喜んでいただいているような気がします。 親身になって相談に乗れる、そんな存在になっていきたいと 思います。そして後進世代には、頼れるお姉さん的（若いイ ンストラクターからはお母さん…？）な存在でありたいです。 息の長い指導者になる秘訣 若かったころはがむしゃらに前進あるのみと突っ走って この仕事を長く続けていける私の原動力は、何と言っても いましたが、そのころから比べると、ものを見極めることが お客様のたくさんの笑顔。そして、フィットネスを続けるこ できるようになってきました。その時代ごとのニーズに合わ とでからだの調子がよくなったという喜びの声が聞けること せた指導ができるように、常にアンテナを高く張って、自分 です。そんなときはいつも「ああ、私はなんて素敵なお仕事 を高め続けたいと思います。 現在は、カイロプラクターでもある私は自宅サロンで施術 をさせていただいているのだろう」と思います。 長いインストラクター生活において、けがや体調を崩して のほか、パーソナルトレーニングも行っています。これから 入院したこともありました。そのときは、これからもっと頑 も、たくさんの方のからだと心を元気にしたいという思いを 張りたいと思っていたときだったのでかなりショックでした 柱にして、たくさんの引き出しを持ち続けるつもりです。 が、今思うと自分の心とからだを休める良い機会になったの 最後に、この仕事において大切だなと感じるのは、なんと と、自分のからだと向き合うきっかけにもなりました。おか いっても人と人とのつながりです。たくさんの人とつながり げさまで、今はけがも病気もすっかり疎遠です。とはいえ、 ながら、またたくさんの人と協力し合いながら、よいものを 今でもついつい無理してしまうことがあるのですが…。 作りあげていきたいです。 また、キャリアを重ねるにつれ、若いインストラクターか ら相談を受けることが多くなってきました。私も昔は同じよ うなことで悩んでいたことがあったなと思い出したり、逆に 刺激をもらうこともあります。 最初のうちは、興味を持ったものにどんどんチャレンジし て経験を積むことが大事だと思います。ぜひ若いパワーで前 進してください。いろいろなことを経験していくうちに、環 境や立場の中でやっていきたいこと、やるべきことが見えて くるはずですから。 目指すは“生涯現役インストラクター” フィットネス指導を始めて30年近く経った今、新たな目 標は「生涯現役インストラクター」です。レッスンに来てく 健康きれいエクササイズは、有酸素運動・姿勢改善運動・コンディショニング の要素を取り入れた、女性にうれしいプログラムです ネ ジェ マイ ケート アン Q1 指導キャリアの近いフィットネ ス指導者で気になる人は？ 山田泰子さんや井上トキ子さんなど、北海 道で活躍されている（または出身）同世代 の方々は、芯があってとても素敵です。 Q2 指導の際のウエアやファッショ ンにおけるこだわりは？ ダンス系クラスはファッショナブルに、 健康体操系はやさしい感じ、老人福祉施 設などでは肌の露出の少ないもの。 Q3 フィットネス指導者だからこそ 実践しているセルフケアは？ からだにいい栄養をしっかりとることと、 睡眠時間が少ないので寝る環境を整えて います。 HEALTH-NETWORK May, 2013 7
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